タイトル: | 公表特許公報(A)_血液または血漿の試料の総凝固活性の測定方法 |
出願番号: | 2007555538 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | C12Q 1/56,G01N 33/86 |
ゲッツ・ノヴァック エルケ・ブッヒャ ウーテ・ランゲ JP 2008530992 公表特許公報(A) 20080814 2007555538 20060217 血液または血漿の試料の総凝固活性の測定方法 イェナフィン・ゲーエムベーハー 508074321 柳川 泰男 100074675 ゲッツ・ノヴァック エルケ・ブッヒャ ウーテ・ランゲ DE 102005008066.9 20050222 C12Q 1/56 20060101AFI20080718BHJP G01N 33/86 20060101ALI20080718BHJP JPC12Q1/56G01N33/86 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW EP2006001492 20060217 WO2006089697 20060831 18 20071003 2G045 4B063 2G045AA10 4B063QA18 4B063QA19 4B063QQ03 4B063QQ36 4B063QR67 4B063QS36 4B063QX01 本発明は、血液または血漿の試料の総凝固活性を測定する方法に関する。さらに、本発明はこの方法を行うためのキット、および、患者の血液凝固状態についての情報を得るための方法に使用するキットにも関する。 ヒトや動物の血液凝固は、病理学的および生理学的プロセスによって引き起こされる複雑な過程であり、生体で止血の役割を果たしている。血液凝固では、15種以上の異なった血液凝固因子が、それぞれ活性化されて次の不活性前駆体を活性化していく多段階(凝固カスケード)プロセスによって、血漿中に存在する可溶性フィブリノーゲンが繊維性−ゼラチン性血餅物質フィブリンに変換される。 セリンプロテアーゼは血漿凝固システムが活性化する際の最も重要な酵素である。血漿凝固システムでは、カルシウムイオンと補因子(FVa、FVIIIa)を媒介としてセリンプロテアーゼ前駆体が負に帯電したリン脂質に特定の結合構造(γ−カルボキシル基)を介して固定され、数段階を経て活性複合体を形成し、その複合体によってセリンプロテアーゼ(FXI、FIX、FX)が準固相様に活性化される。この複雑な凝血活性化過程の最終生成物である酵素トロンビンは、活性複合体を残す唯一のプロテアーゼであり、そのため血液循環では遊離した状態で得られる。この遊離トロンビンは凝固タンパクフィブリノーゲンと細胞の両方に関係する全く異なる複数のトロンビン基質と結合する。従って、トロンビンは血漿凝固と細胞単位、特に、血小板との橋渡しをする機能があり、それゆえ最強の凝集開始因子に相当する。凝集した血小板のリン脂質表面には多量の活性複合体が存在していて、そこでトロンビンが生成される。患者の全体的な血液凝固状態は、血液および血漿中にあるトロンビンの最大生成可能量で見積もることができる。この、いわゆるトロンビン生成ポテンシャルによって血液の凝固能異常亢進(栓友病)の徴候を得ることができ、さらにトロンビン生成の機能低下(血友病、出血傾向)をも検知することもできる。 血漿中のトロンビン生成を測定する方法は従来から知られている。血漿中のトロンビン生成は、一般に、aPTT、プロトロンビン時間、クイック値、レプチラーゼ時間、バトロキソビン時間などの総凝固テスト法によって測定される。しかしながら、これらのテスト法では凝固の活性化の面だけに注目している。ほとんどの場合、これらのテストは原則として体外で主に患者の「保管血漿」(Plasmaasservaten)に一定量の凝血誘発剤を加えることで行われる。そうすることで一定量のα−トロンビンが活性化されるので、検出システムを介して凝血の徴候、通常は試料中のフィブリノーゲンを経時的に測定する。このとき、1mlの凝血反応液あたり原則的には5−8NIH単位のトロンビンしか活性化されない。 血漿中のトロンビン生成を測定する方法としては、ヘンカーらによる方法(特許文献1)がある。実用的には、数カ所の変更を加えたヘンカーの方法によって、凝血誘発後、色素形成物質(特許文献2、3、4)を用いて連続的に測定しながらトロンビン生成を検知する。この測定では色素生成物質の開裂量を短い間隔で面積積分として積算し、色素生成物質の開裂速度と開裂総量によってトロンビン生成を測定する。この方法で抗凝血薬の影響や凝血異常をトロンビンの同時生成によって測定することが可能になった。しかしながら、この方法の欠点は測定原理が色素および蛍光生成物質を用いた光学的方法であるため、半透明な試料(血漿または血小板を多く含む血漿)にしか使用できないことである。さらに、測定のためには血漿をかなり希釈しなければならないため、天然に存在する阻害物質の影響を受けるという欠点もある。さらに、このような測定では、本来の凝固作用のためトロンビンが非生理学的に豊富になり、そのため血液中に存在する遅効性反応阻害物質(例えば、α2−マクログロブリン)によって反応が非生理学的に自己限定的になる。生体内では、このような大量のトロンビンが働くことはない。希釈していない血液中では、大量のトロンビン基質(フィブリノーゲン、V、VIIIおよびXI因子、プロトロンビン)があっても、適当量のトロンビンに対応する抗トロンビン(抗トロンビンII、ヘパリン補因子II、その他)も存在しており、それによって効果的にブロックされるからである。また、従来の方法ではトロンビンの動的な活性は測定できるものの、凝固活性の終点を測定することは出来なかった。従って、トロンビンの最大活性能、すなわち凝固活性の終点を測定するための、さらに信頼できる方法が必要とされている。欧州特許第0420332号明細書国際公開第00/052199号パンフレット国際公開第03/093831号パンフレット国際公開第96/21740号パンフレット 従って、本発明は、血液または血漿中のトロンビンの最大活性能を測定する方法を提供するとの目的に基づく。本発明による方法では、反応温度や反応時間といった変化する可能性がある外部の影響を受けず、高い確度で、トロンビンの活性化反応を終点まで導く。さらに、本発明の方法は全血もしくは、ほとんど希釈していない血液試料に適用できる。さらにまた、本発明の方法によって血液試料の凝固状態に関する信頼のおける情報を簡単に得ることができる。 驚くべきことに、上記の目的は、高度に特異的で不可逆的でない一定量のトロンビン阻害剤を血液試料に加え、凝固の誘発後、加えたトロンビン阻害剤の消費量を測定することで達成できることが判明した。 すなわち、本発明は、高度に特異的で不可逆的でない所定量のトロンビン阻害剤を血液または血漿の試料に加え、血液または血漿の試料の凝固を誘発し、所定時間経過後に、加えたトロンビン阻害剤の消費量を、それ自体公知の方法で測定することを特徴とする血液または血漿の試料の総凝固活性の測定方法に関するものである。さらに、本発明は、この総凝固活性を測定する方法を実施するためのキット、および、患者の凝血状態に関する情報を得るための方法に用いるキットにも関する。 トロンビンの最大生成能は、抗凝血化処理された希釈していない血液および/または血漿中の総量として本発明の方法で定量できる。高度に特異的で不可逆的でないトロンビン阻害剤は、比較的高濃度で存在する高い親和性を持つトロンビン基質やトロンビン受容体と競争関係にあるので、比較的高濃度で加えなければならない。一般的に、血液または血漿1ml当たり10から30μgの高度に特異的なトロンビン阻害剤を用いれば十分である。血液に対する阻害剤の正確な比率は、簡単なルーチン実験で容易に実験的に決定することができる。 高度に特異的で不可逆的でないトロンビン阻害剤は、実質的には、トロンビンの活性部位と重要な認識構造であるアニオン結合エキソサイト(exosite)1(ABE1)との両方に親和性を持つ阻害剤である。さらに、高度に特異的なトロンビン阻害剤は、凝血システムにおいて活性化前相反応および活性化主相反応で沈澱する他のセリンプロテアーゼ(VIIa、IXa、Xa、XIa因子)に影響を与えないものでなければならない。このような阻害剤は公知である。トロンビン阻害剤の例としては、ヒルジン、ジペタロガスチンIおよびII、ジペタロガスチン類から得られるトロンビン特異性セリンプロテアーゼ阻害剤、熱帯サシカメムシ、ロードニウスプロリキウス(サシカメムシ)から得られるロドニインおよびそこから誘導されるジペタルジンのようなキメラ、およびヒルジンと同様の結合特異性と高い親和性を有するジペタロガスチンとヒルジンとの部分変性阻害剤などが挙げられる。また、ヨーロピアン・ジャーナル・バイオケミストリー(European Journal Biochemistry). 265, 598-605. 1999に記載されているような二官能性遅効強結合阻害剤も本発明に好適である。さらに、天然阻害剤に相当する遺伝子組替え阻害剤も使用できる。加えて、上記の性質を有する限り、天然阻害剤を変性もしくは修飾したものも使用可能である。 加えられた阻害剤の消費量は、きわめて精密に測定できることが好ましい。原理的には、上記のようなトロンビン直接阻害剤、特に強結合阻害剤はエカリン凝固時間法あるいは、その変法であるエカリン色素形成法(国際公開第00/046602号パンフレット)を用いて非常に精密に測定でき、広範囲にわたって正確に直線的な測定ができる。好ましいトロンビン阻害剤はヒルジンである。ヒルジンは血液/血漿1mlあたり15μg使用することが好ましい。 試験すべき血液試料/血漿試料は希釈しても希釈しなくてもよい。血液試料や血漿試料はそれぞれ公知の方法によって得ることができる。通常、血液試料は市販の器具で採取する。本発明の方法では、クエン酸ナトリウム0.3mlを含むサルステッド−モノベテス(Sarstedt-Monovettes)[登録商標]2.7mlを用いて肘静脈から血液を採取することが好ましい。得られたクエン酸塩添加血液を二等分し、一方をすぐに遠心分離器に3800rpmで10分間かける。上澄みの血小板を含まない血漿をピペットで取り出して、手順に従って用いる。このクエン酸塩を含んだ血液および血漿の検査は、血液採取から2〜3時間以内に行うことが好ましい。ただし、血漿は冷蔵庫中で24時間まで保存してもよい。 本発明の方法では、一定量のトロンビン阻害剤を血液または血漿の試料に加える。試料中では、内的および/または外的活性化物質、さらに適切なカルシウムイオン濃度によって凝固が最大限に誘発される。外的および/または内的血漿凝固経路を経て誘起される凝血ポテンシャルすべてを反映して、不活性な前駆体プロトロンビンは最終的にセリンプロテアーゼトロンビンに変換される。プロトロンビナーゼ複合体で生成され、そこから放出されるトロンビンは高度に特異的な阻害剤によって即座に捕獲され不活性化される。一定時間に活性化の後、EDTAによって活性化反応を停止する。その後、試料中の未反応の遊離阻害剤を精密で効果的な決定法によって測定する。トロンビンが生成されればされるほど、試料中の阻害剤はより多く消費される。このようにして、血液または血漿の試料中の最大トロンビン活性化ポテンシャルを極めて精密に記録することができる。加えられた阻害剤は恒久的に活性化されたトロンビンと独占的に結合するので、いわば唯一の凝血最終生成物であり、凝血以前に起こったことに全く影響しない。トロンビンによる通常の凝血で活性化されるFVa、FVIIIaなどの補酵素もまたFXaによって活性化されるので、実際の生理学的もしくは病理学的な凝血が本発明の方法によって再現される。 本発明の方法では、現在知られている活性化経路、いわゆる外的および内的経路の両方を同様に考慮している。外的もしくは内的経路単独による活性化も可能であるが、それは細胞内での特定の凝固因子欠乏(例えば、遺伝性の凝血疾患による)についての知見を得るような場合でのみ有用である。それ以外の場合、このテストは「異常凝血」または「正常凝血」を判定する「総量試験」である。従って、本発明の方法における正常値は血液についての値と血漿についての値とがある。個々の患者の値が正常値から外れていれば、それは凝血疾患を示すものである。この点に関して驚くべきことに、最適な活性化を行うためには、上記の二つの活性化をする物質の混合比率を最適にしなければならないことが判明した。そのようにするだけで、トロンビンの最大可能生成能力を測定することができる。原則として市場で入手可能な公知の凝血誘発物質を用いることができる。外的活性化剤は、通常、動物やヒトの様々な細胞/器官成分から得られた組織因子である。いわゆる「トロンボプラスチン類」や「トロンボキナーゼ類」はウサギの脳、肺あるいは肝臓から得られるが、一般に、ほとんど標準化できない。そのため、バッチごとの活性に大きな変動のない遺伝子組み換え製品を用いることが好ましい。内的活性化剤についても同様のことが言える。動物性、植物性いずれのリン脂質も使用でき、エラグ酸などの開始剤を加えても良い。同様の製品は市場で入手可能であり、当業者には公知である。本発明によって、最適に組み合わせたイノビン(Innovin)とアクチンFS(Action FS)(両製品ともにデイド・ベーリング社(Dade Behring company)製)が二つのトロンビン活性化経路に関与することが分かった。イノビンは遺伝子組み換え組織因子であり、外的活性化経路に対応する。内的活性化経路に必要なアクチンFSは、いわゆる活性PTT試薬であり、この内的凝血活性化ではリン脂質とエラグ酸の両方が関与する。また、試験液には一定かつ適当量のカルシウムイオンが含まれていなければならない。カルシウムイオンはクエン酸塩によって抗凝血化処理された血液を再びもとに戻すとともに、生体内では活性化のために血液中のカルシウムを必要としている凝固因子を最適なイオン環境のもとにおく働きがある。さらにまた、試験液にはアルブミン(好ましくはウシ・アルブミン)が含まれていなければならない。アルブミンは脂質様物質、特に、内的活性化経路に関与する脂質様物質の均一化に有効である。なお、ちなみに本発明の方法は「THROGA(thrombin generation assay)法」と命名された。 また、本発明は、血液試料の総凝固活性を測定するためのキットにも関する。このキットは、トロンビン阻害剤、トロンビンの外的および内的活性化因子、および適切な副次的試薬からなっている。このキットは、それ自体公知で従来の方法で製造できるパッケージに納められる。 本発明の方法および本発明のキットによって、血液もしくは血漿試料のトロンビン最大活性化可能量を正確に、高い信頼性で測定することができる。さらに、血液中のトロンビン基礎量も、この方法で測定できる。血漿中では、少量ながら一定量のトロンビンが常に検出できる。しかし、これとは異なり、血液中で検出されるトロンビン濃度は減少することも増加することもある(「ブラインド・トロンビン」)。 従って、本発明の方法は、血液凝固の正常、亢進、減退(栓友病、血友病、出血傾向)に関する情報を提供するものである。さらに、本発明の方法によって、クマリンもしくはジクマロール系経口抗凝血薬による治療の進み具合を測定、管理することができる。本発明による方法(THROGA法)は、今日まで用いられてきたクイック値法に比べて、経口抗凝血薬の全血中での凝固阻害能を記録できるという利点がある。そのため、本発明の方法によって患者の出血傾向を初期段階で把握することが可能になる。研究では、経口抗凝血薬による治療を受けている患者については良好な結果が得られた。経口抗凝血薬治療では、凝固システムで重要なセリンプロテアーゼの前駆体、とくに鍵となる酵素トロンビンの前駆体、すなわちプロトロンビンは不活性な状態にあるので、血液中のトロンビン生成を記録することで患者の体内に潜在している凝血ポテンシャルを直接に測定でき、出血傾向の有無などの情報を得ることができる。さらに、本発明の方法によって他の凝固阻害剤による治療も長期間にわたって検証することができる。実験によれば、レフルダン(refludan)、メラガトラン(melagatran)あるいはアルガトロバン(argatroban)などの直接抗トロンビン物質による治療を受けている患者の血栓形成状況をモニターすることもできる。従って、本発明の方法は患者の複雑な凝血状態に関する情報を即座に得ることができる「正確な方法」あるいは「迅速な方法」である。本発明の方法によって、血液凝固状態における異常を迅速に検出することができ、それによって適切な治療を早期に開始することが可能になる。 以下の実施例によって、本発明をさらに詳しく説明する。[テストを実施するための一般的手順] トロンビンを最大限に生成するために、抗凝血化処理した少量の血液もしくは血漿を用いる。そのためには、クエン酸塩や他のあらゆる抗凝血剤を使用することができる。0.1mlのクエン酸塩添加血液もしくは血漿を、参照用試験管(NaCl)および一定量のヒルジンが入れてある活性化用試験管(組織因子+エラグ酸とリン脂質との混合物)のそれぞれに入れる。この二つの反応容器に蓋をして、ミニ・シェイカーを用いて550rpm、室温で25分間混合する。次にEDTAを含有する停止液で凝血活性化を終了させ、消費されずに残った遊離ヒルジンを精密測定によって定量する。反応容器中のヒルジン量を正確に測定するために、色素形成物質を用いた市販の色素形成ヒルジン測定法(ECAエカリン色素形成法(Ecarin Chromogenic Assay)、国際公開第00/046602号パンフレット)を用いる。[THROGAキットの例] THROGAキットの構成例を以下に示す。25× 凍結乾燥試薬を入れた活性化用試験管、赤ラベルで標識25× 凍結乾燥試薬を入れた参照用試験管 1× 参照曲線のための凍結乾燥試薬を入れた参照用試験管、赤点のついた蓋で標識 1× 10倍濃度の停止試薬、6ml 2× THROGAコントロール、凍結乾燥、1.5ml用 2× ECAプロトロンビン緩衝剤、凍結乾燥、6ml用 1× ECA−H−基質、即時使用可能溶液、3ml 2× ECA−エカリン試薬、凍結乾燥、3ml用ECAプロトロンビン緩衝剤、ECA−H−基質、ECA−エカリン試薬:7日間使用(毎日、37℃で3時間調製、測定の間は2−8℃で保存)それぞれ2−8℃で密閉保存したECAプロトロンビン緩衝剤、ECA−H−基質、ECA−エカリン試薬:28日間 試薬類は測定装置内で37℃に保つ一方で、それぞれの試薬は使用したら、蒸発を避けるために容器は密閉しなければならない。操作を終了したら、試薬類は2−8℃の密閉状態で保存しなければならない。 クエン酸塩添加血液および/または血漿中の最大トロンビン生成量の測定[試薬の調製] 試料試験管を装着する少なくとも30分前には、プリセット・シェイカーのスイッチを入れておかねばならない。10倍濃度の停止試薬は、個々の必要とされる量に応じて蒸留水で10倍に希釈する必要がある。ECA−H−基質はすぐに使用できる。ECA−エカリン試薬、ECAプロトロンビン緩衝剤およびTHROGAコントロールは、ラベルに示されている量の蒸留水に溶解し、十分に、しかし注意深く、容器をひっくり返して混合する。試薬類とコントロールは室温で45分間かけて水で戻さなくてはならない。少なくとも一回の、この戻し時間の間または後に、容器をひっくり返して試薬類を注意深く混合する。[必要ではあるが含まれていない材料および機器]− ECA−Hに適応する色素形成反応を測定するための手動式凝血測定機器コアトロン(Coatron)M2、その付属消耗品および操作マニュアル(ヘモシス社(HaemoSys GmbH)の供給に関する情報)− プリセット・シェイカー(約500rpm)− ストップウオッチ− 脱イオン水または蒸留水− 先端チップを装着した適切な検量ずみピペット− 血液試料を採取するための機材[標本/試験材料]− クエン酸塩添加血液のクエン酸塩添加血漿、出来るだけ早く、少なくとも10分間、1500xgで遠心分離して得られた血漿− 9重量部の静脈血と1重量部のクエン酸ナトリウム溶液(0.11mol/l)とを泡を立てないように、注意深く混合したクエン酸塩添加血液− 15−25℃における試料の安定性:4時間[方法][トロンビン生成] 一回の測定ごとに、参照用試験管と活性化用試験管のそれぞれに100μlのクエン酸塩添加血液または血漿を入れる。蒸発を避けるために、それぞれの試験管は溶解させた後に蓋をしなくてはならない。続いて、試験管をシェイカーに30から60分間かける。その後、反応を終了させるために、1000μlの停止溶液をそれぞれの試験管に加え、ピペットで慎重に混合する。──────────────────────────────────────── 参照用試験管 活性化用試験管──────────────────────────────────────── 100μlの血漿 100μlの血漿 30分間シェイカーにかける 1000μlの停止溶液 1000μlの停止溶液────────────────────────────────────────[ECA−Hによる抗トロンビン単位(ATU)の測定] 次に、両THROGA試料(参照用試験管と活性化用試験管)について、ECA−Hを用いて抗トロンビン単位(ATU)を測定する。 ECA−Hは、光学測定用付属品を備えた多くの自動および手動凝血測定機器で用いることができる。[ECA−Hに適応するコアトロン(Coatron)M2凝血測定機器を用いる方法の試験手順] コアトロンM2の操作マニュアルを参照する。血液試料のTHROGAを測定する際は、機器の「オートスタート」は切っておかなくてはならない。 測定機器は予め37℃に温めておく。容器も測定機器内の容器収納ブロックで予め温めておく。ECAプロトロンビン緩衝剤、ECA−エカリン試薬および、もし可能ならば、ECA−H−基質も機器内で少なくとも15分間は予め温めておく。 蒸発を防ぐために、試薬類は測定中、蓋をして密閉しておかねばならない。 コアトロンM2によるテストを実施するための詳細な情報は操作マニュアルの付録(ECA−Hの応用)から得ることができる。 試薬類やTHROGA試料は、以下のようにしてピペットで容器内に導入する。ピペットによる導入:ECA−H──────────────────────────────────────── 37℃に予熱した容器にピペットで導入 ECAプロトロンビン緩衝剤 100μl THROGA試料 25μl ECA−H−基質 25μl 混合し、1分間37℃に保温 ECA−エカリン試薬 50μl ECA−エカリン試薬を最初にピペットで導入しなかった場合、時間の測定は導入の15秒後から自動的に開始する。────────────────────────────────────────[評価] 測定結果は、測定時間(秒)と抗トロンビン単位(U、ATU)として得られる。測定機器内に保存された参照曲線を使って結果の評価が行われる。 得られた参照用試験管および活性化用試験管のATU値から、以下の式によって血漿もしくは血液試料内で生成されたトロンビン単位を計算する。 ETP=R−Aただし、 ETP:最大内的トロンビン・ポテンシャル、1mlの血液または血漿中で生成されたトロンビン単位 R: 参照用試験管中の抗トロンビン単位(ATU/1mlの血液または血漿) A: 活性化用試験管中の抗トロンビン単位(ATU/1mlの血液または血漿)[参照曲線の作成] 正確な結果を得るために、新しい試薬類のバッチを使うたびに参照曲線を作成しなければならない。参照曲線を作成するためには、THROGA試料のかわりに以下のTHROGA標準試料を、それぞれ25μl用いて4点で測定する。THROGA標準希釈試料の調製────────────────────────────────────────THROGA標準試料 調製(濃度:抗トロンビン単位 /1ml血漿)──────────────────────────────────────── 224 参照用試験管、1100μl停止溶液中に希釈 112 500μl標準225ATU+500μl停止溶液 56 500μl標準112.5ATU+500μl停止溶液 0 停止溶液──────────────────────────────────────── THROGA標準試料の測定は二重に行うことが好ましい。測定で得られたECA−H反応時間の平均をとって、個々の標準試料の濃度とともに測定機器に入力する。その際、Uが濃度単位ATU/1ml血液または血漿に相当することに注意しなければならない。参照曲線は測定機器内に保存される。 コアトロンM2での参照曲線の作成に関する詳細な情報は操作マニュアルの付録(ECA−Hの応用)から得ることができる[内部品質管理] 内部品質管理のために、THROGA法の血液や血漿のかわりに調製したTHROGAコントロールを用いる。 測定したコントロール値が、THROGAコントロールのラベルに示されたコントロール範囲外である場合、測定の信頼性は保証できない。試薬類をチェックし、そのような場合は取り替える必要がある。それでも測定したコントロール値が範囲外である場合は、測定機器の性能をチェックしなくてはならない。THROGA法による患者の検査:a)対象者:I.N.、女性、37歳──────────────────────────────────────── r−ヒルジン濃度(μg/ml) 1μg=15.8ATU 血液 血漿────────────────────────────────────────コントロール(A) 14.9 14.6活性化試料(B) 9.3 7.5差(μg/ml) 5.6 7.1ATU/ml; TU/ml 88.5 112.2────────────────────────────────────────評価: I.N.の血漿中の活性化量112.2は正常である(正常値:122±19TU/ml)。 対象者の血液中で、88.5TU/mlのトロンビンが生成されていることが測定できた。正常値は78±13TU/mlである。従って、彼女はこの点でも正常範囲内にいる。b)患者:C.R.、女性、55歳、大脳に外傷を受けた状態 1.クロピドグレル(clopidogrel)による血小板特異的治療の開始前(04年1月7日)──────────────────────────────────────── r−ヒルジン濃度(μg/ml) 1μg=15.8ATU 血液 血漿────────────────────────────────────────コントロール(A) 13.2 14.2活性化試料(B) 6.9 6.7差(μg/ml) 6.3 7.5ATU/ml; TU/ml 99.5 118.5──────────────────────────────────────── 2.毎日1.5錠のクロピドグレル(clopidogrel)による治療を8週間行った後(04年3月4日)──────────────────────────────────────── r−ヒルジン濃度(μg/ml) 1μg=15.8ATU 血液 血漿────────────────────────────────────────コントロール(A) 14.1 14.3活性化試料(B) 8.9 6.9差(μg/ml) 5.2 7.4ATU/ml; TU/ml 82.2 116.9────────────────────────────────────────評価: 最初の検査では、患者C.R.の血液は異常なTHROGA値99.5(正常値:78±13TU/ml)を示していたが、8週間の血小板特異的治療の後には正常値82.2になった。いずれの検査においても、血漿のTHROGA値は正常範囲内にあった。クロピドグレル(clopidogrel)治療における他のすべてのコントロールで、THROGA値は正常であった。c)患者:M.F.、男性、64歳、診断:高ガンマグロブリン血症による栓友病;患者はファリトロン(falithrom)(経口抗凝血薬)による血栓症予防を受けている。05年2月12日 キット使用──────────────────────────────────────── 血液(ATU/ml) 血漿(ATU/ml)────────────────────────────────────────コントロール(A) 265.4 257.5活性化試料(B) 219.1 218.2差(μg/ml) 46.3 39.3────────────────────────────────────────評価: 患者M.F.の血漿中の値39.3TU/mlは正常な血漿値の32%であり、これは十分に「治療範囲」内である。血液中では、まだ正常なトロンビン生成可能量の60%である46.3TU/mlが得られた。この結果、出血傾向のないことが判り、この患者は最適に治療、投薬されていることが確認できる。本発明の方法を模式的に示す。 高度に特異的で不可逆的でない所定量のトロンビン阻害剤を血液または血漿の試料に加え、血液または血漿の試料の凝固を誘発し、所定時間経過後に、加えたトロンビン阻害剤の消費量を、それ自体公知の方法で測定することを特徴とする血液または血漿の試料の総凝固活性の測定方法。 トロンビン阻害剤がトロンビンの活性部位およびアニオン結合エキソサイト1(ABE1)に作用することを特徴とする請求項1による方法。 トロンビン阻害剤が、合成、天然もしくは天然と同一の阻害剤であることを特徴とする請求項1または2による方法。 トロンビン阻害剤が、ジペタロガスチンI、ジペタロガスチンII、ロドニイン、ヒルジンから選ばれることを特徴とする請求項1から3のいずれか一つによる方法。 凝固の誘発が外因子および内因子の添加によって生じることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つによる方法。 凝固の誘発がエラグ酸とリン脂質との混合物および組織因子によって生じることを特徴とする請求項5による方法。 血液試料の総凝固活性を測定するためのキットであって、1)高度に特異的で不可逆的でないトロンビン阻害剤、2)該トロンビン阻害剤の外的および内的活性因子、3)トロンビン阻害剤を測定するための試薬およびアジュバントからなる試薬およびアジュバント、からなることを特徴とするキット。 血液試料の凝固状態に関する情報を得るための請求項7によるキットの使用。 【課題】血液中または血漿中のトロンビンの最大活性化能を測定する方法を提供する。【解決手段】高度に特異的で不可逆的でない一定量のトロンビン阻害剤を血液または血漿の試料に加え、血液または血漿の試料の凝固を誘発し、一定時間経過後に、加えたトロンビン阻害剤の消費量を、それ自体公知の方法で測定することを特徴とする血液または血漿の試料の総凝固活性の測定方法、及び血液試料の凝固状態に関する情報を得るためのキット。【選択図】図1