タイトル: | 公開特許公報(A)_ディールス・アルダー反応触媒及び不斉環化付加生成物の製造方法 |
出願番号: | 2008011762 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | B01J 31/02,C07C 221/00,C07C 223/04,C07B 53/00,C07B 61/00,C07D 207/06,C07C 229/50,C07C 227/06 |
石原 一彰 中野 効彦 JP 2009172474 公開特許公報(A) 20090806 2008011762 20080122 ディールス・アルダー反応触媒及び不斉環化付加生成物の製造方法 国立大学法人名古屋大学 504139662 特許業務法人アイテック国際特許事務所 110000017 石原 一彰 中野 効彦 B01J 31/02 20060101AFI20090710BHJP C07C 221/00 20060101ALI20090710BHJP C07C 223/04 20060101ALI20090710BHJP C07B 53/00 20060101ALN20090710BHJP C07B 61/00 20060101ALN20090710BHJP C07D 207/06 20060101ALN20090710BHJP C07C 229/50 20060101ALN20090710BHJP C07C 227/06 20060101ALN20090710BHJP JPB01J31/02 102ZC07C221/00C07C223/04C07B53/00 BC07B61/00 300C07D207/06C07C229/50C07C227/06 8 OL 15 4C069 4G169 4H006 4H039 4C069AA02 4G169AA06 4G169BA21A 4G169BA21B 4G169BE15A 4G169BE15B 4G169BE16A 4G169BE16B 4G169CB57 4G169DA02 4H006AA02 4H006AC28 4H006AC81 4H006BA51 4H006BB41 4H006BB42 4H006BC10 4H006BC34 4H006BJ50 4H006BQ20 4H006BU38 4H039CA40 4H039CH40 本発明は、ディールス・アルダー反応触媒及びそれを利用した不斉環化付加生成物の製造方法に関する。 エナンチオ選択的なディールス・アルダー(Diels-Alder)反応は、不斉炭素を有する環化付加生成物を構築できるため、合成化学上、最も重要な炭素−炭素結合形成反応の一つである。一方、α−アシロキシアクロレインはディールス・アルダー反応の活性ジエノフィルとして有効であり、このα−アシロキシアクロレインと適当なジエンとのディールス・アルダー反応によって得られる環化付加生成物は、アシロキシ基やホルミル基を様々な官能基に変換が可能なことから合成化学上の有用性が高い。 特許文献1には、こうしたα−アシロキシアクロレインとジエンとのディールス・アルダー反応を、(S)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジアミンとTf2NHとの塩を触媒として行うと、対応する環化付加生成物を高エナンチオ選択的に合成できることが開示されている。また、非特許文献1には、(+)−(2S,2S’)−2−アミノ−1−{N−[4’−メチル−1’−(ピロリジン−1”−イル)ペンタン−2’−イル]アミノ}−3−フェニルプロパンのようなキラルトリアミンとペンタフルオロベンゼンスルホン酸との塩を触媒とした場合にも、対応する環化付加生成物を高エナンチオ選択的に合成できることが開示されている。 一方、本発明者の知る限り、α−(N−アシルアミノ)アクロレインとジエンとのエナンチオ選択的及びジアステレオ選択的ディールス・アルダー反応の報告は、知られていない。ただ、α−(N−アシルアミノ)アクリル酸エステルとジエンとの反応では、ジアステレオ選択的反応は幾つか報告例があるものの、エナンチオ選択的反応は一例のみの報告である。すなわち、非特許文献2には、キラルチタン(IV)ルイス酸を用いてα−(N−アセチルアミノ)アクリル酸メチルとシクロペンタジエンとの不斉ディールス・アルダー反応を行い、64%化学収率、78%エキソ選択性、70%ee(エキソ体)で目的とする環化付加生成物が得られることが開示されている。特開2007−222850号公報J. Am. Chem. Soc., 2005, vol.127, p10504-10505Tetrahedron: Asymmetry 1991, vol.2, p1295-1304 このように、α−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインをジエノフィルとするディールス・アルダー反応において、対応する環化付加生成物を高エナンチオ選択的に合成する手法は、未だ開発されていない。 本発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、α−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインをジエノフィルとする不斉ディールス・アルダー反応に好適なディールス・アルダー反応触媒を提供することを目的の一つとする。また、このディールス・アルダー反応触媒を使用して不斉環化付加生成物を高エナンチオ選択的に製造することのできる不斉環化付加生成物の製造方法を提供することを目的の一つとする。 上述した目的を達成するために、本発明者らは、α−アシロキシアクロレインをジエノフィルとするディールス・アルダー反応で良好な結果を与えたビナフチルジアミンとTf2NHとの塩やキラルトリアミンとブレンステッド酸との塩の存在下で、α−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインをジエノフィルとするディールス・アルダー反応を検討したところ、前者は環化付加生成物がほとんど得られなかったのに対して、後者は高エナンチオ選択的に不斉環化付加生成物が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明のディールス・アルダー反応触媒は、α−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインをジエノフィルとする不斉ディールス・アルダー反応に用いられる触媒であって、式(1)又は式(2)で表されるトリアミンとブレンステッド酸(トリフルオロメタンスルホン酸イミドを除く)との塩を有効成分として含有することを要旨とする。(式中、R1,R2は互いに異なっていても同じであってもよい炭化水素基又は互いに結合して環をなす−(CH2)4−若しくは−(CH2)5−;R3はイソブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシルメチル基又はベンジル基;Arはアリール基である) 本発明の不斉環化付加生成物の製造方法は、上述した本発明のディールス・アルダー反応触媒の存在下でジエンとジエノフィルとしてのα−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインとのディールス・アルダー反応を進行させることにより、対応する不斉環化付加生成物を製造することを要旨とする。 本発明のディールス・アルダー反応触媒や不斉環化付加生成物の製造方法によれば、α−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインをジエノフィルとする不斉ディールス・アルダー反応を良好に進行させることができ、その結果、高エナンチオ選択的に不斉環化付加生成物を製造することができる。 本発明のディールス・アルダー反応触媒において、式(1),(2)のR1,R2は互いに異なっていても同じであってもよい炭化水素基又は互いに結合して環をなす−(CH2)4−若しくは−(CH2)5−である。炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基;ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、2−プロペニル基等の不飽和脂肪族炭化水素基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−シクロヘキセニル基等の脂環式炭化水素基;フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、ベンジル基、フェネチル基等の芳香族炭化水素基などが挙げられる。こうした炭化水素基は置換基を有していてもよいが、その置換基としては、例えば、上述した飽和脂肪族炭化水素基や不飽和脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などのほか、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシロキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲンなどが挙げられる。また、R1,R2が互いに結合して環をなす−(CH2)4の場合にはピロリジン環が形成され、−(CH2)5−の場合にはピペリジン環が形成される。 式(1),(2)のR3はイソブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシルメチル基又はベンジル基であり、このうちイソブチル基、ネオペンチル基が好ましい。 式(1),(2)のArはアリール基である。アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントリル基、2−アントリル基、9−アントリル基、1−フェナントリル基、2−フェナントリル基、3−フェナントリル基、4−フェナントリル基、9−フェナントリル基などが挙げられる。こうしたアリール基は置換基を有していてもよいが、その置換基としては、例えば前述の炭化水素基が有する置換基と同じものが挙げられる。 本発明のディールス・アルダー反応触媒において、式(1),(2)のR1,R2は互いに結合して環をなす−(CH2)4−であり、R3はイソブチル基であり、Arは無置換のフェニル基であることが好ましい。このトリアミンは、ロイシンやフェニルアラニンを用いて比較的簡単に合成することができるからである。また、このトリアミンとブレンステッド酸との塩を有効成分として含有するディールス・アルダー反応触媒は、非常に高いエナンチオ選択性をもって不斉環化付加生成物を得ることができるからである。 本発明のディールス・アルダー反応触媒において、ブレンステッド酸は、トリフルオロメタンスルホン酸イミド以外であれば特に限定されないが、パラトルエンスルホン酸、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、ペンタクロロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸などの有機スルホン酸やトリフルオロ酢酸、ペンタフルオロプロピオン酸、ヘプタフルオロ酪酸などのパーフルオロカルボン酸などが挙げられる。このうち、有機スルホン酸(特に2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸やペンタフルオロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)がディールス・アルダー反応の収率もエナンチオ選択性も高いため好ましい。 本発明の不斉環化付加生成物の製造方法において、ジエンとしては、特に限定するものではないが、例えばブタジエン誘導体やシクロペンタジエン誘導体などが挙げられる。ブタジエン誘導体としては、ブタジエンや2−メチルブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニルブタジエン、ミルセン等が挙げられる。シクロペンタジエン誘導体としては、シクロペンタジエンや1−メチルシクロペンタジエン、1,2−ジメチルシクロペンタジエンなどが挙げられる。また、ジエノフィルとしては、α−(N−アシルアミノ)アクロレインやα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインを使用する。これらのアクロレイン中のアシル基としては、特に限定するものではないが、例えばベンゾイル基やナフトイル基、アセチル基などが挙げられる。また、α−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインとしては、α−フタルイミドアクロレイン誘導体、α−ホモフタルイミドアクロレイン誘導体(ホモフタルイミドは1,2,3,4−テトラヒドロイソキノリン−1,3−ジオンの別称)なども挙げられる。このうち、ジエノフィルとしてはα−フタルイミドアクロレイン誘導体(例えばα−フタルイミドアクロレインやα−テトラフルオロフタルイミドアクロレイン)が好ましい。この場合、環化付加生成物が高収率、高鏡像体過剰率で得られるからである。また、得られた環化付加生成物をヒドラジンなどで処理することによりフタルイミド基をアミノ基に高収率で変換することができるからである。 本発明の不斉環化付加生成物の製造方法において、ディールス・アルダー反応触媒の使用量は特に限定されるものではないが、例えばジエン及びジエノフィルのうちモル数の少ない方に対して1〜30mol%が好ましく、2.5〜20mol%がより好ましい。1mol%未満ではディールス・アルダー反応の収率やエナンチオ選択性が低下するおそれがあるため好ましくなく、30mol%を超えても結果が大きく改善されることがなく経済的でないため好ましくない。 本発明の不斉環化付加生成物の製造方法において、反応温度は特に限定されるものではなく、例えば−20℃〜50℃が好ましく、0℃〜室温(25℃程度)がより好ましい。 本発明の不斉環化付加生成物の製造方法において、反応溶媒として非プロトン性極性溶媒を使用することが好ましい。こうした非プロトン性極性溶媒としては、例えば、ニトロメタンやニトロエタンなどのニトロアルカン系溶媒;アセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒;テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジメトキシエタン(DME)などのエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド(DMF)やジメチルアセトアミド(DMA)などのアミド系溶媒が挙げられるが、このうちニトロアルカン系溶媒やニトリル系溶媒、エーテル系溶媒が好ましい。[参考例1] キラルトリアミン(化合物1)を、非特許文献1のSupporting informationに記載されている方法(下記合成ルート参照)で合成した。 すなわち、まず、アミノ基をBocで保護したロイシン(Boc−Leu−OH,5mmol)と1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt,811mg,6mmol)と1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl,1.15g,6mmol)とi−Pr2NEt(1.05mL,6mmol)とをTHF(15mL)に溶かした溶液に、ピロリジン(0.500mL,6mmol)を0℃で加えた。この温度で0.5時間撹拌した後、室温でさらに12時間撹拌した。その後、反応を水でクエンチし、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、食塩水及び1M塩酸水溶液で洗浄した。続いて、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチル又はクロロホルム−メタノールを使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し、Boc−Leu−N(CH2CH2)2を得た。 次に、得られたBoc−Leu−N(CH2CH2)2(5mmol)をメタノール(50mL)に溶かした溶液に、酢酸クロリド(5mL)を0℃で滴下して加えた。そして、0℃で3時間撹拌した後、室温でさらに1時間撹拌した。その後、反応溶液を減圧で濃縮してBocの外れたH−L−Leu−N(CH2CH2)2を得た。このH−L−Leu−N(CH2CH2)2(5mmol)とアミノ基をBocで保護したフェニルアラニン(Boc−L−Phe−OH,1.33g、5mmol)とHOBt(811mg,6mmol)とWSC・HCl(1.15g,6mmol)とをTHF(20mL)に溶かした溶液に、i−Pr2NEt(1.92mL,11mmol)を0℃で加えた。この温度で0.5時間撹拌した後、室温でさらに12時間撹拌した。その後、反応を水でクエンチし、反応混合物を酢酸エチルで抽出し、食塩水及び1M塩酸水溶液で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過、濃縮した。溶離液としてヘキサン−酢酸エチル又はクロロホルム−メタノールを使用してシリカゲルカラムクロマトグラフィで粗生成物を精製し、Boc−L−Phe−Leu−N(CH2CH2)2を得た。 こうして得られたBoc−L−Phe−Leu−N(CH2CH2)2(1g)をメタノール(2mL)に溶かした溶液に、酢酸クロリド(2mL)を0℃で滴下して加えた。そして、0℃で5時間撹拌後、室温でさらに1時間撹拌し、反応溶液を減圧で濃縮した。残った生成物をTHFに入れ、LiAlH4(13当量)を0℃で加えた。0℃で0.5時間撹拌後、加熱して48時間還流させ、硫酸ナトリウムでクエンチし、0℃で水と共に激しく撹拌した。得られた灰白色の懸濁液をろ過し濃縮した。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(富士シリシア化学製のCromatorex NH−DM1020)とイオン交換樹脂(amberlite IRA458RFCL,溶離液:水−メタノール=1:2)を使用して精製し、キラルトリアミン(化合物1)を得た。[実験例1〜14] 実験例1〜14のディールス・アルダー反応を表1に示す反応条件で行った。その結果を表1に併せて示す。実験例1〜14で実施したディールス・アルダー反応の一般的手法を以下に示す。すなわち、キラルトリアミン(化合物1,0.025mmol)とブレンステッド酸(0.069mol(2.75equiv))とを0.25mLの溶媒に溶かした溶液に、アクロレイン誘導体(0.25mmol)を加えた。続いて、所定の温度で撹拌した後、ジエン(0.3mmol)を滴下して加えた。所定の反応時間経過後、反応を炭酸水素ナトリウムの飽和水溶液でクエンチし、反応混合物を酢酸エチルで希釈し、水で洗浄したあと続いて食塩水で洗浄した。その後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、減圧濃縮した。そして、粗生成物をヘキサン−酢酸エチルを溶離液としてシリカゲルクロマトグラフィで精製し、環化付加生成物を得た。なお、実験例1〜12は本発明の実施例であり、実験例13,14は比較例である。また、実験例14では、触媒として(R)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジアミンとTf2NH(1.9equiv)との塩を用いた。 表1から明らかなように、ジエノフィルについては、α−(N−ベンゾイルアミノ)アクロレイン及びα−フタルイミドアクロレインのいずれを用いた場合でも、高収率、高鏡像体過剰率で対応する環化付加生成物が得られた(実験例1,2参照)。また、反応溶媒については、非プロトン性極性溶媒を用いた場合に良好な結果を与え、特にニトロメタンを用いた場合に最適な結果を与えた(実験例2〜7参照)。なお、DMFを用いた場合には若干収率及び鏡像体過剰率が低下した。ブレンステッド酸については、有機スルホン酸(特にペンタフルオロベンゼンスルホン酸、2,4−ジニトロベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸)を用いた場合に良好な結果を与えたが、トリフルオロ酢酸を用いた場合には収率及び鏡像体過剰率が若干低下し、トリフルオロメタンスルホン酸イミド(Tf2NH)を用いた場合にはほとんど環化付加生成物が得られなかった(実験例2,8〜11,13参照)。なお、実験例13ではジエンが重合したためディールス・アルダー反応が進行しなかったものと推察される。触媒については、化合物1のキラルトリアミンのイソブチル基をネオペンチル基に変更した場合でも、高収率、高鏡像体過剰率で対応する環化付加生成物が得られた(実験例12参照)。また、(R)−1,1’−ビナフチル−2,2’−ジアミンとTf2NH(1.9equiv)との塩は、α−アシロキシアクロレインをジエノフィルとするディールス・アルダー反応で好結果を与えた触媒であるが、今回のディールス・アルダー反応はほとんど進行しなかった。 ここで、実験例2〜14で使用したα−フタルイミドアクロレインの合成手法について説明する。2−アミノ−1,3−プロパンジオール(1.82g,20mmol)と無水フタル酸(20mmol)とを混合し、無溶媒で160℃に加熱し2時間撹拌した。冷却後、粗生成物を精製することなく次の反応に使用した。DMSO(10mL)とCH2Cl2(10mL)の混合溶媒を塩化オキサリル(2.54mL,30mmol)のCH2Cl2溶液に−78℃で滴下した。−78℃で30分撹拌した後、先ほどの粗生成物をDMSO(10mL)とCH2Cl2(10mL)の混合溶媒に溶かした溶液を滴下して加えた。−78℃で30分撹拌し続けた後、トリエチルアミン(13.2mL)を−78℃で滴下して加えた。そして、−78℃で1時間撹拌した後、反応混合物を−20℃まで徐々に昇温し、30分撹拌した。反応を水(60mL)でクエンチした後、反応混合物を酢酸エチル(100mL)で希釈し、酢酸エチルを用いて抽出した。有機層を水、食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、減圧で濃縮した。残った生成物を酢酸エチルからの再結晶又はヘキサン−酢酸エチルを溶離液として用いるシリカゲルクロマトグラフィにより精製し、α−フタルイミドアクロレインを得た。α−フタルイミドアクロレインのスペクトルデータは以下のとおり。 IR (KBr) 3472, 3107, 3030, 2863, 1790, 1714, 1634, 1468, 1397, 1356, 1275, 1174, 1111, 1089 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 6.59 (brs, 1H), 6.60 (brs, 1H), 7.80 (dd, 2H, J = 3.0, 6.0 Hz), 7.93 (dd, 2H, J = 3.0, 6.0 Hz), 9.60 (s, 1H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 124.0 (2C), 131.8 (2C), 133.6, 134.6 (2C), 137.7, 166.1 (2C), 186.4; HRMS(FAB) calcd for C11H8NO3 [(M+H)+] 202.0504. Found: 202.0493. 実験例1〜12で得られる環化付加生成物のスペクトルデータは以下のとおり。 実験例1の環化付加生成物:[α]22.2D = 8.3 (c= 0.3, CHCl3) for 76% ee; HPLC (Daicel Chiralpak AS-H column; hexane-i-PrOH = 4:1; flow rate = 0.75 mL/min) tR = 17.1 ((S)-enantiomer), 19.7 ((R)-enantiomer) min; IR (KBr) 3316, 2925, 1728, 1626, 1577, 1534, 1484, 1450, 1383, 1326, 1073 cm-1; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.68 (brs, 6H), 1.88 (dt, 1H, J = 8.1, 13.2 Hz), 2.14-2.28 (m, 4H), 2.51 (brd, 1H, J = 18.0 Hz), 6.42 (br, 1H), 7.46 (t, 2H, J = 7.8 Hz), 7.54 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 8.03 (d, 2H, J = 6.9 Hz), 9.69 (s, 1H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 18.8, 19.2, 26.0, 27.8, 36.8, 61.4, 121.6, 125.8, 127.0 (2C), 128.7 (2C), 132.0, 133.4, 167.2, 200.4; HRMS(FAB) calcd for C16H19NO2Na [(M+Na)+] 280.1313. Found: 280.1293. 実験例2〜12の環化付加生成物:[α]22.7D = 23.8 (c = 0.76, CHCl3) for 94% ee; IR (KBr) 2914, 1707, 1442, 1376, 1132, 1070, 933 cm-1; HPLC (Daicel Chiralpak AS-H column; hexane-i-PrOH = 9:1; flow rate = 0.7 mL/min) tR =14.7 (major enantiomer), 16.1 (minor enantiomer) min; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.63 (brs, 3H), 1.72 (brs, 1H), 1.96-2.07 (m, 2H), 2.12-2.20 (m, 1H), 2.51 (brd, 1H, J = 16.2 Hz), 2.80-2.90 (m, 1H), 2.89 (dd, 1H, J = 6.3, 13.2 Hz), 7.73 (dd, 2H, J = 3.3, 5.4 Hz), 7.81 (dd, 2H, J = 3.3, 5.4 Hz), 9.66 (s, 1H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 18.7, 18.8, 26.1, 28.1, 34.6, 65.8, 122.8, 123.2 (2C), 125.2, 131.6 (2C), 134.2 (2C), 168.7 (2C), 197.7; HRMS(FAB) calcd for C17H18NO3 [(M+H)+] 284.1287. Found: 284.1282.主エナンチオマーの絶対配置はX線結晶構造解析により(S)体であると決定した。図1にそのORTEP表示(Flack Parameter=0.1228)を示す。[実験例15〜22] 実験例15〜22のディールス・アルダー反応を表2に示す反応条件で行った。その結果を表2に併せて示す。これらの実験例も、上述したディールス・アルダー反応の一般的手法に準じて行った。なお、実験例15〜22は本発明の実施例である。表2から明らかなように、実験例15では、実験例2に比べて低温(0℃)で反応させたことにより鏡像体過剰率が96%eeまで向上した。実験例16では、触媒量をα−フタルイミドアクロレインに対して2.5mol%まで下げても良好な結果が得られた。実験例17〜19では、ジエンとしてイソプレン、2−フェニルブタジエン、ミルセンなどの2−置換型ブタジエンを用いたが、いずれもディールス・アルダー反応がスムーズに進行し、4−置換型シクロヘキ−3−センカルボキシアルデヒドを>99%のレジオ選択率で且つ88−94%eeの鏡像体過剰率で与えた。実験例20では、ジエンとして無置換のブタジエンを用いたところ、2−置換型ブタジエンよりも反応性はやや低かったものの、環化付加生成物を55%の収率で且つ83%eeの鏡像体過剰率で与えた。実験例21,22では、ジエンとしてシクロペンタジエンを用いたが、他のジエンと同様良好な結果を与えた。この場合、溶媒はニトロエタンよりもTHFの方が適していた。また、実験例21ではキラルトリアミンとして化合物1のフェニル基の代わりに2−ナフチル基が付いたものを用いたが、フェニル基のものと同様、触媒として効果的であった。また、実験例22ではジエノフィルとしてα−フタルイミドアクロレインのテトラフルオロ誘導体を用いたが、この場合も良好な結果を与えた。なお、表2の実験例15〜21におけるN(phthal)は、フタルイミド基を表し、実験例22におけるN(phthal)は、テトラフルオロフタルイミド基を表す。 実験例17〜22で得られる環化付加生成物のスペクトルデータは以下のとおり。 実験例17の環化付加生成物: [α]22.4D = -42.4 (c = 0.60, CHCl3) for 89% ee; IR (KBr) 2923, 1713, 1467, 1376, 1326, 1120, 1077 cm-1; HPLC (Daicel Chiralpak AS-H column; hexane-i-PrOH = 9:1; flow rate = 0.5 mL/min) tR =28.4 (major enantiomer), 31.6 (minor enantiomer) min; 1H NMR (500 MHz, CDCl3) δ 1.68 (s, 3H), 1.98-2.10 (m, 2H), 2.21 (dtd, 1H, J =1.5, 6.0, 13.0 Hz), 2.61-2.68 (m, 1H), 2.88-2.95 (m, 1H), 2.97 (ddd, 1H, J = 6.5, 8.5, 13.5 Hz), 5.44-5.48 (m, 1H), 7.73 (dd, 2H, J = 3.0, 5.5 Hz), 7.81 (dd, 2H, J = 3.0, 5.5 Hz), 9.70 (s, 1H); 13C NMR (125 MHz, CDCl3) δ 23.2, 25.8, 26.9, 29.2, 64.7, 117.7, 123.2 (2C), 131.6 (2C), 134.0, 134.2 (2C), 168.7 (2C), 197.5; HRMS(FAB) calcd for C16H16NO3 [(M+H)+] 270.1130. Found: 270.1136. 実験例18の環化付加生成物: [α]21.9D = -42.4 (c = 0.70, CHCl3) for 79% ee; IR (KBr) 2925, 1714, 1497, 1445, 1374, 1137, 1062 cm-1; HPLC (Daicel Chiralcel OD-H column; hexane-i-PrOH = 9:1; flow rate = 1.0 mL/min) tR = 25.4 (major enantiomer), 28.6 (minor enantiomer) min; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.36 (dt, 1H, J = 6.3, 13.5 Hz), 2.50-2.60 (m, 2H), 2.86 (brd, 1H, J =20.1 Hz), 3.10 (dd, 1H, J = 6.9, 13.5 Hz), 3.15-3.24 (m, 1H), 6.19 (brs, 1H), 7.19-7.41 (m, 5H), 7.74 (dd, 2H, J = 3.0, 5.4 Hz), 7.83 (dd, 2H, J = 3.3, 5.4 Hz), 9.75 (s, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 24.1, 25.9, 29.5, 64.7, 120.6, 123.3 (2C), 125.1 (2C), 127.2, 128.3 (2C), 131.5 (2C), 134.3 (2C), 135.9, 140.7, 168.7 (2C), 197.2; HRMS(FAB) calcd for C21H18NO3 [(M+H)+] 332.1287. Found: 332.1260. 実験例19の環化付加生成物: [α]21.9D = -33.7 (c = 0.53, CHCl3) for 94% ee; IR (KBr) 3457, 2925, 2843, 2728, 1770, 1699, 1610, 1449, 1376, 1285, 1201, 1119, 1076 cm-1; HPLC (Daicel Chiralpak AS-H column; hexane-i-PrOH = 19:1; flow rate = 0.5 mL/min) tR =23.8 (major enantiomer), 27.0 (minor enantiomer) min; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.58 (s, 3H), 1.66 (s, 3H), 1.92-2.12 (m, 6H), 2.16-2.28 (m, 1H), 2.68 (brd, 1H, J = 16.5 Hz), 2.86-3.01 (m, 2H), 5.05 (m, 1H), 5.48 (brs, 1H), 7.72 (dd, 2H, J = 3.0, 5.4 Hz), 7.81 (dd, 2H, J = 3.0, 5.7 Hz), 9.69 (s, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 17.7, 25.2, 25.7, 25.9, 26.1, 29.3, 37.1, 64.8, 117.4, 123.2 (2C), 123.8, 131.6, 131.7 (2C), 134.2 (2C), 137.7, 168.7 (2C), 197.7; HRMS(FAB) calcd for C21H24NO3 [(M+H)+] 338.1756. Found: 338.1771. 実験例20の環化付加生成物: [α]22.1D = -24.0 (c = 0.50, CHCl3) for 83% ee; IR (KBr) 3031, 1922, 2849, 1713, 1466, 1444, 1374, 1326, 1187, 1133, 1083, 1059 cm-1; HPLC (Daicel Chiralpak AS-H column; hexane-i-PrOH = 19:1; flow rate = 0.5 mL/min) tR =47.5 (major enantiomer), 51.9 (minor enantiomer) min; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 2.02-2.26 (m, 3H), 2.60-2.72 (m, 2H), 5.77 (brs, 2H), 7.74 (dd, 2H, J = 3.3, 5.1 Hz), 7.82 (dd, 2H, J = 3.3, 5.1 Hz), 9.70 (s, 1H); 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 22.0, 25.3, 29.0, 64.8, 123.3 (2C), 123.7, 126.4, 131.5 (2C), 134.3 (2C), 168.6, 197.0; HRMS(FAB) calcd for C15H14NO3 [(M+H)+] 256.0974. Found: 256.0970. 実験例21の環化付加生成物: [α]22.7D = 74.9 (c = 0.85, CHCl3) for 84% ee; IR (KBr) 2988, 1718, 1468, 1372, 1182, 1131, 1074, 1049 cm-1; HPLC (Daicel Chiralpak AD-H column; hexane-EtOH = 15:1; flow rate = 1.0 mL/min) tR = 25.9 (minor exo-enantiomer), 34.6 (major exo-enantiomer) min, 31.2 (minor endo-enantiomer), 54.1 (major endo-enantiomer) min; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.52-1.62 (m, 3H), 1.70-1.81 (m, 1H), 2.23 (dd, 1H, J =1.8, 15.3 Hz), 2.51 (dd, 1H, J = 3.6, 13.5 Hz), 3.13 (brs, 1H), 4.54 (brs, 1H), 6.06 (dd, 1H, J = 3.3, 5.4 Hz), 6.51 (dd, 1H, J = 3.0, 6.0 Hz), 7.66-7.76 (m, 2H), 7.76-7.86 (m, 2H), 9.23 (s, 1H (endo-diastereomer)), 9.65 (s, 1H (exo-diastereomer)); 13C NMR (endo-isomer, 125 MHz, CDCl3) δ 36.9, 42.3, 48.6, 49.7, 73.9, 123.2 (2C), 130.8, 131.7 (2C), 134.1 (2C), 141.7, 169.1, 199.6; 13C NMR (exo-diastereomer, 125 MHz, CDCl3) δ 35.5, 41.9, 45.2, 49.8, 72.8, 123.1 (2C), 131.7 (2C), 134.1 (2C), 134.4, 141.0, 169.2, 198.1; HRMS(FAB) calcd for C16H13NO3Na [(M+Na)+] 290.0793. Found: 290.0787. 実験例22の環化付加生成物: [α]21.6D = 68.1 (c = 0.51, CHCl3) for a 72:28 endo- and exo-isomeric mixture of 90% ee and 57% ee; IR (KBr) 2986, 1783, 1720, 1638, 1501, 1409, 1341, 1317, 1211, 1153, 1133, 1079, 1055 cm-1; HPLC (Daicel Chiralcel OD-H column; hexane-i-PrOH = 9:1; flow rate = 0.8 mL/min) tR = 37.5 (major exo-enantiomer), 40.9 (minor exo-enantiomer) min, 44.8 (minor endo-enantiomer), 57.6 (major endo-enantiomer) min; 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.60-1.72 (m, 1H), 1.76-1.84 (m, 1H), 2.22 (dd, 1H, J =2.4, 13.5 Hz), 2.44 (dd, 1H, J = 3.6, 13.8 Hz), 3.16 (brs, 1H), 4.50 (brs, 1H), 6.07 (dd, 1H, J = 3.3, 5.4 Hz), 6.53 (dd, 1H, J = 3.0, 5.4 Hz), 9.13 (s, 1H (endo-diastereomer)), 9.58 (s, 1H (exo-diastereomer)); 13C NMR (endo-diastereomer, 175 MHz, CDCl3) δ 36.8, 42.3, 48.6, 49.5, 74.9, 113.4-113.5 (m, 2C), 130.5, 141.9, 142.4-144.1 (m, 2C), 144.2-146.0 (m, 2C), 163.2 (2C), 198.8; 13C NMR (exo-diastereomer, 175 MHz, CDCl3) δ 35.4, 41.9, 45.3, 49.9, 73.7, 113.4-113.5 (m, 2C), 134.1, 141.4, 142.4-144.1 (m, 2C), 144.2-146.0 (m, 2C), 163.4 (2C), 197.0; 19F NMR (exo-diastereomer, 282 MHz, CDCl3) δ -143.3 (dd, 2F (exo-diastereomer), JCF = 9.3, 21.4 Hz), -143.1 (dd, 2F (endo-diastereomer), JCF = 9.0, 18.3 Hz), -137.4 (dd, 2F, JCF = 9.0, 21.2 Hz); HRMS(FAB) calcd for C16H9NF4O3Na [(M+Na)+] 362.0416. Found: 362.0420. 実験例15〜22で得られた環化付加生成物を対応するメチルエステルに変換したあと、ヒドラジンで処理することにより高収率でフタルイミド基をアミノ基に変換することができた。実験例21で得られた環化付加生成物のフタルイミド基のアミノ基への変換手法を下記式に示す。実験例21で得られた環化付加生成物は、ノルボルネン−2−アミノ−2−メタノール誘導体などの生理活性アルカロイドを合成するための重要な光学活性中間体として価値が高い。 本発明は、主に薬品化学産業に利用可能であり、例えば医薬品や農薬、化粧品の中間体として利用される種々の環状化合物を製造する際に利用することができる。実験例2で得られた環化付加生成物のORTEP表示のイラストである。 α−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインをジエノフィルとする不斉ディールス・アルダー反応に用いられる触媒であって、 式(1)又は式(2)で表されるトリアミンとブレンステッド酸(トリフルオロメタンスルホン酸イミドを除く)との塩を有効成分として含有する、 ディールス・アルダー反応触媒。(式中、R1,R2は互いに異なっていても同じであってもよい炭化水素基又は互いに結合して環をなす−(CH2)4−若しくは−(CH2)5−;R3はイソブチル基、ネオペンチル基、シクロヘキシルメチル基又はベンジル基;Arはアリール基である) 前記ブレンステッド酸が、有機スルホン酸である、 請求項1に記載のディールス・アルダー反応触媒。 請求項1又は2に記載のディールス・アルダー反応触媒の存在下でジエンとジエノフィルとしてのα−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインとのディールス・アルダー反応を進行させることにより、対応する不斉環化付加生成物を製造する、 不斉環化付加生成物の製造方法。 前記ジエノフィルは、α−フタルイミドアクロレイン誘導体である、 請求項3に記載の不斉環化付加生成物の製造方法。 前記ジエンは、1,3−ブタジエン誘導体又はシクロペンタジエン誘導体である、 請求項3又は4に記載の不斉環化付加生成物の製造方法。 前記ジエン又は前記ジエノフィルのうちモル数の少ない方に対して前記ディールス・アルダー反応触媒を1〜30mol%使用する、 請求項3〜5のいずれか1項に記載の不斉環化付加生成物の製造方法。 前記ディールス・アルダー反応を−20℃〜50℃で進行させる、 請求項3〜6のいずれか1項に記載の不斉環化付加生成物の製造方法。 反応溶媒として非プロトン性極性溶媒を使用する、 請求項3〜7のいずれか1項に記載の不斉環化付加生成物の製造方法。 【課題】α−(N−アシルアミノ)アクロレイン又はα−(N,N−ジアシルアミノ)アクロレインをジエノフィルとする不斉ディールス・アルダー反応に好適なディールス・アルダー反応触媒を提供する。【解決手段】キラルトリアミン(0.025mmol)とペンタフルオロベンゼンスルホン酸(0.069mol(2.75equiv))を0.25mLの溶媒に溶かした溶液に、α−フタルイミドアクロレイン(0.25mmol)を加えた。続いて、2,3−ブタジエン(0.3mmol)を滴下して加えた。所定の反応時間経過後、高収率、高鏡像体過剰率で対応する環化付加生成物が得られた。 【化1】【選択図】なし