タイトル: | 公開特許公報(A)_還元糖とアミノ酸を含む一液化末梢静脈投与用輸液製剤 |
出願番号: | 2008259158 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 47/26,A61K 47/18,A61K 47/24,A61K 9/08 |
繁田 睦夫 JP 2010090039 公開特許公報(A) 20100422 2008259158 20081006 還元糖とアミノ酸を含む一液化末梢静脈投与用輸液製剤 味の素株式会社 000000066 結田 純次 100127926 三輪 昭次 100105290 竹林 則幸 100140132 繁田 睦夫 A61K 47/26 20060101AFI20100326BHJP A61K 47/18 20060101ALI20100326BHJP A61K 47/24 20060101ALI20100326BHJP A61K 9/08 20060101ALI20100326BHJP JPA61K47/26A61K47/18A61K47/24A61K9/08 6 OL 8 4C076 4C076AA12 4C076BB13 4C076CC21 4C076DD51 4C076DD51Q 4C076DD63 4C076DD67 4C076FF46 本願発明は還元糖とアミノ酸を一液剤として含有する安定な末梢静脈投与用輸液製剤に関する。 栄養補給用輸液は、中心静脈を経由して大量の栄養を大容量の静脈血に供給する中心静脈投与用輸液と、末梢静脈を経由して比較的少量の栄養を供給する末梢静脈投与用輸液に大別される。 中心静脈投与用輸液は、特に長期間の栄養不良状態や高度の侵襲時における2週間以上の栄養管理を必要とする場合に用いられる、糖質、電解質、アミノ酸を含有する高カロリー輸液であり、中心静脈の大容量の静脈血に注入される。 末梢静脈投与用輸液は、栄養状態の比較的良好な非侵襲あるいは軽度侵襲期にある患者の栄養状態を維持、改善することを目的として、前腕静脈等から末梢留置針等を用いて比較的短期間投与される。 輸液製剤の場合、全ての成分を1つの容器に収納することが、使用の簡便さ、投与時の手違い防止の観点等から最も好ましい。しかし、還元糖とアミノ酸を同じ容器内に配合すると、還元糖とアミノ酸がメイラード反応(アミノ−カルボニル反応)を起こし、輸液の製造、輸送および貯蔵時に褐変を生じ、輸液製剤としての価値が著しく低下してしまう問題があった。これを防止するため、隔壁を有する複室容器に還元糖液とアミノ酸液を別々に収納し、使用時に隔壁を連通し両液を混合して使用する方法が広く行われている。しかしこの方法では、使用時に隔壁を連通するという処理が必要とされ、発売の当初から、隔壁を未開通のまま投与するという事例が多数報告され、安全対策が必須となっている。そのため、元々隔壁を持たず、混合操作を必要としない一液剤とすることが望ましい。 このための方法として、隔壁を有する複室容器に還元糖液とアミノ酸液を別々に収容し、加熱滅菌後にこの隔壁を連通し一液とする方法が知られている(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法においても貯蔵時に徐々に着色することを防止することはできない。 また、還元糖とアミノ酸を含有する製剤において、脱酸素剤を併用することで一液化した輸液も存在する(例えば特許文献2参照)が、輸液のpHが低く、静脈炎を惹起しやすいこと、安定化剤である亜硫酸水素ナトリウム濃度が高い等の欠点があった。 中心静脈から投与される高カロリー輸液の場合には、ビタミンB1を補給することが必須であることは良く知られており、その対策が講じられている。しかし、末梢静脈投与用輸液の場合であっても、静脈内に投与された糖が代謝される際にはビタミンB1が消費されるため、ビタミンB1をあらかじめ配合した末梢静脈投与用輸液が販売されている。 アミノ酸液とブドウ糖液を隔壁で仕切った2室に収容し、使用時に隔壁を連通する末梢静脈投与用輸液の場合、ビタミンB1をブドウ糖液に混合し、アミノ酸の安定化のためにアミノ酸液に亜硫酸水素塩を添加することが広く行われている。しかし、使用に際してアミノ酸液とブドウ糖液を混合した場合、アミノ酸液に含まれる亜硫酸水素塩はブドウ糖液に混合されているビタミンB1を時間単位で徐々に分解するため、亜硫酸水素塩を添加しないことが望ましい。特開昭61−103823号公報特許第2932162号公報 本願発明が解決しようとする課題は、還元糖とアミノ酸を一液剤に含有する末梢静脈投与用輸液の製造、輸送および貯蔵時における着色防止を図り、亜硫酸塩を含まない製剤とするものである。 本願発明は還元糖とアミノ酸を一液剤に含有する末梢静脈投与用輸液にN−アセチルシステインを添加することにより製造、輸送および貯蔵時における着色防止を図るものである。連通可能に仕切られた多室容器に糖液とアミノ酸液を別々に収容し、使用時に仕切りを連通するタイプの輸液において、N−アセチルシステインをL−システインの代替物としてアミノ酸液に添加することは公知である。しかし、N−アセチルシステインが、実質的に酸素の存在しない保存時おいて、還元糖とアミノ酸のメイラード反応による褐変を効果的に防止できることはこれまでに全く知られていなかった。また、N−アセチルシステインを着色防止剤として用いる場合には、亜硫酸水素塩を使用しなくとも十分な着色防止が図られるので、ビタミンB1の混入が可能になることが発見された。 したがって、本願発明の態様は以下のとおりである。 (1)連通可能な手段により仕切られた複室の一室にブドウ糖を含有する液を収納し、他室にアミノ酸を含有する液を収納し、その両液には亜硫酸塩を含有せず、その両液或いは一方にN−アセチルシステインを含有させ、加熱滅菌後、複室間の仕切りを連通して、両液を混合した後、脱酸素剤と共にガスバリア性を有する外包材にて、窒素置換包装した末梢静脈投与用輸液製剤。 (2)連通可能な手段により仕切られた複室の一室にブドウ糖及びビタミンB1を含有する液を収納し、他室にアミノ酸を含有する液を収納し、その両液には亜硫酸塩を含有せず、その両液或いは一方にN−アセチルシステインを含有させ、加熱滅菌後、複室間の仕切りを連通して、両液を混合した後、脱酸素剤と共にガスバリア性を有する外包材にて、窒素置換包装した末梢静脈投与用輸液製剤。 (3)ブドウ糖濃度が3〜10w/v%であり、N−アセチルシステインを2.5〜15mM含有し、混合後のpHが5〜7であることを特徴とする(1)または(2)記載の末梢静脈投与用輸液製剤。 (4)ブドウ糖濃度が4.0〜7.5w/v%であり、N−アセチルシステインを5.0〜7.5mM含有し、混合後のpHが5.5〜6.0であることを特徴とする(3)記載の末梢静脈投与用輸液製剤。 (5)リンとして、グリセロリン酸を含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の末梢静脈投与用輸液製剤。 (6)pH調整剤として、硫酸または塩酸を使用する(1)〜(5)のいずれかに記載の末梢静脈投与用輸液製剤。 還元糖液とアミノ酸液を別々の室にいれて加熱滅菌し、冷却後に一液とした場合には、N−アセチルシステインにより、輸送および貯蔵時におけるメイラード反応の進行を抑制し、薬液の着色防止が図られる。 本願発明の実施態様の一つは隔壁により連通可能に仕切られた2室の1室に還元糖液を入れ、他室にアミノ酸液を入れ、その際その両方またはどちらかの室にN−アセチルシステインを加えて加熱滅菌し、冷却後に隔壁を連通し一液とする方法である。この場合、N−アセチルシステインは還元糖液を含む室に加えても、アミノ酸液を含む室に加えても、一液化した後の保存時における着色防止の効果を生じる。また、N−アセチルシステインを加えた場合、従来アミノ酸液に添加されていた亜硫酸塩を添加しなくてもアミノ酸の変質が起きないので、亜流酸塩の添加が省略でき、このことにより、ビタミンB1を添加することも可能である。また、pH調整に用いる酸は強酸である硫酸または塩酸にすることで着色をより抑制することができる。連通可能に仕切られた2室の1室に還元糖液を入れ、他室にアミノ酸液を入れて加熱滅菌する方法は広く行われており、本願発明でも従来法が使用できる。 連通可能に構成された多室容器としては、公知の如何なるものも使用できる。このうち隔壁が、易剥離シールで構成されている輸液バッグが、連通作業が簡単なために特に好ましい。輸液バッグの素材は、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンのようなポリオレフィン、エチレン・プロピレン共重合体、架橋エチレン・酢酸ビニル共重合体、これらの積層体等が適当である。 本願発明の末梢静脈投与用輸液製剤に含まれるブドウ糖の濃度は3〜10w/v%、好ましくは4.0〜7.5w/v%である。本願発明の末梢静脈投与用輸液製剤中のN−アセチルシステインの濃度は2.5〜15mM、好ましくは5.0〜7.5mMである。本願発明の末梢静脈投与用輸液製剤のpHは5〜7、好ましくは5.5〜6.0である。pHの調整には酢酸、クエン酸、リンゴ酸及びコハク酸のような弱酸も使用できるが、塩酸、硫酸のような強酸を用いることが着色防止の上で好ましい。 輸液に含まれるアミノ酸の総量は2〜3%であることが好ましい。アミノ酸としては、遊離アミノ酸換算で、L−ロイシンを2〜8g/L、L−イソロイシンを1〜5g/L、L−バリンを1〜5g/L、L−リジンを2〜8g/L、L−トレオニンを1〜4g/L、L−トリプトファンを0.3〜1g/L、L−メチオニンを0.5〜2g/L、L−フェニルアラニンを1〜4g/L、L−チロジンを0.07〜0.3g/L、L−アルギニンを1.5〜6g/L、L−ヒスチジンを0.7〜3g/L、L−アラニンを1〜5g/L、L−プロリンを0.7〜3g/L、L−セリンを0.5〜2g/L、グリシンを1〜4g/L、L−アスパラギン酸を0.1〜0.6g/L、L−グルタミン酸を0.1〜0.6g/Lとすることが好ましい。システインについては着色防止剤として用いられるN−アセチルシステインがシステインの代替栄養素として働くが、必要に応じL−システインを添加することもできる。 本願発明の輸液製剤には、さらに電解質、ビタミン、微量元素等を含有しても良い。電解質としてはナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、塩素、リンを含むことが好ましい。輸液中に含まれる電解質の量はNa+:17.5〜70mEq/L、好ましくは35mEq/L、K+:10〜40mEq/L、好ましくは20mEq/L、Mg2+:2.5〜10mEq/L、好ましくは5mEq/L、Ca2+:2.5〜10mEq/L、好ましくは5mEq、Cl-:17.6〜70.4mEq/L、好ましくは35.2mEq/L、Zn:2.4〜9.6μmol/L、好ましくは4.8μmol/L、リン:5〜20mmol/L、好ましくは10mmol/Lである。 本願発明の電解質としては、従来から使用されているものはいずれも使用可能であり、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、ヨウ化カリウム、燐酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム、グリセロリン酸カリウム、乳酸カリウム、クエン酸カリウム、酢酸カリウム、乳酸カルシウム、グリセロリン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸亜鉛、硫酸鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、グルコン酸鉄、硫酸銅、硫酸マンガン等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。リンとしては、グリセロリン酸を使用することがリン酸マグネシウム、リン酸カルシウム等の沈殿を防止する観点から好ましい。 糖が代謝されるときにはビタミンB1が消費されるのでビタミンB1を配合することが望ましい。ビタミンB1としては、公知の如何なるビタミンB1も用いることができるが、例えば、塩酸チアミン、硝酸チアミン、フルスルチアミンなどがあげられる。特に好ましいビタミンB1は、塩酸チアミンである。ビタミンB1の量は輸液中において1〜10mg/L、特には2〜3.5mg/Lで配合するのが望ましい。 輸液バッグは、常法により脱酸素剤とともに遮光性を有するガス非透過性の外包装材で包装する。遮光性を有するガス非透過性の外包装材としては、一般に汎用されている、アルミ箔、アルミ蒸着フィルム等があげられる。また、透明性を有するガス非透過性の外包装材である、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、エチレン・ビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、アルミナ蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム等を選択する場合は紫外線カット層を加えることで使用することができる。 脱酸素剤としては、水酸化鉄、酸化鉄、炭化鉄等の鉄化合物を主成分とするものが用いられる。市販品としては、エージレス(三菱ガス化学社製)、モジュラン(日本化薬社製)、セキュール(日本曹達社製)等があげられる。 輸液バッグと外包装容器の間の空間は窒素等の不活性ガスで充填されていることが好ましい。 連通可能に仕切られた2室の1室に還元糖溶液を入れ、他室にアミノ酸液を入れ、そのどちらか一方にN−アセチルシステインを加えて加熱滅菌し、冷却後、輸送および貯蔵する以前に2室間の仕切りを連通して一液剤の輸液製剤とする実施例を挙げて本願発明を説明する。[実施例1] <アミノ酸液処方> L−ロイシン 14 g/L L−イソロイシン 8 g/L L−バリン 8 g/L 塩酸L−リジン 13.1 g/L L−トレオニン 5.7 g/L L−トリプトファン 2 g/L L−メチオニン 3.9 g/L L−フェニルアラニン 7 g/L L−チロジン 0.5 g/L L−アルギニン 10.5 g/L L−ヒスチジン 5 g/L L−アラニン 8 g/L L−プロリン 5 g/L L−セリン 3 g/L L−グリシン 5.9 g/L L−アスパラギン酸 1 g/L L−グルタミン酸 1 g/L N−アセチルシステイン 1.3 g/L 上記処方のアミノ酸および電解質成分を注射用水に溶解し、pH調整剤として硫酸を用いてpH6.8とした。 <糖液処方> ブドウ糖 107 g/L 乳酸ナトリウム液 11.2 g/L グリセロリン酸カリウム液 7.1 g/L 塩化カリウム 1.07 g/L 塩化カルシウム水和物 0.53 g/L 硫酸マグネシウム水和物 0.89 g/L 硫酸亜鉛 1.4 mg/L 塩酸チアミン 2.86 g/L 上記処方の糖、電解質、ビタミンB1を注射用水に溶解し、pH調整剤として硫酸を用いてpH4.5とした。 両液を無菌ろ過し、アミノ酸液150mLおよび糖液350mLをそれぞれ易剥離シールで仕切られたプラスチック製容器の各室に充填し、密封した後、窒素雰囲気下において高圧蒸気滅菌を行った。冷却乾燥後、隔壁部を開通し、両液をよく混合した後、鉄系脱酸素剤(商品名「エージレスZH」)と共にアルミ箔をバリア層とするガス非透過性の外包装材(大日本印刷(株)製)に窒素ガス下で包装し、pH5.5の栄養輸液を得た。[比較例1] アミノ酸液処方において、N−アセチルシステインを除外し、L−システインを1.0 g/Lの濃度で添加した以外は実施例1と同様に栄養輸液を得た。[比較例2] アミノ酸液処方において、N−アセチルシステインを除外した以外は実施例1と同様に栄養輸液を得た。 実施例1、比較例1及び比較例2の栄養輸液を40℃/75%RHの条件下に保存し、保存開始時、0.5箇月目、1箇月目及び2箇月目に430nmにおける透過率を測定した。その結果を表1に示す。 N−アセチルシステインを含む製剤は、同じモル量のL−システインを含む製剤と比較して、着色を抑制した。また、N−アセチルシステインを含む製剤は、N−アセチルシステイン及びL−システインのいずれをも含まない製剤と比較して、着色を抑制した。[実施例2] 糖液処方において、N−アセチルシステインを0.59 g/L 加えた以外は実施例1と同様に栄養輸液を得た。[実施例3] 糖液処方において、N−アセチルシステインを1.2 g/L 加えた以外は実施例1と同様に栄養輸液を得た。[実施例4] 糖液処方において、N−アセチルシステインを2.9 g/L 加えた以外は実施例1と同様に栄養輸液を得た。 実施例2、実施例3及び実施例4の栄養輸液を40℃/75%RHの条件下に保存し、保存開始時、0.5箇月目、1箇月目及び2箇月目に430nmにおける透過率(%)を測定した。その結果を表2に示す。 N−アセチルシステインを含む製剤は5.0〜15mMの濃度で着色を抑制した。 実施例3の栄養輸液を25℃/60%RHの条件下に保存し、保存開始時、1箇月目、2箇月目及び7箇月目に430nmにおける透過率及びビタミンB1を測定した。その結果を表3に示す。 N−アセチルシステインを含む製剤は長期保存においても着色を抑制し、ビタミンB1の含量を維持できた。[実施例5] アミノ酸液をpH6.7に調整し、糖液処方において、N−アセチルシステインを1.2 g/L加え、pH4.3に調整した以外は実施例1と同様に栄養輸液を得た。[実施例6] アミノ酸液をpH6.9に調整し、糖液処方において、N−アセチルシステインを1.2 g/L加え、pH4.4に調整した以外は実施例1と同様に栄養輸液を得た。[実施例7] アミノ酸液をpH7.2に調整し、糖液処方において、N−アセチルシステインを1.2 g/L加え、pH4.6に調整した以外は実施例1と同様に栄養輸液を得た。 実施例5、実施例6及び実施例7の栄養輸液を40℃/75%RHの条件下に保存し、保存開始時、0.5箇月目及び1箇月目に430nmにおける透過率を測定した。その結果を表4に示す。 N−アセチルシステインを含む製剤はpH5.2〜5.8において、着色を抑制した。 連通可能な手段により仕切られた複室の一室にブドウ糖を含有する液を収納し、他室にアミノ酸を含有する液を収納し、その両液には亜硫酸塩を含有せず、その両液或いは一方にN−アセチルシステインを含有させ、加熱滅菌後、複室間の仕切りを連通して、両液を混合した後、脱酸素剤と共にガスバリア性を有する外包装材にて、窒素置換包装した末梢静脈投与用輸液製剤。 連通可能な手段により仕切られた複室の一室にブドウ糖及びビタミンB1を含有する液を収納し、他室にアミノ酸を含有する液を収納し、その両液には亜硫酸塩を含有せず、その両液或いは一方にN−アセチルシステインを含有させ、加熱滅菌後、複室間の仕切りを連通して、両液を混合した後、脱酸素剤と共にガスバリア性を有する外包装材にて、窒素置換包装した末梢静脈投与用輸液製剤。 ブドウ糖濃度が3〜10w/v%であり、N−アセチルシステインを2.5〜15mM含有し、混合後のpHが5〜7であることを特徴とする請求項1または2記載の末梢静脈投与用輸液製剤。 ブドウ糖濃度が4.0〜7.5w/v%であり、N−アセチルシステインを5.0〜7.5mM含有し、混合後のpHが5.5〜6.0であることを特徴とする請求項3記載の末梢静脈投与用輸液製剤。 リンとして、グリセロリン酸を含有する請求項1〜4のいずれかに記載の末梢静脈投与用輸液製剤。 pH調整剤として、硫酸または塩酸を使用する請求項1〜5のいずれかに記載の末梢静脈投与用輸液製剤。 【課題】 還元糖とアミノ酸を一液剤に含有する末梢静脈投与用輸液製剤の製造、輸送および貯蔵時における着色防止を図るとともに亜硫酸塩を含まない製剤とする。【解決手段】 還元糖とアミノ酸を一液剤に含有する輸液にN−アセチルシステインを着色防止剤として添加する。N−アセチルシステインを添加する方法は、連通可能に仕切られた2室の1室に還元糖溶液を入れ、他室にアミノ酸液を入れ、その両液には亜硫酸塩を含有させず、その両方またはそのどちらか一方にN−アセチルシステインを加えて加熱滅菌し、複室間の仕切りを連通して一液剤とし、脱酸素剤と共にガスバリア性を有する外包装材にて、窒素置換包装した末梢静脈投与用輸液製剤とする。【選択図】 なし