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タイトル:公開特許公報(A)_リパーゼ阻害剤及びそれを含有する組成物
出願番号:2008019017
年次:2009
IPC分類:A61K 36/18,A61P 3/04,A61P 9/12,A61P 3/06,A61P 9/10,A61P 3/10,C12N 9/99,A23L 1/30,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

金高 隆 古賀 邦正 JP 2009179579 公開特許公報(A) 20090813 2008019017 20080130 リパーゼ阻害剤及びそれを含有する組成物 株式会社盛光 502365977 草間 攻 100083301 金高 隆 古賀 邦正 A61K 36/18 20060101AFI20090717BHJP A61P 3/04 20060101ALI20090717BHJP A61P 9/12 20060101ALI20090717BHJP A61P 3/06 20060101ALI20090717BHJP A61P 9/10 20060101ALI20090717BHJP A61P 3/10 20060101ALI20090717BHJP C12N 9/99 20060101ALI20090717BHJP A23L 1/30 20060101ALI20090717BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090717BHJP JPA61K35/78 CA61P3/04A61P9/12A61P3/06A61P9/10 101A61P3/10C12N9/99A23L1/30 BA61P43/00 111 8 3 OL 15 4B018 4C088 4B018MD61 4B018MD66 4B018ME01 4B018ME04 4C088AB12 4C088AC05 4C088BA09 4C088BA10 4C088MA52 4C088NA14 4C088ZA36 4C088ZA42 4C088ZA45 4C088ZA70 4C088ZC33 4C088ZC35 本発明は肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症などを予防・改善するリパーゼ活性阻害剤、およびそれを含有する医薬品、食品あるいは食品素材に関する。 高齢化を向かえたわが国では、生活習慣病をいかに克服し、回避するかは大きな問題になっている。なかでも、メタボリックシンドロームの大きな要因である肥満、および肥満と関わりの深い高脂血症やその合併症の予防は、急務の課題ということができる。高脂血症は、高血圧、動脈硬化、糖尿病などの各種生活習慣病の発症に密接に関与している。一方、肥満は、体質的因子、食餌性因子、精神的因子、中枢性因子、代謝的因子、運動不足などが要因となり、摂取するカロリーが消費カロリーを上回った結果、脂肪が蓄積して起こる。 ところで、食餌中の最も高カロリー成分である脂肪の殆どを占めるトリアシルグリセロールは、膵液中のリパーゼによってモノアシルグリセロールと遊離脂肪酸とに分解されて小腸で吸収されるため、この膵リパーゼ活性作用を阻害することによって食餌由来の脂肪の吸収を抑制し、肥満や高脂血症を予防することができる。 したがって、かかる考え方から、強い膵リパーゼ阻害活性、すなわち脂質の吸収阻害活性作用を有する天然由来成分の探索が、精力的に行われている。 これまでに、リパーゼ阻害活性を有する植物として、杜仲茶および白茶(特許文献1参照)、緑茶、紅茶、ウーロン茶、生姜(特許文献2参照)、ホスファチジルコリン、ダイズ蛋白、タンニン、シャクヤク、オオレン、オオバク、ボタンピ、ゲンノショウコウ、クジン、ピーマン、かぼちゃ、しめじ、まいたけ、ふじき、ドッカチ、リョウキョウ、ビンロウシ、ヨバイヒ、ケツメイシ等が知られている。 更にアージュン、アカラカラ、アサフォフェティダ、アショカ、アムラ、アルゴドエイロ、アルメキシア、アレクレム、アワラチャハ、アアワラトリファラ、アンジェリコ、インスリーナ、インハレ、ウコン、エンゾジノール、オウゴン、オレガノ、カイソウ、カシ、カチュアバ、カマラ、カンチャナール、カンティングエイラ、ウンシュウミカン、グルミッヒ、ムラサキナツフジ、サツマイモ、ウマノスズクサ、コウボク、コカム、コパイバ、ゴマ、サイチャ、ザクロ、サラシア・オブロンガ、ジキンソウ、ヘビイチゴ、ジャバントリ、ジャボティカバ、ジュカ、ジュルベバ、ジュレマプレタ、シュロシ、スイコウカシ、スイヨウバイ、スクピラ、キダチハッカ、セッコウ、ソウズク、アンソクコウノキ、ダイオウ、ダイキンセンソウ、ダイプール、タイム、ツキミソウ、テンカクソウ、トウヨウカなどの植物またはその抽出成分が報告されている。 またその他に、イヌカラマツ、ニクズク、新蔵仮柴草、バーバティマオ、パウフェロ、ハクギンジ、パクハンベド、ハゴロモソウ、ハス、ハデゥ、バボサ、ハリ、ギョウリュウモドキ、ヒシ、ヒマ、カシュウイモ、フタバムグラ、ビャッキョウサン、ピンハオ、ブイアラマキ、フェデゴソ、オニバス、フキタンポポリーフ、ブルーベリー、プルガデライト、ペドラウメカア、ベラドンナ、オランダビュ、マセラ、マツバ、マテ、ミッドハビス、ミティラクディ、ムタンバ、メース、ムクゲ、ヤマハッカ、ユーカリプト、ギシギシ、ラズベリー、ヒガンバナ、ヨウシュイブキジャコウソウ、セイヨウヤマハッカ、レンニク、ローズピンクバッツ、ローズレッドペタル、ロクテイソウ、フウ、エゾヘビイチゴ、オジギソウ(特許文献3参照)、グァバの葉、ビワの葉(特許文献4参照)、キラヤ(特許文献5参照)、ターミナリア(特許文献6参照)などの植物またはその抽出成分が報告されている。 また、細胞内への中性脂肪の取り込みを抑制する植物として、ローズヒップ、アップルフルーツ、ヨモギ、ガイヨウ、マグワート、エバーラスティングフラワー、サフラワー、ダンデリオン、デイジーフラワー、ローマンカモミール、カモミール、ラークスパー、ブラックコホシュ、ペパーミント、ペニーローヤル、ラベンダー、ローズマリー、セイジ、セイヨウオドリコソウ、マジョラム、セボリ、ヒソップ、オールスパイス、ユーカリ、クローブ、オレンジピールビター、ルー、ハイビスカス、クレソン、カシア、スターアニス、リンデン、ディル、トチュウ、メース、サンダルウッド、パイン、オニオン(特許文献7参照)等が報告されている。 なお、ウコン(特許文献8及び9参照)、ゴマ(特許文献10参照)、ムラサキナツフジ(特許文献11参照)、ラズベリー(特許文献12参照)、メース(ナツメグ)(特許文献13参照)、タイム(特許文献14参照)、ダイオウ(特許文献15参照)、カシ、レモンバーム、ハス、オウゴン、杜仲葉(特許文献16参照)については、高脂血症、肥満、メタボリックシンドロームなどの抑制効果、ニキビ、皮膚炎、ふけ等の皮膚疾患の改善効果などが知られている。特開2002−179586号公報特開2002−175077号公報特開2005−8572号公報特開2006−104182号公報特開2006−182722号公報特開2006−188486号公報特開2006−16312号公報特開2002−284634号公報特開2002−173435号公報特開平07−107939号公報特開2002−138044号公報特開昭53−62838号公報特開昭60−204722号公報特開2000−63237号公報特開昭61−1618号公報特開2007−230969公報Yoshikawa M., Nishida N., Shimoda H., Takada M., Kawahara Y., Matsuda H.: Yakugaku Zassshi, 121(5), 371-8 (2001) 以上のように、多くの植物やその抽出成分の効果が報告されているが、肥満や高脂血症に悩む人の多さを考えれば、まだ十分な効果は得られていない。 肥満や高脂血症の軽減に一層の効果を示すためには、もっと手軽に摂取できる機会を増やす必要がある。そのためには、葉の部位に活性があり、水可溶性成分或いはアルコール水溶液可溶性成分を多く含む植物であれば、手軽に採取することができ、また手軽に茶として、あるいは飲酒等の際に割り水やリキュールとして飲用することができ、その結果、肥満や高脂血症の軽減に寄与ができると考えられる。 かかる考え方に立脚して、本発明者らは、手軽に茶として、あるいは、飲酒等の際にブレンドして摂取できる食品素材であって、しかも、効果的でかつ安全な肥満や高脂血症予防および治療改善効果を持つ素材を探索した。 その結果、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉には、水可溶性成分と60%エタノール水溶液可溶性成分が多く含まれており、しかも、脂肪の消化・吸収に関与する膵リパーゼの活性を強く阻害することを見出し、本発明を完成させるに至った。 したがって本発明は、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水可溶性成分或いはエタノール水溶液可溶性成分、更にはサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の微粉砕物を有効成分とする、肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症などを予防・改善するリパーゼ活性阻害剤、およびかかるリパーゼ活性阻害剤を含有する医薬品、食品あるいは食品素材を提供することを課題とする。 かかる課題を解決するための本発明は、その基本的態様として、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物または微粉砕物を有効成分として含有することを特徴とするリパーゼ活性阻害剤である。 より詳細には、本発明は、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物が、水あるいはエタノール水溶液抽出物であることを特徴とする上記のリパーゼ活性阻害剤である。 更に具体的には、本発明は、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物が、エタノール水溶液抽出物をHP20充填カラムにチャージし、20〜50%のアセトン水溶液で溶出させた画分であり、また、当該アセトン水溶液の溶出画分を更にLH20充填カラムにチャージし、20〜60%のアセトン水溶液で溶出させた画分であることを特徴とする上記のリパーゼ活性阻害剤である。 また本発明は、別の態様として、上記したリパーゼ活性阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物である。 更に本発明は、別の態様として、これらの肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物を含有することを特徴とする飲食品、飲食品材料または医薬品である。 本発明者らによって、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水可溶性成分或いはエタノール水溶液可溶性成分が、脂肪の消化・吸収に関与する膵リパーゼの活性を強く阻害することを見出し、このリパーゼ活性阻害作用により、肥満や高脂血症の軽減に効果を示すことが判明した。 したがって、本発明は、肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症などを効果的に予防・改善するリパーゼ活性阻害剤、およびそれを含有する医薬品、食品あるいは食品素材である組成物を提供する点で、特に優れたものである。 さらに、本発明が提供するこれらの組成物は、手軽に摂取することができることから、今後の高齢化社会に対応した生活習慣病の発症を効果的に回避しうる利点を有している。 本発明の有効成分であるサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の元となる植物、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)は、サラシア属に属する植物である。このサラシア属植物は、多年生蔓性木本で、デチンムル科(Hippocrateaceae)あるいはニシキギ科(Celastraceae)に分類されており、約4000年前からインド或いはスリランカを中心に、愛用されている植物である。 サラシア属植物の幹や根は、インドの有名な伝承医学である「アーユルヴェーダ医学」では、昔から伝承薬あるいは茶として用いられており、リウマチ、淋病、糖尿病等の疾患の改善・予防等に有効であるとして用いられてきたものである。 現地では、ボンコランチとかコタラヒムブツと呼ばれているサラシア属植物には、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)とがあり、いずれも効果があるということで珍重されている。 近年、医学的、薬学的見地から、サラシア属植物については、特に糖尿病に有効な成分とその作用メカニズムについて、多くの研究が進められている。 そのなかでも、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹や根のエキスには、いずれもショ糖負荷ラットにおける強い血糖値上昇抑制効果のあることが判明しており、これまでに、糖類の代謝に関与する各種酵素の阻害、糖の吸収抑制といった活性を示す成分のいくつかが、単離・同定されている(非特許文献1)。 さらに、これら植物の熱水抽出物が肝臓の糖生を抑制し、インスリン抵抗性により発症するとされるII型糖尿病に有効であることが明らかにされている。さらに、糖尿病合併症のキー酵素であるアルドースレダクターゼ阻害活性を示す新規トリテルペン類や、セスキテルペン類の存在も明らかにされており、生活習慣病が懸念される現代では、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹の微粉砕物、あるいは水抽出エキスは、糖尿病の改善・予防食として広く用いられるようになっている。 このように、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹については精力的に研究が進められてきたが、その葉については殆ど注意が払われておらず、その薬理効果を含めた有効性についての検討はなされていなかった。 そこで、本発明者らは、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の両者における葉の部分の有効性について注目して、その抽出特性を比較したところ、その両者では大きく異なる抽出特性を示すことが判明した。すなわち、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulate)は、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)に比較して、水可溶性成分および60%エタノール水溶液可溶性成分をはるかに多く含むことが明らかになり、したがって、茶として、あるいはアルコール飲料を摂取する際の添加エキスとしてサラシア・レティキュラータの葉が適していることを見出した。 また、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹を比較しても、葉は幹に比べてはるかに水可溶性成分およびエタノール水溶液可溶性成分を、多く含んでいることが明らかになった。 かかる知見に基づいて、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水可溶性画分、およびエタノール水溶液可溶性画分の薬理作用を検討したところ、これら画分には、強い膵リパーゼ活性阻害作用があることが明らかになった。 サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹について、その水可溶性画分およびエタノール水溶液可溶性画分の薬理効果を検討したが、これらの画分にも膵リパーゼ阻害活性が認められたが、葉の抽出画分ほど強い活性ではなかった。 以上のことより、食品素材としてはサラシア属(サラシア・オブロンガ、サラシア・レティキュラータ)の幹・根・葉が知られているが、手軽に茶、あるいは飲酒の際の添加物として摂取可能であり、リパーゼ活性阻害作用を介して肥満や高脂血症予防および治療効果が期待できる食品素材としては、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉のほうが特段の有用性を有しているものであり、かかる知見に基づいて本発明を完成させるに至った。 なお、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉は、そのまま微粉砕して摂取してもよいし、微粉砕物を湯やアルコール飲料に添加して、得られた抽出成分を含む溶液を茶や酒として飲用に供してもよい。また、予め、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水溶液画分やエタノール水溶液抽出画分をエキスとして利用してもいい。 さらに、葉、その微粉砕物、あるいは抽出エキスを食品に添加して摂取することもできる。 本発明においてはエタノール水溶液抽出にあたっては、そのエタノール含有濃度は特に限定されないが、好ましくは、40〜70%、より好ましくは60%前後のエタノール含有濃度であることが良いことが判明した。 さらに、このサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉のエタノール水溶液抽出画分を、HP20充填カラムにチャージ後、20〜40%アセトン水溶液を溶出液として溶出させて得られた画分を、抽出エキスとして上述の様に利用してもよい。 抽出の具体的手法としては、一般的に使用されている抽出手段が採用され、例えば、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の乾燥物を適当に裁断した後、その全重量に対して1〜50倍、好ましくは5〜15倍量の水、或いはエタノール水溶液を用い、1〜24時間程度、室温〜使用溶媒の沸点の範囲で浸漬・加熱抽出を行い、得られた抽出液を減圧濃縮し、使用した抽出溶媒を除去し、目的とする抽出エキスを調製することができる。 かくして本発明の有効成分であるサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の抽出エキスを調製することができる。 この抽出エキスは、さらに、HP20充填カラムにチャージし、20〜50%のアセトン水溶液で溶出させた画分とすること、或いは、このアセトン水溶液の溶出画分を更にLH20充填カラムにチャージし、20〜60%のアセトン水溶液で溶出させた画分として調製する。本発明者等の検討の結果、得られた抽出物には、優れたリパーゼ活性阻害作用があることが判明した。 したがって、本発明はかかるサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の抽出物を有効成分として含有するリパーゼ活性阻害剤である。 本発明が提供するリパーゼ活性阻害剤は、汎用されている賦形剤、添加剤等を用いて、通常の方法により種々の形態の製剤として調製することができる。 また、本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物は、上記のリパーゼ活性阻害剤を用いて、通常の方法により各種の形態に加工することで製造できる。例えば、固体状物、液状物、乳化状物、ペースト状物、ゼリー状物等の形態に加工して、医薬品として、また食品として製造することができる。 すなわち、本発明が提供する肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物は、医薬品の他に、食品として有効に適用することができる。本発明の組成物には、そのまま直ちに食品として摂取し得るものとして、また、その他調理して摂取し得るもの、あるいは食品製造用のプレミックスされた材料として提供することができる。 本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物を含有する食品としては、固形状、粉末状、顆粒状のいずれの形態であってもよい。具体的には、例えば、ビスケット、クッキー、ケーキ、スナック、煎餅などの各種の菓子類、パン、粉末飲料(粉末コーヒー、粉末ココアなど)、飴、キャラメル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。 また、液状、乳化状、ペースト状、ゼリー状のものとしては、ジュース、炭酸飲料、乳酸菌飲料などの各種の飲料を挙げることができ、これらに限定されるものではない。そのなかでも、好ましくはペースト状、ゼリー状、液状のものである 本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物を、特に医薬品として使用する場合には、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤等の形態である通常の製剤とすることができる。これらの製剤は、適宜製剤学的に許容される他の添加剤、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤等の担体と共に、常法にしたがって、製剤化することができる。 また、甘味剤、着色剤等を添加して服用させることもできる。これらの製剤化にあたっては、日本薬局方の製剤総則に記載の方法によって行うことができる。 本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物において、有効成分として使用するサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の抽出物は、そのリパーゼ活性阻害作用を標準として、1日約1〜20g程度、好ましくは、2〜10g程度を摂取するのがよく、一般的には、1日1〜3回、好ましくは1日3回毎食直前に服用する有効成分の含有量を設定し、その用量を摂取する製剤として設計すればよい。 また、抽出エキスそのものを含有する場合には、抽出エキスを適当な溶媒で希釈し、液状組成物とし調製することもできる。また、抽出エキスそのものを適当な担体、好ましくは脂肪酸トリグリセライドと混合し、液状のままソフトカプセル等に充填し、調製することもできる。 上記の製剤化においては、通常使用されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、界面活性剤、溶解補助剤、還元剤、緩衝剤、吸着剤、流動化剤、帯電防止剤、抗酸化剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、遮光剤、着香剤、香料、芳香剤、コーティング剤、可塑剤等の製剤添加物の一種または二種以上を適宜選択して添加してもよいことはいうまでもない。 そのような製剤添加物としては、具体的には、例えば、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、マルトデキストリン、エチルセルロース、乳糖、ソルビトール、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸、オレイン酸、流動パラフィン、第二リン酸カルシウム、セバチン酸ジブチル、マクロゴール、プロピレングリコール、コーンスターチ、デンプン、アルファー化デンプン、ゼラチン、ポピドン、クロスポピドン、グリセリン、ポリソルベート80、クエン酸、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、炭酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができる。 また、本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物としての製剤化にあたっては、有効成分である抽出エキス等が有するリパーゼ活性阻害作用を損なわない程度の質及び量の範囲で、ビタミン、ミネラル等の他の成分を添加させることもできる。 さらに本発明は、上記で調製された抽出エキスを有効成分として含有する肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物であるが、かかる組成物を食品として使用することができる。すなわち、上記で調製された組成物をそのまま食品、また他の成分と共に混合し、特に特定保健用食品(特保)、または動物用の飼料の形態とすることができる。 以下に、本発明を実施例、製造例等によって、更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、製造例によって、何ら限定されるものではない。実施例1:サラシア・オブロンガ葉とサラシア・レティキュラータ葉の抽出特性 サラシア・オブロンガとサラシア・レティキュラータのそれぞれの葉に9倍量の水を加えて50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を水抽出液とした。 さらに、残渣に60%エタノール水溶液450mLを加えて、50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を60%エタノール水抽出液とした。 さらに、残渣に99.8%エタノール溶液450mLを加えて、50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を99.8%エタノール抽出液とした。 ついで、それぞれの抽出液を減圧濃縮・凍結乾燥して、各抽出液に含まれている不揮発成分を求めた。 図1に、サラシア・オブロンガとサラシア・レティキュラータ葉の水溶液、60%エタノール水溶液、99.8%エタノール溶液で抽出した不揮発成分量について比較して示した。 図中に示した結果からも判明するように、サラシア・レティキュラータ葉の水および60%エタノール抽出成分は、サラシア・オブロンガの2倍以上であり、水抽出性やアルコール抽出性がきわめて高いことが明らかになった。実施例2:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹の抽出特性 サラシア・レティキュラータの葉および幹それぞれの粉砕物50gに、9倍量(450mL)の水を加えて50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を水抽出液とした。 さらに、残渣に60%エタノール水溶液450mLを加えて、50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を60%エタノール水抽出液とした。 さらに、残渣に99.8%エタノール溶液450mLを加えて、50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を99.8%エタノール抽出液とした。 ついで、それぞれの抽出液を減圧濃縮・凍結乾燥して、各抽出液に含まれている不揮発成分を求めた。 その結果を下記表1並びに図2に示した。表中並びに図中に示した結果からも判明するように、水溶液や60%エタノール膵溶液で抽出される不揮発成分量は、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹に比較して葉の方がはるかに大きいことが判明した。表1:種々の溶媒によるサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉と幹の抽出不揮発成分量の比較実施例3:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹のリパーゼ阻害活性 サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹の水抽出液、60%エタノール抽出液、99.8%エタノール抽出液それぞれの膵リパーゼ阻害活性を評価した。 膵リパーゼ阻害活性の測定は、リパーゼキットS(大日本住友製薬社製)を用いて、定法に従って測定した。 活性測定の際、各抽出液を反応液に一定量添加して、コントロールに比較して活性が低下する割合を求めて、阻害活性を評価した。 その結果を図3に示した。図中に示した結果からも明らかなように、水抽出液、60%エタノール抽出液いずれについても、葉からの抽出液が幹の抽出液より阻害活性の高いことが判明した。 特に、水抽出液の場合には、葉からの抽出液の方が約10倍も阻害活性の高いことが明らかになり、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulate)葉が含有する有効成分を、お湯やアルコール飲料とともに手軽に摂取できる素材として適していることが明らかになった。実施例4:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹の60%エタノール抽出画分それぞれの濃度と膵リパーゼ阻害活性との関係 膵リパーゼ阻害活性を評価する際、サラシア・レティキュラータの葉と幹それぞれの60%エタノール抽出画分の添加量を変えて、各抽出画分の添加濃度と膵リパーゼ阻害活性の関係を求め、その結果を図4及び図5に示した。 図4は、葉の60%エタノール抽出画分についての結果であり、図5は幹の60%エタノール抽出画分についての結果である。 いずれも、添加濃度に従って阻害活性も上昇したが、葉の抽出画分の方が、リパーゼ阻害活性が高いことが判明した。 阻害活性の強さの指標であるIC50は、葉の抽出画分で300ppm、幹の抽出画分で500ppmであり、サラシア・レティキュラータ葉は、幹に比べて抽出量が多いうえに、抽出画分単位あたりの阻害活性も約1.7倍強いことが明らかになった。実施例5:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉由来の膵リパーゼ阻害活性画分 サラシア・レティキュラータ葉の60%エタノール水溶液抽出画分を、HP20充填カラムにチャージした後、20%、50%、75%、100%アセトン水溶液にて溶出させた溶出画分について、膵リパーゼ阻害活性を評価した。 その結果を下記表2に示した。 表中の結果からも判明するように、アセトン水溶液溶出画分では、20〜50%アセトン水溶液溶出画分に、強い膵リパーゼ阻害活性が認められている。表2:サラシア・レティキュラータ葉由来の膵リパーゼ阻害活性画分実施例6:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉由来の膵リパーゼ阻害活性画分 実施例5で得られたサラシア・レティキュラータ葉の60%エタノール水溶液抽出画分をHP20充填カラムにチャージし、50%アセトンで溶出した画分を、さらにLH20充填カラムにチャージした後、20%、60%、80%、100%アセトン水溶液にて溶出させた溶出画分について、膵リパーゼ阻害活性を評価した。 その結果を下記表3に示した。 LH20充填カラムにチャージ後アセトン水溶液溶出画分では、60%アセトン水溶液溶出画分に強い膵リパーゼ阻害活性が認められることが判明した。表3:サラシア・レティキュラータ葉由来の膵リパーゼ阻害活性画分実施例7:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉由来の抽出画分を含有するリパーゼ阻害活性剤(1)錠剤 実施例6で得た、LH20充填カラムにチャージ後60%アセトン水溶液で溶出した画分の濃縮物(以下、「抽出画分」と記す)55.0gを、乳糖249.5gおよびステアリン酸マグネシウム0.5gとともに、単発式打錠機にて打錠することにより、直径10mm、重量300mgの錠剤を製造した。(2)散剤: 上記実施例6で得た抽出画分10.0gにステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、更に微結晶セルロース100.0gと共に圧縮、粉砕、整粒、篩別して20〜50メッシュの顆粒剤を得た。実施例8:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉由来の抽出画分を含有する各種飲食物 以下に示す組成にて、実施例6で得た抽出画分入りの各種飲食物を製造した。(1)飴:(組成) (重量部)粉末ソルビトール 89.70香料 0.25抽出画分 10.00ソルビトールシード 0.05全量 100.00(2)ガム:(組成) (重量部)ガムベース 20.00炭酸カルシウム 2.00ステビオサイド 0.10抽出画分 10.00乳糖 66.90香料 1.00全量 100.00(3)キャラメル:(組成) (重量部)グラニュー糖 32.00水飴 20.00粉乳 30.00硬化油 4.00食塩 0.60香料 0.03水 3.37抽出画分 10.00全量 100.00(4)炭酸飲料:(組成) (重量部)グラニュー糖 8.00濃縮レモン果汁 1.00L−アスコルビン酸 0.10クエン酸 0.09クエン酸ナトリウム 0.05着色料 0.05炭酸水 80.71抽出画分 10.00全量 100.00(5)ジュース:(組成) (重量部)冷凍濃縮オレンジ果汁 5.00果糖ブドウ糖液糖 1.00クエン酸 0.10L−アスコルビン酸 0.09抽出画分 10.00香料 0.20色素 0.10水 83.51全量 100.00(6)乳酸菌飲料:(組成) (重量部)乳固形21%発酵乳 14.75果糖ブドウ糖液糖 13.32ペクチン 0.50クエン酸 0.08香料 0.15水 61.20抽出画分 10.00全量 100.00(7)アルコール飲料:(組成) (重量部)50%エタノール 32.00砂糖 8.60果汁 2.40抽出画分 10.00水 47.00全量 100.00 以上記載のように、本発明によりサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水可溶性成分或いはエタノール水溶液可溶性成分を有効成分とするリパーゼ阻害剤が提供される。 かかる阻害剤は、肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症などを効果的に予防・改善する医薬品、食品あるいは食品素材として提供することができ、その産業上に利用性は多大なものである。実施例1の結果を示す図である。実施例2の結果を示す図である。実施例3の結果を示す図である。実施例4の結果を示す図であり、葉の60%エタノール抽出画分についての結果である。実施例4の結果を示す図であり、幹の60%エタノール抽出画分についての結果である。 サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物または微粉砕物を有効成分として含有することを特徴とするリパーゼ活性阻害剤。 サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物が、水あるいはエタノール水溶液抽出物であることを特徴とする請求項1に記載のリパーゼ活性阻害剤。 サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物が、エタノール水溶液抽出物をHP20充填カラムにチャージし、20〜50%のアセトン水溶液で溶出させた画分であることを特徴とする請求項1に記載のリパーゼ活性阻害剤。 サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物が、請求項3に記載のサラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉のアセトン水溶液の溶出画分を更にLH20充填カラムにチャージし、20〜60%のアセトン水溶液で溶出させた画分であることを特徴とする請求項1に記載のリパーゼ活性阻害剤。 請求項1ないし4のいずれかに記載のリパーゼ活性阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする肥満改善組成物。 請求項1ないし4のいずれかに記載のリパーゼ活性阻害剤を有効成分として含有することを特徴とするメタボリックシンドローム改善組成物。 請求項1ないし4のいずれかに記載のリパーゼ活性阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする高脂血症改善組成物。 請求項5ないし7のいずれかに記載の組成物を含有することを特徴とする飲食品、飲食品材料または医薬品。 【課題】手軽に茶として、あるいは、飲酒等の際にブレンドして摂取できる食品素材であって、膵リパーゼの活性を強く阻害することにより効果的でかつ安全な肥満や高脂血症予防および治療改善効果を持つリパーゼ阻害剤、それを含む肥満や高脂血症予防組成物の提供。【解決手段】サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物または微粉砕物を有効成分として含有することを特徴とするリパーゼ阻害剤であり、抽出物が水あるいはエタノール水溶液抽出物であるリパーゼ阻害剤、並びに当該リパーゼ阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物である。【選択図】図3


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特許公報(B2)_リパーゼ阻害剤及びそれを含有する組成物

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_リパーゼ阻害剤及びそれを含有する組成物
出願番号:2008019017
年次:2013
IPC分類:A61K 36/18,A61K 36/00,A61P 3/04,A61P 3/06,A61P 3/10,A61P 9/10,A61P 43/00,A23L 1/30


特許情報キャッシュ

金高 隆 古賀 邦正 JP 5305500 特許公報(B2) 20130705 2008019017 20080130 リパーゼ阻害剤及びそれを含有する組成物 株式会社盛光 502365977 草間 攻 100083301 金高 隆 古賀 邦正 20131002 A61K 36/18 20060101AFI20130912BHJP A61K 36/00 20060101ALI20130912BHJP A61P 3/04 20060101ALI20130912BHJP A61P 3/06 20060101ALI20130912BHJP A61P 3/10 20060101ALI20130912BHJP A61P 9/10 20060101ALI20130912BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130912BHJP A23L 1/30 20060101ALN20130912BHJP JPA61K35/78 CA61K35/78 YA61P3/04A61P3/06A61P3/10A61P9/10 101A61P43/00 111A23L1/30 B A61K 36/37 A61P 3/04 A61P 3/06 A61P 3/10 A61P 9/10 A61P 43/00 A23L 1/30 CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII) 特開2007−037528(JP,A) 特開2007−320958(JP,A) 特開2007−289001(JP,A) 特開2002−097187(JP,A) 特開平11−246562(JP,A) 特開2008−099652(JP,A) 仲井大輔 他,コタラヒムブツ(Salacia reticurata)葉の抽出成分,日本木材学会北海道支部講演集,2006年,No.38,Page.68-69 上野康博 他,Kothala himbutuの組織中に含まれる抽出成分 ,日本木材学会北海道支部講演集,2004年,No.36 ,Page.39-42 吉川雅之,薬用食物にみる生理機能21 サラシア,食品と科学,2002年,Vol.44,No.12 ,Page.26-30 高木康孝 他,コタラヒムブツ(サラシア・レティキュラ-タ)葉抽出エキスの機能性評価 ,日本農芸化学会大会講演要旨集,2007年,Vol.2007,Page.110 MIURA T et al,The Suppressive Effect of Mangiferin with Exercise on Blood Lipids in Type 2 Diabetes,Biol Pharm Bull,2001年,Vol.24,No.9,Page.1091-1092 5 2009179579 20090813 14 20101006 鶴見 秀紀 本発明は肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症などを予防・改善するリパーゼ活性阻害剤、およびそれを含有する医薬品、食品あるいは食品素材に関する。 高齢化を向かえたわが国では、生活習慣病をいかに克服し、回避するかは大きな問題になっている。なかでも、メタボリックシンドロームの大きな要因である肥満、および肥満と関わりの深い高脂血症やその合併症の予防は、急務の課題ということができる。高脂血症は、高血圧、動脈硬化、糖尿病などの各種生活習慣病の発症に密接に関与している。一方、肥満は、体質的因子、食餌性因子、精神的因子、中枢性因子、代謝的因子、運動不足などが要因となり、摂取するカロリーが消費カロリーを上回った結果、脂肪が蓄積して起こる。 ところで、食餌中の最も高カロリー成分である脂肪の殆どを占めるトリアシルグリセロールは、膵液中のリパーゼによってモノアシルグリセロールと遊離脂肪酸とに分解されて小腸で吸収されるため、この膵リパーゼ活性作用を阻害することによって食餌由来の脂肪の吸収を抑制し、肥満や高脂血症を予防することができる。 したがって、かかる考え方から、強い膵リパーゼ阻害活性、すなわち脂質の吸収阻害活性作用を有する天然由来成分の探索が、精力的に行われている。 これまでに、リパーゼ阻害活性を有する植物として、杜仲茶および白茶(特許文献1参照)、緑茶、紅茶、ウーロン茶、生姜(特許文献2参照)、ホスファチジルコリン、ダイズ蛋白、タンニン、シャクヤク、オオレン、オオバク、ボタンピ、ゲンノショウコウ、クジン、ピーマン、かぼちゃ、しめじ、まいたけ、ふじき、ドッカチ、リョウキョウ、ビンロウシ、ヨバイヒ、ケツメイシ等が知られている。 更にアージュン、アカラカラ、アサフォフェティダ、アショカ、アムラ、アルゴドエイロ、アルメキシア、アレクレム、アワラチャハ、アアワラトリファラ、アンジェリコ、インスリーナ、インハレ、ウコン、エンゾジノール、オウゴン、オレガノ、カイソウ、カシ、カチュアバ、カマラ、カンチャナール、カンティングエイラ、ウンシュウミカン、グルミッヒ、ムラサキナツフジ、サツマイモ、ウマノスズクサ、コウボク、コカム、コパイバ、ゴマ、サイチャ、ザクロ、サラシア・オブロンガ、ジキンソウ、ヘビイチゴ、ジャバントリ、ジャボティカバ、ジュカ、ジュルベバ、ジュレマプレタ、シュロシ、スイコウカシ、スイヨウバイ、スクピラ、キダチハッカ、セッコウ、ソウズク、アンソクコウノキ、ダイオウ、ダイキンセンソウ、ダイプール、タイム、ツキミソウ、テンカクソウ、トウヨウカなどの植物またはその抽出成分が報告されている。 またその他に、イヌカラマツ、ニクズク、新蔵仮柴草、バーバティマオ、パウフェロ、ハクギンジ、パクハンベド、ハゴロモソウ、ハス、ハデゥ、バボサ、ハリ、ギョウリュウモドキ、ヒシ、ヒマ、カシュウイモ、フタバムグラ、ビャッキョウサン、ピンハオ、ブイアラマキ、フェデゴソ、オニバス、フキタンポポリーフ、ブルーベリー、プルガデライト、ペドラウメカア、ベラドンナ、オランダビュ、マセラ、マツバ、マテ、ミッドハビス、ミティラクディ、ムタンバ、メース、ムクゲ、ヤマハッカ、ユーカリプト、ギシギシ、ラズベリー、ヒガンバナ、ヨウシュイブキジャコウソウ、セイヨウヤマハッカ、レンニク、ローズピンクバッツ、ローズレッドペタル、ロクテイソウ、フウ、エゾヘビイチゴ、オジギソウ(特許文献3参照)、グァバの葉、ビワの葉(特許文献4参照)、キラヤ(特許文献5参照)、ターミナリア(特許文献6参照)などの植物またはその抽出成分が報告されている。 また、細胞内への中性脂肪の取り込みを抑制する植物として、ローズヒップ、アップルフルーツ、ヨモギ、ガイヨウ、マグワート、エバーラスティングフラワー、サフラワー、ダンデリオン、デイジーフラワー、ローマンカモミール、カモミール、ラークスパー、ブラックコホシュ、ペパーミント、ペニーローヤル、ラベンダー、ローズマリー、セイジ、セイヨウオドリコソウ、マジョラム、セボリ、ヒソップ、オールスパイス、ユーカリ、クローブ、オレンジピールビター、ルー、ハイビスカス、クレソン、カシア、スターアニス、リンデン、ディル、トチュウ、メース、サンダルウッド、パイン、オニオン(特許文献7参照)等が報告されている。 なお、ウコン(特許文献8及び9参照)、ゴマ(特許文献10参照)、ムラサキナツフジ(特許文献11参照)、ラズベリー(特許文献12参照)、メース(ナツメグ)(特許文献13参照)、タイム(特許文献14参照)、ダイオウ(特許文献15参照)、カシ、レモンバーム、ハス、オウゴン、杜仲葉(特許文献16参照)については、高脂血症、肥満、メタボリックシンドロームなどの抑制効果、ニキビ、皮膚炎、ふけ等の皮膚疾患の改善効果などが知られている。特開2002−179586号公報特開2002−175077号公報特開2005−8572号公報特開2006−104182号公報特開2006−182722号公報特開2006−188486号公報特開2006−16312号公報特開2002−284634号公報特開2002−173435号公報特開平07−107939号公報特開2002−138044号公報特開昭53−62838号公報特開昭60−204722号公報特開2000−63237号公報特開昭61−1618号公報特開2007−230969公報Yoshikawa M., Nishida N., Shimoda H., Takada M., Kawahara Y., Matsuda H.: Yakugaku Zassshi, 121(5), 371-8 (2001) 以上のように、多くの植物やその抽出成分の効果が報告されているが、肥満や高脂血症に悩む人の多さを考えれば、まだ十分な効果は得られていない。 肥満や高脂血症の軽減に一層の効果を示すためには、もっと手軽に摂取できる機会を増やす必要がある。そのためには、葉の部位に活性があり、水可溶性成分或いはアルコール水溶液可溶性成分を多く含む植物であれば、手軽に採取することができ、また手軽に茶として、あるいは飲酒等の際に割り水やリキュールとして飲用することができ、その結果、肥満や高脂血症の軽減に寄与ができると考えられる。 かかる考え方に立脚して、本発明者らは、手軽に茶として、あるいは、飲酒等の際にブレンドして摂取できる食品素材であって、しかも、効果的でかつ安全な肥満や高脂血症予防および治療改善効果を持つ素材を探索した。 その結果、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉には、水可溶性成分と60%エタノール水溶液可溶性成分が多く含まれており、しかも、脂肪の消化・吸収に関与する膵リパーゼの活性を強く阻害することを見出し、本発明を完成させるに至った。 したがって本発明は、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水可溶性成分或いはエタノール水溶液可溶性成分、更にはサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の微粉砕物を有効成分とする、肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症などを予防・改善するリパーゼ活性阻害剤、およびかかるリパーゼ活性阻害剤を含有する医薬品、食品あるいは食品素材を提供することを課題とする。 かかる課題を解決するための本発明は、その基本的態様として、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物または微粉砕物を有効成分として含有することを特徴とするリパーゼ活性阻害剤である。 より詳細には、本発明は、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物が、水あるいはエタノール水溶液抽出物であることを特徴とする上記のリパーゼ活性阻害剤である。 更に具体的には、本発明は、サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉の抽出物が、エタノール水溶液抽出物をHP20充填カラムにチャージし、20〜50%のアセトン水溶液で溶出させた画分であり、また、当該アセトン水溶液の溶出画分を更にLH20充填カラムにチャージし、20〜60%のアセトン水溶液で溶出させた画分であることを特徴とする上記のリパーゼ活性阻害剤である。 また本発明は、別の態様として、上記したリパーゼ活性阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物である。 更に本発明は、別の態様として、これらの肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物を含有することを特徴とする飲食品、飲食品材料または医薬品である。 本発明者らによって、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水可溶性成分或いはエタノール水溶液可溶性成分が、脂肪の消化・吸収に関与する膵リパーゼの活性を強く阻害することを見出し、このリパーゼ活性阻害作用により、肥満や高脂血症の軽減に効果を示すことが判明した。 したがって、本発明は、肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症などを効果的に予防・改善するリパーゼ活性阻害剤、およびそれを含有する医薬品、食品あるいは食品素材である組成物を提供する点で、特に優れたものである。 さらに、本発明が提供するこれらの組成物は、手軽に摂取することができることから、今後の高齢化社会に対応した生活習慣病の発症を効果的に回避しうる利点を有している。 本発明の有効成分であるサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の元となる植物、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)は、サラシア属に属する植物である。このサラシア属植物は、多年生蔓性木本で、デチンムル科(Hippocrateaceae)あるいはニシキギ科(Celastraceae)に分類されており、約4000年前からインド或いはスリランカを中心に、愛用されている植物である。 サラシア属植物の幹や根は、インドの有名な伝承医学である「アーユルヴェーダ医学」では、昔から伝承薬あるいは茶として用いられており、リウマチ、淋病、糖尿病等の疾患の改善・予防等に有効であるとして用いられてきたものである。 現地では、ボンコランチとかコタラヒムブツと呼ばれているサラシア属植物には、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)とがあり、いずれも効果があるということで珍重されている。 近年、医学的、薬学的見地から、サラシア属植物については、特に糖尿病に有効な成分とその作用メカニズムについて、多くの研究が進められている。 そのなかでも、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹や根のエキスには、いずれもショ糖負荷ラットにおける強い血糖値上昇抑制効果のあることが判明しており、これまでに、糖類の代謝に関与する各種酵素の阻害、糖の吸収抑制といった活性を示す成分のいくつかが、単離・同定されている(非特許文献1)。 さらに、これら植物の熱水抽出物が肝臓の糖生を抑制し、インスリン抵抗性により発症するとされるII型糖尿病に有効であることが明らかにされている。さらに、糖尿病合併症のキー酵素であるアルドースレダクターゼ阻害活性を示す新規トリテルペン類や、セスキテルペン類の存在も明らかにされており、生活習慣病が懸念される現代では、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹の微粉砕物、あるいは水抽出エキスは、糖尿病の改善・予防食として広く用いられるようになっている。 このように、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹については精力的に研究が進められてきたが、その葉については殆ど注意が払われておらず、その薬理効果を含めた有効性についての検討はなされていなかった。 そこで、本発明者らは、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)とサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の両者における葉の部分の有効性について注目して、その抽出特性を比較したところ、その両者では大きく異なる抽出特性を示すことが判明した。すなわち、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulate)は、サラシア・オブロンガ(Salasia oblonga)に比較して、水可溶性成分および60%エタノール水溶液可溶性成分をはるかに多く含むことが明らかになり、したがって、茶として、あるいはアルコール飲料を摂取する際の添加エキスとしてサラシア・レティキュラータの葉が適していることを見出した。 また、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹を比較しても、葉は幹に比べてはるかに水可溶性成分およびエタノール水溶液可溶性成分を、多く含んでいることが明らかになった。 かかる知見に基づいて、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水可溶性画分、およびエタノール水溶液可溶性画分の薬理作用を検討したところ、これら画分には、強い膵リパーゼ活性阻害作用があることが明らかになった。 サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹について、その水可溶性画分およびエタノール水溶液可溶性画分の薬理効果を検討したが、これらの画分にも膵リパーゼ阻害活性が認められたが、葉の抽出画分ほど強い活性ではなかった。 以上のことより、食品素材としてはサラシア属(サラシア・オブロンガ、サラシア・レティキュラータ)の幹・根・葉が知られているが、手軽に茶、あるいは飲酒の際の添加物として摂取可能であり、リパーゼ活性阻害作用を介して肥満や高脂血症予防および治療効果が期待できる食品素材としては、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉のほうが特段の有用性を有しているものであり、かかる知見に基づいて本発明を完成させるに至った。 なお、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉は、そのまま微粉砕して摂取してもよいし、微粉砕物を湯やアルコール飲料に添加して、得られた抽出成分を含む溶液を茶や酒として飲用に供してもよい。また、予め、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水溶液画分やエタノール水溶液抽出画分をエキスとして利用してもいい。 さらに、葉、その微粉砕物、あるいは抽出エキスを食品に添加して摂取することもできる。 本発明においてはエタノール水溶液抽出にあたっては、そのエタノール含有濃度は特に限定されないが、好ましくは、40〜70%、より好ましくは60%前後のエタノール含有濃度であることが良いことが判明した。 さらに、このサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉のエタノール水溶液抽出画分を、HP20充填カラムにチャージ後、20〜40%アセトン水溶液を溶出液として溶出させて得られた画分を、抽出エキスとして上述の様に利用してもよい。 抽出の具体的手法としては、一般的に使用されている抽出手段が採用され、例えば、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の乾燥物を適当に裁断した後、その全重量に対して1〜50倍、好ましくは5〜15倍量の水、或いはエタノール水溶液を用い、1〜24時間程度、室温〜使用溶媒の沸点の範囲で浸漬・加熱抽出を行い、得られた抽出液を減圧濃縮し、使用した抽出溶媒を除去し、目的とする抽出エキスを調製することができる。 かくして本発明の有効成分であるサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の抽出エキスを調製することができる。 この抽出エキスは、さらに、HP20充填カラムにチャージし、20〜50%のアセトン水溶液で溶出させた画分とすること、或いは、このアセトン水溶液の溶出画分を更にLH20充填カラムにチャージし、20〜60%のアセトン水溶液で溶出させた画分として調製する。本発明者等の検討の結果、得られた抽出物には、優れたリパーゼ活性阻害作用があることが判明した。 したがって、本発明はかかるサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の抽出物を有効成分として含有するリパーゼ活性阻害剤である。 本発明が提供するリパーゼ活性阻害剤は、汎用されている賦形剤、添加剤等を用いて、通常の方法により種々の形態の製剤として調製することができる。 また、本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物は、上記のリパーゼ活性阻害剤を用いて、通常の方法により各種の形態に加工することで製造できる。例えば、固体状物、液状物、乳化状物、ペースト状物、ゼリー状物等の形態に加工して、医薬品として、また食品として製造することができる。 すなわち、本発明が提供する肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物は、医薬品の他に、食品として有効に適用することができる。本発明の組成物には、そのまま直ちに食品として摂取し得るものとして、また、その他調理して摂取し得るもの、あるいは食品製造用のプレミックスされた材料として提供することができる。 本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物を含有する食品としては、固形状、粉末状、顆粒状のいずれの形態であってもよい。具体的には、例えば、ビスケット、クッキー、ケーキ、スナック、煎餅などの各種の菓子類、パン、粉末飲料(粉末コーヒー、粉末ココアなど)、飴、キャラメル等が含まれるが、これらに限定されるものではない。 また、液状、乳化状、ペースト状、ゼリー状のものとしては、ジュース、炭酸飲料、乳酸菌飲料などの各種の飲料を挙げることができ、これらに限定されるものではない。そのなかでも、好ましくはペースト状、ゼリー状、液状のものである 本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物を、特に医薬品として使用する場合には、錠剤、散剤、顆粒剤、細粒剤、液剤等の形態である通常の製剤とすることができる。これらの製剤は、適宜製剤学的に許容される他の添加剤、例えば、賦形剤、結合剤、滑沢剤等の担体と共に、常法にしたがって、製剤化することができる。 また、甘味剤、着色剤等を添加して服用させることもできる。これらの製剤化にあたっては、日本薬局方の製剤総則に記載の方法によって行うことができる。 本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物において、有効成分として使用するサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の抽出物は、そのリパーゼ活性阻害作用を標準として、1日約1〜20g程度、好ましくは、2〜10g程度を摂取するのがよく、一般的には、1日1〜3回、好ましくは1日3回毎食直前に服用する有効成分の含有量を設定し、その用量を摂取する製剤として設計すればよい。 また、抽出エキスそのものを含有する場合には、抽出エキスを適当な溶媒で希釈し、液状組成物とし調製することもできる。また、抽出エキスそのものを適当な担体、好ましくは脂肪酸トリグリセライドと混合し、液状のままソフトカプセル等に充填し、調製することもできる。 上記の製剤化においては、通常使用されている賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、安定剤、界面活性剤、溶解補助剤、還元剤、緩衝剤、吸着剤、流動化剤、帯電防止剤、抗酸化剤、甘味剤、矯味剤、清涼化剤、遮光剤、着香剤、香料、芳香剤、コーティング剤、可塑剤等の製剤添加物の一種または二種以上を適宜選択して添加してもよいことはいうまでもない。 そのような製剤添加物としては、具体的には、例えば、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、マルトデキストリン、エチルセルロース、乳糖、ソルビトール、無水ケイ酸、ケイ酸マグネシウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ステアリン酸、オレイン酸、流動パラフィン、第二リン酸カルシウム、セバチン酸ジブチル、マクロゴール、プロピレングリコール、コーンスターチ、デンプン、アルファー化デンプン、ゼラチン、ポピドン、クロスポピドン、グリセリン、ポリソルベート80、クエン酸、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、炭酸ナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等を挙げることができる。 また、本発明の肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物としての製剤化にあたっては、有効成分である抽出エキス等が有するリパーゼ活性阻害作用を損なわない程度の質及び量の範囲で、ビタミン、ミネラル等の他の成分を添加させることもできる。 さらに本発明は、上記で調製された抽出エキスを有効成分として含有する肥満改善組成物、メタボリックシンドローム改善組成物、或いは高脂血症改善組成物であるが、かかる組成物を食品として使用することができる。すなわち、上記で調製された組成物をそのまま食品、また他の成分と共に混合し、特に特定保健用食品(特保)、または動物用の飼料の形態とすることができる。 以下に、本発明を実施例、製造例等によって、更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、製造例によって、何ら限定されるものではない。実施例1:サラシア・オブロンガ葉とサラシア・レティキュラータ葉の抽出特性 サラシア・オブロンガとサラシア・レティキュラータのそれぞれの葉に9倍量の水を加えて50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を水抽出液とした。 さらに、残渣に60%エタノール水溶液450mLを加えて、50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を60%エタノール水抽出液とした。 さらに、残渣に99.8%エタノール溶液450mLを加えて、50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を99.8%エタノール抽出液とした。 ついで、それぞれの抽出液を減圧濃縮・凍結乾燥して、各抽出液に含まれている不揮発成分を求めた。 図1に、サラシア・オブロンガとサラシア・レティキュラータ葉の水溶液、60%エタノール水溶液、99.8%エタノール溶液で抽出した不揮発成分量について比較して示した。 図中に示した結果からも判明するように、サラシア・レティキュラータ葉の水および60%エタノール抽出成分は、サラシア・オブロンガの2倍以上であり、水抽出性やアルコール抽出性がきわめて高いことが明らかになった。実施例2:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹の抽出特性 サラシア・レティキュラータの葉および幹それぞれの粉砕物50gに、9倍量(450mL)の水を加えて50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を水抽出液とした。 さらに、残渣に60%エタノール水溶液450mLを加えて、50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を60%エタノール水抽出液とした。 さらに、残渣に99.8%エタノール溶液450mLを加えて、50℃/2時間振とう抽出を行った後、3000rpm/10分で遠心を行い、得られた上澄み液を99.8%エタノール抽出液とした。 ついで、それぞれの抽出液を減圧濃縮・凍結乾燥して、各抽出液に含まれている不揮発成分を求めた。 その結果を下記表1並びに図2に示した。表中並びに図中に示した結果からも判明するように、水溶液や60%エタノール膵溶液で抽出される不揮発成分量は、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の幹に比較して葉の方がはるかに大きいことが判明した。表1:種々の溶媒によるサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉と幹の抽出不揮発成分量の比較実施例3:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹のリパーゼ阻害活性 サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹の水抽出液、60%エタノール抽出液、99.8%エタノール抽出液それぞれの膵リパーゼ阻害活性を評価した。 膵リパーゼ阻害活性の測定は、リパーゼキットS(大日本住友製薬社製)を用いて、定法に従って測定した。 活性測定の際、各抽出液を反応液に一定量添加して、コントロールに比較して活性が低下する割合を求めて、阻害活性を評価した。 その結果を図3に示した。図中に示した結果からも明らかなように、水抽出液、60%エタノール抽出液いずれについても、葉からの抽出液が幹の抽出液より阻害活性の高いことが判明した。 特に、水抽出液の場合には、葉からの抽出液の方が約10倍も阻害活性の高いことが明らかになり、サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulate)葉が含有する有効成分を、お湯やアルコール飲料とともに手軽に摂取できる素材として適していることが明らかになった。実施例4:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)の葉と幹の60%エタノール抽出画分それぞれの濃度と膵リパーゼ阻害活性との関係 膵リパーゼ阻害活性を評価する際、サラシア・レティキュラータの葉と幹それぞれの60%エタノール抽出画分の添加量を変えて、各抽出画分の添加濃度と膵リパーゼ阻害活性の関係を求め、その結果を図4及び図5に示した。 図4は、葉の60%エタノール抽出画分についての結果であり、図5は幹の60%エタノール抽出画分についての結果である。 いずれも、添加濃度に従って阻害活性も上昇したが、葉の抽出画分の方が、リパーゼ阻害活性が高いことが判明した。 阻害活性の強さの指標であるIC50は、葉の抽出画分で300ppm、幹の抽出画分で500ppmであり、サラシア・レティキュラータ葉は、幹に比べて抽出量が多いうえに、抽出画分単位あたりの阻害活性も約1.7倍強いことが明らかになった。実施例5:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉由来の膵リパーゼ阻害活性画分 サラシア・レティキュラータ葉の60%エタノール水溶液抽出画分を、HP20充填カラムにチャージした後、20%、50%、75%、100%アセトン水溶液にて溶出させた溶出画分について、膵リパーゼ阻害活性を評価した。 その結果を下記表2に示した。 表中の結果からも判明するように、アセトン水溶液溶出画分では、20〜50%アセトン水溶液溶出画分に、強い膵リパーゼ阻害活性が認められている。表2:サラシア・レティキュラータ葉由来の膵リパーゼ阻害活性画分実施例6:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉由来の膵リパーゼ阻害活性画分 実施例5で得られたサラシア・レティキュラータ葉の60%エタノール水溶液抽出画分をHP20充填カラムにチャージし、50%アセトンで溶出した画分を、さらにLH20充填カラムにチャージした後、20%、60%、80%、100%アセトン水溶液にて溶出させた溶出画分について、膵リパーゼ阻害活性を評価した。 その結果を下記表3に示した。 LH20充填カラムにチャージ後アセトン水溶液溶出画分では、60%アセトン水溶液溶出画分に強い膵リパーゼ阻害活性が認められることが判明した。表3:サラシア・レティキュラータ葉由来の膵リパーゼ阻害活性画分実施例7:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉由来の抽出画分を含有するリパーゼ阻害活性剤(1)錠剤 実施例6で得た、LH20充填カラムにチャージ後60%アセトン水溶液で溶出した画分の濃縮物(以下、「抽出画分」と記す)55.0gを、乳糖249.5gおよびステアリン酸マグネシウム0.5gとともに、単発式打錠機にて打錠することにより、直径10mm、重量300mgの錠剤を製造した。(2)散剤: 上記実施例6で得た抽出画分10.0gにステアリン酸マグネシウム0.5gを加え、更に微結晶セルロース100.0gと共に圧縮、粉砕、整粒、篩別して20〜50メッシュの顆粒剤を得た。実施例8:サラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉由来の抽出画分を含有する各種飲食物 以下に示す組成にて、実施例6で得た抽出画分入りの各種飲食物を製造した。(1)飴:(組成) (重量部)粉末ソルビトール 89.70香料 0.25抽出画分 10.00ソルビトールシード 0.05全量 100.00(2)ガム:(組成) (重量部)ガムベース 20.00炭酸カルシウム 2.00ステビオサイド 0.10抽出画分 10.00乳糖 66.90香料 1.00全量 100.00(3)キャラメル:(組成) (重量部)グラニュー糖 32.00水飴 20.00粉乳 30.00硬化油 4.00食塩 0.60香料 0.03水 3.37抽出画分 10.00全量 100.00(4)炭酸飲料:(組成) (重量部)グラニュー糖 8.00濃縮レモン果汁 1.00L−アスコルビン酸 0.10クエン酸 0.09クエン酸ナトリウム 0.05着色料 0.05炭酸水 80.71抽出画分 10.00全量 100.00(5)ジュース:(組成) (重量部)冷凍濃縮オレンジ果汁 5.00果糖ブドウ糖液糖 1.00クエン酸 0.10L−アスコルビン酸 0.09抽出画分 10.00香料 0.20色素 0.10水 83.51全量 100.00(6)乳酸菌飲料:(組成) (重量部)乳固形21%発酵乳 14.75果糖ブドウ糖液糖 13.32ペクチン 0.50クエン酸 0.08香料 0.15水 61.20抽出画分 10.00全量 100.00(7)アルコール飲料:(組成) (重量部)50%エタノール 32.00砂糖 8.60果汁 2.40抽出画分 10.00水 47.00全量 100.00 以上記載のように、本発明によりサラシア・レティキュラータ(Salasia reticulata)葉の水可溶性成分或いはエタノール水溶液可溶性成分を有効成分とするリパーゼ阻害剤が提供される。 かかる阻害剤は、肥満、メタボリックシンドローム、高脂血症などを効果的に予防・改善する医薬品、食品あるいは食品素材として提供することができ、その産業上に利用性は多大なものである。実施例1の結果を示す図である。実施例2の結果を示す図である。実施例3の結果を示す図である。実施例4の結果を示す図であり、葉の60%エタノール抽出画分についての結果である。実施例4の結果を示す図であり、幹の60%エタノール抽出画分についての結果である。 サラシア・レティキュラータ(Salacia reticulata)葉をエタノール水溶液で抽出し、得られた抽出物をさらにHP20充填カラムにチャージして、20〜50%のアセトン水溶液で溶出させて得られた画分を有効成分として含有することを特徴とするリパーゼ活性阻害剤。 請求項1で得られた画分を、更にLH20充填カラムにチャージして、20〜60%のアセトン水溶液で溶出させて得られた画分を有効成分として含有することを特徴とするリパーゼ活性阻害剤。 請求項1又は請求項2に記載のリパーゼ活性阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする肥満改善組成物。 請求項1又は請求項2に記載のリパーゼ活性阻害剤を有効成分として含有することを特徴とするメタボリックシンドローム改善組成物。 請求項1又は請求項2に記載のリパーゼ活性阻害剤を有効成分として含有することを特徴とする高脂血症改善組成物。


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