タイトル: | 公開特許公報(A)_スルホコハク酸またはその塩の製造方法 |
出願番号: | 2008233627 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | C07C 303/32,C07C 303/20,C07C 309/17,C07C 303/22 |
小林 宏充 井上 健太 仁藤 浩久 JP 2010064987 公開特許公報(A) 20100325 2008233627 20080911 スルホコハク酸またはその塩の製造方法 株式会社ADEKA 000000387 曾我 道治 100110423 古川 秀利 100084010 鈴木 憲七 100094695 梶並 順 100111648 大宅 一宏 100122437 小林 宏充 井上 健太 仁藤 浩久 C07C 303/32 20060101AFI20100226BHJP C07C 303/20 20060101ALI20100226BHJP C07C 309/17 20060101ALI20100226BHJP C07C 303/22 20060101ALI20100226BHJP JPC07C303/32C07C303/20C07C309/17C07C303/22 5 OL 11 4H006 4H006AA02 4H006AA03 4H006AB68 4H006AB99 4H006AC61 4H006BA72 4H006BC31 本発明は、スルホコハク酸またはその塩の新規な製造方法に関する。 特許文献1のような、マレイン酸またはフマル酸に亜硫酸塩を反応させる方法は、比較的に反応性良くスルホコハク酸アルカリ金属塩を得ることができる公知の方法である。しかし、スルホコハク酸アルカリ金属塩は脱塩操作してスルホコハク酸の製造に用いられる物質であり、この特許文献1の方法では、アルカリ金属原子が2原子以上結合してしまうため、その後の脱塩操作が困難となる。そのため、スルホコハク酸の製造に際しては、コストもかかってしまうという問題がある。また、マレイン酸またはフマル酸と二亜硫酸塩を反応する方法も考えられるが、この方法では反応性が悪いという問題がある。特開平8−337567号公報 従って、本発明が解決しようとする課題は、反応性が良く、かつ、低コストにスルホコハク酸を製造すること、または、低コストにスルホコハク酸を製造することのできるスルホコハク酸アルカリ金属塩を製造することである。 そこで、本発明者等は鋭意検討し、反応性が良く、かつ、低コストにスルホコハク酸を製造する方法および、低コストにスルホコハク酸を製造することのできるスルホコハク酸アルカリ金属塩を製造する方法を見出し、本発明に至った。即ち、本発明は、A成分としてフマル酸および/またはマレイン酸に、B成分として亜硫酸アルカリ金属塩および二亜硫酸アルカリ金属塩を反応させることを特徴とする、スルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法である。 また、本発明は、上記の製造方法で得られるスルホコハク酸アルカリ金属塩をイオン交換樹脂法、有機酸置換法または無機酸置換法から選ばれる1つ以上の方法で脱塩操作することを特徴とする、スルホコハク酸の製造方法である。 また、本発明は、上記の製造方法で得られるスルホコハク酸を含むことを特徴とする、めっき浴添加剤である。 本発明の効果は、反応性が良く、かつ、低コストにスルホコハク酸を製造する方法、または、低コストにスルホコハク酸を製造することのできるスルホコハク酸アルカリ金属塩を製造する方法を提供したことにある。 本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法におけるA成分は、フマル酸および/またはマレイン酸である。フマル酸とマレイン酸のどちらを使用しても構わないが、毒性が低いことからフマル酸の使用が好ましく、より好ましくはフマル酸のみの使用がよい。 本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法におけるB成分は、亜硫酸アルカリ金属塩および二亜硫酸アルカリ金属塩を含むスルホン化剤である。これらのアルカリ金属塩として、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、ルビジウム塩などがあるが、入手しやすいことからナトリウム塩またはカリウム塩が好ましい。 本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法において、A成分とB成分を混合して反応させる際、そのA成分とB成分の混合モル比は、特に限定されないが、A成分1モルに対して、B成分が含有する硫黄原子が1〜2モルであることが好ましい。さらに好ましくは、A成分1モルに対して、B成分が含有する硫黄原子が1〜1.45モルであり、最も好ましくは、A成分1モルに対して、B成分が含有する硫黄原子が1〜1.3モルである。A成分1モルに対してB成分が含有する硫黄原子が1モルより少ないと、十分にスルホン化が行えない場合があり、一方、B成分が含有する硫黄原子が2モルより多いと、副生成物や余剰亜硫酸が多くなり、後の精製が困難となる場合がある。 フマル酸および/またはマレイン酸に亜硫酸アルカリ金属塩を反応させ、スルホコハク酸アルカリ金属塩とした後に脱塩操作を行ってスルホコハク酸を得る方法は、スルホコハク酸1モルに対してアルカリ金属が2モル結合したスルホコハク酸2アルカリ金属塩が得られるため、その後の脱塩操作が困難となり、コストもかかってしまう場合がある。また、フマル酸および/またはマレイン酸に二亜硫酸アルカリ金属塩を反応させスルホコハク酸アルカリ金属塩を得る方法は、反応が十分に進まず、スルホコハク酸アルカリ金属塩の生成率が低くなってしまう場合がある。 本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法では、A成分としてフマル酸および/またはマレイン酸に、B成分として亜硫酸アルカリ金属塩および二亜硫酸アルカリ金属塩を反応させるため、スルホコハク酸1モルに対してアルカリ金属が1モル結合したものと2モル結合したものの混合物が得られる。つまり、スルホコハク酸1モルに対して結合するアルカリ金属のモル数をXとすると、本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法では、1<X<2のスルホコハク酸Xアルカリ金属塩を得ることができる。スルホコハク酸を製造する際の脱塩操作の効率性を考慮すると、スルホコハク酸1モルに対して結合するアルカリ金属のモル数Xは、1<X<2であることが好ましく、より小さい方が好ましい。より好ましくは1<X<1.7である。 本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法の工業的生産性は、上記のような脱塩操作してスルホコハク酸を製造する際の効率性と、さらに、スルホコハク酸アルカリ金属塩の生成率を併せて評価する。したがって、スルホコハク酸アルカリ金属塩(SSA)の生成率とスルホコハク酸アルカリ金属塩1モルに対して結合しているアルカリ金属のモル数Xにより表される、SSA生成率/Xを用いて、本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法の工業的生産性を評価することができる。つまり、SSA生成率/Xの値が高いほど工業的生産に適していると評価できる。この指標がより大きな値となるように、B成分内の二亜硫酸アルカリ金属塩と亜硫酸アルカリ金属塩の混合の割合を調整すればよいが、より高い効果を得るためには、B成分内の混合モル比が、二亜硫酸アルカリ金属塩/亜硫酸アルカリ金属塩=0.4〜20であることが好ましく、1〜10であればより好ましい。 A成分とB成分の反応条件は、特に限定されず、公知のスルホン化の方法における条件を用いることができる。例えば、亜硫酸アルカリ金属塩および二亜硫酸アルカリ金属塩を水に溶解し、この水溶液にフマル酸および/またはマレイン酸を加えて約60℃に昇温し、反応を開始するという条件が挙げられる。さらに具体的な反応条件として、例えば、温度は50〜70℃、圧力は常圧、反応時間は3〜5時間程度などの条件が挙げられる。溶媒の水の量は、A成分10質量部に対して、水を15〜60質量部用いることが好ましい。溶媒の水が15質量部未満の場合は不溶物が生じ、十分に反応が進行しない場合がある。また、反応の進行が不十分である場合、または、反応系に余剰亜硫酸が残存する場合は、反応の完結および余剰亜硫酸を除去するための還流操作を行う場合がある。この還流操作の条件も、特に限定されず、温度は100〜110℃、還流時間は1〜2時間程度で、窒素を導入しながら行えばよい。 本発明のスルホコハク酸の製造方法は、イオン交換樹脂法、有機酸置換法、無機酸置換法から選ばれる1つ以上の方法で、上記本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法で得られるスルホコハク酸アルカリ金属塩を脱塩操作するものである。 本発明のスルホコハク酸の製造方法におけるイオン交換樹脂法による脱塩操作では、イオン交換樹脂として強酸性カチオン交換樹脂を用いて脱塩すればよい。 有機酸置換法とは、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸などの有機酸とこれらの有機酸塩の水への溶解度の差を利用する分離方法である。本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法で得られるスルホコハク酸アルカリ金属塩に有機酸を加えると、塩の置換が起こり、有機酸塩が生成する。この有機酸塩は水への溶解度が低いため沈殿するので、脱塩および分離ができ、スルホコハク酸を得ることができる。 無機酸置換法とは、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸の塩とスルホコハク酸の溶剤への溶解度の差を利用する分離方法である。本発明のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法で得られるスルホコハク酸アルカリ金属塩に無水の炭素数1〜4の低級アルコールやエチレングリコールモノアルキルエーテルなどの溶剤と無機酸を加えると、塩の置換が起こり、無機酸塩が生成する。この無機酸塩は溶剤への溶解度が低いため沈殿するので、脱塩および分離ができ、スルホコハク酸を得ることができる。 これらの中でも、イオン交換樹脂法または有機酸置換法が塩の除去率の高さから好ましい。無機酸置換法では、無機酸由来の塩化物イオンや硫化物イオンなどの無機物イオンの残存が多く、純度が著しく低下してしまう場合があり、また、無機酸置換法では塩の除去率も低く、脱溶剤の操作も加わるために、イオン交換樹脂法または有機酸置換法と比べると操作が煩雑になってしまう。 本発明のめっき浴添加剤は、本発明のスルホコハク酸の製造方法で得られるスルホコハク酸を使用する。スルホコハク酸は、金属溶解力をもつスルホ基と多種金属のキレート効果をもつカルボキシル基を有しているため、めっき浴添加剤として利用できる。めっき浴添加剤におけるスルホコハク酸の純度が低いと、めっき後の被めっき物表面にアルカリ金属が残存してしまう。その結果、電子部品のめっきに用いる場合、電子部品における回路間絶縁が不良となる場合があるので、めっき浴添加剤においては高純度のスルホコハク酸が望まれている。しかし、公知のスルホン化の方法で高純度なスルホコハク酸を製造する場合、コストがかかってしまい、めっき浴添加剤として利用するのは困難だった。そこで、本発明のスルホコハク酸の製造方法では、低コストで高純度なスルホコハク酸を製造することが可能であり、本発明のスルホコハク酸の製造方法により得られるスルホコハク酸はめっき浴添加剤として適している。 なお、本発明のめっき浴で使用するスルホコハク酸を含む添加剤中のアルカリ金属濃度は0.2質量%以下が好ましく、より好ましくは0.05質量%以下である。 本発明のスルホコハク酸の製造方法で得られるスルホコハク酸は、銅めっき、ニッケルめっき、スズめっき、スズ合金めっき、鉛フリースズ合金めっきなどの電気めっきや無電解めっきまたは置換スズめっきなど、酸を添加剤として用いるめっきのためのめっき浴添加剤として利用できる。めっき浴中のスルホコハク酸の含有量は50g/L以上、特に100g/L以上が好ましく、また、600g/L以下、より好ましくは500g/L以下、さらに好ましくは400g/L以下、最も好ましくは300g/L以下である。少なすぎるとめっき浴の安定性が悪くなり、沈殿物が生じやすい傾向となり、多すぎると効果のない過剰量となる傾向となる。 本発明のスルホコハク酸の製造方法で得られるスルホコハク酸をめっき浴添加剤として利用する場合、必要に応じて公知のその他の添加剤と混合することができる。このようなその他のめっき浴添加剤として、例えば、無機酸もしくは有機酸、浴安定化剤または錯化剤としてのチオアミド化合物またはチオール化合物、めっき皮膜表面の平滑緻密化および析出合金組成の均一化のための界面活性剤、平滑剤および酸化防止剤としてのメルカプト基含有芳香族化合物、ジオキシ芳香族化合物または不飽和カルボン酸化合物、めっき薄膜表面の光沢剤としてのアルデヒド化合物、さらにpH調整剤や防腐剤などが挙げられる。 上記の無機酸または有機酸として、例えば、硫酸、塩酸、硝酸、フッ化水素酸、ホウフッ化水素酸、リン酸、スルファミン酸、スルホン酸(脂肪族スルホン酸、芳香族スルホン酸)、カルボン酸(脂肪族飽和カルボン酸、芳香族カルボン酸、アミノカルボン酸など)、縮合リン酸、ホスホン酸などから選ばれる酸の1種または2種以上が挙げられる。上記のスルホン酸として、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、イセチオン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、ペンタンスルホン酸、クロルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシブタン−1−スルホン酸、2−ヒドロキシペンタン−1−スルホン酸、アリルスルホン酸、2−スルホ酢酸、2−スルホプロピオン酸、3−スルホプロピオン酸、スルホマレイン酸、スルホフマル酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ニトロベンゼンスルホン酸、スルホ安息香酸、スルホサリチル酸、ベンズアルデヒドスルホン酸、p−フェノールスルホン酸などが挙げられる。また、上記のカルボン酸として、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、プロピオン酸、酪酸、グルコン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、トリカルバリル酸、フェニル酢酸、安息香酸、アニス酸、イミノ二酢酸、ニトリロ三酢酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸などが挙げられる。また、上記の縮合リン酸として、例えば、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸、ポリリン酸(重合度5以上)、ヘキサメタリン酸などが挙げられ、ホスホン酸として、例えば、アミノトリメチレンホスホン酸、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラメチレンホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸などが挙げられる。 上記の浴安定化剤または錯化剤としてのチオアミド化合物またはチオール化合物として、例えば、チオ尿素、ジメチルチオ尿素、ジエチルチオ尿素、トリメチルチオ尿素、N,N'−ジイソプロピルチオ尿素、アセチルチオ尿素、アリルチオ尿素、エチレンチオ尿素、1,3−ジフェニルチオ尿素、二酸化チオ尿素、チオセミカルバジド、テトラメチルチオ尿素などの炭素数1〜15のチオアミド化合物またはメルカプト酢酸、メルカプトコハク酸、メルカプト乳酸などの炭素数2〜8のチオール化合物が挙げられる。 上記のめっき皮膜表面の平滑緻密化および析出合金組成の均一化のための界面活性剤として、例えば、非イオン界面活性剤であるポリオキシエチレンβ−ナフトールエーテル、エチレンオキサイドプロピレンオキサイドブロックコポリマー、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン多価アルコールエーテル、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。 上記の平滑剤および酸化防止剤としてのメルカプト基含有芳香族化合物として、例えば、2−メルカプト安息香酸、メルカプトフェノール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトエチルアミン、メルカプトピリジンなどが挙げられ、またジオキシ芳香族化合物として、例えば、ジオキシベンゾフェノン、3,4−ジオキシフェニルアラニン、レゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ジオキシヘキサン、ジパリンなどが挙げられ、また不飽和カルボン酸化合物として、例えば、安息香酸、フマル酸、フタル酸、アクリル酸、シトラコン酸、メタクリル酸などが挙げられる。本発明のスルホコハク酸の製造方法で得られるスルホコハク酸をめっき浴添加剤として含有するめっき浴には、上記のような平滑剤および酸化防止剤としてのメルカプト基含有芳香族化合物、ジオキシ芳香族化合物および不飽和カルボン酸化合物の1種または2種以上を添加することができる。 上記のめっき薄膜表面の光沢剤としてのアルデヒド化合物としては、例えば、ナフトアルデヒド、クロロベンズアルデヒド、2,4−ジクロロベンズアルデヒド、アセトアルデヒド、サリチルアルデヒド、チオフェンアルデヒド、アニスアルデヒド、サリチルアルデヒドアリルエーテルなどが挙げられる。本発明のスルホコハク酸の製造方法で得られるスルホコハク酸をめっき浴添加剤として含有するめっき浴には上記のようなめっき薄膜表面の光沢剤としてのアルデヒド化合物の1種または2種以上を添加することができる。 上記のpH調整剤として、例えば、塩酸、硫酸などの各種の酸、アンモニア水などの各種の塩基などが挙げられる。また、防腐剤として、例えば、ホウ酸、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、塩化ベンザルコニウム、フェノール、フェノールポリエトキシレート、チモール、レゾルシン、イソプロピルアミン、グアヤコールなどが挙げられる。 以下本発明を実施例により、具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%及びppmは特に記載が無い限り質量基準である。 A成分としてフマル酸、B成分として亜硫酸ナトリウムおよび/または二亜硫酸ナトリウムを用いて、実施例1〜6および比較例1〜4に示した条件でスルホコハク酸ナトリウム塩を合成した。また、イオン交換樹脂法により実施例1〜6および比較例1〜4で得られたスルホコハク酸ナトリウム塩の脱ナトリウムを行い、スルホコハク酸を得た。<実施例1> 酸性ガストラップを連結したコンデンサーおよび攪拌機を取り付けた反応容器に水480gを入れ、二亜硫酸ナトリウム67.0gと亜硫酸ナトリウム74.7gを加えて40〜50℃に昇温した後、この溶液にフマル酸(FA)120gを加えて60℃に昇温して4時間反応した。このときの混合モル比はFA/Na2S2O5/Na2SO3=1/0.341/0.57とした。60℃にて4時間反応した後、還流温度まで昇温して窒素を導入しながら還流を行い、反応液中に残存する亜硫酸を、その臭気を感じなくなるレベルまで除去した。<実施例2> 二亜硫酸ナトリウム78.6g、亜硫酸ナトリウム26.0g(混合モル比はFA/Na2S2O5/Na2SO3=1/0.4/0.2)とした以外は実施例1同様の操作を行った。<実施例3> 二亜硫酸ナトリウム98.2g、亜硫酸ナトリウム32.6g(混合モル比はFA/Na2S2O5/Na2SO3=1/0.5/0.25)とした以外は実施例1同様の操作を行った。<実施例4> 二亜硫酸ナトリウム118g、亜硫酸ナトリウム39.1g(混合モル比はFA/Na2S2O5/Na2SO3=1/0.6/0.3)とした以外は実施例1同様の操作を行った。<実施例5> 二亜硫酸ナトリウム117g、亜硫酸ナトリウム7.8g(混合モル比はFA/Na2S2O5/Na2SO3=1/0.595/0.06)とした以外は実施例1同様の操作を 行った。<実施例6> 二亜硫酸ナトリウム119.8g、亜硫酸ナトリウム4.0g(混合モル比はFA/Na2S2O5/Na2SO3=1/0.61/0.03)とした以外は実施例1同様の操作を行った。<比較例1> 二亜硫酸ナトリウムを用いず亜硫酸ナトリウム130g(混合モル比はFA/Na2SO3=1/1)とした以外は実施例1同様の操作を行った。<比較例2> 亜硫酸ナトリウムを用いず二亜硫酸ナトリウム98.2g(混合モル比はFA/Na2S2O5=1/0.5)とした以外は実施例1同様の操作を行った。<比較例3> 二亜硫酸ナトリウムを用いず亜硫酸ナトリウム162.8g(混合モル比はFA/Na2SO3=1/1.25)とした以外は実施例1同様の操作を行った。<比較例4> 亜硫酸ナトリウムを用いず二亜硫酸ナトリウム122.8g(混合モル比はFA/Na2S2O5=1/0.625)とした以外は実施例1同様の操作を行った。 上記の実施例1〜6および比較例1〜4の操作により得られたスルホコハク酸ナトリウム塩1モルに対して、結合しているナトリウムのモル数Xについて評価した。この際、得られたスルホコハク酸ナトリウム塩に結合するアルカリ金属の量は、ICP発光分析装置(ICPS−8100;島津製作所製)で測定した。また、スルホコハク酸ナトリウム塩(SSA)の生成率および反応終了後に残存する亜硫酸をその臭気を感じなくなるレベルまで除去するのに要した還流時間について評価した。評価結果を表1に示す。また、A成分1モルに対するB成分が含有する硫黄原子のモル数(B/A)、および、B成分の組成(Na2S2O5/Na2SO3=B1/B2)を表1に示す。<脱ナトリウム操作> イオン交換樹脂法により実施例1〜6および比較例1〜4で得られたスルホコハク酸ナトリウム塩の脱ナトリウムを行った。スルホコハク酸ナトリウム塩の濃度をスルホコハク酸濃度として12質量%に希釈した実施例1〜6および比較例1〜4の反応液を、イオン交換樹脂として強酸性カチオン交換樹脂(モノスフィア603C_H:ダウケミカル社製)1Lを充填した50mmφの塔に塔頂から(ダウンフロー)通液した。塔から出てきた溶液がpH1以下になった時点から分割回収していったときに得られた、ナトリウム濃度0.05質量%以下のスルホコハク酸水溶液のスルホコハク酸の収量を表1に示す。 スルホコハク酸ナトリウム塩1モルに結合しているナトリウムのモル数Xは、スルホコハク酸ナトリウム塩の生成率により影響される。つまり、スルホコハク酸ナトリウム塩の生成率が低い場合、スルホコハク酸1モルに対するナトリウムのモル数が多くなるため、スルホコハク酸ナトリウム塩1モルに結合するナトリウムのモル数Xは大きくなる。 比較例1または3のように亜硫酸ナトリウムを用いてスルホン化を行うと、スルホコハク酸ナトリウム塩1モルに対してナトリウムが2モルまたは2.5モル結合しているスルホコハク酸ナトリウム塩が得られた。このようにスルホコハク酸ナトリウム塩1モルに対してナトリウムが2モル以上結合したスルホコハク酸ナトリウム塩は脱塩操作が困難になり、脱塩操作後のスルホコハク酸の収量が著しく低下した。一方、比較例2および4のように二亜硫酸ナトリウムを用いてスルホン化を行うと、反応が十分に進行せず、スルホコハク酸ナトリウム塩の生成率が低かった。 実施例1〜6のようにフマル酸に二亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムを反応させると、スルホコハク酸ナトリウム塩1モルに対して、結合しているナトリウムのモル数Xが1<X<2となり、スルホコハク酸ナトリウム塩1モルに対してナトリウムが1モル結合しているものと、2モル結合しているものの混合物が得られた。また、上記の結果から、実施例1〜6のようにSSA生成率が高い場合、効率性よく脱塩操作して、高い収量でスルホコハク酸を得るためには、スルホコハク酸ナトリウム1モルに対して結合しているナトリウムのモル数Xがより小さい方が好ましいことが分かる。 実施例1〜6および比較例1〜4のスルホコハク酸ナトリウム塩の製造方法の工業的生産性は、上記のような、脱塩操作してスルホコハク酸を製造する際の効率性と、さらに、スルホコハク酸ナトリウム塩の生成率を併せて評価する。したがって、スルホコハク酸ナトリウム塩(SSA)の生成率とスルホコハク酸ナトリウム塩1モルに結合しているナトリウムのモル数Xにより表される、SSA生成率/Xを用いて、スルホコハク酸ナトリウム塩の製造方法の工業的生産性を評価することができる。例えば、A成分1モルに対するB成分の含有する硫黄原子が1.25モルのとき、表2および図1のように表すことができる。このとき、SSA生成率/Xの値が高いほど理想的であり、二亜硫酸ナトリウムと亜硫酸ナトリウムを混合することによって工業的生産性が上昇していることが分かる。<実施例7> 実施例3で得られたスルホコハク酸ナトリウム塩を脱ナトリウム操作して得たスルホコハク酸をめっき浴添加剤として用いて、表3に示した組成の水溶液としてめっき浴(スズ−亜鉛合金めっき用)を調製し、浴温25℃で、銅板上に5A/dm2でめっきを施した(ナトリウム濃度0.05質量%)。 本発明のスルホコハク酸をめっき浴添加剤として用いて、問題なくめっきできた。二亜硫酸ナトリウムおよび亜硫酸ナトリウムの混合比(B1/B2)とSSA生成率/Xとの関係を示す図である。 A成分としてフマル酸および/またはマレイン酸に、B成分として亜硫酸アルカリ金属塩および二亜硫酸アルカリ金属塩を反応させることを特徴とする、スルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法。 A成分1モルに対して、B成分が含有する硫黄原子が1〜2モルであることを特徴とする、請求項1に記載のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法。 B成分内の混合モル比が、二亜硫酸アルカリ金属塩/亜硫酸アルカリ金属塩=0.1〜20であることを特徴とする、請求項1または2に記載のスルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法。 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法で得られるスルホコハク酸アルカリ金属塩を、イオン交換樹脂法、有機酸置換法または無機酸置換法から選ばれる1つ以上の方法で脱塩操作することを特徴とする、スルホコハク酸の製造方法。 請求項4に記載の製造方法で得られるスルホコハク酸を含むことを特徴とする、めっき浴添加剤。 【課題】反応性が良く、かつ、低コストにスルホコハク酸を製造すること、または、低コストにスルホコハク酸を製造することのできるスルホコハク酸アルカリ金属塩を製造すること。【解決手段】A成分としてフマル酸および/またはマレイン酸に、B成分として亜硫酸アルカリ金属塩および二亜硫酸アルカリ金属塩を反応させることを特徴とする、スルホコハク酸アルカリ金属塩の製造方法。【選択図】なし