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タイトル:特許公報(B2)_鋼材の耐スポーリング性評価方法
出願番号:2008302234
年次:2012
IPC分類:G01N 3/32,G01N 17/02,G01N 27/416,G01N 33/20,B21C 51/00,C22C 38/00,C22C 38/44,C22C 38/50


特許情報キャッシュ

衣笠 潤一郎 漆原 亘 JP 5081138 特許公報(B2) 20120907 2008302234 20081127 鋼材の耐スポーリング性評価方法 株式会社神戸製鋼所 000001199 磯野 道造 100064414 多田 悦夫 100111545 富田 哲雄 100123249 衣笠 潤一郎 漆原 亘 20121121 G01N 3/32 20060101AFI20121101BHJP G01N 17/02 20060101ALI20121101BHJP G01N 27/416 20060101ALI20121101BHJP G01N 33/20 20060101ALI20121101BHJP B21C 51/00 20060101ALI20121101BHJP C22C 38/00 20060101ALN20121101BHJP C22C 38/44 20060101ALN20121101BHJP C22C 38/50 20060101ALN20121101BHJP JPG01N3/32 CG01N17/02G01N27/46 311HG01N33/20 GB21C51/00 RC22C38/00 301LC22C38/44C22C38/50 G01N 3/00−3/62 B21C 51/00 G01N 17/02 G01N 27/416 G01N 33/20 C22C 38/00 C22C 38/44 C22C 38/50 特開2004−263236(JP,A) 特開2004−309197(JP,A) 特開2006−234421(JP,A) 特開2006−206956(JP,A) 特開平09−166539(JP,A) 特開平06−017196(JP,A) 特開昭61−025047(JP,A) 5 2010127749 20100610 15 20110204 ▲高▼見 重雄 本発明は、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延に使用されるワークロールに用いる鋼材(亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延用ワークロール用鋼)の耐スポーリング性評価方法に関するものである。 連続式溶融亜鉛めっき製造ライン(CGL)では、めっき鋼板の機械的性質を改善するため、めっき後に軽圧下のスキンパス圧延が行われる。また、電気めっきライン(EGL)の出側では、めっき鋼板の平坦度や表面性状調整のために、スキンパス圧延が行われることもある。ところで、亜鉛、亜鉛−アルミ合金、亜鉛−ニッケル合金、亜鉛−鉄合金等の亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延用ワークロール(以下、適宜、「ワークロール」という)は、スキンパス圧延時に、亜鉛系めっき鋼板から生じる亜鉛系粉末の付着防止のため、ワークロール表面に潤滑用の水を噴射することにより、亜鉛系粉末の付着防止、および亜鉛系粉末の除去を行っている。 一般に、スキンパス圧延は、おおよそ700トン以下の圧延荷重により、軽圧下(圧延率0.5〜2%)を鋼板に付与するものである。また、ワークロールは、溶製−加熱−鍛造−焼鈍−外径旋削−焼入−仕上げ旋削および研磨という工程で製造され、ユーザー側でダル加工が施される鍛鋼製焼入ロールが使用されており、おおよそ106回を使用限界として組み替えが行われている。そして、使用後のワークロールは、表面研削およびダル加工を施された後に再利用される。 このような製造条件および潤滑用水にさらされた条件で使用されるワークロール表面には、微細なふくれキズや、このふくれキズの表面が剥離した微細なピットキズや、さらには、これらを起点とした疲労亀裂が発生しやすい。そして、これらが内部へと進展して、最終的には、ワークロールに、スポーリングという脆性破壊現象が発生することが知られている。また、スキンパス時に亜鉛系めっき粉が水潤滑環境下でワークロールと接触することで異種金属接触を起こし、これによりワークロールに腐食が生じ(カソード:2H++2e−→ H+H、アノード反応:Zn → Zn2++2e−)、この腐食によって発生した水素がロール内部に侵入することが知られている。 すなわち、実機使用中にワークロール表面に発生する膨れキズや、スキンパス時にワークロールに負荷される接触/せん断応力により、異種金属接触により発生した水素が微細割れ先端部に集積する。ここで、ワークロール表面は、焼入処理により非常に高硬度のマルテンサイト組織(Hv800以上)となっているため、微細割れ先端部に生じる引張応力と集積した水素によって水素脆化が生じると考えられる。そして、これらの要因が重なり合うことにより、スポーリングが加速されることが知られている。 以上のことから、これまで、製法(焼戻し温度の調整やサブゼロ処理により、ワークロール中の残留オーステナイトを低減させ、耐転動疲労性を向上させる)、表面硬度(硬すぎると耐水素脆化特性が劣化する)、および成分組成(ワークロール中に水素トラップサイトとなりうる炭窒化物析出物を生成させる)の観点から、耐スポーリング性に優れるワークロール用鋼が開発されており、より耐スポーリング性の高いワークロール用鋼およびワークロールが製造されている。そして、前記のように、製法、表面硬度、および成分組成の観点から改善のなされたワークロール用鋼について、そのワークロール用鋼からなる鋼材の耐スポーリング性を簡便、かつ迅速、高感度に評価する方法が求められている。 そこで、これまでのワークロール用鋼の耐スポーリング性の評価方法として、例えば特許文献1に記載の方法では、ワークロール材料の耐スポーリング性(耐水素脆性)を評価するため、外径8mm、長さ100mm、首下切欠底外径6mmおよび首下切欠先端半径1mmの寸法を有する試験片を水中にて亜鉛板と接触させることにより鋼中に水素を導入し、5ton/minの荷重速度で破断させ、大気中および水中で亜鉛板と接触させた場合の切欠底公称破断強さとの比較によりワークロール用鋼の耐水素脆性を評価している。 また、特許文献2に記載の方法では、長さ150mm、標線間距離10mm、つかみ具部の断面直径8mm、中央の薄肉部の断面直径4mmのダンベル状試験片において、中央の薄肉部以外に亜鉛めっきを施し、水中に14日間浸漬した後、SSRT試験を実施し、耐スポーリング性を評価している。特開平6−17196号公報特開2004−263236号公報 しかしながら、従来のワークロール用鋼の耐スポーリング性評価方法では、以下に示す問題がある。 特許文献1に記載の方法では、鋼中に水素を導入するのに長時間(少なくとも数日〜1週間程度は必要)を要し、迅速な評価を行うことができないという問題がある。また、荷重速度が速すぎる(実施例では数分で破断していると推定される)ため、ワークロール用鋼中で生じている、応力による水素拡散や集積が全く考慮されていない。さらに、試験片への応力付与方法は単純引張であり、ロールの回転によるワークロールと亜鉛系めっき鋼板との接触によって生じる転動疲労、微小な亀裂発生、亀裂進展の影響を全く考慮出来ていない。 特許文献2に記載の方法では、事前の水素導入に14日間を要するため、迅速な評価を行うことができないという問題がある。また、試験片への応力付与方法は単純引張であり、微小な亀裂発生から割れが生じる現象については再現できるが、この方法の場合は、引張応力が常に付加されるため、亀裂発生後、すぐに破断してしまうことが考えられる。そのため、ロールの回転によるワークロールと亜鉛系めっき鋼板との接触によって生じる転動疲労、微小な亀裂発生、亀裂進展の影響を考慮出来ていない。 以上のように、耐スポーリング性を、迅速、かつ簡便に評価する方法に関し、従来の技術では、鋼中への水素導入を迅速、かつ簡便に行う技術や、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時に生じる転動疲労、それに付随してワークロール表面に生じる微細キズや膨れ、亀裂発生、および応力による水素拡散や集積を考慮した技術は見あたらない。 本発明は、前記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋼中への水素導入を迅速、かつ簡便に行うことで、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロールに用いる鋼材についての耐スポーリング性を、迅速、かつ簡便に評価する方法を提供することにある。さらに、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時に生じる動疲労、微小な亀裂発生、亀裂進展の影響や、応力による水素拡散や集積を考慮した耐スポーリング性の評価方法を提供することにある。 本願発明者らは、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール用鋼についての耐スポーリング性を、迅速、かつ簡便に評価する方法について鋭意研究を行った。特許文献1、および特許文献2に記載のように、従来技術では、ワークロール用鋼の耐スポーリング性(従来技術で評価しているのは正確には耐水素脆性)評価のため、鋼中に水素を導入する方法として、水中にて、評価鋼と亜鉛との異材接触腐食(アノード反応:Zn → Zn2+ + 2e−、カソード反応:2H+ + 2e− → H2)によって発生する水素を導入する方法が採られている。しかし、鋼(鋼材)と亜鉛との接触による鋼中への水素導入は非常に長時間を要し、その後、鋼材の耐スポーリング性の評価を行うため、試験開始までに非常に時間を要し、その後、改めて試験時間が必要になるという課題があった。そこで本発明では、鋼材と亜鉛とが接触した際の電気化学反応に着目し、電源装置を用いて、鋼材に対して、亜鉛の自然電位相当の電位を強制的に印加することにより、鋼材と亜鉛との電気化学反応を模擬することができ、迅速、かつ簡便に、水素を鋼中に導入できることを見出した。そして、水素が導入された鋼材に負荷を与えて亀裂を発生させることで、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール用鋼についての耐スポーリング性を、迅速、かつ簡便に評価できることを見出した。 すなわち、本発明に係る鋼材の耐スポーリング性評価方法は、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロールに用いる鋼材の耐スポーリング性評価方法であって、電解質を含む溶液中で、鋼材に、飽和カロメル電極(SCE)基準で−1000〜−1300mVの電位を印加すると共に、前記鋼材に部材を接触させて、前記鋼材を相対運動させることで、前記鋼材に負荷を与えて前記鋼材に亀裂を発生させ、当該亀裂が発生するまでの時間を測定することで、前記鋼材の耐スポーリング性を評価することを特徴とする。 このような評価方法によれば、電解質を含む溶液中で、試験片である鋼材に所定の電位を印加することで、ワークロールと亜鉛が潤滑用水中で接触した場合の環境を、迅速、かつ忠実に模擬することができ、迅速、かつ簡便に、水素が鋼中に導入(吸蔵)される。そして、この水素が導入された鋼材に負荷を与えて亀裂を発生させ、鋼材に亀裂が発生するまでの時間を測定することで、迅速、かつ簡便に亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール用鋼の耐スポーリング性が評価される。 また、鋼材に部材を接触させて、鋼材を相対運動させることで、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時における、ワークロール本体表面の任意の点と、亜鉛系めっき鋼板との接触頻度を模擬することができ、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時に生じる転動疲労、および転動疲労に起因する微小な亀裂発生、ならびに、亀裂の進展、さらには応力による水素拡散や集積を模擬することができる。 また、本発明に係る鋼材の耐スポーリング性評価方法は、前記鋼材に前記電位をT秒以上印加した後、さらに前記電位を印加しながら前記鋼材に負荷を与えるものであり、前記Tが、T=C2/D(ただし、C:鋼材の試験部の厚さの1/2(cm)、D:鋼材の水素拡散係数(cm2/s))を満たすことを特徴とする。 このような評価方法によれば、鋼材に負荷を与える前に、あらかじめ、所定時間、所定の電位を鋼材に印加することで、負荷を与え始める時点において、鋼材中の水素濃度が均一化される。これに加え、さらに前記電位を印加しながら前記鋼材に負荷を与えることで、さらに迅速な評価が可能となる。 また、本発明に係る鋼材の耐スポーリング性評価方法は、前記鋼材に周波数10−2〜101Hzの振動を与えて、前記鋼材を相対運動させることを特徴とする。 このような評価方法によれば、所定の周波数の振動を鋼材に与えることで、容易に相対運動をさせることができ、また、ロールの回転によるワークロールと亜鉛系めっき鋼板との接触によって生じる転動疲労、微小な亀裂発生、亀裂進展の現象が促進され、鋼材における亀裂の発生がより迅速となる。 また、本発明に係る鋼材の耐スポーリング性評価方法は、前記部材を、980MPa以上の圧力で、前記鋼材に接触させることを特徴とする。 このような評価方法によれば、所定の圧力で鋼材に負荷を与えることで、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時にワークロールへ生じる圧力の影響が、より正確に再現される。 また、本発明に係る鋼材の耐スポーリング性評価方法は、前記部材は、先端に複数の角形状部を有し、前記鋼材に前記角形状部を接触させることを特徴とする。 このような評価方法によれば、複数の角形状部の辺の部分により、鋼材と角形状部の辺の部分が接触する部位(接触部)への歪みの集中が繰り返され、鋼材における亀裂の発生がより迅速となる。 本発明によれば、鋼中への水素導入を迅速、かつ簡便に行うことで、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時におけるワークロールのスポーリング発生機構を容易に模擬することができ、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール用鋼についての耐スポーリング性を、迅速、かつ簡便に評価することができる。 さらに、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時に生じる動疲労、微小な亀裂発生、亀裂進展の影響や、応力による水素拡散や集積を考慮して、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール用鋼についての耐スポーリング性を評価することができる。 次に、本発明に係る鋼材の耐スポーリング性評価方法ついて詳細に説明する。 鋼材の耐スポーリング性評価方法(以下、適宜、「耐スポーリング性評価方法」という)は、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロールに用いる鋼材の耐スポーリング性評価方法であって、電解質を含む溶液中で、鋼材(以下、適宜、「試験片」という)に所定の電位を印加すると共に、前記鋼材に負荷を与えて前記鋼材に亀裂を発生させ、当該亀裂が発生するまでの時間を測定するものである。 電解質を含む溶液としては、試験溶液が中性に近く(pH6〜8程度)、導電性があるものであればよい。例えば、NaCl水溶液や、MgCl2水溶液等が挙げられるが、試験溶液の導電性を上げ、かつ中性環境を示し、さらに簡便に使用できる点から、0.01〜10%程度のNaCl水溶液を用いるのが好ましい。例えば、3%NaCl水溶液を用いることができる。 鋼材(試験片)に印加する電位は、飽和カロメル電極(SCE)基準で−1000〜−1300mVとする。 亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時に生じるワークロールへの水素侵入は、鋼板(ワークロール本体)と亜鉛系めっき粉とが、ワークロール表面および亜鉛系めっき鋼板の表面を覆っている潤滑水中で接触することによって、異種金属接触腐食が生じることに由来する。そのため、試験片への水素導入は、潤滑水中での亜鉛の自然電位を考慮した、−500〜−900mV程度(水素標準電極基準Standard Hydrogen Electrode;SHE)の電位を印加すれば良い。 なお、この範囲の電位は、SHEを基準とした電位であるが、印加する電位は、使用する参照電極の電位範囲に換算すればよい。参照電極としては、取り扱いの容易さから、飽和カロメル電極(Saturated Calomel Electrode;SCE,約+241mV)、銀−塩化銀電極(silver-silver chloride electrode;約+199mV)、硫酸水銀参照電極(mercury-mercurous salfate electrode;約+615mV)等を適宜用いればよい。また、各種参照電極の参考電位(V vs. NHE)については、「藤嶋昭、相澤益男、井上徹 電気化学測定法(1984) 技報堂出版」を参考とした。 ここで、印加する電位は、飽和カロメル電極(SCE)基準に換算し、−1000〜−1300mVとする。電位が−1000mV未満では、十分に試験片へ水素を導入することができず、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時に生じるワークロールへの水素侵入を模擬することができない。一方、−1300mVを超えると、試験片表面で多量の水素が発生し、試験片中に過剰、かつ急激に水素が進入し、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時に生じるワークロールへの水素侵入を模擬することができず、また、正確な評価ができない。 電位については、試験前に電位を印加してもよく、電位を印加しながら試験片に対して負荷を与えても良いが、より迅速に試験を行う観点から、電位を印加しながら試験片に対して負荷を与えるのが好ましい。また、試験片中での水素濃度の不均一さを無くすと共に、迅速に試験を行うため、試験前に、試験片(鋼材)前処理として前記範囲の電位を一定時間(T秒)以上印加した後、さらに電位を印加しながら鋼材に負荷を与えるのが好ましい。なお、試験前に電位を印加する時間については、試験片試験部における鋼中水素が均一化できる時間以上とすればよい。一般的に、鋼中の水素移動速度は水素拡散係数D(cm2/s)に依存することが知られており、試験片試験部中を十分に水素が拡散できる時間以上、一定電位を付与すればよい。なお、ここでの試験片試験部とは、試験片に部材(角形状部)を接触させて亀裂を発生させ、耐スポーリング性を評価する部位をいう。 具体的には、試験片試験部(鋼材の試験部)の厚さ、および、試験片(鋼材)の水素拡散係数を考慮し、試験片試験部の厚さの1/2をC(cm)、水素拡散係数をD(cm2/s)としたときに、「T=C2/D(sec)」以上の時間、一定電位を印加すればよい。なお、この式は、鋼材中における水素拡散係数:D(cm2/s)、試験片試験部の厚さの1/2:C(cm)から、鋼材中の水素拡散に必要な時間:T秒を見積もったものである。具体的な時間については試験片の厚みにもよるが、一般的に、マルテンサイト鋼の水素拡散係数Dは、1.0×10−5〜10−6程度であるため、板厚0.2cmの場合は、0.28〜2.8hr程度以上、板厚0.4cmの場合は、1.1〜11hr程度以上とすれば、試験材中の水素濃度を均一にすることができる。 試験片に負荷を与える方法としては、鋼材(試験片)に部材(以下、適宜、「相手材」という)を接触させて、試験片を相対運動させるのが好ましい。この方法により、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時における、ワークロール本体表面の任意の点と、亜鉛系めっき鋼板との接触頻度を模擬することができ、転動疲労、微少な亀裂発生、亀裂進展や、応力による水素拡散・集積を模擬することができる。 試験片へ接触させる部材(相手材)は、試験片に対し±20%以内のビッカース硬度の材料とするのが好ましい。試験片と大きく硬度が異なるものを相手材にした場合は、試験片試験部に、試験片と相手材の接触に起因する亀裂が発生しにくく、試験片、または相手材の損耗のみが生じてしまう場合があり、耐スポーリング性の評価を行えない場合がある。 相対運動は、この鋼材(試験片)に、周波数10−2〜101Hzの振動を与えることにより行うのが好ましい。試験片に所定の周波数の振動を与えることで、容易に相対運動をさせることができる。 そして、周波数を10−2Hz以上とすることで、より迅速に試験片に亀裂を発生させることができ、耐スポーリング性をより迅速に評価することができる。一方、101Hz以下とすることで、鋼中の粗大介在物を起点として、短時間で試験片が破断してしまうのを防ぐことができ、より正確な評価を行うことができる。 付与する周波数は、前記範囲内にて適宜選択すればよいが、早期試験の観点から、10−1Hz以上とするのが好ましい(より好ましくは5×10−1Hz以上)。なお、試験片に対して周波数を付与するには、一般の疲労試験機を用いれば良い。また、この周波数による振動の付与は、試験片に相手材を接触させてから行ってもよく、接触させる前に、あらかじめ振動を与えておいてもよい。 部材(相手材)は、980MPa以上の圧力で鋼材(試験片)に接触させるのが好ましい。 相手材を試験片試験部に対して、980MPa以上の接触力で押しつけることにより、亜鉛系めっき鋼板におけるスキンパス圧延にワークロールへ生じる圧力による影響を、より正確に再現することができる。接触力が980MPa未満の場合でも、試験片と相手材とが接触しながら相対運動を行うことにより、転動疲労、微小な亀裂発生、亀裂進展が生じるが、条件によってはこれらが発生しにくい場合もあるため、接触力は980MPa以上とするのが好ましい。なお、ロールの回転によるワークロールと亜鉛系めっき鋼板との接触によって生じる転動疲労、微小な亀裂発生、亀裂進展の現象をより促進させるため、好ましくは、1030MPa以上、より好ましくは、1080MPa以上とする。なお、圧力による影響のより正確な再現を考慮し、上限は1500MPa程度とするのが好ましい。 部材(相手材)は、先端に複数の角形状部を有する形状とし、鋼材(試験片)に角形状部を接触させるのが好ましい。なお、ここでの角形状部とは、相手材の先端に設けられた四角柱状の部位をいう。また、相手材本体は、四角柱状(棒状)であればよい。 ここで、図1(a)〜(c)を参照して、相手材の先端の形状と、試験片と相手材との接触状態について説明する。なお、図1において、相手材の先端に、図1(a)では、丸形状部、(b)では、1つの角形状部、(c)では、複数(ここでは2つ)の角形状部を有するものとしている。 図1(a)に示すように、相手材2の先端に丸形状部3を有する場合(相手材2の先端が丸形状である場合)、試験片1と相手材2とは1点でしか接触できず、後記するように、試験片1が相対運動する際に、試験片試験部における応力集中が不十分なために、試験片1に亀裂を生じさせにくく、効率的に試験を行いにくい。また、図1(b)に示すように、相手材2の先端に1つの角形状部を有する場合、試験片1と相手材2とは2点(すなわち、角形状部4の試験片1との接触面における2つの辺の部分)でしか試験片1に負荷を与えることがでないため、試験片1に亀裂を生じさせにくく、やはり、効率的に試験を行いにくい。しかし、図1(c)に示すように、相手材2の先端を複数の角形状部4を有する形状とすることにより、試験片1が相対運動する際に、試験片試験部に、複数の角形状部4の辺の部分が複数回負荷を与え、試験片1での亀裂発生を容易に(より迅速に)生じさせることができる。なお、複数の角形状部4は、相手材2の先端に2つ以上設ければよい。また、相手材2は、相対運動する際に、試験片試験部に、複数の角形状部4の辺の部分が複数回負荷を与えることができれば、角形状部4をどのような向きに試験片試験部に接触させてもよい。 次に、図2を参照して、試験片に振動を与えた際の角形状部による試験片への負荷について説明する。図2に示すように、試験片1に所定の周波数の振動を付与すると、まず、試験片1が、長手方向に向けて前に微動(移動)し、後側(図視した状態で左側)の角形状部4の後側の辺の部分における接触部に歪みが集中し、この辺の部分が試験片1(試験片試験部)に負荷を与える。次に、試験片1が、長手方向に向けて後ろに微動(移動)し、前側(図視した状態で右側)の角形状部4の前側の辺の部分における接触部に歪みが集中し、この辺の部分が試験片1(試験片試験部)に負荷を与える。なお、図示しないが、角形状部4のその他の2辺(試験片1の長手方向に直交する2辺)についても、試験片1が前後に移動(摺動)する際に、この部分における接触部に歪みが集中し、この辺の部分が試験片試験部に負荷を与える。 このように、試験片1の振動により、試験片1が相対運動し、前記のような長手方向前後への動作が繰り返される。これにより、複数の角形状部4、すなわち、複数の角形状部4の辺の部分が、それぞれ接触部に歪みを集中させることを繰り返し、この辺の部分が試験片試験部に複数回負荷を与える。このようにして、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時における、ワークロール本体表面の任意の点と、亜鉛系めっき鋼板との接触頻度を模擬することができる。そして、試験片1と相手材2との接触部において、転動疲労、微少な亀裂発生、亀裂進展の現象が加速されるため、より迅速な評価を行うことができる。 このようにして、試験片(鋼材)に亀裂を発生させ、当該亀裂が発生するまでの時間を測定することで、前記鋼材の耐スポーリング性、すなわち、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロール用鋼についての耐スポーリング性を評価することができる。 具体的には、例えば、数種の鋼材について、前記した耐スポーリング性評価方法を同条件にて適用して亀裂が発生するまでの時間を測定し、この時間が長いほうが、耐スポーリング性に優れるものと判断することができる。 なお、ここでの「亀裂」とは、例えば、鋼材に水素が侵入することで、スポーリングが起きる際の亀裂と同等な亀裂であればよく、この亀裂の発生は、例えば、目視により確認すればよい。 以上、本発明の最良の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない範囲で変更することができる。 例えば、耐スポーリング性評価方法の対象となる鋼材として、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延用ワークロール用鋼の他、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、他の鋼材に適用してもよい。 次に、本発明に係る耐スポーリング性評価方法について、実施例を挙げて具体的に説明する。 耐スポーリング性の優劣がわかっている表1に示す2つの化学成分組成の鋼材50kgを真空溶解炉にて溶製し、鋳造してインゴットを作製した後、冷却した。このインゴットを熱間鍛造して、直径:12mmの丸棒を作製し、この丸棒を930℃で2時間加熱してオーステナイト化した後、空冷した。得られた丸棒に対して、表面硬度を90(HS)(ビッカース硬度の換算値で、820(Hv)程度)前後に調整するために、110〜150℃で2時間焼戻して試験片とした。なお、表1において、化学成分組成の残部は、Feおよび不可避的不純物であり、成分を含有していないものについては「−」で示す。 図3に、試験片をセットした状態の試験装置の概略を示す。 図3に示すように、試験片11はダンベル状を呈しており、長さ:150mm、試験片11の中心部の薄肉部分(試験片試験部11a)の長さ:30mmであり、この中心部の薄肉部分は相手材12,12との接触を効果的に行うため、側面を削って、厚さ4mmの平行形状としている。試験片11の両端のつかみ部分11b,11bは、両端が直径8mmの円形状であり、つかみ部分11b,11bには、長さ約15mmのねじ部11c,11cが形成されており、ねじ部11c,11cを介して試験片11と試験装置10とを接続している(図中、当該接続部分については記載を省略している)。 そして、上蓋13aに、試験片通孔14a、参照電極通孔14b、対極通孔14c等のユーティリティ孔を、下蓋13bに、試験片通孔14dを、胴体部13cに、相手材12,12を通す一対の相手材通孔14e,14eを有するアクリル製の試験セル13中に試験片11を取り付け、以下の試験を行った。 試験片試験部11aの平行面の双方から、相手材通孔14e,14eを通して、相手材12,12を、試験片試験部11aに所定の接触力で接触させた。また、電解質を含む溶液として、3%NaCl水溶液を調整し、試験セル13中充填した。また、電解質を含む溶液中で試験片11に印加する電位を調整する装置として、ポテンショスタット/ガルバノスタット(北斗電工製HA−151)を用い、参照電極15として飽和カロメル電極(SCE)を、対極16として白金電極を用いた。なお、以降の実験例で示す電位は、全て飽和カロメル電極を基準とした値であり、その水素標準電極比は、−241mVの表示となる。なお、相手材12,12は、ビッカース硬度750(Hv)のものを使用し、実験No.21、22を除き、2つの角形状部を有するものとした。また、実験No.2については、実験例1に示す方法、No.10、11については、実験例4に示す方法により試験を行った。そして、各実験例は、最長1週間(168時間)までの評価とした。なお、亀裂発生時間は、およその値である。[実験例1] 実験例1では、試験片に電位を付与した場合の影響について調べた。 実験No.1では、試験片に対して、3%NaCl水溶液中で−1200mV(vs.SCE)の電位を印加しながら、相手材を1180MPaで接触させ、試験片に周波数1×100Hzの振幅を与えて亀裂が生じるまでの試験時間(亀裂発生時間)を測定した。一方、実験No.2では、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時のワークロール表面状態を模擬するため、試験片の試験部以外に亜鉛めっきを施したものを、イオン交換水中に浸漬しながら、相手材を1180MPaで接触させ、試験片に周波数1×100Hzの振幅を与えて亀裂が生じるまでの試験時間を測定した。これらの結果を表2に示す。 表2に示すように、実験No.1の電位を印加する方法では、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができるため、試験開始から、A鋼では136時間、B鋼では16時間で亀裂が発生し、鋼材の耐スポーリング性を迅速に評価できている。一方、実験No.2の亜鉛めっきを施したものをイオン交換水中に浸漬する方法では、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができないため、試験開始から1週間が経過した時点でも亀裂が発生しなかった。そのため、鋼中への水素導入を迅速、かつ簡便に行うことによる、耐スポーリング性についての迅速、かつ簡便な評価をすることができなかった。なお、この方法では、試験片中に水素を導入するのに長期間を要するため、試験を継続しても、水素侵入に伴うスポーリングが起きる際の亀裂は、長期間発生しないといえる。[実験例2] 実験例2では、試験前に電位を印加した場合(プレチャージ)の影響について調べた。 試験片に対して、3%NaCl水溶液中で−1200mV(vs.SCE)の電位を、実験No.3では、試験前に24時間印加した後、該電位を印加しながら、相手材を1350MPaで接触させ、試験片に8×10−1Hzの振幅を与えて亀裂が生じるまでの試験時間を測定した。一方、実験No.4では、試験前には電位を与えず、試験開始直後から該電位を印加しながら、相手材を1350MPaで接触させ、試験片に8×10−1Hzの振幅を与えて亀裂が生じるまでの試験時間を測定した。これらの結果を表3に示す。表3に示すように、実験No.3の試験前に電位を印加する方法では、実験No.4の試験前に電位を印加しない方法に比べて、試験時間が短時間化した。このことから、より迅速な評価が可能であることがわかる。[実験例3] 実験例3では、電位範囲の影響について調べた。 試験片に対して、3%NaCl水溶液中で表4に示す電位を印加しながら、相手材を1250MPaで接触させ、試験片に周波数2×100Hzの振幅を与えて亀裂が生じるまでの試験時間を測定した。これらの結果を表4に示す。 表4に示すように、実験No.5は、印加する電位が本発明の範囲の下限値未満のため、水素発生がほとんど生じず、亜鉛系めっき鋼板のスキンパス圧延時に生じるワークロールへの水素侵入を模擬することができなかった。そのため、1週間にわたり試験を実施しても、亀裂は発生しなかった。実験No.6、7は、印加する電位が本発明の範囲を満たしているため、実験No.6は、A鋼では60時間、B鋼では8時間、実験No.7は、A鋼では51時間、B鋼では8時間で亀裂が発生し、耐スポーリング性を迅速に評価できていることがわかる。実験No.8は、印加する電位が本発明の範囲の上限値を超えているため、鋼材表面で多量の水素が発生した結果、鋼中に過剰にかつ急激に水素が侵入した。そのため、A鋼、B鋼ともに、0.5時間で亀裂が発生し、鋼材の耐スポーリング性の正確な評価ができなかった。このことから、印加する電位を本発明の範囲とすることで、的確に、また迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができ、耐スポーリング性を迅速に評価できることがわかる。[実験例4] 実験例4では、応力付与方法による影響について調べた。 試験片に対して、3%NaCl水溶液中で−1200mV(vs.SCE)の電位を印加しながら、試験片に振動、引張、または曲げにて、試験片にそれぞれ、表5に示す条件で応力を付与し、亀裂が生じるまでの試験時間を測定した。これらの結果を表5に示す。 表5に示すように、実験No.9の振動による応力付与方法では、A鋼では123時間、B鋼では14時間で亀裂が発生し、耐スポーリング性を迅速に評価できていることがわかる。一方、実験No.10の引張による応力付与方法では、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができたものの、A鋼、B鋼のいずれも試験開始から短時間で破断してしまい、鋼材の耐スポーリング性の正確な評価を行いにくかった。実験No.11の曲げによる応力付与方法では、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができたものの、試験開始から1週間が経過した時点でも亀裂が発生せず、実験No.9に比べて、耐スポーリング性の評価に時間がかかることがわかる。[実験例5] 実験例5では、周波数の影響について調べた。 試験片に対して、3%NaCl水溶液中で−1250mV(vs.SCE)の電位を印加しながら、相手材を1400MPaで接触させ、試験片に表6に示す周波数の振幅を与えて亀裂が生じるまでの試験時間を測定した。これらの結果を表6に示す。 表6に示すように、実験No.12は、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができたものの、付与する周波数が好ましい範囲より低いため、試験開始から1週間が経過した時点でも亀裂が発生せず、実験No.13、14に比べて、耐スポーリング性の評価に時間がかかることがわかる。実験No.13、14は、付与する周波数が好ましい範囲であるため、実験No.13は、A鋼では148時間、B鋼では10時間、実験No.14は、A鋼では10時間、B鋼では1時間で亀裂が発生し、耐スポーリング性を迅速に評価できていることがわかる。実験No.15は、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができたものの、付与する周波数が好ましい範囲より高いため、A鋼、B鋼のいずれも、鋼中の粗大介在物を起点として、試験開始から短時間で破断してしまい、鋼材の耐スポーリング性の正確な評価を行いにくかった。[実験例6] 実験例6では、接触力の影響について調べた。 試験片に対して、3%NaCl水溶液中で−1200mV(vs.SCE)の電位を印加しながら、相手材を表7に示す接触力で接触させ、試験片に3×100Hzの周波数の振幅を与えて亀裂が生じるまでの試験時間を測定した。これらの結果を表7に示す。 表7に示すように、実験No.16は、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができたものの、接触力が好ましい範囲より低いため、試験開始から1週間が経過した時点でも亀裂は発生せず、実験No.17、18に比べて、耐スポーリング性の評価に時間がかかることがわかる。実験No.17、18は、接触力が好ましい範囲であるため、実験No.17は、A鋼では41時間、B鋼では4時間、実験No.18は、A鋼では34時間、B鋼では4時間で亀裂が発生し、耐スポーリング性を迅速に評価できていることがわかる。[実験例7] 実験例7では、相手材の先端形状の影響について調べた。 相手材の先端を図1に示すような3形状(先端が丸形状部、先端が1つの角形状部、先端が2つの角形状部)とした。試験片にして、3%NaCl水溶液中で−1200mV(vs.SCE)の電位を印加しながら、相手材を1180MPaで接触させ、試験片に周波数1×100Hzの振幅を与えて亀裂が生じるまでの試験時間を測定した。これらの結果を表8に示す。 表8に示すように、実験No.19(実験No.1と同じ条件である)は、相手材の先端が2つの角形状部を有しているため、A鋼では136時間、B鋼では16時間で亀裂が発生し、耐スポーリング性を迅速に評価できていることがわかる。一方、実験No.20は、相手材の先端が丸形状部、実験No.21は、1つの角形状部のため、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができたものの、試験開始から1週間が経過した時点でも亀裂が発生せず、実験No.19に比べて、耐スポーリング性の評価に時間がかかることがわかる。 以上の結果から、本発明によれば、迅速、かつ簡便に、試験片中に水素を導入することができ、亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロールに用いる鋼材についての耐スポーリング性を、迅速、かつ簡便に評価することができるといえる。 さらに、部材を用いたり、その相対運動の条件や接触条件を調整したり、部材の形状を規定したりすることで、耐スポーリング性を、より迅速、かつ正確に評価することができるといえる。 以上、本発明に係る耐スポーリング性評価方法について最良の実施の形態および実施例を示して詳細に説明したが、本発明の趣旨は前記した内容に限定されることなく、その権利範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて広く解釈しなければならない。なお、本発明の内容は、前記した記載に基づいて広く改変・変更等することができることはいうまでもない。(a)〜(c)は、相手材の先端の形状と、試験片と相手材との接触状態を示す模式図であり、(a)は、丸形状部を有する模式図、(b)は、1つの角形状部を有する模式図、(c)は、複数(ここでは2つ)の角形状部を有する模式図である。試験片に振動を与えた際の角形状部による試験片への負荷について説明するための模式図である。本発明の実施例に使用する、試験片をセットした状態の試験装置の概略を示す模式図である。符号の説明 1、11 試験片(鋼材) 2、12 相手材(部材) 3 丸形状部 4 角形状部 亜鉛系めっき鋼板スキンパス圧延用ワークロールに用いる鋼材の耐スポーリング性評価方法であって、 電解質を含む溶液中で、鋼材に、飽和カロメル電極(SCE)基準で−1000〜−1300mVの電位を印加すると共に、前記鋼材に部材を接触させて、前記鋼材を相対運動させることで、前記鋼材に負荷を与えて前記鋼材に亀裂を発生させ、当該亀裂が発生するまでの時間を測定することで、前記鋼材の耐スポーリング性を評価することを特徴とする鋼材の耐スポーリング性評価方法。 前記鋼材に前記電位をT秒以上印加した後、さらに前記電位を印加しながら前記鋼材に負荷を与えるものであり、 前記Tが、T=C2/D(ただし、C:鋼材の試験部の厚さの1/2(cm)、D:鋼材の水素拡散係数(cm2/s)) を満たすことを特徴とする請求項1に記載の鋼材の耐スポーリング性評価方法。 前記鋼材に周波数10−2〜101Hzの振動を与えて、前記鋼材を相対運動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の鋼材の耐スポーリング性評価方法。 前記部材を、980MPa以上の圧力で、前記鋼材に接触させることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の鋼材の耐スポーリング性評価方法。 前記部材は、先端に複数の角形状部を有し、前記鋼材に前記角形状部を接触させることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項に記載の鋼材の耐スポーリング性評価方法。


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