生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_モノメチルヒドラジンの製造方法
出願番号:2008249197
年次:2009
IPC分類:C07C 241/02,C07C 243/14


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ウーヴェ・ベーガー ウルリヒ・ノータイス マティアス・ジークマン JP 2009102309 公開特許公報(A) 20090514 2008249197 20080926 モノメチルヒドラジンの製造方法 サルティゴ・ゲーエムベーハー 506207853 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 村山 靖彦 100108453 実広 信哉 100110364 ウーヴェ・ベーガー ウルリヒ・ノータイス マティアス・ジークマン DE 102007046467.5 20070928 C07C 241/02 20060101AFI20090417BHJP C07C 243/14 20060101ALI20090417BHJP JPC07C241/02C07C243/14 7 OL 24 4H006 4H006AA02 4H006AC59 4H006AD11 4H006AD40 4H006BC51 4H006BD10 4H006BD40 4H006BD60 4H006BD80 4H006BE10 4H006BE27 本発明は、モノメチルヒドラジンの製造方法に関する。 以下においてMMHと称するモノメチルヒドラジンは、作物保護剤および医薬品の調製のための価値ある出発原料である。しかしそれはまた、航空宇宙およびロケット技術において燃料としても使用される。 工業規模では、MMHは主に改良ラシヒ法によって調製される。第1のステップではアンモニアと次亜塩素酸ナトリウムからクロラミンを調製し、次に第2のステップでメチルアミンと反応させてMMHを得る。 あるいは、メチル尿素を水酸化ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウムと反応させてMMHを得ることができる。これら2つの方法は非常に低い生成物濃度をもたらすので、濃縮および精製のために、複雑な設備を用いたエネルギー集約的な分離ステップが必要とされる。 さらに知られているのは、メチルアミンをニトロソ化し、生成したニトロソアミンを水素化してメチルヒドラジンを得る方法である。しかし中間体の発癌性のために、本方法は工業的には用いられていない。 さらにMMHは、ヒドラジンまたはヒドラジン化合物をアルキル化して調製できる。この分野では、様々な方法について記載がある。 記載されている工業的に入手できるアルキル化剤としては、例えば硫酸ジメチル、塩化メチル、メタノール/塩化メチル、HCl源存在下でのメタノール、およびハロゲン化トリメチルアニリニウムが挙げられる。 一般にヒドラジンのアルキル化においては、モノアルキル化段階で反応が停止せず、その代わりに、反応条件およびアルキル化の程度に応じて、未転化ヒドラジンと、MMHと、対称ジメチルヒドラジン(SDMH)、非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)、およびトリメチルヒドラジン(TMH)などのポリアルキル化ヒドラジンと、ヒドラジニウム化合物との混合物が得られ、これらは分離することが難しいおそれがあるという困難さがある。 アルキル化されるヒドラジン化合物が遊離ヒドラジンでなく、ヒドラジニウム塩である場合には、より高い温度が必要とされるが、同一転化率におけるモノアルキル化生成物に対する選択性は、遊離ヒドラジンのアルキル化の場合よりも高い。 したがって典型的には、モノアルキル化生成物に対する高選択性を達成するためには、ヒドラジンまたはヒドラジン化合物に基づく部分的変換のみが確立されている。経済的実行可能性のためには、未転化ヒドラジンを効率的に除去して再利用することが特に重要である。 アルキル化後、アルキル化剤の脱離基は、場合によりさらなる非荷電分子の放出を伴って、反応混合物中でヒドラジンとの塩を形成する。形成されたアルキルヒドラジンおよび/または出発ヒドラジンは、後処理(workup)においてこの塩から解き放され、除去されなくてはならない。 MMHとヒドラジンは、水との二成分高沸点共沸混合物を形成する。このMMH/水共沸混合物は1モルのMMHあたり約3モルの水を含有し、102〜106℃で沸騰する。ヒドラジンは120〜121℃で沸騰する等モル共沸混合物を水と形成する。したがって組成に従ってアルカリ金属水酸化物を用いたそれらの放出後に、新たに形成された塩からヒドラジンを除去することが本発明により意図されるのであれば、最初に水、次にMMH/水共沸混合物、次にヒドラジン/水共沸混合物が蒸留されて、塩は個体として残る。工業的には、これは特殊化された複雑な装置を必要とする。さらに固体含有混合物には、ヒドラジンの熱安定性の理由から避けなくてはならない、外皮形成および局所過熱のリスクがある。 (特許文献1)は、硫酸ジメチルをヒドラジンまたは硫酸ヒドラジニウムと反応させることによる、主にMMHおよびUDMHから構成される混合物の調製について記載している。アルキル化剤としての硫酸ジメチルは、2つのメチル基が完全に活用できないという欠点を有する。不完全な利用の場合に形成されるメチル硫酸は生分解性が非常に劣り、したがって追加のステップで加水分解されなくてはならない。 (特許文献2)はモノメチルヒドラジンを調製する方法について記載しており、その方法では、ヒドラジン二塩酸塩または塩化メチルの存在下で、ヒドラジン塩酸塩とメタノールとを反応させてモノメチルヒドラジン塩酸塩を得る。30%を超えないヒドラジン一塩酸塩の転化が記載されている。次に蒸留によってメタノールおよび塩化メチルを生成物混合物から除去し、これらは再利用可能である。存在する全ての水を、同様に蒸留によって除去する。次に残渣にメタノールを添加し、結晶性ヒドラジン一塩酸塩を固体として沈殿させ、それを除去する。このヒドラジン塩酸塩は、反応に再利用できる。ヒドラジン塩酸塩の除去後に残った混合物を水性アルカリ溶液と混合する。これによりメチルヒドラジンが解き放たれ、それは蒸留によって単離および精製できる。 しかしこの方法は、社内での実験で示されたように、MMHの良好な選択は比較的低い転化の場合にしか達成されないという欠点を有する。 さらにこの方法は、反応混合物からのメタノールおよび水の蒸留除去と、次に新しいメタノールの添加を必要とする。 ヒドラジン塩酸塩はメタノールに部分的に可溶性であるので、水酸化ナトリウム溶液による母液の中和後、モノメチルヒドラジンおよびヒドラジンの双方が精留ステップに入る。ヒドラジンも同様にここで除去されて再利用されなくてはならない。記載した精留ステップは、さらに、解き放たれたヒドラジンの蒸留後にNaClの固体残渣が塔底部に残るという深刻な欠点を有する。したがってこの蒸留は特別な装置内でしか行うことができず、ヒドラジン類の分解傾向に鑑みると安全性の理由から危険でもある。 ヒドラジン塩酸塩の再利用なしには、本方法は、使用されるヒドラジンを基準にして低収率であるため非経済的である。したがって大量の未転化ヒドラジン塩酸塩が、固体の取り扱いを伴う複雑な後処理において、再び再利用されなくてはならない。 (特許文献3)は、ヒドラジン二塩酸塩または塩化メチルの存在下でヒドラジン塩酸塩とメタノールとを反応させて調製されたモノメチルヒドラジン塩酸塩含有生成物の混合物から、モノメチルヒドラジンを得るための別の方法について記載している。 この場合、反応混合物はメタノールおよび水の蒸留除去によって濃縮され、存在する塩酸塩を基準にして1.2〜2倍の過剰なヒドラジン水和物(HyHy)と混合される。次に、ヒドラジンよりも低い沸点を有するメチルヒドラジンを解き放つために、存在する塩酸塩を基準にして2.2〜3.0モルのヒドラジンを含有するこの混合物を蒸留する。添加されたヒドラジンの一部もまた回収できる。蒸留中の反応混合物の最高温度は120℃未満であるべきであり、ヒドラジン水和物の沸点120℃を考慮すると、それは減圧蒸留を必要とする。 しかし、空気の侵入、及びヒドラジンと大気中の酸素との反応をもたらす装置の漏れをなくさなくてはならず、それには工業プラントに広範な安全対策が必要となる。 したがって記載された方法は、工業的方法として不利である。 (特許文献4)はモノアルキルヒドラジンを調製する方法を記載しており、この方法では、ヒドラジン、メタノール、およびハロゲン化水素酸を、リン含有酸素酸存在下で反応させてモノメチルヒドラジンを得る。反応混合物を減圧下で濃縮し、50%水酸化ナトリウム溶液で中和する。無機固体が沈殿する。この固体を濾過により除去し、もう一度洗浄し、合わせた液相を分留する。蒸留後、無機塩が残り、それは未転化ヒドラジンの大半を含む。ヒドラジンの再利用については記載されていない。 使用されるヒドラジンを基準にして低収率であるために、この方法は非経済的である。 (特許文献5)は、トリメチルアニリニウムハロゲン化物をヒドラジンまたはMMHとを反応させることを特徴とする、MMHおよび非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)を調製する方法を記載している。5〜12:1の過剰なヒドラジン対トリメチルアニリニウムハロゲン化物を用いる。形成されるジメチルアニリンを相分離によって有機相として除去し、水相を蒸留してMMHおよびUDMHを得る。 この方法は、ジメチルアニリンを再利用して、追加のステップで塩化メチルと反応させ、アルキル化剤を得なくてはならないという欠点を有する。米国特許第2 954 283号明細書DE−A 31 48 971JP−A−58157751JP−A−60237059DE−A 30 26 771 したがって本発明の目的は、容易に利用できる化学物質からの複雑な展開なしに、従来の多目的装置中で実施できるモノメチルヒドラジンの製造方法を提供することである。 本発明は、1)塩化メチル、メタノールおよびHCl、メタノールおよびヒドラジニウム二塩酸塩またはそれらの混合物による、ヒドラジンまたはヒドラジニウム塩酸塩のアルキル化が、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジンおよび/またはトリメチルヒドラジン、ならびに水およびHClもまた含む粗生成物を形成し、2)この混合物中のヒドラジン類が、この粗生成物中に存在する塩酸塩を基準にしてモル過剰量の有機塩基によって解き放たれ、3)反応器底部(ボトム)に残った有機塩基の塩酸塩から蒸留によって除去されることを特徴とする、メチルヒドラジンの製造方法に関する。 したがって本発明は、塩化メチルおよび/またはメタノール/HCl混合物を用いた、ヒドラジンまたはヒドラジニウム塩酸塩またはヒドラジニウム二塩酸塩のメチル化によるモノメチルヒドラジンの製造方法を提供し、この方法では、メチル化において形成された反応混合物を、7.0を超えるpKaおよび120℃を超える沸点の有機塩基と反応させ、モノメチルヒドラジンを反応混合物から低沸点画分に蒸留によって取り出し、この低沸点画分に場合によりさらなる蒸留を行うことを特徴とする。 本発明によれば、上記反応混合物は様々な経路によって得ることができる。 第一に、上記反応混合物は、例えばDE−A3148971に記載されているように、(ヒドラジンを基準にして)過剰のHCl存在下で、ヒドラジン塩酸塩をメタノールと反応させて調製できる。過剰なHClは、ヒドラジン二塩酸塩、HClまたは塩化メチルを添加して発生させることができる。過剰なHClなしには反応は進行しない。5〜20%HCl過剰にすることが好ましい。 一手順では、ヒドラジン水和物を最初に反応器内に仕込み、気体のHClを量り入れることができる。HClはまた、塩酸水溶液の形態で添加できる。HClは気体として添加されることが好ましい。ヒドラジンを基準にした水の量は1:1(HyHyと気体HCl)から約10:1(比較的希釈されたヒドラジン溶液と水性HCl)である。含水量は1:1〜5.5:1、より好ましくは1:1〜3:1が好ましい。 本発明によれば、反応は90〜150℃、好ましくは100〜130℃の温度で行われる。反応の圧力は、反応温度、メタノールおよび水の量、および過剰なHClの量に左右される。 2〜15バール、特に2〜5バールの圧力が典型的には好ましい。 さらなる実施態様では、ヒドラジン塩酸塩を最初に過剰なHClとともに装填して加温する。次に所望の圧力が得られるまでメタノールを量り入れ、システム内圧力が一定に保たれるに、メタノールの計量添加速度を調節する。計量添加の終了後、圧力が低下してそれ以上変化しなくなるまで待つ。 メタノールのモル量は、ヒドラジンを基準にして50%〜600%であってよく、完全に、または部分的に転化されうる。転化されるメタノールの量が多いほど、MMHに対する選択性はより低くなる。しかし収率は、約1:1の比率までさらに上昇する。反応の終わりには、添加された全メタノールが反応し終えるように、メタノール量および反応時間を選択することが好ましい。この場合、ヒドラジンを基準にして0.5:1〜1:1のメタノール量が好ましい。 第二に、ヒドラジンを塩化メチルと反応させて、反応混合物を得ることができる。ヒドラジンは、ヒドラジン水和物の形態、またはより希釈された水溶液の形態で使用できる。好ましくは100%ヒドラジン水和物が使用される。 塩化メチルは、気体形態で、または適切な圧力下での液体として、圧縮形態で使用できる。反応は、塩化メチルの計量添加によってバッチ式で、または連続的に行うことができる。 反応温度は40〜100℃、好ましくは60〜90℃である。圧力は、塩化メチル量および反応温度に左右される。反応温度および塩化メチルの量、または塩化メチルの計量添加速度を予め設定することで、選択された装置の要件に圧力を調節できるようにする。これは典型的には1〜10バール、好ましくは1〜6バールの範囲である。 この実施態様において、MMHに対する選択性は転化率に大きく左右されるので、ヒドラジンを基準にして、変換を50%、好ましくは30%に制限することが有利である。 このようにして調製された反応混合物を以下のようにしてさらに処理する。 反応混合物が、メタノールまたは塩化メチルなどの揮発性化合物をなおも含有する場合は、ヒドラジンを解き放つ(release)前にそれらを蒸留によって除去する。 上述した反応混合物を有機塩基と1:1.05〜1:3、好ましくは1:1.05〜1:2、より好ましくは1:1.05〜1:1.3の比率で反応させる。発明の蒸留の塔頂を経由して、少なくとも部分的に除去される揮発性構成成分は、ヒドラジン、MMH、UDMH、SDMH、TMH、および水である。 本発明の方法で使用される有機塩基は、以下の特徴を有する。 それらのpKa値は7.0を超えてヒドラジンのpKaよりも高く、好ましくはpKa=8.0より大きく、より好ましくはpKa=9.0より大きい。 その標準沸点はヒドラジン/水共沸混合物の沸点より高く、すなわち120℃を超えるが250℃未満であり、好ましくは大気圧(ambient pressure)で140℃より高く、220℃未満であり、より好ましくは大気圧(ambient pressure)で160℃〜200℃である。 それらは水と、MMH/水共沸混合物より低い温度で沸騰する共沸混合物を形成しない。より好ましくは、それらは水といかなる共沸混合物も形成しない。 それらの塩酸塩は蒸留条件下で液体である。 本発明による適切な塩基の例は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンまたはそれらの混合物である。これらの化合物の工業合成において得られるモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、および混合物が好ましい。特に好ましいのは、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンである。特に非常に好ましいのは、モノエタノールアミンである。 本質的に既知の様式で、これもまた塔頂を経由して蒸留される有機塩基の量は、使用するカラムの分離性能および確立された還流比に左右される1〜20段の理論段数があるカラムを使用して、0.1:1〜10:1の還流比を確立することが好ましい。塔底部での有機塩基の保持が良いほど、より少ない有機塩基過剰量を選択できる。 蒸留は原則としてバッチ式、半バッチ式または連続的に行うことができる。半バッチ式または連続法が好ましい。蒸留は大気圧または減圧下で行うことができる。標準圧力での蒸留が好ましい。 好ましい半バッチ式の実施態様では、有機塩基を最初に仕込み、130℃と塩基の沸点の間、好ましくは130〜170℃の温度にし、メチルヒドラジンが塔頂を経由して完全に蒸留されるようにして、メタノールを含まない反応混合物を塩基中に量り入れる。塩基の塩酸塩、および塩基は塔底物(ボトムズ)に残る。蒸留中に、ヒドラジンは部分的に分解する。塔頂生成物の組成は塔頂温度を通じて制御でき、還流比に影響される。大気圧力での塔頂温度は、100℃と塩基の沸点の間、好ましくは100℃〜130℃である。計量添加の速度は、塔底物中にヒドラジンの安全性に問題のある濃縮がないようにされる。 別の好ましい半バッチ式の実施態様では、全ての揮発性成分が直接、塔頂を経由して蒸留されるように反応混合物を量り入れる。 好ましい連続の実施態様では、反応混合物と有機塩基とを混合して、次に適切な装置内で連続的に蒸発させる。適切な装置としては、例えば薄膜蒸発器、短経路蒸発器または流下薄膜蒸発器などの連続蒸留のための装置が挙げられる。蒸発器内の温度および滞留時間は、MMHが塔頂を経由して完全に蒸留されるように調節される。蒸発器は分離カラム(例えば構造化充填またはランダム充填されたカラムまたはトレーカラム)と併せて操作できる。 任意選択で、蒸留の塔底物が廃液中に運搬可能に保たれるようにアルカリ金属水酸化物、好ましくはNaOHまたは水酸化ナトリウム水溶液、で有機塩基の一部を置換できる。 揮発性化合物を除去すると、遊離有機塩基の残りの量が塔低物から除去されて再利用される。これによって、塔底物中に存在するヒドラジンの最後の痕跡が熱的に分解される。 有機塩基がモノエタノールアミンなどのアルカノールアミンである場合、残る塔底物は易生分解性有機成分のみを含有し、場合により水酸化ナトリウム溶液または乳状石灰などの塩基での中和後に、水処理プラントに排水として廃棄できる。 有機層が、強い水性無機塩基を用いての遊離後に、第2の液相ならびに塩水溶液を形成する場合は、これを除去して再び再利用できる。 場合により、MMHを含む得られた低沸点画分は、UDMH、SDMH、およびあらゆるさらなる副産物を除去するために、さらなる蒸留(精密蒸留)に送ることができる。 特に好ましい実施態様では、管状反応器内、または4個までのタンクを有する一続きのタンク内で100%ヒドラジン水和物を塩化メチルと連続的に反応させる。この反応混合物と有機塩基とを反応させ、揮発性構成要素を、塔頂を経由して連続的に除去する。塔頂を経由して除去されたアルキルヒドラジンMMHおよびUDMHは、第2の蒸留ステップでヒドラジン水和物から除去され、反応内に戻して再利用される。引き続いてUDMHとMMHとの混合物を既知の方法でさらに蒸留し、販売可能なMMHおよびUDMHを得る。精密蒸留は、連続的に、さもなければバッチ式で実施できる。[実施例]全般 キャピラリー電気泳動法によって、ヒドラジン分析を実施した。比較例1(本発明によらない):トリ−n−プロピルアミン(NPr3)を塩基として用いた半バッチ式蒸留 4×4mmのラシヒリングで充填されて自動還流分割器を備えた長さ20cmおよび直径25mmの銀ジャケット付きカラムと機械撹拌機とが接続された、2Lの四つ口フラスコに、最初に525g(3.6モル)のトリプロピルアミンを入れ、160℃に加熱した。1時間35分内に、蠕動ポンプを使用して、19gのヒドラジン、32gのMMH、22gのポリアルキル化ヒドラジン、および66gのHClを含む200gの水性反応混合物をポンプアップし、沸騰するトリプロピルアミンに入れた。計量添加開始の10分後に、還流分割器を完全な還流から還流比R:Eを4:1に切り替えた。3時間内に、わずか2gのMMHしか含まない172gの混合物を蒸留した(蒸留収率6%)。比較例2(本発明によらない)N−メチルイミダゾールを塩基として用いた半バッチ式蒸留 最初に装填したアミンが470gのN−メチルイミダゾールであり、それを170℃に加熱したこと以外は、手順は比較例1と同様である。1時間33分内に、蠕動ポンプを使用して、29gのヒドラジン、50gのMMH、35gのポリアルキル化ヒドラジン、および99gのHClを含む308gの水性反応混合物をポンプを使用して、沸騰するN−メチルイミダゾールに入れた。計量添加開始の14分後に、還流分割器を完全な還流から還流比R:Eを4:1に切り替えた。4時間15分内に、わずか2.4gのMMHしか含まない142gの混合物を蒸留した(蒸留収率5%)。実施例1:ヒドラジン塩酸塩およびメタノールからの粗製混合物の調製 水浴内で、1269gのヒドラジン塩酸塩、102gのヒドラジン二塩酸塩、および349gの水の溶液を調製し、撹拌機および浸漬管付きの3Lのスチールエナメルオートクレーブに移した。このオートクレーブを閉じて130℃に加熱した。4時間内に、圧力が4バールを超えないように、560gのメタノールを110℃でポンプを使用して入れた。引き続いて撹拌を4時間継続し、オートクレーブを60℃に冷却し圧力を下げて空にした。生成物は9.8重量%のヒドラジン、16.9重量%のMMH、5.0重量%のUDMH、4.4重量%のSDMH、および1.8重量%のTMH、そして32.8重量%のHClを含んでいた。実施例2:モノエタノールアミン(MEA)を塩基として用いた半バッチ式の蒸留 4×4mmのラシヒリングを充填され、自動還流分割器を備えた長さ40cmおよび直径25mmの接続された銀ジャケット付きカラムと、機械撹拌機とを備えた2Lの四つ口フラスコに、最初に605g(9.8モル)のモノエタノールアミンを入れて、170℃に加熱した。 2時間33分内に、実施例1で調製した800gの溶液をポンプを使用して入れた。塔頂温度は103〜107℃であり、塔底温度は150℃であった。還流比は4:1であった。計量添加の終了後に、同一条件下で蒸留を2時間10分継続した。26.5重量%のMMH(蒸留で使用されたMMHの97%に相当する)および0.4%のエタノールアミンを含む496gの画分を抜き出した。 引き続いて、最初は大気圧力および塔底温度170℃で蒸留を継続し、次にゆっくり真空を適用して、塔底温度200℃および塔頂圧力10バールまでで、減圧下で208gの第2の画分を蒸留し、これは75.2重量%のエタノールアミン、11.5重量%のヒドラジン、および1.5重量%のMMHを含有し、これは次の蒸留で使用できた。実施例3:ヒドラジンおよび塩化メチルの粗製混合物の調製 1.4Lのエナメルオートクレーブに最初に400g(8モル)のヒドラジン水和物を仕込み、オートクレーブを80℃に加熱した。この温度で、圧力が4バールを超えないような速度で、101g(2モル)の塩化メチルを3時間15分内に量り入れた。計量添加の終了後、撹拌を3時間継続し、混合物を室温に冷却して圧力を下げ、生成物を取り出した。この生成物は、42.0重量%のヒドラジン、8.9重量%のメチルヒドラジン、4.8重量%のUDMH、および12.5重量%の塩化物を含んでいた。実施例4:140℃における薄膜蒸発器を使用した粗製混合物の蒸留 0.63モルの塩化物を含む実施例3で調製された178.8gの反応生成物と、46.2g(0.76モル)のモノエタノールアミンとを混合し、90℃に加熱された受器に投入した。この受器から、1時間5分内に混合物を155cm2の加熱面積を有するサンベイ(Sambay)実験室用薄層蒸発器に通して処理した。加熱媒体の温度は140℃であった。83gの留出物および142gの缶出物が得られた。この留出物は16.7重量%のMMH(蒸留で使用されたMMHの82%に相当する)を含んでいた。実施例5:150℃における薄膜蒸発器を使用した粗製混合物の蒸留 1.01モルの塩化物を含む実施例3で調製された287gの反応生成物と、74g(1.21モル)のモノエタノールアミンとを混合し、90℃に加熱された受器に投入した。この受器から、1時間41分内に混合物を実施例4のサンベイ(Sambay)実験室用薄層蒸発器に通して処理した。加熱媒体の温度は150℃であった。185gの留出物および176gの缶出物が得られた。この留出物は13.5重量%のMMH(蒸留で使用されたMMHの98%に相当する)を含んでいた。実施例6:160℃における薄膜蒸発器を使用した混合物の蒸留 0.86モルの塩化物を含む実施例3で調製された243gの反応生成物と、62.7g(1.03モル)のモノエタノールアミンとを混合し、90℃に加熱された受器に投入した。この受器から、2時間55分内に混合物を実施例4のサンベイ(Sambay)実験室用薄層蒸発器に通して処理した。181gの留出物および125gの缶出物が得られた。留出物は11.8重量%のMMH(蒸留で使用されたMMHの99%に相当する)を含んでいた。 塩化メチルおよび/またはメタノール/HCl混合物による、ヒドラジンまたはヒドラジニウム塩酸塩またはヒドラジニウム二塩酸塩のメチル化によりモノメチルヒドラジンを製造する方法であって、前記メチル化において形成された反応混合物を、7.0より大きなpKaおよび120℃より高い沸点の有機塩基と反応させ、モノメチルヒドラジンを蒸留によって反応混合物から低沸点画分に取り出し、場合によりこの低沸点画分にさらなる蒸留を施すことを特徴とする製造方法。 前記反応混合物を基準にして1:1.05〜1:3の比率で前記反応混合物と前記有機塩基とを反応させることを特徴とする、請求項1に記載の方法。 前記有機塩基の一部が、アルカリ金属水酸化物によって置換されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。 前記有機塩基が、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、モノエタノールアミンまたはその混合物であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。 前記低沸点画分が、0.1:1〜10:1の還流比の1〜20段の理論段数を有するカラムを使用した蒸留によって取り出されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。 前記低沸点画分が、蒸留によって、モノメチルヒドラジン(MMH)を含んでなる画分、および残りの副産物を含んでなる画分へと分離されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。 前記反応混合物を130〜170℃の範囲の温度で前記有機塩基と反応させることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。 【課題】モノメチルヒドラジンを調製する方法を提供する。【解決手段】本発明は、ヒドラジンまたはヒドラジニウム塩酸塩またはヒドラジニウム二塩酸塩を、塩化メチルおよび/またはメタノール/HCl混合物でメチル化することによるモノメチルヒドラジンの製造方法に関し、この方法は、メチル化において形成された反応混合物をアルキルアミンまたはアルカノールアミンの群からの有機塩基と反応させ、モノメチルヒドラジンを蒸留によって反応混合物から低沸点画分に取り出し、場合により低沸点画分にさらなる蒸留を施すことを特徴とする。【選択図】なし


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特許公報(B2)_モノメチルヒドラジンの製造方法

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タイトル:特許公報(B2)_モノメチルヒドラジンの製造方法
出願番号:2008249197
年次:2013
IPC分類:C07C 241/02,C07C 243/14


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ウーヴェ・ベーガー ウルリヒ・ノータイス マティアス・ジークマン JP 5322564 特許公報(B2) 20130726 2008249197 20080926 モノメチルヒドラジンの製造方法 サルティゴ・ゲーエムベーハー 506207853 志賀 正武 100064908 渡邊 隆 100089037 村山 靖彦 100108453 実広 信哉 100110364 ウーヴェ・ベーガー ウルリヒ・ノータイス マティアス・ジークマン DE 102007046467.5 20070928 20131023 C07C 241/02 20060101AFI20131003BHJP C07C 243/14 20060101ALI20131003BHJP JPC07C241/02C07C243/14 C07C241/ C07C243/ CAplus(STN) 特開昭58−157751(JP,A) 特開昭53−099099(JP,A) 特公昭37−004205(JP,B1) 特開昭60−237059(JP,A) 特開昭57−098247(JP,A) 1 2009102309 20090514 10 20110816 目代 博茂 本発明は、モノメチルヒドラジンの製造方法に関する。 以下においてMMHと称するモノメチルヒドラジンは、作物保護剤および医薬品の調製のための価値ある出発原料である。しかしそれはまた、航空宇宙およびロケット技術において燃料としても使用される。 工業規模では、MMHは主に改良ラシヒ法によって調製される。第1のステップではアンモニアと次亜塩素酸ナトリウムからクロラミンを調製し、次に第2のステップでメチルアミンと反応させてMMHを得る。 あるいは、メチル尿素を水酸化ナトリウムおよび次亜塩素酸ナトリウムと反応させてMMHを得ることができる。これら2つの方法は非常に低い生成物濃度をもたらすので、濃縮および精製のために、複雑な設備を用いたエネルギー集約的な分離ステップが必要とされる。 さらに知られているのは、メチルアミンをニトロソ化し、生成したニトロソアミンを水素化してメチルヒドラジンを得る方法である。しかし中間体の発癌性のために、本方法は工業的には用いられていない。 さらにMMHは、ヒドラジンまたはヒドラジン化合物をアルキル化して調製できる。この分野では、様々な方法について記載がある。 記載されている工業的に入手できるアルキル化剤としては、例えば硫酸ジメチル、塩化メチル、メタノール/塩化メチル、HCl源存在下でのメタノール、およびハロゲン化トリメチルアニリニウムが挙げられる。 一般にヒドラジンのアルキル化においては、モノアルキル化段階で反応が停止せず、その代わりに、反応条件およびアルキル化の程度に応じて、未転化ヒドラジンと、MMHと、対称ジメチルヒドラジン(SDMH)、非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)、およびトリメチルヒドラジン(TMH)などのポリアルキル化ヒドラジンと、ヒドラジニウム化合物との混合物が得られ、これらは分離することが難しいおそれがあるという困難さがある。 アルキル化されるヒドラジン化合物が遊離ヒドラジンでなく、ヒドラジニウム塩である場合には、より高い温度が必要とされるが、同一転化率におけるモノアルキル化生成物に対する選択性は、遊離ヒドラジンのアルキル化の場合よりも高い。 したがって典型的には、モノアルキル化生成物に対する高選択性を達成するためには、ヒドラジンまたはヒドラジン化合物に基づく部分的変換のみが確立されている。経済的実行可能性のためには、未転化ヒドラジンを効率的に除去して再利用することが特に重要である。 アルキル化後、アルキル化剤の脱離基は、場合によりさらなる非荷電分子の放出を伴って、反応混合物中でヒドラジンとの塩を形成する。形成されたアルキルヒドラジンおよび/または出発ヒドラジンは、後処理(workup)においてこの塩から解き放され、除去されなくてはならない。 MMHとヒドラジンは、水との二成分高沸点共沸混合物を形成する。このMMH/水共沸混合物は1モルのMMHあたり約3モルの水を含有し、102〜106℃で沸騰する。ヒドラジンは120〜121℃で沸騰する等モル共沸混合物を水と形成する。したがって組成に従ってアルカリ金属水酸化物を用いたそれらの放出後に、新たに形成された塩からヒドラジンを除去することが本発明により意図されるのであれば、最初に水、次にMMH/水共沸混合物、次にヒドラジン/水共沸混合物が蒸留されて、塩は個体として残る。工業的には、これは特殊化された複雑な装置を必要とする。さらに固体含有混合物には、ヒドラジンの熱安定性の理由から避けなくてはならない、外皮形成および局所過熱のリスクがある。 (特許文献1)は、硫酸ジメチルをヒドラジンまたは硫酸ヒドラジニウムと反応させることによる、主にMMHおよびUDMHから構成される混合物の調製について記載している。アルキル化剤としての硫酸ジメチルは、2つのメチル基が完全に活用できないという欠点を有する。不完全な利用の場合に形成されるメチル硫酸は生分解性が非常に劣り、したがって追加のステップで加水分解されなくてはならない。 (特許文献2)はモノメチルヒドラジンを調製する方法について記載しており、その方法では、ヒドラジン二塩酸塩または塩化メチルの存在下で、ヒドラジン塩酸塩とメタノールとを反応させてモノメチルヒドラジン塩酸塩を得る。30%を超えないヒドラジン一塩酸塩の転化が記載されている。次に蒸留によってメタノールおよび塩化メチルを生成物混合物から除去し、これらは再利用可能である。存在する全ての水を、同様に蒸留によって除去する。次に残渣にメタノールを添加し、結晶性ヒドラジン一塩酸塩を固体として沈殿させ、それを除去する。このヒドラジン塩酸塩は、反応に再利用できる。ヒドラジン塩酸塩の除去後に残った混合物を水性アルカリ溶液と混合する。これによりメチルヒドラジンが解き放たれ、それは蒸留によって単離および精製できる。 しかしこの方法は、社内での実験で示されたように、MMHの良好な選択は比較的低い転化の場合にしか達成されないという欠点を有する。 さらにこの方法は、反応混合物からのメタノールおよび水の蒸留除去と、次に新しいメタノールの添加を必要とする。 ヒドラジン塩酸塩はメタノールに部分的に可溶性であるので、水酸化ナトリウム溶液による母液の中和後、モノメチルヒドラジンおよびヒドラジンの双方が精留ステップに入る。ヒドラジンも同様にここで除去されて再利用されなくてはならない。記載した精留ステップは、さらに、解き放たれたヒドラジンの蒸留後にNaClの固体残渣が塔底部に残るという深刻な欠点を有する。したがってこの蒸留は特別な装置内でしか行うことができず、ヒドラジン類の分解傾向に鑑みると安全性の理由から危険でもある。 ヒドラジン塩酸塩の再利用なしには、本方法は、使用されるヒドラジンを基準にして低収率であるため非経済的である。したがって大量の未転化ヒドラジン塩酸塩が、固体の取り扱いを伴う複雑な後処理において、再び再利用されなくてはならない。 (特許文献3)は、ヒドラジン二塩酸塩または塩化メチルの存在下でヒドラジン塩酸塩とメタノールとを反応させて調製されたモノメチルヒドラジン塩酸塩含有生成物の混合物から、モノメチルヒドラジンを得るための別の方法について記載している。 この場合、反応混合物はメタノールおよび水の蒸留除去によって濃縮され、存在する塩酸塩を基準にして1.2〜2倍の過剰なヒドラジン水和物(HyHy)と混合される。次に、ヒドラジンよりも低い沸点を有するメチルヒドラジンを解き放つために、存在する塩酸塩を基準にして2.2〜3.0モルのヒドラジンを含有するこの混合物を蒸留する。添加されたヒドラジンの一部もまた回収できる。蒸留中の反応混合物の最高温度は120℃未満であるべきであり、ヒドラジン水和物の沸点120℃を考慮すると、それは減圧蒸留を必要とする。 しかし、空気の侵入、及びヒドラジンと大気中の酸素との反応をもたらす装置の漏れをなくさなくてはならず、それには工業プラントに広範な安全対策が必要となる。 したがって記載された方法は、工業的方法として不利である。 (特許文献4)はモノアルキルヒドラジンを調製する方法を記載しており、この方法では、ヒドラジン、メタノール、およびハロゲン化水素酸を、リン含有酸素酸存在下で反応させてモノメチルヒドラジンを得る。反応混合物を減圧下で濃縮し、50%水酸化ナトリウム溶液で中和する。無機固体が沈殿する。この固体を濾過により除去し、もう一度洗浄し、合わせた液相を分留する。蒸留後、無機塩が残り、それは未転化ヒドラジンの大半を含む。ヒドラジンの再利用については記載されていない。 使用されるヒドラジンを基準にして低収率であるために、この方法は非経済的である。 (特許文献5)は、トリメチルアニリニウムハロゲン化物をヒドラジンまたはMMHとを反応させることを特徴とする、MMHおよび非対称ジメチルヒドラジン(UDMH)を調製する方法を記載している。5〜12:1の過剰なヒドラジン対トリメチルアニリニウムハロゲン化物を用いる。形成されるジメチルアニリンを相分離によって有機相として除去し、水相を蒸留してMMHおよびUDMHを得る。 この方法は、ジメチルアニリンを再利用して、追加のステップで塩化メチルと反応させ、アルキル化剤を得なくてはならないという欠点を有する。米国特許第2 954 283号明細書DE−A 31 48 971JP−A−58157751JP−A−60237059DE−A 30 26 771 したがって本発明の目的は、容易に利用できる化学物質からの複雑な展開なしに、従来の多目的装置中で実施できるモノメチルヒドラジンの製造方法を提供することである。 本発明は、1)塩化メチル、メタノールおよびHCl、メタノールおよびヒドラジニウム二塩酸塩またはそれらの混合物による、ヒドラジンまたはヒドラジニウム塩酸塩のアルキル化が、ヒドラジン、モノメチルヒドラジン、ジメチルヒドラジンおよび/またはトリメチルヒドラジン、ならびに水およびHClもまた含む粗生成物を形成し、2)この混合物中のヒドラジン類が、この粗生成物中に存在する塩酸塩を基準にしてモル過剰量の有機塩基によって解き放たれ、3)反応器底部(ボトム)に残った有機塩基の塩酸塩から蒸留によって除去されることを特徴とする、メチルヒドラジンの製造方法に関する。 したがって本発明は、塩化メチルおよび/またはメタノール/HCl混合物を用いた、ヒドラジンまたはヒドラジニウム塩酸塩またはヒドラジニウム二塩酸塩のメチル化によるモノメチルヒドラジンの製造方法を提供し、この方法では、メチル化において形成された反応混合物を、7.0を超えるpKaおよび120℃を超える沸点の有機塩基と反応させ、モノメチルヒドラジンを反応混合物から低沸点画分に蒸留によって取り出し、この低沸点画分に場合によりさらなる蒸留を行うことを特徴とする。 本発明によれば、上記反応混合物は様々な経路によって得ることができる。 第一に、上記反応混合物は、例えばDE−A3148971に記載されているように、(ヒドラジンを基準にして)過剰のHCl存在下で、ヒドラジン塩酸塩をメタノールと反応させて調製できる。過剰なHClは、ヒドラジン二塩酸塩、HClまたは塩化メチルを添加して発生させることができる。過剰なHClなしには反応は進行しない。5〜20%HCl過剰にすることが好ましい。 一手順では、ヒドラジン水和物を最初に反応器内に仕込み、気体のHClを量り入れることができる。HClはまた、塩酸水溶液の形態で添加できる。HClは気体として添加されることが好ましい。ヒドラジンを基準にした水の量は1:1(HyHyと気体HCl)から約10:1(比較的希釈されたヒドラジン溶液と水性HCl)である。含水量は1:1〜5.5:1、より好ましくは1:1〜3:1が好ましい。 本発明によれば、反応は90〜150℃、好ましくは100〜130℃の温度で行われる。反応の圧力は、反応温度、メタノールおよび水の量、および過剰なHClの量に左右される。 2〜15バール、特に2〜5バールの圧力が典型的には好ましい。 さらなる実施態様では、ヒドラジン塩酸塩を最初に過剰なHClとともに装填して加温する。次に所望の圧力が得られるまでメタノールを量り入れ、システム内圧力が一定に保たれるに、メタノールの計量添加速度を調節する。計量添加の終了後、圧力が低下してそれ以上変化しなくなるまで待つ。 メタノールのモル量は、ヒドラジンを基準にして50%〜600%であってよく、完全に、または部分的に転化されうる。転化されるメタノールの量が多いほど、MMHに対する選択性はより低くなる。しかし収率は、約1:1の比率までさらに上昇する。反応の終わりには、添加された全メタノールが反応し終えるように、メタノール量および反応時間を選択することが好ましい。この場合、ヒドラジンを基準にして0.5:1〜1:1のメタノール量が好ましい。 第二に、ヒドラジンを塩化メチルと反応させて、反応混合物を得ることができる。ヒドラジンは、ヒドラジン水和物の形態、またはより希釈された水溶液の形態で使用できる。好ましくは100%ヒドラジン水和物が使用される。 塩化メチルは、気体形態で、または適切な圧力下での液体として、圧縮形態で使用できる。反応は、塩化メチルの計量添加によってバッチ式で、または連続的に行うことができる。 反応温度は40〜100℃、好ましくは60〜90℃である。圧力は、塩化メチル量および反応温度に左右される。反応温度および塩化メチルの量、または塩化メチルの計量添加速度を予め設定することで、選択された装置の要件に圧力を調節できるようにする。これは典型的には1〜10バール、好ましくは1〜6バールの範囲である。 この実施態様において、MMHに対する選択性は転化率に大きく左右されるので、ヒドラジンを基準にして、変換を50%、好ましくは30%に制限することが有利である。 このようにして調製された反応混合物を以下のようにしてさらに処理する。 反応混合物が、メタノールまたは塩化メチルなどの揮発性化合物をなおも含有する場合は、ヒドラジンを解き放つ(release)前にそれらを蒸留によって除去する。 上述した反応混合物を有機塩基と1:1.05〜1:3、好ましくは1:1.05〜1:2、より好ましくは1:1.05〜1:1.3の比率で反応させる。発明の蒸留の塔頂を経由して、少なくとも部分的に除去される揮発性構成成分は、ヒドラジン、MMH、UDMH、SDMH、TMH、および水である。 本発明の方法で使用される有機塩基は、以下の特徴を有する。 それらのpKa値は7.0を超えてヒドラジンのpKaよりも高く、好ましくはpKa=8.0より大きく、より好ましくはpKa=9.0より大きい。 その標準沸点はヒドラジン/水共沸混合物の沸点より高く、すなわち120℃を超えるが250℃未満であり、好ましくは大気圧(ambient pressure)で140℃より高く、220℃未満であり、より好ましくは大気圧(ambient pressure)で160℃〜200℃である。 それらは水と、MMH/水共沸混合物より低い温度で沸騰する共沸混合物を形成しない。より好ましくは、それらは水といかなる共沸混合物も形成しない。 それらの塩酸塩は蒸留条件下で液体である。 本発明による適切な塩基の例は、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、およびトリエタノールアミンまたはそれらの混合物である。これらの化合物の工業合成において得られるモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、および混合物が好ましい。特に好ましいのは、モノエタノールアミンおよびジエタノールアミンである。特に非常に好ましいのは、モノエタノールアミンである。 本質的に既知の様式で、これもまた塔頂を経由して蒸留される有機塩基の量は、使用するカラムの分離性能および確立された還流比に左右される1〜20段の理論段数があるカラムを使用して、0.1:1〜10:1の還流比を確立することが好ましい。塔底部での有機塩基の保持が良いほど、より少ない有機塩基過剰量を選択できる。 蒸留は原則としてバッチ式、半バッチ式または連続的に行うことができる。半バッチ式または連続法が好ましい。蒸留は大気圧または減圧下で行うことができる。標準圧力での蒸留が好ましい。 好ましい半バッチ式の実施態様では、有機塩基を最初に仕込み、130℃と塩基の沸点の間、好ましくは130〜170℃の温度にし、メチルヒドラジンが塔頂を経由して完全に蒸留されるようにして、メタノールを含まない反応混合物を塩基中に量り入れる。塩基の塩酸塩、および塩基は塔底物(ボトムズ)に残る。蒸留中に、ヒドラジンは部分的に分解する。塔頂生成物の組成は塔頂温度を通じて制御でき、還流比に影響される。大気圧力での塔頂温度は、100℃と塩基の沸点の間、好ましくは100℃〜130℃である。計量添加の速度は、塔底物中にヒドラジンの安全性に問題のある濃縮がないようにされる。 別の好ましい半バッチ式の実施態様では、全ての揮発性成分が直接、塔頂を経由して蒸留されるように反応混合物を量り入れる。 好ましい連続の実施態様では、反応混合物と有機塩基とを混合して、次に適切な装置内で連続的に蒸発させる。適切な装置としては、例えば薄膜蒸発器、短経路蒸発器または流下薄膜蒸発器などの連続蒸留のための装置が挙げられる。蒸発器内の温度および滞留時間は、MMHが塔頂を経由して完全に蒸留されるように調節される。蒸発器は分離カラム(例えば構造化充填またはランダム充填されたカラムまたはトレーカラム)と併せて操作できる。 任意選択で、蒸留の塔底物が廃液中に運搬可能に保たれるようにアルカリ金属水酸化物、好ましくはNaOHまたは水酸化ナトリウム水溶液、で有機塩基の一部を置換できる。 揮発性化合物を除去すると、遊離有機塩基の残りの量が塔低物から除去されて再利用される。これによって、塔底物中に存在するヒドラジンの最後の痕跡が熱的に分解される。 有機塩基がモノエタノールアミンなどのアルカノールアミンである場合、残る塔底物は易生分解性有機成分のみを含有し、場合により水酸化ナトリウム溶液または乳状石灰などの塩基での中和後に、水処理プラントに排水として廃棄できる。 有機層が、強い水性無機塩基を用いての遊離後に、第2の液相ならびに塩水溶液を形成する場合は、これを除去して再び再利用できる。 場合により、MMHを含む得られた低沸点画分は、UDMH、SDMH、およびあらゆるさらなる副産物を除去するために、さらなる蒸留(精密蒸留)に送ることができる。 特に好ましい実施態様では、管状反応器内、または4個までのタンクを有する一続きのタンク内で100%ヒドラジン水和物を塩化メチルと連続的に反応させる。この反応混合物と有機塩基とを反応させ、揮発性構成要素を、塔頂を経由して連続的に除去する。塔頂を経由して除去されたアルキルヒドラジンMMHおよびUDMHは、第2の蒸留ステップでヒドラジン水和物から除去され、反応内に戻して再利用される。引き続いてUDMHとMMHとの混合物を既知の方法でさらに蒸留し、販売可能なMMHおよびUDMHを得る。精密蒸留は、連続的に、さもなければバッチ式で実施できる。[実施例]全般 キャピラリー電気泳動法によって、ヒドラジン分析を実施した。比較例1(本発明によらない):トリ−n−プロピルアミン(NPr3)を塩基として用いた半バッチ式蒸留 4×4mmのラシヒリングで充填されて自動還流分割器を備えた長さ20cmおよび直径25mmの銀ジャケット付きカラムと機械撹拌機とが接続された、2Lの四つ口フラスコに、最初に525g(3.6モル)のトリプロピルアミンを入れ、160℃に加熱した。1時間35分内に、蠕動ポンプを使用して、19gのヒドラジン、32gのMMH、22gのポリアルキル化ヒドラジン、および66gのHClを含む200gの水性反応混合物をポンプアップし、沸騰するトリプロピルアミンに入れた。計量添加開始の10分後に、還流分割器を完全な還流から還流比R:Eを4:1に切り替えた。3時間内に、わずか2gのMMHしか含まない172gの混合物を蒸留した(蒸留収率6%)。比較例2(本発明によらない)N−メチルイミダゾールを塩基として用いた半バッチ式蒸留 最初に装填したアミンが470gのN−メチルイミダゾールであり、それを170℃に加熱したこと以外は、手順は比較例1と同様である。1時間33分内に、蠕動ポンプを使用して、29gのヒドラジン、50gのMMH、35gのポリアルキル化ヒドラジン、および99gのHClを含む308gの水性反応混合物をポンプを使用して、沸騰するN−メチルイミダゾールに入れた。計量添加開始の14分後に、還流分割器を完全な還流から還流比R:Eを4:1に切り替えた。4時間15分内に、わずか2.4gのMMHしか含まない142gの混合物を蒸留した(蒸留収率5%)。実施例1:ヒドラジン塩酸塩およびメタノールからの粗製混合物の調製 水浴内で、1269gのヒドラジン塩酸塩、102gのヒドラジン二塩酸塩、および349gの水の溶液を調製し、撹拌機および浸漬管付きの3Lのスチールエナメルオートクレーブに移した。このオートクレーブを閉じて130℃に加熱した。4時間内に、圧力が4バールを超えないように、560gのメタノールを110℃でポンプを使用して入れた。引き続いて撹拌を4時間継続し、オートクレーブを60℃に冷却し圧力を下げて空にした。生成物は9.8重量%のヒドラジン、16.9重量%のMMH、5.0重量%のUDMH、4.4重量%のSDMH、および1.8重量%のTMH、そして32.8重量%のHClを含んでいた。実施例2:モノエタノールアミン(MEA)を塩基として用いた半バッチ式の蒸留 4×4mmのラシヒリングを充填され、自動還流分割器を備えた長さ40cmおよび直径25mmの接続された銀ジャケット付きカラムと、機械撹拌機とを備えた2Lの四つ口フラスコに、最初に605g(9.8モル)のモノエタノールアミンを入れて、170℃に加熱した。 2時間33分内に、実施例1で調製した800gの溶液をポンプを使用して入れた。塔頂温度は103〜107℃であり、塔底温度は150℃であった。還流比は4:1であった。計量添加の終了後に、同一条件下で蒸留を2時間10分継続した。26.5重量%のMMH(蒸留で使用されたMMHの97%に相当する)および0.4%のエタノールアミンを含む496gの画分を抜き出した。 引き続いて、最初は大気圧力および塔底温度170℃で蒸留を継続し、次にゆっくり真空を適用して、塔底温度200℃および塔頂圧力10バールまでで、減圧下で208gの第2の画分を蒸留し、これは75.2重量%のエタノールアミン、11.5重量%のヒドラジン、および1.5重量%のMMHを含有し、これは次の蒸留で使用できた。実施例3:ヒドラジンおよび塩化メチルの粗製混合物の調製 1.4Lのエナメルオートクレーブに最初に400g(8モル)のヒドラジン水和物を仕込み、オートクレーブを80℃に加熱した。この温度で、圧力が4バールを超えないような速度で、101g(2モル)の塩化メチルを3時間15分内に量り入れた。計量添加の終了後、撹拌を3時間継続し、混合物を室温に冷却して圧力を下げ、生成物を取り出した。この生成物は、42.0重量%のヒドラジン、8.9重量%のメチルヒドラジン、4.8重量%のUDMH、および12.5重量%の塩化物を含んでいた。実施例4:140℃における薄膜蒸発器を使用した粗製混合物の蒸留 0.63モルの塩化物を含む実施例3で調製された178.8gの反応生成物と、46.2g(0.76モル)のモノエタノールアミンとを混合し、90℃に加熱された受器に投入した。この受器から、1時間5分内に混合物を155cm2の加熱面積を有するサンベイ(Sambay)実験室用薄層蒸発器に通して処理した。加熱媒体の温度は140℃であった。83gの留出物および142gの缶出物が得られた。この留出物は16.7重量%のMMH(蒸留で使用されたMMHの82%に相当する)を含んでいた。実施例5:150℃における薄膜蒸発器を使用した粗製混合物の蒸留 1.01モルの塩化物を含む実施例3で調製された287gの反応生成物と、74g(1.21モル)のモノエタノールアミンとを混合し、90℃に加熱された受器に投入した。この受器から、1時間41分内に混合物を実施例4のサンベイ(Sambay)実験室用薄層蒸発器に通して処理した。加熱媒体の温度は150℃であった。185gの留出物および176gの缶出物が得られた。この留出物は13.5重量%のMMH(蒸留で使用されたMMHの98%に相当する)を含んでいた。実施例6:160℃における薄膜蒸発器を使用した混合物の蒸留 0.86モルの塩化物を含む実施例3で調製された243gの反応生成物と、62.7g(1.03モル)のモノエタノールアミンとを混合し、90℃に加熱された受器に投入した。この受器から、2時間55分内に混合物を実施例4のサンベイ(Sambay)実験室用薄層蒸発器に通して処理した。181gの留出物および125gの缶出物が得られた。留出物は11.8重量%のMMH(蒸留で使用されたMMHの99%に相当する)を含んでいた。塩化メチルおよび/またはメタノール/HCl混合物による、ヒドラジンまたはヒドラジニウム塩酸塩またはヒドラジニウム二塩酸塩のメチル化によりモノメチルヒドラジンを製造する方法であって、前記メチル化において形成された反応混合物を、7.0より大きなpKaおよび120℃より高い沸点の有機塩基と反応させ、モノメチルヒドラジンを蒸留によって反応混合物から低沸点画分に取り出し、場合によりこの低沸点画分にさらなる蒸留を施すことを特徴とする製造方法。


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