タイトル: | 公開特許公報(A)_多目的センサー用チップおよびそれを用いたセンサー |
出願番号: | 2008115693 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | G01N 21/77,G01N 37/00,G01N 31/20,G01N 31/22,G01N 21/78 |
白井 正充 堀田 巌 駒井 正嗣 森山 聡 JP 2009264964 公開特許公報(A) 20091112 2008115693 20080425 多目的センサー用チップおよびそれを用いたセンサー 協和発酵ケミカル株式会社 000162607 公立大学法人大阪府立大学 505127721 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 矢野 正樹 100106231 佐藤 剛 100156122 白井 正充 堀田 巌 駒井 正嗣 森山 聡 G01N 21/77 20060101AFI20091016BHJP G01N 37/00 20060101ALI20091016BHJP G01N 31/20 20060101ALI20091016BHJP G01N 31/22 20060101ALI20091016BHJP G01N 21/78 20060101ALI20091016BHJP JPG01N21/77 BG01N37/00 101G01N31/20G01N31/22 121ZG01N21/78 C 15 1 OL 35 2G042 2G054 2G042AA01 2G042BD13 2G042BE10 2G042FB05 2G054AA02 2G054AB07 2G054CA01 2G054CA04 2G054CA06 2G054CA10 2G054CE02 2G054EA03 2G054EA04 2G054GA02 2G054GB01 2G054GB02 本発明は、化学分析、環境分析、水質分析、あるいは臭気分析などに有用なセンサー用チップおよびセンサーに関する。 微量分析や微量測定が可能なセンサーの需要が伸びている。特に、化学分析、環境分析、水質分析、或いは臭気分析などのマイクロ化学分析用チップは、試料の量が少ない、反応時間が短い、廃棄物が少ないなどのメリットがある。この様な分析用チップにおいては、従来、ガラス基板やプラスチック基板に成型法、転写法、エッチング法等で微細流路を形成し、その流路中で被検物質等の化学反応を生じさせ、その反応によって生じる電気的、光学的変化を検知して分析や測定を行っている(特許文献1、2参照)。 しかし、複数の被検物質を1度に分析、測定するオールインワンチップの要望に対しては、複雑な分岐状の流路を設計・加工して各被検物質のミキシングのタイミングをずらす等で対応しなければならず、実用上の課題を含んでいた。特開2005−337120号公報特開2006−084210号公報Langmuir 2003、19巻、446−452頁 本発明の目的は、化学分析、環境分析、水質分析、あるいは臭気分析などに有用なセンサー用チップおよびセンサー等を提供することにある。 本発明は以下の(1)〜(15)に関する。(1)基板および基板上に形成された重合体層を含むセンサー用チップであって、 前記重合体層は、一般式(I):(式中、R1は置換または非置換のナフチル基を表し、R2は置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基を表す。)で表される基、一般式(I′):で表されるアミノ基および一般式(I"):(式中、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される基よりなる群から選択される1または複数の基を有する重合体を含み、かつ、 前記重合体層の表面に、一般式(I)で表される基が存在し、かつ、一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基が存在しない第1の領域ならびに一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基のいずれか一方または双方が存在する第2の領域が形成されていることを特徴とするセンサー用チップ。(2)前記重合体は、一般式(II):(式中、R1およびR2は、それぞれ前記と同義であり、R3は水素原子または低級アルキル基を表す。)で表される構造単位、一般式(II′):(式中、R3は、前記と同義である。)で表される構造単位および一般式(II"):(式中、R3、LおよびXは、それぞれ前記と同義である。)で表される構造単位よりなる群から選択される1または複数の構造単位を有するビニル系重合体であることを特徴とする(1)に記載のセンサー用チップ。(3)前記重合体の重量平均分子量が1,000〜300,000である(1)または(2)に記載のセンサー用チップ。(4)R3が水素原子であることを特徴とする(2)に記載のセンサー用チップ。(5)前記有機連結基Lの総原子数が2〜1,000である(1)〜(4)いずれかに記載のセンサー用チップ。(6)一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基が、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析で分析対象となる低分子有機化合物である被検物質と相互作用することを特徴とする(1)〜(5)いずれかに記載のセンサー用チップ。(7)前記被検物質が、アミノ基含有化合物、有機化合物、環境汚染物質、水質汚染物質、臭気物質または重金属イオンである(6)に記載のセンサー用チップ。(8)さらに、前記重合体層の表面に、流路パターンが形成されている(1)〜(7)いずれかに記載のセンサー用チップ。(11)基板および基板上に形成された重合体層を含むセンサー用チップの製造方法であって、 前記基板上に、一般式(I):(式中、R1は置換または非置換のナフチル基を表し、R2は置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基を表す。)で表される基を有する重合体を塗布して重合体層を形成する工程; 前記重合体層の表面の所望の領域に光を照射することによって、一般式(I)で表される基を一般式(I′):で表されるアミノ基に変換する工程;および 一般式(I′)で表されるアミノ基を、一般式(III):(式中、Yはアミノ基と相互作用し得る基を表し、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される化合物と相互作用させて、一般式(I"):(式中、LおよびXは、それぞれ前記と同義である。)で表される基に変換する工程を含み、 ここに、前記重合体層に、一般式(I)で表される基が存在し、かつ、一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基が存在しない第1の領域ならびに一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基のいずれか一方または双方が存在する第2の領域を形成することを特徴とするセンサー用チップの製造方法。(10)前記有機連結基Lの総原子数が2〜1,000である(9)に記載のセンサー用チップの製造方法。(11)一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基が、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析で分析対象となる低分子有機化合物である被検物質と相互作用することを特徴とする(9)に記載のセンサー用チップの製造方法。(12)前記被検物質が、アミノ基含有化合物、有機化合物、環境汚染物質、水質汚染物質、臭気物質または重金属イオンである(11)に記載のセンサー用チップの製造方法。(13)さらに、前記重合体層の表面に、流路パターンを形成する工程を含む(9)に記載のセンサー用チップの製造方法。(14)少なくとも、(1)〜(8)いずれかに記載のセンサー用チップ;および前記センサー用チップの重合体層に形成された第2の領域に存在する一般式(I′):で表されるアミノ基または一般式(I"):(式中、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される基と、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析で分析対象となる低分子有機化合物である被検物質との相互作用によって生じる光学的変化を検出または測定する手段を含むセンサー。(23)一般式(I):(式中、R1は置換または非置換のナフチル基を表し、R2は置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基を表す。)で表される基を有する重合体を含む重合体層の表面の所望の領域に光を照射することによって、一般式(I′):で表されるアミノ基が存在する領域を形成し、前記アミノ基が存在する領域の全部または一部の領域に存在するアミノ基を、一般式(III):(式中、Yはアミノ基と相互作用し得る基を表し、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される化合物と相互作用させて、一般式(I"):(式中、LおよびXは、それぞれ前記と同義である。)で表される基が存在する領域を形成することを特徴とするパターン形成方法。 一般式(I):(式中、R1は置換または非置換のナフチル基を表し、R2は置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基を表す。)で表される基、一般式(II):(式中、R1およびR2は、それぞれ前記と同義であり、R3は水素原子または低級アルキル基を表す。)で表される構造単位、一般式(II′):(式中、R3は、前記と同義である。)で表される構造単位および一般式(II"):(式中、R3、LおよびXは、それぞれ前記と同義である。)で表される構造単位中の各基の定義において、アルキル基は、例えば、直鎖または分岐状の炭素数1〜8のアルキル基を表す。 具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等が挙げられるが、中でも、炭素数1〜6のアルキル基が好ましく、さらには炭素数1〜3の低級アルキル基がより好ましい。 低級アルキルは、例えば、炭素数1〜3のアルキル基を示し、メチル基がより好ましい。 アリール基としては、例えば、単環であるフェニル基、あるいは、多環化合物として、ビフェニリル基、トリフェニリル基、ナフチル基、アントリル基、フェナンチル基、ナフタシル基、ピリル基、クリシル基、トリフェニリル基、ペンタシル基、ペリリル基が挙げられるが、その中でもナフチル基が好ましい。 ヘテロアリール基としては、例えば、窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む5員または6員の単環性芳香族複素環、3〜8員の環が縮合した二環または三環性で窒素原子、酸素原子および硫黄原子から選ばれる少なくとも1個の原子を含む縮環性芳香族複素環等が挙げられ、より具体的にはピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、フタラジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、ナフチリジン環、シンノリン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、チオフェン環、フラン環、チアゾール環、オキサゾール環、インドール環、イソインドール環、インダゾール環、ゼンゾイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、プリン環、カルバゾール環、チエニル基、フリル基、ピロリル基、ピリジル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基等が挙げられるが、その中でもチエニル基、フリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾフリル基が好ましい。 アルキル基の置換基としては、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基およびアリール基等が挙げられる。アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基およびアルキルチオ基のアルキル部分は前記のアルキル基と同義である。アリール基としては、前記のアリール基と同義である。 アリール基、ヘテロアリール基およびナフチル基の置換基としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルキルチオ基、アリール基等が挙げられる。アルキル基ならびにアルコキシ基、アルキルカルボニル基、アルキルカルボニルオキシ基、アルコキシカルボニル基およびアルキルチオ基のアルキル部分は、前記のアルキル基と同義である。 アルケニル基としては、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルケニルが挙げられ、具体的には、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、2−メチルアリル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、1,3−ブタジエニル基、1,3−ペンタジエニル基、1,3,5−ヘキサトリエニル基等が挙げられる。 アルキニル基としては、炭素数2〜20、好ましくは炭素数2〜10の直鎖または分岐のアルキニル基が挙げられ、具体的には、エチニル基、プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、1,3−ブタジイニル基、1,3,5−ヘキサトリイニル基等が挙げられる。 一般式(I)で表される基および一般式(II)で表される構造単位において、R1はナフチル基であり、R2はアルキル基であるものが好ましい。 一般式(I)で表される基の具体例としては、例えば、メチルフェニルケトオキシムカルボニル基、メチルナフチルケトオキシムカルボニル基、メチルアントリルケトオキシムカルボニル基、メチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、メチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、エチルフェニルケトオキシムカルボニル基、エチルナフチルケトオキシムカルボニル基、エチルアントリルケトオキシムカルボニル基、エチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、エチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、n−プロピルフェニルケトオキシムカルボニル基、n−プロピルナフチルケトオキシムカルボニル基、n−プロピルアントリルケトオキシムカルボニル基、n−プロピルビフェニルケトオキシムカルボニル基、n−プロピルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、イソプロピルフェニルケトオキシムカルボニル基、イソプロピルナフチルケトオキシムカルボニル基、イソプロピルアントリルケトオキシムカルボニル基、イソプロピルビフェニルケトオキシムカルボニル基、イソプロピルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、n−ブチルフェニルケトオキシムカルボニル基、n−ブチルナフチルケトオキシムカルボニル基、n−ブチルアントリルケトオキシムカルボニル基、n−ブチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、n−ブチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、イソブチルフェニルケトオキシムカルボニル基、イソブチルナフチルケトオキシムカルボニル基、イソブチルアントリルケトオキシムカルボニル基、イソブチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、イソブチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、sec−ブチルフェニルケトオキシムカルボニル基、sec−ブチルナフチルケトオキシムカルボニル基、sec−ブチルアントリルケトオキシムカルボニル基、sec−ブチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、sec−ブチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、tert−ブチルフェニルケトオキシムカルボニル基、tert−ブチルナフチルケトオキシムカルボニル基、tert−ブチルアントリルケトオキシムカルボニル基、tert−ブチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、tert−ブチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、ペンチルフェニルケトオキシムカルボニル基、ペンチルナフチルケトオキシムカルボニル基、ペンチルアントリルケトオキシムカルボニル基、ペンチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、ペンチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、ヘキシルフェニルケトオキシムカルボニル基、ヘキシルナフチルケトオキシムカルボニル基、ヘキシルアントリルケトオキシムカルボニル基、ヘキシルビフェニルケトオキシムカルボニル基、ヘキシルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、ヘプチルフェニルケトオキシムカルボニル基、ヘプチルナフチルケトオキシムカルボニル基、ヘプチルアントリルケトオキシムカルボニル基、ヘプチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、ヘプチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、オクチルフェニルケトオキシムカルボニル基、オクチルナフチルケトオキシムカルボニル基、オクチルアントリルケトオキシムカルボニル基、オクチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、オクチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、ジフェニルケトオキシムカルボニル基、フェニルナフチルケトオキシムカルボニル基、フェニルアントリルケトオキシムカルボニル基、フェニルビフェニルケトオキシムカルボニル基、フェニルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、ジナフチルケトオキシムカルボニル基、ナフチルアントリルケトオキシムカルボニル基、ナフチルビフェニルケトオキシムカルボニル基、ナフチルフェナンチルケトオキシムカルボニル基、ジアントリルケトオキシムカルボニル基、アントリルビフェニルケトオキシムカルボニル基、アントリルフェナンチルケトオキシムカルボニル基などが挙げられるが、中でも光分解反応の感度の点から、ベンゼン環を2環以上含む芳香族基(例えばナフタレン環を有する基など)を有するオキシムカルボニル基が好ましい。 結合位置については特に限定されないが、ナフチル基においては、2−ナフチル基を有する2−メチルナフチルケトオキシムカルボニル基がより好ましい。 センサー用チップに使用する場合、一般式(I)で表される基を有する重合体[以下、重合体(I)と表現することもある]の中でも、一般式(II)で表される構造単位を有するビニル系共重合体[以下、重合体(II)と表現することもある]が好ましい。 重合体(II)においては、R3が水素原子またはメチル基であるのが好ましく、さらには水素原子であることがより好ましい。 一般式(I)で表される基を有する重合体の重量平均分子量が1,000〜300,000であるのが好ましい。 重合体(II)の重量平均分子量が1,000〜300,000であるのが好ましく、2,000〜100,000であるのがより好ましい。 重量平均分子量が1,000以上であれば、コーティング材としての力学物性により優れ、一方、300,000以下の場合は粘度が低下し、均一な塗布を行いやすい。 重合体(I)は、例えば、酸クロライドとケトオキシムを反応させる公知の方法(非特許文献1参照)に従って、取得することができる。 また、重合体(II)は、例えば、一般式(II)で表される構造単位を有する重合性化合物、および必要に応じて他の重合性化合物を公知の方法(非特許文献1参照)に従って、重合させることにより、製造することができる。 重合体(II)の原料として使用できる他の重合性化合物としては、一般式(I)で表される基を有しないモノマーであって、重合性官能基を1つ以上有するものであれば特に限定されるものではない。例えば、(メタ)アクリル酸エステル類としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレン(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1−メチルエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート(DMAEA(興人(株)製))、(メタ)アクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド〔例えば、ダイアセトンアクリルアミド(DAAM(協和発酵ケミカル(株)製))、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM(興人(株)製))、アクリロイルモルホリン(ACMO(興人(株)製))、N,N−ジメチルアクリルアミド(DMAA(興人(株)製))、N,N−ジエチルアクリルアミド(DEAA(興人(株)製))、N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド(DMAPAA(興人(株)製))〕、N−ビニルピロリドン(例えば、日本触媒(株)製)、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、4―ビニル−1−シクロヘキセン、2−ビニル−1,3−ジオキソラン、4−ビニル−1,3−ジオキソランー2−オン、ビニレンカーボナート、ヒドロキシエチル化β−ナフトール(メタ)アクリレート、ビニルアセテート等のビニルエステル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル、スチレン、アルキルスチレン、ハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニルおよび塩化ビニリデン等があげられる。ここで、(メタ)アクリル酸はアクリルまたはメタクリル酸を表し、(メタ)アクリレートは、アクリレートまたはメタクリレートを表す。他の誘導体についても同様に表現する。 また、重合体(II)の原料として使用できる他の重合性化合物として、分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能性モノマーを使用してもよく、分子内に2個以上の重合性官能基を有する多官能モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート(NKエステル 1G(新中村化学(株)製))、プロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(NKエステル 2G(新中村化学(株)製))、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(NKエステル 3G(新中村化学(株)製))、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート(NKエステル BG(新中村化学(株)製)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NKエステル NPGまたはA−NPG(新中村化学(株)製))、ジプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコ−ルジ(メタ)アクリレート(NKエステル APG−200(新中村化学(株)製)またはTPGDA(ダイセルユーシービー(株)製))、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(NKエステル HDまたはA−HD(新中村化学(株)製))、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2′−ビス[4−{(メタ)アクリロキシエトキシ}フェニル]プロパン(NKエステル BPE−100(新中村化学(株)製))、4,4′−ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、ビスフェノールA型EO(エチレンオキサイド)変性ジ(メタ)アクリレート(NKエステル BPE−200またはA−BPE−4(新中村化学(株)製))、9,9−ビス(3−フェニル−4−(メタ)アクリロイルポリオキシエトキシ)フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート(NKエステル A−DCP(新中村化学(株)製))、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリトリトールトリ(メタ)アクリレートおよびテトラアクリレート、ペンタエリスリトールジビニルエーテル、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルサクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート、トリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート、ジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(NKエステル TMPTまたはA−TMPT(新中村化学(株)製またはTMPTA(ダイセルユーシービー(株)製))等があげられる。これらの中でも特に、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジメタクリロキシプロパン、ジエチレングリコールジメタクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート(NKエステル、APG−200(新中村化学(株)製))およびトリメチロールプロパントリメタクリレートが好適にあげられる。 また、重合体(II)の原料として使用できる他の重合性化合物として、反応性が異なる重合性官能基を有する多官能モノマーを使用してもよく、反応性が異なる重合性官能基を有する多官能モノマーとしては、例えば、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート、オキセタンを有する(メタ)アクリレート、アリル基を有する(メタ)アクリレート、ビニルエーテルを成分とする(メタ)アクリレートが挙げられる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキセン(メタ)アクリレート(CYCLOMER(ダイセル化学工業(株)製))、アリル(メタ)アクリレートが挙げられる。 また、重合体(II)の原料として使用できる他の重合性化合物として、分子量1,000〜5,000の不飽和化合物(オリゴマー)としては、例えば、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリメチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、エポキシ変性(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリカーボネート変性ウレタンアクリレート、エステル(メタ)アクリレート、ビスフェノール変性エポキシ(メタ)アクリレートおよび不飽和ポリエステル樹脂等があげられる。 オリゴマーの具体例としては、例えば、ウレタンアクリレート(アートレジン UN−9200A、UN−7600、UN−7700、UN−333、UN−1255、UN−3320HA、UN−3320HB、UN−3320HC、UN−904、UN−905、UN−5500、または、UN−5507(根上工業(株)製))、ウレタンアクリレート(NKオリゴ U−108A、U−200AX、U−412A、UA−4200、UA−4400、UA−340P、UA−2235PE、UA−160TM、UA−6100、UA−122P、UA−5201、または、UA−512(新中村化学(株)製))、および、ビスフェノールAタイプ変性エポキシジアクリレート(Ebecryl 3700(ダイセルUCB(株)製))等が好適にあげられる。 その他、重合体(II)の原料として使用できる他の重合性化合物としては、ビニルエステル類、オレフィン類、シクロオレフィン類、スチレン類、クロトン酸エステル類、イタコン酸エステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、アリル化合物類、ビニルエーテル類、ビニルケトン類などから任意に選ぶことができる。重合体(I)および(II)としては、ホモポリマーでも、2種類以上のモノマーからなるコポリマーでもよい。 図1を参照して、本発明のセンサー用チップを説明する。センサー用チップ1は、基板11、その上に形成された重合体層12の積層体である。 重合体(I)を用いて形成された重合体層12の表面には、一般式(I)で表される基が存在し、かつ、一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基のいずれも存在しない領域121(第1の領域)および一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基のいずれか一方または双方が存在する領域122(第2の領域)が形成されている。 本発明のセンサー用チップの第2の領域122には、一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基を介して、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析で分析対象となる被検物質13と特異的に相互作用するレセプター15を固定化することができる。 さらに、重合体層12の表面に、分析対象である目的とする被検物質13を含有する液体試料を流すための流路14を形成することができる。 図1において、本発明のセンサー用チップの構造を説明するため、チップ1は簡略的に描写されているが、測定の目的を達成するように、第2の領域122および流路14のパターンを適宜設計することができる。また、一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基が存在する領域122と流路14とは、測定の目的を達成するように、同一領域に形成されていてもよい。 本発明のセンサー用チップを用いることにより、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析で分析対象となる被検物質13が、チップの重合体層12の第2の領域に存在する一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基のいずれか一方または双方と相互作用したことに由来する光学的変化を検出または測定できるセンサーを作製することができる。 また、第2の領域に分析目的である被検物質13と特異的に相互作用するレセプター15を固定化することによって、検出または測定の精度や感度を向上することができる。さらに、第2の領域をサブ領域に分割し、各サブ領域に異なるレセプターを固定化すれば、試料溶液中に含有される複数の被検物質を1度に分析、測定するオールインワンチップを作製することができる。 本発明のセンサー用チップの製造方法は、(1)基板上に重合体(I)を塗布し、重合体層を形成する工程;(2)重合体層の所望の領域に選択的に光を照射することによって、一般式(I)で表される基を一般式(I′)で表されるアミノ基に変換する工程(パターン形成);および(3)一般式(I′)で表されるアミノ基に一般式(III)で表される化合物を反応させて、一般式(I")で表される基に変換する工程を含む。 上記の工程(1)において、前記重合層の表面には、一般式(I)で表される基が存在するが、一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基はまだ発現していない。 上記の工程(2)によって、前記重合体層の表面上の所望の領域に、一般式(I′)で表されるアミノ基を発現することができ、さらに、上記の工程(3)において、前記重合体層の表面の所望の領域の全部または一部の領域に、一般式(I")で表される基を発現することができる。 本発明のセンサー用チップの製造方法は、さらに、(4)一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基に、分析目的である被検物質と特異的に相互作用するレセプターを結合させる工程を含む。 上記の工程(4)によって、一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基のいずれか一方または双方を介して、分析目的である被検物質と特異的に相互作用するレセプターを重合体層の表面上に固定化することができる。 本発明のセンサー用チップを用いれば、第2の領域に存在する一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基におけるXと、試料に含有される被検物質とが相互作用することによって生じる試料の光学的特性の変化を検出または測定するセンサーを作製することができる。特に、一般式(I")で表される基において、目的とする被検物質と特異的に相互作用する官能基Xを適宜選択することによって、目的に適したセンサーを作製することができる。 さらに、目的とする被検物質と特異的に相互作用するレセプターを適宜選択し、第2の領域に固定化することによって、より検出精度および感度の高い多目的センサー用チップを作製することができる。 本発明により提供されるセンサー用チップの製造方法は、特に限定されるものではないが、図3および4を参照して、その一例を以下に説明する。A.基板 基板11として用いられる素材は、ガラスまたはプラスチック製であることが多いが、軽量や耐久性等を考慮するとプラスチック材料が好ましい。プラスチック材料として例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリレート、ポリアミド、ポリイミド(例えば、ユーピレックスS(宇部興産(株)製)またはオーラムフィルム(三井化学(株)製))、ポリスチレン、ポリフッ化エチレン、ポリカーボナート、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、ポリエステル(例えば、ルミラー(東レ(株)製))、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンイソフタルアミド、ポリ乳酸(例えば、プラメート(大日本インキ(株)製)またはテラマック(ユニチカ(株)製))、ポリアクリロニトリル、エポキシ樹脂、シリコン系樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサンではシルポットまたはシルガード184(東レダウコーニング(株)製))、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、サラン樹脂、フッ素系樹脂(例えば、サイトップ(旭硝子(株)製))、シクロオレフィンポリマー等が挙げられるが、特に耐熱性、耐薬品性、低蛍光性、透明性に優れるシクロオレフィンポリマーが好ましい。 ここで、シクロオレフィンポリマーとは、環状オレフィン構造を有する重合体単独または環状オレフィンとα−オレフィンとの共重合体を水素添加した飽和重合体を指す。前者の例としては、例えばノルボルネン、ジシクロペンタジエン、テトラシクロドデセンに代表されるノルボルネン系モノマー、およびこれらのアルキル置換体を開環重合して得られる重合体を水素添加して製造される飽和重合体である。後者の共重合体はエチレン、プロピレン、イソプレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のα−オレフィンと環状オレフィン系モノマーのランダム共重合体を水素添加することにより製造される飽和重合体である。共重合体ではエチレンとの共重合体が好ましい。これらのポリマーは単独で用いてもよく、2種類またはそれ以上の共重合体あるいは混合物であってもよい。また、環状オレフィン構造を有する単量体が開環重合して得られるシクロオレフィンポリマーだけでなく、環状オレフィン構造を有する単量体の付加重合により得られるシクロオレフィンポリマーを用いることもできる。B.重合体層の形成 上記基板11上に、重合体(I)をそのまま、または重合体(I)を有機溶媒もしくは(反応性希釈剤として)重合性化合物で希釈した液を、例えば、スピン塗布、エアナイフ塗布、バー塗布、ブレード塗布、スライド塗布、カーテン塗布、スプレー法、蒸着法、キャスト法、浸漬法等によって塗布して、重合体層12を形成する(図3b)。 有機溶剤としては、例えば、ケトン系溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、芳香族系溶剤(トルエン、キシレン、クメン、アニソール等)、エステル系溶剤(酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等)、アルカン系溶剤(ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、イソオクタン等)、エーテル系溶剤(テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等)、ラクトン系溶剤(γ−ブチロラクトン等)、カーボナート系溶剤(エチレンカーボナート、プロピレンカーボナート等)、アルコール系溶剤(ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、4−メチル−2−ペンタノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール等)およびアミン系溶剤(トリエチルアミン、ピリジン、トリエタノールアミン、N−メチルピロリドン、N−メチルカプロラクタム等)等が挙げられ、用途に合わせて単独でも2種類以上を混ぜて使用してもよい。 有機溶剤を用いる場合、重合体(I)の含量は、全重量中、0.1〜99.9重量部であるのが好ましく、15〜70重量部であるのがより好ましい。また、重合体(I)を有機溶媒で希釈した液を塗布した後に、加熱または減圧処理により塗膜から有機溶媒を除去してもよい。 また、重合性化合物としては、前記で挙げたものを使用することができる。基板上に塗布する液は、光重合開始剤(ラジカル型光重合開始剤、カチオン型光重合開始剤、光酸発生剤、光塩基発生剤等)を含んでいてもよく、その含有量は、全重量に対して0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。 また、基板上に塗布する液は、色素、無機充填剤、UV吸収剤、粘度調整剤等の添加剤を添加してもよい。C.流路パターンの形成 本発明において、基板の形状は板状には限らず、また、目的とする被検物質を含有する液体試料等の溶液を流すために、重合体層12の表面に流路パターン14を形成することができる。 流路パターンが必要な場合は、あらかじめ、重合体(I)の塗布前に、例えば、熱(ナノ)インプリント法、光(ナノ)インプリント法、ホットエンボス加工法、直接プレス法、プラスチックに電子線またはイオンビーム(プロトンビーム、X線等)を用いて直接的に描画する方法等を用いて加工したものを使用してもよい。 また、重合体(I)の塗布後に、上記の方法で、重合体(I)だけ、あるいは、基板も含めて流路パターンを加工してもよい。また、塗布した重合体(I)をそのまま基板として使用してもよい。 流路パターン14の作製は、上記の方法の中でも、熱(ナノ)インプリント法での作製が好ましく、具体的には、重合体(I)を塗布した基板を加熱して、凸型の流路パターンのモールド(金型)18を押し付けた後(図4b)、冷却し、モールドを剥離することで、基板上に凹型の流路パターンが形成される(図4c)。 また、重合体(I)が光硬化性の機能を有する場合には、光(ナノ)インプリント法で流路パターンを作製することもできる。 具体的には、重合体(I)を塗布した基板上に凸型の流路パターンのモールド(金型)18を押し付けた後(図4b)、基板側から光照射、あるいは、モールドが透明材料で構成されている場合には、モールド側から光照射して、モールドを剥離することで、基板上に凹型の流路パターンが形成される(図4c)。 重合体(I)の塗布後に、光(ナノ)インプリント法で流路パターンを作製する場合、一般式(I)で表される基は、350nm以下の波長の光を照射することによってアミノ基に変換されるため、光硬化の際にアミノ基が発現しないように、例えば、365nm程度の紫外光または400nm以上の可視光を照射する。また、重合体(I)を光硬化させるためには、1〜10mJ以上の光量で1〜10秒間以上光照射を行うことが好ましい。D.プローブ領域パターンの形成(D−1)アミノ基が存在する領域の形成 重合体(I)で形成された重合体層12上の任意の領域に光を照射することによって、一般式(I)で表される基から一般式(I′)で表されるアミノ基に変換して、基板上に一般式(I′)で表されるアミノ基が存在するプローブ領域122のパターンを形成する(図3c、d)。 センサープローブ領域122に存在するアミノ基をセンシングプローブとして用いて、目的とする被検物質を検出することができる。さらに、目的とする被検物質と相互作用するレセプター15をセンシングプローブとして、アミノ基を介してプローブ領域122上に固定化して(図3e)、目的とする被検物質を検出することができる。 一般式(I)で表される基から一般式(I′)で表されるアミノ基への変換は以下の反応式に従って進行する。 一般式(I)で表される基をアミノ基に変換するために使用される光16は、例えば、紫外光、可視光、白熱灯、蛍光灯または太陽光等が挙げられる。このような光を照射できる光源としては、放射波長250〜500nmの範囲内のある領域の近紫外光または可視光を照射することのできる、例えば、低圧、中圧、高圧および超高圧水銀ランプ、金属ハロゲンランプ、レーザー並びにLED等が挙げられる。 一般式(I)で表される基は、350nm以下の波長の光を照射することによってアミノ基に変換されるため、350nm以下の波長の紫外光を照射する。また、領域122を形成するためには、少なくとも1mJ以上の光量で1分間以上光照射することが好ましい。 なお、光照射を実施する上においては、所望の領域のみを露光するために、フォトマスク17を用いて露光する(図3c)。フォトマスクを用いることなく、直描型レーザーでの露光も可能である。 また、露光を基板上の任意の位置に繰り返し実施することで、異なった被検物質に対する複数種のレセプターを基板上に固定化することができる。 また、光を照射した後、洗浄工程を入れることもできる。洗浄工程で使用する洗浄法は特に限定されるものではないが、例えば、エアー掃射、水洗浄、溶剤洗浄、ドライアイス洗浄等が挙げられる。ここで、溶剤洗浄に用いる溶剤としては、基板上の重合体(I)を溶解しない溶剤、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール等の低級アルコールやn−ヘキサン等の低沸点溶剤を使用することができる。また、必要に応じて、洗浄工程後に空気や熱による乾燥工程を入れてもよい。 本発明によるプローブ領域パターン形成方法によれば、重合体(I)を用いて形成した重合体層12の任意の領域に、簡便かつ速やかにアミノ基を発現させることができる。 プローブ領域122のパターンを形成した後、一般式(III):(式中、Yはアミノ基と相互作用し得る基を表し、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される化合物(以下、「化合物(III)」ともいう。)を、プローブ領域122の全部または一部の領域に存在するアミノ基と反応させて、一般式(I")で表される基が存在するサブ領域を形成することができる(図示せず)。 Yとアミノ基との間の相互作用として、電気的結合、水素結合、親和性、化学的結合などが挙げられるが、安定性の点から化学的結合が好ましい。(D−2)一般式(I")で表される基が存在する領域の形成 一般式(I′)で表されるアミノ基から一般式(I")で表される基への変換は以下の反応式に従って進行する。 ここで、式中Yは、一般式(I)で表される基とは反応せず、アミノ基と化学的結合して、一般式(I")で表される基を発現する官能基であれば特に限定されないが、例えばハロゲン、アルデヒド基、カルボニル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、エポキシ基、ビニル基、ニトリル基、スクシンイミジル基などが挙げられる。 ハロゲンとしては、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。 式中Lは総原子数2〜1,000である2価の有機連結基であり、特に限定されるものではないが、例えば、置換または非置換のアルキレン基、置換または非置換のアルキレンオキシ基、置換または非置換のアリーレンオキシ基、あるいはポリエステル、ポリアミド骨格を有するものであってもよい。 アルキレン基は、例えば、直鎖または分岐状の炭素数1〜18のアルキレン基を表し、具体的には、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デカニレン基、ドデカニレン基、ステアリレン基等が挙げられるが、中でも、炭素数1〜8のアルキレン基が好ましい。 アルキレンオキシ基は、例えばアルキレンオキシ基の繰り返し単位数が1〜40のものを表し、具体的にはエチレンオキサイド基、プロピレンオキサイド基、ブチレンオキサイド基、ヘキシレンオキサイド基等が挙げられるが、中でも繰り返し単位数が1〜20のアルキレンオキサイド基が好ましい。 アリーレンオキシ基は、例えばアリーレンオキシ基の繰り返し単位数が1〜40のものを表し、具体的にはフェニレンオキシ基、ナフタレンオキシ基、ビフェニルオキシ基等が挙げられるが、中でも繰り返し単位数が1〜10のアリーレンオキシ基が好ましい。 アルキレン基の置換基は、前記と同義であり、アルキレンオキシ基およびアリーレンオキシ基の置換基はアルキル基の置換基と同義である。ポリエステルは、多塩基酸と多酸塩基の縮合反応によって調製されるものであれば特に限定されるものではない。 多塩基酸としては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジ酸、デカンジ酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸等が挙げられる。 多酸塩基としては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール、2,4−ジエチルー1,5−ペンタンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グリセリン等が挙げられる。 ポリアミドとしては、多塩基酸と二官能アミン化合物との縮合反応によって調製されるものであれば特に限定されるものではない。 多塩基酸は、前記と同義である。 二官能アミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7−ジアミノヘプタン、1,8−ジアミノオクタン、1,9−ジアミノノナン、1,10−ジアミノデカン、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン等が挙げられる。 式中Xは、目的とする被検物質と相互作用できる官能基であれば特に限定されるものではないが、例えば、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、シラノール基、アルコキシシリル基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基、マレイミド基等が挙げられる。 アルコキシシリル基としては、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基などが挙げられる。 一般式(I")を調製するために使用される化合物(III)としては、例えば、N−スクシンイミジル−2−マレイミドアセテート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドヘキサノエート、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−スルホスクシンイミジル−4−(マレイミドメチル)シクロヘキサン−1−カルボキシレート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スルホスクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−(N−マレイミドフェニル)−4−ブチレート、N−スルホスクシンイミジル−4−(N−マレイミドフェニル)−4−ブチレート、N,N′−オキシジメチレンジマレイミド、N,N′−o−フェニレンジマレイミド、N,N′−p−フェニレンジマレイミド、S−アセチルメルカプトスクシン酸無水物、N−スクシンイミジル−3−(2′−ピリジルチオ)プロピオナート、メチル−3−(4′−ジチオピリジル)プロピオンイミデート、メチル−4−メルカプトブチルイミデート、メチル−3−メルカプトプロピオンイミデート、N−スクシンイミジル−S−アセチルメルカプトアセテート、1,4−ジチオトレイトールなどが挙げられる。 さらには、以下の具体例(C−1〜C10)も示すが、本発明で使用できる化合物はこれらに限定されるものではない。 プローブ領域122に存在する一般式(I")で表される基における官能基Xをセンシングプローブとして用いて、目的とする被検物質を検出することができる。さらに、目的とする被検物質と相互作用するレセプター15をセンシングプローブとして、一般式(I")で表される基を介してプローブ領域122に固定化して(図示せず)、目的とする被検物質を検出することができる。 アミノ基に化合物(III)を相互作用させるためには、流路パターン14から化合物(III)をそのまま、あるいは溶剤で希釈した状態で流し、あるいはアミノ基が発現している領域122上に液滴として乗せ、その後、室温からプラスチック基板が変形しない温度まで加熱し、数分から数日間静置することで反応を完結させることができる。また、官能基Yの基板上の濃度は、基板上のアミノ基に対する配合量で調整することができる。 ここで、化合物(III)を希釈するのに用いることのできる溶剤は、基板上のアミノ基や官能基Yおよび官能基Xと反応せず、かつ基板上のアミノ基と官能基Yとの反応を阻害しないものであれば特に限定されるものではない。 また、官能基Xを基板上に固定する反応を実施させた後、洗浄工程を入れることもできる。洗浄工程での洗浄方法は前記と同じであるが、溶剤洗浄を施す場合は、官能基Xと反応しない溶剤の選択が必要である。 さらに、アミノ基が形成されている領域122を分割した各サブ領域にそれぞれ異なる官能基Xを有する複数種の化合物(III)を結合させることで、一つのチップで複数の被検物質を1度に分析、測定することができるオールインワンチップを可能にする。 上記同様にして、アミノ基または一般式(I")で表される基における官能基Xにレセプターを相互作用させることができる。 すなわち、本発明のセンサー用チップにおいて、アミノ基または一般式(I")で表される基またはレセプターをセンシングプローブとして用いることによって、これらのセンシングプローブと相互作用する物質(被検物質)を検出および/または測定するセンサーが提供される。 目的とする被検物質に対して、一般式(I")で表される基における官能基Xまたはレセプターを適宜選択することによって、多様な被検物質に対応するセンサー用チップを作製することができる。 被検物質としては、例えば、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析等で分析対象となる低分子有機化合物であれば特に限定されず、例えばアミン化合物、カルボン酸化合物、環境汚染物質、臭気物質、重金属イオンなどが挙げられる。 アミン化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、アミルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、セチルアミンなどの脂肪族第一アミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジブチルアミン、ジアミルアミンなどの脂肪族第二アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミンなどの脂肪族第三アミン、アリルアミン、ジアリルアミン、トリアリルアミンなどの脂肪族不飽和アミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン、シクロヘキシルアミンなどの脂環族アミン、アニリン、メチルアニリン、ジメチルアニリン、エチルアニリン、ジエチルアニリン、o−トルイジン、m−トルイジン、p−トルイジン、ベンジルアミン、ジベンジルアミン、トリベンジルアミン、ジフェニルアミン、トリフェニルアミン、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミンなどの芳香族アミン等が挙げられる。 カルボン酸化合物としては、特に限定されるものではなく、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などの脂肪族カルボン酸、安息香酸、o−トルイル酸、m−トルイル酸、p−トルイル酸、o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸などの芳香族カルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、マレイン酸などの脂肪族ジカルボン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸などの芳香族ジカルボン酸、サリチル酸、p−ヒドロキシ安息香酸などのヒドロキシ安息香酸、アントラニル酸、m−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸などのアミノカルボン酸、ヒマシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、大豆油脂肪酸、菜種油脂肪酸などの脂肪酸等が挙げられる。 環境汚染物質としては、特に限定されるものではなく、例えば炭酸ガス、NOx、SOx、ベンゼン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、アクリロニトリル、塩化ビニルモノマー、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、1,3-ブタジエンなどが挙げられる。 臭気物質としては、アンモニア、メチルメルカプタン、硫化水素、硫化メチル、二硫化メチル、トリメチルアミン、プロピオン酸、ノルマル酪酸、ノルマル吉草酸、イソ吉草酸類などが挙げられる。 重金属イオンとしては、銅、鉛、カドミウム、亜鉛等が挙げられる。 アミノ基または一般式(I")で表される基における官能基Xと、レセプターや被検物質との相互作用とは、親和性、静電的相互作用を含むイオン的相互作用、化学反応によって化学結合が形成される作用を示す。具体的には、エチレングリコール鎖等との親水性相互作用、カルボニウムイオン等アニオン性基とのイオン的相互作用、イソシアナート基、チオシアナート基、カルボキシル基、カルボニル基等との共有結合形成等が挙げられる。 相互作用をさせる方法としては、常温で放置しておく方法や、熱や局所的な光によって外部因子を与える方法が挙げられ、対象となる物質の安定性等を考慮して自由に選択することができる。なお、固定化されなかった物質を除去するために、基板表面を溶剤や純水等で洗浄することが好ましい。 洗浄に使用する溶剤としては、前記と同じものを使用することができる。 本発明では、センサー用チップ表面に固定化されているアミノ基または一般式(I")で表される基またはそれらの基を介して固定化されたレセプターと被検物質との相互作用によって生じる光学的変化を利用して、被検物質を検出および/または測定することが好ましい。 光学的変化を利用した測定方法としては、屈折率測定(RI)、紫外線吸収測定(UV)、および蛍光標識法等が挙げられる。 屈折率測定(RI)とは、高速液体クロマトグラフィーなどで用いられている方法であり、センサー用チップ表面に固定化されているアミノ基または一般式(I")と被検物質との相互作用によって生じる屈折率の変化を測定するものである。 紫外線吸収測定(UV)とは、高速液体クロマトグラフィーなどで用いられている方法であり、センサー用チップ表面に固定化されているアミノ基または一般式(I")と被検物質との相互作用によって生じる紫外線吸収能の変化を測定するものである。 蛍光標識法とは、蛍光色素を使用し、被検物質との相互作用が生じた際に暗視野で励起光を照射すると、特有の蛍光を発する原理を利用したものである。標識に用いられる蛍光色素は特に限定されるものではないが、例えば、5−または6−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)−3′,6′−O,O′−ジアセチルフルオレセン、5−または6−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)−2′,7′−ジクロロ−O,O′−ジアセチルフルオレセン、5−または6−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)−4′,5′−ジメチル−O,O′−ジアセチルフルオレセン、フルオレセン−4−イソチオシアナート、N−エチル−N′−[5−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル]インドカルボシアニンクロライド、N−エチル−N′−[5−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル]−3,3,3′,3′−テトラメチル−2,2′−インドジカルボシアニンクロライド、スルホローダミン101酸クロライド、N,N,N′−トリエチル−N′−[5−(N−スクシンイミジルオキシカルボニル)ペンチル]−9−シアノピロニンクロライド、N−エチル−N′−{5−[N−(2−マレイミドエチル)ピペラジノカルボニル]ペンチル}−インドカルボシアニンクロライド、N−エチル−N−{5−[N−(2−マレイミドエチル)ピペラジノカルボニル]ペンチル}−3,3,3′,3′−テトラメチル−2,2′−インドジカルボシアニンクロライド、N,N,N′−トリエチル−N′−{5−[N−(2−マレイミドエチル)ピペラジノカルボニル]ペンチル}−9−シアノピロニンクロライド等が挙げられる。 以下、実施例および合成例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に制限されるものではない。(合成例1)2−アセトナフトン=O−アクロイルオキシムの合成 2−アセトナフトン183gおよびエタノール500mLをフラスコに入れ、塩酸ヒドロキシアミン80gを加えて溶解させた。氷浴下で、水酸化ナトリウム水溶液(水酸化ナトリウム40g/水80mL)を滴下した。滴下後、50℃で10分間加熱し、室温まで冷却した。反応液に0.2Nの塩酸を加えて、反応液のpHを7に調整し、1時間室温下で放置した。析出した沈殿物をろ取した。得られた白色固体を60℃で減圧乾燥し、2−アセトナフトンオキシム(化合物1)を197g、収率99%で得た。 得られた2−アセトナフトンオキシム93.3g、トリエチルアミン53.1g、脱水クロロホルム(高純度品)400mLをフラスコに入れ、溶解させた。氷浴下で、滴下ロートを用いてアクリル酸クロリド44.4gを滴下した。室温下で1時間攪拌後、70℃で5分間加熱した。氷浴下冷却し、2N塩酸200mLを加え、下層の有機層を分液した。有機層を、飽和炭酸水素水溶液で洗浄し、次いで、飽和食塩水で2回洗浄し、分液した有機層を、硫酸マグネシウムを用いて乾燥した。ろ過後、エバポレーターを用いて、クロロホルム溶媒を除去し、n−ヘキサン溶媒で再結晶化を行った。析出した結晶をろ取し、減圧乾燥し、2−アセトナフトン=O−アクロイルオキシムを76.9g、収率64%で得た。[2−アセトナフトン=O−アクロイルオキシム]Mp: 94−95℃1H NMR(CDCl3):δ2.52(s,3H),5.97(d,J=10.5Hz,1H),6.34(dd,J=10.5,16.4Hz,1H),6.61(d,J=16.4Hz,1H),7.51−7.58(m,2H),7.83−7.90(m,3H),7.99(d,J=8.5Hz,1H),8.18(bs,1H)。13C NMR(CDCl3):δ13.99,123.55,126.36,126.41,127.13,127.31,127.48,128.09,128.53,131.84,131.88,132.64,134.12,162.76,163.47。IR(KBr,cm−1):・3061,1745(s,C=O),1041,1312,1141(s,−O−),1132(s,−O−),981,956,906,860,826,792,745。(合成例2)2−アセトナフトン=O−アクロイルオキシムとメタクリル酸メチルとの共重合高分子化合物(コポリマーA)の合成 合成例1で得られた2−アセトナフトン=O−アクロイルオキシム7.05g、メタクリル酸メチル(MMA)2.95g、2−ブタノン(MEK)15gをフラスコに入れ、溶解させた。2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(AMBN:大塚化学(株)製)0.15gを加え、80℃で4時間加熱還流した。得られた溶液をメタノール溶媒中に滴下し、析出した沈殿物をろ過し、減圧乾燥し、薄黄色固体のコポリマーAを6.4g得た。[コポリマーA]GPC:重量平均分子量 36,200。1H NMR(CDCl3):δ 0.78−2.95(m),3.45−3.72(m),7.25−8.16(m)。IR(KBr,cm−1):・=3057,2986,2949,1764(s,C=O),1729(s,C=O),1610,1447,1375,1312,1239,1135(s,−O−),1114(s,−O−),982,897,860,820,748。(合成例3)2−アセトフェノン=O−アクロイルオキシムとメタクリル酸メチルとの共重合高分子化合物(コポリマーB)の合成 2−アセトフェノン=O−アクロイルオキシム(合成に関しては非特許文献1参照)6.54g、MMA3.46g、MEK15gをフラスコに入れ、溶解させた。AMBN 0.15gを加え、80℃で4時間加熱還流した。得られた溶液をメタノール溶媒中に滴下し、析出した沈殿物をろ過し、減圧乾燥し、薄黄色固体のコポリマーBを7.9g得た。[2−アセトフェノン=O−アクロイルオキシム][コポリマーB]GPC:重量平均分子量 26,300。1H NMR(CDCl3):δ 0.83−2.96(m),3.45−3.69(m),7.35−7.56(bs),7.65−7.83(bs)。IR(KBr,cm−1):・=3057,2986,2950,1768(s,C=O),1729(s,C=O),1616,1446,1373,1309,1236,1116(s,−O−),982,906,866,762,693,565。実施例1コポリマーAにおけるアミノ基変換率の測定 コポリマーA2gをメチルエチルケトン1gに溶解させ、その溶液1gを2インチシリコンウエハに滴下し、スピンコーター(2000回転、30秒)を用いて塗布した。50℃のホットプレート上で10分加熱し、溶媒を除去した。そのウエハを切断して、1cm×1cmの小片とし、それらの小片に照射時間を変えて光照射した(超高圧水銀灯:1分間当りの光量0.96J/cm2)。照射時間を5分、10分、20分、40分と変化させて、未照射の小片と合わせて、計5種の小片サンプルを得た。それらのサンプルの表面をエタノールで洗浄し、乾燥後、その表面のFT−IR測定(NEXUS470 Nicolet(株)製)を行った。 得られたIRスペクトルにおいて、1729cm−1のカルボニル(メチル エステル側の吸収)の吸収強度に対しての1764cm−1のカルボニル(ナフチル基側のエステルの吸収)の吸収強度の減少率を照射総光量に対してプロットした。実施例1の結果を表1および図5に示す。比較例1コポリマーBにおけるアミノ基変換率の測定 コポリマーB2gをメチルエチルケトン1gに溶解させ、その溶液を実施例1と同様にして処理して、得られた5種の小片サンプルのFT−IR測定を行った。 得られたIRスペクトルにおいて、1729cm−1のカルボニル(メチル エステル側の吸収)の吸収強度に対しての1768cm−1のカルボニル(フェニル基側のエステルの吸収)の吸収強度の減少率を照射総光量に対してプロットした。比較例1の結果を表1および図5に示す。 表1において、カルボニル吸収強度の減少率は、アミノ基変換率に相当する。この結果から、比較例1と比べて実施例1のコポリマーAの光分解感度が格段に高いことが判った。 この結果から、一般式(I)で表される基において、R1が置換または非置換のナフチル基であることが重要なことが確認された。実施例2コポリマーA:発現したアミノ基への蛍光剤の固定化 コポリマーA2gをメチルエチルケトン1gに溶解させ、スピンコーター(3000回転、30秒)を用いて、その溶液をアクリル板(ポリメタクリル酸メチル板1mm厚:商品名「クラメート」(株)クラレ製)に塗布した。50℃の乾燥器中で10分加熱し、溶媒を除去した。その塗布面上に10×10mm2の領域を露光できるマスクを置き、照射光量50mJ/cm2で光照射し、その表面をエタノールで洗浄し、減圧乾燥した。 アミノ基の蛍光ラベル化剤であるFITC−I(Fluorescein-4-isothiocyanate、同仁化学研究所製:λex 495nm;λem 520nm)のエタノール溶液(1mg/1mL)をその表面に滴下し、50℃の乾燥器中で、10分間静置した。その後、その表面をエタノールで洗浄し、減圧乾燥した。得られたサンプルの表面の露光部と未露光部の境界線を蛍光顕微鏡(TE300、(株)ニコン製)で観察した。明確に蛍光ラインが観測された(図6)。 この結果から、一般式(I)で表される基を有する重合体層の任意の領域を光照射することにより、選択的にアミノ基を発現できることが確認された。実施例3インプリント法によるセンサー用チップの作製と蛍光検体による検出方法 アクリル板(ポリメタクリル酸メチル板1mm厚、3.5cm×3.5cm:クラメート クラレ社製)上に、流路パターンのNiモールドを用いて、熱インプリント装置((株)マルニ製、条件:上プレス板60℃、下プレス板150℃、10分プレス)により、流路パターン(流路5mm×3.5cm、深さ0.5mm:両端末端開口)を作製した。コポリマーA1gをメチルエチルケトン1.5gに溶解させ、ポリマー溶液を調整した。その溶液0.3gをその流路に滴下し、スピンコーター(3000回転、30秒)を用いて塗布した。50℃の乾燥器中で5分加熱し、溶媒を除去した。次に、10×10mm2の領域を露光できるマスクを用いて、その流路の中央部(アミノ基発現領域 5×10mm2)だけ露光し、その流路を水洗浄、次いで、エタノール洗浄、減圧乾燥した。そのチップ上の流路中心部に24×24mmのカバーガラスを、エポキシ系接着剤(アラルダイト;ハンツマン・アドバンスト・マテリアルズ(株)製)で接着(流路の両側の凸部に接着)して、チップを得た(図7)。 FITC−I 1mgを0.1mmol/Lの水酸化ナトリウム水溶液1mLに溶解し、その溶液を10倍、20倍、50倍、100倍希釈して、0.257mM、0.128mM、0.051mM、0.026mMの溶液を調製した。その各溶液を流路の一端から、100μLを1分かけて流し、室温下で1分静置後、水100μL、エタノール200μLを流して洗浄し、チップを乾燥した。 その得られたチップをそれぞれ蛍光顕微鏡で観察し、蛍光が観測された写真画像を画像処理ソフト(Image-Pro:Media Cybernetics(株)製)で処理し、その蛍光部分の単位面積(1ピクセル)当りの積分光学濃度を算出した。その結果を表2および図8に示す。 この結果から、FITC濃度と単位面積当りの積分光学濃度は比例関係にあり、その検量線が作成できることが判った。実施例4インプリント法によるセンサー用チップの作製と蛍光検体NAMによる検出方法 実施例3と同様にして、アクリル板をインプリント法により加工し、その板状に流路を作製し、流路内にコポリマーAを塗布して、アミノ基発現領域 5×10mm2のチップを得た。 そのアミノ基発現領域に50mmol/Lの炭酸水素ナトリウム溶液20μL、次いで、SPDP溶液[N-Succinimidyl 3-(2-pyridyldithio)ptopionate;同仁化学研究所製 10mg/EtOH−水(体積比1:1)1mL]40μLを滴下し、室温下で1時間静置した。その滴下部分を、水100μL、次いで、EtOH200μLで洗浄し、乾燥した。次に、その部分にDTT水溶液(1,4−Dithiothreitol 30mg/水 1mL)20μLをを滴下し、室温下で1時間静置し、水100μL、次いで、EtOH200μLで洗浄し、乾燥した。その得られたチップ上に、24×24mm、厚さ0.5mmのアクリル板を、可視光硬化型接着剤(3170B ;(株)スリーボンド製)で光硬化接着し(流路の両側の凸部に接着剤を塗布し、蛍光灯下で20分間露光)、流路中心部を覆った(図9)。 NAM[(N-9-acridinyl)maleimide;同仁化学研究所製]5mgをジオキサン500μLで溶解し、その溶液にEtOH 1mLを加えて、原液を調製した。その原液を5倍、10倍、20倍に希釈して、2.43mM、1.22mM、0.61mMの溶液をそれぞれ調製した。それらの溶液を流路の一端から、100μLを10秒かけて流し、室温下で1分静置後、水100μL、エタノール200μLを流して洗浄し、チップをそれぞれ乾燥した。 実施例3と同様に、蛍光顕微鏡で観察し、その写真画像を処理し、その蛍光部分の単位面積当りの積分光学濃度を算出した。その結果を表3および図10に示す。 この結果から、二価性試薬を用いて、アミノ基からチオール基に誘導することができ、マレイミド類を検出できる系へ変換できることを確認した。また、NAM濃度と単位面積当りの積分光学濃度は比例関係にあり、その検量線が作成できることも判った。実施例5露光面積による検出範囲のコントロール 実施例3と同様にして、アクリル板をインプリント法により加工し、その板上に流路を作製し、流路内にコポリマーAを塗布し、その塗布面上をマスク露光した。マスクの大きさを調整して、アミノ基発現領域が5×5mm2、5×10mm2、5×20mm2である3種のチップを作製し、それらのチップのアミノ基発現領域に炭酸水ナトリウム水溶液(50mmol)10μL、20μL、40μL、次いで、ビオチン化剤の水溶液[Biotin-(AC5)2-Sulfo-OSu;ビオチンキット(同仁化学研究所製) 10mg/水 355μL]10μL、20μL、40μLをそれぞれ添加し、3種とも23℃で1時間静置した。次いで、水100μL、EtOH200μLで洗浄し、乾燥した。実施例4と同様にして、24×24mm、厚さ0.5mmのアクリル板を、可視光硬化型接着剤(3170B ;(株)スリーボンド製)で接着して、検出部分を覆い、アミノ基発現領域の異なる3種のチップを得た(図11)。 アビジンキットのPBS錠剤1錠を100mLメスフラスコに入れ、純水でメスアップし、PBSバッファー液を調製した。HABA(4−ヒドロキシアゾベンゼン−2′−カルボン酸;東京化成工業(株)製)14mgをDMSO(ジメチルスルホキサイド)500μLに溶解した。次に、アビジン(卵白由来物、ナカライテスク(株)製)10mgおよびそのHABAのDMSO溶液200μLを20mLメスフラスコに入れ、PBSバッファー液でメスアップし、HABA−アビジン溶液を調製した。 それぞれ3種のチップについて、そのHABA−アビジン溶液500μLを流路の末端から30秒かけて流し、もう一方の末端から、流した溶液を回収し、その回収した溶液の吸光度(500nm:0.4mL用厚さ1mmのセル使用)を測定した。その初期のHABA−アビジン溶液とそれぞれ回収した溶液の吸光度の差を算出した。露光面積と吸光度の差との関係を表4および図12に示す。 この結果から、露光面積と吸光度の差が比例関係にあることがわかった。 本発明におけるセンサー用チップを用いたセンサーは、これらの実施例により、被検体の濃度を決定するための検量線を作成することができることがわかった。さらに、被検物質に対応してセンシングプローブを適宜選択することができることから、多様な目的のセンサーとして機能することが判った。 また、これらの結果から、本発明におけるセンサー用チップおよびセンサーの特徴である光発現機能に関して、露光面積、すなわち、検出面積を変えることで、検出範囲(検出値の絶対値)をコントロールでき、また、露光場所を変えることで、検出場所もコントロールできることが確認された。 本発明の任意の設計により、複数箇所のアミノ基発現部分に異なるレセプターを固定化することで、マルチタイプの分析・検査ができる化学分析、環境分析、水質分析、あるいは臭気分析などに有用なセンサー用チップおよびセンサーを提供することができる。本発明のセンサー用チップの一つの具体例の断面図(a)および上面図(b)。本発明のセンサー用チップのもうひとつの具体例の断面図(a)および上面図(b)。本発明のセンサー用チップの製造工程を示す概略図。本発明のセンサー用チップの製造工程を示す概略図。本発明に用いる重合体において、光照射によるカルボニル基のIR吸収強度の減少率を示すグラフ。本発明の重合体層の表面に発現したアミノ基への蛍光剤の固定化を示す蛍光顕微鏡像。本発明のセンサー用チップの一つの具体例の上面図(a)および断面図(b)。本発明に用いる重合体において、蛍光検体FITCの濃度と単位面積当りの積分光学濃度の関係を示すグラフ。本発明のセンサー用チップの一つの具体例の上面図(a)および断面図(b)。本発明に用いる重合体において、蛍光検体NAMの濃度と単位面積当りの積分光学濃度の関係を示すグラフ。本発明のセンサー用チップの一つの具体例の上面図(a)および断面図(b)。本発明に用いる重合体において、露光面積と検体の吸光度の差の関係を示すグラフ。符号の説明1・・・センサー用チップ、11・・・基板、12・・・重合体層、121・・・一般式(I)で表される基が存在する領域、122・・・アミノ基または一般式(I")が存在する領域、13・・・被検物質、14・・・流路パターン、15・・・レセプター、16・・・紫外線、17・・・フォトマスク、18・・・モールド(金型)。 基板および基板上に形成された重合体層を含むセンサー用チップであって、 前記重合体層は、一般式(I):(式中、R1は置換または非置換のナフチル基を表し、R2は置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基を表す。)で表される基、一般式(I′):で表されるアミノ基および一般式(I"):(式中、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される基よりなる群から選択される1または複数の基を有する重合体を含み、かつ、 前記重合体層の表面に、一般式(I)で表される基が存在し、かつ、一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基が存在しない第1の領域ならびに一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基のいずれか一方または双方が存在する第2の領域が形成されていることを特徴とするセンサー用チップ。 前記重合体は、一般式(II):(式中、R1およびR2は、それぞれ前記と同義であり、R3は水素原子または低級アルキル基を表す。)で表される構造単位、一般式(II′):(式中、R3は、前記と同義である。)で表される構造単位および一般式(II"):(式中、R3、LおよびXは、それぞれ前記と同義である。)で表される構造単位よりなる群から選択される1または複数の構造単位を有するビニル系重合体であることを特徴とする請求項1に記載のセンサー用チップ。 前記重合体の重量平均分子量が1,000〜300,000である請求項1または2に記載のセンサー用チップ。 R3が水素原子であることを特徴とする請求項2に記載のセンサー用チップ。 前記有機連結基Lの総原子数が2〜1,000である請求項1〜4いずれかに記載のセンサー用チップ。 一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基が、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析で分析対象となる低分子有機化合物である被検物質と相互作用することを特徴とする請求項1〜5いずれかに記載のセンサー用チップ。 前記被検物質が、アミノ基含有化合物、有機化合物、環境汚染物質、水質汚染物質、臭気物質または重金属イオンである請求項6に記載のセンサー用チップ。 さらに、前記重合体層の表面に、流路パターンが形成されている請求項1〜7いずれかに記載のセンサー用チップ。 基板および基板上に形成された重合体層を含むセンサー用チップの製造方法であって、 前記基板上に、一般式(I):(式中、R1は置換または非置換のナフチル基を表し、R2は置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基を表す。)で表される基を有する重合体を塗布して重合体層を形成する工程; 前記重合体層の表面の所望の領域に光を照射することによって、一般式(I)で表される基を一般式(I′):で表されるアミノ基に変換する工程;および 一般式(I′)で表されるアミノ基を、一般式(III):(式中、Yはアミノ基と相互作用し得る基を表し、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される化合物と相互作用させて、一般式(I"):(式中、LおよびXは、それぞれ前記と同義である。)で表される基に変換する工程を含み、 ここに、前記重合体層に、一般式(I)で表される基が存在し、かつ、一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基が存在しない第1の領域ならびに一般式(I′)で表されるアミノ基および一般式(I")で表される基のいずれか一方または双方が存在する第2の領域を形成することを特徴とするセンサー用チップの製造方法。 前記有機連結基Lの総原子数が2〜1,000である請求項9に記載のセンサー用チップの製造方法。 一般式(I′)で表されるアミノ基または一般式(I")で表される基が、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析で分析対象となる低分子有機化合物である被検物質と相互作用することを特徴とする請求項9に記載のセンサー用チップの製造方法。 前記被検物質が、アミノ基含有化合物、有機化合物、環境汚染物質、水質汚染物質、臭気物質または重金属イオンである請求項11に記載のセンサー用チップの製造方法。 さらに、前記重合体層の表面に、流路パターンを形成する工程を含む請求項9に記載のセンサー用チップの製造方法。 少なくとも、請求項1〜8いずれかに記載のセンサー用チップ;および前記センサー用チップの重合体層に形成された第2の領域に存在する一般式(I′):で表されるアミノ基または一般式(I"):(式中、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される基と、化学分析、環境分析、水質分析、臭気分析で分析対象となる低分子有機化合物である被検物質との相互作用によって生じる光学的変化を検出または測定する手段を含むセンサー。 一般式(I):(式中、R1は置換または非置換のナフチル基を表し、R2は置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基を表す。)で表される基を有する重合体を含む重合体層の表面の所望の領域に光を照射することによって、一般式(I′):で表されるアミノ基が存在する領域を形成し、前記アミノ基が存在する領域の全部または一部の領域に存在するアミノ基を、一般式(III):(式中、Yはアミノ基と相互作用し得る基を表し、Lは2価の有機連結基を表し、Xは、アミノ基、水酸基、カルボキシル基、アルデヒド基、カルボニル基、ビニル基、ヒドラジン基、エポキシ基、チオール基、イソシアナート基、イソチオシアナート基、スクシンイミジル基およびマレイミド基よりなる群から選択される基を表す。)で表される化合物と相互作用させて、一般式(I"):(式中、LおよびXは、それぞれ前記と同義である。)で表される基が存在する領域を形成することを特徴とするパターン形成方法。 【課題】化学分析、環境分析、水質分析、あるいは臭気分析などに有用なセンサー用チップおよびセンサー等を提供する。【解決手段】一般式(I):(式中、R1は置換または非置換のナフチル基を表し、R2は置換または非置換のアルキル基、置換または非置換のアリール基、置換または非置換のヘテロアリール基を表す。)で表される基を有する重合体を用いて、基板上に重合体層を形成し、所望の領域に光照射することによって、アミノ基を発現する。【選択図】図1