生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_新規乳酸菌株及びその利用
出願番号:2008080121
年次:2009
IPC分類:C12N 1/20,A23L 1/30,A61K 35/74,A61P 1/14,A61P 31/04


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薮本 義江 薮本 鐵美 鈴木 和人 吉田 百合子 JP 2009232702 公開特許公報(A) 20091015 2008080121 20080326 新規乳酸菌株及びその利用 株式会社フィス 504312667 松井 茂 100086689 薮本 義江 薮本 鐵美 鈴木 和人 吉田 百合子 C12N 1/20 20060101AFI20090918BHJP A23L 1/30 20060101ALI20090918BHJP A61K 35/74 20060101ALI20090918BHJP A61P 1/14 20060101ALI20090918BHJP A61P 31/04 20060101ALI20090918BHJP JPC12N1/20 AC12N1/20 EA23L1/30 ZA61K35/74A61P1/14A61P31/04 3 OL 9 4B018 4B065 4C087 4B018MD86 4B018ME09 4B018ME11 4B018MF13 4B065AA30X 4B065AC14 4B065CA42 4B065CA44 4C087AA01 4C087AA02 4C087BC56 4C087CA08 4C087CA09 4C087CA10 4C087MA16 4C087MA52 4C087NA14 4C087ZA69 4C087ZB35 本発明は、乳酸菌ラクトバチルス ケフィリの新菌株及びその利用に関するものである。 乳酸菌発酵産物であるヨーグルトなどには、バクテリオリオシンなどの抗菌物質が含まれていることが知られている。そして、その抗菌性により、腸内環境に悪い影響を与える腸内細菌の成長を抑制し、腸内環境に良い影響を与える腸内細菌の成長を促すものと考えられている。 乳酸菌による腸内細菌に対する抗菌性については、下記特許文献1に、大腸菌(E. coli)O157:H7および他の病原菌の発生率および増殖を抑制するために、ラクトバチルス ケフィリ等の乳酸生成バクテリアを、動物に投与することが記載されている。特表2006−501311号公報 しかし、上記特許文献1に記載の技術は、反芻動物の腸内病原菌の発生を抑えるための技術であり、必ずしもヒトの腸内環境改善等の健康増進に資するための技術ではなかった。 したがって、本発明の目的は、ヒトの腸内環境改善等に有用であることが経験的に知られているケフィアグレインから、抗菌活性の高い新菌株を単離し、これを利用することにある。 本発明は下記のとおりである。(1)ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)を培養して得られることを特徴とする培養物。(2)ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)を培養して得られる培養物を含むことを特徴とする発酵飲食品。(3)ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)。 本発明の培養物によれば、腸内環境に悪い影響を与える腸内細菌の成長を抑制することができる。したがって、これを経口的に摂取することで、腸内環境改善等の健康増進を図ることができる。また、本発明の発酵食品によれば、腸内環境改善等の健康増進に資する飲食品を提供することができる。 本発明は、新規な乳酸菌株を見出したことに基づく。すなわち、その菌株は、ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号:FERM BP-10896、寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)であり、以下、これを「P-IF菌」という。 この「P-IF菌」は、ケフィアグレインから、MRS寒天培地で24時間培養後、シングルコロニーを釣菌することで、単離した。 表1には、「P-IF菌」の菌学的性質を示す。 また、表2には、「P-IF菌」の資化特性を示す。 「P-IF菌」の16S rDNA の塩基配列を決定し、微生物の16S rDNA 塩基配列のデータベースを利用して相同解析したところ、Lactobacillus Kefiriの配列に99.6%の相同性を示したことから、「P-IF菌」はLactobacillusKefiriに属すると推定された。また、上記菌学的性質や資化特性もLactobacillusKefiriの特性と一致していた。 ただし、ガラクトース資化性を有する点においては、従来のLactobacillus Kefiriとは異なっていた。また、試験管で液体培養すると、その試験管に少しの振動を与えるただけで、シャンパンのように炭酸ガスが発生した。これも、従来のLactobacillus Kefiriには見られない特徴であった。更に、図1に示すように、電子顕微鏡下に観察すると、通常では縦に平面的に分裂して伸びていくのに対して、「P-IF菌」では、他の菌と自由に接着して3次元的に分裂による増殖が進むという特徴を有していた。このことは、菌体表面の糖鎖などの構造が異なることを示唆していた。 また、「P-IF菌」はMRS液体培地における発酵過程においてpH4.3の低いpHに達し、生育を続けることが明らかとなっており、このことから胃酸に耐性をもち、腸管まで生きたまま達する可能性が示唆された。 以上から、「P-IF菌」は、Lactobacillus Kefiriに属する微生物であるが、形態的に独特の特徴を有する新菌株であることが明らかであった。 「P-IF菌」の培養は、公知の方法に準じて行うことができる。市販のMRS培地「Lactobacilli MRS Broth」(商品名、Difco社製品)用いて、嫌気静置培養する。この培養により培地成分の発酵が進む。 「P-IF菌」の培養においては、上記の培地等で前培養したものを種菌として、例えば、脱脂粉乳、乳清、牛乳などを1質量%〜50質量%となるようにイオン交換水に加えた培地を用いて、培地に播種して嫌気静置培養することもできる。 本発明においては、上記のようにして発酵が進んだ培養物をそのまま殺菌処理しないで用いることもでき、殺菌処理して用いることもできる。もしくは、上記培養物から遠心分離やろ過等によって菌体部分を分離除去した溶液部分を、本発明の培養物とすることもできる。あるいは、その他の培養物としての態様が制限されるものではない。 本発明の培養物を経口的に摂取する場合、その1日当りの摂取量に特に制限はないが、固形分換算で0.01(mg/kg体重)〜10(g/kg体重)であることが好ましく、0.05(mg/kg体重)〜1(g/kg体重)であることがより好ましい。 本発明の培養物は、医薬品、健康食品、加工食品等の各種分野で用いることができる。そして、製剤的形態に特に制限はなく、適宜公知の方法で、液剤、シロップ剤、ゼリー剤、カプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤、トローチ剤等に製剤して使用することができる。また、本発明の培養物は、各種飲食品に配合して用いることもできる。 以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。 <例1> (「P-IF菌」の培養物の調製) 「P-IF菌」をMRS液体培地に植菌して、25℃で48〜72時間、1010〜1011cfu/mlに至るまで増菌させた。その後、その一部を脱脂乳培地(イオン交換水90質量部に脱脂粉乳を10質量部を添加、混合し、121℃/15分で滅菌して調製した培地)の3mlに植菌して、25℃、5日間嫌気静置培養し発酵させた。得られた培養物は、黄褐色をしたヨーグルト状の液体であった。 <例2> (抗菌活性試験) 上記例1で得られた培養物の抗菌活性を調べた。具体的には、菌体をフィルター除去した培養物(250ml)に、同容のn −ブタノールを加え十分に混合し一晩静置した。次に遠心にてブタノール層と水層に分けそれぞれを回収した。その後ブタノール層を減圧下で濃縮・乾固させ た。これを少量の脱イオン水に溶解させ遠心上清を得、分画分子量1kDaの透析チューブにて脱イオン水に対して透析を行なった。透析外液を回収し減圧下で 濃縮し、凍結乾燥した、このものを1k以下画分とした。透析内液は遠心にて清澄化した後、凍結乾燥しlk以上画分とした。水層画分は減圧下で濃縮し、凍結乾燥した。 対照として、従来のケフィリ菌: Lactobacillus Kefiri菌(NBRC 15888; 公共分譲機関である独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門から入手可能)を用いて、上記例1と同様にして培養物を得、その菌体をフィルター除去したものの水溶性画分、lk以上のn−ブタノール画分、lk以下のn−ブタノール画分のそれぞれについて、その凍結乾燥物を調製した。 各被検試料を10mg/mlになるように脱イオン水に溶解させ、1/10Nの乳酸にてpHを4.5に調整し、ADVANTEC社製ペーパーディスク(8mm)に25及び50μ1吸収させた。 一方、ヒト糞便の一部を滅菌生理的食塩水で希釈しGAMブイヨン(日水製薬社製)を用いて、簡易嫌気培養ジャー「アネロパックケンキ」(商品名、三菱ガス化学社製)にて嫌気培養した。24時間後、GAMブイヨンより少量をシャーレにとり、プレートカウントアガー培地(Merck社製)を加えて混釈する混釈法によりプレートを作成した。 ヒト糞便からの菌を含む寒天平板培地に、各被検試料を吸収させたペーパーディスクをのせ、35℃、24時間培養を行い阻止円を観察した。その結果を表3に示す。 表3に示すように、「P-IF菌」の各画分には強い抗菌活性が認められた。一方、従来のケフィリ菌の各画分にも抗菌活性が認められたがその強さは全ての画分に於いて「P-IF菌」のものより弱かった。 今回試験に用いたヒト糞便由来の菌は腸内細菌の嫌気性菌叢であり、悪玉菌と言われているクロストリジウム属微生物が含まれている。「P-IF菌」の培養物はこれらの菌叢に対して強い抗菌効果を示したことから、より優れた腸内環境改善作用を有するものと考えられた。「P-IF菌」の電子顕微鏡写真を示す図である。 ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)を培養して得られることを特徴とする培養物。 ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)を培養して得られる培養物を含むことを特徴とする飲食品。 ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)。 【課題】腸内環境改善等の健康増進のために有用な新規乳酸菌株を提供する。【解決手段】ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)を培養して得られることを特徴とする培養物である。また、ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)を培養して得られる培養物を含むことを特徴とする飲食品である。【選択図】なし


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特許公報(B2)_新規乳酸菌株及びその利用

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_新規乳酸菌株及びその利用
出願番号:2008080121
年次:2010
IPC分類:C12N 1/20,A23L 1/30,A61K 35/74,A61P 1/14,A61P 31/04,C12R 1/225


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薮本 義江 薮本 鐵美 鈴木 和人 吉田 百合子 JP 4456160 特許公報(B2) 20100212 2008080121 20080326 新規乳酸菌株及びその利用 株式会社フィス 504312667 松井 茂 100086689 薮本 義江 薮本 鐵美 鈴木 和人 吉田 百合子 20100428 C12N 1/20 20060101AFI20100408BHJP A23L 1/30 20060101ALI20100408BHJP A61K 35/74 20060101ALI20100408BHJP A61P 1/14 20060101ALI20100408BHJP A61P 31/04 20060101ALI20100408BHJP C12R 1/225 20060101ALN20100408BHJP JPC12N1/20 AC12N1/20 EA23L1/30 ZA61K35/74 AA61P1/14A61P31/04C12N1/20 AC12R1:225C12N1/20 EC12R1:225 C12N 1/00−7/08 A23L 1/30 A61P 1/00−33/14 A61K 35/00−35/84 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) 特開2005−312424(JP,A) 特表2006−501311(JP,A) 5 FERM BP-10896 2009232702 20091015 8 20091210 水落 登希子 本発明は、乳酸菌ラクトバチルス ケフィリの新菌株及びその利用に関するものである。 乳酸菌発酵産物であるヨーグルトなどには、バクテリオリオシンなどの抗菌物質が含まれていることが知られている。そして、その抗菌性により、腸内環境に悪い影響を与える腸内細菌の成長を抑制し、腸内環境に良い影響を与える腸内細菌の成長を促すものと考えられている。 乳酸菌による腸内細菌に対する抗菌性については、下記特許文献1に、大腸菌(E. coli)O157:H7および他の病原菌の発生率および増殖を抑制するために、ラクトバチルス ケフィリ等の乳酸生成バクテリアを、動物に投与することが記載されている。特表2006−501311号公報 しかし、上記特許文献1に記載の技術は、反芻動物の腸内病原菌の発生を抑えるための技術であり、必ずしもヒトの腸内環境改善等の健康増進に資するための技術ではなかった。 したがって、本発明の目的は、ヒトの腸内環境改善等に有用であることが経験的に知られているケフィアグレインから、抗菌活性の高い新菌株を単離し、これを利用することにある。 本発明は下記のとおりである。(1)ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)を培養して得られることを特徴とする培養物。(2)請求項1記載の培養物を有効成分として含有する抗菌剤。(3)請求項1記載の培養物を有効成分として含有する腸内環境改善剤。(4) 請求項1記載の培養物を含有する飲食品。(5)ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)。 本発明の培養物によれば、腸内環境に悪い影響を与える腸内細菌の成長を抑制することができる。したがって、これを経口的に摂取することで、腸内環境改善等の健康増進を図ることができる。また、本発明の発酵食品によれば、腸内環境改善等の健康増進に資する飲食品を提供することができる。 本発明は、新規な乳酸菌株を見出したことに基づく。すなわち、その菌株は、ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号:FERM BP-10896、寄託機関:独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター 茨城県つくば市東1丁目1番地1 中央第6)であり、以下、これを「P-IF菌」という。 この「P-IF菌」は、ケフィアグレインから、MRS寒天培地で24時間培養後、シングルコロニーを釣菌することで、単離した。 表1には、「P-IF菌」の菌学的性質を示す。 また、表2には、「P-IF菌」の資化特性を示す。 「P-IF菌」の16S rDNA の塩基配列を決定し、微生物の16S rDNA 塩基配列のデータベースを利用して相同解析したところ、Lactobacillus Kefiriの配列に99.6%の相同性を示したことから、「P-IF菌」はLactobacillusKefiriに属すると推定された。また、上記菌学的性質や資化特性もLactobacillusKefiriの特性と一致していた。 ただし、ガラクトース資化性を有する点においては、従来のLactobacillus Kefiriとは異なっていた。また、試験管で液体培養すると、その試験管に少しの振動を与えるただけで、シャンパンのように炭酸ガスが発生した。これも、従来のLactobacillus Kefiriには見られない特徴であった。更に、図1に示すように、電子顕微鏡下に観察すると、通常では縦に平面的に分裂して伸びていくのに対して、「P-IF菌」では、他の菌と自由に接着して3次元的に分裂による増殖が進むという特徴を有していた。このことは、菌体表面の糖鎖などの構造が異なることを示唆していた。 また、「P-IF菌」はMRS液体培地における発酵過程においてpH4.3の低いpHに達し、生育を続けることが明らかとなっており、このことから胃酸に耐性をもち、腸管まで生きたまま達する可能性が示唆された。 以上から、「P-IF菌」は、Lactobacillus Kefiriに属する微生物であるが、形態的に独特の特徴を有する新菌株であることが明らかであった。 「P-IF菌」の培養は、公知の方法に準じて行うことができる。市販のMRS培地「Lactobacilli MRS Broth」(商品名、Difco社製品)用いて、嫌気静置培養する。この培養により培地成分の発酵が進む。 「P-IF菌」の培養においては、上記の培地等で前培養したものを種菌として、例えば、脱脂粉乳、乳清、牛乳などを1質量%〜50質量%となるようにイオン交換水に加えた培地を用いて、培地に播種して嫌気静置培養することもできる。 本発明においては、上記のようにして発酵が進んだ培養物をそのまま殺菌処理しないで用いることもでき、殺菌処理して用いることもできる。もしくは、上記培養物から遠心分離やろ過等によって菌体部分を分離除去した溶液部分を、本発明の培養物とすることもできる。あるいは、その他の培養物としての態様が制限されるものではない。 本発明の培養物を経口的に摂取する場合、その1日当りの摂取量に特に制限はないが、固形分換算で0.01(mg/kg体重)〜10(g/kg体重)であることが好ましく、0.05(mg/kg体重)〜1(g/kg体重)であることがより好ましい。 本発明の培養物は、医薬品、健康食品、加工食品等の各種分野で用いることができる。そして、製剤的形態に特に制限はなく、適宜公知の方法で、液剤、シロップ剤、ゼリー剤、カプセル剤、散剤、錠剤、顆粒剤、トローチ剤等に製剤して使用することができる。また、本発明の培養物は、各種飲食品に配合して用いることもできる。 以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。 <例1> (「P-IF菌」の培養物の調製) 「P-IF菌」をMRS液体培地に植菌して、25℃で48〜72時間、1010〜1011cfu/mlに至るまで増菌させた。その後、その一部を脱脂乳培地(イオン交換水90質量部に脱脂粉乳を10質量部を添加、混合し、121℃/15分で滅菌して調製した培地)の3mlに植菌して、25℃、5日間嫌気静置培養し発酵させた。得られた培養物は、黄褐色をしたヨーグルト状の液体であった。 <例2> (抗菌活性試験) 上記例1で得られた培養物の抗菌活性を調べた。具体的には、菌体をフィルター除去した培養物(250ml)に、同容のn −ブタノールを加え十分に混合し一晩静置した。次に遠心にてブタノール層と水層に分けそれぞれを回収した。その後ブタノール層を減圧下で濃縮・乾固させ た。これを少量の脱イオン水に溶解させ遠心上清を得、分画分子量1kDaの透析チューブにて脱イオン水に対して透析を行なった。透析外液を回収し減圧下で 濃縮し、凍結乾燥した、このものを1k以下画分とした。透析内液は遠心にて清澄化した後、凍結乾燥しlk以上画分とした。水層画分は減圧下で濃縮し、凍結乾燥した。 対照として、従来のケフィリ菌: Lactobacillus Kefiri菌(NBRC 15888; 公共分譲機関である独立行政法人 製品評価技術基盤機構 バイオテクノロジー本部 生物遺伝資源部門から入手可能)を用いて、上記例1と同様にして培養物を得、その菌体をフィルター除去したものの水溶性画分、lk以上のn−ブタノール画分、lk以下のn−ブタノール画分のそれぞれについて、その凍結乾燥物を調製した。 各被検試料を10mg/mlになるように脱イオン水に溶解させ、1/10Nの乳酸にてpHを4.5に調整し、ADVANTEC社製ペーパーディスク(8mm)に25及び50μ1吸収させた。 一方、ヒト糞便の一部を滅菌生理的食塩水で希釈しGAMブイヨン(日水製薬社製)を用いて、簡易嫌気培養ジャー「アネロパックケンキ」(商品名、三菱ガス化学社製)にて嫌気培養した。24時間後、GAMブイヨンより少量をシャーレにとり、プレートカウントアガー培地(Merck社製)を加えて混釈する混釈法によりプレートを作成した。 ヒト糞便からの菌を含む寒天平板培地に、各被検試料を吸収させたペーパーディスクをのせ、35℃、24時間培養を行い阻止円を観察した。その結果を表3に示す。 表3に示すように、「P-IF菌」の各画分には強い抗菌活性が認められた。一方、従来のケフィリ菌の各画分にも抗菌活性が認められたがその強さは全ての画分に於いて「P-IF菌」のものより弱かった。 今回試験に用いたヒト糞便由来の菌は腸内細菌の嫌気性菌叢であり、悪玉菌と言われているクロストリジウム属微生物が含まれている。「P-IF菌」の培養物はこれらの菌叢に対して強い抗菌効果を示したことから、より優れた腸内環境改善作用を有するものと考えられた。「P-IF菌」の電子顕微鏡写真を示す図である。 ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)を培養して得られることを特徴とする培養物。 請求項1記載の培養物を有効成分として含有する抗菌剤。 請求項1記載の培養物を有効成分として含有する腸内環境改善剤。 請求項1記載の培養物を含有する飲食品。 ラクトバチルス ケフィリP-IF(Lactobacillus Kefiri P-IF)(受託番号FERM BP-10896)。


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