生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_イソチオシアネート類含有植物の利用方法
出願番号:2008073005
年次:2009
IPC分類:A23L 1/30,A61K 36/00,A61P 3/02


特許情報キャッシュ

市川 佳伸 永井 雅 JP 2009225698 公開特許公報(A) 20091008 2008073005 20080321 イソチオシアネート類含有植物の利用方法 金印株式会社 591011007 染谷 仁 100070758 市川 佳伸 永井 雅 A23L 1/30 20060101AFI20090911BHJP A61K 36/00 20060101ALN20090911BHJP A61P 3/02 20060101ALN20090911BHJP JPA23L1/30 BA61K35/78 XA61P3/02 11 OL 9 4B018 4C088 4B018MD61 4B018ME14 4B018MF01 4B018MF06 4C088AB15 4C088AC13 4C088BA08 4C088BA11 4C088BA31 4C088CA06 4C088CA11 4C088MA52 4C088ZC21 本発明は本わさび、西洋わさび、クレソン等のイソチオシアネート類を含有する植物を原料とし、この原料からイソチオシアネート類を高比率で安定的に抽出し、得られた抽出液を食品あるいは医薬品素材として利用するイソチオシアネート類含有植物の利用方法に関する。 アブラナ科植物やフウチョウソウ科植物、パパイア科植物等は種々のイソチオシアネート類を含有しており、このイソチオシアネート類は食品、または医薬品として優れた生体調節機能を有していることが知られている。例えば、本わさびに含まれる6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネートやパパイアに含まれるベンジルイソチオシアネートは解毒代謝酵素の誘導作用を示し、さらにブロッコリーに含まれるスルフォラファンは発ガン抑制作用を有していることが近年の研究によって明らかにされている。 これらの機能性はイソチオシアネート類の持つ求電子試薬としての性質に因るところが大きいが、反面、その反応性の高さのため容易に分解したり、共存する物質と反応して付加化合物を形成する。また、植物体中のイソチオシアネート類は概して低濃度であり、生体調節機能を発揮させるためには、該植物を多量に摂取する必要があった。 一般的に、植物等からの有効成分の抽出には、熱水や含水アルコールが使用される(特開2005−281220号公報、特開平11−196818号公報)。しかし、これらの方法を本わさびや西洋わさびに適用した場合、イソチオシアネート類が変性したり、高刺激性・高揮発性のアリルイソチオシアネートまでが抽出されてしまうため、実用的な方法とはなり得ない。 アブラナ科植物から辛味成分(アリルイソチオシアネート)を含まないイソチオシアネート類を抽出する方法が特許第3919489号として考案されている。この方法は、本わさび等のアブラナ科植物をすりおろし、酵素反応により発生したイソチオシアネート類から辛味成分であるアリルイソチオシアネートを吸引や加熱処理等により除き、さらに水やエタノール、アセトン等によりイソチオシアネート類を抽出するという手法である。 しかしながら、この方法では、抽出溶媒や植物体自体に含まれる水分により、ブドウ糖や水溶性食物繊維等の狭雑成分まで抽出されるため、有効成分であるイソチオシアネート類の含有率は非常に低くなってしまう。この特許第3919489号は実施例4として、以下のように記載されている。「実施例4 本わさびの根茎1kgを凍結粉砕した。これをステンレス製の密封容器に入れ25℃で3時間放置して酵素反応を起こさせた。これらを50cm角の棚板を広げ、熱風乾燥機にて50℃1時間放置して辛味を飛ばした。この辛味を除去したわさびに水3リットルを加え、1時間室温で撹拌抽出した後、加圧ろ過器にて加圧ろ過し、抽出液を得た。この操作を再度繰り返し、抽出液合計5.6リットルを得た。この抽出液をエバポレーターにて約20分の1量まで濃縮した後、噴霧乾燥機(スプレードライヤー)にて噴霧乾燥し、乾燥粉末55gを得た。この乾燥粉末0.5gに水2mlを加え、ジエチルエーテルにて抽出し、ガスクロマトグラフィーにて分析をした結果、6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネートが乾燥粉末1gあたり10.9mg含まれていた。」 しかしながら、この公知方法では、粉末化した抽出物中の6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネートの含有率は0.27〜1.1%(W/W)に留まる。抽出物中の有効成分濃度が低いということは、すなわち有効成分を有効量摂取するために多量の抽出物を食品や医薬品に配合する必要があることを示している。有効成分濃度が低い抽出物は、配合可能な商品の選択技が限定され、産業上の利用価値が低いといえる。 食と健康への関心が高まっている昨今、健康食品や医薬品素材としてのイソチオシアネート類が注目されつつある。このため、イソチオシアネート類を安定的に高濃度で含有した食品・医薬品素材の開発が望まれている。特開2005−281220号公報特開平11−196818号公報特許第3919489号 そこで、本発明の課題は、イソチオシアネート類を含有する植物原料からイソチオシアネート類を安定的に高濃度で含有せしめ、食品あるいは医薬品素材として利用する、上述の公知技術の欠点を克服したイソチオシアネート類含有植物の利用方法を提供することにある。 上述の課題を解決するため、本発明のイソチオシアネート類含有植物の利用方法によれば、イソチオシアネート類を含有する植物原料をすりおろし等の手段を用いて粉砕し、酵素反応によりイソチオシアネート類を生成させ、次いで凍結乾燥や熱風乾燥等の乾燥処理によりこの粉砕物から水分を除去し、その後にこの乾燥物から、アルコールや食用油等の非水性溶媒を用いてイソチオシアネート類を抽出し、この抽出液を食品あるいは医薬品素材として利用することを特徴とする。 本発明は上述のとおり、イソチオシアネート類を含有する植物原料を粉砕してイソチオシアネート類を発生させ、乾燥処理して水分を除去し、非水性溶媒でイソチオシアネート類を抽出し、得られた抽出物を食品あるいは医薬品素材として利用するようにしたから、イソチオシアネート類を安定的に、かつ高濃度に含有した食品あるいは医薬品を得ることができる。 以下、本発明を具体的に詳述する。 本発明に用いられる植物原料はイソチオシアネート類を含有する植物種である。例えば、バティス科(Bataceae)、アブラナ科(Brassicaceae)、ブレッシュネイデラ科(Bretschneideraceae)、フウチョウソウ科(Capparaceae)、パパイア科(Caricaceae)、トウダイグサ科(Euphorbiaceae)、ギロステモン科(Gyrostemonaceae)、リムナンテス科(Limnanthaceae)、ワサビノキ科(Moringaceae)、ペンタディプランドラ科(Pentadiplandraceae)、ヤマゴボウ科(Phytolaccaceae)、トベラ科(Pittosporaceae )、モクセイソウ科(Resedaceae)、サルウァドラ科(Salvadoraceae)、トウァリア科(Tovariaceae)、ノウゼンハレン科(Tropaeolaaaaceae)の植物、例えば、Batis maritima(和名不詳)、本わさび(Wasabia japonica)、西洋わさび(Armoracia rusticana)、からし(Brassica juncea)、ブロッコリー(Brassica oleracea var. italica)、シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、ナズナ(Capsella bursa-pastoris)、クレソン(Nasturtium officinale)、Bretschneidera sinensis(和名不詳)、ケッパー(Capparis spinosa)、パパイア(Carica papaya)、Drypetes roxburghii(別名:Putranjiva roxburghii、和名不詳)、Tersonia brevipes(和名不詳)、Limnanthes douglasii(和名不詳)、ワサビノキ(Moringa oleifera)、Pentadiplandra brazzeana(和名不詳)、ヨウシュヤマゴボウ(Phytolacca americana)、Bursaria spinosa var. incana(和名不詳)、シノブモクセイソウ(Reseda alba)、Salvadora persica(和名不詳)、Tovaria pendula (和名不詳)、キンレンカ(Tropaeolum majus)等が使用できる。ただし、本発明で使用できる植物種は、上記の植物種に限定されるものではなく、イソチオシアネート類を含有する全ての植物種が原料として使用できる。 これらの植物は、特徴的なイソチオシアネート類を含有している。例えばBatis maritimaは4−ヒドロキシインドール−3−イルメチルイソチオシアネート、本わさびは6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネート、西洋わさびは2−フェネチルイソチオシアネート、からしは4−メチルスルフィニル−3−ブテニルイソチオシアネート、ブロッコリーはスルフォラファン、シロイヌナズナは4−メトキシインドール−3−イルメチルイソチオシアネート、ナズナは10−メチルスルフィニルデシルイソチオシアネート、クレソンは7−メチルスルフィニルへプチルイソチオシアネート、Bretschneidera sinensisは3,4−ジヒドロキシベンジルイソチオシアネート、ケッパーは5−オキソへプチルイソチオシアネート、パパイアはベンジルイソチオシアネート、Drypetes roxburghiiは2−ヒドロキシ−2−メチルブチルイソチオシアネート、Tersonia brevipesは1−メチルプロピルイソチオシアネート、Limnanthes douglasiiは3−メトキシベンジルイソチオシアネート、ワサビノキは4−ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、Pentadiplandra brazzeanaは2−(4−メトキシフェニル)−2,2−ジメチルエチルイソチオシアネート、ヨウシュヤマゴボウは4−ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、Bursaria spinosa var. incanaは4−ヒドロキシベンジルイソチオシアネート、シノブモクセイソウはインドール−3−イルメチルイソチオシアネート、Salvadora persica はベンジルイソチオシアネート、Tovaria pendulaは1−アセチル−インドール−3−イルメチルイソチオシアネート、キンレンカは4−メトキシベンジルイソチオシアネートをそれぞれ主なイソチオシアネートとして含有する。 本発明において、これらの植物を単独で、あるいは複数種混合して使用することが出来る。 上述の植物原料中のイソチオシアネート類は、通常は配糖体(グルコシノレート)として存在している。一般的に、グルコシノレートより、イソチオシアネートの方が生体内での吸収効率が良いので、グルコシノレートからイソチオシアネートを発生させるための酵素反応を行う。酵素反応は、植物体が保有する内在性の加水分解酵素を利用すれば良いが、これとは別に外部から酵素製剤を添加しても良い。 植物種、イソチオシアネート類の種類、酵素の種類などの違いにより、酵素反応の条件は若干変化するが、公知技術に照らし合わせて任意に設定すればよい。例えば、本わさびの場合、原料をすりおろして、20〜40℃の温度条件下で2時間程度放置すれば、酵素反応は充分に完了する。他の植物種においても、概ね上記条件で酵素反応は充分に完了する。 酵素反応が完了した原料は90%〜70%(W/W)程度の水分を含んでいる。これをそのまま溶媒で抽出すると、ブドウ糖、ショ糖、水溶性食物繊維等の狭雑物成分まで抽出されるため、有効成分であるイソチオシアネート類の含有率は非常に低くなってしまう。 そこで、原料中の水分を除去するために、凍結乾燥や熱風乾燥等の乾燥処理を行う。凍結乾燥の場合、酵素反応が完了した原料を凍結させた後に凍結乾燥装置により乾燥させる。熱風乾燥の場合、乾燥機の中で60〜80℃の熱風を対流させて乾燥させる。乾燥後の水分は5%(W/W)以下であれば充分であるが、3%(W/W)以下がさらに望ましい。 この乾燥工程により、植物中の高揮発性の成分は揮発して除去される。例えば、本わさび、西洋わさび、からしに含まれる高刺激性のアリルイソチオシアネートはこの乾燥工程で大部分が除去される。 続いて、上述の乾燥物からイソチオシアネート類の抽出を行う。抽出溶媒としては、水以外の溶媒が使用できるが、特に純度99%以上のエタノールが望ましい。純度の低いエタノールは原料中の狭雑成分まで溶出させてしまうため好ましくはない。 アルコール以外の抽出溶媒として食用油を使用することもできる。食用油は、菜種油、コーン油、大豆油、ゴマ油、米油、椿油、ベニバナ油、パーム油、綿実油、ひまわり油、エゴマ油、オリーブ油、ピーナツ油、アーモンド油、アボカド油、ヘーゼルナッツ油、クルミ油、グレープシード油、魚油等が使用できる。 上述の乾燥物は抽出溶媒を添加して抽出を行う。植物種、イソチオシアネート類の種類などの違いにより、抽出条件は若干変化するが、公知技術に照らし合わせて任意に設定すればよい。例えば、本わさびの場合、原料に対して4〜10倍量の溶媒を添加して、撹拌しながら常温で2時間程度抽出を行えば良い。 続いて、イソチオシアネート類を含んだ溶媒と、固形分を分離する。分離の方法は、ろ紙によるろ過や、膜ろ過、遠心分離などの方法を選択して用いることができる。 得られた抽出液(イソチオシアネート類を含有した抽出溶媒)はそのまま、あるいは濃縮、粉末化、または食用油に混合して、食品あるいは医薬品素材として利用される。具体的には、清涼飲料水、茶飲料、ドリンク剤、アルコール飲料等の液体食品、菓子、米飯類、パン類、麺類、調味料等の固形食品、粉末状、顆粒状、カプセル状、錠剤等の医薬品、医薬部外品等に使用することができる。 以下、本発明を実施例によって具体的に説明する。本わさび根茎に含まれるイソチオシアネート類を含有した食品素材の製造 本わさびの根茎1kgを凍結粉砕した。これをステンレス製の容器に入れて37℃で2時間放置して酵素反応を起こさせた。これを凍結乾燥処理して、210gの乾燥物を得た。これに1kgのエタノールを加え、1時間常温で撹拌抽出した後に、ろ紙とろ過助剤(セルロース)にてろ過して、抽出液を得た。抽出残渣に1kgのエタノールを加え再度抽出し、抽出液合計1.9kgを得た。この抽出液をエバポレーターにて濃縮し、20ml程度まで濃縮したら5gのセルロース微粉末を添加して混合した。この混合物を減圧乾燥に供し、乾燥粉末5.2gを得た。 比較のために、特許第3919489号の実施例4に記載の方法でイソチオシアネート類を抽出した。すなわち、本わさびの根茎1kgを凍結粉砕した。これをステンレス製の密封容器に入れて25℃で3時間放置して酵素反応を起させた。これを熱風乾燥機にて50℃1時間放置して辛味成分を揮発除去させた。これに3kgの水を加え、1時間常温で撹拌抽出した後に、加圧ろ過器にてろ過して、抽出液を得た。この操作を再度繰り返し、抽出液合計6.5kgを得た。この抽出液をエバポレーターにて20分の1量まで濃縮した後、噴霧乾燥機にて噴霧乾燥し、乾燥粉末53gを得た。 実施例1の方法で製造した乾燥粉末と、特許第3919489号の実施例4に記載の方法で製造した乾燥粉末に含まれるイソチオシアネート類の量をガスクロマトグラフィーにて分析した結果を表1に示す。特許第3919489号の実施例4に記載の方法と比較して、実施例1の方法で製造した乾燥粉末において、7.8%(W/W)と高い6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネート含有率を示した。本わさび根茎抽出物入りタブレットの製造 実施例1にて作製した本わさび根茎抽出物と果糖を2:3の割合にて混合し、打錠機にて打錠して、直径100mm、重量1000mgのタブレットを製造した。このタブレットは、1錠あたり31.2mgの6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネートを含む。パパイア果実に含まれるイソチオシアネート類を含有した食品素材の製造 パパイア果実2kgを凍結粉砕した。これをステンレス製の容器に入れて37℃で2時間放置して酵素反応を起させた。これを凍結乾燥処理した後に、220gの乾燥物を得た。これに1kgのエタノールを加え、1時間常温で撹拌抽出した後に、ろ紙とろ過助剤(セルロース)にてろ過して、抽出液を得た。抽出残渣に1kgのエタノールを加え再度抽出し、抽出液合計1.9kgを得た。この抽出液をエバポレーターにて濃縮し、20ml程度まで濃縮したら5gのセルロース微粉末を添加して混合した。この混合物を減圧乾燥に供し、乾燥粉末5.3gを得た。 実施例3の方法で製造した乾燥粉末に含まれるイソチオシアネート類の量をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、0.85%(W/W)のベンジルイソチオシアネートを含有していた。西洋わさび根茎に含まれるイソチオシアネート類を含有した食品素材の製造 西洋わさび根茎10kgを凍結粉砕した。これをステンレス製の容器に入れて37℃で2時間放置して酵素反応を起させた。これを凍結乾燥処理して、2.3kgの乾燥物を得た。これに10kgのエタノールを加え、1時間常温で撹拌抽出した後に、ろ紙とろ過助剤(セルロース)にてろ過して、抽出液を得た。抽出残渣に10kgのエタノールを加え再度抽出し、抽出液合計19kgを得た。この抽出液をエバポレーターにて濃縮し、100ml程度まで濃縮したら100mlの水を添加して混合した。この混合物を噴霧乾燥機にて噴霧乾燥し、乾燥粉末78gを得た。 実施例4の方法で製造した乾燥粉末に含まれるイソチオシアネート類の量をガスクロマトグラフィーにて分析した結果、4.7%(W/W)の2−フェネチルイソチオシアネートを含有していた。クレソンに含まれるイソチオシアネート類を含有した食品素材の製造 クレソンの可食部(葉と茎)1kgを凍結粉砕した。これをステンレス製の容器に入れて37℃で2時間放置して酵素反応を起させた。これを凍結乾燥処理した後に、60gの乾燥物を得た。これに300gのエタノールを加え、1時間常温で撹拌抽出した後に、ろ紙とろ過助剤(セルロース)にてろ過して、抽出液を得た。抽出残渣に300gのエタノールを加え再度抽出し、抽出液合計560gを得た。この抽出液をエバポレーターにて濃縮し、20ml程度まで濃縮したら3gのセルロース微粉末を添加して混合した。この混合物を減圧乾燥に供し、乾燥粉末3.2gを得た。 実施例5の方法で製造した乾燥粉末に含まれるイソチオシアネート類の量をガスクロマトグラフィーにて分析した結果を表2に示す。実施例5の方法で製造した乾燥粉末は、7−メチルチオへプチルイソチオシアネート、8−メチルチオオクチルイソチオシアネート、7−メチルスルフィニルへプチルイソチオシアネート、8−メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネート、2−フェネチルイソチオシアネートを含有していた。本わさび根茎に含まれるイソチオシアネート類を含有した油状食品素材の製造 本わさびの根茎1kgを凍結粉砕した。これをステンレス製の容器に入れて37℃で2時間放置して酵素反応を起させた。これを凍結乾燥処理して、210gの乾燥物を得た。これに500mlのオリーブ油を加え、1時間常温で撹拌抽出した。これを遠心分離し、ろ紙にてろ過して、410mlの抽出液を得た。 実施例5の方法で製造した油状食品に含まれるイソチオシアネート類の量をガスクロマトグラフィーにて分析した結果0.020%(W/W)の6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネートを含有していた。 本発明は本わさび、西洋わさび、クレソン等のイソチオシアネート類を含有する植物を原料とし、イソチオシアネート類を高比率で安定的に含有するように工夫された医薬品素材・食品素材の製造方法に関するものである。この発明を用いることにより飲食品や医薬品としての利用範囲が増大し、産業上の利用可能性が大である。 イソチオシアネート類を含有する植物原料を粉砕し、酵素反応を起こしてイソチオシアネート類を発生させ、次いで乾燥処理して水分を除去し、その後、非水性溶媒でイソチオシアネート類を抽出し、得られた抽出液を食品あるいは医薬品素材として利用することを特徴とするイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、得られた抽出液はそのまま食品あるいは医薬品素材として利用される請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、得られた抽出液は濃縮して食品あるいは医薬品素材として利用される請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、得られた抽出液は粉末化して食品あるいは医薬品素材として利用される請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、得られた抽出液は食用油に混合して食品あるいは医薬品素材として利用される請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、非水性溶媒がエタノールである請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、非水性溶媒が食用油である請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、乾燥処理が凍結乾燥である請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、イソチオシアネート類が5−メチルスルフィニルペンチルイソチオシアネート、6−メチルスルフィニルへキシルイソチオシアネート、7−メチルスルフィニルへプチルイソチオシアネート、8−メチルスルフィニルオクチルイソチオシアネートの中から選択される一種または複数種である請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、イソチオシアネート類が5−メチルチオペンチルイソチオシアネート、6−メチルチオへキシルイソチオシアネート、7−メチルチオへプチルイソチオシアネート、8−メチルチオオクチルイソチオシアネートの中から選択される一種または複数種である請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 請求項1において、イソチオシアネート類が2−フェネチルイソチオシアネート、ベンジルイソチオシアネートの中から選択される一種または複数種である請求項1に記載のイソチオシアネート類含有植物の利用方法。 【課題】本わさび、西洋わさび、クレソン等のイソチオシアネート類含有植物原料からイソチオシアネート類を高比率で、安定的に含有した食品あるいは医薬品素材を得る。【解決手段】イソチオシアネート類を含有する植物原料を粉砕し、酵素反応を起してイソチオシアネート類を発生させ、次いで乾燥処理して水分を除去し、その後、非水性溶媒でイソチオシアネート類を抽出し、得られた抽出液を食品あるいは医薬品素材として利用することを特徴とする。【選択図】なし


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