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タイトル:公開特許公報(A)_アルコールジェル消毒剤組成物
出願番号:2008215604
年次:2010
IPC分類:A61K 31/205,A61K 31/045,A61K 47/32,A61P 31/04


特許情報キャッシュ

前川 文雄 守屋 貴弘 石川 誠也 JP 2010047554 公開特許公報(A) 20100304 2008215604 20080825 アルコールジェル消毒剤組成物 株式会社ニイタカ 000190736 小谷 悦司 100067828 小谷 昌崇 100115381 江川 勝 100133798 前川 文雄 守屋 貴弘 石川 誠也 A61K 31/205 20060101AFI20100205BHJP A61K 31/045 20060101ALI20100205BHJP A61K 47/32 20060101ALI20100205BHJP A61P 31/04 20060101ALI20100205BHJP JPA61K31/205A61K31/045A61K47/32A61P31/04 5 OL 18 4C076 4C206 4C076AA09 4C076BB31 4C076CC31 4C076EE10G 4C076FF17 4C206AA01 4C206AA02 4C206CA03 4C206FA41 4C206MA03 4C206MA05 4C206MA29 4C206MA48 4C206MA83 4C206NA06 4C206ZB35 本発明は、アルコールジェル消毒剤組成物に関し、特に、ディスペンサー使用時の塗布安定性と使用感に優れたアルコールジェル消毒剤組成物に関する。 従来から、アルコールのシャープな殺菌能力と速乾性とを活かした、エチルアルコール等のアルコールを主成分とするアルコール消毒剤が食品業界や医療現場等で広く使用されている。このようなアルコール消毒剤は、使用時に殺菌したい箇所にディスペンサー等を用いて噴霧塗布するだけで、効果的な殺菌消毒ができる。 しかしながら、このようなアルコール消毒剤で充分な殺菌消毒効果を得るための必要量を手のひらのような被殺菌箇所に噴霧すると、被殺菌箇所以外にも霧状に飛び散ったり、粘度が低いために例えば手指の隙間からこぼれ落ちるという問題があった。又、こぼれ落ちたアルコール消毒剤は床面を汚してしまう等の問題があった。 このような問題を解決するアルコール消毒剤として、従来のアルコール消毒剤の成分に、さらにカルボキシビニルポリマーのような増粘剤を配合することにより増粘させて得られる、アルコールジェル消毒剤が知られている。このようなアルコールジェル消毒剤の具体例としては、例えば、下記特許文献1及び特許文献2には、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを配合したアルコールジェル消毒剤や、下記特許文献3に記載された、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体等を配合したアルコールジェル消毒剤が開示されている。 しかしながら、上記のような増粘剤を用いた場合には、手指に擦り込む際に、手指表面の塩類によって増粘剤が塩析して増粘剤の凝集物が析出する現象である、いわゆるヨレと呼ばれる現象が生じるという問題があった。又、被殺菌箇所からのこぼれ落ちを抑制するには多量の増粘剤が必要となるが、増粘剤が多過ぎる場合には、使用中や使用後にべたつきが発生したり、使用感が悪い(残存感がある)という問題があった。 カルボキシビニルポリマーやセルロース系水溶性高分子からなる増粘剤を用いたアルコールジェル消毒剤における上記のような問題点を解決することを目的として、下記特許文献4及び特許文献5は、増粘剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を配合したアルコールジェル消毒剤を開示している。 具体的には、特許文献4及び特許文献5には、増粘剤として、一般的なアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(例えば、BF Goodrich社製のカーボポールETD2020)を用いることにより、これを配合したアルコールジェル消毒剤はヨレの発生、使用時及び使用後のべたつきが低くなったことが記載されている。 ところで、殺菌消毒効果を得る目的でエチルアルコールのみを用いた場合には、エチルアルコールが存在するときには使用時に殺菌効果を示しても、エチルアルコールが蒸発した後は殺菌効果が消失してしまう。このような問題を解決するために、アルコールジェル消毒剤に塩化ベンザルコニウムやグルコン酸クロルヘキシジンのような殺菌消毒剤成分を配合することが知られている(特許文献6〜8参照)。しかしながら、増粘剤として一般的なアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を用いたアルコールジェル消毒剤に塩化ベンザルコニウムやグルコン酸クロルヘキシジンが配合された場合には、当該アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が上記殺菌消毒剤成分により塩析されやすくなり、アルコールジェル消毒剤はアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の塩析により白濁して透明性が低下し、しかも粘度が著しく低下する問題があった。又、塗布安定性が悪いという問題もあった。具体的には、アルコールジェル消毒剤で充分な殺菌消毒効果を得るための必要量(約3ml)を確保するため、ディスペンサー等からアルコールジェル消毒剤を複数回吐出する必要がある。一般的なアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を用いたアルコールジェル消毒剤の吐出を繰り返した場合に、手のひらに載置されたアルコールジェル消毒剤が手指の隙間のような被殺菌箇所の隙間からこぼれ落ちやすいという問題があった。 塗布安定性を解決するために、増粘剤である上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合を増やすことにより、アルコールジェル消毒剤の粘度を高くすることが考えられる。しかし、単に上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合を増加させて、アルコールジェル消毒剤の粘度を高めると透明性が一層低下し、さらに、ヨレが発生し、使用感も低下するという新たな問題が生じた。特開平8−92078号公報特開平6−199700号公報特開平11−349418号公報特開平11−302146号公報特開2006−83111号公報特開平4−305504号公報特開平5−255078号公報特開平10−130173号公報 本発明は、ディスペンサーから吐出させるときの飛び散りが少なく、手のひらのような被殺菌箇所に載置した後は隙間からこぼれ落ちにくく、使用感に優れて透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物を提供することを目的とする。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物は、少なくともエチルアルコール、殺菌消毒剤、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及び中和剤を配合して得られるアルコールジェル消毒剤組成物であって、コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定した当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度が、回転数10rpmのとき100〜1000mPa・sの範囲であり、且つ、回転数10rpmのときに対する、回転数1rpmのときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比(1rpm/10rpm)が3〜5の範囲であり、前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000〜30000mPa・sであり、かつ、当該水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以上であることを特徴とする。 このようなアルコールジェル消毒剤組成物によれば、前記回転数10rpmのときに対する回転数1rpmのときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比(1rpm/10rpm)が3〜5の範囲であることにより、ディスペンサーから吐出させるときのせん断力により吐出時には低粘度で吐出しやすく、手のひらに塗布された後には元の粘度に戻ることでこぼれ落ちにくくなるという適度なチクソトロピック性を示す。さらに、増粘剤として用いる前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、その1質量%水溶液の1質量%NaClの存在下における粘度が5000mPa・s以上であることにより、塩に対する高い安定性を示すので、耐塩性が向上し殺菌消毒剤添加時に凝集物が発生しにくく透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物が得られる。 前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合としては、0.05〜1質量%の範囲であることが、充分な増粘効果を付与するとともに、使用感に優れる点から好ましい。 又、前記殺菌消毒剤が第4級アンモニウム塩系殺菌消毒剤、及び、ビグアナイド系殺菌消毒剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である場合には、アルコールの乾燥後も殺菌消毒効果を維持することができる点から好ましい。 又、前記エチルアルコールの配合割合が30〜90質量%の範囲であることが好ましく、さらに、水、保湿剤、香料及び着色料より選ばれる少なくとも1種の成分が配合されていることが好ましい。 本発明によれば、ディスペンサーから吐出させたときに被殺菌箇所以外に飛散しにくく、又、被殺菌箇所に載置した場合にはこぼれ落ちにくく、使用感に優れており透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物が得られる。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物は、少なくともエチルアルコール、殺菌消毒剤、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及び中和剤を配合して得られるアルコールジェル消毒剤組成物であって、コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定した当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度が、回転数10rpmのとき100〜1000mPa・sの範囲であり、且つ、回転数10rpmのときに対する、回転数1rpmのときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比(1rpm/10rpm)が3〜5の範囲である。前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、その1質量%水溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000〜30000mPa・sであり、かつ、当該水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以上であるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体である。 コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定したアルコールジェル消毒剤組成物の溶液の回転数10rpmのときの粘度(η(10))は、アルコールジェル消毒剤組成物の塗布安定性と相関性がある。塗布安定性とは、ディスペンサーから被殺菌箇所にアルコールジェル消毒剤組成物を吐出したときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の飛び散り量と、吐出後に被殺菌箇所に付着したときのアルコールジェル消毒剤組成物の付着面積の大きさと、付着後の被殺菌箇所からのこぼれ落ち量とによって評価される指標であり、飛び散りが少なく、付着面積が小さく、こぼれ落ち量が少ないほど、塗布安定性がよい。この粘度が100〜1000mPa・sの範囲内にあるときには、吐出されたアルコールジェル消毒剤組成物は飛び散りが少なく、手のひらに収まる大きさ程度で被殺菌箇所に付着する。すなわち、吐出安定性に優れる点で塗布安定性に優れる。この粘度は、200〜800mPa・sであることが好ましく、300〜400mPa・sであることがより好ましい。この粘度が100mPa・s未満の場合には、吐出時のアルコールジェル消毒剤組成物の形状は楕円形とならずに、飛び散りが多発する。一方、この粘度が1000mPa・sを超える場合には、吐出時の粘度が高過ぎて吐出が不安定になる。又、使用感が低下する。 一方、コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定したアルコールジェル消毒剤組成物の溶液の回転数1rpmのときの粘度(η(1))は、アルコールジェル消毒剤組成物が手のひらのような被殺菌箇所に載置された後のこぼれ落ち性と相関性がある。この回転数10rpmでの粘度(η(10))に対する、回転数1rpmでの粘度(η(1))の比(すなわち、粘度比(η(1)/η(10)))が3〜5の範囲内にあるときには、手のひら上のアルコールジェル消毒剤組成物のこぼれ落ちが発生しにくい。この粘度比は3.5〜4.5の範囲内にあることが好ましい。この粘度比が3未満の場合には、手指の隙間からのこぼれ落ちが多発する。一方、この粘度比が5を超える場合には、吐出量が少なくなったり飛び散ったりするため、塗布安定性が悪い。 本発明において増粘剤として用いられるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体はアクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体であり、以下の構造の共重合体であって、次の2つの条件(a)と(b)を満たすものをいう。〔式中、Rは炭素数10〜30のアルキル基を示し、X及びYは共重合体における各ユニットの質量%であって、X=90〜99.5質量%、Y=0.5〜10質量%〕 条件(a) アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000〜30000mPa・sであること。 条件(b) アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以上であること。 ここで、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の分子量及びR基の種類と水溶液の粘度とは相関性があり、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の分子量が高いほど、その水溶液の粘度は高くなる。条件(a)を満たす場合には、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を比較的少量配合することで、アルコールジェル消毒剤を目的の粘度に増粘することができる。条件(a)での粘度が5000mPa・s未満の場合には、増粘するためにはアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を多量に配合する必要が生じる。これに伴い、ヨレ、べたつき及び使用感(残存感)が生じる傾向を示す。一方、30000mPa・sを超える場合には、透明性が低下する。透明性を確保する観点から、条件(a)での粘度は15000mPa・s以下がより好ましい。 又、1質量%NaClの存在下でのアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液の粘度(耐塩性)とメタクリル酸アルキルの共重合比率は相関性があり、その共重合比率が高いほど共重合体の疎水性が高くなり、耐塩性がよくなる。条件(b)を満たす場合には、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体中のメタクリル酸アルキルの共重合比率が高いので、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を比較的少量配合することで、殺菌消毒剤を配合したアルコールジェル消毒剤を目的の粘度に増粘でき、使用感の優れたアルコールジェル消毒剤を得ることができる。 又、条件(b)を満たす場合には、塩の存在下でも粘度低下が小さいので、このようなアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を用いれば、殺菌消毒剤を配合しても粘度低下がなく、アルコールジェル消毒剤組成物が白濁するのを抑制することができる。その結果、手指上でのヨレの発生が抑制された透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物を得ることができる。一方、条件(b)を満たさない場合には、手指上の少量の塩で塩析が発生するため、ヨレが生じることになる。又、殺菌消毒剤による凝集物が発生し白濁しやすくなる。 使用感と透明性を両立させる観点から、本発明で用いるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は条件(a)と(b)を同時に満足する必要がある。 このようなアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の具体例としては、例えば、住友精化株式会社の商品名アクペックHV−501EMが挙げられる。 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して0.05〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.7質量%がより好ましく、0.15〜0.5質量%がさらに好ましい。上記範囲内では、増粘効果が上がり使用時の垂れ落ちが生じにくくなる。又、使用時及び使用後の使用感がより改善される。 本発明で用いられるエチルアルコールは殺菌消毒のために用いられる成分である。エチルアルコールの配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。又、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがより一層好ましい。エチルアルコールの配合割合が低い場合には十分な殺菌消毒効果を奏さない傾向があり、塗布後の乾燥が遅くなる傾向がある。一方、エチルアルコールの配合割合が高い場合には、十分な殺菌消毒効果を奏さず、乾燥が速くなりすぎたり、皮膚に対する刺激が強くなる傾向がある。又、エチルアルコールの配合割合が60質量%未満の場合には、アルコールジェル消毒剤組成物が消防法上の危険物に該当しなくなるので、消防法による保管量、保管場所の制限や許可申請手続きの必要がなくなり、流通面でのメリットが大きい。 尚、エチルアルコールに併せて、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数が2〜5のアルコールを用いることもできる。 本発明で用いられる殺菌消毒剤は、上記アルコールを除いて、手指に付着した微生物を殺菌・除菌でき、エチルアルコールよりも乾燥速度が遅いものをいう。殺菌消毒剤は速乾性のエチルアルコールが蒸発した後も、殺菌力を維持することができる。殺菌消毒剤の配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。又、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。殺菌消毒剤の配合割合が低い場合には十分な殺菌消毒効果を奏さない傾向がある。一方、殺菌消毒剤の配合割合が高い場合には、アルコールジェル消毒剤組成物の透明性が低下する傾向がある。 殺菌消毒剤として、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の第4級アンモニウム塩系殺菌消毒剤であるカチオン系界面活性剤、及び、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアナイド等のビグアナイド系殺菌消毒剤が挙げられる。これらは単独で用いても、又は2種類以上組み合わせて用いることもできる。この中で、殺菌力と経済性の点から、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジンが好ましく用いられる。 本発明で用いられる中和剤は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を中和して増粘させる成分である。中和剤の配合割合は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を含む溶液を中和して必要な粘度にすることができ、かつPH値が6〜8となる量である。具体的には、中和剤の配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。又、1.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。中和剤の配合割合が0.01質量%未満では、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を十分に溶解・中和させることができなく、アルコールジェル消毒剤組成物として必要な粘度が得られない傾向がある。一方、中和剤の配合割合が1.5質量%を超えると、中和効果が飽和する傾向がある。 中和剤として、アルカノールアミンを用いることができる。例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等のアルカノールアミン;ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン等のジアルカノールアミン;トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノール等のトリアルカノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。この中で、臭気の観点から、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好ましい。 上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、水、保湿剤、香料、着色料等を配合することもできる。 本発明で用いられる保湿剤成分としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、水アメ、ブドウ糖、乳糖、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコサミン、シクロデキサン、尿素、ヒドロキシエチルウレア等が挙げられる。この中で、保湿性と経済性の点から、グリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルウレアが好ましく、比較的安価で保湿性に優れるだけでなく生分解性を有する点からヒドロキシエチルウレアがより好ましい。 保湿剤の配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して0.0005質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。又、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。保湿剤の配合割合が低い場合には、保湿効果が現れ難い傾向がある。一方、保湿剤の配合割合が高い場合には、保湿効果が飽和する傾向がある。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物は通常、無色透明かつ微アルコール臭であるが、誤用防止の観点から、着色料による着色や香料による匂い付けをしたものであってもよい。着色料としては、厚生労働省令で定める医薬部外品等に使用ができる着色料であれば、限定されない。有機合成色素、天然色素が好ましく、有機合成色素がより好ましい。香料としては、厚生労働省令で定める医薬部外品等に使用ができる香料であれば、限定されない。天然香料が好ましく、植物性香料がより好ましい。 上記成分以外に、例えば、エモリエント剤、界面活性剤、有機酸、無機塩類、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、金属イオン封止剤等の通常の消毒剤に使用される添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物の製造方法は、特に限定しないが、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が分散したエチルアルコール溶液に中和剤を添加した後に、前記エチルアルコール溶液に殺菌消毒剤を添加する方法が好ましく用いられる。より具体的には、まず、エチルアルコール又は水を撹拌しながらアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を分散し、その後、残りのエチルアルコール又は水を添加して、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が分散したエチルアルコール溶液を作製する。次に、中和剤を添加し増粘させるとともにPH調整をする。そして、溶液に未溶解物がないことを確認した後、殺菌消毒剤、保湿剤、香料、着色料等を添加の上、完全に溶解させる。これによって、透明性の高い本発明のアルコールジェル消毒剤組成物が得られる。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物の用途として、手指、腕、足等の身体の殺菌消毒、便座、浴槽等の衛生品の殺菌消毒が挙げられる。 以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。尚、特記しない限り、配合割合は質量%で表す。 はじめに、本実施例及び比較例で用いた評価方法について、まとめて説明する。 〔粘度及び粘度比の測定〕 アルコールジェル消毒剤組成物の粘度は、コーン・プレート型粘度計(東京計器株式会社製、E型)を用いて回転数10rpm(38.2S−1)で、20℃にて測定した。 アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比は、まず、上記コーン・プレート型粘度計を用いて20℃における回転数1rpm(3.82S−1)の粘度を測定した。次に、この回転数1rpmの粘度に対する上記回転数10rpmの粘度の比率を算出して、粘度比とした。 〔PHの評価〕 アルコールジェル消毒剤組成物のPHは、ガラス電極PHメータ(株式会社堀場製作所製、型番F−53)を用いて、20℃にて測定した。 〔ディスペンサー塗布安定性の評価〕 アルコールジェル消毒剤組成物をディスペンサーに入れて、20cm離した距離から手のひらに向けて3回(合計で3ml程度)吐出した。吐出直後の手のひら上に塗布されたアルコールジェル消毒剤組成物の長径を測定して、ディスペンサー塗布安定性を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として評価した。 ◎ 長径が10cm以下であり、手のひらに塗布された後もこぼれ落ちがほとんどない。 ○ 長径が10cmを越えており、手のひらに塗布された後に手指の隙間から若干量こぼれ落ちる。 △ 霧状の飛び散りが少し発生し、全吐出量の半分程度が手のひらに塗布される。塗布された後に手指の隙間から一部がこぼれ落ちる。 × 霧状に飛び散り、全吐出量の2割未満が手のひらに塗布される。評価◎、○、△及び×の各塗布状態の模式図を図1〜4に示す。図中、陰影部は手のひらに塗布されたアルコールジェル消毒剤組成物を示す。 〔透明性の評価〕 アルコールジェル消毒剤組成物を目視で観察して透明性を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として評価した。アルコールジェル消毒剤組成物を着色した場合も同様に評価した。 ◎ 透明性に優れている。 ○ 透明である。 △ 僅かに濁っている。 × 濁っている。 〔使用感(残存感)の評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込んだ後の、手指へのアルコールジェル消毒剤組成物の残存感を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、評価した。 ◎ 残存感を感じるパネラーが0名である。 ○ 残存感を感じるパネラーが1名である。 △ 残存感を感じるパネラーが2名である。 × 残存感を感じるパネラーが3名以上である。 〔ヨレの評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込む際の増粘剤成分のヨレの程度を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、ヨレを評価した。 ◎ ヨレを感じるパネラーが0名である。 ○ ヨレを感じるパネラーが1〜3名である。 △ ヨレを感じるパネラーが4〜7名である。 × ヨレを感じるパネラーが8名以上である。 〔溶解性の評価〕 後述するアルコールジェル消毒剤組成物の製造において、エチルアルコール水溶液に増粘剤を添加した直後から、中和剤添加後に同溶液から未溶解物がなくなるまでの撹拌時間を測定した。溶解性については、以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として評価した。 ◎ 撹拌時間が15分以内である。 ○ 撹拌時間が15分を超えて30分以内である。 △ 撹拌時間が30を超えて60分以内である。 × 撹拌時間が60分を超えている。 〔垂れ落ちの評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込む際の手からの液垂れ状態を観察した。垂れ落ちについては、以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として評価した。 ◎ 垂れ落ちが発生したパネラーが0名である。 ○ 垂れ落ちが発生したパネラーが1名である。 △ 垂れ落ちが発生したパネラーが2名である。 × 垂れ落ちが発生したパネラーが3名以上である。 〔べたつきの評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込む際(使用時)、及び使用後の手指のべたつき感を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、べたつきを評価した。 ◎ べたつきを感じるパネラーが0名である。 ○ べたつきを感じるパネラーが1〜3名である。 △ べたつきを感じるパネラーが4〜7名である。 × べたつきを感じるパネラーが8名以上である。 〔擦り込み性(伸び性)の評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込む際のアルコールジェル消毒剤組成物の伸びの程度を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、擦り込み性を評価した。 ◎ 伸びが悪いと感じるパネラーが0名である。 ○ 伸びが悪いと感じるパネラーが1〜3名である。 △ 伸びが悪いと感じるパネラーが4〜7名である。 × 伸びが悪いと感じるパネラーが8名以下である。 〔殺菌消毒性の評価〕 アルコールジェル消毒剤組成物10mlに下記2菌株の検査菌液0.1mlを加え、混合後、20℃で一定時間作用させた。使用開始30秒及び60秒後に対象アルコールジェル消毒剤組成物から、SCDLP培地に1白金耳移植し、35℃、48時間培養後、菌の発育の有無を以下の基準によって、○を合格、×を不合格として、殺菌消毒性を評価した。 ○ 発育が観察されなかった。 × 発育が観察された。使用した菌株(代表的な病原菌) Escherichia coli NBRC 3301(大腸菌) Staphylococcus aureus NBRC 12732(黄色ブドウ球菌)尚、各菌株を普通ブイヨン培地で35℃、24時間培養したものを検査菌液とした。 〔皮膚刺激性の評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、アルコールジェル消毒剤組成物を手指に擦り込んだ。そして、乾燥後に、皮膚刺激性を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、評価した。 ◎ 皮膚刺激を感じるパネラーが0名である。 ○ 皮膚刺激を感じるパネラーが1名である。 △ 皮膚刺激を感じるパネラーが2名である。 × 皮膚刺激を感じるパネラーが3名以上である。 〔誤用防止の評価〕 パネラーがアルコールジェル消毒剤組成物の着色と香料の匂いを以下の基準によって、評価した。 ◎ 着色しておりかつ香料の匂いがする。 ○ 着色されているか香料の匂いがする。 − 誤用防止措置を行っていない。 (1)実施例1 まず、200mlのビーカーに精製水41.6gを仕込み、アンカー翼付撹拌機で撹拌しながら増粘剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501EM)0.25gを分散させ、58.0gのエチルアルコールを添加した。次に、この増粘剤を含有したエチルアルコール水溶液に中和剤としてトリエタノールアミン0.13gを添加し増粘させた。そして、溶液に未溶解物がないことを確認した後に、殺菌消毒剤として塩化ベンザルコニウム0.05gを加えて完全に溶解し透明になるまで攪拌した。これによって実施例1のアルコールジェル消毒剤組成物を得た。 上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501EM)の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計(B型粘度計)を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度及び、当該水溶液にNaClを添加したときの粘度変化のグラフを図5に示す。図5に示すように、NaClを添加しないときの上記1質量%水溶液の粘度は7000mPa・sであり、この水溶液に1質量%NaClを添加したときの粘度は11000mPa・sである。 尚、アルコールジェル消毒剤組成物の作製中及び作製後に、上記各評価を行った。その結果を表1に示す。 (2)実施例2 まず、200mlのビーカーに精製水41.6gを仕込み、アンカー翼付撹拌機で撹拌しながら増粘剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501EM)0.10gを分散させ、58.0gのエチルアルコールを添加した。次に、この増粘剤を含有したエチルアルコール水溶液に中和剤としてトリエタノールアミン0.06gを添加し増粘させることにより、溶液のPHを7.2に調整した。そして、溶液に未溶解物がないことを確認した後に、殺菌消毒剤として塩化ベンザルコニウム0.05g、保湿剤としてヒアルロン酸ナトリウム0.001gとグリセリン0.2gを加えて完全に溶解し透明なるまで攪拌した。これによって実施例2のアルコールジェル消毒剤組成物を得た。 尚、実施例1と同様に実施例2のアルコールジェル消毒剤組成物に対して上記各評価を実施した。その結果を表1に示す。 (3)実施例3〜6 実施例2の各成分の配合割合を表1に示す実施例3〜6の各成分の配合割合に変更して、それぞれのアルコールジェル消毒剤組成物を得た。そして、実施例1と同様に実施例3〜6のアルコールジェル消毒剤組成物に対して上記各評価を実施した。その結果を表1に示す。 (4)実施例7 実施例2の各成分の配合割合を表1に示す実施例7の各成分の配合割合に変更して、更に、殺菌消毒剤を加える際に、香料として植物性香料であるローズマリー油0.0001gと着色料として有機合成色素である赤色2号0.0001gも加えて実施例7のアルコールジェル消毒剤組成物を得た。そして、実施例1と同様に実施例7のアルコールジェル消毒剤組成物に対して上記各評価を実施した。その結果を表1に示す。 (5)比較例1〜5 表1に示す比較例1〜5の各成分の配合割合に従って、それぞれのアルコールジェル消毒剤組成物を得た。そして、実施例と同様に比較例1〜5のアルコールジェル消毒剤組成物に対して上記各評価を実施した。その結果を表1に示す。 比較例1で用いたカルボキシビニルポリマー(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501E)の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計(B型粘度計)を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度及び、当該水溶液にNaClを添加したときの粘度変化のグラフを図6に示す。図6に示すように、NaClを添加しないときの上記1質量%水溶液の粘度は10000mPa・sであり、この水溶液に1質量%NaClを添加したときの粘度は3500mPa・sである。比較例3で用いたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックSER W−300)の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計(B型粘度計)を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度及び、当該水溶液にNaClを添加したときの粘度変化のグラフを図7に示す。図7に示すように、NaClを添加しないときの上記1質量%水溶液の粘度は230mPa・sであり、この水溶液に1質量%NaClを添加したときの粘度は12000mPa・sである。比較例4で用いたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(BF Goodrich社製、商品名カーボポールETD2020)の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計(B型粘度計)を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度及び、当該水溶液にNaClを添加したときの粘度変化のグラフを図8に示す。図8に示すように、NaClを添加しないときの上記1質量%水溶液の粘度は40000mPa・sであり、この水溶液に1質量%NaClを添加したときの粘度は8200mPa・sである。 表1から、実施例1〜7のアルコールジェル消毒剤組成物の各評価は、◎又は○で全て合格値を示し、ディスペンサー塗布安定性、透明性及び使用感がよいことが分かる。 これに対して、比較例1のアルコールジェル消毒剤組成物は、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを用いたため、ディスペンサー塗布安定性、透明性及び使用感のいずれもが悪いことが分かる。比較例2のアルコールジェル消毒剤組成物は、増粘剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いたため、ディスペンサー塗布安定性及び透明性はよいものの、使用感が悪いことが分かる。比較例3のアルコールジェル消毒剤組成物では、実施例1〜7と比べて多量の増粘剤を配合したものの、増粘剤として用いたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液の粘度が5000mPa・s未満であるため、増粘性をほとんど示さず、ディスペンサー塗布安定性が悪く、使用感も悪いことが分かる。比較例4のアルコールジェル消毒剤組成物は、増粘剤として用いたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液の粘度が30000mPa・sを超えているため、ディスペンサー塗布安定性が悪いことが分かる。この組成物は透明性も悪い。比較例5のアルコールジェル消毒剤組成物は、その粘度が1000mPa・sを超えており、塗布安定性、透明性及び使用感のいずれもが悪いことが分かる。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物は、ディスペンサーから吐出させるときの飛び散りがなく被殺菌箇所に載置した場合にはこぼれ落ちにくいので、ディスペンサーを用いて確実に手指を殺菌消毒することができる。ディスペンサー塗布安定性の評価において、評価が◎となった塗布状態を示す模式図である。ディスペンサー塗布安定性の評価において、評価が○となった塗布状態を示す模式図である。ディスペンサー塗布安定性の評価において、評価が△となった塗布状態を示す模式図である。ディスペンサー塗布安定性の評価において、評価が×となった塗布状態を示す模式図である。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501EM)の1質量%水溶液に対するNaCl添加量と、当該溶液の二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度との関係を示すグラフである。カルボキシビニルポリマー(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501E)の1質量%水溶液に対するNaCl添加量と、当該溶液の二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度との関係を示すグラフである。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックSER W−300)の1質量%水溶液に対するNaCl添加量と、当該溶液の二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度との関係を示すグラフである。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(BF Goodrich社製、商品名カーボポールETD2020)の1質量%水溶液に対するNaCl添加量と、当該溶液の二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度との関係を示すグラフである。 少なくともエチルアルコール、殺菌消毒剤、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及び中和剤を配合して得られるアルコールジェル消毒剤組成物であって、 コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定した当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度が、回転数10rpmのとき100〜1000mPa・sの範囲であり、且つ、回転数10rpmのときに対する、回転数1rpmのときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比(1rpm/10rpm)が3〜5の範囲であり、 前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000〜30000mPa・sであり、かつ、当該水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以上であることを特徴とするアルコールジェル消毒剤組成物。 前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合が0.05〜1質量%の範囲である請求項1に記載のアルコールジェル消毒剤組成物。 前記殺菌消毒剤が第4級アンモニウム塩系殺菌消毒剤、及び、ビグアナイド系殺菌消毒剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のアルコールジェル消毒剤組成物。 前記エチルアルコールの配合割合が30〜90質量%の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載のアルコールジェル消毒剤組成物。 水、保湿剤、香料及び着色料より選ばれる少なくとも1種の成分がさらに配合されて得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルコールジェル消毒剤組成物。 【課題】ディスペンサーから吐出させるときの飛び散りがなく、手のひらのような被殺菌箇所に載置した後はこぼれ落ちにくく、使用感に優れて透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物を提供する。【解決手段】少なくともエチルアルコール、殺菌消毒剤、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及び中和剤を配合して得られ、回転数10rpmのときの粘度(コーン・プレート型、20℃)が100〜1000mPa・sであって、回転数10rpmのときに対する回転数1rpmのときの粘度比が3〜5であり、前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体1質量%水溶液の回転数20rpmのときの粘度(二重円筒型、25℃)が5000〜30000mPa・sであって、当該水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液の粘度が5000mPa・s以上であるアルコールジェル消毒剤組成物。【選択図】なし


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特許公報(B2)_アルコールジェル消毒剤組成物

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アルコールジェル消毒剤組成物
出願番号:2008215604
年次:2014
IPC分類:A61K 31/205,A61K 31/045,A61K 31/155,A61K 47/32,A61P 31/04


特許情報キャッシュ

前川 文雄 守屋 貴弘 石川 誠也 JP 5537003 特許公報(B2) 20140509 2008215604 20080825 アルコールジェル消毒剤組成物 株式会社ニイタカ 000190736 小谷 悦司 100067828 小谷 昌崇 100115381 前川 文雄 守屋 貴弘 石川 誠也 20140702 A61K 31/205 20060101AFI20140612BHJP A61K 31/045 20060101ALI20140612BHJP A61K 31/155 20060101ALI20140612BHJP A61K 47/32 20060101ALI20140612BHJP A61P 31/04 20060101ALI20140612BHJP JPA61K31/205A61K31/045A61K31/155A61K47/32A61P31/04 A61K 31/205 A61K 31/045 A61K 31/155 A61K 47/32 A61P 31/04 特開2006−083119(JP,A) 特開2006−083120(JP,A) 特開2000−119197(JP,A) 特開平11−302146(JP,A) 特開2001−181123(JP,A) 特開2004−210668(JP,A) 特開2006−083111(JP,A) 5 2010047554 20100304 17 20110802 原田 隆興 本発明は、アルコールジェル消毒剤組成物に関し、特に、ディスペンサー使用時の塗布安定性と使用感に優れたアルコールジェル消毒剤組成物に関する。 従来から、アルコールのシャープな殺菌能力と速乾性とを活かした、エチルアルコール等のアルコールを主成分とするアルコール消毒剤が食品業界や医療現場等で広く使用されている。このようなアルコール消毒剤は、使用時に殺菌したい箇所にディスペンサー等を用いて噴霧塗布するだけで、効果的な殺菌消毒ができる。 しかしながら、このようなアルコール消毒剤で充分な殺菌消毒効果を得るための必要量を手のひらのような被殺菌箇所に噴霧すると、被殺菌箇所以外にも霧状に飛び散ったり、粘度が低いために例えば手指の隙間からこぼれ落ちるという問題があった。又、こぼれ落ちたアルコール消毒剤は床面を汚してしまう等の問題があった。 このような問題を解決するアルコール消毒剤として、従来のアルコール消毒剤の成分に、さらにカルボキシビニルポリマーのような増粘剤を配合することにより増粘させて得られる、アルコールジェル消毒剤が知られている。このようなアルコールジェル消毒剤の具体例としては、例えば、下記特許文献1及び特許文献2には、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを配合したアルコールジェル消毒剤や、下記特許文献3に記載された、ヒドロキシプロピルメチルセルロース誘導体等を配合したアルコールジェル消毒剤が開示されている。 しかしながら、上記のような増粘剤を用いた場合には、手指に擦り込む際に、手指表面の塩類によって増粘剤が塩析して増粘剤の凝集物が析出する現象である、いわゆるヨレと呼ばれる現象が生じるという問題があった。又、被殺菌箇所からのこぼれ落ちを抑制するには多量の増粘剤が必要となるが、増粘剤が多過ぎる場合には、使用中や使用後にべたつきが発生したり、使用感が悪い(残存感がある)という問題があった。 カルボキシビニルポリマーやセルロース系水溶性高分子からなる増粘剤を用いたアルコールジェル消毒剤における上記のような問題点を解決することを目的として、下記特許文献4及び特許文献5は、増粘剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を配合したアルコールジェル消毒剤を開示している。 具体的には、特許文献4及び特許文献5には、増粘剤として、一般的なアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(例えば、BF Goodrich社製のカーボポールETD2020)を用いることにより、これを配合したアルコールジェル消毒剤はヨレの発生、使用時及び使用後のべたつきが低くなったことが記載されている。 ところで、殺菌消毒効果を得る目的でエチルアルコールのみを用いた場合には、エチルアルコールが存在するときには使用時に殺菌効果を示しても、エチルアルコールが蒸発した後は殺菌効果が消失してしまう。このような問題を解決するために、アルコールジェル消毒剤に塩化ベンザルコニウムやグルコン酸クロルヘキシジンのような殺菌消毒剤成分を配合することが知られている(特許文献6〜8参照)。しかしながら、増粘剤として一般的なアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を用いたアルコールジェル消毒剤に塩化ベンザルコニウムやグルコン酸クロルヘキシジンが配合された場合には、当該アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が上記殺菌消毒剤成分により塩析されやすくなり、アルコールジェル消毒剤はアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の塩析により白濁して透明性が低下し、しかも粘度が著しく低下する問題があった。又、塗布安定性が悪いという問題もあった。具体的には、アルコールジェル消毒剤で充分な殺菌消毒効果を得るための必要量(約3ml)を確保するため、ディスペンサー等からアルコールジェル消毒剤を複数回吐出する必要がある。一般的なアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を用いたアルコールジェル消毒剤の吐出を繰り返した場合に、手のひらに載置されたアルコールジェル消毒剤が手指の隙間のような被殺菌箇所の隙間からこぼれ落ちやすいという問題があった。 塗布安定性を解決するために、増粘剤である上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合を増やすことにより、アルコールジェル消毒剤の粘度を高くすることが考えられる。しかし、単に上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合を増加させて、アルコールジェル消毒剤の粘度を高めると透明性が一層低下し、さらに、ヨレが発生し、使用感も低下するという新たな問題が生じた。特開平8−92078号公報特開平6−199700号公報特開平11−349418号公報特開平11−302146号公報特開2006−83111号公報特開平4−305504号公報特開平5−255078号公報特開平10−130173号公報 本発明は、ディスペンサーから吐出させるときの飛び散りが少なく、手のひらのような被殺菌箇所に載置した後は隙間からこぼれ落ちにくく、使用感に優れて透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物を提供することを目的とする。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物は、少なくともエチルアルコール、殺菌消毒剤、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及び中和剤を配合して得られるアルコールジェル消毒剤組成物であって、コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定した当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度が、回転数10rpmのとき100〜1000mPa・sの範囲であり、且つ、回転数10rpmのときに対する、回転数1rpmのときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比(1rpm/10rpm)が3〜5の範囲であり、前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000〜30000mPa・sであり、かつ、当該水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以上であることを特徴とする。 このようなアルコールジェル消毒剤組成物によれば、前記回転数10rpmのときに対する回転数1rpmのときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比(1rpm/10rpm)が3〜5の範囲であることにより、ディスペンサーから吐出させるときのせん断力により吐出時には低粘度で吐出しやすく、手のひらに塗布された後には元の粘度に戻ることでこぼれ落ちにくくなるという適度なチクソトロピック性を示す。さらに、増粘剤として用いる前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、その1質量%水溶液の1質量%NaClの存在下における粘度が5000mPa・s以上であることにより、塩に対する高い安定性を示すので、耐塩性が向上し殺菌消毒剤添加時に凝集物が発生しにくく透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物が得られる。 前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合としては、0.05〜1質量%の範囲であることが、充分な増粘効果を付与するとともに、使用感に優れる点から好ましい。 又、前記殺菌消毒剤が第4級アンモニウム塩系殺菌消毒剤、及び、ビグアナイド系殺菌消毒剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である場合には、アルコールの乾燥後も殺菌消毒効果を維持することができる点から好ましい。 又、前記エチルアルコールの配合割合が30〜90質量%の範囲であることが好ましく、さらに、水、保湿剤、香料及び着色料より選ばれる少なくとも1種の成分が配合されていることが好ましい。 本発明によれば、ディスペンサーから吐出させたときに被殺菌箇所以外に飛散しにくく、又、被殺菌箇所に載置した場合にはこぼれ落ちにくく、使用感に優れており透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物が得られる。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物は、少なくともエチルアルコール、殺菌消毒剤、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及び中和剤を配合して得られるアルコールジェル消毒剤組成物であって、コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定した当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度が、回転数10rpmのとき100〜1000mPa・sの範囲であり、且つ、回転数10rpmのときに対する、回転数1rpmのときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比(1rpm/10rpm)が3〜5の範囲である。前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は、その1質量%水溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000〜30000mPa・sであり、かつ、当該水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以上であるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体である。 コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定したアルコールジェル消毒剤組成物の溶液の回転数10rpmのときの粘度(η(10))は、アルコールジェル消毒剤組成物の塗布安定性と相関性がある。塗布安定性とは、ディスペンサーから被殺菌箇所にアルコールジェル消毒剤組成物を吐出したときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の飛び散り量と、吐出後に被殺菌箇所に付着したときのアルコールジェル消毒剤組成物の付着面積の大きさと、付着後の被殺菌箇所からのこぼれ落ち量とによって評価される指標であり、飛び散りが少なく、付着面積が小さく、こぼれ落ち量が少ないほど、塗布安定性がよい。この粘度が100〜1000mPa・sの範囲内にあるときには、吐出されたアルコールジェル消毒剤組成物は飛び散りが少なく、手のひらに収まる大きさ程度で被殺菌箇所に付着する。すなわち、吐出安定性に優れる点で塗布安定性に優れる。この粘度は、200〜800mPa・sであることが好ましく、300〜400mPa・sであることがより好ましい。この粘度が100mPa・s未満の場合には、吐出時のアルコールジェル消毒剤組成物の形状は楕円形とならずに、飛び散りが多発する。一方、この粘度が1000mPa・sを超える場合には、吐出時の粘度が高過ぎて吐出が不安定になる。又、使用感が低下する。 一方、コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定したアルコールジェル消毒剤組成物の溶液の回転数1rpmのときの粘度(η(1))は、アルコールジェル消毒剤組成物が手のひらのような被殺菌箇所に載置された後のこぼれ落ち性と相関性がある。この回転数10rpmでの粘度(η(10))に対する、回転数1rpmでの粘度(η(1))の比(すなわち、粘度比(η(1)/η(10)))が3〜5の範囲内にあるときには、手のひら上のアルコールジェル消毒剤組成物のこぼれ落ちが発生しにくい。この粘度比は3.5〜4.5の範囲内にあることが好ましい。この粘度比が3未満の場合には、手指の隙間からのこぼれ落ちが多発する。一方、この粘度比が5を超える場合には、吐出量が少なくなったり飛び散ったりするため、塗布安定性が悪い。 本発明において増粘剤として用いられるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体はアクリル酸とメタクリル酸アルキルとの共重合体であり、以下の構造の共重合体であって、次の2つの条件(a)と(b)を満たすものをいう。〔式中、Rは炭素数10〜30のアルキル基を示し、X及びYは共重合体における各ユニットの質量%であって、X=90〜99.5質量%、Y=0.5〜10質量%〕 条件(a) アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000〜30000mPa・sであること。 条件(b) アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以上であること。 ここで、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の分子量及びR基の種類と水溶液の粘度とは相関性があり、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の分子量が高いほど、その水溶液の粘度は高くなる。条件(a)を満たす場合には、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を比較的少量配合することで、アルコールジェル消毒剤を目的の粘度に増粘することができる。条件(a)での粘度が5000mPa・s未満の場合には、増粘するためにはアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を多量に配合する必要が生じる。これに伴い、ヨレ、べたつき及び使用感(残存感)が生じる傾向を示す。一方、30000mPa・sを超える場合には、透明性が低下する。透明性を確保する観点から、条件(a)での粘度は15000mPa・s以下がより好ましい。 又、1質量%NaClの存在下でのアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液の粘度(耐塩性)とメタクリル酸アルキルの共重合比率は相関性があり、その共重合比率が高いほど共重合体の疎水性が高くなり、耐塩性がよくなる。条件(b)を満たす場合には、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体中のメタクリル酸アルキルの共重合比率が高いので、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を比較的少量配合することで、殺菌消毒剤を配合したアルコールジェル消毒剤を目的の粘度に増粘でき、使用感の優れたアルコールジェル消毒剤を得ることができる。 又、条件(b)を満たす場合には、塩の存在下でも粘度低下が小さいので、このようなアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を用いれば、殺菌消毒剤を配合しても粘度低下がなく、アルコールジェル消毒剤組成物が白濁するのを抑制することができる。その結果、手指上でのヨレの発生が抑制された透明性の高いアルコールジェル消毒剤組成物を得ることができる。一方、条件(b)を満たさない場合には、手指上の少量の塩で塩析が発生するため、ヨレが生じることになる。又、殺菌消毒剤による凝集物が発生し白濁しやすくなる。 使用感と透明性を両立させる観点から、本発明で用いるアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体は条件(a)と(b)を同時に満足する必要がある。 このようなアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の具体例としては、例えば、住友精化株式会社の商品名アクペックHV−501EMが挙げられる。 アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して0.05〜1質量%であることが好ましく、0.1〜0.7質量%がより好ましく、0.15〜0.5質量%がさらに好ましい。上記範囲内では、増粘効果が上がり使用時の垂れ落ちが生じにくくなる。又、使用時及び使用後の使用感がより改善される。 本発明で用いられるエチルアルコールは殺菌消毒のために用いられる成分である。エチルアルコールの配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して30質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましい。又、90質量%以下であることが好ましく、80質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることがより一層好ましい。エチルアルコールの配合割合が低い場合には十分な殺菌消毒効果を奏さない傾向があり、塗布後の乾燥が遅くなる傾向がある。一方、エチルアルコールの配合割合が高い場合には、十分な殺菌消毒効果を奏さず、乾燥が速くなりすぎたり、皮膚に対する刺激が強くなる傾向がある。又、エチルアルコールの配合割合が60質量%未満の場合には、アルコールジェル消毒剤組成物が消防法上の危険物に該当しなくなるので、消防法による保管量、保管場所の制限や許可申請手続きの必要がなくなり、流通面でのメリットが大きい。 尚、エチルアルコールに併せて、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数が2〜5のアルコールを用いることもできる。 本発明で用いられる殺菌消毒剤は、上記アルコールを除いて、手指に付着した微生物を殺菌・除菌でき、エチルアルコールよりも乾燥速度が遅いものをいう。殺菌消毒剤は速乾性のエチルアルコールが蒸発した後も、殺菌力を維持することができる。殺菌消毒剤の配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して0.01質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上がより好ましい。又、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。殺菌消毒剤の配合割合が低い場合には十分な殺菌消毒効果を奏さない傾向がある。一方、殺菌消毒剤の配合割合が高い場合には、アルコールジェル消毒剤組成物の透明性が低下する傾向がある。 殺菌消毒剤として、例えば、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム等の第4級アンモニウム塩系殺菌消毒剤であるカチオン系界面活性剤、及び、グルコン酸クロルヘキシジン、ポリヘキサメチレンビグアナイド等のビグアナイド系殺菌消毒剤が挙げられる。これらは単独で用いても、又は2種類以上組み合わせて用いることもできる。この中で、殺菌力と経済性の点から、塩化ベンザルコニウム、グルコン酸クロルヘキシジンが好ましく用いられる。 本発明で用いられる中和剤は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を中和して増粘させる成分である。中和剤の配合割合は、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を含む溶液を中和して必要な粘度にすることができ、かつPH値が6〜8となる量である。具体的には、中和剤の配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上がより好ましい。又、1.5質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。中和剤の配合割合が0.01質量%未満では、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を十分に溶解・中和させることができなく、アルコールジェル消毒剤組成物として必要な粘度が得られない傾向がある。一方、中和剤の配合割合が1.5質量%を超えると、中和効果が飽和する傾向がある。 中和剤として、アルカノールアミンを用いることができる。例えば、メタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン等のアルカノールアミン;ジメタノールアミン、ジエタノールアミン、ジプロパノールアミン、ジブタノールアミン等のジアルカノールアミン;トリメタノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリブタノール等のトリアルカノールアミン等のアルカノールアミンが挙げられる。この中で、臭気の観点から、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンが好ましい。 上記成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、水、保湿剤、香料、着色料等を配合することもできる。 本発明で用いられる保湿剤成分としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、水アメ、ブドウ糖、乳糖、ヒアルロン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、グルコサミン、シクロデキサン、尿素、ヒドロキシエチルウレア等が挙げられる。この中で、保湿性と経済性の点から、グリセリン、ヒアルロン酸ナトリウム、ヒドロキシエチルウレアが好ましく、比較的安価で保湿性に優れるだけでなく生分解性を有する点からヒドロキシエチルウレアがより好ましい。 保湿剤の配合割合は、アルコールジェル消毒剤組成物全体に対して0.0005質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上がより好ましい。又、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下がより好ましい。保湿剤の配合割合が低い場合には、保湿効果が現れ難い傾向がある。一方、保湿剤の配合割合が高い場合には、保湿効果が飽和する傾向がある。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物は通常、無色透明かつ微アルコール臭であるが、誤用防止の観点から、着色料による着色や香料による匂い付けをしたものであってもよい。着色料としては、厚生労働省令で定める医薬部外品等に使用ができる着色料であれば、限定されない。有機合成色素、天然色素が好ましく、有機合成色素がより好ましい。香料としては、厚生労働省令で定める医薬部外品等に使用ができる香料であれば、限定されない。天然香料が好ましく、植物性香料がより好ましい。 上記成分以外に、例えば、エモリエント剤、界面活性剤、有機酸、無機塩類、酸化防止剤、安定剤、防腐剤、金属イオン封止剤等の通常の消毒剤に使用される添加剤を、本発明の効果を損なわない範囲で配合することができる。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物の製造方法は、特に限定しないが、例えば、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が分散したエチルアルコール溶液に中和剤を添加した後に、前記エチルアルコール溶液に殺菌消毒剤を添加する方法が好ましく用いられる。より具体的には、まず、エチルアルコール又は水を撹拌しながらアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体を分散し、その後、残りのエチルアルコール又は水を添加して、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体が分散したエチルアルコール溶液を作製する。次に、中和剤を添加し増粘させるとともにPH調整をする。そして、溶液に未溶解物がないことを確認した後、殺菌消毒剤、保湿剤、香料、着色料等を添加の上、完全に溶解させる。これによって、透明性の高い本発明のアルコールジェル消毒剤組成物が得られる。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物の用途として、手指、腕、足等の身体の殺菌消毒、便座、浴槽等の衛生品の殺菌消毒が挙げられる。 以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明は、下記実施例によって限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲の変更、実施の態様は、いずれも本発明の範囲内に含まれる。尚、特記しない限り、配合割合は質量%で表す。 はじめに、本実施例及び比較例で用いた評価方法について、まとめて説明する。 〔粘度及び粘度比の測定〕 アルコールジェル消毒剤組成物の粘度は、コーン・プレート型粘度計(東京計器株式会社製、E型)を用いて回転数10rpm(38.2S−1)で、20℃にて測定した。 アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比は、まず、上記コーン・プレート型粘度計を用いて20℃における回転数1rpm(3.82S−1)の粘度を測定した。次に、この回転数1rpmの粘度に対する上記回転数10rpmの粘度の比率を算出して、粘度比とした。 〔PHの評価〕 アルコールジェル消毒剤組成物のPHは、ガラス電極PHメータ(株式会社堀場製作所製、型番F−53)を用いて、20℃にて測定した。 〔ディスペンサー塗布安定性の評価〕 アルコールジェル消毒剤組成物をディスペンサーに入れて、20cm離した距離から手のひらに向けて3回(合計で3ml程度)吐出した。吐出直後の手のひら上に塗布されたアルコールジェル消毒剤組成物の長径を測定して、ディスペンサー塗布安定性を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として評価した。 ◎ 長径が10cm以下であり、手のひらに塗布された後もこぼれ落ちがほとんどない。 ○ 長径が10cmを越えており、手のひらに塗布された後に手指の隙間から若干量こぼれ落ちる。 △ 霧状の飛び散りが少し発生し、全吐出量の半分程度が手のひらに塗布される。塗布された後に手指の隙間から一部がこぼれ落ちる。 × 霧状に飛び散り、全吐出量の2割未満が手のひらに塗布される。評価◎、○、△及び×の各塗布状態の模式図を図1〜4に示す。図中、陰影部は手のひらに塗布されたアルコールジェル消毒剤組成物を示す。 〔透明性の評価〕 アルコールジェル消毒剤組成物を目視で観察して透明性を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として評価した。アルコールジェル消毒剤組成物を着色した場合も同様に評価した。 ◎ 透明性に優れている。 ○ 透明である。 △ 僅かに濁っている。 × 濁っている。 〔使用感(残存感)の評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込んだ後の、手指へのアルコールジェル消毒剤組成物の残存感を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、評価した。 ◎ 残存感を感じるパネラーが0名である。 ○ 残存感を感じるパネラーが1名である。 △ 残存感を感じるパネラーが2名である。 × 残存感を感じるパネラーが3名以上である。 〔ヨレの評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込む際の増粘剤成分のヨレの程度を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、ヨレを評価した。 ◎ ヨレを感じるパネラーが0名である。 ○ ヨレを感じるパネラーが1〜3名である。 △ ヨレを感じるパネラーが4〜7名である。 × ヨレを感じるパネラーが8名以上である。 〔溶解性の評価〕 後述するアルコールジェル消毒剤組成物の製造において、エチルアルコール水溶液に増粘剤を添加した直後から、中和剤添加後に同溶液から未溶解物がなくなるまでの撹拌時間を測定した。溶解性については、以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として評価した。 ◎ 撹拌時間が15分以内である。 ○ 撹拌時間が15分を超えて30分以内である。 △ 撹拌時間が30を超えて60分以内である。 × 撹拌時間が60分を超えている。 〔垂れ落ちの評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込む際の手からの液垂れ状態を観察した。垂れ落ちについては、以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として評価した。 ◎ 垂れ落ちが発生したパネラーが0名である。 ○ 垂れ落ちが発生したパネラーが1名である。 △ 垂れ落ちが発生したパネラーが2名である。 × 垂れ落ちが発生したパネラーが3名以上である。 〔べたつきの評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込む際(使用時)、及び使用後の手指のべたつき感を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、べたつきを評価した。 ◎ べたつきを感じるパネラーが0名である。 ○ べたつきを感じるパネラーが1〜3名である。 △ べたつきを感じるパネラーが4〜7名である。 × べたつきを感じるパネラーが8名以上である。 〔擦り込み性(伸び性)の評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、手指に擦り込む際のアルコールジェル消毒剤組成物の伸びの程度を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、擦り込み性を評価した。 ◎ 伸びが悪いと感じるパネラーが0名である。 ○ 伸びが悪いと感じるパネラーが1〜3名である。 △ 伸びが悪いと感じるパネラーが4〜7名である。 × 伸びが悪いと感じるパネラーが8名以下である。 〔殺菌消毒性の評価〕 アルコールジェル消毒剤組成物10mlに下記2菌株の検査菌液0.1mlを加え、混合後、20℃で一定時間作用させた。使用開始30秒及び60秒後に対象アルコールジェル消毒剤組成物から、SCDLP培地に1白金耳移植し、35℃、48時間培養後、菌の発育の有無を以下の基準によって、○を合格、×を不合格として、殺菌消毒性を評価した。 ○ 発育が観察されなかった。 × 発育が観察された。使用した菌株(代表的な病原菌) Escherichia coli NBRC 3301(大腸菌) Staphylococcus aureus NBRC 12732(黄色ブドウ球菌)尚、各菌株を普通ブイヨン培地で35℃、24時間培養したものを検査菌液とした。 〔皮膚刺激性の評価〕 10名のパネラーがアルコールジェル消毒剤組成物3mlを手のひらに載せて、アルコールジェル消毒剤組成物を手指に擦り込んだ。そして、乾燥後に、皮膚刺激性を以下の基準によって、◎又は○を合格、それ以外のものを不合格として、評価した。 ◎ 皮膚刺激を感じるパネラーが0名である。 ○ 皮膚刺激を感じるパネラーが1名である。 △ 皮膚刺激を感じるパネラーが2名である。 × 皮膚刺激を感じるパネラーが3名以上である。 〔誤用防止の評価〕 パネラーがアルコールジェル消毒剤組成物の着色と香料の匂いを以下の基準によって、評価した。 ◎ 着色しておりかつ香料の匂いがする。 ○ 着色されているか香料の匂いがする。 − 誤用防止措置を行っていない。 (1)実施例1 まず、200mlのビーカーに精製水41.6gを仕込み、アンカー翼付撹拌機で撹拌しながら増粘剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501EM)0.25gを分散させ、58.0gのエチルアルコールを添加した。次に、この増粘剤を含有したエチルアルコール水溶液に中和剤としてトリエタノールアミン0.13gを添加し増粘させた。そして、溶液に未溶解物がないことを確認した後に、殺菌消毒剤として塩化ベンザルコニウム0.05gを加えて完全に溶解し透明になるまで攪拌した。これによって実施例1のアルコールジェル消毒剤組成物を得た。 上記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501EM)の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計(B型粘度計)を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度及び、当該水溶液にNaClを添加したときの粘度変化のグラフを図5に示す。図5に示すように、NaClを添加しないときの上記1質量%水溶液の粘度は7000mPa・sであり、この水溶液に1質量%NaClを添加したときの粘度は11000mPa・sである。 尚、アルコールジェル消毒剤組成物の作製中及び作製後に、上記各評価を行った。その結果を表1に示す。 (2)実施例2 まず、200mlのビーカーに精製水41.6gを仕込み、アンカー翼付撹拌機で撹拌しながら増粘剤としてアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501EM)0.10gを分散させ、58.0gのエチルアルコールを添加した。次に、この増粘剤を含有したエチルアルコール水溶液に中和剤としてトリエタノールアミン0.06gを添加し増粘させることにより、溶液のPHを7.2に調整した。そして、溶液に未溶解物がないことを確認した後に、殺菌消毒剤として塩化ベンザルコニウム0.05g、保湿剤としてヒアルロン酸ナトリウム0.001gとグリセリン0.2gを加えて完全に溶解し透明なるまで攪拌した。これによって実施例2のアルコールジェル消毒剤組成物を得た。 尚、実施例1と同様に実施例2のアルコールジェル消毒剤組成物に対して上記各評価を実施した。その結果を表1に示す。 (3)実施例3〜6 実施例2の各成分の配合割合を表1に示す実施例3〜6の各成分の配合割合に変更して、それぞれのアルコールジェル消毒剤組成物を得た。そして、実施例1と同様に実施例3〜6のアルコールジェル消毒剤組成物に対して上記各評価を実施した。その結果を表1に示す。 (4)実施例7 実施例2の各成分の配合割合を表1に示す実施例7の各成分の配合割合に変更して、更に、殺菌消毒剤を加える際に、香料として植物性香料であるローズマリー油0.0001gと着色料として有機合成色素である赤色2号0.0001gも加えて実施例7のアルコールジェル消毒剤組成物を得た。そして、実施例1と同様に実施例7のアルコールジェル消毒剤組成物に対して上記各評価を実施した。その結果を表1に示す。 (5)比較例1〜5 表1に示す比較例1〜5の各成分の配合割合に従って、それぞれのアルコールジェル消毒剤組成物を得た。そして、実施例と同様に比較例1〜5のアルコールジェル消毒剤組成物に対して上記各評価を実施した。その結果を表1に示す。 比較例1で用いたカルボキシビニルポリマー(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501E)の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計(B型粘度計)を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度及び、当該水溶液にNaClを添加したときの粘度変化のグラフを図6に示す。図6に示すように、NaClを添加しないときの上記1質量%水溶液の粘度は10000mPa・sであり、この水溶液に1質量%NaClを添加したときの粘度は3500mPa・sである。比較例3で用いたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックSER W−300)の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計(B型粘度計)を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度及び、当該水溶液にNaClを添加したときの粘度変化のグラフを図7に示す。図7に示すように、NaClを添加しないときの上記1質量%水溶液の粘度は230mPa・sであり、この水溶液に1質量%NaClを添加したときの粘度は12000mPa・sである。比較例4で用いたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(BF Goodrich社製、商品名カーボポールETD2020)の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計(B型粘度計)を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度及び、当該水溶液にNaClを添加したときの粘度変化のグラフを図8に示す。図8に示すように、NaClを添加しないときの上記1質量%水溶液の粘度は40000mPa・sであり、この水溶液に1質量%NaClを添加したときの粘度は8200mPa・sである。 表1から、実施例1〜7のアルコールジェル消毒剤組成物の各評価は、◎又は○で全て合格値を示し、ディスペンサー塗布安定性、透明性及び使用感がよいことが分かる。 これに対して、比較例1のアルコールジェル消毒剤組成物は、増粘剤としてカルボキシビニルポリマーを用いたため、ディスペンサー塗布安定性、透明性及び使用感のいずれもが悪いことが分かる。比較例2のアルコールジェル消毒剤組成物は、増粘剤としてヒドロキシプロピルメチルセルロースを用いたため、ディスペンサー塗布安定性及び透明性はよいものの、使用感が悪いことが分かる。比較例3のアルコールジェル消毒剤組成物では、実施例1〜7と比べて多量の増粘剤を配合したものの、増粘剤として用いたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液の粘度が5000mPa・s未満であるため、増粘性をほとんど示さず、ディスペンサー塗布安定性が悪く、使用感も悪いことが分かる。比較例4のアルコールジェル消毒剤組成物は、増粘剤として用いたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液の粘度が30000mPa・sを超えているため、ディスペンサー塗布安定性が悪いことが分かる。この組成物は透明性も悪い。比較例5のアルコールジェル消毒剤組成物は、その粘度が1000mPa・sを超えており、塗布安定性、透明性及び使用感のいずれもが悪いことが分かる。 本発明のアルコールジェル消毒剤組成物は、ディスペンサーから吐出させるときの飛び散りがなく被殺菌箇所に載置した場合にはこぼれ落ちにくいので、ディスペンサーを用いて確実に手指を殺菌消毒することができる。ディスペンサー塗布安定性の評価において、評価が◎となった塗布状態を示す模式図である。ディスペンサー塗布安定性の評価において、評価が○となった塗布状態を示す模式図である。ディスペンサー塗布安定性の評価において、評価が△となった塗布状態を示す模式図である。ディスペンサー塗布安定性の評価において、評価が×となった塗布状態を示す模式図である。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501EM)の1質量%水溶液に対するNaCl添加量と、当該溶液の二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度との関係を示すグラフである。カルボキシビニルポリマー(住友精化株式会社製、商品名アクペックHV−501E)の1質量%水溶液に対するNaCl添加量と、当該溶液の二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度との関係を示すグラフである。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(住友精化株式会社製、商品名アクペックSER W−300)の1質量%水溶液に対するNaCl添加量と、当該溶液の二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度との関係を示すグラフである。アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(BF Goodrich社製、商品名カーボポールETD2020)の1質量%水溶液に対するNaCl添加量と、当該溶液の二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度との関係を示すグラフである。 少なくともエチルアルコール、殺菌消毒剤、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体及び中和剤を配合して得られるディスペンサー用アルコールジェル消毒剤組成物であって、 コーン・プレート型粘度計を用いて20℃で測定した当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度が、回転数10rpmのとき300〜1000mPa・sの範囲であり、且つ、回転数10rpmのときに対する、回転数1rpmのときの当該アルコールジェル消毒剤組成物の粘度比(1rpm/10rpm)が3〜5の範囲であり、 前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の1質量%水溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000〜30000mPa・sであり、かつ、当該水溶液の1質量%NaClの存在下における溶液を二重円筒型粘度計を用いて回転数20rpmにおいて25℃で測定したときの粘度が5000mPa・s以上であることを特徴とするディスペンサー用アルコールジェル消毒剤組成物。 前記アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合割合が0.05〜1質量%の範囲である請求項1に記載のディスペンサー用アルコールジェル消毒剤組成物。 前記殺菌消毒剤が第4級アンモニウム塩系殺菌消毒剤、及び、ビグアナイド系殺菌消毒剤からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のディスペンサー用アルコールジェル消毒剤組成物。 前記エチルアルコールの配合割合が30〜90質量%の範囲である請求項1〜3のいずれか1項に記載のディスペンサー用アルコールジェル消毒剤組成物。 水、保湿剤、香料及び着色料より選ばれる少なくとも1種の成分がさらに配合されて得られる請求項1〜4のいずれか1項に記載のディスペンサー用アルコールジェル消毒剤組成物。


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