生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_衣類用冷感付与剤
出願番号:2008254231
年次:2010
IPC分類:D06M 13/144,A61K 8/34,A61K 8/02,A61K 8/31


特許情報キャッシュ

石野 哲朗 JP 2010084269 公開特許公報(A) 20100415 2008254231 20080930 衣類用冷感付与剤 小林製薬株式会社 000186588 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 石野 哲朗 D06M 13/144 20060101AFI20100319BHJP A61K 8/34 20060101ALN20100319BHJP A61K 8/02 20060101ALN20100319BHJP A61K 8/31 20060101ALN20100319BHJP JPD06M13/144A61K8/34A61K8/02A61K8/31 5 OL 12 4C083 4L033 4C083AC10 4C083AD53 4C083DD08 4C083EE11 4C083EE50 4L033AB09 4L033AC15 4L033BA11 本発明は、衣類用冷感付与剤に関する。より具体的には、衣服に適用して身体と接触することによって冷感を求めるときに涼しく感じることができる衣類用冷感付与剤に関する。 近年、地球温暖化に伴って気温が上昇する傾向にあり、特に夏場の暑さが年々厳しくなってきている。その一方で、地球温暖化を抑制するためにエアコンの設定温度を高めにすることが奨励されている。また、夏場にネクタイや上着を着用しない、いわゆるクールビズが奨励されているものの、どうしても軽装になれない場合もある。このような厳しい暑さをしのぐための製品としては、例えば冷却スプレーのように局所的に冷感を付与して一時的に暑さを和らげることができるものがすでに知られている(例えば特許文献1及び2)。また、冷却剤を収容したバッグ、マット等も知られている(例えば非特許文献1及び2)。 しかしながら冷却スプレー等は、通常、肌に直接噴霧するため、べたついたり、人によっては含有される成分に過敏に反応して肌荒れ等を起こす等の問題があった。また、汗によって冷却成分が流れ落ちたり、揮発性の冷却成分を用いた場合には体温で常に冷却成分が揮発されるなど、冷感が持続しないという問題があった。また、冷却剤を収容したバッグ、マット等は、暑さを感じなくなっても冷感を付与し続けるため、冷感効果が強すぎて寒く感じることがあった。 このような背景から、冷感効果が長期に亘って持続し、且つ冷感を感じたいと思った時に応じて優れた冷感効果を発揮する冷感付与剤が求められていた。特開2000−239142特開2002−80335実新第3080868実新第3118424 本発明は、持続性に優れた衣類用冷感付与剤を提供することを主な目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、メントールとエタノールを含有する組成物を衣類に噴霧又は塗布することによって、持続性に優れ、汗をかいたときに冷感を付与し得ることを見いだした。本発明は、このような知見に基づいてさらに研究を重ねた結果完成されたものである。 本発明は、以下の衣類用冷感付与剤を提供する。項1.0.1〜25重量%のメントールと、エタノールとを含有する衣類用冷感付与剤。項2.メントールがl−メントールである、項1に記載の衣類用冷感付与剤。項3.エタノールを50〜99.9重量%含有する、項1又は2に記載の衣類用冷感付与剤。項4.ミストスプレータイプである項1〜3のいずれかに記載の衣類用冷感付与剤。項5.項1〜4のいずれかに記載の衣類用冷感付与剤を、衣類に適用することによって冷感を得る方法。 本発明の衣類用冷感付与剤は、衣類に噴霧するだけで、汗をかくたびに冷感を感じ、暑い日中でも涼しく過ごすことができる。また、本発明の組成物は、一度吹きかけると数時間に亘って効果が持続し、冷涼感の持続性が高いものである。また、汗をかいた時にのみ冷涼感を感じるので、冷感を求めない時にまで涼しく感じることを防ぐことができる。 さらに、本発明の冷感付与剤は、皮膚に直接塗布するのではなく、衣類に吹きかけるので皮膚刺激性が低く、極めて使用感に優れたものである。刺激性については、メントールの配合割合を調節することによって適宜調整することができる。従って、冷感を付与するが全く刺激性を有しない衣類用冷感付与剤とすることもできるが、冷感に併せて若干の刺激性を有する衣類用冷感付与剤とすることもできる。使用者によっては、このような刺激を冷涼感や爽快感として好む場合があるため、使用者の嗜好に応じて冷感と刺激性のバランスがとれた衣類用冷感付与剤を得ることができる。 本発明の衣類用冷感付与剤は、メントールとエタノールを含有することを特徴とするものである。本明細書において、冷感とは、本発明の衣類用冷感付与剤を衣服に噴霧・塗布した部分が身体に接触した際にひんやりと冷たい感じがすることを指す。さらに、刺激性とは、本発明の衣類用冷感付与剤を衣服に噴霧・塗布した部分が身体に接触した際に、ぴりぴりとした若干の痛みを感じることを指すが、使用者によってはこのような刺激を冷涼感や爽快感として好む場合がある。以下、本発明の組成物の各成分について詳述する。 (1)メントール 本発明の組成物に用いられるメントールとしては、単離された、l−メントール、d−メントール、dl−メントール等を用いることができ、好ましくはl−メントールである。また、本発明においては、メントールを含む精油を使用することも可能である。このような精油としては、例えばハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油等が挙げられる。これらの精油を、本発明の冷感付与剤のメントール成分として用いることもできるが、衣類に適用した場合のべたつきや、精油に含有される夾雑物によるニオイを抑制する観点からは、単離されたメントールを使用するのが好ましい。本発明の組成物中には、メントールとして、これらの化合物や精油を1種単独で、又は2以上を組み合わせて用いることができる。 本発明の組成物中のメントールの配合割合は、例えば、冷感持続力の観点から0.1重量%程度以上であればよい。ただし、25重量%程度より多くなると肌への刺激が強すぎるという問題点が生じるため、25重量%程度以下であることが好ましい。さらに冷感持続力および刺激性の両観点からより好ましくは0.5〜20重量%程度、さらに好ましくは0.75〜20重量%程度、最も好ましくは2.5〜7重量%程度である。また、より冷感を求める場合、メントールの配合割合は2.5〜20重量%程度であることが好ましく、さらに冷感を強く求める場合、メントールの配合割合は10〜20重量%程度であることが好ましい。 より詳細には、例えばメントールの配合割合が10〜20重量%程度の場合には、若干の刺激が感じられる。刺激性については、全く刺激性を求めない使用者と、若干の刺激性があるものを好む使用者がいることから、使用者の嗜好に応じて適宜調整することが望ましい。メントールの配合割合が10〜20重量%程度であれば、顕著な冷感付与効果と適度な刺激性が得られ、両者のバランスが調整された衣類用冷感付与剤とすることができる。 (2)エタノール 本発明の組成物に用いられるエタノールとしては、純度95%以上のものを用いることが好ましい。本発明の組成物中のエタノールの配合割合は、例えば、冷感持続力の観点から99.9重量%程度以下であればよい。ただし、50重量%程度より少なくなると速乾性が悪すぎるという問題点が生じるため、50重量%程度以上であることが好ましい。さらに冷感持続力および速乾性の両観点から、より好ましくは59〜99.5重量%程度、さらに好ましくは69〜99.25重量%程度、最も好ましくは79〜97.5重量%程度である。 また、上記(1)成分:メントールと(2)成分:エタノールの配合比率は、例えばメントール1重量部に対して、エタノール2〜999重量部程度、好ましくは2.5〜199重量部程度、より好ましくは2.5〜132.3重量部程度、より好ましくは2.5〜99重量部程度、さらに好ましくは2.5〜39重量部程度である。 メントール及びエタノールが上記配合割合及び配合比率を充足する衣類用冷感付与剤であれば、衣類に適用した場合に冷感付与効果が有効に獲得される。 (3)その他の成分 本発明の衣類用冷感付与剤は、上記メントール及びエタノール以外に水を含有していても良い。水を含有させることによって、衣類に対して用いる場合に布への浸透性を高めることができる。ただし、水の含有量が多すぎると衣類が濡れてべたつくので、速乾性の観点からは、本発明の衣類用冷感付与剤は水の含有量が少ないものであることが好ましい。水を含有させる場合には、組成物の総量に対して0〜45重量%程度、好ましくは0〜40重量%程度、より好ましくは0〜30重量%程度、さらに好ましくは0〜20重量%程度とする。 また、本発明の組成物には、身体に悪影響を及ぼさない成分を適宜選択して配合することができる。配合可能な成分としては、例えば、油性成分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然および合成高分子、水溶性および油溶性高分子、紫外線吸収剤、血行促進剤、各種抽出液、無機および有機顔料、無機および有機粘土鉱物、金属石鹸処理またはシリコーン類で処理された無機および有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、カチオン性金属イオン、消臭剤、除菌剤、その他の薬剤等が挙げられる。これらの各種成分は、本発明の衣類用冷感付与剤中に、上記メントールとエタノールの総量が冷感付与に必要な最低濃度を満たす場合、例えば50.1重量%以上、好ましくは59.5重量%以上である場合に配合することができる。 本発明の衣類用冷感付与剤は、上記各成分を所定量混合することによって得ることができる。混合の方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。 このようにして得られる本発明の衣類用冷感付与剤の剤型は、衣類に噴霧適用できる剤型であれば特に限定されず、従来公知の方法に従って適宜調製することができる。本発明の衣類用冷感付与剤の剤型としては、例えばエアゾールスプレータイプ、ミストスプレータイプ、ロールオンタイプ、ポンプスプレータイプ等が挙げられ、布への浸透性や対象物が限定できる等の利点を考慮するとミストスプレータイプであることが好ましい。 本発明の組成物を使用する場合、例えばYシャツ、Tシャツ、肌着等の衣類の肌に接する面に適当量噴霧すればよい。具体的な噴霧量としては、特に限定されるものではないが、例えば0.25〜2.5ml/cm2である。また、噴霧は衣類を着用する前であっても後であってもよいが、汗をかきやすい脇、首筋、背中等に噴霧すると、汗をかいたときに冷たく感じ、本発明の効果がより一層有効に発揮され得る。 本発明の衣類用冷感付与剤は、衣類に噴霧することによって衣類を構成する布上又は布中に保持され、身体表面の汗と接触することによって冷感を付与し得るものである。また、前述のように、メントールの配合割合によっては、若干の刺激も付与され得るが、このような刺激性を好む使用者もいるため、冷感の強度とのバランスを考慮して適宜調整することが望ましい。さらに、本発明の冷感付与剤は、衣類に対して悪影響を与えることもない。 以下、実施例、処方例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。 試験例1. メントールとエタノールの組み合わせ以外の組成について、冷感効果を評価した。結果を下表2に示す。なお、各成分の製品名及び販売元は下表1の通りである。 表2に示される結果より、メントールとエタノールを組み合わせた場合に最も優れた冷感作用が得られることが示された。また、メントールを含有するハッカ油についても優れた冷感作用は認められたが、香りやべたつきの点で問題があった。その他の組み合わせについては、冷感効果が不十分であり、皮膚刺激性が強いため本発明の効果を奏し得ないものであった。 試験例2. 下記表3に示される処方の衣類用冷感付与剤について、冷感効果及び刺激の有無をパネラー30人(年齢20代及び30代;女性10名及び男性20名)により評価した。 評価は、各衣類用冷感付与剤をミストスプレーボトルに充填し、着用している衣類の襟袖、脇、膝裏、背中、腹部の各部に5回ずつ噴霧(約1.25ml/cm2)して行った。評価基準は以下の通りである。結果を下記表3に示す。<冷感効果>1 冷感を感じない2 冷感をあまり感じない3 やや冷感を感じる4 冷感を感じる5 冷感を強く感じる 上記基準に従って、噴霧後すぐ(0h)、1時間後(1h)、2時間後(2h)及び4時間後(4h)において、気温40℃・湿度75%の部屋に5分入って汗をかいた状態で評価した。 上記基準によって評価された、噴霧後各時間の結果について平均値を算出し、以下のように分類した。× 1時間後以降3未満△ 1時間後以降3以上、2時間後以降3未満○ 2時間後以降3以上、4時間後3未満◎ 4時間後において3以上3.5未満☆ 4時間後において3.5以上 <刺激の有無>1 刺激(痛み)がある2 やや刺激(痛み)がある3 わずかに刺激を感じるが、さほど気にならない程度4 刺激をあまり感じない5 刺激を感じない 刺激の有無については、冷感付与剤を衣類に噴霧後すぐに評価を行った。 上記基準によって評価された結果の平均値を算出し、以下のように分類した。× 1以上〜2未満 △ 2以上〜3未満 ○ 3以上〜4未満 ◎ 4以上〜5以下 メントールの配合割合が0.5〜20重量%の冷感付与剤は、良好な冷感効果を奏し、肌への刺激も少なかった。また、メントールの配合割合が0.75〜20重量%の冷感付与剤は、より優れた冷感効果を奏し、肌への刺激もほとんどなかった。 さらに、メントールの配合割合が2.5〜20重量%では4時間経過後も3以上の冷感が付与され、10〜20重量%では4時間経過後の冷感が3.5以上であることが示された。より詳しくは、メントールの配合割合が2.5〜7重量%(実施例4〜6)の場合には全くの刺激性がなく優れた冷感付与の効果が得られることが示された。また、メントールの配合割合が10〜20重量%(実施例7〜8)の場合にはさらに顕著な冷感付与効果が長時間に亘って得られることが示された。ただし、実施例7及び8は、同時に若干の刺激性も認められた。しかしながら、使用者によっては、このような若干の刺激を好む場合があることから、メントールの配合割合を10〜20重量%とすることによって、冷感の強度と刺激性のバランスが適当に調整された衣類用冷感付与剤を提供し得ることが示された。 これに対し、メントールの配合割合が0.01重量%の冷感付与剤(比較例1)は、肌への刺激はなかったものの、十分な冷感効果が得られなかった。一方、メントールの配合割合が30重量%の冷感付与剤は、冷感効果に優れていたが、肌への刺激が強く、痛みが感じられるほどであった。 また、実施例4について、各時間における評価を23℃の部屋で汗をかいていない状態で冷感効果の評価を行ったところ、(0h)4.75,(1h)1.75,(2h)1.00,(4h)1.00であった。この結果より、本発明の冷感付与剤は、汗をかいたときのみ(すなわち冷感を求めるときにのみ)良好な冷感が持続的に得られることが示された。 試験例3. 下記表4に示される処方の衣類用冷感付与剤について、冷感効果及び速乾性をパネラー人により評価した。なお、パネラーは上記試験例2と同様である。評価は、上記試験例2と同様に行った。速乾性の評価基準は以下の通りであり、冷感効果の評価基準は上記試験例2に示される通りである。結果を下記表4に示す。<速乾性>1 速乾性がない(べたつくきがひどく、不快)2 速乾性はなく、ややべたつく感じがする3 やや湿った感じがする4 やや湿った感じがするが、すぐに気にならない程度に乾いた5 薬液を噴霧後、すぐに乾いた 上記基準によって評価された結果の平均値を算出した。平均値によって以下のように分類した。× 1以上〜2未満 △ 2以上〜3未満 ○ 3以上〜4未満 ◎ 4以上〜5以下 表4に示される結果より、蒸留水の配合割合は0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%であれば、良好な冷感効果と速乾性が得られることが示された。また、特に蒸留水の配合割合が0〜20重量%の場合に、良好な冷感効果と優れた速乾性が両立されることが示された。一方、蒸留水を50重量%も含有する冷感付与剤(比較例3)は、速乾性がないため衣類用として適していないことが示された。 以下に処方例を示す。下記表5に示される配合割合に従って各成分を混合し、冷感付与剤を得ることができる。処方例 0.1〜25重量%のメントールと、エタノールとを含有する衣類用冷感付与剤。 メントールがl−メントールである、請求項1に記載の衣類用冷感付与剤。 エタノールを50〜99.9重量%含有する、請求項1又は2に記載の衣類用冷感付与剤。 ミストスプレータイプである請求項1〜3のいずれかに記載の衣類用冷感付与剤。 請求項1〜4のいずれかに記載の衣類用冷感付与剤を、衣類に適用することによって冷感を得る方法。 【課題】衣服に適用して身体と接触することによって冷感を求めるときに涼しく感じることができる衣類用冷感付与剤を提供する。【解決手段】メントール及びエタノールを含有する衣類用冷感付与剤。【選択図】なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_衣類用冷感付与剤

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_衣類用冷感付与剤
出願番号:2008254231
年次:2014
IPC分類:D06M 13/144,A61K 8/34,A61K 8/02,A61K 8/31


特許情報キャッシュ

石野 哲朗 JP 5586138 特許公報(B2) 20140801 2008254231 20080930 衣類用冷感付与剤 小林製薬株式会社 000186588 特許業務法人三枝国際特許事務所 110000796 石野 哲朗 20140910 D06M 13/144 20060101AFI20140821BHJP A61K 8/34 20060101ALN20140821BHJP A61K 8/02 20060101ALN20140821BHJP A61K 8/31 20060101ALN20140821BHJP JPD06M13/144A61K8/34A61K8/02A61K8/31 D06M13/00−15/715 A61K 8/00− 8/99 A61Q 1/00−90/00 特開2007−297719(JP,A) 特開2005−089882(JP,A) 特開2007−176850(JP,A) 特開2000−239142(JP,A) 特開2001−181120(JP,A) 特開2003−096662(JP,A) 特開2009−263664(JP,A) 特開平10−231238(JP,A) 国際公開第1996/029062(WO,A1) 特開平04−333661(JP,A) 特開平05−117972(JP,A) 特開2000−095679(JP,A) 特開平06−219902(JP,A) 特開2000−191437(JP,A) 5 2010084269 20100415 12 20110913 家城 雅美 本発明は、衣類用冷感付与剤に関する。より具体的には、衣服に適用して身体と接触することによって冷感を求めるときに涼しく感じることができる衣類用冷感付与剤に関する。 近年、地球温暖化に伴って気温が上昇する傾向にあり、特に夏場の暑さが年々厳しくなってきている。その一方で、地球温暖化を抑制するためにエアコンの設定温度を高めにすることが奨励されている。また、夏場にネクタイや上着を着用しない、いわゆるクールビズが奨励されているものの、どうしても軽装になれない場合もある。このような厳しい暑さをしのぐための製品としては、例えば冷却スプレーのように局所的に冷感を付与して一時的に暑さを和らげることができるものがすでに知られている(例えば特許文献1及び2)。また、冷却剤を収容したバッグ、マット等も知られている(例えば非特許文献1及び2)。 しかしながら冷却スプレー等は、通常、肌に直接噴霧するため、べたついたり、人によっては含有される成分に過敏に反応して肌荒れ等を起こす等の問題があった。また、汗によって冷却成分が流れ落ちたり、揮発性の冷却成分を用いた場合には体温で常に冷却成分が揮発されるなど、冷感が持続しないという問題があった。また、冷却剤を収容したバッグ、マット等は、暑さを感じなくなっても冷感を付与し続けるため、冷感効果が強すぎて寒く感じることがあった。 このような背景から、冷感効果が長期に亘って持続し、且つ冷感を感じたいと思った時に応じて優れた冷感効果を発揮する冷感付与剤が求められていた。特開2000−239142特開2002−80335実新第3080868実新第3118424 本発明は、持続性に優れた衣類用冷感付与剤を提供することを主な目的とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、メントールとエタノールを含有する組成物を衣類に噴霧又は塗布することによって、持続性に優れ、汗をかいたときに冷感を付与し得ることを見いだした。本発明は、このような知見に基づいてさらに研究を重ねた結果完成されたものである。 本発明は、以下の衣類用冷感付与剤を提供する。項1.0.1〜25重量%のメントールと、エタノールとを含有する衣類用冷感付与剤。項2.メントールがl−メントールである、項1に記載の衣類用冷感付与剤。項3.エタノールを50〜99.9重量%含有する、項1又は2に記載の衣類用冷感付与剤。項4.ミストスプレータイプである項1〜3のいずれかに記載の衣類用冷感付与剤。項5.項1〜4のいずれかに記載の衣類用冷感付与剤を、衣類に適用することによって冷感を得る方法。 本発明の衣類用冷感付与剤は、衣類に噴霧するだけで、汗をかくたびに冷感を感じ、暑い日中でも涼しく過ごすことができる。また、本発明の組成物は、一度吹きかけると数時間に亘って効果が持続し、冷涼感の持続性が高いものである。また、汗をかいた時にのみ冷涼感を感じるので、冷感を求めない時にまで涼しく感じることを防ぐことができる。 さらに、本発明の冷感付与剤は、皮膚に直接塗布するのではなく、衣類に吹きかけるので皮膚刺激性が低く、極めて使用感に優れたものである。刺激性については、メントールの配合割合を調節することによって適宜調整することができる。従って、冷感を付与するが全く刺激性を有しない衣類用冷感付与剤とすることもできるが、冷感に併せて若干の刺激性を有する衣類用冷感付与剤とすることもできる。使用者によっては、このような刺激を冷涼感や爽快感として好む場合があるため、使用者の嗜好に応じて冷感と刺激性のバランスがとれた衣類用冷感付与剤を得ることができる。 本発明の衣類用冷感付与剤は、メントールとエタノールを含有することを特徴とするものである。本明細書において、冷感とは、本発明の衣類用冷感付与剤を衣服に噴霧・塗布した部分が身体に接触した際にひんやりと冷たい感じがすることを指す。さらに、刺激性とは、本発明の衣類用冷感付与剤を衣服に噴霧・塗布した部分が身体に接触した際に、ぴりぴりとした若干の痛みを感じることを指すが、使用者によってはこのような刺激を冷涼感や爽快感として好む場合がある。以下、本発明の組成物の各成分について詳述する。 (1)メントール 本発明の組成物に用いられるメントールとしては、単離された、l−メントール、d−メントール、dl−メントール等を用いることができ、好ましくはl−メントールである。また、本発明においては、メントールを含む精油を使用することも可能である。このような精油としては、例えばハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油等が挙げられる。これらの精油を、本発明の冷感付与剤のメントール成分として用いることもできるが、衣類に適用した場合のべたつきや、精油に含有される夾雑物によるニオイを抑制する観点からは、単離されたメントールを使用するのが好ましい。本発明の組成物中には、メントールとして、これらの化合物や精油を1種単独で、又は2以上を組み合わせて用いることができる。 本発明の組成物中のメントールの配合割合は、例えば、冷感持続力の観点から0.1重量%程度以上であればよい。ただし、25重量%程度より多くなると肌への刺激が強すぎるという問題点が生じるため、25重量%程度以下であることが好ましい。さらに冷感持続力および刺激性の両観点からより好ましくは0.5〜20重量%程度、さらに好ましくは0.75〜20重量%程度、最も好ましくは2.5〜7重量%程度である。また、より冷感を求める場合、メントールの配合割合は2.5〜20重量%程度であることが好ましく、さらに冷感を強く求める場合、メントールの配合割合は10〜20重量%程度であることが好ましい。 より詳細には、例えばメントールの配合割合が10〜20重量%程度の場合には、若干の刺激が感じられる。刺激性については、全く刺激性を求めない使用者と、若干の刺激性があるものを好む使用者がいることから、使用者の嗜好に応じて適宜調整することが望ましい。メントールの配合割合が10〜20重量%程度であれば、顕著な冷感付与効果と適度な刺激性が得られ、両者のバランスが調整された衣類用冷感付与剤とすることができる。 (2)エタノール 本発明の組成物に用いられるエタノールとしては、純度95%以上のものを用いることが好ましい。本発明の組成物中のエタノールの配合割合は、例えば、冷感持続力の観点から99.9重量%程度以下であればよい。ただし、50重量%程度より少なくなると速乾性が悪すぎるという問題点が生じるため、50重量%程度以上であることが好ましい。さらに冷感持続力および速乾性の両観点から、より好ましくは59〜99.5重量%程度、さらに好ましくは69〜99.25重量%程度、最も好ましくは79〜97.5重量%程度である。 また、上記(1)成分:メントールと(2)成分:エタノールの配合比率は、例えばメントール1重量部に対して、エタノール2〜999重量部程度、好ましくは2.5〜199重量部程度、より好ましくは2.5〜132.3重量部程度、より好ましくは2.5〜99重量部程度、さらに好ましくは2.5〜39重量部程度である。 メントール及びエタノールが上記配合割合及び配合比率を充足する衣類用冷感付与剤であれば、衣類に適用した場合に冷感付与効果が有効に獲得される。 (3)その他の成分 本発明の衣類用冷感付与剤は、上記メントール及びエタノール以外に水を含有していても良い。水を含有させることによって、衣類に対して用いる場合に布への浸透性を高めることができる。ただし、水の含有量が多すぎると衣類が濡れてべたつくので、速乾性の観点からは、本発明の衣類用冷感付与剤は水の含有量が少ないものであることが好ましい。水を含有させる場合には、組成物の総量に対して0〜45重量%程度、好ましくは0〜40重量%程度、より好ましくは0〜30重量%程度、さらに好ましくは0〜20重量%程度とする。 また、本発明の組成物には、身体に悪影響を及ぼさない成分を適宜選択して配合することができる。配合可能な成分としては、例えば、油性成分、界面活性剤、保湿剤、高級アルコール、金属イオン封鎖剤、天然および合成高分子、水溶性および油溶性高分子、紫外線吸収剤、血行促進剤、各種抽出液、無機および有機顔料、無機および有機粘土鉱物、金属石鹸処理またはシリコーン類で処理された無機および有機顔料、有機染料等の色剤、防腐剤、酸化防止剤、色素、増粘剤、pH調整剤、香料、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、カチオン性金属イオン、消臭剤、除菌剤、その他の薬剤等が挙げられる。これらの各種成分は、本発明の衣類用冷感付与剤中に、上記メントールとエタノールの総量が冷感付与に必要な最低濃度を満たす場合、例えば50.1重量%以上、好ましくは59.5重量%以上である場合に配合することができる。 本発明の衣類用冷感付与剤は、上記各成分を所定量混合することによって得ることができる。混合の方法は特に限定されず、従来公知の方法を採用することができる。 このようにして得られる本発明の衣類用冷感付与剤の剤型は、衣類に噴霧適用できる剤型であれば特に限定されず、従来公知の方法に従って適宜調製することができる。本発明の衣類用冷感付与剤の剤型としては、例えばエアゾールスプレータイプ、ミストスプレータイプ、ロールオンタイプ、ポンプスプレータイプ等が挙げられ、布への浸透性や対象物が限定できる等の利点を考慮するとミストスプレータイプであることが好ましい。 本発明の組成物を使用する場合、例えばYシャツ、Tシャツ、肌着等の衣類の肌に接する面に適当量噴霧すればよい。具体的な噴霧量としては、特に限定されるものではないが、例えば0.25〜2.5ml/cm2である。また、噴霧は衣類を着用する前であっても後であってもよいが、汗をかきやすい脇、首筋、背中等に噴霧すると、汗をかいたときに冷たく感じ、本発明の効果がより一層有効に発揮され得る。 本発明の衣類用冷感付与剤は、衣類に噴霧することによって衣類を構成する布上又は布中に保持され、身体表面の汗と接触することによって冷感を付与し得るものである。また、前述のように、メントールの配合割合によっては、若干の刺激も付与され得るが、このような刺激性を好む使用者もいるため、冷感の強度とのバランスを考慮して適宜調整することが望ましい。さらに、本発明の冷感付与剤は、衣類に対して悪影響を与えることもない。 以下、実施例、処方例等を示して本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されない。 試験例1. メントールとエタノールの組み合わせ以外の組成について、冷感効果を評価した。結果を下表2に示す。なお、各成分の製品名及び販売元は下表1の通りである。 表2に示される結果より、メントールとエタノールを組み合わせた場合に最も優れた冷感作用が得られることが示された。また、メントールを含有するハッカ油についても優れた冷感作用は認められたが、香りやべたつきの点で問題があった。その他の組み合わせについては、冷感効果が不十分であり、皮膚刺激性が強いため本発明の効果を奏し得ないものであった。 試験例2. 下記表3に示される処方の衣類用冷感付与剤について、冷感効果及び刺激の有無をパネラー30人(年齢20代及び30代;女性10名及び男性20名)により評価した。 評価は、各衣類用冷感付与剤をミストスプレーボトルに充填し、着用している衣類の襟袖、脇、膝裏、背中、腹部の各部に5回ずつ噴霧(約1.25ml/cm2)して行った。評価基準は以下の通りである。結果を下記表3に示す。<冷感効果>1 冷感を感じない2 冷感をあまり感じない3 やや冷感を感じる4 冷感を感じる5 冷感を強く感じる 上記基準に従って、噴霧後すぐ(0h)、1時間後(1h)、2時間後(2h)及び4時間後(4h)において、気温40℃・湿度75%の部屋に5分入って汗をかいた状態で評価した。 上記基準によって評価された、噴霧後各時間の結果について平均値を算出し、以下のように分類した。× 1時間後以降3未満△ 1時間後以降3以上、2時間後以降3未満○ 2時間後以降3以上、4時間後3未満◎ 4時間後において3以上3.5未満☆ 4時間後において3.5以上 <刺激の有無>1 刺激(痛み)がある2 やや刺激(痛み)がある3 わずかに刺激を感じるが、さほど気にならない程度4 刺激をあまり感じない5 刺激を感じない 刺激の有無については、冷感付与剤を衣類に噴霧後すぐに評価を行った。 上記基準によって評価された結果の平均値を算出し、以下のように分類した。× 1以上〜2未満 △ 2以上〜3未満 ○ 3以上〜4未満 ◎ 4以上〜5以下 メントールの配合割合が0.5〜20重量%の冷感付与剤は、良好な冷感効果を奏し、肌への刺激も少なかった。また、メントールの配合割合が0.75〜20重量%の冷感付与剤は、より優れた冷感効果を奏し、肌への刺激もほとんどなかった。 さらに、メントールの配合割合が2.5〜20重量%では4時間経過後も3以上の冷感が付与され、10〜20重量%では4時間経過後の冷感が3.5以上であることが示された。より詳しくは、メントールの配合割合が2.5〜7重量%(実施例4〜6)の場合には全くの刺激性がなく優れた冷感付与の効果が得られることが示された。また、メントールの配合割合が10〜20重量%(実施例7〜8)の場合にはさらに顕著な冷感付与効果が長時間に亘って得られることが示された。ただし、実施例7及び8は、同時に若干の刺激性も認められた。しかしながら、使用者によっては、このような若干の刺激を好む場合があることから、メントールの配合割合を10〜20重量%とすることによって、冷感の強度と刺激性のバランスが適当に調整された衣類用冷感付与剤を提供し得ることが示された。 これに対し、メントールの配合割合が0.01重量%の冷感付与剤(比較例1)は、肌への刺激はなかったものの、十分な冷感効果が得られなかった。一方、メントールの配合割合が30重量%の冷感付与剤は、冷感効果に優れていたが、肌への刺激が強く、痛みが感じられるほどであった。 また、実施例4について、各時間における評価を23℃の部屋で汗をかいていない状態で冷感効果の評価を行ったところ、(0h)4.75,(1h)1.75,(2h)1.00,(4h)1.00であった。この結果より、本発明の冷感付与剤は、汗をかいたときのみ(すなわち冷感を求めるときにのみ)良好な冷感が持続的に得られることが示された。 試験例3. 下記表4に示される処方の衣類用冷感付与剤について、冷感効果及び速乾性をパネラー人により評価した。なお、パネラーは上記試験例2と同様である。評価は、上記試験例2と同様に行った。速乾性の評価基準は以下の通りであり、冷感効果の評価基準は上記試験例2に示される通りである。結果を下記表4に示す。<速乾性>1 速乾性がない(べたつくきがひどく、不快)2 速乾性はなく、ややべたつく感じがする3 やや湿った感じがする4 やや湿った感じがするが、すぐに気にならない程度に乾いた5 薬液を噴霧後、すぐに乾いた 上記基準によって評価された結果の平均値を算出した。平均値によって以下のように分類した。× 1以上〜2未満 △ 2以上〜3未満 ○ 3以上〜4未満 ◎ 4以上〜5以下 表4に示される結果より、蒸留水の配合割合は0〜40重量%、好ましくは0〜30重量%であれば、良好な冷感効果と速乾性が得られることが示された。また、特に蒸留水の配合割合が0〜20重量%の場合に、良好な冷感効果と優れた速乾性が両立されることが示された。一方、蒸留水を50重量%も含有する冷感付与剤(比較例3)は、速乾性がないため衣類用として適していないことが示された。 以下に処方例を示す。下記表5に示される配合割合に従って各成分を混合し、冷感付与剤を得ることができる。処方例0.75〜20重量%のl−メントールと、50〜99.25重量%のエタノールと、0〜40重量%の水とを含有し、噴霧適用される衣類用冷感付与剤。エタノールを69〜99.25重量%含有する、請求項1に記載の衣類用冷感付与剤。水を0〜30重量%含有する、請求項1又は2に記載の衣類用冷感付与剤。ミストスプレータイプである請求項1〜3のいずれかに記載の衣類用冷感付与剤。請求項1〜4のいずれかに記載の衣類用冷感付与剤を、衣類に噴霧適用することによって冷感を得る方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る