タイトル: | 公開特許公報(A)_活性炭層の熱伝導率測定方法 |
出願番号: | 2008191770 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C01B 31/08,G01N 25/18 |
山田 隆之 前野 宗一 JP 2008266139 公開特許公報(A) 20081106 2008191770 20080725 活性炭層の熱伝導率測定方法 クラレケミカル株式会社 390001177 山田 隆之 前野 宗一 C01B 31/08 20060101AFI20081010BHJP G01N 25/18 20060101ALI20081010BHJP JPC01B31/08 ZG01N25/18 E 1 2003092389 20030328 OL 10 2G040 4G146 2G040AB09 2G040BA29 2G040CA16 4G146AA06 4G146AB01 4G146AC08B 4G146AC09B 4G146AC22B 4G146AC26B 4G146AC28B 4G146AC30B 4G146AD31 4G146BA24 4G146BA25 4G146BB05 4G146BC03 4G146BC33B 4G146BD03 4G146BD18 本発明は、活性炭層の熱伝導率の測定方法に関する。 近年、ゴミ焼却炉等から発生する煙道排ガス中に含まれるダイオキシン類を代表とする有害物質が大きな社会問題となっており、ゴミ焼却炉などでは厳しい環境基準が定められている。そして、この環境基準に対処するため、煙道排ガス中の有害物質の除去に活性炭が一般的に用いられている。煙道排ガスは、排ガス中に含まれる酸性物質の凝縮による設備の腐食を防止するため、通常100〜250℃の高温となっている。また、焼却時の不完全燃焼によりダイオキシンが発生するのを抑制するために燃焼用の空気が過剰に供給されており、従って、排ガス中の酸素濃度は通常数%〜10数%に達していることが多い。 このような高温の酸素含有排ガス中で用いられる活性炭は、飛灰などによる局所的発熱、さらには発火の危険を伴っており、実際、海外では数例の発火事故が報告されている。また、活性炭の温度上昇は活性炭の有害物質除去性能を低下させる要因にもなる。 活性炭の温度上昇を抑制し、発火を防止するために、グラファイト、アルミナ粉末などの熱伝導率向上材と活性炭からなる活性炭物質及びガス処理装置が開示されている(特許文献1、特許文献2)。また、活性炭中に含まれるアルカリ金属化合物を水洗又は酸洗により低減させ、発火温度の高い活性炭を製造する方法が開示されている(特許文献3)。そして、特定の細孔直径における細孔容積を限定することにより、発火点が向上した粒状の活性炭が開示されている(特許文献4)。特開2000−272914公報特開2003−1065公報特開2000−34113公報特開2000−225320公報 上述したように、ゴミ焼却炉等の煙道排ガス中の有害物質の処理に用いられる活性炭は、常に発火の危険性をはらんでおり、発火等の重大事故を防止するためには、活性炭の局所的発熱がなく、容易に発火しない安全性の高い、しかも安価な活性炭を使用する必要がある。このような活性炭を開発するには、活性炭の局所的発熱を効率良く放散させ、有害物質の除去性能を向上させることが重要であり、上述したような活性炭はかかる観点から開発されたものである。 しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された活性炭物質は、活性炭の他に、グラファイト、アルミナ粉末などの熱伝導率向上材を必要とするものであるのでコスト的に不利である。また、特許文献3に開示された活性炭は、水洗又は酸洗した後、乾燥工程が必要であり、製造の観点から見て工業的に有利な方法であるとはいえない。 しかも、具体的な実施例によれば、活性炭の発火点はせいぜい450℃程度であり、決して発火温度が高い活性炭とはいえない上に、活性炭層の温度上昇を防止するものではない。特許文献4に開示された活性炭についてもほぼ同様である。したがって、本発明の目的は、局所的発熱を効率良く放散させることができるとともに有害物質の除去性能にも優れた排ガスの処理方法に用いるための難発火性活性炭を得るために、活性炭層の熱伝導率を測定する方法を提供することにある。 本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を重ね、本発明に至った。すなわち、本発明は、活性炭を漏斗から0.75〜1.0ミリリットル/秒の供給速度で100ミリリットルメスシリンダーの100ミリリットル標線までバイブレータを使用して自動充填し、115±5℃の恒温乾燥器中で3時間乾燥した後、デシケーター中で放冷し、質量を測定することによって充填比重を求め、次いで該充填比重を満足するように活性炭を容器に充填して活性炭層を構成し、熱伝導率計を用いて熱線法により熱伝導率を測定する活性炭層の熱伝導率の測定方法である。 本発明により、排ガスの処理方法に用いられる難発火性活性炭を得るための活性炭層の熱伝導率の測定方法を提供することができる。本発明の活性炭層の熱伝導率の測定方法によれば、活性炭吸着層内での発火事故の危険性を著しく低下させることができ、活性炭の温度が安定化することによりダイオキシン等の有害物質の除去効率を安定化させることが可能となるので、高温排ガス処理に好ましく使用される。 上述したように、本発明における難発火性活性炭は、比表面積が100m2/g以上の活性炭であり、かかる活性炭を充填して活性炭層を構成したとき、該活性炭層における熱伝導率が0.14W/m・K以上であることに最大の特徴を有する。比表面積が100m2/g未満であると、有害物質の除去性能が不十分となるので、比表面積は400m2/g以上とするのが好ましく、700m2/g以上とするのがさらに好ましい。比表面積の上限はとくに限られるものではない。 活性炭の原料である炭素質材料としては、賦活することによって活性炭を形成するものであればとくに制限はなく、植物系、鉱物系、天然素材及び合成素材などから広く選択することができる。具体的には、植物系の炭素質材料として、木材、木炭、ヤシ殻などの果実殻、鉱物系の炭素質材料として、石油系及び/又は石炭系ピッチ、コークス、天然素材として、木綿、麻などの天然繊維、レーヨン、ビスコースレーヨンなどの再生繊維、アセテート、トリアセテートなどの半合成繊維、合成素材として、ナイロンなどのポリアミド系、ビニロンなどのポリビニルアルコール系、アクリルなどのポリアクリロニトリル系、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系、ポリウレタン、フェノール系樹脂、塩化ビニル系樹脂などを例示することができる。 炭素質材料の形状は限定されるものではなく、粒状、微粉状、繊維状など種々の形状のものを使用することができる。これらの炭素質材料は、賦活することによって活性炭となる。通常活性炭の平均粒径としては0.1μm〜10mm程度、好ましくは1〜4mm程度で実施するのが実用的であり、好ましい。 炭素質材料を微粉砕し、バインダを用いて造粒してもよい。例えば、炭素質材料を適度な粒度に微粉砕し、コールタール、コールタールピッチなどの石炭又は石油系、澱粉、カルボキシメチルセルロース、糖類などのセルロース系有機物、フェノール樹脂などのバインダを添加して混練、成型し、乾留、賦活を行うことによって造粒した造粒炭を使用することができる。 限定されるものではないが、例えば成型工程においては、Z型二軸方式のニーダーなどで微粉砕した原料とバインダーを十分混練し、180kg/cm2以上の圧力で成型することにより成型物を斑なく得ることができる。また、成型装置としては、ロールプレス式、ディスク型ペレッター式、リング型ペレッター式、押し出し式などの成型装置が使用可能である。成型物の形状はとくに限定されるものではなく、円柱状、円筒状、ペレット状、球状など目的に応じて適宜決めればよい。これらの大きさはとくに限定されない。 乾留は、還元ガス雰囲気下で550〜750℃まで加熱すればよい。200〜400℃まで酸化ガス雰囲気下5〜30℃/分で昇温し、さらに550℃〜750℃まで還元ガス雰囲気下5〜30℃/分で昇温するのが好ましい。 賦活は、水蒸気、二酸化炭素、空気、プロパン燃焼排ガス、これらの混合ガス等の酸化性ガス雰囲気下400〜1100℃で実施するガス賦活や塩化亜鉛、リン酸、塩化カルシウム、硫化カリウムなどの薬剤の存在下400〜800℃程度で実施する薬品賦活が採用される。 活性炭層における熱伝導率が0.14W/m・K未満であると熱の放散が不十分となるため、活性炭層の熱伝導率は0.14W/m・K以上とする必要がある。熱の放散という点から、活性炭層の熱伝導率は0.15W/m・K以上とするのが好ましく、0.18W/m・K以上とするのがさらに好ましい。 本発明でいう熱伝導率は、活性炭自体の熱伝導率を指すのではなく、活性炭を所定の容器に充填して構成した活性炭層における熱伝導率を意味する。一般的に活性炭の平均粒径は0.1μm〜10mm程度まであり、活性炭自体の熱伝導率は0.1〜0.4W/m・Kと言われている。しかしながら、活性炭を排ガス処理等の用途に用いる場合、活性炭自体の熱伝導率よりもむしろ活性炭層全体としての熱伝導率が重要であることに鑑みて本発明はなされたものである。 活性炭の充填状況は熱伝導率に大きく影響するため、本発明において、活性炭の熱伝導率は次のようにして測定される。先ず、JIS K 1474に準拠して活性炭の充填比重を求めるが、本発明において、活性炭の充填比重は自動充填法により充填比重を求める。具体的には、比表面積が100m2/g以上の活性炭を漏斗から0.75〜1.0ミリリットル/秒の供給速度で100ミリリットルメスシリンダーの100ミリリットル標線までバイブレータを使用して自動充填し、115±5℃の恒温乾燥器中で3時間乾燥した後、デシケーター中で放冷し、質量を測定することによって充填比重を求める。 次いで、例えば図1及び図2に示すような試料充填容器(容器内部サイズ:120×120×120mm)を作製し、活性炭を前記充填密度になるように該試料充填容器に充填し、京都電子工業製のTC−51形高温用熱伝導率計を用いて熱線法により熱伝導率の測定を室温、大気中で行う。試料充填容器の形状及び大きさは、あまり小さいと、熱線からの長さ不足により熱伝導率の値が不正確となることがあるので、充填部分における熱線方向の長さが114mm、直径80mmの円柱状以上の大きさのものが好ましい。かかる観点から上記したような試料充填容器は取扱いやすく、好ましい。 図1は試料充填容器を正面から見た正面立面図であり、図2は平面図である。図において、1は試料充填容器、2は試料、3は試料中央部の熱電対、4はニクロム線である。ここでニクロム線及び熱電対は活性炭に通電しないようにセラミック系コーティング剤で被覆しておく。試料充填容器の材質はとくに限定されるものではないが、耐熱性の材質を用いるのが好ましい。本発明の活性炭層の熱伝導率の測定方法は、JIS K 1474に準拠して測定した充填密度になるように活性炭を容器に充填して活性炭層を構成し、熱伝導率を測定することに特徴を有する。 本発明の難発火性活性炭は、X線回折強度を測定したとき、X線回折強度曲線において、(002)面の回折ピークの両裾に接線を引き、その接線から上の部分の強度の最大値をIp(002)とし、(002)面の回折強度から空気の散乱強度を差し引いた残りの強度をIo(002)としたとき、Ip(002)/Io(002)が0.59以上0.95未満であるのが好ましい。以下、Ip(002)/Io(002)を黒鉛的結晶構造パラメータと略称するが、黒鉛的結晶構造パラメータの求め方を活性炭原料を石炭とした場合について図3によりさらに詳細に説明する。 石炭を微粉砕後、直径2mm、長さ10mmの円柱状に成型し、例えば300℃で酸化、650℃で乾留、900℃で水蒸気を20容積%含むガスで賦活し、比表面積100m2/g以上の活性炭とする。図3は比表面積が1100m2/gの活性炭を1200℃で1時間焼成した活性炭のX線回折強度曲線を示す図である。図3において実線で表した曲線5は活性炭の(002)面における実際のX線回折強度曲線(CuKα)を示したものであり、縦軸はX線回折強度、横軸は回折角(2θ)をそれぞれ表す。 上記した実測曲線5の両裾に接線6を引き、実測曲線5と接線6との差をベースライン上に書き直すことによって曲線7を得る。曲線7における最大のX線回折強度値であるピーク強度Ip(002)の値を図3のグラフから求め、該Ip(002)を示す回折角2θ、さらには該回折角2θにおける実測曲線5の強度から空気の散乱強度を差し引いて、実測曲線5における最大X線回折強度であるピーク強度の値Io(002)を求め、それらのIp(002)及びIo(002)から、黒鉛的結晶構造パラメータ該Ip(002)/Io(002)を求めることができる。8は実測曲線5における最大X線回折強度であるピーク強度の値Io(002)、9は曲線7における最大のX線回折強度値であるピーク強度Ip(002)である。 空気の散乱強度としては、試料のない状態で同一条件で走査して得られたときの値を採用する。上記のIp(002)は黒鉛的結晶構造に起因するX線回折ピークであり、Io(002)からIp(002)を差し引いた{Io(002)−Ip(002)}は非晶構造に起因するX線散乱強度に相当する。 一般に、X線回折ピーク強度は、結晶子の結晶サイズ及び結晶化度が大きいほど大きくなり、結晶の発達の程度を示す。とくに、結晶サイズはX線回折ピークのシャープさにより定量される。結晶化度は一般に(全結晶散乱強度/全散乱強度)により表され、X線照射体積中の結晶の体積分率を意味する。しかし、炭素材料の場合、結晶部分と非晶部分とは構造的に明確には分かれておらず、炭素材料を一つの集合組織としてとらえ、集合組織の黒鉛的結晶性領域からの干渉性散乱がIpであり、非晶性領域からの比干渉性散乱が(Io−Ip)である。 黒鉛的結晶構造パラメータの値は、あまり小さいと結晶化度が低く、熱伝導率も低くなるため、活性炭層の温度上昇の防止が困難となることがあり、また、黒鉛的結晶構造パラメータの値があまり大きいと、結晶化度が高くなり、非晶部分が減少し、黒鉛のような構造をとるため、熱伝導率が高くなる傾向にあるが、排ガス中のダイオキシン等の有害物質除去に用いる活性炭としては適さなくなることがあるので、0.59以上0.95未満とするのが好ましい。黒鉛的結晶構造パラメータの値は、好ましくは0.6以上であり、さらに好ましくは0.8以上である。以上は活性炭原料が石炭の場合であるが、石炭以外の活性炭原料についても同様にして求めることができる。 活性炭の発火点は高い方が発火の危険性を著しく低下させることが可能となるため好ましく、本発明の難発火性活性炭の発火点は530℃以上であるのが好ましい。 本発明の活性炭は、比表面積150m2/g以上の活性炭を950℃以上、好ましくは1000℃以上、さらに好ましくは1200℃以上の温度で焼成することにより製造することができる。しかしながら、あまり高い焼成温度を採用すると、結晶性構造パラメータの値は大きくなり、熱伝導率は向上するものの、比表面積が低下する傾向にあるので、2000℃未満で実施するのがよい。 また、比表面積は大きい方が望ましく、700m2/g以上、さらには1100m2/g以上のものが好ましい。加熱方法は酸素のない条件下で例えばマッフル炉、カーボン炉、管状炉などの加熱装置が使用される。以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、物性の測定は以下の方法によった。 比表面積:窒素の吸着量から求めたBET比表面積である。 X線回折強度曲線:株式会社マック・サイエンス製の全自動多結晶X線回折装置MXP3VAを用いて測定した。測定条件は40kV、20mA、CuKα線(λ=1.54056Å)、サンプリング幅=0.020deg、走査速度=1°/分、発散スリット=1.00deg、受光スリット=0.15mmとした。 充填密度:JISK1474活性炭試験方法5.7充填密度に準拠して測定した。 発火点:JISK1474活性炭試験方法5.6発火点に準拠して測定した。 ベンゼン吸着性能:JISK1474活性炭試験方法5.1.2溶剤蒸気の吸着性能に準拠して測定した。 発火性の評価:図4に示す装置を使用し、活性炭層における活性炭の層高を100mmとし、ガス入口部(位置1)、活性炭層の中央部(位置2)及びガス出口部(位置3)の3ケ所に温度計測用の熱電対を設置し、活性炭層へ高温ガスを通気することにより、発火を確認することによって行った。図4において、10は高温ガスの入口、11は活性炭試料、12〜14は各々ガス入口部(位置1)、活性炭層の中央部(位置2)及びガス出口部(位置3)における熱電対を示す。また、15は排気ガスの出口である。 活性炭層へ流入するガスは、プロパン燃焼ガスと酸素の混合ガスで、実際の使用条件に合わせて酸素濃度が10体積%になるように調整した高温ガスを線速度LV=0.2m/secで活性炭層に通気し、各温度測定位置が試験開始から400℃に到達するまでの時間及び活性炭が発火に至るまでの時間を測定した。発火の目安は活性炭層の中央部2の温度が発火によって急激に上昇する変曲点を発火時間とした。 実施例1 石炭原料100重量部に、コールタール35重量部を添加、混練したものを、リング型ペレッターで直径2mm、長さ10mmの円柱状に成型し、650℃で乾留した後に、水蒸気20容量%及び二酸化炭素20容量%を含む混合ガス中、900℃で賦活した。 このようにして得た比表面積1100m2/g、発火点480℃の石炭系粒状活性炭を石英るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下のマッフル炉で1200℃で1時間焼成した。得られた活性炭(平均粒径2mm)をJISK1474に準拠して充填比重を測定したところ0.541g/mlであった。 次いで、容器内部サイズ:120×120×120mmの試料充填容器に上記充填比重と同じになるように充填し、京都電子工業製のTC−51形高温用熱伝導率計を用いて熱線法により熱伝導率の測定を室温、大気中で行った。得られた活性炭の比表面積、熱伝導率、結晶構造パラメータ、発火点、ベンゼン吸着性能を測定した結果を表1に示す。また、活性炭の発火性試験結果を表2に示す。 実施例2 1500℃で1時間焼成する以外は実施例1と同様にして活性炭を得た。同様に、活性炭の比表面積、熱伝導率、結晶構造パラメータ、発火点、ベンゼン吸着性能を測定した。結果を表1に示す。また、活性炭の発火性試験結果を表2に示す。 実施例3 実施例1と同様にして賦活して得た比表面積1500m2/g、発火点480℃の石炭系粒状活性炭を石英るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下のマッフル炉で1200℃で1時間焼成した。得られた活性炭(直径2mm、長さ10mmの円柱状)の比表面積、熱伝導率、結晶構造パラメータ、発火点、ベンゼン吸着性能を同様にして測定した。結果を表1に示す。また、活性炭の発火性試験結果を表2に示す。 実施例4 実施例1と同様にして賦活して得た比表面積750m2/g、発火点500℃の石炭系粒状活性炭(直径2mm、長さ10mmの円柱状)を焼成せずに使用し、比表面積、熱伝導率、結晶構造パラメータ、ベンゼン吸着性能を同様にして測定した。結果を表1に示す。また、活性炭の発火性試験結果を表2に示す。 比較例1 実施例1と同様にして賦活して得た比表面積1100m2/g、発火点480℃の石炭系粒状活性炭を石英るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下のマッフル炉で900℃で1時間焼成した。得られた活性炭(直径2mm、長さ10mmの円柱状)の比表面積、熱伝導率、結晶構造パラメータ、発火点、ベンゼン吸着性能を同様にして測定した。結果を表1に示す。また、活性炭の発火性試験結果を表2に示す。 比較例2 実施例1と同様にして賦活して得た比表面積1100m2/g、発火点480℃の石炭系粒状活性炭を石英るつぼに入れ、アルゴン雰囲気下のマッフル炉で2000℃で1時間焼成した。得られた活性炭(直径2mm、長さ10mmの円柱状)の比表面積、熱伝導率、結晶構造パラメータ、発火点、ベンゼン吸着性能を同様にして測定した。結果を表1に示す。また、活性炭の発火性試験結果を表2に示す。 比較例3 実施例1で使用した未焼成の活性炭を用いて、熱伝導率、結晶構造パラメータ、発火点、ベンゼン吸着性能を同様にして測定した。結果を表1に示す。また、活性炭の発火性試験結果を表2に示す。 発火性試験では各温度測定位置での400℃到達時間はそれぞれ時間の長い方が、活性炭が高温ガスから受けた熱を保持しないで系外に速やかに放散していることを表しており、そのような活性炭ほど発火安全性は高いと言える。またそれぞれの活性炭は発火点付近で発火しており、180分経過時で発火しなかったものは、その時点で活性炭の温度が発火点に到達しなかったことを示している。この発火に至るまでの時間を表す発火時間は活性炭層の熱の放散と発火点の温度を複合的に表したものであり、この発火時間が長いほど、実際に発火しにくい難発火性であると言える。 また、活性炭の吸着性能指標の1つとして、25℃におけるベンゼン蒸気の吸着量評価が用いられる。煙道排ガス中の有害物質として代表的であるダイオキシン類と類似した構造を持つベンゼンの吸着性能は、実際に活性炭を排ガス処理に用いるためには、少なくとも1%以上、好ましくは3%以上は必要である。 表1及び表2の結果から熱伝導率が0.14W/m・K以上の実施例1〜4は、400℃到達時間において位置2で70分以上であり、熱伝導率の効果により発火安全性は高いものであった。とくに活性炭をそれぞれ1200℃、1500℃で焼成した実施例1、2及び3は位置3で120分以上であり、非常に安全性は高いと言える。一方、比較例1及び3は熱伝導率が0.11W/m・Kであり、発火性試験での400℃到達時間はそれぞれ63、62分であり、難発火性の活性炭であるとはいえない。 なお、活性炭を2000℃で焼成した比較例2については、熱伝導率が高く発火性試験も非常に良好な結果が得られているが、Ip(002)/Io(002)は0.98と一般的な黒鉛の領域であり、比表面積が非常に小さくなっているため、ベンゼン吸着性能0.4%と極端に小さくなっているため、有害物質除去用の活性炭としては使用に適さない。 また、発火時間について見ると、活性炭を950℃以上2000℃未満で焼成した実施例1、2及び実施例3は、発火点がいずれも570℃以上と非常に高くなっており、表2の発火性試験においても180分で発火しないという結果となっている。 以上の実施例、比較例から明らかなように、比表面積100m2/g以上で熱伝導率が0.14W/m・K以上の活性炭を用いることによって発火の危険性が低くなり、好ましくは、比表面積150m2/g以上の活性炭を950℃以上2000℃未満で焼成した活性炭は発火点が高く、極めて安全性の高い活性炭を得ることが可能となる。 本発明の活性炭層の熱伝導率の測定方法によれば、活性炭吸着層内での発火事故の危険性を著しく低下させることができ、活性炭の温度が安定化することによりダイオキシン等の有害物質の除去効率を安定化させることが可能となるので、高温排ガス処理を安全に実施することがで、産業上有用である。 試料充填容器を正面から見た正面立面図である。試料充填容器平面図である。X線回折強度曲線の一例である。発火性の評価を行うための装置の一例である。符号の説明1 試料充填容器2 試料(活性炭)3 試料中央部の熱電対4 ニクロム線5 活性炭の(002)面におけるX線回折強度曲線6 曲線5の両裾に引いた接線7 曲線5と接線6との差をベースライン上に書き直した曲線8 曲線5における最大のX線回折強度値9 曲線7における最大のX線回折強度値10 高温ガスの入口11 試料(活性炭)12 ガス入口部(位置1)の熱電対13 活性炭層の中央部(位置2)14 ガス出口部(位置3)の熱電対15 排気ガスの出口活性炭を漏斗から0.75〜1.0ミリリットル/秒の供給速度で100ミリリットルメスシリンダーの100ミリリットル標線までバイブレータを使用して自動充填し、115±5℃の恒温乾燥器中で3時間乾燥した後、デシケーター中で放冷し、質量を測定することによって充填比重を求め、次いで該充填比重を満足するように活性炭を容器に充填して活性炭層を構成し、熱伝導率計を用いて熱線法により熱伝導率を測定する活性炭層の熱伝導率の測定方法。 【課題】 局所的発熱を効率良く放散させることができるとともに有害物質の除去性能にも優れた排ガスの処理方法に用いるための難発火性活性炭を得るために、活性炭層の熱伝導率を測定する方法を提供すること【解決手段】 活性炭を漏斗から0.75〜1.0ミリリットル/秒の供給速度で100ミリリットルメスシリンダーの100ミリリットル標線までバイブレータを使用して自動充填し、115±5℃の恒温乾燥器中で3時間乾燥した後、デシケーター中で放冷し、質量を測定することによって充填比重を求め、次いで該充填比重を満足するように活性炭を容器に充填して活性炭層を構成し、熱伝導率計を用いて熱線法により熱伝導率を測定する活性炭層の熱伝導率の測定方法によって上記課題を達成することができる。【選択図】 なし