タイトル: | 公開特許公報(A)_ペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質の合成ならびに選択的生体触媒修飾のための方法 |
出願番号: | 2008196035 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C12P 21/02,C07K 1/12,C07K 1/13 |
ルドルフ,ライナー ボルドゥザ,フランク ヴェホフスキー,ニコル JP 2008301829 公開特許公報(A) 20081218 2008196035 20080730 ペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質の合成ならびに選択的生体触媒修飾のための方法 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 591003013 F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 新井 栄一 100122389 ルドルフ,ライナー ボルドゥザ,フランク ヴェホフスキー,ニコル DE 10240098.9 20020830 C12P 21/02 20060101AFI20081121BHJP C07K 1/12 20060101ALI20081121BHJP C07K 1/13 20060101ALI20081121BHJP JPC12P21/02 BC07K1/12C07K1/13 17 1 2004535221 20030901 OL 19 4B064 4H045 4B064AG01 4B064CA21 4B064CB06 4B064CB30 4B064CD13 4H045AA20 4H045BA14 4H045BA15 4H045BA17 4H045BA18 4H045FA20 4H045FA52 本発明は、イオン性液体を用いたペプチド、擬似ペプチド(peptide mimetics)および/またはタンパク質の酵素的合成ならびに/あるいは選択的修飾のための方法に関する。また本発明は、加水分解性およびタンパク質分解性副反応の抑制のための、排他的な反応媒体としてのあるいは水および/または有機溶媒と組み合わせたイオン性液体の使用に関する。 ペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質の合成ならびに選択的修飾は、機能的遺伝子産物としてのポリペプチドの構造−機能関係の体系的な研究のために重要性が増しており、新規の有効な治療法の発見に大きく寄与する(H.−D. Jakubke, Peptide : Chemie und Biologie, Spektrum Akademischer Verlag, Heidelberg, Berlin, Oxford, 1996参照)。しかし、これらの合成または選択的修飾における重大な問題は、化学的方法の選択性および汎用性の欠如、ならびに触媒として酵素を使用する場合の基質制限または多くの副反応の発生である。 原則的に、ペプチド化学において開発された化学的方法は、ペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質の合成に使用することができる。しかし、これらの方法では、生成物の複雑さが増大し、かなりの制限を免れない。50〜60アミノ酸の平均鎖長を有するペプチドは、固相ペプチド合成法により直接得られるが、さらなる鎖の伸長は、あらゆる場合には定量的でない結合収率に起因する、多くの副産物の蓄積を頻繁にもたらし、これらは合成収率の低下ならびに所望産物の精製を複雑化または妨害することの両者につながるく。したがって比較的長いポリペプチドまたはタンパク質合成のための現行の方法は、合成的に製造されたペプチド断片の縮合に基づいているが、反応物のしばしば非常に低い溶解性のために、例外的な場合でのみ完全に保護されたペプチド断片の結合が可能である。 1953年に最初に提案された、保護されてないペプチド断片の化学的CN連結のための分子階層の概念(T. Wieland ら、 Annalen 1953, 583, 129; M. Brennerら, Helv. Chim. Acta 1957, 40, 1497)に基づいて開発された、アミンおよびチオール捕獲法(D.S. Kemp ら, J. Org. Chem. 1975, 40, 3465; N. Fotouhi ら, J. Org. Chem. 1989, 54, 2803)、本来の化学的連結法(naturlichen chemischen Ligation)(M. Schnoelzer, S.B.H. Kent, Science 1992, 256, 221; P.E. Dawsonら, Science 1994, 266, 776)、あるいはアルデヒド法(C.-F. Liu, J.P. Tam, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 1994, 91, 6584)が選択的に進展しているが、それらの実現のためには非常に特定的なNまたはC末端アミノ酸残基を必要とし、したがってそれらの適用可能性は配列特異的な前提を条件としている。現在好まれている本来の化学的連結法の場合、合成ペプチドはC末端チオエステル部分を用いて、N末端システイン残基を含む第2のペプチドまたはタンパク質と結合される。プロテインスプライシングの知識を利用することにより、本来の化学的連結法はインテイン仲介のタンパク質連結法(expressed protein ligation,EPL;例えば特にT. W. Muir ら., Proc. Natl. Acad. Sci, USA 1998, 95, 6705; G.J. Cotton ら., J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 1100)にさらに発展し、この方法においては、切断を受け易いインテインと融合された組換えタンパク質由来のカルボキシル成分のチオエステル部分が、チオール開裂により形成される。アミノ成分のN末端でシステイン残基を必要とすることに加え、さらに一般的な不都合がC末端アミノ酸残基の部分的なエピマー化にあり、これは避けることができない。なぜなら形成するチオエステルが、(少なくともチオフェノールを触媒として用いた場合、)エステル転移反応の後だけでなく、直接的に添加アミノ成分の末端α−アミノ基によって求核的に攻撃され得るからである。 触媒的合成法は、合成されるペプチド結合についてより高い柔軟性の利点を付与するが、調製との関連性において普遍的なペプチドリガーゼは、少なくとも自然界からは未だ見いだされていない。例えば触媒抗体(例えば特に、P.G. Schultz, R.A. Lerner, Science 1995, 269, 1835; G. MacBeath, D. Hilvert, Chem. Biol. 1996, 3, 433; D.B. Smithrubら, J. Am. Chem. Soc. 1997, 119, 278参照)は、CNリガーゼ活性を示すが、これは、合成ペプチドリガーゼがGCN4のコイル状コイルモチーフ(K. Severin ら, Nature 1997, 389, 706)または強酸性のコイル状コイルペプチドからなるペプチドテンプレート(S. Yao, J. Chmielewski, Biopolymers 1999, 51, 370)を基礎としていることと同様である。これら全ての場合は間違いなくペプチドリガーゼを設計するための興味深い出発点であるが、これらは連結のために特定の前提条件を必要とし、したがって、それらの一般的な適応性は甚大に制限される。ペプチダーゼの逆触媒作用能の利用(例えば特に、 W. Kullmann, Enzymatic Peptide Synthesis, CRC Press, Boca Raton, 1987; H.-D. Jakubke, Enzymatic Peptide Synthesis, The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, Vol. 9, (S. Udenfriend, J. Meienhofer編集), Academic Press, New York, 1987, Chapter 3参照)は、特定の前提条件下で、ペプチドセグメントの酵素的結合の原理における可能性を付与するが、使用されるペプチダーゼの潜在的切断部位がそこに存在している場合に、結合された特定のペプチド結合の不可逆性は保障されないし、また、結合されるセグメントまたは最終生成物における所望でないタンパク質分解による切断は本来的に避け得るものでもない。様々なペプチダーゼ、例えばズブチリシンの再エンジニアリングは、ペプチド結合の形成のための触媒作用能を改善し、所望の断片縮合により証明可能となっているが(例えば特に, D.Y. Jacksonら, Science 1994, 266, 243参照)、この方法において上で概説した不利益を除去することは不可能である。ペプチドおよびタンパク質セグメントのCN連結のために開発された擬似基質(substrate mimetics)の概念(F. Bordusaら, Angew. Chem. 1997, 109, 2583; Review: F. Bordusa, Braz. J. Med. Biol. Res. 2000, 72, 469)は不可逆性の利点を有するが、この概念は、結合される生体高分子内での競合的な切断を防ぐために、タンパク質加水分解不活性型合成プロテアーゼ変異体の使用を同様に必要とする。 ペプチド、擬似ペプチド、およびタンパク質の修飾のために、化学的方法(例えば T. Imoto, H. Yamada, Chemical Modification, in Protein Function. A Practical Approach (T.E. Creighton編集) pp. 247-277, IRL Press, 1989; G.E. Means, R. E. Feeney, Chemical Modification of Proteins, Holden-Day, 1971)は、タンパク質研究における重要な役割を過去に果たし、そして現在でも依然として果たしている。NMR技術の急速な発展により、この十年間で完全なシグナル帰属と、それによる(修飾を含まない)最大150〜200アミノ酸のタンパク質の3次元構造の解明が可能となっているにも拘らず、大きなタンパク質はNMR構造解析に適さず、X線構造解析は非常に多くの場合得ることができないタンパク質結晶を必要とすることから、依然として化学的修飾はまた、溶液中での3次元構造を決定するためのツールである。 N末端のα−アミノ基は選択的修飾の好適な標的であるが、タンパク質およびぺプチド中で偏在的に生じるリシン基のε−アミノ基により、N末端へのラベルやレポーター基のいかなる特異的導入も可能でない。化学的アシル化反応は、無水物または主として活性化エステル、例えば、N−ヒドロキシスクシンイミドまたは4−ニトロフェニルエステルを用いて実施されるが、タンパク質を形成するアミノ酸残基の別の側鎖官能基も反応する可能性があり、したがって選択的Nα修飾を妨げる。天然の作用とは逆に、ペニシリンアシラーゼにより、フェニルアセチル基のみが、ペプチド合成と特異性の決定に関してアミノ酸の保護基として酵素的に導入され(R. Didziapetrisら, FEBS Lett. 1991, 287, 31)、同一の酵素により再度切断された(例えば総説: A. Reidel, H. Waldmann, J. prakt. Chem. 1993, 335, 109参照)。この保護基の直接的な導入以外に、記載された方法のみが、ペプチダーゼの触媒下で、すでにN末端がラベルされているアミノ酸、またはP1位置にペプチダーゼ特異的アミノ酸残基を有するペプチド誘導体、の転移に基づく方法であり、必然的に不可逆性を有さない方法であった。その1つの例外は、ペプチドおよびタンパク質セグメントのCN連結のために当初開発された擬似基質(substrate mimetics)の概念である(F. Bordusaら, Angew. Chem. 1997, 109, 2583: Review: F. Bordusa, Braz. J. Med. Biol. Res. 2000, 72, 469)。この方法論は、ラベルおよびレポーター基の標的特異的かつ選択的な導入という利点を有するが、すでに述べたように、ラベルされる生体高分子の競合的な切断を防ぐため、生体触媒としてタンパク質分解不活性型合成プロテアーゼ変異体の使用を要する。 ペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質の合成ならびに修飾のために使用されるヒドロラーゼの加水分解性およびタンパク質分解性副反応は、標的特異的な酵素のエンジニアリングだけでなく、反応媒体の操作によっても抑制することができる。文献は、水と有機溶媒の単相混合液の使用、不混和性の水と有機溶媒の場合における類似する二相系の使用、実質的に水分を含まないかまたは非常に少ない水分のみを有する純粋な有機溶媒の使用、凍結若しくは過冷された水性または有機系の使用、超臨界溶液の使用、ならびに実質的に溶媒成分を含まないかまたは非常に少ない溶媒成分のみを有する不均一の共融混合液の使用を記載している(例えば特に,W. Kullmann, Enzymatic Peptide Synthesis, CRC Press, Boca Raton, 1987; H.-D. Jakubke, Enzymatic Peptide Synthesis, The Peptides: Analysis, Synthesis, Biology, Vol. 9, (Eds.: S. Udenfriend, J. Meienhofer), Academic Press, New York, 1989, Chapter 3参照)。しかし、これらの方法のほぼ全ては、酵素活性または安定性における劇的な低下をしばしば引き起こし、一部の場合ではかなり複雑な装置を要する。これに加えて、比較的長い鎖の生体高分子の合成および修飾についてのそれらの有用性に関しては、ほんのわずかだけ研究されてきたに過ぎない。しかし、このようなケースでさえ、これらの方法にはこれまでに、通常の応用に要求される効率および普遍性を示すことができたものはない。 新しい種類の溶媒は、低い融点を有する塩に代表される。イオン性液体とも呼ばれるこれらの溶媒系については、タンパク質および酵素に対する安定化の影響が初期の研究で示されている(総説: C.M. Gordon, Appl. Catal. A: Gen. 2001, 222, 101)。リパーゼとガラクトシダーゼによる単純なモデル反応は、これらの液体が反応速度および時には酵素反応の選択性にさえ正の効果を有することをさらに示している(U. Kraglら, Chimica Oggi 2001, 19, 22; T.L. Husumら, Biocatal. Biotrans. 2001, 19, 331; S.H. Schoferら, Chem. Commun. 2001, 425)。単純なアミノ酸エステル基質の例は、セリンプロテアーゼであるキモトリプシンおよびズブチリシンもそのような液体を高い割合で有する反応系において酵素的に活性であり、エステルの加水分解およびそのエステル転移反応の両方を触媒することがさらに示されている(J.A. Laszlo, D.L. Compton, Biotechnol. Bioeng. 2001, 75, 181; T.L. Husumら, Biocatal. Biotrans. 2001, 19, 331)。メタロプロテアーゼであるサーモリシンによるZ−Asp−OHとH−Phe−OMeからのZ−Asp−Phe−OMeの合成に関して、平衡が制御された合成条件下での2種類のアミノ酸のプロテアーゼ触媒による結合のためのイオン性液体の原理における適合性がさらに示されている(M. Erbeldingerら, Biotechnol. Prog. 2000, 16, 1131)。しかしながら、ペプチド断片がそのような液体中で動力学的に制御された反応においてプロテアーゼにより選択的に結合され得るか否か、また、ペプチドおよびタンパク質のN末端へのレポーターおよびラベル部分の選択的導入がこれらの条件下でプロテアーゼにより触媒されるか否かは全く知られていない。同様に、イオン性液体が、反応物上でのタンパク質分解性副反応および使用されるエステル基質上での加水分解性副反応にどのような影響を及ぼすかは明らかでない。 本発明の目的は、ペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質の酵素的合成ならびに修飾のための方法であって、従来技術において記載される方法の不利益を克服する方法を提供することである。さらに本発明の目的は、配列非依存的合成、特に連結やN末端修飾が、反応物または反応生成物上でのタンパク質分解性および加水分解性副反応なしに位置選択的かつ立体選択的に行なわれる方法を提供することである。 本発明によれば、前記目的は、ペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を合成するための、ならびに/あるいはペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質の選択的N末端修飾のための方法によって達成され、該方法は以下の工程:(a) 少なくとも1つのアミノ酸を有するアミノ成分を用意する工程、(b) カルボキシル成分がカルボキシル基上に脱離基を有しており、かつ該カルボキシル成分が少なくとも1つのアミノ酸を有する化合物あるいは少なくとも1つのラベルまたはレポーター基を有する化合物である、前記カルボキシル成分を用意する工程、(c) プロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの存在下で、前記アミノ成分と前記カルボキシル成分を1以上のイオン性液体を有する反応媒体中で反応させて、脱離基の脱離を伴って該アミノ成分と該カルボキシル成分との間にペプチド結合を形成させる工程を含む。 好適な実施形態は、(d) 得られたペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を、それ自体公知の方法により単離または富化する工程を含む、本発明による方法を提供する。 本発明はさらに、ペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質の合成ならびに/あるいはN末端修飾のための、排他的溶媒としてのあるいは水および/または有機溶媒と組み合わせた、イオン性液体の使用に関する。本発明はまた、ペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質の合成ならびに/あるいはN末端修飾のためのプロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの使用であって、該ペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質あるいはそれらのN末端ラベル化された分子種が、アミノ成分とカルボキシル成分との連結により製造されるものであり、かつ該カルボキシル成分が脱離基を有している、上記使用に関する。 より具体的には、本発明は以下の特徴を有する:(1)ペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を合成するための、ならびに/あるいはペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を選択的にN末端修飾するための方法であって、(a) 少なくとも1つのアミノ酸を有するアミノ成分を用意する工程、(b) カルボキシル成分がカルボキシル基上に脱離基を有しており、かつ該カルボキシル成分が少なくとも1つのアミノ酸を有する化合物あるいは少なくとも1つのラベルまたはレポーター基を有する化合物である、前記カルボキシル成分を用意する工程、(c) プロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの存在下で、前記アミノ成分と前記カルボキシル成分を1以上のイオン性液体を有する反応媒体中で反応させて、脱離基の脱離を伴って該アミノ成分と該カルボキシル成分との間にペプチド結合を形成させる工程を含む上記方法。(2)(d) 得られたペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を、それ自体公知の方法により富化するおよび/または単離する工程をさらに含む、上記(1)に記載の方法。(3)前記アミノ成分がポリペプチドまたはタンパク質であることを特徴とする、上記(1)または(2)に記載の方法。(4)前記アミノ成分のNα−アミノ官能基が保護されずに存在し、かつこのNα−アミノ官能基が前記カルボキシル成分のカルボキシル官能基と反応することを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれか1つに記載の方法。(5)前記カルボキシル成分がポリペプチドまたはタンパク質であることを特徴とする、上記(1)〜(4)のいずれか1つに記載の方法。(6)前記カルボキシル成分のカルボキシル基が、脱離基を有するカルボン酸エステルまたはカルボキサミドを形成することを特徴とする、上記(1)〜(5)のいずれか1つに記載の方法。(7)前記カルボキシル成分の脱離基が、非置換および置換の−O−アルキル基、−O−アリール基、−S−アルキル基、−S−アリール基、−NH−アルキル基、−NH−アリール基、−N,N−ジアルキル基、−N,N−ジアリール基および−N−アリール−N−アルキル基よりなる群から選択されることを特徴とする、上記(1)〜(6)のいずれか1つに記載の方法。(8)前記脱離基が4−グアニジノフェニル基、4−アミジノフェニル基、4−グアニジノフェニルチオ基もしくは4−アミジノフェニルチオ基であることを特徴とする、上記(1)〜(7)のいずれか1つに記載の方法。(9)前記脱離基が、使用されるプロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの特異性に適合することを特徴とする、上記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の方法。(10)前記脱離基を含む前記カルボキシル成分が下記の構造:Y−(Xaa)n−R[Yは、N末端保護基またはHであり、Xaaは、任意のα−アミノ酸、β−アミノ酸もしくはその誘導体、またはラベルもしくはレポーター基であり、Rは、非置換および置換の−O−アルキル基、−O−アリール基、−S−アルキル基、−S−アリール基、好ましくは、各々がスルホン酸基またはスルホネートにより置換されていてもよい4−グアニジノフェニル基、4−アミジノフェニル基、4−グアニジノフェニルチオ基、4−アミジノフェニルチオ基、よりなる群から選択される脱離基であり、nは1〜1000の整数である。]を有することを特徴とする、上記(1)〜(9)のいずれか1つに記載の方法。(11)カルボキシル成分が、カルボキシル基を含む蛍光性ラベル;カルボキシル基を含む同位体ラベル;カルボキシル基を含むスピンラベル;ビオチン;カルボキシル基を含む架橋剤から選択されるラベルまたはレポーター基であることを特徴とする、上記(1)〜(10)のいずれか1つに記載の方法。(12)反応媒体が1以上のイオン性液体および水、ならびに/あるいは有機溶媒も含むことを特徴とする、上記(1)〜(11)のいずれか1つに記載の方法。(13)反応媒体中のイオン性液体の割合が50〜100容量%であることを特徴とする、上記(1)〜(12)のいずれか1つに記載の方法。(14)使用されるイオン性液体のカチオンが4級化アルキルイミダゾリウムイオン、4級化アルキルアンモニウムイオン、4級化アルキルピリジニウムイオンおよび/または4級化アルキルホスホニウムイオンであることを特徴とする、上記(1)〜(13)のいずれか1つに記載の方法。(15)イオン性液体のアルキル基が分岐状または未分岐状であり、かつ1〜20炭素原子を有することを特徴とする、上記(14)に記載の方法。(16)使用される前記イオン性液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩および/または4−メチル−N−ブチルピリジニウム塩であることを特徴とする、上記(1)〜(15)のいずれか1つに記載の方法。(17)使用される前記イオン性液体のアニオンが、クロライド、ブロマイド、クロロアルミネート、ニトレート、ベンゼンスルホネート、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)、トシレートおよび/またはテトラフルオロボレートであることを特徴とする、上記(1)〜(16)のいずれか1つに記載の方法。 更なる実施形態は、従属請求項および以下の記載から明らかにされる。 本発明によれば、ペプチドとは約2〜10アミノ酸を有するアミノ酸の縮合生成物を指す。本発明によれば、ポリペプチドとは約10〜100アミノ酸を有するアミノ酸の縮合生成物を指し、本発明によれば、タンパク質という用語は、約100超のアミノ酸を有するアミノ酸の縮合生成物について用いられ、文献はその2つの用語間の切り替えは流動的であるとみなしている。 本発明によれば、擬似ペプチド(peptide mimetics)とは、もっぱらコードされるアミノ酸からなる古典的なペプチド構造を有さないが、1のペプチドの生物学的活性に似ているかまたは拮抗する化合物を指す。擬似ペプチドの例は、完全な非ペプチド系有機化合物(例えは、脂環式構造および芳香族構造からなるモルフィネまたはナロキソン)だけでなく、修飾されたアミノ酸を含む化合物(例えば、N−,α−およびβ−アルキル化アミノ酸;Cα−CβおよびN−Cβ環化アミノ酸;修飾された側鎖を有するペプチド、例えばα−、β−脱水素化アミノ酸、ニトロチロシンなど)、および環状ペプチドアナログ(N末端とC末端またはアミノ酸側鎖との環状化;C末端とアミノ酸側鎖との環状化またはアミノ酸側鎖とアミノ酸側鎖との環状化)および修飾されたペプチド結合を有するペプチド、例えばチオアミド、ケトメチレン、エチレン、メチレンアミンまたはレトロインベルソ(Retro-Inverso)誘導体などである。レトロインベルソ誘導体は、ペプチド骨格鎖構造R−C−NH−CO−C−R’を有する化合物であり、通常のペプチド結合がR−C−CO−NH−C−R’構造を有するのに対して、アミノ官能基およびカルボン酸官能基の位置が通常のペプチド結合と比べて入れ替わっている。 塩融解物とは異なり、イオン性液体は低温(<100℃)で融解し、かつもっぱらイオンからなる塩である(文献:例えば、T.Welton, Chem. Rev. 1999, 2071-2083参照)。したがって、この定義によれば水はイオン性液体ではない。特徴的な性質はそれらの低い対称性(Symmetrie)、低い分子間相互作用および良好な電荷分布である。典型的なカチオンには、4級化ヘテロ原子、例えば4級化アンモニウムイオンまたは4級化ホスホニウムイオンが含まれる。サブグループは、例えば1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムなどのN−アルキル化イミダゾリウムイオン;4−メチル−N−ブチルピリニジウムなどのN−アルキル化ピリニジウムイオンまたは同じように置換されたアンモニウムイオンおよびホスホニウムイオンである。典型的なアニオンは、例えばクロライド、ブロマイド、クロロアルミネート、ニトレート、ベンゼンスルホネート、トリフレート、トシレートまたはテトラフルオロボレートなどの無機性または有機性のいずれかのものであってもよい。 先に従来技術において観察された、反応媒体としての水の反応不活性溶媒による完全または部分的置換が酵素の不活性を最大とする活性の損失をもたらすという現象を発端として、本発明は、脱離基を備えたカルボキシル成分であって、ペプチド、擬似ペプチド、タンパク質またはラベルもしくはレポーター部分である該カルボキシル成分を、高い合成率及び選択性での酵素触媒作用下で、排他的溶媒としてのあるいは水および/または有機溶媒と組合せてイオン性液体を反応媒体として用いることにより、好ましくはペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質であるアミノ成分と結合することが可能であるという驚くべき発見に基づいている。 またこれに関連して、カルボキシル成分と脱離基との結合の加水分解、および酵素の特異性に対応するペプチド結合のタンパク質分解などの典型的に生じる副反応が、反応物または反応生成物において実質的に生じないということも驚きであった。カルボキシル成分は典型的に、エステル、チオエステルまたはアミド形態の脱離基を、カルボキシル成分のC末端カルボキシル官能基と連結させることにより脱離基を備えて用意される。したがって本発明による方法は、実質的に他の全ての有機溶媒と対照的に、イオン性液体またはその混合液が、酵素の合成活性に有利な影響を有し、かつ同時に、典型的に水溶媒が仲介する所望でない副反応を実質的に完全に抑制するという驚くべき発見に基づいている。イオン性溶媒と酵素特異的な脱離基を含むカルボキシル成分とを組み合わせた使用も、酵素の本来の基質特異性に依存しない合成活性を達成させ、これはこの方法の合成の応用の範囲を決定的に増大させる。 これまでに研究された全てのセリンおよびシステインプロテアーゼが上述した作用を示し、それゆえ本発明によるペプチド、擬似ペプチド、およびタンパク質の合成および修飾のための方法に関して特に適することが見出された。さらに好適な酵素は、本明細書中で開示されている技術的教示に基づいて実施することができる好適なモデル反応を利用するスクリーニング方法と関連させて得ることもできる。 そのようなスクリーニング方法との関連において、その手順は、合成モデル反応により、イオン性液体またはその混合液中におけるプロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの合成活性を調べることである。この目的のために、最も単純な場合には、1つのアミノ酸からなるカルボキシル成分(慣用のカルボキシル成分または擬似基質)が、アミノ成分(最も単純な場合には1つのアミドまたはアミノ酸であるが、好適にはペプチド)、および試験されるプロテアーゼ、ペプチダーゼまたはヒドロラーゼとともにインキュベートされる。酵素によるイオン性液体の許容性は、その後のインキュベーション段階における生成物形成によって示される。生成物形成それ自体を、例えばHPLCまたは他のクロマトグラフィー分離法によって分析してもよい。 本発明によれば、好適なプロテアーゼはシステインプロテアーゼまたはセリンプロテアーゼである。しかし、原則的に、公知のあらゆる他のタイプのプロテアーゼ、すなわち、アスパラギン酸プロテアーゼまたはメタロプロテアーゼも使用することが可能である。有用なさらなるヒドロラーゼ群は、特にリパーゼまたはエステラーゼである。本発明によれば、使用されるペプチダーゼ(EC3.4.11−3.4.19)は、原則的に、公知のペプチダーゼサブグループであってもよい。ヒドロラーゼ、ペプチダーゼおよびプロテイナーゼの定義については、特にRoempp Chemielexikon,第9版,1989-1992を参照されたい。 本発明による方法の更なる利点は、使用される酵素の位置特異性と、大部分の化学的方法と比較してのラセミ化の危険性の欠如とに基づいている。これは、キラル中心および他のアシル化可能な官能基を有する反応物を、付加的な副反応をもたらす実験的に複雑な一過性かつ選択的なブロッキング測定をすることなく使用することができる点で有利である。わずかな例外は、いくつかの場合に必要な、N末端保護基のカルボキシル成分への導入であり、これはカルボキシル成分のN末端配列が、アミノ成分のN末端配列よりも酵素に対して高い特異性を有する場合に特に必要になる。さらに、選択的な化学的方法とは対照的に、反応に加わる反応物の配列について実質的に何の制限も存在しない。 本発明によれば、使用される酵素はプロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼであり得る。これらは好ましくは、カルボキシル成分の脱離基および/または特定のアミノ酸もしくはアミノ酸範囲について選択性あるいは特異性を有する。本発明によれば、脱離基および/またはそれらのアミノ酸もしくはアミノ酸範囲は、好ましくは使用される酵素によって本来的に認識される化合物である。本発明によれば、これらは好ましくは構造的に類似の化合物(擬似基質)である。 本明細書中で用いられるアミノ成分およびカルボキシル成分という用語は、合成されるポリペプチドに対して定義される。アミノ成分という用語は、カルボキシル基またはその誘導体、例えば脱離基により誘導体化されているカルボキシル基と反応してペプチド結合を形成する、少なくとも1つのアミノ基を与える化学化合物を指す。アミノ成分は好ましくはアミノ酸であり、より好ましくはポリペプチドまたはタンパク質である。後者の場合には、ポリペプチドまたはタンパク質は、アミノ末端およびカルボキシル末端のいずれをも有する。カルボキシル末端は、保護されていない形態または保護された形態のいずれかである。別の反応基、例えばアミノ基またはアミノ成分のさらなる分子との反応を回避するため、アミノ成分のカルボキシル基は典型的かつ好適に不活性化形態である。アミノ成分のNα−アミノ官能基が保護されずに存在し、かつこのNα−アミノ官能基がカルボキシル成分のカルボキシル官能基と反応するのがさらに好ましい。 カルボキシル成分は、好ましくはカルボキシル官能基を備えたラベルもしくはレポーター基、またはアミノ酸、あるいはより好ましくは、ポリペプチドまたはタンパク質である。アミノ成分のアミノ基、一般的にはN末端アミノ基と反応してペプチド結合を形成するカルボキシル成分のカルボキシル官能基またはカルボキシル基は、典型的かつ好適には活性化されている。 本発明によれば、好適なカルボキシル成分の脱離基は、非置換および置換の−O−アルキル基、−O−アリール基、−S−アルキル基、−S−アリール基、−NH−アルキル基、−NH−アリール基、−N,N−ジアルキル基、−N,N−ジアリール基および−N−アリール−N−アルキル基よりなる群から選択される。また同様に好ましいカルボキシル成分の脱離基は、1以上のカルボン酸基、スルホン酸基またはスルホネートにより置換されているものである。この列挙したものにおいて、アルキルという用語はシクロアルキルおよびヘテロシクロアルキルも含む。有用なヘテロ原子は特にN、OおよびSである。5〜6個の環炭素原子を有するシクロアルカンまたはヘテロシクロアルカンが好適である。本発明によれば、アルキル基はn−アルキル基および分岐状のアルキル基を含み、それらの中で1〜5炭素原子を有するn−アルキル基が好適である。 この列挙したものにおいて、アリールという用語は、特に置換および非置換のフェニルを含み、好ましくはフェニル環でグアニジノおよび/またはアミジノによって置換されている。ここでアリールという用語はまた、融合環系、好ましくはビフェニル、およびナフチルなどの非融合環系(これもまた好ましくはグアニジノおよび/またはアミジノ基で置換されていてもよい)、およびキノリンまたはイソキノリンなどのヘテロ類似系を含む。アリールという用語は、5〜6個の環原子を有するヘテロ芳香族化合物も含み、その1以上の環炭素原子がN、Oおよび/またはSで置換されているのが好ましい。具体例としてピリジン、チオフェン、フラン、ピラゾールまたはイミダゾール基がある。 カルボキシル成分の特に好ましい脱離基は、4−グアニジノフェニル、4−アミジノフェニル、4−グアニジノフェニルチオまたは4−アミジノフェニルチオ基、あるいはそれに構造的に相同な化合物である。 カルボキシル成分において、脱離基は、好ましくはカルボキシル成分のカルボキシル基と、さらに好ましくはカルボキシル成分のC末端カルボキシル基で、エステルまたはアミドを形成している。既に詳述したように、脱離基の特異的認識が、最終的に酵素の酵素活性を変化させ、酵素特異的アミノ酸残基を有する反応物ではなく、ペプチド断片あるいはラベルおよびレポーター基もまた、プロテアーゼ、ヒドロラーゼまたはペプチダーゼによって結合されるという効果をもたらす。 アルギニン特異的プロテアーゼ、例えばトリプシンについて、そのような特異性を仲介する活性が4−グアニジノフェニルエステル脱離基で検出された。類似の機能はアミジノフェニルエステルでも観察できる。さらに構造的相同性により、4−グアニジノフェニルチオエステルおよび4−アミジノフェニルチオエステルのアナログは類似の作用を有し、さらに化学合成における利点を有する。これらの化合物の構造的相同性は、特異性を仲介する脱離基として有用である。 構造的に相同な化合物は、塩基性部分、例えばアミノ、アミジノ、グアニジノおよびイミノ部分を有するこれらの化合物の誘導体であり、プロテアーゼの特異性決定アミノ酸残基と相互作用する。すなわち、特にそれらのアミノ酸残基は、基質と直接的にまたは間接的に相互作用するか、あるいは触媒反応に影響を与え、そして該アミノ酸残基は、カルボキシル成分のカルボキシル基と脱離基との間の結合要素として、特定の塩基性部分とエステルまたはアミノ官能基との間で、例えば1〜6鎖長のメチレン単位、ベンゼン、ナフタレンまたはインドール塩基性構造を有する脂肪族あるいは芳香族塩基性構造を有する。表象的な意味において、これはグルタミン酸またはアスパラギン酸に対して主要な特異性を有する酵素、例えばV8プロテアーゼなど(脂肪族または芳香族の基本構造上の塩基性部分のかわりに、カルボン酸基およびスルホン酸基などの酸性部分が結合されているという違いを有する)にも同様にあてはまる。類似した手法において、記載される基本構造のみからなる、すなわちいかなる塩基性基または酸性基をも有さないエステルまたはアミドは、加水分解性アミノ酸残基について選択的特異性を有する酵素、例えばキモトリプシンおよびサブチリシンのカルボキシル成分を構成する。 本発明によれば、脱離基は、使用されるプロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの特異性に適合させるのが好ましい。 さらに好適な実施形態において、脱離基を含むカルボキシル成分は以下の構造を有する:Y−(Xaa)n−RYは、N末端保護基またはHであり、Xaaは、任意のα−アミノ酸、β−アミノ酸もしくはその誘導体、またはラベルもしくはレポーター基であり、Rは脱離基、特に非置換および置換の−O−アルキル基、−O−アリール基、−S−アルキル基、−S−アリール基、好ましくは、各々がスルホン酸基またはスルホネートにより置換されていてもよい4−グアニジノフェニル基、4−アミジノフェニル基、4−グアニジノフェニルチオ基、4−アミジノフェニルチオ基、およびそれらの構造的ホモログ、よりなる群から選択される脱離基であり、nは1〜1000、好ましくは30〜500、より好ましくは30〜250の整数である。 この関係において、アルキルおよびアリールという用語は、上述の定義と同様であり、そして上述のシクロアルカン、ヘテロシクロアルカン、融合環系および非融合環系が含まれ、さらに上述の好適な実施形態も包含される。 同様に、カルボキシル成分が、フルオレセイン、ローダミン、テトラメチルローダミン、2−アミノ安息香酸などのカルボキシル基を含む蛍光性ラベル;13C−、15N−および17O−を含むアミノ酸またはペプチド断片などのカルボキシル基を含む同位体ラベル;ニトロキシドラベルを含むアミノ酸および脂肪酸誘導体などのスピンラベル;ビオチン;ジアゾアセテート、ジアゾピルベート、p−ニトロフェニル−3−ジアゾピルベートなどのカルボキシル基を含む架橋剤;2−(1,2−ジチオラン−3−イル)アセテート;N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド;N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、から選択されるラベルまたはレポーター基であることが好ましい。上述した全ての誘導体は、酵素反応前に、上述した脱離基の一つを備えているカルボキシル基を有する。この点で、上記の蛍光性ラベルは完全なカルボキシル成分ではなく、むしろその一部のみがアミノ成分に転移される。 アミノ成分とカルボキシル成分の結合により、ポリペプチドまたは選択的修飾されたポリペプチドあるいはそのアナログが形成され、ポリペプチドのC末端に対応するアミノ成分のC末端とポリペプチドのアミノ末端に対応するカルボキシル成分のアミノ末端が、酵素の影響下で、導入されるラベルまたはレポーター基に結合される。合成されるかまたは修飾されるポリペプチドの長さは、少なくとも2アミノ酸である。典型的には、本発明によって調製されるポリペプチドまたはタンパク質の長さは、1〜1000アミノ酸、より好ましくは30〜1000アミノ酸、なお一層好ましくは50〜600アミノ酸、そして最も好ましくは100〜300アミノ酸のサイズを有する。 アミノ成分のサイズは1アミノ酸と同じくらい小さくてもよい。アミノ成分の長さのいかなる上限も必ずしも存在しないが、ともかく、使用される酵素の特異性および反応速度、例えばアミノ成分の拡散速度を考慮することによって、最終的に決定される。アミノ成分の典型的なサイズは、1〜1000アミノ酸、より好ましくは30〜500アミノ酸、またさらに好ましくは30〜250アミノ酸である。しかし、特に酵素触媒またはプロテアーゼ触媒による連続的なペプチド断片連結を実施する本発明の方法の実施形態において、アミノ成分の長さが明らかにより大きいことまたはタンパク質が反応物として働くことも本発明の範囲内である。そしてこの長さは、好ましくは複数の前述の長さ範囲である。アミノ成分がカルボキシル成分よりも大きいか、同じサイズまたは小さいことも本発明の範囲内であるとし、この目的のために利用される基準は、一般にアミノ成分またはカルボキシル成分を形成するアミノ酸数である。 カルボキシル成分は、1〜1000アミノ酸、好ましくは30〜500アミノ酸、より好ましくは30〜250アミノ酸のサイズを有するのが好ましい。 本発明による方法において、使用されるアミノ成分が、N末端が非保護のペプチド、擬似ペプチドおよびタンパク質であることが好ましい。 反応は好ましくは、(たとえ含む場合であっても非常に少ない水分(典型的には5%以下)を含む)純粋なイオン性液体、例えば4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレート中で実施される。 本発明の更なる実施形態において、反応媒体中のイオン性液体の割合は、50〜100容量%、好ましくは70〜100または80〜100容量%、より好ましくは90〜100容量%、同じく好ましくは95〜100容量%、95〜99容量%または97〜99容量%である。 水分を含むおよび含まないイオン性液体、有機溶媒、ならびに無機塩などの更なる添加物の混合液は、同様に本発明における反応媒体を構成し、溶液であるか懸濁液であるかは重要ではない。使用される添加物は、特に無機塩、バッファー成分、還元剤および酸化剤、酵素活性化剤、モジュレーターおよび阻害剤、界面活性剤、脂質、タンパク質の共有結合または接着による固定化のためのポリマー(例えばポリエチレングリコール、メトキシポリエチレングリコールまたはカルボキシメチルセルロース)、およびSDS(ドデジル硫酸ナトリウム)、尿素もしくは塩酸グアニジンなどのタンパク質変性剤であってもよい。 溶媒混合液の使用の決定的な利点は、反応物または酵素の溶解性の増加もしくは低下、あるいはイオン性液体に加えて使用される溶媒の数、種類および割合によって酵素活性および特異性に影響を与える可能性にある場合がある。 本発明によれば、イオン性液体と混合する場合には、水混和性有機溶媒を使用することが好ましい。一方、本発明には、水非混和性である疎水性有機溶媒(例えばヘキサンまたはオクタン)も含まれ、その場合、溶媒混合物は2層系として存在する。また疎水性有機溶媒と部分的にまたは完全に混ざりあう疎水性アルキル基を有する修飾されたイオン性液体の使用も本発明に含まれる。 本発明によれば、好ましくは、そのカチオンがアルキルイミダゾリウムイオン、アルキルアンモニウムイオン、アルキルピリジニウムイオンおよび/またはアルカリホスホニウムイオンであり、これらにおいて、アルキル化がいずれの場合も完結している(すなわち記載されるヘテロ原子のいずれもが水素原子と結合せず、そのために4級化されている)、イオン性液体が使用される。 同様に、好ましいイオン性液体のアルキル基は、分岐状または未分岐状で、かつ1〜20炭素原子、好ましくは1〜20炭素原子、より好ましくは4〜6炭素原子を有するアルキル基である。メチル、エチル、プロピルまたはブチル、特にブチルである少なくとも1つのアルキル基が特に好ましい。 本発明によれば、好ましく用いることができるイオン性液体のアニオンは、クロライド、ブロマイド、クロロアルミネート、ニトレート、ベンゼンスルホネート、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)、トシレートおよび/またはテトラフルオロボレートである。 本発明によれば、使用されるイオン性液体は、より好ましくは1−エチル−3−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムおよび/または4−メチル−N−ブチルピリニジウム塩であり、その中で特定のテトラフルオロボレートが特に好適である。 好適な酵素特異的脱離基を有するカルボキシル成分は、特定の脱離基(もしくは好適な前駆物質)を有するカルボキシル成分のアシル基などの縮合を、高分子担体上で、例えばスルフアミルブチリルアミノメチルセイフティキャッチ樹脂(Sulfamylbutyrylaminomethyl-Safety-Catch-Harzen)(R. Ingenitoら, J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 11369参照)またはオキシム樹脂(V. Cerovsky, F. Bordusa, J. Peptide Res. 2000, 55, 325; V. Cerovskyら, ChemBioChem 2000, 2, 126参照)を同時のエステルもしくはアミド生成およびペプチド脱離とともに用いて行うことによって、化学的に合成されてもよい。使用される放出性求核剤は、適当なアルコール性、フェノール性、メルカプト含有もしくはアミノ含有脱離基、あるいは既に調製されているNα−非保護アミノ酸エステルもしくはアミドまたは適当な前駆物質である。代替的に、カルボキシル成分は、例えばインテイン仲介ポリペプチドエステル合成(M. W. Southworthら, Biotechniques 1999, 27, 110)を用いるなど、遺伝子工学経路によって合成されてもよい。脱離基は、インテイン切断において求核剤を選択するか、または溶液中でのエステル転移反応によるエステル形成の完了に基づいて、適合させることができる。 アミノ成分として使用されるペプチド断片の合成は、通常、溶液中でまたは高分子支持体上における慣用のFmocまたはBoc合成プロトコルを用いることにより可能である。典型的に、高分子支持体上の合成は、個々の中間体の精製における利点のために、より複雑な溶液合成よりも好ましい。あるいは、アミノ成分は生体材料から得てもよいし、後続の単離を伴う遺伝子工学的方法により発現されてもよい。 得られた合成産物またはラベル化産物は、ペプチドおよびタンパク質化学の慣例法により分離および精製されてもよい。存在する全ての保護基は従来技術で既知の方法により除去されてもよい。 本発明の好適な実施形態において、工程(a)から(c)および、場合によりd)により製造される化合物をアミノ成分として、また工程(a)から(c)および、場合によりd)により製造される別の化合物をカルボキシル成分として用いて、この方法に応じてラベルまたはレポーター基をも有し得る、定義した構成成分からより大きいポリペプチドまたはタンパク質を構築することができる。 他の潜在的に使用可能な生体触媒的方法とは対照的に、酵素、特にプロテアーゼおよびペプチダーゼの使用と組み合わせたイオン性液体またはその混合液の本発明の使用により、高い合成速度、柔軟性、合成効率および簡単な取り扱いが達成される。 本発明を、図面及び実施例を参照しながら説明するが、それらから、本発明の構成、実施形態および利点が明らかになる。 図1は、本発明および実施例4に記載される方法の適用により製造されたビオチン化ペプチドの選択されたMALDI−ToFの質量スペクトルを示す。実施例1 ジペプチドおよびトリペプチドのトリプシン触媒合成に及ぼすイオン性液体4−メチル−N−ブチルピリジニウムテトラフルオロボレートの割合の影響(Bz,ベンゾイル;OGp,4−グアニジノフェニルエステル)。 表1で特定される4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレートと、0.1MのNaClと0.01MのCaCl2、1.5%(v/v)の4−メチルモルホリン、2mMのBz‐Phe‐OGp、20mMのアミノ成分、および10μMのトリプシンを含む0.1MのHepesバッファー(pH8.0)との混合液を含む1mlの反応溶液を25℃で撹拌した。30〜120分後、反応溶液をメタノール/水(1:1,v/v)中の1%トリフルオロ酢酸を用いてpH2にした。ジペプチドおよびトリペプチドの収量をHPLC分析で決定し、下記の表1に列挙した。 Bz−Phe−OGpを、M. Thormannら, Biochemistry 1999, 38, 6056.の合成プロトコルと同様に合成した。使用したアミノ成分は市販品であり、表1に特定している。トリプシンはFluka(スイス)から得た。 実施例2 イオン性液体4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレート中でのBz−Phe−OGpおよびH−Leu−NH2を出発物質とするBz−Phe−Leu−NH2のトリプシン触媒合成に及ぼす追加の有機溶媒の種類および量の影響(Bz,ベンゾイル;OGp,4−グアニジノフェニルエステル;MeOH,メタノール;DMSO,ジメチルスルホキシド;DMF,ジメチルホルムアミド)。 4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレート、5%水および特定の割合の追加の有機溶媒、1.5%(v/v)4−メチルモルホリン、2mMのBz−Phe−OGp、20mMのアミノ成分、ならびに20、40、80、200μMのトリプシンを含む1mlの反応溶液(増大した割合の追加の有機溶媒を含む)を25℃で撹拌した。30〜120分後、反応溶液をメタノール/水(1:1,v/v)中の1%トリフルオロ酢酸を用いてpH2にした。収量をHPLC分析で決定し、下記の表2に列挙した。実施例3 イオン性液体4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレート中でのBz−Phe−OGpおよび異なる長さと配列のポリペプチドを出発物質とする酵素特異的切断部位を有するポリペプチドのトリプシン触媒合成。 個々の酵素特異的アミノ酸残基はそれぞれ太字で強調されている(Bz,ベンゾイル;OGp、4−グアニジノフェニルエステル)。 4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレート、5%水、1.5%(v/v)4−メチルモルホリン、2mMのBz−Phe−OGp、5mMのアミノ成分および10μMのトリプシンを含む1mlの反応溶液を25℃で撹拌した。可溶性にするため、追加の有機溶媒としてメタノールを、20%および50%(v/v)のメタノールの割合で用いて反応を実施した。30分〜120分後、反応溶液をメタノール/水(1:1,v/v)中の1%トリフルオロ酢酸を用いてpH2にした。反応溶液から単離した後にMALDI−ToF法により同定したポリペプチド生成物を、各々の計算値と測定値の分子量とともに表3に列挙した。実施例4 イオン性液体4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレート中での、ビオチニル−OGpおよび異なる長さと配列のポリペプチドを出発物質とする酵素特異的切断部位を有するポリペプチドへのトリプシン触媒によるビオチンラベル基のN末端導入。 個々の酵素特異的アミノ酸残基はそれぞれ太字で強調されている(Bz,ベンゾイル;OGp、4−グアニジノフェニルエステル)。 反応条件は実施例3の条件に相当する。但し、カルボキシル成分(ビオチニル−OGp:4mM)とアミノ成分(各ペプチド:2mM)の濃度を変更した。反応溶液から単離した後にMALDI−ToF法により同定したポリペプチド生成物を、各々の計算値と測定値の分子量とともに表4に列挙した。酵素的ビオチン化反応の選択性を、N末端がアセチル化されたペプチドのアナログを用いることにより調べた。これらの場合に、生成物の形成がないとき、排他的N末端ビオチン化が確認されたとして評価した。 ビオチニルRIVDARLEQVKAAGAY合成産物のMALDI−ToF質量スペクトルの結果を図1に例示として示す。モル質量の測定値1986.31は、1985.05と計算されたペプチド生成物のモノアイソトピックモル質量の(M+H+)シグナルに相当する。実施例5 イオン性液体4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレート中での、ニワトリ卵白由来のリゾチームへのキモトリプシン触媒によるビオチンラベル基の選択的導入。 キモトリプシンは比較的広い基質特異性を有するが、この酵素は芳香族アミノ酸残基のうしろを優先的に切断する。リゾチーム内に存在する個々の芳香族アミノ酸残基はそれぞれ太字(下線)で強調されている(Hepes,N−[2−ヒドロキシエチル]ピペラジン−N’−[2−エタンスルホン酸];OGp,4−グアニジノフェニルエステル)。 ニワトリ卵白由来のリゾチームの一次配列:KVFGRCELAA AMKRHGLDNY RGYSLGNWVC QATNRNTDGSTDYGILQINS RWWCNDGRTP GSRNLCNIPC SALLSSDITASVNCAKKIVS DGNGMNAWVA QAWIRGCRL 4−メチル−N−ブチルピリニジウムテトラフルオロボレート、20%Hepesバッファー(0.05M,pH8.0)、2mMのビオチニル−OGp、0.5mMのリゾチームおよび10μMのキモトリプシンを含む1mlの反応溶液を25℃で撹拌した。120分後、反応溶液をメタノール/水(1:1 v/v)中の1%トリフルオロ酢酸を用いてpH2にした。生成物の単離後に、MALDI−ToF法により測定された合成産物の14589.06の分子量は、単ビオチン化リゾチームの理論的に計算されたモノアイソトピックモル質量の(M+H+)シグナルに相当する。 上述の明細書、特許請求の範囲および図面中で開示された本発明の構成は、種々の実施形態の本発明の実施のために、個々にまたは任意に組み合わせて使用し得る。図1は、本発明および実施例4に記載される方法の適用により製造されたビオチン化ペプチドの選択されたMALDI−ToFの質量スペクトルを示す。 ペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を合成するための、ならびに/あるいはペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を選択的にN末端修飾するための方法であって、(a) 少なくとも1つのアミノ酸を有するアミノ成分を用意する工程、(b) カルボキシル成分がカルボキシル基上に脱離基を有しており、かつ該カルボキシル成分が少なくとも1つのアミノ酸を有する化合物あるいは少なくとも1つのラベルまたはレポーター基を有する化合物である、前記カルボキシル成分を用意する工程、(c) プロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの存在下で、前記アミノ成分と前記カルボキシル成分を1以上のイオン性液体を有する反応媒体中で反応させて、脱離基の脱離を伴って該アミノ成分と該カルボキシル成分との間にペプチド結合を形成させる工程を含む上記方法。 (d) 得られたペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を、それ自体公知の方法により富化するおよび/または単離する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。 前記アミノ成分がポリペプチドまたはタンパク質であることを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。 前記アミノ成分のNα−アミノ官能基が保護されずに存在し、かつこのNα−アミノ官能基が前記カルボキシル成分のカルボキシル官能基と反応することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。 前記カルボキシル成分がポリペプチドまたはタンパク質であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。 前記カルボキシル成分のカルボキシル基が、脱離基を有するカルボン酸エステルまたはカルボキサミドを形成することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。 前記カルボキシル成分の脱離基が、非置換および置換の−O−アルキル基、−O−アリール基、−S−アルキル基、−S−アリール基、−NH−アルキル基、−NH−アリール基、−N,N−ジアルキル基、−N,N−ジアリール基および−N−アリール−N−アルキル基よりなる群から選択されることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。 前記脱離基が4−グアニジノフェニル基、4−アミジノフェニル基、4−グアニジノフェニルチオ基もしくは4−アミジノフェニルチオ基であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。 前記脱離基が、使用されるプロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの特異性に適合することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。 前記脱離基を含む前記カルボキシル成分が下記の構造:Y−(Xaa)n−R[Yは、N末端保護基またはHであり、Xaaは、任意のα−アミノ酸、β−アミノ酸もしくはその誘導体、またはラベルもしくはレポーター基であり、Rは、非置換および置換の−O−アルキル基、−O−アリール基、−S−アルキル基、−S−アリール基、好ましくは、各々がスルホン酸基またはスルホネートにより置換されていてもよい4−グアニジノフェニル基、4−アミジノフェニル基、4−グアニジノフェニルチオ基、4−アミジノフェニルチオ基、よりなる群から選択される脱離基であり、nは1〜1000の整数である。]を有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。 カルボキシル成分が、カルボキシル基を含む蛍光性ラベル;カルボキシル基を含む同位体ラベル;カルボキシル基を含むスピンラベル;ビオチン;カルボキシル基を含む架橋剤から選択されるラベルまたはレポーター基であることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。 反応媒体が1以上のイオン性液体および水、ならびに/あるいは有機溶媒も含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。 反応媒体中のイオン性液体の割合が50〜100容量%であることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。 使用されるイオン性液体のカチオンが4級化アルキルイミダゾリウムイオン、4級化アルキルアンモニウムイオン、4級化アルキルピリジニウムイオンおよび/または4級化アルキルホスホニウムイオンであることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。 イオン性液体のアルキル基が分岐状または未分岐状であり、かつ1〜20炭素原子を有することを特徴とする、請求項14に記載の方法。 使用される前記イオン性液体が、1−エチル−3−メチルイミダゾリウム塩、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム塩および/または4−メチル−N−ブチルピリジニウム塩であることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。 使用される前記イオン性液体のアニオンが、クロライド、ブロマイド、クロロアルミネート、ニトレート、ベンゼンスルホネート、トリフレート(トリフルオロメタンスルホネート)、トシレートおよび/またはテトラフルオロボレートであることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。 【課題】ペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を合成するための、ならびに/あるいはペプチド、擬似ペプチドおよび/またはタンパク質を選択的N末端修飾するための方法の提供。【解決手段】(a)少なくとも1つのアミノ酸を含むアミノ成分を用意し、(b)カルボキシル基上に脱離基を含むカルボキシル成分であって、少なくとも1つのアミノ酸または少なくとも1つのラベルもしくはレポーター基を含むカルボキシル基を用意し、ならびに(c)該アミノ成分とカルボキシル成分を、少なくとも1のイオン性液体を含む反応媒体中で、プロテアーゼ、ペプチダーゼおよび/またはヒドロラーゼの存在下で反応させて、該脱離基の脱離を伴って、アミノ成分とカルボキシル成分との間にペプチド結合を形成させる工程を含む方法。【選択図】図1