タイトル: | 公開特許公報(A)_プロチン酵素の製造方法 |
出願番号: | 2008240113 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C12N 9/52,A23L 1/305,C12N 15/09 |
鈴木 伸子 永田 英基 JP 2010068759 公開特許公報(A) 20100402 2008240113 20080919 プロチン酵素の製造方法 株式会社スズキファーム 502306453 長野 光宏 100082913 鈴木 伸子 永田 英基 C12N 9/52 20060101AFI20100305BHJP A23L 1/305 20060101ALN20100305BHJP C12N 15/09 20060101ALN20100305BHJP JPC12N9/52A23L1/305C12N15/00 A 2 1 OL 14 4B018 4B024 4B050 4B018MD90 4B018ME09 4B018MF13 4B024AA01 4B024AA05 4B024AA11 4B024BA14 4B024CA02 4B050CC01 4B050DD02 4B050EE02 4B050EE03 4B050LL01 4B050LL02 本発明は、プロチン酵素の製造方法に関するものである。 一般に「ピロリ菌」と呼ばれているヘリコバクターピロリ菌は、人の胃の中という特殊な環境で生息し、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の原因になることが近年明らかになっている。 プロチン酵素は、このようなヘリコバクターピロリ菌を抑制し、人の健康を回復させるものであると考えられている。 本発明は、オカラを原料としてプロチン酵素を製造する方法に関するものであるが、このようなプロチン酵素の製造方法は従来知られていない。 本発明者は、特開2007−300882号公報において、オカラの加工品の製造方法を提供している。 このオカラの加工品の製造方法は、含水率80〜90%の生オカラと水分調整材としての米ヌカ又は麦フスマとを、該生オカラと水分調整材との全体の含水率が50〜60%になるように、合計1000重量部発酵槽内に投入し、該発酵槽内に好気性菌群と嫌気性菌群とよりなる有効微生物群1重量部を投入し、該発酵槽内の温度を60〜80℃に加温すると共に該発酵槽内に空気を送入しつつ20〜28時間攪拌発酵させることによりオカラの加工品を製造するようにしたことを特徴とするものである。特開2007−300882号公報 大豆食品加工工場、特に豆腐製造加工工場、から排出される豆腐のカスであるオカラは、一部が飼料ないし食品の原料として使用されているものの、大部分が焼却処分されている。オカラの焼却処分は、環境に悪影響を及ぼす。 本発明は、焼却処分されて環境に悪影響を及ぼしているオカラを原料として積極的に使用することにより環境を保護しつつ、人体に有益なプロチン酵素を製造するプロチン酵素の製造方法を提供しようとしてなされたものである。上記課題を解決するために、本発明は、下記のプロチン酵素の製造方法を提供するものである。(1)オカラを発酵させてなる発酵オカラと大豆を蒸してペースト状にしてなるペースト状大豆とを混合攪拌し、これにシジミ貝のエキス汁を加えて攪拌し、これに好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣FERM BP-10691と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師FERM BP−10692と、好塩性のバチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土FERM BP-10693と、嫌気性菌のアトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝FERM BP-10690と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属(Clostridium sp.)タテヤマ竜王FERM BP-10694とよりなる有効微生物群を混入し、 更にこれを60〜80℃の温度にて48時間以上発酵させることを特徴とする、プロチン酵素の製造方法(請求項1)。(2)前記発酵オカラ50〜60重量部と前記ペースト状大豆40〜50重量部とを混合攪拌し、これに前記シジミ貝のエキス汁5〜6重量部を加えて攪拌し、これに前記有効微生物群3重量部以上を混合する(請求項2)。本発明によれば、焼却処分されて環境に悪影響を及ぼしているオカラを原料として積極的に使用することにより環境を保護しつつ、人体に有益なプロチン酵素を製造することができる。60〜80℃の温度にて48時間以上発酵させるため、得られるプロチン酵素には大腸菌群、サルモネラ、黄色ブドウ球菌等の食中毒菌類は検出されない。本発明においては、オカラを発酵させてなる発酵オカラと大豆を蒸してペースト状にしてなるペースト状大豆とを主原料とする。発酵オカラは、一例として、含水率80〜90%の生オカラと水分調整材としての米ヌカ又は麦フスマとを、該生オカラと水分調整材との全体の含水率が50〜60%になるように、合計1000重量部発酵槽内に投入し、該発酵槽内に好気性菌群と嫌気性菌群とよりなる有効微生物群1重量部を投入し、該発酵槽内の温度を60〜80℃に加温すると共に該発酵槽内に空気を送入しつつ20〜28時間攪拌発酵させることにより製造する。この事例における有効微生物群は、好気性菌群55%と嫌気性菌群45%とよりなり、次のものが含まれる。酵母菌、セルロース分解菌、窒素固定菌、乳酸菌、糸状菌(芳香族化合物分解菌)、マンガン還元菌(クロカビ属群−原生担子菌類)、マンガン酸化菌(有機栄養菌)、アンモニア酸化菌(亜硝酸菌)、放線菌(キチン分解菌)、硝酸菌(硝化生成細菌)、硫黄細菌(硫化水素を水素供与体として利用する細菌群)、メタン酸化菌、セルロース放線菌、セルロース糸状菌、納豆菌、リグニン分解菌、鉄酸化菌、鉄還元菌、硫酸還元菌、酢酸菌、バチルス属(Bacillus sp.)、スポロサルシナ属(Sporosarcina sp.)、ペニバチルス属(Paenibacillus sp.)、オーシャノバチルス属(Oceanobacillus sp.)。前記ペースト状大豆は、好ましくは、有機肥料を用いて栽培してなるものとする。すなわち、発酵オカラ(好ましくは50〜60重量部)とペースト状大豆(好ましくは40〜50重量部)とを混合攪拌し、これにシジミ貝のエキス汁(好ましくは5〜6重量部)を加えて攪拌する。これに好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣FERM BP-10691と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師FERM BP−10692と、好塩性のバチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土FERM BP-10693と、嫌気性菌のアトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝FERM BP-10690と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属(Clostridium sp.)タテヤマ竜王FERM BP-10694とよりなる有効微生物群(好ましくは3重量部以上)を混入する。更にこれを60〜80℃の温度にて48時間以上発酵させることによりプロチン酵素を得る。発酵オカラとペースト状大豆とは植物性蛋白質を有し、シジミ貝のエキス汁は動物性蛋白質を有する。これらの蛋白質は、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣FERM BP-10691と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師FERM BP−10692と、好塩性のバチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土FERM BP-10693と、嫌気性菌のアトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝FERM BP-10690と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属(Clostridium sp.)タテヤマ竜王FERM BP-10694とよりなる有効微生物群により元素転換され、アミノ酸を経てプロチン酵素となる。人がプロチン酵素を摂取したときには、プロチン酵素は、胃炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍等の原因になるヘリコバクターピロリ菌を抑制し、胃腸内の環境を改善する。プロチン酵素は、人の体内でビフィズス菌、乳酸菌類、酵母菌類等の善玉菌を作り出し、大腸菌、ウエルッシュ菌類等の悪玉菌を減少させ、腐敗ガスの発生を防ぐ。嫌気性菌のアトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝(FERM BP-10690)と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣(FERM BP-10691)と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師(FERM BP−10692)と、好塩性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ浄土(FERM BP-10693)と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属(Clostridium sp.)タテヤマ竜王(FERM BP-10694)は、それぞれ独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センターに寄託されている。好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillussp.)タテヤマ薬師と、好塩性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ浄土と、嫌気性菌のアトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属(Clostridium sp.)タテヤマ竜王とについて、同定を実施した。以下、同定方法及び微生物試験結果を示す。細菌第一段階試験として、光学顕微鏡U-LH1,000(オリンパス,日本)により、細胞形態、グラム染色性、胞子の有無及び鞭毛による運動性の有無を観察した。NUTRIENT AGAR (OXOID, HAMPSHIRE, ENGLAND)(以下「NT」という。)又はGAM寒天培地(ニッスイ, 東京)(以下「GAM」という。)でのコロニー形態を観察した。カタラーゼ反応、オキシダーゼ反応、グルコースからの酸/ガス産生及びブドウ糖の酸化/発酵(O/F)について試験を行った。菌学的性状試験結果を表1に示す。次に16S rDNA塩基配列の遺伝子解析を実施した。ゲノムDNAの抽出には、INSTAGENE MATRIX(BIO RAD, CA, USA)を使用した。抽出したゲノムDNAを鋳型として、PCRにより全塩基配列約1,500〜1,600塩基対の領域を増幅した。その後、増幅された16S rDNAをシーケンスし、塩基配列を得た。PCR産物の精製、サイクルシークエンスにはBIGDYE TERMINATOR V3.1 CYCLE SEQUENCING KIT(APPLIED BIOSYSTEMS, CA, U.S.A.)を使用した。サーマルサイクラーにはPRIMESTAR HS DNA POLYMERASE(タカラバイオ, 滋賀)、DNAシーケンサーにはABI PRISM 3100 GENETIC ANALYZER SYSTEM(APPLIED BIOSYSTEMS,CA, U.S.A.)を使用した。なおプライマーは、文献「放線菌の同定と分類, p88-117, 日本学会事務センター, 2001.」に従った。16S rDNAの塩基配列の解析結果を、バチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣については表2に、バチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師については表3に、バチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土については表4に、アトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝については表5に、クロストリディウム属(Clostridiumsp.)タテヤマ竜王については表6に、それぞれ示す。上記塩基配列をアポロンDB細菌基準株データベース(テクノスルガ, 静岡) を用いて相同性検索を行い、得られた16S rDNAの塩基配列から検体と近縁と考えられる種の相同性検索を行い、上位5株を決定した。相同性検索結果を、バチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣については表7に、バチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師については表8に、バチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土については表9に、アトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝については表10に、クロストリディウム属(Clostridiumsp.)タテヤマ竜王については表11に、それぞれ示す。これまで得られた情報をもとにCLUSTAL WとMEGA VER3.1を用いて、16S rDNA塩基配列とこれに近縁と考えられる菌群の16S rDNA塩基配列とを用いて分子系統樹を構築した。分子系統樹の推定には近隣結合法を用い、樹型の妥当性を示すブートストラップは1000回発生させた。なお、CLUSTAL Wは文献「Nucleic Acids Research, 1994, 22:4673-4680.」、MEGAは文献「Briefingsin Bioinformatics, 2004, 5, 150-163.」に従った。分子系統解析結果を、バチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣とバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師とについては図1に、バチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土については図2に、アトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝については図3に、クロストリディウム属(Clostridiumsp.)については図4に、それぞれ示す。オカラを発酵させてなる発酵オカラ5kgと大豆を蒸してペースト状にしてなるペースト状大豆5kgとを混合攪拌し、これにシジミ貝のエキス汁0.5kgを加えて攪拌し、これに好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣FERM BP-10691と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師FERM BP−10692と、好塩性のバチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土FERM BP-10693と、嫌気性菌のアトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝FERM BP-10690と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属(Clostridium sp.)タテヤマ竜王FERM BP-10694とよりなる有効微生物群0.3kgを混入し、 更にこれを60〜80℃の温度にて48時間発酵させてプロチン酵素を得た。この実施例により得られたプロチン酵素は、人が摂取するに適した安全なものであった。バチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣とバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師の分子系統樹である。バチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ浄土の分子系統樹である。アトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝の分子系統樹である。アトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝の分子系統樹である。 オカラを発酵させてなる発酵オカラと大豆を蒸してペースト状にしてなるペースト状大豆とを混合攪拌し、これにシジミ貝のエキス汁を加えて攪拌し、これに好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣FERM BP-10691と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師FERM BP−10692と、好塩性のバチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土FERM BP-10693と、嫌気性菌のアトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝FERM BP-10690と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属(Clostridium sp.)タテヤマ竜王FERM BP-10694とよりなる有効微生物群を混入し、 更にこれを60〜80℃の温度にて48時間以上発酵させることを特徴とする、プロチン酵素の製造方法。 オカラを発酵させてなる発酵オカラ50〜60重量部と大豆を蒸してペースト状にしてなるペースト状大豆40〜50重量部とを混合攪拌し、これにシジミ貝のエキス汁5〜6重量部を加えて攪拌し、これに好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ剣FERM BP-10691と、好アルカリ性のバチルス属(Bacillus sp.)タテヤマ薬師FERM BP−10692と、好塩性のバチルス属(Bacillussp.)タテヤマ浄土FERM BP-10693と、嫌気性菌のアトポスティペス属(Atopostipes sp.)タテヤマ女汝FERM BP-10690と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属(Clostridium sp.)タテヤマ竜王FERM BP-10694とよりなる有効微生物群3重量部以上を混入し、 更にこれを60〜80℃の温度にて48時間以上発酵させることを特徴とする、プロチン酵素の製造方法。 【課題】焼却処分されて環境に悪影響を及ぼしているオカラを原料として積極的に使用することにより環境を保護しつつ、人体に有益なプロチン酵素を製造する方法を提供する。【解決手段】オカラを発酵させてなる発酵オカラと大豆を蒸してペースト状にしてなるペースト状大豆とを混合攪拌し、これにシジミ貝のエキス汁を加えて攪拌し、これに好アルカリ性のバチルス属タテヤマ剣FERM BP-10691と、好アルカリ性のバチルス属タテヤマ薬師FERM BP−10692と、好塩性のバチルス属タテヤマ浄土FERM BP-10693と、嫌気性菌のアトポスティペス属タテヤマ女汝FERM BP-10690と、嫌気性かつ好塩性のクロストリディウム属タテヤマ竜王FERM BP-10694とよりなる有効微生物群を混入し、更にこれを60〜80℃の温度にて48時間以上発酵させる。【選択図】図1