タイトル: | 公開特許公報(A)_外用組成物 |
出願番号: | 2008008853 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 8/36,A61P 31/10,A61K 31/19,A61K 31/192,A61K 47/10,A61K 8/368,A61K 8/34,A61Q 11/00,A61Q 19/00,A61Q 5/00 |
山本 知代 辻本 和久 JP 2009167139 公開特許公報(A) 20090730 2008008853 20080118 外用組成物 セーレン株式会社 000107907 山本 知代 辻本 和久 A61K 8/36 20060101AFI20090703BHJP A61P 31/10 20060101ALI20090703BHJP A61K 31/19 20060101ALI20090703BHJP A61K 31/192 20060101ALI20090703BHJP A61K 47/10 20060101ALI20090703BHJP A61K 8/368 20060101ALI20090703BHJP A61K 8/34 20060101ALI20090703BHJP A61Q 11/00 20060101ALI20090703BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20090703BHJP A61Q 5/00 20060101ALI20090703BHJP JPA61K8/36A61P31/10A61K31/19A61K31/192A61K47/10A61K8/368A61K8/34A61Q11/00A61Q19/00A61Q5/00 5 OL 12 4C076 4C083 4C206 4C076AA06 4C076AA09 4C076AA12 4C076AA25 4C076BB22 4C076BB31 4C076CC31 4C076DD27 4C076DD28G 4C076DD34 4C076DD37E 4C076DD37R 4C076DD38F 4C076DD38X 4C076DD41R 4C076DD43Z 4C076EE23E 4C076EE23F 4C076EE32G 4C076EE41 4C076FF01 4C076FF11 4C076FF15 4C076FF16 4C076FF57 4C076FF61 4C076FF68 4C076FF70 4C076GG01 4C076GG41 4C083AB432 4C083AB442 4C083AC012 4C083AC102 4C083AC121 4C083AC122 4C083AC132 4C083AC182 4C083AC271 4C083AC272 4C083AC302 4C083AC311 4C083AC312 4C083AC472 4C083AC482 4C083AD272 4C083AD412 4C083BB48 4C083BB51 4C083BB55 4C083CC02 4C083CC04 4C083CC05 4C083CC31 4C083CC41 4C083DD08 4C083DD22 4C083DD23 4C083DD27 4C083DD31 4C083DD41 4C083EE11 4C083EE13 4C083EE21 4C083EE23 4C083EE32 4C083EE33 4C206AA01 4C206AA02 4C206DA02 4C206DA17 4C206KA01 4C206MA02 4C206MA05 4C206MA33 4C206MA37 4C206MA47 4C206MA77 4C206MA83 4C206NA07 4C206NA14 4C206NA20 4C206ZB35 本発明は、外用組成物に関する。詳しくは、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制することができる外用組成物に関する。 カンジダ(Candida)菌は、人の皮膚や粘膜に存在し常在菌叢を構成する真菌の1種で、通常は他の常在菌とのバランスを保って存在し、病原性を示すことはない。しかしながら、癌、糖尿病、免疫不全、ストレス等による免疫力の低下や、抗癌剤、抗生物質、ステロイド、免疫抑制剤等の薬物の過剰投与、衛生状態の劣悪化などが要因となって、常在菌のバランスが崩れ、カンジダ菌が過度に繁殖すると、カンジダ症が引き起こされる。カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)は、カンジダ症の代表的原因菌である。カンジダ症は、皮膚または皮膚に隣接する粘膜(口腔、膣など)に発症する表在性カンジダ症と、深部臓器をおかす深在性カンジダ症に大別され、表在性カンジダ症はさらに皮膚カンジダ症と粘膜カンジダ症に分けられる。皮膚カンジダ症には、カンジダ性間擦疹、カンジダ性指趾間びらん症、カンジダ性爪囲爪炎、乳児寄生菌性紅斑など感染部位や年齢によっていくつかの異なる病型が存在するのに対し、粘膜カンジダ症の大部分は口腔または膣に発症し、それぞれ口腔カンジダ症、外陰膣カンジダ症と呼ばれている。表在性カンジダ症は、最も頻発する真菌症の1つで、痒みや痛みを伴ったり、誤嚥性肺炎を誘発させたりするなど、健康障害を招くことで知られている。一方、深在性カンジダ症は、食道、胃、小腸、大腸、尿路、肺、腎臓、心臓、肝臓、脾臓、脳にまで病変が及んで重篤症状を示すが、その症例は少ない。 表在性カンジダ症の治療は、外用薬による局所療法が基本で、従来、イミダゾール系の抗菌剤(抗真菌剤)が広く用いられ、その作用を増強するための製剤処方も多数報告されている。例えば、特許文献1には、抗菌剤と末梢血管拡張剤を併用することにより、抗菌剤の薬効を高め、真菌を短期間に効率よく陰性化できることが開示されている。しかしながら、イミダゾール系抗菌剤は、皮膚や粘膜に対して強い刺激を与える場合があり、適用部位が限定されるうえ、予防的な使用には適さないものであった。 口腔内におけるカンジダ菌の増殖を抑制し、これに起因する口内炎を予防し得る口腔用組成物として、特許文献2には、ソルビン酸またはその塩と安息香酸またはその塩を特定の割合で併用してなる組成物が開示されている。ここで、ソルビン酸類や安息香酸類は、防腐剤(保存剤)として広く用いられている化合物である。しかしながら、前記成分で十分な抗カンジダ菌作用を得るには、液性を酸性にする必要があり、口腔用組成物として歯の脱灰を促進する虞や、嗜好性の問題があった。また、酸刺激の点で、口腔以外への転用は困難であった。 ところで、近年、消費者の間で人体に対する安全性への関心が急速に高まり、「人に優しい」製品の需要が高まっている。防腐剤も例外でなく、特に、パラベン類(安全性および有効性に優れた防腐剤として最も多用されている)は、一部の敏感な使用者に対する刺激性やアレルギー性などの問題から、その使用を控えたり、使用量を軽減したりする傾向にある。そのような状況の中、保湿剤、溶剤などとして用いられる1,2−アルカンジオールが、それ自体抗菌作用を有し、さらに従来の防腐剤と組み合わせることにより、防腐剤の抗菌作用を相乗的に高めて、防腐剤の使用量を大幅に軽減することができることが報告されている。 例えば、特許文献3には、1,2−ペンタンジオールおよび2−フェノキシエタノールを防腐剤として含んでなる外用組成物が開示されている。 特許文献4には、炭素数4〜10の1,2−アルカンジオール、好ましくは、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールのうちの1種以上からなる防腐殺菌剤;感光素201号(ピオニン)、安息香酸およびその塩、フェノキシエタノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノールのうちの1種以上と、前記1,2−アルカンジオールのうちの1種以上とが組み合わされてなる防腐殺菌剤;および前記防腐殺菌剤を配合してなる人体施用組成物が開示されている。 特許文献5には、パラベン類のうちの1種以上と、特許文献4と同様の1,2−アルカンジオールのうちの1種以上とが組み合わされてなる防腐殺菌剤;および前記防腐殺菌剤を配合してなる化粧料組成物が開示されている。 特許文献6には、1,2−オクタンジオールからなる化粧料用保湿静菌剤;および前記化粧料用保湿静菌剤を配合してなる化粧料が開示されている。 しかしながら、特許文献3〜6に記載の組成物は、微生物汚染により組成物そのものが腐敗するのを防止するために1,2−アルカンジオールを用いており、組成物が適用される皮膚や粘膜における微生物の増殖を抑制するものではなかった。また、1,2−アルカンジオールの抗菌作用は、大腸菌、黄色ブドウ球菌、枯草菌、緑膿菌など、いわゆる一般細菌に対するもので、真菌であるカンジダ菌に対する作用は、十分に検討されていなかった。さらに、1,2−アルカンジオールを単独で防腐剤として用いる場合、高配合量が必要であり、刺激性の問題があった。特に、抗菌作用の高い1,2−アルカンジオール(一般に、炭素数が多いほど抗菌作用が高くなる)は、人体に対する毒性も強いため、適用部位が限定されるという問題があった。これらの点で、特許文献3〜6に記載の組成物は、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制することを目的とした組成物には適さないものであった。 したがって、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制する作用を有しながら、毒性や刺激性の問題がなく、安全性に優れた外用組成物の開発が依然として求められている。特開平7−233088号公報特開平5−262631号公報特開平10−53510号公報特開平11−322591号公報特開平11−310506号公報特開2001−48720号公報 本発明は、従来技術における上記問題点を解決するためになされたもので、その目的とするところは、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制することができる外用組成物であって、しかも毒性や刺激性の問題がなく、安全性に優れた外用組成物を提供することである。 本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、従来、防腐剤として用いられ安全性が確認されているソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、従来、保湿剤として用いられ安全性が確認されているプロピレングリコールとを併用してなる組成物が、酸性から中性におよぶ広いpH領域において、カンジダ菌の増殖を抑制することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明は、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制するための外用組成物であって、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとを含有することを特徴とする外用組成物である。 前記外用組成物において、ソルビン酸およびソルビン酸塩の配合量は合計量として0.5重量%以下であることが好ましく、安息香酸の配合量は0.2重量%以下であることが好ましく、安息香酸塩の配合量は合計量として1.0重量%以下であることが好ましく、かつ、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上の配合量の合計量は0.01〜1.5重量%であることが好ましい。また、プロピレングリコールの配合量は0.5〜15重量%であることが好ましい。 さらに、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとの配合比は、重量比で1:1〜1:200であることが好ましい。 前記外用組成物は、ソルビン酸カリウムおよび安息香酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとを含有することが好ましい。 また、前記外用組成物のpHは4.0〜7.5であることが好ましい。 本発明によれば、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制することができる外用組成物が提供される。本発明の組成物は、毒性や刺激性の問題がなく、安全性に優れており、表在性カンジダ症の予防またはその症状の改善に有用である。 本発明の外用組成物は、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制するための外用組成物であって、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコール(別名1,2−プロパンジオールまたは1,2−ジヒドロキシプロパンと呼ばれる)とを必須成分として含有するものである。1,2−アルカンジオールが一般細菌に対する抗菌作用を有し、防腐剤と組み合わせることにより防腐剤の抗菌作用を相乗的に高めることができることは知られているが、炭素数が3と少なく、高度な抗カンジダ菌作用が期待できないプロピレングリコールと、ソルビン酸類や安息香酸類とを組み合わせることにより、ソルビン酸類や安息香酸類の抗カンジダ菌作用を有効に高めることができることは、しかも、酸性から中性におよぶ広いpH領域において優れた抗カンジダ菌作用を示すことは、全く予想外のことであった。そのメカニズムは定かでないが、プロピレングリコールの高い親水性や乳化作用により、カンジダ菌細胞の脱水および水分活性の低下、ならびにタンパク質の変性が引き起こされ、その結果、ソルビン酸類や安息香酸類の抗カンジダ菌作用が有効に発揮されるものと考えられる。 本発明において外用組成物とは、おおよそ外用に用いる組成物全般を包括する概念であり、特には皮膚または皮膚に隣接する粘膜(口腔、膣など)に適用する組成物をいうものとする。本発明の外用組成物は、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制し、もって表在性カンジダ症を予防またはその症状を改善することができる組成物であり、医薬品、医薬部外品、化粧品など薬事法上の区分は特に限定されない。表在性カンジダ症は、隣接部位へ(例えば、口腔から呼吸器や消化管へ、外陰部から尿路へなど)、さらには粘膜を貫いて毛細血管に入り遠隔部へと二次的に広がることがあり、これを予防、改善することは、深在性カンジダ症を予防する上でも意義がある。 本発明が対象とするカンジダ菌は特に限定されるものでなく、カンジダ(Candida)属に属する真菌全般をさし、例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・パラシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・グラブラタ(Candida grabrata)、カンジダ・ギリエルモンジイ(Candida guilliemondii)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)などを挙げることができる。なかでも、カンジダ症の主要原因菌であるカンジダ・アルビカンスの増殖抑制に対する要望は強い。 また、本発明の外用組成物は、カンジダ菌のみならず、皮膚や粘膜に存在する多種の微生物に対しても、その増殖を抑制する作用を示す。 本発明において用いられるソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩は、安全性に優れた防腐剤や保存料として、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品などに広く用いられている。本発明においては、抗カンジダ菌成分として外用組成物に配合する。 ソルビン酸は、2つの不飽和基を有する脂肪酸で、2,4−ヘキサジエン酸ともいう。水には溶け難いが、エタノールには比較的よく溶ける。一方、ソルビン酸塩は水に溶け易く、遊離酸に比べると使い易い。ソルビン酸塩として具体的には、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸ナトリウムなどを挙げることができる。 安息香酸は、ベンゼンの水素原子1個がカルボキシル基に置換された構造を有する芳香族カルボン酸で、ベンゼンカルボン酸ともいう。水には溶け難いが、エタノールや油脂にはよく溶ける。一方、安息香酸塩は水に溶け易く、遊離酸に比べると使い易い。安息香酸塩として具体的には、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウムなどを挙げることができる。 これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。なかでも、使い易さや人体への安全性などの点から、ソルビン酸カリウムまたは安息香酸ナトリウムが好ましい。 なお、ソルビン酸類や安息香酸類の抗カンジダ菌作用はpHに依存し、酸性では良好な作用を示すのに対し、中性近くになると著しく低下する。本発明においては、プロピレングリコールと組み合わせることにより、単独使用の場合に認められる抗カンジダ菌作用の低下を抑制することができるものである。 外用組成物における上記成分の配合量は、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制する有効量である。具体的な配合量は外用組成物の形態や他の成分の種類などによって異なるが、薬事法上許容される最大配合量以下に設定する必要がある。例えばソルビン酸およびソルビン酸塩の最大配合量は合計量として0.5重量%であり、安息香酸の最大配合量は0.2重量%であり、安息香酸塩の最大配合量は合計量として1.0重量%である。(A)ソルビン酸および/またはソルビン酸塩と、(B)安息香酸と、(C)安息香酸塩とを組み合わせて用いる場合、(A)(B)(C)それぞれの配合量がそれぞれの規定値を超えない限り薬事法上問題となることはないが、本発明においてはさらに、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩の配合量の合計量が1.5重量%以下であることが好ましい。配合量の合計量が1.5重量%を超えると、一部の敏感な使用者において、皮膚や粘膜に対する刺激が問題となる虞がある。一方、下限値としては、配合量の合計量が0.01重量%以上であることが好ましい。配合量の合計量が0.01重量%未満であると、皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制する作用が十分に得られない虞がある。配合量の合計量は、0.1〜1.0重量%であることがより好ましい。 本発明において用いられるプロピレングリコールは、親水性の水酸基を2個有するアルコールで、水溶性、無色無臭のやや粘稠な液体である。溶剤としての性質に優れるほか、湿潤作用、保湿作用、防腐作用、乳化作用などを有する。また、人体に対する毒性が低く、皮膚や粘膜に対する刺激も低い。これらの特長を活かし、主に保湿剤、溶剤として、医薬品、医薬部外品、化粧品、食品などに広く用いられている。本発明においては、ソルビン酸類や安息香酸類の抗カンジダ菌作用を増強する成分として外用組成物に配合する。また、プロピレングリコールを配合することにより、本発明の外用組成物は、皮膚や粘膜を潤し滑らかにする作用においても優れたものとなる。 外用組成物におけるプロピレングリコールの配合量は、ソルビン酸類や安息香酸類の抗カンジダ菌作用を高めるための有効量である。具体的な配合量は外用組成物の形態や他の成分の種類などによって異なるが、一般に0.5〜15重量%であることが好ましく、1〜10重量%であることがより好ましく、5〜10重量%であることがさらに好ましい。配合量が0.5重量%未満であると、ソルビン酸類や安息香酸類の抗カンジダ菌作用を高める作用が十分に得られない虞がある。配合量が15重量%を超えると、一部の敏感な使用者において、皮膚や粘膜に対する刺激が問題となったり、呈味性が悪くなったりする虞がある。 さらに、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとを組み合わせることによる効果を有効に得るため、両者の配合比は重量比で1:1〜1:200であることが好ましく、1:3〜1:100であることがより好ましく、1:5〜1:50であることがさらに好ましい。配合比を上記範囲に設定することにより、抗カンジダ菌作用をより一層高めることができる。 外用組成物の使用形態は特に限定されるものでなく、例えば、化粧水、ボディローション、乳液、クリーム、ハンドクリーム、石鹸、洗顔料、ハンドソープ、ボディーソープ、パック、シャンプー、トニック、育毛剤等の皮膚用剤;歯磨剤、洗口液、舌苔洗浄剤、含嗽剤等等の口腔用剤;膣洗浄剤等の膣用剤などを挙げることができる。 本発明の外用組成物は、製剤化の為に薬学上許容される適宜の基剤成分に、本発明の有効成分であるソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとを溶解または混合分散させることにより調製することができる。基剤成分としては、例えば、水、水溶性高分子、脂溶性高分子、油脂・ワックス類などを挙げることができる。 外用組成物の剤型は特に限定されるものでなく、液状、半固形状、固形状のいずれであってもよい。具体的には例えば、液状剤としては液剤、乳剤、懸濁剤、エアゾール剤等;半固形状剤としては軟膏剤、硬膏剤、クリーム剤、ジェル剤等;固形状剤としては錠剤、トローチ剤、顆粒剤、カプセル剤等を挙げることができる。また、上記組成物を適当な支持体上に展延し、パップ剤、プラスター剤等の貼付剤とすることもできる。 本発明の外用組成物には、その使用形態や剤型に応じて、薬学上許容される公知の成分を常用量で適宜配合することができる。このような成分としては例えば、粘稠剤・保湿剤、増粘剤・粘度調整剤、防腐剤・保存剤、安定剤、pH調整剤、界面活性剤、精油、香料、着色料、甘味料、清澄剤、粘膜保護剤、抗菌剤、薬理活性成分、無機塩等を挙げることができる。 本発明の外用組成物は、毒性や刺激性の問題がなく、安全性に優れたものであるが、使用感をより向上させるため、粘膜保護剤を配合してもよい。このような粘膜保護剤としては、例えば、トレハロース、ヒアルロン酸等の糖類、絹タンパク質、乳タンパク質等をタンパク源とするペプチド類などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。 本発明の外用組成物は、カンジダ菌などに対し優れた抗菌作用を有するため、他の抗菌剤の併用を必ずしも要さないが、本発明の効果を妨げない範囲内で、他の抗菌剤を配合してもよい。また、外用組成物には防腐性を確保するために通常防腐剤を配合するが、本発明の外用組成物では、防腐剤の配合量を軽減させる、あるいは排除することができる。 本発明の外用組成物は、酸性から中性におよぶ広いpH領域、具体的にはpHが2.0〜8.0の領域において優れた抗カンジダ菌作用を示すが、皮膚や粘膜に対する刺激を考慮すると、4.0〜7.5に調整することが好ましい。そのために用いられるpH調整剤としては、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、リン酸、酒石酸およびそれらの塩などを挙げることができる。これらは1種単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。 以下、実験例と実施例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない実験例1 ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、およびプロピレングリコールの各成分について、抗カンジダ菌作用を評価した。 カンジダ・アルビカンス(NBRC番号1393)をYM培地(関東化学株式会社)に植菌し、25℃で2日間培養した。培養液の濁度を調整し(OD610nm=0.01)、試験菌液とした。 pH5.0または6.5に調整したYM培地に、ソルビン酸カリウム、安息香酸ナトリウム、またはプロピレングリコールを、表1〜3に示す濃度となるように添加し、試験培地を作製した。pH調整剤としてはクエン酸を用いた。また、ブランクには通常のYM培地(pH6.5)を用いた。各培地2mLに、前記カンジダ・アルビカンスの試験菌液を50μL接種し、25℃で2日間培養後の濁度を測定した(OD610nm)。以下の式によりカンジダ・アルビカンスの増殖率を算出し、結果を表1〜3に示した。 増殖率(%)=(試験培地の濁度/ブランクの濁度)×100 ソルビン酸カリウムと安息香酸ナトリウムは、酸性条件のpH5.0では優れた抗カンジダ菌作用を示すものの、中性条件のpH6.5では抗カンジダ菌作用が著しく低下した。一方、プロピレングリコールの抗カンジダ菌作用には、pHによる影響は認められなかった。実験例2 pH6.5において、ソルビン酸カリウムまたは安息香酸ナトリウムと、プロピレングリコールとを組み合わせた場合の抗カンジダ菌作用を、実験例1と同様にして評価した。結果を表4および5に示した。 ソルビン酸カリウムまたは安息香酸ナトリウムと、プロピレングリコールとを組み合わせることによって、中性条件においても優れた抗カンジダ菌作用を示した。実施例1および比較例1 表6に示す組成に従って、実施例1および比較例1の口腔用組成物(ジェル剤)を調製した。表6中のクエン酸の適量とは、組成物のpHを5.5に調整するために必要な量を示し、精製水の残量とは、合計を100重量%とするために必要な量を示す。 実施例1および比較例1の組成物1gに、実験例と同様のカンジダ・アルビカンスの試験菌液を100μL接種し、25℃で3日間静置した。これを精製水で適宜希釈したもの100μLをYM寒天培地(関東化学株式会社)に塗抹し、25℃で2日間培養後のコロニー数をカウントした。以下の式によりカンジダ・アルビカンスの生存率を算出し、結果を表6に示した。 生存率(%)=(実施例1のコロニー数/比較例1のコロニー数)×100 実施例1の組成物は比較例1の組成物と比較して、カンジダ・アルビカンスの生存率を大幅に低下させることができた。 本発明の他の処方例を示す。処方例1:皮膚用組成物(軟膏剤)プロピレングリコール 5 (重量%)安息香酸ナトリウム 0.5ベントナイト 20カオリン 20グリセリン 10セリシン加水分解物 1パラオキシ安息香酸メチル 0.2精製水 残量(pH6.3)処方例2:口腔用組成物(ジェル剤)プロピレングリコール 5 (重量%)安息香酸ナトリウム 0.3グリセリン 10キシリトール 1カルボキシメチルセルロースナトリウム 5セリシン加水分解物 1パラオキシ安息香酸エチル 0.05精製水 残量(pH5.5)処方例3:皮膚用組成物(ローション剤)プロピレングリコール 8 (重量%)安息香酸ナトリウム 0.05ポリオキシエチレンオレイルエーテル 1エタノール 5セリシン加水分解物 1パラオキシ安息香酸メチル 0.2精製水 残量(pH6.5)処方例4:頭皮用組成物(エアゾール剤)プロピレングリコール 5 (重量%)安息香酸ナトリウム 1イソプロピルメチルフェノール 0.1エタノール 20セリシン加水分解物 1精製水 残量液化石油ガス 50(pH6.5) 皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制するための外用組成物であって、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとを含有することを特徴とする外用組成物。 ソルビン酸およびソルビン酸塩の配合量が合計量として0.5重量%以下であり、安息香酸の配合量が0.2重量%以下であり、安息香酸塩の配合量が合計量として1.0重量%以下であり、かつ、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上の配合量の合計量が0.01〜1.5重量%であること、および、プロピレングリコールの配合量が0.5〜15重量%であることを特徴とする、請求項1に記載の外用組成物。 ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとの配合比が、重量比で1:1〜1:200であることを特徴とする、請求項1または2に記載の外用組成物。 ソルビン酸カリウムおよび安息香酸ナトリウムからなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとを含有することを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の外用組成物。 pHが4.0〜7.5であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の外用組成物。 【課題】 皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制することができる外用組成物であって、しかも毒性や刺激性の問題がなく、安全性に優れた外用組成物を提供する。【解決手段】 皮膚や粘膜におけるカンジダ菌の増殖を抑制するための外用組成物であって、ソルビン酸、ソルビン酸塩、安息香酸、および安息香酸塩からなる群より選択される1種以上と、プロピレングリコールとを含有することを特徴とする外用組成物。【選択図】 なし