タイトル: | 公開特許公報(A)_交絡を有する合成繊維糸条の交絡度の測定方法及びその測定装置 |
出願番号: | 2008288390 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | G01N 21/952,G01N 21/84 |
竹部 行雄 JP 2010117138 公開特許公報(A) 20100527 2008288390 20081111 交絡を有する合成繊維糸条の交絡度の測定方法及びその測定装置 三菱レイヨン株式会社 000006035 田村 敏文 100132724 黒住 裕 100153752 竹部 行雄 G01N 21/952 20060101AFI20100430BHJP G01N 21/84 20060101ALI20100430BHJP JPG01N21/952G01N21/84 D 6 1 OL 7 2G051 2G051AA44 2G051AB20 2G051AC11 2G051BB01 2G051CA11 本発明は、インターレース加工等の流体噴射処理により合成繊維糸条に付与された交絡度の測定に関するものである。 一般に、代表的な流体噴射処理であるインターレース加工は、合成繊維糸条を構成する各々のフィラメントがばらけて分離するのを防止するために、空気或いは水等の噴射により糸条を構成するフィラメント同士に交絡を付与し、集束性を与えて、後工程の通過性を向上させるものである。この交絡度の程度は、編物或いは織物の品位に関わるため、交絡糸条の交絡度の程度を一定の規格範囲内に管理することが重要であり、随時その交絡度の測定が行われる。 交絡の付与された合成繊維糸条(以下、単に交絡糸条という)の交絡度の測定方法としては、従来、ピンカウント法、光学法或いは目視法と呼ばれる方法が採用されている。ピンカウント法は、交絡糸条に所定の張力を作用させた状態で、交絡糸条を所定の経路で走行させ、走行する交絡糸条に対してピンをソレノイド等のアクチュエータにより駆動して挿入し、交絡糸条に作用する張力の変化を張力センサにより検出する方法であって、検出される張力値を所定の基準値と比較し、基準値を超えた箇所を交絡部として判定して検出し、一定長さ間で検出した交絡部数に基づいて交絡度を算出する(特許文献1)。 しかしながら、このピンカウント法は、交絡部が検出される度にピンを抜脱し、また挿入するという操作が繰り返されるため、交絡糸条の走行速度を低速に設定する必要があり、効率的な測定を行うことができないという問題がある。 光学法は、交絡糸条を所定の経路で走行させ、半導体レーザ素子等の発光素子からレーザ光を走行糸条に対して照射し、これを発光素子と対向位置に配置されたフォトトランジスタ等の受光素子により受光し、受光量に応じて出力される電圧信号を基に交絡度を算出するというものであって、交絡部付近では他の部分に比べて糸幅が狭く、出力される電圧信号は他の部分に比べて大きくなることから、出力電圧信号を予め設定された基準値と比較し、基準値を超えた箇所を交絡部として判定して検出し、検出した一定長さ間での交絡部数に基づいて交絡度を算出する(特許文献2、3)。 しかしながら、この光学法は、交絡部を検出するための基準値が経験的に設定されるものであり、交絡部の検出精度はこの基準値によって大きく左右され、また、交絡糸条を構成するフィラメントの断面が円形とは限らないため、同じ太さの糸条でも、光が透過する方向によって異なる太さとして検出するため、交絡部と他の部分とが混同される場合が生じる。 また、目視法は、交絡糸条を切りとって容器内の水面に浸漬せしめたときの糸開繊状態から目視にて糸条の交絡度を算出するというものである。交絡糸条を容器内の水面に浮かべると、交絡のないところは、水の表面張力及び交絡糸条に付着しているオイル等の表面活性化作用によって個々のフィラメントに分繊して広がるが、交絡している箇所は開繊しないで節のような形状となって残る。これを利用して、一定長さ間での交絡部数に基づいて交絡度を算出する。しながら、この目視法は、最も簡単にして、しかも迅速で、設備投資も少ない方法であるが、交絡糸条を構成するフィラメントの太さが一般に細いため、開繊状態が見え難いという問題がある。特開2003−129371特開昭61−124671特開平2002−327368 本発明の目的は、かかる従来技術の問題点を解決するものであり、目視法によって交絡糸条の交絡度を測定する方法であって、交絡糸条の交絡度を、簡単に、しかも迅速に交絡度を高精度に測定する方法を提供することにある。 本発明の第一の発明の要旨は、以下の工程を有する交絡を有する合成繊維糸条の交絡度の測定方法にある。(1)容器に水を入れ、水面に交絡糸条を浮かべる(2)該交絡糸条と異なる色を発する反射棒を容器内の交絡糸条の下方に配置すると共に、交絡糸条と反射棒との間隔を1〜5mmとする(3)容器の上方の光源からの光を反射棒に照射して反射させ、交絡糸条の交絡部数を目視にて計測して交絡度を求めるまた第二の発明の要旨は、以下の構造を有する交絡を有する合成繊維糸条の交絡度の測定装置にある。(1)水を収納し、かつ測定すべき交絡糸条を浮かべ得る容器である(2)該容器内に、交絡糸条と異なる色を発する反射棒が、測定すべき交絡糸条の下方であって、交絡糸条との間隔が1〜5mmの位置に配置されている(3)必要に応じ、交絡糸条の交絡度を測定する範囲を示すスケールが交絡糸条の長手方向に沿って配されている 本発明によれば、目視法であることにより簡単にして迅速に、かつ目視法でありながら正確な交絡度を測定する方法を提供することができる。 図1〜図3は、本発明に係る交絡度測定装置の一例の概略構成を示すものであり、図1は上面図、図2は正面断面図、図3は側面断面図である。図中、1は容器、2は黒色塗装板、3は反射棒、4は蛍光灯、5は交絡の付与された合成繊維糸条をそれぞれ示す。 容器は、水が収納できるもので、その材質が特に限定されるものではなく、またその大きさも光源または反射棒を配置しうる深さであって、交絡糸条の一定長さ間での交絡部数を検出し得る長さをたて或いはよこの少なくとの一方向に有するものであればよい。また容器の内面の全面或いは一部が黒色等の暗色に塗装または暗色の塗装或いは着色物が載置されていることが望ましい。 容器の交絡糸条の下方に配置する反射棒には、容器の上方からの蛍光灯、白熱電球等の照明光である光源や別途配置した蛍光灯、発光ダイオード等の光源からの光を再帰反射し、反射光を糸条に照射し得る棒状の反射体が用いられる、 また、交絡糸条の下方に配置する反射棒は、その反射光がフィラメントの分繊状態を明瞭に識別するために交絡糸条とは異なる色を発することが必要である。交絡度が測定される交絡糸条は、一般的には白色糸条であり、着色糸条でも測定することに問題はないが、白色糸条の場合は、糸条の下方に配置する反射棒が黄色、黄赤色または黄緑色のいずれかの色を発するものであることが、フィラメントと非常に目立つコントラストとなりフィラメントの開繊状態或いは交絡状態の識別上望ましい。ここでいう黄色、黄赤色、黄緑色とは、JIS Z8102(2001)に拠る物体色の色名である。 交絡糸条の下方に配置する反射棒は、プラスチック、ガラス等の素材からなり、少なくともその反射部が鏡面である再帰反射機能を有し、剛性、耐水性を有するものであれば、特に限定はない。本発明においては、特に防水構造や電気を必要とせず、耐衝撃性にも特に考慮する必要はなく、コスト面やメンテナンスが良好である点から、棒状の反射体を配置することがより望ましく、また別途容器の上方に蛍光灯、発光ダイオード等の光源を、光源からの光が反射棒で反射する位置になるように、水の入った容器への光の入射角と反射棒での反射角を調整して配置することがより望ましい。 本発明においては、反射棒を容器内の交絡糸条の下方に配置する際は、反射棒を、交絡糸条との間隔が1〜5mmとなるように配置することが必要であり、また反射棒での反射光の照射範囲内に交絡糸条を位置させることが必要であり、目視する側からみて、交絡糸条が後方から反射光が当てられるようにする。反射棒と交絡糸条との間隔が1mm未満であると、交絡糸条への光が強すぎて、特に開繊状態が見え難くなり、一方、5mmを超えると、光が交絡糸条に十分に届かず、フィラメントとのコントラスト効果が見られなくなる。 交絡糸条の交絡度の測定は、(1)容器に水を入れ、水面に交絡糸条を浮かべる、(2)交絡糸条との間隔を1〜5mmとして容器内の交絡糸条の下方に配置した反射棒から交絡糸条とは異なる色を反射光として糸条に向け発する、(3)光の当てられた状態にある交絡糸条の交絡部数を、必要に応じ、交絡糸条の長手方向に沿って配された交絡糸条の交絡度を測定する範囲を示すスケールに基づき、目視にて計測して、 一定長さ間での交絡部数に基づいて交絡度を求める、ことにより行う。 本発明において適用される交絡糸条を構成する糸条は、ポリエステルフィラメント糸、ポリアミドフィラメント糸、セルロースアセテートフィラメント糸等のマルチフィラメント糸であり、単糸の繊度、断面形状、単糸本数については特に制限はない。また糸条における交絡を付与する方法、手段についても特に制限はない。 以下、本発明を図面の実施例に基づいてより具体的に説明する。本発明での交絡度の評価は、下記の方法に拠った。 (交絡糸条の見え易さ)反射板の配置による交絡糸条への光の当たり具合を下記の基準で目視にて評価した。 ○:効果あり、△:効果なし、×:逆効果 (測定精度)交絡糸条の交絡度の測定精度は、反射板なしの場合で30回測定した時の変動係数CVを1として求めた。変動係数CVは、不偏分散をU、算術平均値をXとすると、以下の式で定義される。なお、変動係数CVの数値が小さい程測定精度が高くなることを意味する。 CV=√U/X×100% (実施例1)(比較例1〜2)図面に示す装置を用い、黒色塗装板2を底面に装着した容器1に、直径6mmの反射棒3を容器内の黒色塗装板2の上に取り付け、容器1の上方に光源として蛍光灯4を設けた。交絡度の測定は、容器1に水を入れ、交絡糸条5を反射棒3からの反射光の照射範囲内になる位置に浮かべた状態とし、上方から見下ろす目視によって、反射光で交絡糸条を透かした状態で、交絡部数の計測を行った。交絡糸条5には、空気圧0.47MPaでインターレース加工を施した80dtex/20フィラメントの白色ブライトのセルロースアセテートフィラメント糸を使用した。また反射棒には、プラスチックからなる黄色の反射棒を用い、反射棒3と交絡糸条5との間隔を変えて、また反射棒の有無での、交絡糸条のフィラメントの交絡或いは開繊状態の見え易さを評価した。その結果、表1にも示したように、反射棒と交絡糸条との間隔が、1mm未満の0mmであると(比較例1)、交絡糸条への光が強すぎて、開繊状態が見え難くなり、また、反射棒と交絡糸条との間隔が、5mmを超える10mmであると(比較例2)、フィラメントのコントラスト効果が見られず交絡糸条が見え難く、交絡度の測定自体が困難であった。 (比較例3)実施例1において、反射棒を白色の反射棒に代えた以外は、実施例1と同様にして交絡度の測定を実施した。交絡度の測定結果を、実施例1による測定結果と共に、表2に示した。交絡糸条が白色糸条であって、反射棒の色が黄色である実施例1では交絡糸条のフィラメントの状態が見え易く、測定精度が高かったが、反射棒の色が白色である場合は、交絡糸条と同色であるために、交絡糸条のフィラメントの状態が見え難く、測定に時間がかかりまた測定精度も低下した。 (比較例4)実施例1において、反射棒を用いない以外は、実施例1と同様にして交絡度の測定を実施した。交絡度の測定結果を、実施例1による測定結果と共に、表2に示した。交絡糸条が白色糸条であって、反射棒を用いない場合は、交絡糸条のフィラメントの状態が見え難く、測定に時間がかかりまた測定精度も低下した。 本発明は、目視法であることにより簡単にして迅速に、かつ目視法でありながら正確に交絡糸条の交絡度を測定する方法であり、しかも、設備投資も少ない方法であるから、編物或いは織物の品位をばらつきなく保持するため、交絡糸条の交絡度の程度を一定の規格範囲内に管理するうえ極めて有用かつ有効な方法である。本発明に係る交絡度測定装置の一例の概略構成を示した上面図である。図1の交絡度測定装置の正面方向の断面図である。図1の交絡度測定装置の側面方向の断面図である。符号の説明 1 容器 2 黒色塗装板 3 反射棒 4 蛍光灯 5 交絡の付与された合成繊維糸条 以下の工程を有する交絡を有する合成繊維糸条の交絡度の測定方法。(1)容器に水を入れ、水面に交絡糸条を浮かべる(2)該交絡糸条と異なる色を発する反射棒を容器内の交絡糸条の下方に配置すると共に、交絡糸条と反射棒との間隔を1〜5mmとする(3)容器の上方の光源からの光を反射棒に照射して反射させ、交絡糸条の交絡部数を目視にて計測して交絡度を求める反射棒が、交絡糸条の上方に配置された光源から発せられた光を反射する光反射棒である請求項1に記載の交絡度の測定方法。交絡糸条が白色糸条であって、糸条の下方に配置する反射棒が黄色、黄赤色または黄緑色のいずれかの色を発するものである請求項1または請求項2に記載の交絡度の測定方法。以下の構造を有する交絡を有する合成繊維糸条の交絡度の測定装置。(1)水を収納し、かつ測定すべき交絡糸条を浮かべ得る容器である(2)該容器内に、交絡糸条と異なる色を発する反射棒が、測定すべき交絡糸条の下方であって、交絡糸条との間隔が1〜5mmの位置に配置されている(3)必要に応じ、交絡糸条の交絡度を測定する範囲を示すスケールが交絡糸条の長手方向に沿って配されている反射棒が、容器の上方に配置された光源から発せられた光を反射する光反射棒である請求項4に記載の交絡度の測定装置。交絡糸条が白色糸条であって、交絡糸条の下方に配置する反射棒が黄色、黄赤色または黄緑色のいずれかの色を発するものである請求項4または請求項5に記載の交絡度の測定装置。 【課題】インターレース加工等により交絡の付与された合成繊維糸条の交絡度を簡単に、しかも迅速かつ正確に測定する方法を提供する。【解決手段】以下の工程にて交絡の付与された合成繊維糸条5の交絡度を測定する。(1)容器1に水を入れ、水面に交絡糸条を浮かべる、(2)交絡糸条と異なる色を発する反射棒3を容器内の交絡糸条の下方に配置すると共に、交絡糸条と前記反射棒との間隔を1〜5mmとする、(3)容器の上方の光源4からの光を反射棒に照射して反射させ、交絡糸条の交絡部数を目視にて計測して交絡度を求める。【選択図】図1