生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_水中油型乳化組成物の製造方法
出願番号:2008236769
年次:2010
IPC分類:B01J 13/00,A61K 47/26,A61K 8/06,A61K 8/60,A61K 9/107


特許情報キャッシュ

楠井 啓介 竹内 正一郎 森 裕紀 JP 2010069365 公開特許公報(A) 20100402 2008236769 20080916 水中油型乳化組成物の製造方法 第一工業製薬株式会社 000003506 蔦田 璋子 100059225 蔦田 正人 100076314 中村 哲士 100112612 富田 克幸 100112623 夫 世進 100124707 楠井 啓介 竹内 正一郎 森 裕紀 B01J 13/00 20060101AFI20100305BHJP A61K 47/26 20060101ALI20100305BHJP A61K 8/06 20060101ALI20100305BHJP A61K 8/60 20060101ALI20100305BHJP A61K 9/107 20060101ALI20100305BHJP JPB01J13/00 AA61K47/26A61K8/06A61K8/60A61K9/107 3 OL 10 4C076 4C083 4G065 4C076AA17 4C076BB31 4C076CC18 4C076DD08 4C076DD68F 4C076FF35 4C076FF43 4C083AC442 4C083AD221 4C083AD222 4C083DD33 4C083DD41 4C083EE06 4C083EE07 4C083FF05 4G065AA01 4G065AB06Y 4G065AB12Y 4G065AB32X 4G065AB33X 4G065BA07 4G065BB01 4G065BB08 4G065CA03 4G065DA01 4G065DA02 4G065EA01 4G065EA10 4G065FA01 本発明は、水中油型乳化組成物の製造方法に関するものである。 従来、例えば、医薬品、化粧品、食品分野等においては、水相中に油相を分散させた水中油型(O/W)乳化組成物が用いられている。水中油型乳化組成物は、分散媒が水性であるため、ベタツキが少なく使用性に優れるという利点がある。 かかる水中油型乳化組成物においては、例えばクリームを調製したときの物性や感触を改善するため、あるいはまた乳化系や分散系の安定性を高めるため、高粘度であることが要求される場合がある。 このような高粘度の水中油型乳化組成物に関し、下記特許文献1,2には、ショ糖脂肪酸ジエステルを50重量%以上含有するショ糖脂肪酸エステルを増粘ゲル化剤として用いることが提案されている。これらの文献において、上記ショ糖脂肪酸エステルは、水中でラメラ構造を形成することで、高い安定性、良好な使用感、高いゲル化性能を可能にすると記載されている。特開平05−279651号公報特開平07−026245号公報 上記文献に開示の技術では、上記増粘ゲル化剤を1重量%、好ましくは3重量%にて、水に均一に分散させることにより、使用性の良い水性ゲルが得られると記載されている。更に、特許文献1では、ショ糖脂肪酸エステルを5重量%以下にて調製したゲル80重量部に、乳化液20重量部を加え、加温して70℃で混合することにより、化粧品処方に適用した例が開示されている。 しかしながら、これらの文献に開示された製造方法では、十分なゲル化能が得られるとは言い難く、より高粘度で安定な水中油型乳化組成物が求められる。 本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、従来にも増して粘度が高く、安定な水中油型乳化組成物が得られる製造方法を提供することを目的とする。 本発明者は、高濃度の乳化剤水溶液を水和固体−液晶相転移温度以上で調製した後冷却し、これにより得られたゲルを低温のまま、油分および水と混合して乳化するという、従来とは異なる工程を経て水中油型乳化組成物を調製することにより、従来の方法で得られた水中油型乳化組成物よりも粘度が高く、安定なものが得られることを見い出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明に係る水中油型乳化組成物の製造方法は、乳化剤を20重量%以上含有する乳化剤水溶液を水和固体−液晶相転移温度以上で調製した後、水和固体−液晶相転移温度よりも低温まで冷却してゲル化させる工程と、前記工程で得られたゲル、油分および水を、水和固体−液晶相転移温度よりも低温で混合し乳化する工程と、を含むものである。 上記製造方法によれば、従来の乳化方法で得られた水中油型乳化組成物よりも、粘度が高く、安定な水中油型乳化組成物を調製することができる。 以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。 本発明に係る水中油型乳化組成物(以下、単に「乳化液」ということがある。)の製造方法は、20重量%以上の乳化剤水溶液を水和固体−液晶相転移温度以上で調製した後、水和固体−液晶相転移温度よりも低温まで冷却する第1の工程を含む。このようにして得られる乳化剤水溶液はゲル状をなしており、すなわち該乳化剤水溶液は水和ゲルとして得られる。 第1の工程において、上記乳化剤としては、各種の非イオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤および両性界面活性剤を挙げることができるが、特には、ショ糖脂肪酸エステルを用いることが好適である。ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖(スクロース)の水酸基に脂肪酸がエステル結合してなる非イオン界面活性剤であり、安全性が高く、医薬品、化粧品、食品分野等で好適に用いることができる。 ショ糖脂肪酸エステルは、エステル化度の異なるエステルの混合物として製造され、市販されている。ここでは、特に限定する趣旨ではないが、エステル化度が2のジエステル成分(ショ糖脂肪酸ジエステル)を50重量%以上含有するものが、とりわけ好ましく用いられる。このようなジエステル成分の高いショ糖脂肪酸エステルであると、水相中でラメラ構造からなる会合体を形成することから、ゲル化効果を高めることができる。ジエステル成分の含有量の上限は特に限定されず、100重量%でもよい。好ましくは80重量%以下であり、更に好ましくは70重量%以下である。 上記ショ糖脂肪酸エステルを構成する脂肪酸としては、炭素数12〜22の飽和または不飽和の、直鎖または分岐を持つものが挙げられ、1種または2種以上組み合わせて用いられる。好ましくは炭素数14〜20の飽和脂肪酸であり、更に好ましくはステアリン酸とパルミチン酸の混合物であり、特に好ましくはステアリン酸/パルミチン酸=60/40〜90/10(重量比)である。 上記ショ糖脂肪酸エステルは、HLBが7〜11であるものが好ましく用いられる。理由については定かではないが、この範囲のショ糖脂肪酸エステルは、分子内に親水基と疎水基が適度なバランスを持つことから水溶液中で液晶あるいは液晶ゲルを形成しやすく、当該方法にて乳化液を調製する際に系全体にゲルが構造的に形成され、結果として増粘効果が生じると考えられる。 ジエステル成分が50重量%以上であるエステル組成を持つショ糖脂肪酸エステルは、既知の合成方法を利用して調製することができる。一般に、ショ糖脂肪酸エステルの合成方法としては、ジメチルホルムアミドやジメチルスルホキシド等の反応溶媒中で、アルカリ触媒の存在下、ショ糖と脂肪酸アルキルエステル(例えば脂肪酸メチル)とを反応させる方法(溶媒法:特公昭35−13102号公報)や、溶媒を用いずに水を使ってショ糖を脂肪酸石鹸と共に溶融混合物とした後、触媒の存在下に脂肪酸アルキルエステルと反応させる方法(水媒法:特公昭51−14485号公報)などが挙げられる。これらの合成方法で得られた反応生成物から、未反応の糖や脂肪酸アルキルエステル、溶媒などの夾雑物を除去した後、カラム等を用いて分画し、分画物を適宜組み合わせて配合することにより、上記エステル組成を持つショ糖脂肪酸エステルを調製することができる。また、市販のショ糖脂肪酸エステルを複数組み合わせて混合したり、あるいはまた、市販のショ糖脂肪酸エステルを、カラム等を用いて分画し、分画物を適宜に組み合わせて配合したり、また、これらの分画物を上記で合成したショ糖脂肪酸エステルまたはその分画物と適宜に組み合わせて配合することにより、上記エステル組成を持つショ糖脂肪酸エステルを調製することもできる。 乳化剤として、上記ショ糖脂肪酸エステルを用いる場合、これとともに、イオン性界面活性剤や、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレングリセリルエーテル脂肪酸エステル、アルキルポリグルコシドなどに代表される非イオン界面活性剤などの他の界面活性剤を併用してもよい。前記イオン性界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、アシルグルタミン酸塩やステアロイル乳酸塩、スルホコハク酸塩、エーテルカルボン酸塩などのアニオン活性剤や、アルキルアンモニウム塩、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルの有機酸塩などのカチオン活性剤、アルキル(アミド)ベタインやアルキルジメチルアミンオキシドなどの両性活性剤が挙げられ、炭素数12〜22の脂肪酸石鹸を用いることが好ましい。 第1の工程では、上記乳化剤を20重量%以上含有する乳化剤水溶液を調製する。乳化剤の含有量を20重量%以上とすることにより、構造的な水和ゲル(液晶ゲル)が効果的に形成すると考えられる。乳化剤の含有量の上限は特に限定するものではないが、70重量%以下であることが好ましく、より好ましくは60重量%以下である。 乳化剤水溶液の調製に際しては、上記乳化剤に水を加え、水和固体−液晶相転移温度以上に加熱し攪拌する。水和固体−液晶相転移温度以上に加熱することにより、乳化剤を水中に溶解し液晶を形成させることができる。加熱温度は、水和固体−液晶相転移温度よりも高く、好ましくは水和固体−液晶相転移温度に対して10〜20℃高い温度とすることである。 ここで、水和固体−液晶相転移温度とは、乳化剤(界面活性剤)と水を含む混合物が、ゲル化した水和固体と呼ばれる状態(水和ゲル、液晶ゲルとも称される)から液状の液晶と呼ばれる状態に相転移する温度のことである。この現象は、界面活性剤の疎水基(ショ糖脂肪酸エステルの場合のアルキル鎖部分)は温度が低いと結晶化しているが、ある温度以上では結晶状態が緩慢になり、同一分子内にある親水部のために構造的に秩序を保った配列をしているものの、疎水基(アルキル鎖部分)が比較的自由度のある状態(あたかも液状)となるため、液晶と呼ばれる状態になることによるものである。例えば、ショ糖脂肪酸エステルの場合、その水溶液又は乳化液はラメラ液晶構造を形成しており、ある温度を境に急激に粘度が変化することから、この粘度が急激に変化する温度が、水和固体−液晶相転移温度に相当する。 上記水和固体−液晶相転移温度の測定は、乳化液を用いて、DSC(示差走査熱量測定)により行われ、次の条件でエネルギーの出入りを測定し、昇温工程で吸熱を開始した点が水和固体−液晶相転移温度である。なお、下記表1の実施例においては、それぞれ調製した各乳化液をサンプルとして、水和固体−液晶相転移温度を測定した。その際、降温工程で昇温工程と同程度の発熱が見られたことから、水和固体−液晶相転移が、ある温度(即ち、水和固体−液晶相転移温度)で可逆的に起こっていることが確認された。 [DSC]METTER TOLEDO製「DSC821E」(密封アルミパン使用)、[温度履歴]昇温工程:20℃−80℃(10℃/分)、 降温工程:80℃−20℃(10℃/分)。 上記のように水和固体−液晶相転移温度以上で攪拌溶解させた後、乳化剤水溶液を水和固体−液晶相転移温度未満に冷却する。これにより、乳化剤水溶液がゲル状の水和固体となる。この冷却温度は、水和固体−液晶相転移温度よりも低ければ特に限定されないが、好ましくは水和固体−液晶相転移温度よりも5〜10℃低い温度とすることである。 なお、乳化液の水和固体−液晶相転移温度は、乳化剤水溶液の水和固体−液晶相転移温度とは必ずしも完全に一致するものではないが、両者は略同一視できるものと考えられるので、本発明では、上記のように乳化液の水和固体−液晶相転移温度を基準としている。但し、第1の工程において、乳化剤水溶液をゲル化させるためには、厳密には、乳化剤水溶液の水和固体−液晶相転移温度よりも低温まで冷却することが好ましい。 本発明に係る水中油型乳化組成物の製造方法は、第1の工程で得られたゲル、油分および水を、前記水和固体−液晶相転移温度よりも低温で混合し乳化する第2の工程を含む。このように第1の工程で得られたゲル状の乳化剤水溶液、即ち水和固体を用い、これを水和固体−液晶相転移温度よりも低温で油分および水と混合して乳化させることにより(コールドエマルシフィケーション)、高粘度の水中油型乳化組成物(乳化液)を調製することができる。すなわち、従来の通常の方法に従い、水和固体−液晶相転移温度以上に加熱して乳化させると、安定性はまずまずの結果が得られるものの、粘度が低くなってしまう。これに対し、上記のように低温で乳化させることにより、粘度が高く、高粘度液状又はペースト状にすることができ、安定な乳化液が得られる。これは、水和固体−液晶相転移温度以上では液晶状態にあるため、比較的僅かなエネルギーで分子が容易に水相や油相あるいは水−油界面に移動し、構造が容易に変化し得るが、水和固体−液晶相転移温度より低い温度では乳化剤(ショ糖脂肪酸エステル)がより硬い構造の水和ゲルとして存在し、その結果、増粘効果を発揮すると考えられる。かかる乳化温度は、水和固体−液晶相転移温度よりも低温であれば、特に限定されないが、好ましくは水和固体−液晶相転移温度よりも5〜10℃低い温度とすることである。 混合・乳化方法自体は特に限定されないが、例えば、上記ゲル状の乳化剤水溶液に油分を添加し、攪拌した後、これを水中に添加し、ホモミキサーなどを用いて乳化することが好適である。 乳化剤水溶液と油分と水の各配合比率は、特に限定されないが、乳化剤水溶液は、水中油型乳化組成物中における乳化剤濃度が0.5〜30重量%となるように配合されることが好ましく、より好ましくは1〜10重量%である。また、油分は、水中油型乳化組成物中における濃度で3〜40重量%であることが好ましく、より好ましくは5〜30重量%である。 水中油型乳化組成物において分散相である油相を構成する上記油分としては、特に限定されず、例えば、メチルシリコーンやジメチルシリコーンなどのシリコン油に代表される合成系油剤、ステアリン酸やイソステアリン酸などの高級脂肪酸、パラフィンやミネラル油などの鉱物油や炭化水素、パルミチン酸イソプロピルやミリスチン酸イソプロピルなどのエステル油、動植物油などの油脂、ミツロウ・カルナバワックスなどのワックス類が挙げられる。 また、連続相である水相を構成する水には、各種水溶性物質を溶解させることができ、すなわち、水だけでなく水溶液も用いられる。例えば、化粧品、医薬品等の各種皮膚外用剤に配合される水溶性成分としてのエタノールや、プロピレングリコール、ブチレングリコールなどの多価アルコール、単糖やオリゴ糖などの糖類を水に配合してもよい。 また、本発明に係る水中油型乳化組成物には、ステアリルアルコールやセチルアルコールなどの高級アルコール、フィトステロールなどのステロール誘導体、キサンタンガムやカルボマーなどに挙げられるような天然系多糖類・合成系の増粘剤・水溶性高分子、粘土鉱物や無水ケイ酸などの無機増粘剤、タルク・カオリン・雲母などの無機粉末、ポリアミド樹脂粉末・ポリスチレン粉末などの有機粉末・有機顔料・色素などの粉末、その他、保湿剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、アミノ酸類、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン類、酸化防止剤、香料などの食品、化粧品、医薬分野において一般的に使用される素材を適宜配合することができる。 本発明に係る水中油型乳化組成物は、医薬品、化粧品、食品分野等に用いることができ、例えば、ローション、保湿クリーム、表皮からの水分蒸発を抑制できる水分閉塞性クリームなどの各種の皮膚外用剤に対して特に好ましくは用いられる。 以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明の範囲はこれに限定されるものではない。(ショ糖脂肪酸エステルの調製) 下記表1に示すエステル組成を持つショ糖脂肪酸エステル(ステアリン酸/パルミチン酸=75/25(重量比))を調製した。調製は、「Determination of Sucrose Fatty Acid Esters by High-performance Liquid Chromatography」(J. Oleo Sci., Vol. 50, No. 4, 2001, p249-254)に記載の方法に従って、各エステル成分の純物質をHPLCにより分取し、必要に応じて各エステル成分を混合することにより行った。 エステル組成の分析は、ゲル濾過クロマトグラフィー(GPC)による。具体的には、条件を、カラム:Megapak GEL 201(日本分光株式会社製)、20mmφ×500mm×2本、溶離液:テトラヒドロフラン、流速:3ml/分、検出器:RI、カラム温度:常温とし、試料500mg及びラウリン酸(内部標準物質)200mgをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、この溶液60μlを注入し分析した。そして、得られたクロマトグラムにおける各々のエステル部のピーク面積と内部標準物質との面積比を相対感度で補正することにより、各エステル成分の含有量を算出した。(水中油型乳化組成物(乳化液)の調製)1.実施例1〜8及び比較例5 これらの実施例及び比較例については、次の第1及び第2工程により乳化液を調製した。 第1工程:乳化剤として、実施例1〜7及び比較例5では、上記のようにして調製した下記表1に示す組成のショ糖脂肪酸エステルを用い、実施例8では、Uniqema社製の「Arlaton2121」(ステアリン酸ソルビタンとヤシ油脂肪酸スクロースの混合物。表1中、※1と表示)を用いた。該乳化剤に水を加え、水和固体−液晶相転移温度よりも高い温度T1(表1参照)での加熱下、攪拌して乳化剤を溶解させた。その後、水和固体−液晶相転移温度よりも低い温度T2(表1参照)まで冷却して、ゲル状の乳化剤水溶液を調製した(各乳化剤水溶液の乳化剤濃度は表1に記載の通りである)。 第2工程:水和固体−液晶相転移温度よりも低い温度T3(表1参照)にて、上記で得られたゲル状の乳化剤水溶液に、油脂(市販のひまわり油)を加え、攪拌した(T.K.ホモミキサー(特殊機化工業株式会社製)/ディスパー翼/1500rpm/5分)。水相となる水を攪拌しながら、この水に、上記の油脂を混合した乳化剤水溶液を添加し攪拌した(T.K.ホモミキサー/ディスパー翼/1500rpm/5分)。その後、乳化処理(T.K.ホモミキサー/ホモミキサー翼/8000rpm/5分)を行い、水中油型乳化組成物(乳化液)を調製した。各乳化液中における乳化剤、油脂および水の含有率は表1に示す通りとした。2.比較例1〜4及び6 これらの比較例については、乳化剤を水相に分散させ、80℃で加熱溶解した後、80℃に加熱した油相を加え、80℃で乳化させ(T.K.ホモミキサー/ホモミキサー翼/8000rpm/5分)、その後、緩やかに攪拌しながら室温まで冷却させて、乳化液を調製した(表1中、T1〜3につき※2と表示)。(乳化液の評価) 上記で得られた各乳化液について、保存安定性試験を実施するとともに、粘度を測定した。各測定方法は以下の通りである。・保存安定性:調製した乳化液をサンプル瓶に入れ、50℃の恒温槽で10日間保存し、油相及び水相の分離を観察した。油相及び水相の分離層の厚さを測り、乳化液全体に対する百分率で表した。その際、1%に満たないものを「僅か」とし、分離層が全く見られないものを「なし」とした。・粘度:BROOKFIELD VISCOMETER MODEL DV−1,spindle No.5, 5rpmにて、常温(23℃)で測定した。 結果は、表1に示す通りであり、常法に従って高温で乳化した比較例1〜4,6では、得られた乳化液はある程度安定なものであったが、低粘度であり、ゲル化が不十分であった。これに対し、低温で乳化した実施例1〜8では、比較例1〜4,6に対して粘度が顕著に高く、高粘度液体ないしペースト状の形態を有しており、安定性にも優れていた。また、特に、実施例4,5のように、ジエステル成分の含有量が50重量%以上のショ糖脂肪酸エステルを用いることにより、更に安定性が高く、高粘度の乳化液が得られた。 比較例5のように、乳化剤水溶液の濃度が5重量%と低いと、乳化液の保存安定が損なわれるだけでなく、粘度が顕著に低く、高粘度の乳化液は得られなかった。 なお、上記第1工程において加熱する際に、水和固体−液晶相転移温度以下で調製した場合、僅かに増粘傾向にあったが、ショ糖脂肪酸エステルがうまく水で膨潤しないことが理由で水和ゲル(液晶ゲル)を形成せず、乳化液中で一部結晶のまま残っていることが偏光顕微鏡で確認された。 本発明に係る水中油型乳化組成物は、医薬品、化粧品、食品分野等に好適に用いることができる。 乳化剤を20重量%以上含有する乳化剤水溶液を水和固体−液晶相転移温度以上で調製した後、水和固体−液晶相転移温度よりも低温まで冷却してゲル化させる工程と、 前記工程で得られたゲル、油分および水を、水和固体−液晶相転移温度よりも低温で混合し乳化する工程と、 を含む水中油型乳化組成物の製造方法。 前記乳化剤がショ糖脂肪酸エステルである、請求項1に記載の水中油型乳化組成物の製造方法。 前記ショ糖脂肪酸エステルは、エステル化度が2のジエステル成分を50重量%以上含有するものである、請求項2記載の水中油型乳化組成物の製造方法。 【課題】粘度が高く、安定な水中油型乳化組成物を得る。【解決手段】乳化剤を20重量%以上含有する乳化剤水溶液を水和固体−液晶相転移温度以上で調製した後、水和固体−液晶相転移温度よりも低温まで冷却してゲル化させる工程と、前記工程で得られたゲル、油分および水を、 水和固体−液晶相転移温度よりも低温で混合し乳化する工程と、を含む水中油型乳化組成物の製造方法である。上記乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステルが好適であり、特には、エステル化度が2のジエステル成分を50重量%以上含有するショ糖脂肪酸エステルが好適である。【選択図】なし


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