タイトル: | 公開特許公報(A)_内臓脂肪蓄積抑制剤 |
出願番号: | 2008204026 |
年次: | 2010 |
IPC分類: | A61K 36/899,A23L 1/30,A23L 2/52,A61P 3/06,A61P 9/04 |
八木 勇三 原 高明 坂木 剛 JP 2010037296 公開特許公報(A) 20100218 2008204026 20080807 内臓脂肪蓄積抑制剤 株式会社 ハクジュ・ライフサイエンス 500206227 独立行政法人産業技術総合研究所 301021533 特許業務法人 小野国際特許事務所 110000590 八木 勇三 原 高明 坂木 剛 A61K 36/899 20060101AFI20100122BHJP A23L 1/30 20060101ALI20100122BHJP A23L 2/52 20060101ALI20100122BHJP A61P 3/06 20060101ALI20100122BHJP A61P 9/04 20060101ALI20100122BHJP JPA61K35/78 UA23L1/30 BA23L2/00 FA61P3/06A61P9/04 5 4 OL 12 4B017 4B018 4C088 4B017LC03 4B017LG20 4B017LL09 4B017LP01 4B018MD48 4B018ME14 4B018MF01 4C088AB76 4C088BA09 4C088CA02 4C088CA05 4C088NA14 4C088ZA36 4C088ZC33 本発明は、ササ属に属する植物を加圧熱水で抽出した抽出物を有効成分とする内臓脂肪蓄積抑制剤およびこれを含有する飲食品に関する。 メタボリックシンドローム(Metabolic syndrome)の患者数は、欧米では全人口の25%までに到達し、わが国においては940万人と推定され、40〜74歳の男性では1/4以上が該当する。メタボリックシンドロームは、「コレステロール単独のリスクとは独立した、動脈硬化のハイリスク状態である高血糖、脂質異常、高血圧が重積したマルチプルリスクファクター症候群の中で、内臓脂肪蓄積をキープレーヤーとして発症している病態である」と定義されている(非特許文献1および2)。したがって、その疾病概念のキープレーヤーである内臓脂肪の蓄積を低減する方法が注目されている(非特許文献3)。 この内臓脂肪を低減するための食事療法として低カロリー食があげられるが、施行後にリバンドが起きやすい点が指摘されており、無理がなく安全にカロリー制限(Caloric restriction)ができる具体的な対処法が強く望まれている。The Examination Committee ofCriteria for ‘Obesity Disease’ in Japan, Japan Society for the Study of Obesity : New criteria for ‘Obesity Disease’ in Japan, Circulation Journal, 66, 987-992, 2002.メタボリックシンドローム診断基準検討委員会:日本人におけるメタボリックシンドロームの診断基準, 日本内科学会雑誌, 94, 794-809, 2005.Blackburn, G.L., Waltman, B. A.:Pharmacotherapy to reduce visceral fat, ClinicalCornerstone, 7, 52-60, 2005. したがって、メタボリックシンドロームの基盤である内臓脂肪の蓄積を有効に抑制し得る日常的に摂取可能な素材が求められており、本発明はそのような内臓脂肪蓄積抑制剤を提供することを課題とする。 本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、ササ属に属する植物を特定条件の加圧熱水で抽出した抽出物は、優れた内蔵脂肪蓄積抑制効果を有することを見出し本発明を完成するに至った。 すなわち本発明は、ササ属に属する植物を150〜300℃の温度および0.5〜15MPaの圧力で加圧熱水抽出した抽出物を有効成分とする内臓脂肪蓄積抑制剤である。 また本発明は、上記内臓脂肪蓄積抑制剤を含有する飲食品である。 さらに本発明は、ササ属に属する植物を150〜300℃の温度および0.5〜15MPaの圧力で加圧熱水抽出した抽出物を有効成分とするメタボリックシンドローム改善剤である。 本発明は、摂取することにより内臓脂肪の蓄積を抑制しメタボリックシンドロームを有効に予防・治療することが可能なものである。また、この内臓脂肪蓄積抑制剤は、天然の植物由来であるため安全性が高い。 本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、ササ属に属する植物を高温高圧の加圧熱水と接触させた抽出物を有効成分とするものである。 本発明において原料として用いるササ属に属する植物としては、ササ属に属する植物(Sasa senanensis)、スズタケ(Sasa borealis)、ミヤコザサ(Sasa nipponica)、チマキザサ(Sasa palmata)、チシマザサ(Sasa kurilensis)等が例示できる。これらのうち、クマイザサ(Sasa senanensis)が特に好ましく用いられる。これらのササ属に属する植物は、採取したそのままの状態で使用してもよいが、必要により、あらかじめ乾燥し、さらに細断ないし粉砕した状態のものを用いることが好ましい。また、このササ属に属する植物の部位としては特に限定されるものではなく、例えば、葉、茎あるいはこれらの混合物を用いることができる。 上記ササ属に属する植物を加圧熱水による抽出処理に供する。この加圧熱水の温度は、150〜300℃の範囲であり、好ましくは、240〜300℃の範囲である。 また上記加圧熱水の圧力は、0.5〜15MPaの範囲であり、好ましくは3〜12MPa、さらに好ましくは9〜11MPaの範囲である。 上記温度および圧力の加圧熱水による処理時間は、加圧熱水の温度および圧力等に応じて適宜設定することができ特に限定されるものではないが、好ましくは2〜15分間、さらに好ましくは、4〜10分間である。 上記温度および圧力の範囲の加圧熱水と上記ササ属に属する植物を接触させる。この加圧熱水とササ属に属する植物を接触させる方法としては特に限定はされないが、例えばササ属に属する植物の乾燥粉末に、上記範囲の温度および圧力に調整した加圧熱水を連続的に通水して接触させる方法や、予めササ属に属する植物の乾燥粉末を水中に分散させてスラリーとし、このスラリーを上記範囲の温度および圧力まで昇温・加圧する方法などが挙げられる。 このようにして得られたササ属に属する植物の加圧熱水抽出物は、必要に応じ、常法に従って固液分離して、抽出液と抽出残渣とに分離することができる。この抽出液は、そのまま液状物として用いても良いが、必要に応じて、公知の手段により濃縮・精製しても良く、更に凍結乾燥等の手段により乾燥させた粉末状としてもよい。 本発明の内蔵脂肪蓄積抑制剤は、以上のようにして得られたササ属に属する植物の加圧熱水抽出物を有効成分とし、そのままあるいは公知の製剤担体と混合して、粉剤、錠剤、カプセル剤等の経口製剤や、注射剤、輸液剤、軟膏剤、坐剤等の非経口製剤とすれば良い。 本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤の摂取量は、特に制限されるものではないが、一般にササ属に属する植物の加圧熱水抽出物の固形分換算で1日当たり400〜800mg程度である。 また本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、従来公知の食品素材と混合して飲食品の形態とすることができる。具体的には、サプリメント、パン類、麺類、菓子類等が例示できる。なお、飲食物には、動物の飼料も含まれる。 次に実施例を挙げて、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。実 施 例 1 クマイザサ加圧熱水抽出物含有ソフトカプセルの調製: スラリー流通式反応装置を用い、水熱処理(条件:スラリー供給速度45mL/min、圧力10±0.4MPa、反応管出口温度285±1℃)を行った。用いた装置を図1に示す。本装置は、水槽、原料のスラリー貯槽、スラリーの沈殿を防ぐためのスラリー循環ポンプ、スラリーを圧送するためのピストン式スラリーポンプ、ステンレス製パイプをコイル状に巻いた反応管、反応管を加熱するための塩浴、冷却器、水熱処理されたスラリーを受けるためのスロップタンク、サンプリングを行うための処理試料受器、系内の圧力を一定に保つための保圧弁よりなる。290℃に加熱した塩浴を用意し、保圧弁を10MPaになるように調整して系内を窒素で加圧した。次に100メッシュ以下に粉砕されたクマイザサ1質量部と水9質量部からなるスラリーを調製した。三方バルブ1をピストン式スラリーポンプと水槽が導通するように水槽側に回した後、循環ポンプを作動させ、常時スラリーを循環させた。三方バルブ2をスロップタンク側に回し、ピストン式スラリーポンプを作動させ、水槽側より水を供給してスロップタンク側に水を導入させながら塩浴を反応管が十分浸かるよう上昇させ、反応器を加熱した。 反応管出口側に挿入された熱電対が示す加圧熱水の温度が一定になったら三方バルブ1をスラリー貯槽側に回し、原料スラリーの供給を開始した。水熱処理スラリーを10分間スロップタンク側に流し、定常状態を確認し、三方バルブ2を処理試料受器側に回し、水熱処理スラリーのサンプリングを開始した。クマイザサの連続水熱処理を行うため、系内の圧力を一定に保つための保圧弁を閉にし、圧力が設定圧の10MPaより0.4MPa上昇した時点でバルブ3を半開して受器内の水熱処理スラリーを一部排出し、圧力が9.6MPaまで低下した時点でバルブ3を閉め、圧力が10.4MPaに回復した後、この操作を繰り返すことにより水熱処理スラリーの連続的抜き出しを行って水熱処理スラリーを合計40kg得た。得られた水熱処理スラリーを遠心分離(6000×g)で固液分離し、水溶液32.4kgを回収した。この水溶液をエバポレーターで濃縮して10kgの濃縮物を得た。濃縮物にデキストリン1.82kgを添加し、90℃で1時間滅菌後、凍結乾燥、粉砕して2.3kgのクマイザサ加圧熱水抽出物を得た。 得られたクマイザサ加圧熱水抽出物をグリセリン脂肪酸エステル、ミツロウ、サフラワー油と混合、整粒し、これを皮膜剤としてゼラチンを用いてカプセル化してクマイザサ加圧熱水抽出物含有ソフトカプセルを得た。この製造フロー図を図2に示す。試 験 例 1 内臓脂肪蓄積抑制試験:(試験方法)(1)試験品 実施例1で得られたソフトカプセルを用いた。試験品の成分と含有量を表1に、栄養成分と含有量を表2に示す。(2)被験者 被験者は、BMIが24〜30kg/m2の中でウエスト周囲径が男性85〜110cm、女性90〜110cmの条件を満たす30以上55歳以下の日本人男性17名、47〜51歳までの閉経後の女性2名とした。検査結果に影響を及ぼす可能性があると思われる薬および健康食品を摂取している者を除外し、試験品の使用を自ら希望する者を選抜し、被験者とした。なお、本試験に際しては、ヘルシンキ宣言に従い、倫理委員会(総研ヒト倫理委員会、委員長:医師 國井司)の承認の下、試験開始前に被験者に対して試験内容および方法などについて十分に説明を行い、文書による同意を得たうえで実施した。(3)試験デザイン 摂取前と摂取2ヶ月後の比較試験(オープン試験)とした。(4)試験期間 試験期間は、2007年8月1日〜10月3日までの2ヶ月とした。(5)摂取方法 1回4カプセルを1日3回(朝・昼・晩)、食事中に摂取させた。全試験期間中摂取カロリー量の制限は行わず、普段の食事量および運動量を一定に維持するように指導した。(6)評価方法 臍部CTスキャンによる脂肪面積は、被験品摂取前と摂取2ヶ月後に測定した。臍部周囲のCTスキャンは、日立EXTRACT Scanner System CT((株)日立メディコ)を用いて臍中心部の断面を撮影し、得られた画像を内臓脂肪計測PCソフトFat Scan(N2システム(株))を用いて内臓脂肪面積および皮下脂肪面積を算出した。 身体計測は、InBody 3.2((株)バイオスペース)を用いて、体重、体脂肪率、BMI、基礎代謝量を測定した。ウエスト周囲径は、3Dデジタイザー(NECエンジニアリング(株))を用いて測定した。血圧および脈拍は、ME血圧計TM2655P((株)エー・アンド・デイ)を用いて測定した。 自覚症状については、被験品摂取前と摂取2ヶ月後にアンケートをとった。自覚症状は、イライラ感、意欲減退、食欲不振、倦怠感、不眠、頭痛、耳鳴り、めまい、かゆみ(湿疹)、腹部膨満感、腹痛について、1:「まったく感じない」、2:「まれに感じる」、3:「ときどき感じる」、4:「ほとんどいつも感じる」、5:「いつも感じる」の5段階で回答させた。嘔吐および下痢は、1:「まったくない」、2:「週に1日あり」、3:「週に2〜3日あり」、4:「週4〜5日あり」、5:「週に6日以上あり」の5段階で回答させた。排便回数は、1:「週に6回以上」、2:「週に4〜5回」、3:「週に2〜3回」、4:「週に1回」、5:「まったく排便なし」の5段階で回答させた。 血液学的および血液生化学的検査については、被験品摂取前と摂取1ヶ月、2ヶ月後に測定した。血液学的検査の内、白血球数、赤血球数、ヘモグロビン、ヘマトクリット、血小板数、平均赤血球容積、平均赤血球色素量および平均赤血球色素濃度については、自動血球分析装置XE2100(シスメックス(株))を用いて測定した。また、総コレステロール、トリグリセライド、LDL−コレステロール、HDL−コレステロール、尿素窒素、クレアチニン、尿酸、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、γ−グルタミルトランスペプチダーゼ(γ−GTP)、HbA1c、インスリン、ナトリウム、カリウム、クロールについては、生化学自動分析装置AU5431(オリンパス(株))を用いて測定した。血糖は、JCA−BM8(日本電子(株))を用いて測定した。(7)統計処理 データは平均値±標準偏差で示した。臍部周囲のCT画像による脂肪面積、血圧、脈拍、血液検査値、身体計測値の比較は、対応のあるt検定を用いた。自覚症状の比較は、Wilcoxonの符号付き順位検定を行った。統計解析ソフトはDr.SPSSII for Windows(エス・ピー・エス・エス(株))を使用し、いずれの検定においても有意水準は両側検定で5%とした。(試験結果)(1)被験者の背景 被験者は19名(男性17名、女性2名)で、年齢は41.9±6.9歳であった。(2)身体計測値の推移 図3に示すように、ウエスト周囲径は2ヶ月で0.5cmの低下傾向を示したが、統計的に有意なものではなかった。また、体重、BMI、体脂肪率および基礎代謝量は、摂取前後で有意な差は認められなかった。(3)臍部CT画像による脂肪面積の推移 臍部CT画像解析により算出した内臓脂肪面積、皮下脂肪面積、全体脂肪面積の推移を表3に示した。内臓脂肪面積は、摂取前109.4±32.0cm2であったが、摂取2ヶ月後には100.5±35.0cm2と有意な減少が認められた(図4;P<0.01)。図5に内臓脂肪面積の減少が認められた著効例を示した。また、全体脂肪面積は、摂取前305.6±63.0cm2であったが、摂取2ヶ月後には290.5±65.0cm2と有意な減少が認められた(P<0.01)。一方、皮下脂肪面積は、摂取前後で有意な差は認められなかった。(4)血圧および脈拍の推移 血圧および脈拍の推移を表4に示した。収縮期血圧、拡張期血圧および脈拍は、摂取前後で有意な差は認められなかった。(5)血液学的および血液生化学的検査値の推移 血液学的および血液生化学的検査値の推移を表5に示した。食品の安全性確認として摂取前、摂取1ヶ月、2ヶ月後の推移を観察したが、摂取に伴う検査数値の変化は僅かであり、正常値内での軽微な変化のみで有害反応としての変化は観察されなかった。(6)自覚症状の推移 自覚症状の推移を表6に示した。「意欲減退」関しては摂取2ヶ月後に有意な(P<0.05)改善が認められた。一方、「イライラ感」、「食欲不振」、「倦怠感」、「不眠」、「頭痛」、「耳鳴り」、「めまい」、「かゆみ(湿疹)」、「嘔吐」、「下痢」、「排便回数」、「腹部膨満感」、「腹痛」の項目については、摂取前後で有意な差を示さなかった。(考察) クマイザサ加圧熱水抽出物の内臓脂肪蓄積の低減に対する効果について検証することを目的として、BMI24〜30kg/m2でウエスト周囲径が男性85〜110cmおよび女性90〜110cmの男女19名を対象に、1日に朝、昼、夕食時中の3回、本試験品を各4カプセル、計12カプセルを2ヶ月間摂取するオープン試験を行った。その結果、19名中16名に内臓脂肪面積の低下が観察され、その変化は2ヶ月で8.84cm2の有意な減少であった。一方、皮下脂肪面積においては有意な変化は認められなかった。今回の試験の著効例においては、23.1%の内臓脂肪面積の減少に伴い、皮下脂肪面積の減少、血中トリグリセライドの低下および血中HDLコレステロールの上昇が観察された。メタボリックシンドローム診断基準では、ウエスト周囲径(男性85cm以上;女性90cm以上)が必須項目であり、その上に高トリグリセライド血症(150mg/dL以上)かつ・または低HDL血症(40mg/dL未満)、収縮期血圧(130mmHg以上)かつ・または拡張期血圧(85mmHg以上)、空腹時高血糖(110mg/dL以上)の2項目以上当てはまることとなっている。今回19名中5名が上記のメタボリックシンドロームの診断基準を満たしていた。特に、今回の19名の内、高トリグリセライド血症の該当者が8名含まれる条件下で、試験品摂取2ヶ月後にその人数が4名に減少することが観察された点は興味深く、メタボリックシンドローム予備軍に対応するための1選択肢として、機能性食品素材として手軽に使用できるクマイザサ加圧熱水抽出物が重要な役割を演じる可能性を示唆している。 CT画像解析による内臓脂肪面積を指標にした類似なオープン試験として、新谷らの報告(新谷卓弘, 田原英一, 森山健三, 中尾紀久世, 高尾豊, 天津朗典, 泉谷悟, 月岡康行, 曽和智子:肥満症患者に対する防風通聖散の臨床効果, 新薬と臨牀, 56, 1624-1638, 2007.)があげられる。彼らは、BMI25以上35kg/m2未満の肥満女性を対象に行い、3ヶ月後に「ロート防風通聖散錠」摂取は118.0cm2から111.7cm2への変化(5.3%の減少)を観察している。一方、今回のクマイザサ加圧熱水抽出物の2ケ月間の経口摂取実験では、内臓脂肪面積が109.4cm2から100.5cm2への変化であり、8.1%の減少を示した。防風通聖散の抗肥満のメカニズムは、マオウ由来のエフェドリンによるβ3‐アドレナリン性レセプター刺激作用とカンゾウ・レンギョウ・ケイガイ素材由来のサイクリックAMP依存性ホスフォジエステラーゼ阻害作用により、脂肪の分解が亢進するためと考えられている。一方、クマイザサ加圧熱水抽出物は、小腸粘膜上に存在する膵リパーゼの働きを妨害して、脂肪の消化や吸収を部分的に阻害してカロリー制限を引き起こすメカニズムが考えられ、防風通聖散とは作用機序が明確に異なると思われる。防風通聖散の場合、ダイオウに由来する瀉下作用で下痢を引き起こす副作用やマオウに由来するエフェドリンで覚醒作用を引き起こす副作用が懸念されているが、今回のクマイザサ加圧熱水抽出物摂取期間中、試験食品によると思われる有害事象の発現は認められなかった。また、血液検査においても標準値の範囲内の変動であった。以上のことから、試験食品はメタボリックシンドロームの各リスクと密接な関連のある内臓脂肪蓄積に対処する、日常的に摂取しても安全な機能性食品素材であることが示唆された。 本発明の内臓脂肪蓄積抑制剤は、メタボリックシンドロームの基盤となっている内臓脂肪蓄積を改善するユニークな機能性を有し、また天然由来品であるため安全性も高いものである。したがって、メタボリックシンドロームの予防・治療に有効な飲食品等として有利に利用することができる。実施例1において加圧熱水処理に用いたスラリー流通式反応装置を示す図である。実施例1においてソフトカプセルの製造フローを示す図である。試験例1におけるウエスト周囲径の推移を示す図である。試験例1における内臓脂肪面積の推移を示す図である。試験例1における臍部脂肪面積の著効例を示す写真である(35歳男性、摂取開始前:身長177.2cm、体重85.7kg、BMI29.0)。 ササ属に属する植物を150〜300℃の温度および0.5〜15MPaの圧力で加圧熱水抽出した抽出物を有効成分とする内臓脂肪蓄積抑制剤。 ササ属に属する植物が、クマイザサ(Sasa senanensis)である請求項1記載の内臓脂肪蓄積抑制剤。 請求項1または2記載の内臓脂肪蓄積抑制剤を含有する飲食品。 ササ属に属する植物を150〜300℃の温度および0.5〜15MPaの圧力で加圧熱水抽出した抽出物を有効成分とするメタボリックシンドローム改善剤。 ササ属に属する植物が、クマイザサ(Sasa senanensis)である請求項4記載のメタボリックシンドローム改善剤。 【課題】 メタボリックシンドロームの基盤となる内臓脂肪の蓄積を有効に抑制し得る内臓脂肪蓄積抑制剤を提供すること。【解決手段】 ササ属に属する植物を150〜300℃の温度および0.5〜15MPaの圧力で加圧熱水抽出した抽出物を有効成分とする内臓脂肪蓄積抑制剤。【選択図】 図4