タイトル: | 公開特許公報(A)_ビニル化合物の製造方法 |
出願番号: | 2008281624 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 1/32,C07C 15/46,C07C 41/30,C07C 43/215,C07C 209/68,C07C 211/54,C07C 15/52,C07B 61/00 |
桑野 良一 柳 貞伊 曽我 真一 花崎 保彰 JP 2010105985 公開特許公報(A) 20100513 2008281624 20081031 ビニル化合物の製造方法 国立大学法人九州大学 504145342 東ソー有機化学株式会社 507119250 白井 重隆 100085224 桑野 良一 柳 貞伊 曽我 真一 花崎 保彰 C07C 1/32 20060101AFI20100416BHJP C07C 15/46 20060101ALI20100416BHJP C07C 41/30 20060101ALI20100416BHJP C07C 43/215 20060101ALI20100416BHJP C07C 209/68 20060101ALI20100416BHJP C07C 211/54 20060101ALI20100416BHJP C07C 15/52 20060101ALI20100416BHJP C07B 61/00 20060101ALN20100416BHJP JPC07C1/32C07C15/46C07C41/30C07C43/215C07C209/68C07C211/54C07C15/52C07B61/00 300 5 OL 10 4H006 4H039 4H006AA02 4H006AC22 4H006BA02 4H006BA24 4H006BA29 4H006BA32 4H006BA35 4H006BA48 4H039CA21 4H039CD40 4H039CD90 本発明は、機能性化合物、医農薬等または、それらの中間体として有用なビニル化合物の製造方法に関するものである。 従来、ビニル基の導入手法としては、塩化ビニルまたは臭化ビニルといったハロゲン化ビニル類をニッケル等の遷移金属触媒を用いたクロスカップリング反応により導入する手法が知られている(特許文献1)。 しかしながら、この手法は、ビニル化剤として沸点が低く、毒性の高いハロゲン化ビニルを用いるものであり、その取扱いには厳重な管理が必要とされる。そのため、工業的に生産する上では、漏洩時の対策や除害設備の設置等高額な付帯設備が必要とされる。特公平4−71896号公報 本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、従来の方法では満足できなかったビニル化合物の製造方法を提供することにある。すなわち、従来の問題点を解決し、簡便でかつ安全性に優れた製造方法を提供することにある。 本発明者らは、従来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、アリール化合物またはアルケニル化合物と酢酸ビニル類を触媒の存在下反応させることにより、簡便な手法でビニル化合物が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は、 下記一般式(1) RSnR´3 ・・・・・(1)(式中、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表し、R´は炭素数1〜6の低級アルキル基を表す)で表わされる化合物、 下記一般式(2) (R)mZnXn ・・・・・(2)(式中、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表し、Xはハロゲンを表し、mは1〜2の整数、nは0〜1の整数を表す)で表わされる化合物、 下記一般式(3) RB(OR″)2 ・・・・・(3)(式中、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表し、R″は水素または炭素数1〜6の低級アルキル基を表し、2つのR″は縮環しても良い)で表わされる化合物、および下記一般式(4)(式中、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表す)で表わされる化合物の群から選ばれた少なくとも1種の化合物(以下「アリール化合物」または「アルケニル化合物」ともいう)を、触媒の存在下に、下記一般式(5)(式中、R1,R2,R3は同一または異なって、水素、置換もしくは無置換のアリール基または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で表される酢酸ビニル類をビニル化剤として反応させて、下記一般式(6)(式中、Rは、式(1)〜(4)と同義である。R1,R2,R3は同一または異なって、水素、置換もしくは無置換のアリール基または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で表わされる、ビニル化合物の製造方法に関する。 本発明の方法によれば、従来の問題点を解決して、ビニル化合物を簡便かつ安全な手法により得ることが可能となる。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の方法において使用されるアリール化合物またはアルケニル化合物は、上記一般式(1)〜(4)で表される化合物である。 上記一般式(1)〜(4)において、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表し、具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントラニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基、2−エチルフェニル基、3−エチルフェニル基、4−エチルフェニル基、2,4−ジエチルフェニル基、2−プロピルフェニル基、3−プロピルフェニル基、4−プロピルフェニル基、2−ブチルフェニル基、3−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、2−t−ブチルフェニル基、3−t−ブチルフェニル基、4−t−ブチルフェニル基、2−メトキシフェニル基、3−メトキシフェニル基、4−メトキシフェニル基、2−エトキシフェニル基、3−エトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、2−クロロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、2−ブロモフェニル基、3−ブロモフェニル基、4−ブロモフェニル基、2−アセチルフェニル基、3−アセチルフェニル基、4−アセチルフェニル基、2−ジメチルアミノフェニル基、3−ジメチルアミノフェニル基、4−ジメチルアミノフェニル基、2−ジエチルアミノフェニル基、3−ジエチルアミノフェニル基、4−ジエチルアミノフェニル基、2−ジフェニルアミノフェニル基、4−ジフェニルアミノフェニル基等のアリール基や、1−プロペニル基、1−ブテニル基、2−メチル−1−プロペニル基、3−メチル−1−ブテニル基、2−エチル−1−ブテニル基、1−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、4−メチル−1−ペンテニル基、2−シクロヘキシル−1−エテニル基等のアルケニル基を挙げることができる。 一般式(1)において、R´は、炭素数1〜6の低級アルキル基であり、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。 一般式(1)で表わされる化合物の具体例としては、トリブチルスタニルベンゼン、2−メチル−1−トリブチルスタニルベンゼン、4−メチル−1−トリブチルスタニルベンゼン、2−メトキシ−1−トリブチルスタニルベンゼン、4−メトキシ−1−トリブチルスタニルベンゼン、2−t−ブチル−1−トリブチルスタニルベンゼン、4−t−ブチル−1−トリブチルスタニルベンゼン、トリブチル(1−プロペニル)スズ、トリブチル(1−ブテニル)スズ、トリブチル(2−メチル−1−プロペニル)スズ、トリブチル(3−メチル−1−ブテニル)スズ等が挙げられる。 一般式(2)において、Xは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子から選ばれたハロゲン原子であり、mは1〜2の整数、nは0〜1の整数である。 一般式(2)で表わされる化合物の具体例としては、フェニルジンククロライド、4−t−ブチルフェニルジンククロライド、4−ビフェニリルジンククロライド、4−(4−トリフルオロメチルフェニル)フェニルジンククロライド、1−プロペニルジンククロライド、1−ブテニルジンククロライド、2−メチル−1−プロペニルジンククロライド、フェニルジンクブロマイド、4−t−ブチルフェニルジンクブロマイド、4−ビフェニリルジンクブロマイド、4−(4−トリフルオロメチルフェニル)フェニルジンクブロマイド、1−プロペニルジンクブロマイド等が挙げられる。 一般式(3)において、R″は水素原子または上記一般式(1)と同様の炭素数1〜6の低級アルキル基であり、かつ2つのR″は縮環していてもよい。 一般式(3)で表わされる化合物の具体例としては、フェニルボロン酸、2−メチルフェニルボロン酸、4−メチルフェニルボロン酸、2−メトキシフェニルボロン酸、4−メトキシフェニルボロン酸、4−ブトキシフェニルボロン酸、4−ジフェニルアミノフェニルボロン酸、4−t−ブチルフェニルボロン酸、1−プロペニルボロン酸、1−ブテニルボロン酸、2−メチル−1−プロペニルボロン酸、フェニルボロン酸エチレングリコールエステル、2−メチルフェニルボロン酸エチレングリコールエステル、4−メチルフェニルボロン酸エチレングリコールエステル、4−t−ブチルフェニルボロン酸エチレングリコールエステル、4−ブトキシフェニルボロン酸エチレングリコールエステル、4−ジフェニルアミノフェニルボロン酸エチレングリコールエステル、3−ブトキシフェニルボロン酸エチレングリコールエステル、4−ビフェニリルボロン酸エチレングリコールエステル、4−(4−トリフルオロメチルフェニル)フェニルボロン酸エチレングリコールエステル、2−ビフェニリルボロン酸エチレングリコールエステル、1−プロペニルボロン酸エチレングリコールエステル、1−ブテニルボロン酸エチレングリコールエステル、2−メチル−1−プロペニルボロン酸エチレングリコールエステル、フェニルボロン酸ピナコールエステル、2−メチルフェニルボロン酸ピナコールエステル、4−メチルフェニルボロン酸ピナコールエステル、2−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステル、4−メトキシフェニルボロン酸ピナコールエステル、4−ブトキシフェニルボロン酸ピナコールエステル、4−ジフェニルアミノフェニルボロン酸ピナコールエステル、4−t−ブチルフェニルボロン酸ピナコールエステル、1−プロペニルボロン酸ピナコールエステル、1−ブテニルボロン酸ピナコールエステル、2−メチル−1−プロペニルボロン酸ピナコールエステル等が例示される。 一般式(4)で表わされる化合物の具体例としては、トリフェニルボロキシン、トリス(2−メチルフェニル)ボロキシン、トリス(4−メチルフェニル)ボロキシン、トリス(2−メトキシフェニル)ボロキシン、トリス(4−メトキシフェニル)ボロキシン、トリス(4−ブトキシフェニル)ボロキシン、トリス(4−ジフェニルアミノフェニル)ボロキシン、トリス(4−t−ブチルフェニル)ボロキシン等が挙げられる。 以上の一般式(1)〜(4)で表わされるアリール化合物やアルケニル化合物は、1種単独であるいは2種以上を併用することができる。 次に、本発明において、ビニル化剤として使用される酢酸ビニル類は、上記一般式(5)で表される化合物である。上記一般式(5)において、R1,R2,R3は同一または異なって、水素、置換もしくは無置換のアリール基、炭素数1〜6のアルキル基を表し、アリール基としては、フェニル基、4−メチルフェニル基、2,4−ジメチルフェニル基等が挙げられ、炭素数1〜6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。 一般式(5)で表わされる酢酸ビニル類の具体例としては、酢酸ビニル、酢酸2−スチリル、1−アセトキシ−1−プロペン、2−アセトキシ−1−プロペン、1−アセトキシ−1−ブテン、1−アセトキシ−2−メチル−1−プロペン、1−アセトキシ−1,3−ブタジエン等が挙げられる。 本発明は、以上の一般式(1)〜(4)で表わされる化合物と一般式(5)で表わされる酢酸ビニル類を反応させるが、この際に、触媒が用いられる。 本発明の方法において使用される触媒は、遷移金属系触媒が好ましく、遷移金属としてロジウム、ルテニウム、イリジウム等が挙げられるが、好ましくはロジウム系触媒が使用される。使用される触媒の具体例としては、〔RuCl2(p−cymene)〕2、〔IrCl(cod)〕2、〔RhCl(cod)〕2、〔RhBr(cod)〕2、〔RhI(cod)〕2、〔Rh(OAc)(cod)〕2、〔Rh(OH)(cod)〕2、〔Rh(acac)(cod)〕2、〔RhCl(nbd)〕2、〔RhCl(C2H4)2〕2等が例示される。 また、上記遷移金属触媒は、リン系配位子と併用することも可能であり、基質によってはリン系配位子の添加により収率の向上等、好ましい結果を与える。 リン系配位子として格別な限定はないが、例えば、1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、トリ−tert−ブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、ビス(2−ジフェニルホスフィノフェニル)エーテル、9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)ザンテン等が例示される。 本発明の方法における触媒の使用量に格別の限定はないが、上記一般式(1)〜(4)で示されるアリール化合物またはアルケニル化合物に対し、0.001〜15.0モル%、好ましくは0.1〜10.0モル%の範囲である。0.001モル%未満では、反応速度が遅く、一方15.0モル%を超えると、反応速度及び選択性共に変化は無く、添加を増やした効果は得られない。 また、リン系配位子の使用量は特に限定されないが、遷移金属に対し、0.5〜5倍モル量、好ましくは1.0〜3.0倍モル量の範囲が選ばれる。0.5倍モル未満では、添加する効果が乏しく、一方5倍モルを超えても、添加を増やした効果は得られない。 本発明の方法では、反応を円滑に進めるために、塩基性化合物、アルコールといった添加剤を加えることも可能である。塩基性化合物の具体例として、LiOtBu、NaOtBu、KOtBu、K2CO3、K3PO4、NaOH、KOH等が挙げられ、またアルコールの具体例としてメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、tert−ブタノール、ヘプタノール、tert−アミルアルコール等が挙げられる。 本発明の方法における塩基性化合物またはアルコールの使用量に格別の限定はないが、上記一般式(1)〜(4)で示されるアリール化合物またはアルケニル化合物に対し、0.5〜10倍モル、好ましくは1.0〜5.0倍モルの範囲である。0.5倍モル未満では、添加する効果が乏しく、一方10倍モルを超えても、添加を増やした効果は得られない。 本発明では、反応の際に、通常、反応溶媒が使用される。 本発明の方法において使用される反応溶媒に格別の限定はないが、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、アミド系溶媒等が用いられ、具体的には、THF、シクロペンチルメチルエーテル、ジオキサン、トルエン、キシレン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等が例示される。また、溶媒は単一で用いても混合溶媒で用いてもどちらでも良い。 反応溶媒の使用量は、一般式(1)〜(4)で表わされる化合物が、1重量%〜20重量%となるよう調整される。 本発明の方法における反応温度は、0℃〜200℃、好ましくは10〜120℃の範囲であり、反応時間(熟成時間)は、1〜48時間、好ましくは2〜24時間である。 本発明の方法における反応の実施形態に格別の限定はなく、任意の反応剤を任意の順番で添加することができる。 反応終了後は、常法に従い反応液に水を加えて塩を溶解処理した後、有機層を分離する。続いて、濃縮により溶媒を除去し、蒸留、カラムクロマトグラフィー、晶析、再結晶等により精製を行い、目的とする一般式(6)で表わされるビニル化合物を得る。 ここで、一般式(6)で表わされるビニル化合物の具体例としては、スチレン、2−メチルスチレン、4−メチルスチレン、2−メトキシスチレン、4−メトキシスチレン、4−ビフェニリルスチレン、4−ジフェニルアミノスチレン、4−t−ブチルスチレン、4−t−ブトキシスチレン、1−(4−t−ブチルフェニル)−2−フェニルエテン、1,3−ペンタジエンなどが挙げられる。 なお、一般式(6)で表わされるビニル化合物は、1H NMR、13C NMR、質量分析、ガスクロマトグラフィー、などによって、その構造を特定することができる。 以下に、本発明の方法を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。 実施例1 窒素雰囲気で置換した5mlバイアルに、4−tert−ブチル−1−トリブチルスタニルベンゼン84.7mg(0.2mmol)、酢酸ビニル51.7mg(0.6mmol)、[RhCl(cod)]2 4.9mg(0.01mmol)、トルエン1mlを仕込み、攪拌しながら反応液を100℃まで昇温した。昇温後、同温度にて24時間熟成した。反応終了後、冷却し酢酸エチル2mlを添加、セライトを用いて不溶物をろ別し有機層を得た。これをGC(ガスクロマトグラフィー)内部標準法により分析した結果、目的物である4−tert−ブチルスチレンが30%の収率で生成していた。 なお、ガスクロマトグラフィーとしては、島津製GC−17Aを用いた(以下同じ)。 実施例2 窒素雰囲気で置換した5mlバイアルに、4−tert−ブチルフェニルジンククロライド46.8mg(0.2mmol)、酢酸ビニル34.4mg(0.4mmol)、[RhCl(cod)]2 4.9mg(0.01mmol)、1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン6.1mg(0.011mmol)、テトラヒドロフラン(THF)0.6mlを仕込み、攪拌しながら反応液を室温(25℃)にて3時間熟成した。反応終了後、酢酸エチル2mlを添加、セライトを用いて不溶物をろ別し有機層を得た。これをGCで内部標準法により分析した結果、目的物である4−tert−ブチルスチレンが76%の収率で生成していた。 実施例3 窒素雰囲気で置換した5mlバイアルに、4−tert−ブチルフェニルボロン酸35.6mg(0.2mmol)、酢酸ビニル34.4mg(0.4mmol)、[RhCl(cod)]2 4.9mg(0.01mmol)、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン4.7mg(0.011mmol)、リン酸カリウム127.4mg(0.6mmol)、tert−アミルアルコール26.4mg(0.3mmol)、トルエン1mlを仕込み、攪拌しながら反応液を100℃まで昇温した。昇温後、同温度にて2時間熟成した。反応終了後、冷却し酢酸エチル2mlを添加、セライトを用いて不溶物をろ別し有機層を得た。これをGCで内部標準法により分析した結果、目的物である4−tert−ブチルスチレンが87%の収率で生成していた。 実施例4 4−tert−ブチルフェニルボロン酸に代えて、4−t−ブトキシフェニルボロン酸エチレングリコールエステル40.8mg(0.2mmol)を用い、[RhCl(cod)]2の添加量を2.45mg(0.005mmol)とした以外は、実施例3に準じて反応を実施した結果、目的物である4−t−ブトキシスチレンが81%の収率で生成していた。 実施例5 4−t−ブトキシフェニルボロン酸エチレングリコールエステルに代えて、4−ジフェニルアミノフェニルボロン酸エチレングリコールエステル63.0mg(0.2mmol)を用い、熟成時間を24時間とした以外は、実施例4に準じて反応を実施した結果、目的物である4−ジフェニルアミノスチレンが62%の収率で生成していた。 実施例6 窒素雰囲気で置換した5mlバイアルに、4−tert−ブチルフェニルボロン酸35.6mg(0.2mmol)、酢酸2−スチリル64.9mg(0.4mmol)、[RhCl(cod)]2 4.9mg(0.01mmol)、リン酸カリウム127.4mg(0.6mmol)、トルエン1mlを仕込み、攪拌しながら反応液を100℃まで昇温した。昇温後、同温度にて72時間熟成した。反応終了後、冷却し酢酸エチル2mlを添加、セライトを用いて不溶物をろ別し有機層を得た。これをGCで内部標準法により分析した結果、目的物である1−(4−tert−ブチルフェニル)−2−フェニルエテンが72%の収率で生成していた。 本発明により得られるビニル化合物は、機能性化合物、医農薬等、またはそれらの中間体として有用である。 下記一般式(1) RSnR´3 ・・・・・(1)(式中、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表し、R´は炭素数1〜6の低級アルキル基を表す)で表わされる化合物、 下記一般式(2) (R)mZnXn ・・・・・(2)(式中、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表し、Xはハロゲンを表し、mは1〜2の整数、nは0〜1の整数を表す)で表わされる化合物、 下記一般式(3) RB(OR″)2 ・・・・・(3)(式中、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表し、R″は水素または炭素数1〜6の低級アルキル基を表し、2つのR″は縮環しても良い)で表わされる化合物、および下記一般式(4)(式中、Rは置換もしくは無置換の、アリール基またはアルケニル基を表す)で表わされる化合物の群から選ばれた少なくとも1種の化合物を、触媒の存在下に、下記一般式(5)(式中、R1,R2,R3は同一または異なって、水素、置換もしくは無置換のアリール基または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で表される酢酸ビニル類をビニル化剤として反応させて、下記一般式(6)(式中、Rは、式(1)〜(4)と同義である。R1,R2,R3は同一または異なって、水素、置換もしくは無置換のアリール基または炭素数1〜6のアルキル基を表す)で表わされる、ビニル化合物の製造方法。 触媒が、遷移金属系触媒である請求項1に記載のビニル化合物の製造方法。 遷移金属系触媒がロジウム化合物である請求項2記載のビニル化合物の製造方法。 遷移金属系触媒にリン系配位子を併用する請求項2または3記載のビニル化合物の製造方法。 反応系に、さらに塩基性化合物および/またはアルコールを添加する請求項1〜4いずれかに記載のビニル化合物の製造方法。 【課題】毒性の高い試薬を使用する従来法より簡便かつ安全な手法によりビニル化合物を得る製造方法の提供。【解決手段】錫、亜鉛、ホウ素のいずれかを含有するアリール化合物またはアルケニル化合物を、遷移金属系触媒の存在下にビニル化剤として式(5)の酢酸ビニル類と反応させてビニル化合物を合成する。(式中、R1,R2,R3は同一または異なって、水素、置換もしくは無置換のアリール基または炭素数1〜6のアルキル基を表す)【選択図】なし