生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_皮膚角層の重層剥離状態測定方法
出願番号:2008098667
年次:2012
IPC分類:A61B 5/107,A61B 5/00,G01N 21/17


特許情報キャッシュ

吉野 崇 桝谷 晃明 JP 5096988 特許公報(B2) 20120928 2008098667 20080404 皮膚角層の重層剥離状態測定方法 株式会社ファンケル 593106918 児玉 喜博 100105061 佐藤 荘助 100150681 長谷部 善太郎 100122954 吉野 崇 桝谷 晃明 20121212 A61B 5/107 20060101AFI20121121BHJP A61B 5/00 20060101ALI20121121BHJP G01N 21/17 20060101ALI20121121BHJP JPA61B5/10 300QA61B5/00 MG01N21/17 A61B 5/107 A61B 5/00 G01N 21/17 特開2006−095218(JP,A) 特開2004−097436(JP,A) 3 2009247570 20091029 11 20101210 九鬼 一慶 本発明は、皮膚角層の重層剥離測定技術に関する。 皮膚の角層を粘着テープで採取したときに、角層が重なって剥がれることを重層剥離という。重層剥離の多い皮膚は、バリア機能に劣り、肌荒れ、乾燥、炎症状態を伴うことが多い。そこで、角層の重層剥離量を測定することにより、被験者の肌状態を評価することができる。 肌用化粧料の使用試験評価などにもこの重層剥離状態の検査が用いられている。例えば、特許文献1(特開2004−175678号公報)には、肌荒れ改善テストに用いた例として「乾燥肌の女性5人をモニターとし、これらのモニターの両腕の上腕外側に2個所乃至3箇所に、毎朝晩、試料としてのクリーム状の肌用化粧料を6ヶ月間に亘り連用塗布した。この際、塗布後、1ヶ月目、3ヶ月目、6ヶ月目に試料を塗布した個所の肌の皮膚 をテープストリッピングにより角層細胞を剥離し、これをゲンチアナバイオレット及びブリリアントグリーンで染色し、これを顕微鏡で観察した。この顕微鏡観察により、テスト前後における、角層細胞が重なって剥がれる重層剥離の程度の変化をスコア化し、モニター5人のスコアの平均を採った。スコアは、最も重層剥離の悪い状態、すなわち、単層で剥離されている角層細胞がない状態を「1」とし、全く重層剥離のない状態を「5」とした。また、これらの間の状態を5段階に評価した。この評価値に基づいて、「テスト後のスコア」と「テスト前のスコア」との差を求めた。なお、紫外線等の外的な刺激を受けると、皮膚のターンオーバーの日数が短縮され、角層細胞の形状が乱れ、バリア機能を失って、テープストリピングを行うと角層 細胞が重層剥離する。従って、重層の程度が大きいほど、肌荒れ状態がひどい、ということができる。また、逆に、肌状態が改善することにより、重層剥離の程度も小さくなる。」と、記載されている。 角層を光学顕微鏡で観察すると、角層は半透明であり、視野がぼやけるので角層剥離の重層度を評価することは困難である。そこで、一般的に角層をゲンチアナバイオレット、ブリリアントグリーンで染色した後に光学顕微鏡で観察し、角層が重なっている色の濃い部分を目視評価するか、画像解析することが行われている。しかし、染色ムラや角層ごとの染色され易さの違いにより、正確な重層度を評価することが困難であった。また、染色操作が煩雑であり、染色操作によって角層が剥離する危険性もあった。 染色せずにそのまま角質細胞を観察する方法として、特許文献2(特許第3709382号公報)には、紫外線下で顕微鏡やビデオマイクロスコープを介して撮影し、角質細胞の形状認識、及び面積測定を行った技術が開示されている。角層が一層か数層重なって剥離するかという角質細胞の剥離パターンは、肉眼判定、あるいは、画像の濃さなどを輝度から算出し、推定することができると記載されており、重層度の評価は染色法と同様に2次元画像の濃淡(光の強度)の評価であり、重層度を正確に評価することが困難である。 特許文献3(特開2006−17688号公報)には、顕微鏡下、乃至は、拡大ビデオでの観察下、油浸オイルで封入されたスライドグラス上の角層細胞に、紫外線光源より紫外線を照射し、紫外線によって励起される、角層細胞の蛍光強度を指標として皮膚より採取した角層細胞のケラチンの六体構造を鑑別する方法が開示されているが、角層の重層性を判断することは開示されていない。具体的には、(1)粘着テープを使用し、テープストリップにより皮膚より角層細胞を採取する、(2)(1)の角層細胞の付着した粘着テープを、そのままスライドグラスに貼り付け、有機溶剤(キシレン等)中で一夜浸漬し、テープの粘着剤を軟化及び/又は溶解させ、スライドグラス上に角層細胞標本を転移させる、(3)の標本の角層細胞数を減少させ、スライドグラス上に角層細胞数1個の標本を作成し、油浸オイルを滴下し、カバーグラスをのせて封入する、(4)(3)の標本を、拡大観察手段の元にセットし、メタルハライド光源或いはLED光源の絞りを調節しながら紫外線を照射し、角層細胞の自家蛍光を観察し、その画像を取り込む、(5)(4)の取り込んだ画像の輝度を解析し、その代表値を算出し、角層細胞固有の蛍光強度と推定する、(6)条件の異なる角層細胞の蛍光強度を比較し、角層細胞のケラチンの立体構造の差異を鑑別する、とされている。 特許文献4(特開2005−348991号公報)には、皮膚より採取した角層細胞に紫外線を照射し、該紫外線によって発光する蛍光強度によって、角層細胞におけるβシート型のケラチンの存在割合の推定及び/又は皮膚柔軟性を鑑別する方法が、開示されている。 特許文献5(特許3980774号公報)には、非医療的使用を目的とする敏感肌鑑別法として、(1)年齢の異なるパネラーの角質細胞を各季節毎に採取し、これら採取した角質細胞の面積を測定し、これら角質細胞の面積の結果を回帰分析することにより、年齢を説明変数とする標準角質細胞面積を求める回帰式を各季節毎に予め用意し、(2)敏感肌か否かを鑑別する被験者に対し、その被験者の角質細胞を採取し、その角質細胞の面積を測定し、(3)上記(2)で被験者から角質細胞を採取した季節及び被験者の年齢を考慮することにより、上記(1)で得られた回帰式を用いて、被験者の年齢に対応した標準角質細胞面積を得て、(4)上記(3)で得られた標準角質細胞面積と上記(2)で得られた被験者の角質細胞面積とを比較し、上記(2)で得られた被験者の角質細胞面積が上記(3)で得られた標準角質細胞面積より50〜200μm2小さい場合に、敏感肌であると鑑別する、非医療目的の敏感肌の鑑別法が、開示されている。この角質細胞の面積測定法としては、角質細胞を粘着剤つきのディスクを用い、角質細胞を採取し、これを粘着テープに転写し、ブリリアントグリーンで染色した後、顕微鏡下角質細胞面積を測定する方法が採用されている。 特許文献6(特開2004−97436号公報)には、敏感肌を3タイプに分類する敏感肌の分類するパラメーター重層剥離に着目し、(1)皮膚の角層水分量、経皮水分蒸散量(TEWL)及び表皮の異常角化量である重層剥離量のいずれか一つのパラメーターが、統計処理にて非敏感肌に較べ有意である表皮バリア機能低下タイプと分類できることが、開示されている。この文献では、重層剥離量測定方法として、粘着面を有する角質層採取シートを用いるテープストリッピング法によって角質層を採取し、表皮の異常角化によって層状に塊として剥離した重層剥離角質層が付着したシートを透過光にて撮像した画面をイメージプロセッサーによって輝度反転画像にすることにより、角質層が厚く付着している部分ほど高輝度となるので、数1の式により表皮の異常の角化である重層剥離量を算出する方法を採用している。また、表皮の厚さと真皮乳頭密度の測定手段として、共焦点レーザー顕微鏡による頬部皮膚観察を用いることができることが開示されている。「波長830nmのレーザー光源を用いることにより、ヒト皮膚にダメージを与えることなく、皮膚表面から真皮上層までの任意の水平断面像を得ることが可能となる。被験者の頬部にプローブを接着することにより表皮内部観察を行う。本機器には垂直方向のマイクロメータが付属していて、表皮の厚さ測定と真皮乳頭密度の画像観察が可能である。尚、紫外線等の継続的な炎症を受けると、表皮の厚さが増加することは知られているが、表皮の厚さや真皮乳頭密度と敏感肌との関連についての報告はない。」と、記載されている。特開2004−175678号公報特許第3709382号公報特開2006−17688号公報特開2005−348991号公報特許3980774号公報特開2004−97436号公報 角層の重層剥離に着目して、肌状態を評価する試みは上記特許文献にも開示されているように公知であるが、重層剥離を観察測定する手法としては、染色して行う方法や染色せずにそのまま角質細胞を観察する方法があるが、肉眼判定、あるいは、画像の濃さなどを輝度から算出し、推定するものであって、重層度の評価は染色法と同様に2次元画像の濃淡(光の強度)の評価であり、重層度を正確に評価することが困難であった。本願発明は、染色や転写などの工程を必要とすることなく簡便且つ正確に重層度を測定する方法を提供することを目的とする。(1)共焦点レーザー顕微鏡を用いて、採取した角層試料が発する自家蛍光を観察し、角層の高さ方向に分割した画像データを分析して角層の重層剥離状態を測定する方法であって、測定対象部位に粘着剤付きスライドグラスを押し当てて離して、スライドグラスに付着した角層試料を採取する工程、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、角層が最大面積で観察される高さ位置から得られた画像1を得る工程、当該画像1に基づいて角層面積Aを算出する工程、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、画像1の高さ位置と異なる1〜多数の高さ位置の角層の画像2を得る工程、当該画像2に基づいて、それぞれの高さの角層面積(角層面積B、C、D・・)を算出する工程、それぞれの高さの角層面積(角層面積B、C、D・・)を角層面積Aと比較して重層剥離度を求める工程からなることを特徴とする角層重層剥離状態の測定方法。(2)波長450〜600nmの自家蛍光を観察することを特徴とする(1)記載の角層重層剥離状態の測定方法。(3)(1)又は(2)記載の角層重層剥離状態の測定方法によって得られた重層剥離度を基礎として非医療目的として角層重層剥離状態を評価し、皮膚状態を評価する方法。 簡便且つ客観的に正確にストリッピング試料を用いた角層の重層剥離度合いを測定することができる。重層剥離の状態からその人の顔や手などの皮膚のバリア機能の状態を知ることができるので、非医療目的である皮膚の状態を勘案した客観的な化粧品の選定、化粧方法を選択、アドバイスすることができる。 本発明者は、角層重層剥離に着目し、角層の剥がれ具合を客観的に、且つ、簡便に調べることができれば、新規化粧料の開発評価やユーザーの肌状態に適した化粧料の選定に役立つと考え、研究開発を進めてきた。共焦点レーザー顕微鏡は、共焦点機能を用いることで焦点以外の画像を取り除くことができ、焦点部位のみの画像を取得することができる特徴を持ち、取り込んだ画像を基に三次元立体構造を作成できる。このような三次元立体構造作成機能を利用して、特許文献6や特開2004−337317号公報にもあるように、皮膚組織や細胞の三次元的な構造を解析するために用いられている例がある。しかしながら、皮膚組織内を観察するために、長波長(約800nm)のレーザー光源を用いているため、空間分解能が低く、角層の重層剥離を観察することは困難であった。本発明では、ストリッピングにより得た皮膚角層試料を共焦点レーザー顕微鏡を用いて観察したところ、従来のような試料の着色をすることなく立体構造を観察することができた。これをきっかけに更に検討を加えたところ、三次元的な連続した構造解析ではなく、ある高さの平面的なトレースを行うことにより、その高さの平面積を求めることができることに気づき、異なる高さの平面積をもとめ、その比較を行うことにより、角層の重層剥離状態を認識できると考えて、本発明に至ったものである。 共焦点レーザー顕微鏡に用いる光源としてレーザー光(固体レーザー、液体レーザー、ガスレーザー、半導体レーザー)を用いることができる。レーザーは光の収束に優れているので、レーザー光を走査して平面分解能の高い観察、測定が可能となる。従来の角層の蛍光観察、測定では隣接する角層からの反射光、蛍光が妨害するため、角層細胞が隣接しないようにばらばらにする前処理が必要であったが、本発明の共焦点レーザー顕微鏡を用いた測定では、剥離角層をそのまま観察、測定することが可能である。 本発明に用いるレーザー光の波長は400〜460nmである。レーザー光による照射波長を400nm以上とすることで、蛍光の退色を防ぎ、接着剤などの剥離角層以外の物質の励起を防ぐことができる。460nmを超えると、蛍光強度が弱まり、観察が困難となる。 検出波長範囲は、450〜600nmである。450nm未満であると、直接反射光の影響を受ける。600nmを超えると蛍光強度が弱まり、観察が困難となる。 光学断層スライス像を得るために、検体を乗せるステージが0.1〜5μm刻みで、垂直方向に0.1〜10μm移動できる装置を用いることが好ましい。 本発明は測定試料として、スライドグラスを皮膚に押し当てて引き剥がすことにより、観察対象となる剥離角層を直接得ることができる。剥離角層の基礎データとして、スライドグラスに付着した最大面積となる高さ方向の位置を観察により決定する。具体的には、共焦点のピンホールを外して、水銀ランプなどの光源による自家蛍光像を目視観察し、剥離角層が最大面積となるように焦点をあわせる。その後、ピンホールを用い、共焦点レーザー顕微鏡でステージを0.5μmずつ動かし、自家蛍光画像が最大面積となるように焦点をあわせる。 この最大剥離面積となる高さ位置を基礎高さとして、更に、ある一定分高くした位置で角層の面積を測定し、この後者の面積を前の最大剥離面積と比較(例えば、比率)して、重層剥離度とする。順次高くして測定することにより、等高線上の角層面積を得ることができ、重層深度に応じた重層剥離度を測定することができる。 本発明者は、この重層剥離度を従来の手法と比較し、整合することを確認できたので、客観的な重層剥離指標となることを提案するものである。 具体的には次のように行うことができる。 被験者の頬や手、腕などの対象部位に対して、スライドグラスに樹脂製粘着剤を薄く塗布し、適当な粘着力を持った半渇き状態で皮膚に圧着し、角層を粘着採取して、共焦点レーザー顕微鏡観察用角層試料とする。共焦点レーザー顕微鏡により、自家蛍光像を用いて、角層の重層剥離度を評価した。本発明では、自家蛍光とは蛍光誘導体化せずに角層自体が発する蛍光を意味する。自家蛍光として波長450〜600nmを用いることが好ましい。 共焦点レーザー顕微鏡にて、最下層の画像(画像1とする。角層面積が最大となる高さに共焦点を合わせた。)と、そこから共焦点の位置が異なる1〜多数の高さ位置の角層の画像を得る。例えば、5μm高くした角層の画像(画像2とする。)を撮影する(図1参照)。Scion Corporation製画像解析ソフトScion Imageを用いて画像1、2の角層の有無を輝度の閾値により区別する。画像1と画像2の角層面積を求め、以下の式により重層剥離度(%)を算出することができる。共焦点レーザー顕微鏡の×20レンズの焦点深度は5.1μmなので、画像1と画像2の画像情報は、5μm以下の層厚と5μm以上の層厚に分けて検出することができる。尚、1枚のスライドグラスから複数箇所撮影し、測定値を平均することにより、誤差を小さくすることができる。 本発明者は、画像1から1μm間隔で画像を取得し、アトピー患者と健常人の重層剥離度を比較した。その結果、画像1から20μm高くしたところまで角層が観察されたが、重層剥離度の差が最大となるのが5μmだったので、画像2の測定位置を5μmに設定した。角層の厚さは20μmであり、角質細胞は約10層重なっているといわれている。5μmの位置で観察される角層は、2〜3層重なった角層と推測される。また、焦点深度が5.1μmの対物レンズを用いたので、画像1と画像2の位置を5μm離すことにより、画像情報を分離することができた。 〔数1〕 重層剥離度(%)=(画像2の角層面積/画像1の角層面積)×100 (式1) 別途採取した角層を、従来手法を用いて角層剥離の重層度を測定し、本願発明の共焦点レーザー顕微鏡を用いた測定値と比較した結果、従来手法と相関関係が認められた。共焦点レーザー顕微鏡で測定した重層剥離度は客観データであり、角層の重層剥離の指標として信頼性が高いことがわかる。 前腕内側部の皮膚から角層を採取して、角層剥離の重層度を測定した。1.角層採取1.1染色用角層採取 前腕内側部洗浄15分後に、下記、角層の採取を行った。アサヒバイオメッド製角層チェッカーを用いて角層を採取した。1.2 共焦点レーザー顕微鏡観察用角層採取 スライドグラスに樹脂製粘着剤を薄く塗布し、適当な粘着力を持った半渇き状態で皮膚に圧着し、角層を粘着採取した。 2.角層の染色並びに目視観察 角層チェッカーをゲンチアナバイオレット・ブリリアントグリーンで染色した。染色した角層をビデオマイクロスコープ(VHX-100 KEYENCE)で観察し、重層スコアを目視評価した。評価基準は以下の5段階である。1枚の角層チェッカーについて4箇所観察し、平均値を求めた。目視評価重層スコア基準 スコア1:角層のほぼ全てが重層している スコア2:重層している角層が全体の1/2程度を占める スコア3:重層している角層が全体の1/3程度を占める スコア4:重層している角層が若干ある スコア5:重層している角層がほとんど無い3.共焦点レーザー顕微鏡による重層剥離度の測定 共焦点レーザー顕微鏡(OLYMPUS FV-1000)による自家蛍光像(ここで自家蛍光とは蛍光誘導体化せずに角層自体が発する蛍光を意味する)を用いて、角層の重層剥離度を評価した。3.1 装置 共焦点レーザー顕微鏡(OLYMPUS FV-1000)3.2 重層剥離度の測定 共焦点レーザー顕微鏡の条件設定を表1に示す。重層剥離度を評価するために、最下層の画像(画像1とする。角層面積が最大となる高さに共焦点を合わせた。)と、そこから共焦点の位置を5μm高くした角層の画像(画像2とする。)を撮影した。なお、×20レンズの焦点深度は5.1μmなので、画像1と画像2の画像情報はほぼ分離される。画像解析ソフトScion Imageを用いて画像1、2の角層の有無を輝度の閾値により区別した。画像1と画像2の角層面積を求め、以下の式1により重層剥離度(%)を算出した。尚、1枚のスライドグラスから4箇所撮影し、測定値を平均した。画像1,2の例を図2、3に示す。 〔数2〕 重層剥離度(%)=(画像2の角層面積/画像1の角層面積)×100 (式1)3.3 角層の自家蛍光強度の測定 3.2 重層剥離度の測定の条件で最下層の角層画像を取得し、角層が存在しているとみなす閾値以上の自家蛍光(470-475nm)強度を角層が存在しているとみなした画素で平均した。4 重層剥離度と重層スコアの比較結果 目視評価による重層スコアと共焦点レーザー顕微鏡で測定した重層剥離度を表2に示す。重層スコアと重層剥離度との間に逆相関の関係が見られた(図4)。重層スコアは、重層剥離度と逆の基準なので結果は矛盾しない。 共焦点レーザー顕微鏡で測定した重層剥離度は客観データであり、角層の重層剥離の指標として信頼性が高い。重層スコアは重層剥離度と逆相関関係にあり、目視評価でもある程度の評価は可能である。 したがって、共焦点レーザー顕微鏡で測定した重層剥離度を客観的な指標として、皮膚のバリア機能の程度を評価して、その皮膚状態に適した化粧料を選択することができる。あるいは、その個々人に適した化粧料をアドバイスできる。そして、この共焦点レーザー顕微鏡を利用した重層剥離度の測定は、試料採取用のスライドを皮膚に押し当てて採取した試料をそのまま測定できるから、短時間にその場で測定することができるので、即応性が高い。利用勝手に優れた手法である。共焦点レーザー顕微鏡を使用した重層剥離の撮影方法(CLSM)を示す模式図共焦点レーザー顕微鏡画像1共焦点レーザー顕微鏡画像2重層スコアと重層剥離度の相関を示すグラフ 共焦点レーザー顕微鏡を用いて、採取した角層試料が発する自家蛍光を観察し、角層の高さ方向に分割した画像データを分析して角層の重層剥離状態を測定する方法であって、測定対象部位に粘着剤付きスライドグラスを押し当てて離して、スライドグラスに付着した角層試料を採取する工程、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、角層が最大面積で観察される高さ位置から得られた画像1を得る工程、当該画像1に基づいて角層面積Aを算出する工程、共焦点レーザー顕微鏡を用いて、画像1の高さ位置と異なる1〜多数の高さ位置の角層の画像2を得る工程、当該画像2に基づいて、それぞれの高さの角層面積(角層面積B、C、D・・)を算出する工程、それぞれの高さの角層面積(角層面積B、C、D・・)を角層面積Aと比較して重層剥離度を求める工程からなることを特徴とする角層重層剥離状態の測定方法。 波長450〜600nmの自家蛍光を観察することを特徴とする請求項1記載の角層重層剥離状態の測定方法。 請求項1又は2記載の角層重層剥離状態の測定方法によって得られた重層剥離度を基礎として非医療目的として角層重層剥離状態を評価し、皮膚状態を評価する方法。


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