生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_アスピリン腸溶錠
出願番号:2008228086
年次:2010
IPC分類:A61K 31/616,A61K 9/28,A61K 47/04,A61P 29/00,A61P 7/00


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片山 剛 浅田 和由 JP 2010059119 公開特許公報(A) 20100318 2008228086 20080905 アスピリン腸溶錠 東和薬品株式会社 591040753 赤岡 迪夫 100060368 赤岡 和夫 100124648 片山 剛 浅田 和由 A61K 31/616 20060101AFI20100219BHJP A61K 9/28 20060101ALI20100219BHJP A61K 47/04 20060101ALI20100219BHJP A61P 29/00 20060101ALI20100219BHJP A61P 7/00 20060101ALI20100219BHJP JPA61K31/616A61K9/28A61K47/04A61P29/00A61P7/00 5 1 OL 7 4C076 4C086 4C076AA44 4C076AA45 4C076BB01 4C076CC04 4C076CC14 4C076DD27 4C076DD46 4C076EE11 4C076EE31 4C076EE32 4C076EE38 4C076FF04 4C076FF06 4C076FF25 4C076FF27 4C076FF28 4C076GG33 4C086AA01 4C086AA02 4C086DA17 4C086MA01 4C086MA04 4C086MA35 4C086MA52 4C086NA03 4C086ZA51 4C086ZB11本発明はアスピリン腸溶性製剤に関するものである。詳細にはアスピリン腸溶錠の溶出遅延及び含量低下の改善に関する。アスピリンは非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤としてだけでなく、抗血小板剤としても世界で繁用されている。しかし、アスピリンをそのまま経口投与した場合、胃十二指腸障害、胃出血に代表される有害事象を発生することが知られており、これらの副作用を軽減させるために腸溶形態やアルミン酸塩と組み合わせるなどの製剤工夫が施されている。また、アスピリンは水分存在下や高温条件下で容易に加水分解し、サリチル酸と酢酸を生成する他、その昇華性のために製剤表面あるいは保存容器周辺にウィスカー(ひげ結晶)の析出,成長を生じることが多く、製剤化にあたり解決すべき問題点は多い。特許文献1は、アスピリンの腸溶錠について、アスピリンを含有する裸錠と腸溶性皮膜との間に、庶糖のみからなる保護層を設けることにより、高温保存下での安定化効果を報告している。しかしながら、当該発明でいう安定化効果はアスピリンの含量及び分解物生成量の実験例のみで示されているだけで、溶出の挙動までは検討されていない。また蔗糖を保護層として機能させるためには素錠に対する蔗糖の被覆量が多くなるため、製造工程に多大な時間を要すことになり、錠剤の大型化にも繋がる。非特許文献1は、アスピリンに各添加剤、滑沢剤の配合によりアスピリンの加水分解が促進されることについて言及しているが、この報告は各実験温度における、アスピリンを含む素錠の安定性を示しているに過ぎず、腸溶錠の安定性及び溶出については触れられていない。非特許文献2は、各溶出試験液における、市販品のアスピリン腸溶錠の溶出を比較した結果、各製剤間で溶出に差が見られるという問題点を提起している。特に腸溶性コーティング剤にみられるようなpH依存型の高分子物質は、ガラス転移温度が低いため、熱安定性に劣り、経時的に有効成分の溶出速度が遅延し易いという問題がある。よって上述の加水分解の問題も併せて、高温条件下でも含量低下のみならず溶出遅延も改善したアスピリン腸溶錠が求められている。特開平4−346930号公報M.R.Nazareth,et al.:J.Pharm.Sci., Vol.50, No.7, 1961, p620N.M.Ranjha,et al.:Journal of Research(Science),Vol.13, No.1, 2002, p63本発明者らは上記諸問題を解決すべく、安定なアスピリン腸溶錠の製造法を検討した結果、アスピリン及び賦形剤、崩壊剤から選択される少なくとも一つの製剤用助剤を含む素錠に、タルクを含まない腸溶性コーティングからなる中間層、更にタルクを含む腸溶性コーティングからなる外層を被覆することにより、高温条件下でも含量低下のみならず溶出遅延も改善したアスピリン腸溶錠の処方及び製造法を見出し、本発明を完成させた。好ましくは、アスピリンを含有する素錠が実質的に滑沢剤を含まず、更に直打法により製せられることを特徴とする。本発明のアスピリンを含むアスピリン腸溶錠の製剤用助剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、腸溶性コーティング剤、滑沢剤、安定化剤、酸味料、甘味剤、香料、着色剤等が用いられる。本発明におけるアスピリンを含む素錠とは、アスピリンを慣用の製剤用助剤と共に混合し、粉体のまま又は造粒してから、実質的に滑沢剤を加えず打錠して得たものをいう。素錠の製造方法は、公知の方法でよく、例えばアスピリンに適当な製剤用助剤を混合し直接圧縮する直打法がある。造粒法は乾式造粒法、湿式造粒法が挙げられ、手段としては、撹拌、押出し、流動、転動、遠心、噴霧などいずれの方法も用いることができる。アスピリンの加水分解を極力抑えるために乾式造粒法が好ましい。本発明に係る「素錠が実質的に滑沢剤を含まないこと」は、代表的な滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等を実質的に含まない又は素錠の溶出の挙動に影響を及ぼさない程度の滑沢剤の量を意味する。これらの滑沢剤を通常量含有する素錠と比して、本発明の素錠は製剤化においてスティッキングなどの打錠障害を生じないことや,苛酷試験により安定性に与える影響が小さい。特に高温条件下における保存において、一部の滑沢剤を使用したときに現れる溶出遅延及び錠剤中の薬剤含量の変化がほとんどなく、薬剤安定性に優れるという極めて優れた特性を有している。本発明における、アスピリン腸溶錠中のアスピリンの割合は、アスピリン素錠部1重量に対し0.05〜0.95重量部、好ましくは0.3〜0.9重量部である。本発明の製剤用助剤としては、賦形剤[糖類(乳糖、マンニトール)、でんぷん類(トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン)、セルロース類(結晶セルロース)]、結合剤[ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール]、崩壊剤[低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、クロスポビドン、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム]、腸溶性コーティング剤[セルロース系、メタクリル酸コポリマー系]及び滑沢剤[ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油]等を用いることができる。本発明の腸溶性コーティングによる被覆は、前記で得た素錠にタルクを含まない腸溶性コーティングからなる中間層を被覆し、更に該中間層にタルクを含む腸溶性コーティングからなる外層を被覆する。被覆手段は常法でよく、例えばハイコーターで被覆できる。腸溶性コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、メタクリル酸・メタクリル酸メチルエステル共重合体又はポリビニルアセテートフタレートから成り、任意に可塑剤を含んでもよい。本発明における、アスピリン腸溶錠中の腸溶性コーティング剤の割合は、アスピリン素錠部1重量に対し0.005〜0.3重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部であり、求める溶出条件を実現するため、中間層と外層の量を任意に設定できる。即ち、中間層ではアスピリン素錠部1重量に対し0.005〜0.07重量部、好ましくは0.01〜0.05重量部であり、外層ではアスピリン素錠部1重量に対し0.01〜0.3重量部、好ましくは0.03〜0.2重量部である。本発明における、アスピリン腸溶錠中の外層に含まれるタルクの割合は、アスピリン素錠部1重量に対し0.005〜0.25重量部、好ましくは0.01〜0.15重量部である。本発明によれば、驚くべきことに腸溶性コーティング剤を素錠に複数回被覆するにも関わらず、タルクを含む腸溶性コーティングを素錠に直接被覆した製剤に比して、中間層を設けた本発明の製剤が溶出遅延を起しにくい。そして本発明の中間層はタルクを含まないため該表面に凹凸が発生し易いものの、該中間層にタルクを含む腸溶性コーティングからなる外層を被覆すると凹凸が抑制され、錠剤外観を損なうことがなくなる。また、中間層にも腸溶性コーティングを使用していることから製造工程が短縮されると共に上述のような製剤の大型化にならず、中間層と外層の両方で大幅に耐酸性を向上させる利点を併せ持つ。以下、実施例、比較例及び試験例に基づき、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例表1の実施例(素錠部)の分量に従い、アスピリン、結晶セルロース、カルメロース及びトウモロコシデンプンを混合し、直打法により素錠を製した。この素錠に、実施例(中間層部)の処方のコーティング液をハイコーターにより被覆し、中間層被覆錠剤を得た。更にこの錠剤に対し、実施例(外層部)の処方のコーティング液をハイコーターにより被覆し、最終錠剤を得た。比較例表1の比較例の分量に従い、中間層を施さないことを除いては、実施例と同じ操作で最終錠剤を得た。実施例、比較例の錠剤を60℃、ガラス瓶密閉状態で1週間保存した。これらの錠剤及び保存開始時の錠剤について、溶出試験及び含量と類縁物質の生成量を測定した。試験例1実施例の保存開始時と1週間保存後の各錠剤について、溶出試験の結果を図1に、比較例の錠剤についても同様に試験した結果を図2に示す。これらの結果から実施例の錠剤は高温度下の保存においても、溶出にほとんど変化がないことが認められた。溶出試験第15改正日本薬局方記載の溶出試験法第2法(パドル法、50rpm)に従い、日局崩壊試験液第2液(pH6.8)を用いて溶出試験を行い、溶出率を測定した。試験例2実施例の保存開始時と1週間保存後の各錠剤の含量及び生成した総類縁物質量を液体クロマトグラフィーで測定した結果を表2に、比較例の錠剤についても同様に試験した結果を表3に示す。これらの結果から実施例の錠剤は高温度下の保存においても、含量低下もなく、類縁物質の生成を抑制していることが認められた。実施例腸溶錠の製造直後および1週間保存後の主薬溶出曲線。比較例腸溶錠の製造直後および1週間保存後の主薬溶出曲線。アスピリン及び賦形剤、崩壊剤から選択される少なくとも一つの製剤用助剤を含む素錠に、タルクを含まない腸溶性コーティングを被覆したアスピリン腸溶錠。アスピリン及び賦形剤、崩壊剤から選択される少なくとも一つの製剤用助剤を含む素錠に、タルクを含まない腸溶性コーティングからなる中間層、更にタルクを含む腸溶性コーティングからなる外層を被覆したアスピリン腸溶錠。素錠が実質的に滑沢剤を含まない、請求項1又は2に記載のアスピリン腸溶錠。素錠が直打法により製せられる、請求項1乃至3に記載のアスピリン腸溶錠。腸溶性コーティング層が任意に可塑剤を含む、請求項1乃至4に記載のアスピリン腸溶錠。 【課題】貯蔵安定性にすぐれたアスピリン腸溶錠の提供。【解決手段】アスピリン及び賦形剤、崩壊剤から選択される少なくとも一つの製剤用助剤を含む素錠に、タルクを含まない腸溶性コーティング層と、必要に応じ、タルクを含む腸溶性コーティング層を被覆したアスピリン腸溶錠。好ましくは、アスピリンを含有する素錠が実質的に滑沢剤を含まず、更に直打法により製せられる該腸溶錠。また腸溶性コーティング層が任意に可塑剤を含む該腸溶錠。【選択図】図1


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特許公報(B2)_アスピリン腸溶錠

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アスピリン腸溶錠
出願番号:2008228086
年次:2014
IPC分類:A61K 31/616,A61K 9/28,A61K 47/04,A61P 29/00,A61P 7/00


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片山 剛 浅田 和由 JP 5529404 特許公報(B2) 20140425 2008228086 20080905 アスピリン腸溶錠 東和薬品株式会社 591040753 赤岡 迪夫 100060368 赤岡 和夫 100124648 片山 剛 浅田 和由 20140625 A61K 31/616 20060101AFI20140605BHJP A61K 9/28 20060101ALI20140605BHJP A61K 47/04 20060101ALI20140605BHJP A61P 29/00 20060101ALI20140605BHJP A61P 7/00 20060101ALI20140605BHJP JPA61K31/616A61K9/28A61K47/04A61P29/00A61P7/00 A61K 31/616 A61K 9/28 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) 特開昭51−007116(JP,A) 特開平04−346930(JP,A) 米国特許第04857337(US,A) 特表平05−501109(JP,A) Journal of Pharmaceutical Sciences,1961年,50(7),620-623 薬剤学,1963年,23(4),279-284 Signorino C. A. et al,The Use of Acrylic Resins for ImprovedAqueous Enteric Coating,PHARMACEUTICAL TECHNOLOGY EUROPE,2005年,17(1),27-29 3 2010059119 20100318 6 20110221 前田 亜希本発明はアスピリン腸溶性製剤に関するものである。詳細にはアスピリン腸溶錠の溶出遅延及び含量低下の改善に関する。アスピリンは非ステロイド性解熱鎮痛消炎剤としてだけでなく、抗血小板剤としても世界で繁用されている。しかし、アスピリンをそのまま経口投与した場合、胃十二指腸障害、胃出血に代表される有害事象を発生することが知られており、これらの副作用を軽減させるために腸溶形態やアルミン酸塩と組み合わせるなどの製剤工夫が施されている。また、アスピリンは水分存在下や高温条件下で容易に加水分解し、サリチル酸と酢酸を生成する他、その昇華性のために製剤表面あるいは保存容器周辺にウィスカー(ひげ結晶)の析出,成長を生じることが多く、製剤化にあたり解決すべき問題点は多い。特許文献1は、アスピリンの腸溶錠について、アスピリンを含有する裸錠と腸溶性皮膜との間に、庶糖のみからなる保護層を設けることにより、高温保存下での安定化効果を報告している。しかしながら、当該発明でいう安定化効果はアスピリンの含量及び分解物生成量の実験例のみで示されているだけで、溶出の挙動までは検討されていない。また蔗糖を保護層として機能させるためには素錠に対する蔗糖の被覆量が多くなるため、製造工程に多大な時間を要すことになり、錠剤の大型化にも繋がる。非特許文献1は、アスピリンに各添加剤、滑沢剤の配合によりアスピリンの加水分解が促進されることについて言及しているが、この報告は各実験温度における、アスピリンを含む素錠の安定性を示しているに過ぎず、腸溶錠の安定性及び溶出については触れられていない。非特許文献2は、各溶出試験液における、市販品のアスピリン腸溶錠の溶出を比較した結果、各製剤間で溶出に差が見られるという問題点を提起している。特に腸溶性コーティング剤にみられるようなpH依存型の高分子物質は、ガラス転移温度が低いため、熱安定性に劣り、経時的に有効成分の溶出速度が遅延し易いという問題がある。よって上述の加水分解の問題も併せて、高温条件下でも含量低下のみならず溶出遅延も改善したアスピリン腸溶錠が求められている。特開平4−346930号公報M.R.Nazareth,et al.:J.Pharm.Sci., Vol.50, No.7, 1961, p620N.M.Ranjha,et al.:Journal of Research(Science),Vol.13, No.1, 2002, p63本発明者らは上記諸問題を解決すべく、安定なアスピリン腸溶錠の製造法を検討した結果、アスピリン及び賦形剤、崩壊剤から選択される少なくとも一つの製剤用助剤を含む素錠に、タルクを含まない腸溶性コーティングからなる中間層、更にタルクを含む腸溶性コーティングからなる外層を被覆することにより、高温条件下でも含量低下のみならず溶出遅延も改善したアスピリン腸溶錠の処方及び製造法を見出し、本発明を完成させた。好ましくは、アスピリンを含有する素錠が実質的に滑沢剤を含まず、更に直打法により製せられることを特徴とする。本発明のアスピリンを含むアスピリン腸溶錠の製剤用助剤としては、賦形剤、結合剤、崩壊剤、腸溶性コーティング剤、滑沢剤、安定化剤、酸味料、甘味剤、香料、着色剤等が用いられる。本発明におけるアスピリンを含む素錠とは、アスピリンを慣用の製剤用助剤と共に混合し、粉体のまま又は造粒してから、実質的に滑沢剤を加えず打錠して得たものをいう。素錠の製造方法は、公知の方法でよく、例えばアスピリンに適当な製剤用助剤を混合し直接圧縮する直打法がある。造粒法は乾式造粒法、湿式造粒法が挙げられ、手段としては、撹拌、押出し、流動、転動、遠心、噴霧などいずれの方法も用いることができる。アスピリンの加水分解を極力抑えるために乾式造粒法が好ましい。本発明に係る「素錠が実質的に滑沢剤を含まないこと」は、代表的な滑沢剤であるステアリン酸マグネシウム、硬化油、ショ糖脂肪酸エステル、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等を実質的に含まない又は素錠の溶出の挙動に影響を及ぼさない程度の滑沢剤の量を意味する。これらの滑沢剤を通常量含有する素錠と比して、本発明の素錠は製剤化においてスティッキングなどの打錠障害を生じないことや,苛酷試験により安定性に与える影響が小さい。特に高温条件下における保存において、一部の滑沢剤を使用したときに現れる溶出遅延及び錠剤中の薬剤含量の変化がほとんどなく、薬剤安定性に優れるという極めて優れた特性を有している。本発明における、アスピリン腸溶錠中のアスピリンの割合は、アスピリン素錠部1重量に対し0.05〜0.95重量部、好ましくは0.3〜0.9重量部である。本発明の製剤用助剤としては、賦形剤[糖類(乳糖、マンニトール)、でんぷん類(トウモロコシデンプン、部分アルファー化デンプン)、セルロース類(結晶セルロース)]、結合剤[ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリビニルアルコール]、崩壊剤[低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)、クロスポビドン、カルメロース、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム]、腸溶性コーティング剤[セルロース系、メタクリル酸コポリマー系]及び滑沢剤[ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸、フマル酸ステアリルナトリウム、硬化油]等を用いることができる。本発明の腸溶性コーティングによる被覆は、前記で得た素錠にタルクを含まない腸溶性コーティングからなる中間層を被覆し、更に該中間層にタルクを含む腸溶性コーティングからなる外層を被覆する。被覆手段は常法でよく、例えばハイコーターで被覆できる。腸溶性コーティング剤としては、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、セルロースアセテートフタレート、メタクリル酸・メタクリル酸メチルエステル共重合体又はポリビニルアセテートフタレートから成り、任意に可塑剤を含んでもよい。本発明における、アスピリン腸溶錠中の腸溶性コーティング剤の割合は、アスピリン素錠部1重量に対し0.005〜0.3重量部、好ましくは0.01〜0.2重量部であり、求める溶出条件を実現するため、中間層と外層の量を任意に設定できる。即ち、中間層ではアスピリン素錠部1重量に対し0.005〜0.07重量部、好ましくは0.01〜0.05重量部であり、外層ではアスピリン素錠部1重量に対し0.01〜0.3重量部、好ましくは0.03〜0.2重量部である。本発明における、アスピリン腸溶錠中の外層に含まれるタルクの割合は、アスピリン素錠部1重量に対し0.005〜0.25重量部、好ましくは0.01〜0.15重量部である。本発明によれば、驚くべきことに腸溶性コーティング剤を素錠に複数回被覆するにも関わらず、タルクを含む腸溶性コーティングを素錠に直接被覆した製剤に比して、中間層を設けた本発明の製剤が溶出遅延を起しにくい。そして本発明の中間層はタルクを含まないため該表面に凹凸が発生し易いものの、該中間層にタルクを含む腸溶性コーティングからなる外層を被覆すると凹凸が抑制され、錠剤外観を損なうことがなくなる。また、中間層にも腸溶性コーティングを使用していることから製造工程が短縮されると共に上述のような製剤の大型化にならず、中間層と外層の両方で大幅に耐酸性を向上させる利点を併せ持つ。以下、実施例、比較例及び試験例に基づき、本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。実施例表1の実施例(素錠部)の分量に従い、アスピリン、結晶セルロース、カルメロース及びトウモロコシデンプンを混合し、直打法により素錠を製した。この素錠に、実施例(中間層部)の処方のコーティング液をハイコーターにより被覆し、中間層被覆錠剤を得た。更にこの錠剤に対し、実施例(外層部)の処方のコーティング液をハイコーターにより被覆し、最終錠剤を得た。比較例表1の比較例の分量に従い、中間層を施さないことを除いては、実施例と同じ操作で最終錠剤を得た。実施例、比較例の錠剤を60℃、ガラス瓶密閉状態で1週間保存した。これらの錠剤及び保存開始時の錠剤について、溶出試験及び含量と類縁物質の生成量を測定した。試験例1実施例の保存開始時と1週間保存後の各錠剤について、溶出試験の結果を図1に、比較例の錠剤についても同様に試験した結果を図2に示す。これらの結果から実施例の錠剤は高温度下の保存においても、溶出にほとんど変化がないことが認められた。溶出試験第15改正日本薬局方記載の溶出試験法第2法(パドル法、50rpm)に従い、日局崩壊試験液第2液(pH6.8)を用いて溶出試験を行い、溶出率を測定した。試験例2実施例の保存開始時と1週間保存後の各錠剤の含量及び生成した総類縁物質量を液体クロマトグラフィーで測定した結果を表2に、比較例の錠剤についても同様に試験した結果を表3に示す。これらの結果から実施例の錠剤は高温度下の保存においても、含量低下もなく、類縁物質の生成を抑制していることが認められた。実施例腸溶錠の製造直後および1週間保存後の主薬溶出曲線。比較例腸溶錠の製造直後および1週間保存後の主薬溶出曲線。 アスピリンと、賦形剤及び崩壊剤から選択される少なくとも一つの製剤用助剤を含み、滑沢剤として、ステアリン酸マグネシウムとステアリン酸カルシウムのいずれも含まない素錠に、タルクを含まない腸溶性コーティングからなる中間層と、更にタルクを含む腸溶性コーティングからなる外層を被覆したアスピリン腸溶錠。 素錠が直打法により製せられる、請求項1に記載のアスピリン腸溶錠。 腸溶性コーティング層が可塑剤を含む、請求項1又は2に記載のアスピリン腸溶錠。


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