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タイトル:特許公報(B2)_重合開始剤
出願番号:2008320427
年次:2014
IPC分類:C08F 12/08,C08F 4/00,C07C 15/44,C07C 69/025,C08F 20/02


特許情報キャッシュ

影石 一二 安藤 有美 粕谷 千絵美 JP 5510699 特許公報(B2) 20140404 2008320427 20081217 重合開始剤 東レ・ファインケミカル株式会社 000187046 岩見 知典 100104950 影石 一二 安藤 有美 粕谷 千絵美 20140604 C08F 12/08 20060101AFI20140515BHJP C08F 4/00 20060101ALI20140515BHJP C07C 15/44 20060101ALI20140515BHJP C07C 69/025 20060101ALI20140515BHJP C08F 20/02 20060101ALI20140515BHJP JPC08F12/08C08F4/00C07C15/44C07C69/025 AC08F20/02 C08F 6/00−246/00 C08F 301/00 C08F 2/00−2/60 特開2002−356503(JP,A) 特開2000−169531(JP,A) 特開2008−511745(JP,A) 2 2010143983 20100701 40 20110125 内田 靖恵 本発明は、ラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤に関する。 アクリル単量体を含むビニル化合物のリビングラジカル重合が10数年来盛んに研究されており、例えば、ドラッグデリバリーシステム、高感度センサー、微細加工可能なレジスト材料などとして応用が期待されている。 リビングラジカル重合は、精密重合技術とも言われており、安定なニトロキシラジカルを使用する安定ラジカル法(SFRP;Stable free radical polymerization)、遷移金属錯体および促進剤、含ハロゲン化合物である重合開始剤を組み合わせて使用する原子移動ラジカル重合(ATRP;Atom transfer radical polymerization)、ジチオエステル誘導体をRAFT剤として使用するRAFT重合(Reversible addition-fragmentation chain transfer polymerization)などが良く知られている。 なかでも、ATRP、RAFT重合は分子量分布の狭いポリマーが製造できることから研究対象の中心となっている。 一方で、ATRPでは、Cu錯体などの遷移金属錯体を使用するためポリマーの着色が著しく、無色透明なポリマーを取り出すには多大なエネルギーが必要であった。かつポリマーの安定性に課題があった。遷移金属錯体として高価なRu錯体等の希少金属錯体を使用する場合には、コスト面から遷移金属錯体の再生、リサイクルは必須であり、製造工程も複雑となって、工業的にはまだ多大な改善の余地が残っている。また、ATRPでは、多価アミンなどの促進剤、重合開始剤としてのハロゲン化合物の使用を必要とし、促進剤および重合開始剤が残存するためポリマーの安定性、臭気などに課題があった。また、遷移金属錯体、促進剤、重合開始剤に特定の、活性が強いものが使用されることから、製造に使用できるビニル単量体およびその官能基にも制約があった。 RAFT重合では、重合する単量体の官能基の種類、濃度に左右されず重合ができることから刺激応答性高分子材料などの機能性ポリマー創製の期待が大きい。ところが、RAFT重合では、RAFT剤として、ジチオエステル化合物などのイオウ系化合物が常用されるため、RAFT剤の悪臭が問題となっており、また製造したポリマーにも悪臭が残るため、これの解決が必須課題となっていた。さらに、製造したポリマーは赤褐色等に強く着色するのが一般的で、アクリルポリマーのように無色透明が特徴となっているポリマーへの適用にはさらに技術の改善、進展が強く望まれていた。また、良く知られているとおりATRPに比し、RAFT重合では、重合初期から狭い分子量分布のポリマーを製造することができるが、重合率の上昇がきわめて遅く、製造には長時間を要し、工業的観点からは課題があった。またさらに、α−メチルスチレンダイマーなどの臭気、着色が小さい化合物をRAFT剤として使用した場合には、ジチオエステル誘導体と同様に重合率の上昇が遅く製造に長時間を必要とするばかりでなく、多くの場合、特にメタクリレートを使用した場合、リビングラジカル重合は起こらず、期待するブロック共重合体等の機能性ポリマーは製造できなかった。 悪臭の少ない特定のジチオエステル誘導体をRAFT剤として使用し、分子量分布の狭いポリマーをRAFT重合で製造する方法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1では、悪臭が改善されるとしながら、実施例に見られるとおり、一般的なRAFT剤である2−フェニルジチオベンゾエートと悪臭の程度を比較した結果は、まだ60%以上の悪臭が確認されており、実用的には不十分である。また、製造時間が長い割に重合率が上昇しておらず、工業的観点からは実用化は難しい。 メタクリレートを主成分とするアクリル単量体のラジカル重合を利用してアクリルマクロモノマーを製造する方法、およびABCまたはABAブロック共重合体の製造方法が提案されている(特許文献2参照)。 特許文献2で提案されている技術は、RAFT剤として2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンを使用し、メタクリロイル基を有するエチレン性不飽和化合物を70モル%以上含むアクリル単量体を、100℃以上の高温で溶液重合により製造するというものである。 特許文献2が提案する技術では、100℃以上の高温で重合する必要があり、アクリルポリマーに多用されるメタクリル酸メチル(沸点100.8℃/1013.6hPa)などの沸点の低いアクリル単量体への適用には問題があった。特開2007−238646号公報特開2000−169531号公報低臭気、低着色性で、製造時間短縮、重合温度の低温化など、ラジカル重合性不飽和単量体の効率的なリビングラジカル重合ができるラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤を提供する。 本発明は、分子中に下記構造式で示される化学構造(ここで、pは1〜200の整数を表し、Xはニトリル基、フェニル基、または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R1は下記構造式で示される化学構造(ここで、R2は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R3は、水素原子、ジシクロペンテニル基、または、炭素原子数1〜18個のアルキル基であり、アルキル基は、フッ素原子で置換されていてもよい。qは、0、または、1〜20の整数を表す。)または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R4は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R5は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基、または、炭素原子数1〜4個のヒドロキシアルキル基を表し、または、塩基性化合物で中和されていてもよい下記構造式で示される化学構造を表す。)表し、Yは重合開始剤の遊離基を表し、Zはα−メチルスチレンダイマーの遊離基を表す。)を含むラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤である。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤は、アクリル単量体などのラジカル重合性不飽和単量体のラジカル重合を効率よく開始する重合開始剤として、有用である。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤は、低臭気、低着色性であり、アクリレート、メタクリレート、ビニル化合物などラジカル重合性不飽和単量体の分子構造によらずリビングラジカル重合を実現し、ブロック共重合体などの機能性ポリマー創製を可能とする。また、100℃以下の重合温度でも、重合開始剤、および/または、可逆的付加開裂型連鎖移動剤としての機能を失うことがなく、比較的短時間で安全に、安定してリビングラジカル重合で目的とするポリマーの製造ができる。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤を使用することで、分子量分布(=重量平均分子量(以下、Mwとも言う)/数平均分子量(以下、Mnとも言う))が比較的小さいアクリル共重合体を、工業化可能な製造時間および重合温度で、安全に、安定して製造できる。 本発明は、分子中に下記構造式で示される化学構造(ここで、pは1〜200の整数を表し、Xはニトリル基、フェニル基、または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R1は下記構造式で示される化学構造(ここで、R2は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R3は、水素原子、ジシクロペンテニル基、または、炭素原子数1〜18個のアルキル基であり、アルキル基は、フッ素原子で置換されていてもよい。qは、0、または、1〜20の整数を表す。)または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R4は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R5は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基、または、炭素原子数1〜4個のヒドロキシアルキル基を表し、または、塩基性化合物で中和されていてもよい下記構造式で示される化学構造を表す。)を表し、Yは重合開始剤の遊離基を表し、Zはα−メチルスチレンダイマーの遊離基を表す。)を含むラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤である。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、下記構造式で示される化学構造(ここで、pは1〜50の整数を表し、Xはニトリル基、フェニル基、または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R1は下記構造式で示される化学構造(ここで、R2は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R3は、水素原子、ジシクロペンテニル基、または、炭素原子数1〜18個のアルキル基であり、アルキル基は、フッ素原子で置換されていてもよい。qは、0、または、1〜20の整数を表す。)または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R4は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R5は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基、または、炭素原子数1〜4個のヒドロキシアルキル基を表し、または、塩基性化合物で中和されていてもよい下記構造式で示される化学構造を表す。)は、好ましくは、下記構造式で示される(ここで、Xはニトリル基、フェニル基、または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R1は下記構造式で示される化学構造(ここで、R2は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R3は、水素原子、ジシクロペンテニル基、または、炭素原子数1〜18個のアルキル基であり、アルキル基は、フッ素原子で置換されていてもよい。qは、0、または、1〜20の整数を表す。)または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R4は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R5は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基、または、炭素原子数1〜4個のヒドロキシアルキル基を表し、または、塩基性化合物で中和されていてもよい下記構造式で示される化学構造を表す。)ビニル単量体を含むアクリル単量体を使用して導入される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、下記構造式で示される(ここで、Xはニトリル基、フェニル基、または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R1は下記構造式で示される化学構造(ここで、R2は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R3は、水素原子、ジシクロペンテニル基、または、炭素原子数1〜18個のアルキル基であり、アルキル基は、フッ素原子で置換されていてもよい。qは、0、または、1〜20の整数を表す。)または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R4は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R5は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基、または、炭素原子数1〜4個のヒドロキシアルキル基を表し、または、塩基性化合物で中和されていてもよい下記構造式で示される化学構造を表す。)ビニル単量体としては、好ましくは、アクリロニトリル、スチレン、ビニルベンジルグリシジルエーテル、N−ビニル−2−ピロリドン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸ターシャリーブチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸イソボルニル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、トリフルオロエチルアクリレート、テトラフルオロプロピルアクリレート、オクタフルオロペンチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート、アクリル酸2−メトキシエチル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−プロピルオキシエチル、アクリル酸2−イソプロピルオキシエチル、アクリル酸4−メトキシブチル、アクリル酸4−エトキシブチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸4−ヒドロキシブチル、ジエチレングリコールアクリレート、トリエチレングリコールアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート、ジプロピレングリコールアクリレート、トリプロピレングリコールアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、ジブタンジオールアクリレート、トリテトラメチレングリコールアクリレート、ポリテトラメチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレート、エトキシトリエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、エトキシポリエチレングリコールモノアクリレート、メトキシジプロピレングリコールアクリレート、エトキシジプロピレングリコールアクリレート、メトキシトリプロピレングリコールアクリレート、エトキシトリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノアクリレート、エトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシジテトラメチレングリコールアクリレート、エトキシジテトラメチレングリコールアクリレート、メトキシトリテトラメチレングリコールアクリレート、エトキシトリテトラメチレングリコールアクリレート、メトキシポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、エトキシポリテトラメチレングリコールモノアクリレート、ジシクロペンテニルオキシアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アクリルアミド ターシャリーブチル スルホン酸などが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、これらのビニル単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤は、これらのアクリル単量体以外にも、好ましくは、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、スチレン、アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどのアクリルアミド誘導体、γ−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、アクリル酸グリシジルなどのラジカル重合可能な不飽和単量体が使用できる。本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、これらのラジカル重合可能な不飽和単量体は単独で使用しても、2種類以上の混合物で使用してもよい。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、pは1〜200であり、好ましくは1〜150、より好ましくは1〜50の整数であるのが望ましい。本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、pが0の場合には、重合開始剤としての機能が発揮されず、pが200を超える場合には、ポリマーとしての性能が強く発揮されるようになりブロック共重合体を製造することはできるが、重合開始剤としての開始剤効率が悪化し、使い勝手が悪くなる。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、Yは重合開始剤の遊離基を表す。本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、Yは、好ましくは、下記構造式で示される化学構造であることが望ましい。本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yは、これらのいずれでもよく、単独であっても、2種類以上が混在していてもよい。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、2,2´−アゾビスイソブチロニトリルなどが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、上市されている2,2´−アゾビスイソブチロニトリルは、例えば「V−69」(和光純薬工業(株)の油溶性重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)などが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されている2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)は、例えば「V−59」(和光純薬工業(株)の油溶性重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されている2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)は、例えば「V−65」(和光純薬工業(株)の油溶性重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)などが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されている2,2´−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)は、例えば「V−70」(和光純薬工業(株)の油溶性重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、ジメチル 2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)などが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されているジメチル 2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)は、例えば「V−601」(和光純薬工業(株)の油溶性重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)などが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されている1,1´−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)は、例えば「V−40」(和光純薬工業(株)の油溶性重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、2,2´−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]などが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されている2,2´−アゾビス[N−(2−プロペニル)−2−メチルプロピオンアミド]は、例えば「VF−096」(和光純薬工業(株)の油溶性重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、2,2´−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されている2,2´−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]は、例えば「VA−061」(和光純薬工業(株)の水溶性重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシベンゾエートなどが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されているt−ブチルパーオキシベンゾエートは、例えば「パーブチルZ」(日本油脂(株)の重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、クメンハイドロパーオキサイドなどが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されているクメンハイドロパーオキサイドは、例えば「パークミルH」(日本油脂(株)の重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されているt−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートは、例えば「パーブチルD」、「パーブチルZ」、「パーブチルO」(日本油脂(株)の重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、重合開始剤から生成する遊離基Yが下記構造式で示される化学構造の場合には、重合開始剤として、好ましくは、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートなどが例示される。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、上市されているt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエートは、例えば「パーブチルO」(日本油脂(株)の重合開始剤)などが例示される。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、Yは、ラジカル重合性オリゴマーの製造効率、および、重合率の上昇速度、および、リビングラジカル重合性を考慮した重合開始剤の機能の観点から、より好ましくは、下記構造式で示される化学構造を有する有機アゾ系重合開始剤が望ましい。本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、これらの重合開始剤から生成する遊離基は、好ましくは、重合開始剤として2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、ジメチル 2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、2,2´−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]などの有機アゾ系重合開始剤が例示される。これらの有機アゾ系重合開始剤は、例えば、和光純薬工業(株)から、2,2´−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)は「V−59」、2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)は「V−65」、ジメチル 2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオネート)は「V−601」、2,2´−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]は「VA−061」として上市されている。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、Zはα−メチルスチレンダイマーの遊離基である。本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、Zは、好ましくは、下記構造式で示される化学構造の2−フェニル−2−プロペニル基であるのが望ましい。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、Zが下記構造式で示される化学構造の2−フェニル−2−プロペニル基であるとき、ラジカル重合性オリゴマーとしての機能がより効率よく発揮される傾向が見られ、次工程のリビングラジカル重合、ブロック共重合体の製造時に、重合開始剤としての機能がより強く発揮され、重合反応がスムースに進行する傾向が見られる。 本発明の重合開始剤は、アクリル単量体などのラジカル重合性不飽和単量体のリビングラジカル重合を効率よく開始し、進行する重合開始剤である。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、好ましくは、α−メチルスチレンダイマー1.0モルに対し0.020〜1.000モルの重合開始剤を使用して、下記構造式の(ここで、Xはニトリル基、フェニル基、または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R1は下記構造式で示される化学構造(ここで、R1は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R2は、水素原子、ジシクロペンテニル基、または、炭素原子数1〜18個のアルキル基であり、アルキル基は、フッ素原子で置換されていてもよい。qは、0、または、1〜20の整数を表す。)を表す。)または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R4は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R5は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基、または、炭素原子数1〜4個のヒドロキシアルキル基を表し、または、塩基性化合物で中和されていてもよい下記構造式で示される化学構造を表す。)を表す、ビニル単量体の1種以上を含むアクリル単量体を塊状重合してラジカル重合性オリゴマーを製造するのが望ましい。 本発明のラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤では、α−メチルスチレンダイマーは下記構造式で示される2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンである。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、α−メチルスチレンダイマーは、日本油脂(株)、五井化成(株)、本州化学工業(株)、旭化成ファインケム(株)、三井化学(株)などで製造され、上市されているものを任意に選択し、使用することができる。 α−メチルスチレンダイマーとして上市されている製品には、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの他に、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテンなどの不純物が含まれていることが多い。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、ガスクロマトグラフィーで測定される2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの濃度が好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上、さらに好ましくは94%以上であることが望ましい。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの濃度が90%以上であれば、目的とするラジカル重合性オリゴマーを製造できる。本発明のラジカル重合性オリゴマーでは、もっとも好ましくは、ガスクロマトグラフィーで測定される2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンの濃度が95%以上であるとき、製造されるラジカル重合性オリゴマーの機能がより確かなものとなり、次工程のリビングラジカル重合やブロック共重合体の製造がスムースに進行する傾向が見られる。 本発明は、ラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤である。 以下に実施例で本発明の詳細を説明する。なお、以下の実施例では、評価方法、測定方法等を次の通りとした。 1)重合率(%) JIS K 5407:1997にしたがって加熱残分を測定、これを重合率とした。なお、測定は140℃で1時間加熱乾燥し、行った。 2)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw) ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)「HLC−8220GPC」(東ソー(株)の試験装置)を使用し、キャリアーをテトラヒドロフラン、分子量スタンダードとしてポリスチレンを用い測定した。分子量分布はMw/Mnで算出した。 3)臭気 未反応モノマー臭、その他の異臭を直接評価した。100ミリリットル広口ガラスビンにラジカル重合性オリゴマーを80ミリリットル採取し、5cmの距離から臭気を嗅ぎ、嫌悪臭がなく、気にならないものを「少ない」(合格)とした。 実施例1 攪拌機、窒素ガス吹き込み口、還流冷却器、温度センサーを備えた300ミリリットル四つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みフラスコ内を窒素ガス置換した。フラスコに、アクリル酸シクロヘキシル100g、α−メチルスチレンダイマー28.5g、2,2−アゾビス〔2,4−ジメチルバレロニトリル〕20gを仕込み、30℃から重合温度の90℃まで240分間で昇温した。この後、90℃で12時間重合反応を行いラジカル重合性オリゴマーRC−1を製造した。RC−1製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、RC−1はトラブルなく製造できた。 RC−1は重合率92.3%、数平均分子量(Mn)1200、重量平均分子量(Mw)1920、分子量分布(Mw/Mn)1.60であった。また、RC−1は懸念される未反応モノマー臭や異臭も少なく、無色透明であった。 重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表1に示した。なお、表中、(1)はビニル単量体、(2)はα−メチルスチレンダイマー(MSD)、(3)は重合開始剤、(4)は重合条件(重合温度、昇温時間、重合時間)、(5)は特性値を示した。 実施例2〜実施例16 ビニル単量体組成、製造方法等を表1(実施例2〜実施例8)、表2(実施例9〜実施例16)の通り変える以外は実施例1と同様にしてラジカル重合性オリゴマーRC−2〜RC−16を製造した。RC−2〜RC−16製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、RC−2〜RC−16はトラブルなく製造できた。重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表1、表2に示した。 GPC(東ソー製 「HLC−8220GPC」)、FD−MS(Field Desorption Mass Spectrometry;電界脱離質量分析法)(日本電子製 「JMS 700」)、1HNMR(核磁気共鳴分析)(日本電子製 「JNM−ECA400」)を使用して、ラジカル重合性オリゴマーRC−9の構造解析を行った。 各分析装置の測定条件、結果は次の通りである。 1.GPCによる分析対象物の分取 分取カラム :東ソー製カラム:TSKgel G1000HXLおよびG2000HXL各1本を直列に接続 ガードカラム :東ソー製カラム:TSKguardcolumn HXL−L 1本 調整法 :RC−9 20mgにテトラヒドロフラン(THF)2mLを加えて溶解した。この溶液を100μLずつ20回に分けて分取した。分取画分からTHFをエバポレーターで除去し、分取物を得た。 分取前のクロマトグラムでは保持時間12.625分と15.934分に二つのピークが見られたが、分取後のクロマトグラムでは11.902分に一つのピークが見られた。以下の分析では、GPC分析で保持時間11.902分にピークを有する分取物を使用し行った。 2.FD−MSによる化合物の同定 装置名 :日本電子製「JMS 700」 イオン化法 :FD(+) エミッター :カーボン 加速電圧 :8kV スキャン範囲 :m/z 10〜2000 。 ラジカル重合性オリゴマーRC−9の構造、すなわち、アクリル酸シクロヘキシル/アクリル酸イソボルニル/ビニルベンジルグリシジルエーテル共重合体で、オリゴマー末端が重合開始剤2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の遊離切片と2−フェニル−2−プロペニル基である、をもとに観測が予測されるシグナルと、実際に観測されたシグナルとの比較をm/zが約1000以下の範囲で行った。その結果、多くのシグナルで一致が見られた。FD−MSクロマトグラムから、m/zが227に重合開始剤2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の遊離切片と2−フェニル−2−プロペニル基のシグナルが見られた。シグナル381、435、417、535、589、571、643、689、743、725、761、815、843、851、879、933、951、987でラジカル重合性オリゴマーRC−9の化学構造によるシグナルが観測された。 3.1H NMRによるラジカル反応性オリゴマー末端構造の解析 装置名 :日本電子製「JNM−ECA400」 共鳴周波数 :1H;400MHz 測定モード :1H NMR 溶媒 :重水素化クロロホルム 基準物質 :テトラメチルシラン(TMS);0ppm(内部標準法) 試料調整法 :分取物約3mgに溶媒0.6mLを加えて溶解した。 5.0ppm、5.2ppm近傍のシグナルは2−フェニル−2−プロペニル基の不飽和基に結合している2個の水素原子を示しており、ラジカル重合性オリゴマーRC−9の末端は2−フェニル−2−プロペニル基であることが明らかとなった。 以上の分析、構造解析結果から、ラジカル重合性オリゴマーは、主鎖末端に重合開始剤2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)の遊離切片と、2−フェニル−2−プロペニル基を有していることは明らかである。また、FD−MS分析の結果から、ラジカル重合性オリゴマーが分子中に、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ビニルベンジルグリシジルエーテルの化学構造単位を有していることが示された。 比較例1 攪拌機、窒素ガス吹き込み口、還流冷却器、温度センサーを備えた300ミリリットル四つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みフラスコ内を窒素ガス置換した。フラスコに、アクリル酸シクロヘキシル100g、α−メチルスチレンダイマー18.1g、2,2−アゾビス〔2,4−ジメチルバレロニトリル〕20gを仕込み、30℃から重合温度の85℃まで180分間で昇温した。昇温途中(75℃くらい)で急激な発熱が始まり、温度制御不能となった。 RC−17はα−メチルスチレンダイマーと重合開始剤の使用量バランスがとれていないため暴走反応となって製造することができなかった。 重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表3に示した。なお、表中、(1)はビニル単量体、(2)はα−メチルスチレンダイマー(MSD)、(3)は重合開始剤、(4)は重合条件(重合温度、昇温時間、重合時間)、(5)は特性値を示した。 比較例2 攪拌機、窒素ガス吹き込み口、還流冷却器、温度センサーを備えた300ミリリットル四つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みフラスコ内を窒素ガス置換した。フラスコに、メタクリル酸2−エチルヘキシル100g、α−メチルスチレンダイマー19.0g、2,2−アゾビス〔2,4−ジメチルバレロニトリル〕2.0gを仕込み、30℃から重合温度の85℃まで180分間で昇温した。この後、85℃で12時間重合反応を行いラジカル重合性オリゴマーRC−18を製造した。RC−18製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、RC−18はトラブルなく製造できた。 RC−18は重合率82.3%、数平均分子量(Mn)7200、重量平均分子量(Mw)16600、分子量分布(Mw/Mn)2.31であった。また、RC−18は懸念される未反応モノマー臭や異臭も少なく、無色透明であった。重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表3に示した。 比較例3、比較例4 ビニル単量体組成、製造方法等を表3の通り変える以外は比較例2と同様にしてラジカル重合性オリゴマーRC−19、RC−20を製造した。RC−19、RC−20製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、RC−19、RC−20はトラブルなく製造できた。重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表3に示した。 表1、表2、表3に見られるとおり、RC−1〜RC−16は分子量分布が1.18〜1.60で比較的小さい分子量分布であるのに対し、RC−18〜RC−20は分子量分布が2.20〜2.33と分子量分布が大きくなった。 実施例17 実施例1で製造したラジカル重合性オリゴマーRC−1を使用し、アクリル単量体のラジカル重合を行ってラジカル重合性オリゴマーとしての機能を試験した。 攪拌機、窒素ガス吹き込み口、還流冷却器、温度センサーを備えた300ミリリットル四つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みフラスコ内を窒素ガス置換した。フラスコに、重合開始剤であるRC−1を10g、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート70g、イソボルニルメタクリレート20gを仕込み、30℃から重合温度の80℃まで120分間で昇温した。この後、80℃で1.5時間重合反応を行いアクリル共重合体BP−1を製造した。BP−1製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、BP−1はトラブルなく製造できた。ここで、本製造では、2,2´−アゾビスイソブチロニトリルなどのいわゆる重合開始剤は使用しなかった。 BP−1は、重合率50.8%、数平均分子量(Mn)48900、重量平均分子量(Mw)73839、分子量分布(Mw/Mn)1.51であった。 重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表4に示した。なお、表中、(1)はラジカル重合性オリゴマー、(2)はアクリル単量体、(3)は重合条件(重合温度、昇温時間、重合時間)、(4)は特性値を示した。 BP−1製造中、一定時間毎にサンプリングを行い、製造中の重合挙動(重合率の上昇と数平均分子量の関係)を調査した。結果を図1に示した。図1に見られる通り、BP−1製造中は、重合率の上昇と数平均分子量の増大とは良好な直線性を有しており、BP−1製造における重合反応がリビングラジカル重合で進行していることを示している。このことから、BP−1はブロック共重合体になっている。本製造結果から、ラジカル重合性オリゴマーとして製造したRC−1は、工業的に可能な製造時間で重合率を必要十分に高めることができ、重合開始剤および可逆的付加開裂型連鎖移動剤としての機能をいかんなく発揮した。 実施例18〜実施例32 ラジカル重合性オリゴマー、アクリル単量体組成などを表4(実施例18〜実施例24)、表5(実施例25〜実施例32)の通り変える以外は、実施例17と同様にしてアクリル共重合体BP−2〜BP−16を製造した。BP−2〜BP−16製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、BP−2〜BP−16はトラブルなく製造できた。重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表4(実施例18〜実施例24)、表5(実施例25〜実施例32)に示した(例えば、実施例18は、実施例1で製造したラジカル重合性オリゴマーRC−1を使用したBP−2の製造方法と評価結果を示す)。ここで、実施例18〜実施例32では、2,2´−アゾビスイソブチロニトリルなどのいわゆる重合開始剤は使用しなかった。 BP−3、BP−9製造中、一定時間毎にサンプリングを行い、製造中の重合挙動(重合率の上昇と数平均分子量の関係)を調査した。結果を図1に示した。図1に見られる通り、BP−3、BP−9製造中は、重合率の上昇と数平均分子量の増大とは良好な直線性を有しており、BP−3、BP−9製造における重合反応がリビングラジカル重合で進行していることを示している。このことから、BP−3、BP−9はブロック共重合体になっている。本結果から、ラジカル重合性オリゴマーとして製造したRC−2、RC−9は、工業的に可能な製造時間で重合率を必要十分に高めることができ、重合開始剤および可逆的付加開裂型連鎖移動剤としての機能をいかんなく発揮した。 実施例8で製造したラジカル重合性オリゴマーRC−8を使用し、アクリル単量体のラジカル重合を行ってラジカル重合性オリゴマーとしての機能、重合開始剤としての機能、反応性乳化剤としての機能を試験した。 攪拌機、窒素ガス吹き込み口、還流冷却器、温度センサーを備えた300ミリリットル四つ口フラスコに窒素ガスを吹き込みフラスコ内を窒素ガス置換した。 フラスコに、あらかじめ窒素ガスを吹き込み脱酸素したイオン交換水(初期仕込み)122.2gを仕込み、60℃に昇温した。 ホモジナイザー用ビーカーにあらかじめ窒素ガスを吹き込み脱酸素したイオン交換水(乳化用)42.9g、ラジカル重合性オリゴマーRC−8を20g計量し、RC−8を分散(溶解)した。これに、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート60g、イソボルニルメタクリレート20gを入れ、ホモジナイザーを使用して5000回転、10分間の条件で乳化し、モノマーエマルジョン142.9gを製造した。 フラスコにモノマーエマルジョンの20%(28.6g)を添加し、重合温度の85℃まで60分間で昇温した。昇温後、85℃で1時間、乳化重合を行いシードエマルジョンを製造した。この後、モノマーエマルジョンの残部80%(114.3g)を2時間で滴下し、滴下終了後さらに3時間乳化重合を行い、アクリルエマルジョンBP−17を製造した。BP−17製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、BP−17はトラブルなく製造できた。本実施例では、乳化重合に使用される過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどのいわゆる重合開始剤は使用しなかった。 BP−17は、重合率98.8%、数平均分子量(Mn)92500、重量平均分子量(Mw)135975、分子量分布(Mw/Mn)1.47であった。 重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表6に示した。なお、表中、(1)はラジカル重合性オリゴマー、(2)はアクリル単量体、(3)はイオン交換水、(4)は重合条件(重合温度、昇温時間、重合時間)、(5)は特性値を示した。 実施例34〜実施例36 ラジカル重合性オリゴマー、アクリル単量体組成などを表6の通り変える以外は、実施例33と同様にしてアクリル共重合体BP−18〜BP−20を製造した。BP−18〜BP−20製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、BP−18〜BP−20はトラブルなく製造できた。重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表6に示した。ここで、本実施例では、乳化重合に使用される過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムなどのいわゆる重合開始剤は使用しなかった。 カルビキシル基、水酸基、スルホニウム基が導入されたラジカル重合性オリゴマーRC−8、RC−11、RC−12は、重合開始剤、可逆的付加開裂型連鎖移動剤としての機能ばかりでなく、反応性乳化剤としても必要十分な機能を有していた。 比較例5 ラジカル重合性オリゴマー、アクリル単量体組成などを表7の通り変える以外は、実施例17と同様にしてアクリル共重合体BP−21を製造した。BP−21製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、BP−21はトラブルなく製造できた。重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表7に示した。 BP−21製造中、一定時間毎にサンプリングを行い、製造中の重合挙動(重合率の上昇と数平均分子量の関係)を調査した。結果を図1に示した。図1に見られる通り、BP−21製造中は、重合率の上昇にともない数平均分子量が減少しており、BP−21製造における重合反応が連鎖移動剤および/または重合抑制剤存在下に実施される一般的なラジカル重合で進行していることを示している。言い換えれば、ラジカル重合性オリゴマーとして製造した分子中にビニル単量体を含まないRC−18は、重合抑制剤、連鎖移動剤として作用するのみで、可逆的付加開裂型連鎖移動剤としては機能しない。 比較例6〜比較例8 ラジカル重合性オリゴマー、アクリル単量体組成などを表7の通り変える以外は、実施例17と同様にしてアクリル共重合体BP−22〜BP−24を製造した。BP−22〜BP−24製造中は急激な発熱、温度上昇等なく、BP−22〜BP−24はトラブルなく製造できた。重合処方の詳細、製造条件、特性値等を表7に示した(例えば、比較例6は、比較例2で製造したラジカル重合性オリゴマーRC−18を使用したBP−22の製造方法と評価結果を示す)。 比較例6、比較例7、比較例8で明らかなとおり、BP−22の数平均分子(7300)はラジカル重合性オリゴマーRC−18の数平均分子量(7200)と変わらず、BP−23の数平均分子(8500)はラジカル重合性オリゴマーRC−19の数平均分子量(8100)と変わらず、BP−24の数平均分子(8200)はラジカル重合性オリゴマーRC−20の数平均分子量(7800)と変わらず、分子中にビニル単量体を含まないRC−18、RC−19、RC−20は、重合抑制剤、連鎖移動剤として作用するのみで、可逆的付加開裂型連鎖移動剤としては機能しない。RC−1、RC−2、RC−9、RC−18をラジカル重合性オリゴマーとして使用したときのアクリル単量体の重合挙動である。分子中に下記構造式で示される化学構造(ここで、pは1〜200の整数を表し、Xはニトリル基、フェニル基、または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R1は下記構造式で示される化学構造(ここで、R2は、炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R3は、水素原子、ジシクロペンテニル基、または、炭素原子数1〜18個のアルキル基であり、アルキル基は、フッ素原子で置換されていてもよい。qは、0、または、1〜20の整数を表す。)または、下記構造式で示される化学構造(ここで、R4は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基を表し、R5は水素原子または炭素原子数1〜4個のアルキル基、または、炭素原子数1〜4個のヒドロキシアルキル基を表し、または、塩基性化合物で中和されていてもよい下記構造式で示される化学構造を表わす。)を表し、Yは重合開始剤の遊離基を表し、Zはα−メチルスチレンダイマーの遊離基を表す。)を含むラジカル重合性オリゴマーからなる重合開始剤。Yが有機アゾ系重合開始剤の遊離基であり、Zが下記構造式で示される化学構造の2−フェニル−2−プロペニル基である請求項1に記載の重合開始剤。


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