生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_徐放性フェルラ酸製剤
出願番号:2008039493
年次:2009
IPC分類:A61K 31/192,A61K 47/40,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

村瀬 仁章 寺尾 啓二 JP 2009196922 公開特許公報(A) 20090903 2008039493 20080221 徐放性フェルラ酸製剤 株式会社 グロービア 505234616 特許業務法人アルガ特許事務所 110000084 有賀 三幸 100068700 高野 登志雄 100077562 中嶋 俊夫 100096736 村田 正樹 100117156 山本 博人 100111028 村瀬 仁章 寺尾 啓二 A61K 31/192 20060101AFI20090807BHJP A61K 47/40 20060101ALI20090807BHJP A23L 1/30 20060101ALI20090807BHJP JPA61K31/192A61K47/40A23L1/30 B 3 OL 5 4B018 4C076 4C206 4B018MD07 4B018MD08 4B018MD10 4B018MD36 4B018ME03 4B018ME04 4B018ME14 4B018MF10 4B018MF14 4C076AA29 4C076AA94 4C076BB01 4C076CC47 4C076EE39M 4C076FF31 4C076GG05 4C206DA21 4C206MA01 4C206MA05 4C206MA63 4C206NA12 本発明は、徐放性フェルラ酸を含有する製剤及び食品、並びにフェルラ酸の徐放化方法に関する。 フェルラ酸は、化学名3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-プロペン酸であり、米、小麦、大麦、コーヒー、トマト、アスパラガス等、さまざまな植物に含まれている化合物であり、工業的には主に米糠から抽出されている。フェルラ酸には、抗酸化作用、紫外線吸収作用、防黴作用、抗菌作用、血糖値降下作用、血圧降下作用等、多くの有益な作用を有することが知られている。 最近では、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるアミロイドβ蛋白質の作用をフェルラ酸が抑制し、マウスの記憶や学習障害を改善することが報告されているほか(非特許文献1)、臨床試験でのフェルラ酸のアルツハイマー病に対する改善効果も報告されつつあり、アルツハイマー病の予防・治療剤としても期待されている。 しかし、このような医薬用途で問題となるのは、その血中濃度の持続性である。1日当たりの投与回数を少なくするためには、血中濃度の持続性が高いことが必要である。特に、アルツハイマー病の患者のように定期的な服用を意識することが困難な場合など、飲み忘れを回避するためにも持続性が高いことが望まれる。 一方、フェルラ酸はフェノール性化合物であることから、フェノール性の不快臭の発生や、光、熱等に対し不安定で変色を起こしやすいこと、水に難溶性であることなどが利用上の制限事項とされ、これらを改善するため、フェルラ酸をシクロデキストリンにより包接化合物とすることが提案されている(特許文献1,2)。British Journal of Pharmacology (2001) 133, 89-96特開平06-199733号公報特開2003-055182号公報 従って本発明は、フェルラ酸の血中濃度の持続性が高く、安全性にも優れる徐放性フェルラ酸を含有する製剤及び食品、並びに安全性の高い手法でフェルラ酸を徐放化できる方法を提供することを目的とする。 本発明者らは、フェルラ酸をシクロデキストリンにより包接することで血中濃度の持続性が向上することを見出し、本発明を完成した。フェルラ酸のシクロデキストリンによる包接については、フェルラ酸の安定性向上、不快臭の抑制、溶解性向上等の効果があることは知られているが、血中濃度の持続性を向上させることは知られていなかった。 本発明は、フェルラ酸及びシクロデキストリンからなる包接化合物を含有することを特徴とする徐放性フェルラ酸製剤を提供するものである。 また本発明は、フェルラ酸及びシクロデキストリンからなる包接化合物を含有することを特徴とする徐放性フェルラ酸食品を提供するものである。 更に本発明は、フェルラ酸をシクロデキストリンで包接することを特徴とするフェルラ酸の徐放化方法を提供するものである。 本発明によれば、フェルラ酸をシクロデキストリンで包接することにって、徐放性とすることができる。シクロデキストリンは、数分子のD-グルコースがα(1→4)グルコシド結合によって結合し環状構造をとった環状オリゴ糖の一種であり、生体に対する安全性上の問題もない。従って、本発明の製剤及び食品は、フェルラ酸の血中濃度の持続性に優れ、1日あたりの服用回数又は摂取回数を減らすことができ、しかも安全性にも優れる。 本発明で用いるフェルラ酸は、米糠から米油を製造する際の廃棄物や副産物である廃油、アルカリ油滓、粗脂肪酸を原料として、これらをアルカリ加水分解して安価に得ることができる。また、これに限らず、例えば4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド(バニリン)とマロン酸の縮合脱炭酸などによる合成品を使用することもできる。 フェルラ酸の包接に用いるシクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−のいずれでもよいが、α−シクロデキストリン及びγ−シクロデキストリンが包接の容易さの点で好ましく、特にγ−シクロデキストリンが徐放性の点で好ましい。 フェルラ酸のシクロデキストリン包接化合物は、公知の方法で調製することができる。すなわち、フェルラ酸とシクロデキストリンとを、水中で2:1〜1:15の質量比、好ましくは1:1〜1:10の質量比で撹拌し、生じた沈殿物を水洗、乾燥することで容易にフェルラ酸−シクロデキストリン包接化合物を得ることができる。 このようにして得られたフェルラ酸のシクロデキストリン包接化合物は、生体内での徐放性、血中濃度の持続性に優れ、そのまま粉末の状態で、又は適宜公知の方法で製剤化若しくは食品中に添加して、徐放性フェルラ酸製剤又は徐放性フェルラ酸食品とすることができる。製剤の形態としては、顆粒、細粒、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、チューインガム、キャンデー等、特に限定されない。 次に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。実施例1 (1) フェルラ酸−γ−シクロデキストリン包接化合物の製造 フェルラ酸7g(築野食品工業株式会社)とγ−シクロデキストリン51g(乾燥重量:株式会社シクロケム)を水(500ml)に加え、室温で1時間撹拌後、攪拌を停止して静置させ、生じた不溶物を沈殿させる。次いで、回収した沈殿物を100mlの水で2回洗浄後、乾燥し、フェルラ酸−γ−シクロデキストリン包接化合物(以下、「フェルラ酸CD包接化合物」という)57gを得た。 (2) フェルラ酸とフェルラ酸CD包接化合物の血中濃度持続性の比較 上記(1)で得られたフェルラ酸のγ−シクロデキストリン包接化合物0.82g(フェルラ酸100mg含有)を40歳男性に内服させ、下記方法に従って、所定時間経過後の血漿中フェルラ酸濃度の推移を観察した。 また、上記と同一人に対し、上記とは別の日にフェルラ酸100mgを内服させ、同様にして血漿中フェルラ酸濃度の推移を観察した。(血漿中フェルラ酸濃度の測定) フェルラ酸CD包接化合物又はフェルラ酸を内服後、0分、60分、120分、180分及び720分後に採血して、血漿中フェルラ酸分析を行った。測定は、血漿0.5mLをサンプルとして、マルチチャンネルクーロアレイ検出器(CoulArray Model 5600A;ESA社製)を用いて行った。 これらの結果を表1に示す。 上記結果から明らかなように、フェルラ酸をシクロデキストリンで包接することにより徐放性となり、血中濃度の持続性が顕著に向上する。 フェルラ酸及びシクロデキストリンからなる包接化合物を含有することを特徴とする徐放性フェルラ酸製剤。 フェルラ酸及びシクロデキストリンからなる包接化合物を含有することを特徴とする徐放性フェルラ酸食品。 フェルラ酸をシクロデキストリンで包接することを特徴とするフェルラ酸の徐放化方法。 【課題】フェルラ酸の血中濃度の持続性が高く、安全性にも優れる徐放性フェルラ酸を含有する製剤及び食品、並びに安全性の高い手法でフェルラ酸を徐放化できる方法の提供。【解決手段】フェルラ酸及びシクロデキストリンからなる包接化合物を含有することを特徴とする徐放性フェルラ酸製剤及び徐放性フェルラ酸食品、並びにフェルラ酸をシクロデキストリンにより包接することを特徴とするフェルラ酸の徐放化方法。【選択図】なし


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