タイトル: | 公表特許公報(A)_IL−31RAアンタゴニストを用いて皮膚障害を治療する方法 |
出願番号: | 2007555338 |
年次: | 2008 |
IPC分類: | A61K 39/395,A61K 48/00,A61K 47/34,A61K 47/42,A61P 17/00,A61P 37/08,A61P 35/00,A61P 17/14,A61P 43/00 |
ビルズボロー ジェニン JP 2008530132 公表特許公報(A) 20080807 2007555338 20060214 IL−31RAアンタゴニストを用いて皮膚障害を治療する方法 ザイモジェネティクス, インコーポレイテッド 505222646 清水 初志 100102978 新見 浩一 100128048 ビルズボロー ジェニン US 60/653,283 20050214 US 60/694,867 20050629 US 60/716,761 20050913 A61K 39/395 20060101AFI20080711BHJP A61K 48/00 20060101ALI20080711BHJP A61K 47/34 20060101ALI20080711BHJP A61K 47/42 20060101ALI20080711BHJP A61P 17/00 20060101ALI20080711BHJP A61P 37/08 20060101ALI20080711BHJP A61P 35/00 20060101ALI20080711BHJP A61P 17/14 20060101ALI20080711BHJP A61P 43/00 20060101ALI20080711BHJP JPA61K39/395 DA61K39/395 UA61K48/00A61K47/34A61K47/42A61K39/395 YA61P17/00A61P37/08A61P35/00A61P17/14A61P43/00 111 AP(BW,GH,GM,KE,LS,MW,MZ,NA,SD,SL,SZ,TZ,UG,ZM,ZW),EA(AM,AZ,BY,KG,KZ,MD,RU,TJ,TM),EP(AT,BE,BG,CH,CY,CZ,DE,DK,EE,ES,FI,FR,GB,GR,HU,IE,IS,IT,LT,LU,LV,MC,NL,PL,PT,RO,SE,SI,SK,TR),OA(BF,BJ,CF,CG,CI,CM,GA,GN,GQ,GW,ML,MR,NE,SN,TD,TG),AE,AG,AL,AM,AT,AU,AZ,BA,BB,BG,BR,BW,BY,BZ,CA,CH,CN,CO,CR,CU,CZ,DE,DK,DM,DZ,EC,EE,EG,ES,FI,GB,GD,GE,GH,GM,HR,HU,ID,IL,IN,IS,JP,KE,KG,KM,KN,KP,KR,KZ,LC,LK,LR,LS,LT,LU,LV,LY,MA,MD,MG,MK,MN,MW,MX,MZ,NA,NG,NI,NO,NZ,OM,PG,PH,PL,PT,RO,RU,SC,SD,SE,SG,SK,SL,SM,SY,TJ,TM,TN,TR,TT,TZ,UA,UG,US,UZ,VC,VN,YU,ZA,ZM,ZW US2006005148 20060214 WO2006088855 20060824 42 20070925 4C076 4C084 4C085 4C076BB31 4C076CC18 4C076EE23 4C076EE41 4C084AA13 4C084MA63 4C084NA14 4C084ZA892 4C084ZC422 4C085AA13 4C085AA14 4C085AA33 4C085BB31 4C085CC22 4C085EE01 4C085EE05 4C085GG01 4C085GG02 4C085GG03 4C085GG04 4C085GG05 4C085GG06発明の背景 皮膚は免疫系において重要な役割を果たしており、複数の層からなる。表皮は表面の層である。表皮の下には、結合組織層である真皮がある。真皮の下には、多量の脂肪組織からなる層である皮下組織がある。循環性Tリンパ球は、正常条件下および炎症条件下で皮膚に遊走する。皮膚リンパ球抗原(CLA)は、皮膚向性を有するT細胞のホーミング受容体とみなされている。Santamaria-Babi, L., Eur. J. Dermatol. 14:13-18, 2004(非特許文献1)。CLAは、P-セレクチン糖タンパク質リガンド-1(PSGL-1)と名付けられた、細胞表面タンパク質エピトープとして記憶T細胞上で発現する炭水化物構造であり、T細胞と、血管内皮上で発現する誘導性接着分子であるE-セレクチンとの結合を容易にする。Fuhlbrigge RC, et al., Nature 1997; 389:978-81(非特許文献2)を参照されたい。 アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、薬物性アレルギー反応、皮膚向性ウイルスおよびウイルス関連そう痒、白斑、皮膚T細胞リンパ腫、円形脱毛症(alopecia aerata)、酒さ性ざ瘡、尋常性ざ瘡、結節性痒疹、および水疱性類天疱瘡を含む、いくつかの皮膚疾患は、高レベルのCLA+T細胞を発現することが知られている。このような皮膚T細胞を介した疾患を治療することが必要とされている。 サイトカインファミリーの証明されているインビボ活性は、他のサイトカイン、サイトカインアゴニスト、およびサイトカインアンタゴニストの極めて大きな臨床上の可能性および必要性を物語っている。本発明は、このような疾患を、IL-31RAのアンタゴニスト、例えば、IL-31RA可溶性受容体または中和IL-31RAモノクローナル抗体もしくはフラグメント、新たに同定されたIL-31サイトカインの受容体を用いて治療する方法を提供することによって、これらの必要性に応じる。IL-31をマウスにおいて過剰発現させると、皮膚炎に似た症状が起こる。皮膚ホーミングT細胞および表皮ケラチノサイトは両方ともヒトにおける皮膚疾患の病態に結びつけられきた。 本発明は、本明細書における開示から当業者に明らかな、これらの用途および他の用途のための、このようなポリペプチドを提供する。Santamaria-Babi, L., Eur. J. Dermatol. 14:13-18, 2004Fuhlbrigge RC, et al., Nature 1997; 389:978-81発明の詳細な説明定義 本発明を詳細に示す前に、以下の用語を定義することが本発明の理解に役立つかもしれない。 特別の定めのない限り、「1つの(a、an)」、「その(the)」、および「少なくとも1つ」は同義に用いられ、1または1を超えることを意味する。 用語「親和性タグ」は、第2のポリペプチドを精製もしくは検出するために、または第2のポリペプチドを支持物に取り付ける部位を提供するために、第2のポリペプチドに取り付けることができるポリペプチドセグメントを指すのに本明細書において用いられる。原則的に、抗体または他の特定の結合剤が利用可能な任意のペプチドまたはタンパク質を親和性タグとして使用することができる。親和性タグには、ポリヒスチジントラクト、プロテインA(Nilsson et al., EMBO J. 4:1075, 1985; Nilsson et al., Methods Enzymol. 198:3, 1991)、グルタチオンSトランスフェラーゼ(Smith and Johnson, Gene 67:31, 1988)、Glu-Glu親和性タグ(Grussenmeyer et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82:7952-4, 1985)、サブスタンスP、Flag(商標)ペプチド(Hopp et al., Biotechnology 6:1204-10, 1988)、ストレプトアビジン結合ペプチド、または他の抗原性エピトープもしくは結合ドメインが含まれる。一般的には、Ford et al., Protein Expression and Purification 2: 95-107, 1991を参照されたい。親和性タグをコードするDNAは商業的供給業者から入手することができる(例えば、Pharmacia Biotech, Piscataway, NJ)。 用語「対立遺伝子変種」は、同じ染色体遺伝子座を占有する遺伝子の2種類またはそれ以上の任意の代替形態を指すのに本明細書において用いられる。対立遺伝子の違いは天然では変異によって生じ、集団内で表現型多型をもたらすことがある。遺伝子変異はサイレント変異でもよく(コードされるポリペプチドは変化しない)、アミノ酸配列が異なるポリペプチドをコードしてもよい。用語「対立遺伝子変種」はまた、遺伝子の対立遺伝子変種によってコードされるタンパク質を指すのに本明細書において用いられる。 用語「アミノ末端」および「カルボキシル末端」は、ポリペプチド内の位置を指すのに本明細書において用いられる。文脈から可能な場合、これらの用語は、近接していること、または相対的な位置を指すのにポリペプチドの特定の配列または特定の部分に関して用いられる。例えば、ポリペプチド内の参照配列に対してカルボキシル末端側に位置する、ある特定の配列は、参照配列のカルボキシル末端の近くに位置するが、完全ポリペプチドのカルボキシル末端にあるとは限らない。 用語「相補物/抗相補物対」は、適切な条件下で、非共有結合した安定な対を形成する非同一部分を指す。例えば、ビオチンおよびアビジン(またはストレプトアビジン)は、相補物/抗相補物対の見本となるメンバーである。他の例示的な相補物/抗相補物対には、受容体/リガンド対、抗体/抗原(またはハプテンまたはエピトープ)対、センス/アンチセンスポリヌクレオチド対などが含まれる。相補物/抗相補物対が後で解離することが望ましい場合、相補物/抗相補物対の結合親和性は、好ましくは、<109M-1である。 用語「ポリヌクレオチド分子の相補物」は、参照配列と比較して、相補的な塩基対を有し、逆方向のポリヌクレオチド分子を指す。例えば、配列5'ATGCACGGG3'は5'CCCGTGCAT3'に相補的である。 用語「コンティグ」とは、別のポリヌクレオチドと同一の配列または相補的な配列からなる連続領域を有するポリヌクレオチドを指す。連続した配列は、ある特定のポリヌクレオチド配列領域と、そのポリヌクレオチドの全体において、またはそのポリヌクレオチドの部分領域に沿って「重複している」といわれる。例えば、ポリヌクレオチド配列5'-ATGGCTTAGCTT-3'(SEQ ID NO:18)に対する代表的なコンティグは、5'-TAGCTTgagtct-3'(SEQ ID NO:19)および3'-gtcgacTACCGA-5'(SEQ ID NO:20)である。 用語「縮重ヌクレオチド配列」は、(ポリペプチドをコードする参照ポリヌクレオチド分子と比較して)1つまたは複数の縮重コドンを含むヌクレオチド配列を指す。縮重コドンは異なるヌクレオチドトリプレットを含むが、同じアミノ酸残基をコードする(すなわち、GAUおよびGACトリプレットはそれぞれAspをコードする)。 用語「発現ベクター」は、関心対象のポリペプチドをコードするセグメントがそのセグメントを転写させるさらなるセグメントに機能的に連結している線状または環状のDNA分子を指すのに用いられる。このようなさらなるセグメントはプロモーターおよびターミネーター配列を含み、1つまたは複数の複製起点、1つまたは複数の選択マーカー、エンハンサー、ポリアデニル化シグナルなども含んでもよい。発現ベクターは、一般的に、プラスミドまたはウイルスDNAから得られるか、両方のエレメントを含んでもよい。 用語「単離された」は、ポリヌクレオチドに適用される場合、ポリヌクレオチドが天然の遺伝子環境から取り出されており、従って、他の無関係のまたは望ましくないコード配列を含まず、遺伝子操作タンパク質産生系内で使用するのに適した形をとっていることを指す。このような単離された分子は天然環境から分離された分子であり、cDNAおよびゲノムクローンを含む。本発明の単離されたDNA分子は、通常関連している他の遺伝子を含まないが、プロモーターおよびターミネーターなどの天然の5'非翻訳領域および3'非翻訳領域を含んでもよい。関連領域の特定は当業者に明らかであろう(例えば、Dynan and Tijan, Nature 316:714-78, 1985を参照されたい)。 「単離された」ポリペプチドまたはタンパク質は、天然環境以外の、例えば、血液および動物組織とは別の条件下で見られるポリペプチドまたはタンパク質である。好ましい形態において、単離されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に、動物由来の他のポリペプチドを実質的に含まない。ポリペプチドを高度に精製された形で、すなわち、95%超の純度で、より好ましくは99%の純度で提供することが好ましい。この文脈で使用する場合、用語「単離された」は、二量体またはグリコシル化型または誘導体化型などの他の物理形態の同じポリペプチドの存在を排除しない。 用語「機能的に連結された」は、DNAセグメントを指している場合、セグメントが所期の目的のために協力して機能するように、例えば、転写がプロモーターで開始し、コードセグメントからターミネーターまで進むように並べられていることを示す。 用語「オルソログ」は、異なる種に由来するポリペプチドまたはタンパク質の機能的対応物である、ある種から得られたポリペプチドまたはタンパク質を指す。オルソログ間の配列の違いは種分化の結果である。 「パラログ」は、ある生物によって作成された、別個のものであるが、構造的に関連するタンパク質である。パラログは遺伝子複製によって生じると考えられている。例えば、αグロビン、βグロビン、およびミオグロビンが互いのパラログである。 「ポリヌクレオチド」は、5'末端から3'末端へ読まれる、デオキシリボヌクレオチド塩基またはリボヌクレオチド塩基の一本鎖ポリマーまたは二本鎖ポリマーである。ポリヌクレオチドはRNAおよびDNAを含み、天然の供給源から単離されてもよく、インビトロで合成されてもよく、天然分子または合成分子の組み合わせから調製されてもよい。ポリヌクレオチドのサイズは、塩基対(「bp」と略す)、ヌクレオチド(「nt」)、またはキロベース(「kb」)で表される。文脈が許す場合、後ろ2つの用語は一本鎖または二本鎖のポリヌクレオチドを表すことがある。この用語が二本鎖分子に適用される場合、全長を指すのに用いられ、用語「塩基対」と等しいことが理解されるだろう。二本鎖ポリヌクレオチドの2本の鎖は長さがわずかに異なる場合があり、その末端は酵素的切断の結果として付着末端でもよく、従って、二本鎖ポリヌクレオチド分子内の全てのヌクレオチドは対になっていなくてもよいことが当業者に理解されるだろう。 「ポリペプチド」は、天然に生成されるか、合成により生成されるかに関係なく、ペプチド結合によって接続されたアミノ酸残基のポリマーである。約10個未満のアミノ酸残基からなるポリペプチドが一般的に「ペプチド」と呼ばれる。 用語「プロモーター」は、RNAポリメラーゼの結合および転写開始をもたらすDNA配列を含有する遺伝子の一部を指すのに、当技術分野において認められる意味で本明細書において用いられる。プロモーター配列は、一般的に、遺伝子の5'非コード領域に見出されるが、常に、遺伝子の5'非コード領域に見出されるとは限らない。 「タンパク質」は、1つまたは複数のポリペプチド鎖を含む高分子である。タンパク質はまた、炭水化物基などの非ペプチド成分を含んでもよい。タンパク質が産生される細胞によって、炭水化物および他の非ペプチド置換基がタンパク質に付加されることがあり、細胞タイプによって異なる。タンパク質は、アミノ酸バックボーン構造の点で本明細書において規定される。炭水化物基などの置換基は一般的に指定されないが、それでもなお存在してもよい。 用語「受容体」は、生理活性分子(すなわち、リガンド)に結合し、細胞に対するリガンドの効果を媒介する細胞関連タンパク質を指す。膜結合受容体は、細胞外リガンド結合ドメインと、典型的にシグナル伝達に関与する細胞内エフェクタードメインを含む多ペプチド構造を特徴とする。リガンドと受容体が結合すると受容体の高次構造が変化し、それによって、エフェクタードメインと細胞内の他の分子が相互作用する。次に、この相互作用によって細胞の代謝が変化する。受容体-リガンド相互作用に関係する代謝事象には、遺伝子転写、リン酸化、脱リン酸、サイクリックAMP産生の増加、細胞カルシウム動員、膜脂質動員、細胞接着、イノシトール脂質の加水分解、およびリン脂質の加水分解が含まれる。一般的に、受容体は、膜結合受容体、サイトゾル受容体、または核受容体でもよく、単量体受容体(例えば、甲状腺刺激ホルモン受容体、βアドレナリン作動性受容体)でもよく、多量体受容体(例えば、PDGF受容体、成長ホルモン受容体、IL-3受容体、GM-CSF受容体、G-CSF受容体、エリスロポエチン受容体、およびIL-6受容体)でもよい。 用語「分泌シグナル配列」は、大きなポリペプチドの一成分として、大きなポリペプチドを、大きなポリペプチドが合成された細胞の分泌経路に向けるポリペプチド(「分泌ペプチド」)をコードするDNA配列を指す。大きなポリペプチドは、一般的に、分泌経路を通過する間に分泌ペプチドを除去するように切断される。 「可溶性受容体」は、細胞膜に結合していない受容体ポリペプチドである。可溶性受容体は、最も一般的には、膜貫通ドメインおよび細胞質ドメインを欠くリガンド結合受容体ポリペプチドである。可溶性受容体は、ポリペプチドを精製する、もしくはポリペプチドを支持物に取り付ける部位を提供する親和性タグなどのさらなるアミノ酸残基、または免疫グロブリン定常領域配列を含んでもよい。多くの細胞表面受容体は、タンパク質分解によって生成される天然の可溶性対応物を有する。可溶性受容体ポリペプチドは、膜貫通ポリペプチドセグメントの膜固定または細胞内ポリペプチドセグメントのシグナル伝達に十分な部分を欠く場合、これらのセグメントを実質的に含まないといわれる。 用語「スプライス変種」は、遺伝子から転写されるRNAの代替形態を指すのに本明細書において用いられる。スプライスの違いは、天然では、転写されたRNA分子の中にあるか、またはあまり一般的ではないが別々に転写されたRNA分子の間にある選択的スプライシング部位を用いることよって生じ、同じ遺伝子から転写されたいくつかのmRNAをもたらし得る。スプライス変種は、アミノ酸配列が異なるポリペプチドをコードしてもよい。用語「スプライス変種」はまた、遺伝子から転写されたmRNAのスプライス変種によってコードされるタンパク質を指すのにも本明細書において用いられる。 厳密でない分析法(例えば、ゲル電気泳動)によって求められたポリマーの分子量および長さは概算値であることが理解されるだろう。このような値が「約」Xまたは「おおよそ」Xで表される場合、述べられた値Xが±10%内の正確さであることが理解されると思われる。 本明細書において引用される全ての参考文献は、その全体が参照により組み入れられる。 本発明は、疾患、特に、皮膚リンパ球抗原(CLA)と高い相関関係を有する疾患の検出、診断、および治療において、IL-31RAアンタゴニストを使用する新規方法を提供する。本発明は、以前に特定されたサイトカインIL-31が皮膚ホーミングT細胞によって発現されるが、腸管ホーミングT細胞によって発現されないという知見に一部基づいている。 IL-31は、4本ヘリックス束サイトカインの構造を有する最近見出されたタンパク質である。このサイトカインは、以前に、IL-31として特定され、2003年1月21日に出願された米国特許出願第10/352,554号において十分に説明されている。公開された米国特許出願第2003-0224487号およびPCT出願WO03/060090を参照されたい。これらは全て参照として本明細書に組み入れられる。Dillon, et al., Nature Immunol. 5:752-760, 2004も参照されたい。IL-31は、受容体IL-31RAおよびオンコスタチンM受容体β(OSMRβ)を構成する少なくとも1つのさらなるサブユニットに対して高い特異性を有するリガンドである。ヒトIL-31のネイティブなポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:1および2に示した。マウスIL-31のネイティブなポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:3および4に示した。 前記に示した米国特許公報第20030224487号(参照として本明細書に組み入れられる)において用いられたように、本明細書で使用する用語IL-31はまたZcytor17ligも意味し、同義にZcytor17ligと呼ばれ、IL-31RAはまたZcytor17も意味し、同義にZcytor17と呼ばれる。このIL-31ヘテロ二量体受容体はまた、20030224487において、zcytor17(HUGO名,IL-31RA)を含み、オンコスタチンM受容体β(OSMRβ)を構成する少なくとも1つのさらなるサブユニットを有すると述べられている。 「ロング」型IL-31RAのネイティブなポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:5および6に示した。「ショート」型IL-31RAのネイティブなポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:7および8に示した。さらに、切断型IL-31RAポリペプチドが天然に発現するらしい。両形態とも可溶性IL-31RA受容体をコードする。「ロング」型の可溶性IL-31RAポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:9および10に示した。「ショート」型の可溶性IL-31RAポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:11および12に示した。マウスIL-31RAのネイティブなポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:13および14に示した。ヒトOSMRβのネイティブなポリヌクレオチド配列およびポリペプチド配列を、それぞれ、SEQ ID NO:15および16に示した。PCT出願WO02/00721およびWO04/003140を参照されたい。これらは両方とも参照として組み入れられる。 SEQ ID NO:2に示したように、IL-31の分泌シグナル配列はアミノ酸残基1(Met)〜23(Ala)からなり、成熟ポリペプチドはアミノ酸残基24(Ser)〜164(Thr)からなる。293T細胞からの精製IL-31のさらなるN末端配列決定分析から、N末端は、SEQ ID NO:2に示したように残基27(Leu)にあり、成熟ポリペプチドは、SEQ ID NO:2に示したようにアミノ酸残基27(Leu)〜164(Thr)からなることが分かった。 サイトカイン受容体サブユニットは、細胞外ドメイン、ポリペプチドを細胞膜に固定する膜貫通ドメイン、および細胞内ドメインを含むマルチドメイン構造を特徴とする。細胞外ドメインはリガンド結合ドメインでもよく、細胞内ドメインはシグナル伝達に関与するエフェクタードメインでもよいが、リガンド結合機能およびエフェクター機能は多量体受容体の異なるサブユニットに存在してもよい。IL-31RAポリペプチド(zcytor17)のドメインおよび構造特徴を以下でさらに説明する。 SEQ ID NO:5のDNA配列によってコードされるIL-31RAポリペプチドの分析から、19アミノ酸残基の推定分泌シグナルペプチド(SEQ ID NO:6の残基1(Met)〜残基19(Ala)) 、および713アミノ酸の成熟ポリペプチド(SEQ ID NO:6の残基20(Ala)〜残基732(Val))を含む、732アミノ酸をコードするオープンリーディングフレーム(SEQ ID NO:6)が明らかになった。SEQ ID NO:7のDNA配列によってコードされるIL-31RAポリペプチドの分析から、32アミノ酸残基の推定分泌シグナルペプチド(SEQ ID NO:8の残基1(Met)〜残基32(Ala)) 、および630アミノ酸の成熟ポリペプチド(SEQ ID NO:8の残基33(Ala)〜残基662(Ile))を含む、662アミノ酸をコードするオープンリーディングフレーム(SEQ ID NO:8)が明らかになった。WSXWSモチーフ(SEQ ID NO:17)(SEQ ID NO:6の残基211〜215;およびSEQ ID NO:8の残基224〜228に対応する)に加えて、受容体は、約200のアミノ酸残基のサイトカイン結合ドメイン(SEQ ID NO:6の残基20(Ala)〜227(Pro);SEQ ID NO:8の残基33(Ala)〜240(Pro))を含む細胞外ドメイン(SEQ ID NO:6の残基20(Ala)〜519(Glu);SEQ ID NO:8の残基33(Ala)〜532(Glu))、ドメインリンカー(SEQ ID NO:6の残基122(Thr)〜125(Pro);SEQ ID NO:8の残基135(Thr)〜138(Pro))、最後から2番目の鎖の領域(penultimate strand region)(SEQ ID NO:6の残基194(Phe)〜202(Arg);SEQ ID NO:8の残基207(Phe)〜215(Arg))、フィブロネクチンIII型ドメイン(SEQ ID NO:6の残基228(Cys)〜519(Glu);SEQ ID NO:8の残基241(Cys)〜532(Glu))、膜貫通ドメイン(SEQ ID NO:6の残基520(Ile)〜543(Leu);SEQ ID NO:8の残基533(Ile)〜556(Leu))、「ボックスI」シグナル伝達部位(SEQ ID NO:6の残基554(Trp)〜560(Pro);SEQ ID NO:8の残基567(Trp)〜573(Pro))および「ボックスII」シグナル伝達部位(SEQ ID NO:6の残基617(Gln)〜620(Phe);SEQ ID NO:8の残基630(Gln)〜633(Phe))を含有する完全細胞内シグナル伝達ドメイン(SEQ ID NO:6の残基544(Lys)〜732(Val);およびSEQ ID NO:8の残基557(Lys)〜662(Ile))を含む。当業者であれば、これらのドメイン境界はおおよその位置であり、公知のタンパク質とのアラインメントおよびタンパク質フォールディングの予測に基づくことを理解するだろう。これらのドメインに加えて、コードされる受容体において保存されている受容体特徴には、(SEQ ID NO:6に示したように)、位置30(SEQ ID NO:8に示した位置43)にある保存Cys残基、SEQ ID NO:6の位置40〜42(SEQ ID NO:8に示した位置53〜55)にあるCXWモチーフ(Xは任意のアミノ酸である)、SEQ ID NO:6の位置170(SEQ ID NO:8に示した位置183)にあるTrp残基、およびSEQ ID NO:6の位置202(SEQ ID NO:8に示した位置215)にある保存Arg残基が含まれる。前記のIL-31RAポリペプチド領域、ドメイン、モチーフ、残基、および配列をコードする対応するポリヌクレオチドを、SEQ ID NO:5および7に示した。 さらに、切断型IL-31RAポリペプチドが天然において発現しているらしい。両形態とも可溶性zcytor17受容体をコードする。フィブロネクチンIII型ドメイン内で切断された、「ロング型」可溶性zcytor17受容体をコードするポリヌクレオチドをSEQ ID NO:9に示し、対応するポリペプチドをSEQ ID NO:10に示した。この切断型は、SEQ ID NO:6の残基1(Met)〜324(Lys)をコードし、従って、前記のインタクトなシグナル配列WSXWS(SEQ ID NO:17)モチーフ、リンカー、サイトカイン結合ドメイン、最後から2番目の鎖、ならびに保存されているCys、CXWモチーフ、Trp残基およびArg残基を含む。サイトカイン結合ドメインの末端で切断された、「ショート型」可溶性IL-31RA受容体をコードするポリヌクレオチドをSEQ ID NO:11に示し、対応するポリペプチドをSEQ ID NO:12示した。この切断型は、SEQ ID NO:6の残基1(Met)〜225(Glu)と同一の239残基ポリペプチドをコードし、次いで、分岐し、従って、前記のインタクトなシグナル配列WSXWS(SEQ ID NO:17)モチーフ、リンカー、サイトカイン結合ドメイン、最後から2番目の鎖、保存されているCys、CXWモチーフ、Trp残基およびArg残基を含む。 皮膚ホーミングT細胞および表皮ケラチノサイトは両方ともヒトにおける皮膚疾患の病態に結びつけられきた。本明細書において示したように、IL-31 mRNAおよびIL-31タンパク質の発現はアトピー性皮膚炎(AD)患者および正常個体の皮膚ホーミングCLA+T細胞集団に限定されるのに対して、IL-31受容体であるIL-31RAの免疫組織化学(IHC)による分析から、急性AD患者および慢性AD患者からの皮膚生検材料中の皮膚ケラチノサイトにおけるIL-31RA発現レベルが正常個体と比較してわずかに高いことが示唆されている。 IL-31をマウスにおいて過剰発現させると、そう痒が起こり、ヒトアトピー性皮膚炎(AD)に似た皮膚炎が発症する。本明細書において示した免疫組織化学(IHC)研究から、AD患者からの皮膚生検材料中の皮膚ケラチノサイトおよび浸潤マクロファージがIL-31RAタンパク質を発現していたことが分かっている。AD患者と正常個体を比較することによって、AD試料中の表皮ケラチノサイトにおけるIL-31RA発現は高レベルであったことが示唆された。皮膚細胞浸潤物は、正常個体と比較してAD患者の皮膚において多数存在し、IL-31 mRNAを発現していた。これらの細胞の組織形態計測分析は、細胞の大半が皮膚リンパ球抗原(CLA)およびCD3の染色について陽性を示すリンパ球系列を示唆し、このことは、皮膚の皮膚ホーミングT細胞がIL-31 mRNAを発現することを証明している。末梢血T細胞をIL-31について分析すると、IL-31 mRNAおよびIL-31タンパク質の発現は、主に、ADおよび正常ボランティアのCD45RO+CLA+皮膚ホーミングT細胞に限定される。さらに、AD患者からの循環CLA+T細胞は、正常個体からのCLA+T細胞と比較して高レベルのIL-31を産生することができるが、患者試料間には大きなばらつきがある。これらの結果は、IL-31発現がアトピー性皮膚炎と関連し、AD皮膚炎症およびそう痒の発症の一因となり得るという強力な証拠を提供する。 本明細書において示したようにIL-31は、皮膚において、および皮膚浸潤細胞によって局所的に産生される。T細胞による組織におけるサイトカインの局所産生はAD疾患発生の重要な機構であると考えられ、循環および皮膚におけるT細胞数の増加が疾患と相関すると考えられている。 AD患者および正常対照は両者とも、活性化されるとIL-31を発現する循環CLA+T細胞を有するが、AD患者からのCLA+T細胞は、正常個体からの細胞と比較して、より活性化された状態で存在することが報告されている。Akdis M, J Immunol., 159:4611-4619, 1997を参照されたい。結果として、CLA+T細胞によるIL-31産生に必要な刺激の閾値は皮膚炎患者と対照被験者とで異なる場合がある。本明細書において示したように、抗CD28の非存在下、最適濃度以下の抗CD3で刺激して24時間後のAD患者からの循環CLA+T細胞は、正常個体からの細胞と比較して高レベルのIL-31を産生する能力を有する。個々のAD患者からのCLA+T細胞が産生するIL-31レベルにばらつきがあるために、AD個体の循環CLA+T細胞からの平均IL-31産生と、正常個体の循環CLA+T細胞からの平均IL-31産生には有意な差はなかった。それにもかかわらず、正常個体と比較して多くのCLA+T細胞がAD患者の皮膚に局在していたので、AD皮膚微小環境においてIL-31が活発である可能性は高い。 実施例1は、AD患者からの循環CLA+T細胞が正常個体からの細胞と比較して高レベルのIL-31を産生することを証明する。本明細書において提供されるバイオアッセイを用いて、または血液中の循環T細胞が産生したIL-31を検出する任意のアッセイ法を用いて、このような亜集団の患者においてIL-31を検出することは、IL-31の存在が炎症の原因となっている疾患の治療としてIL-31アンタゴニストが有用であるかどうかを確かめるのに有用であり得る。 IL-31活性を測定するために、他の増殖因子の非存在下で、生存および増殖のためにOSMRβおよびIL-31RA関連経路に依存する細胞株を使用することができる。このような増殖因子依存性細胞株には、BaF3、FDC-P1、およびMO7eが含まれる。BaF3細胞株に関する情報については、Palacios and Steinmetz, (Cell, 41:721-734, 1985)およびMathey-Prevot et al., (Mol. Cell. Biol, 6:4133-4135, 1986)を参照されたい。FDC-P1細胞株に関する情報については、Hapel et al. (Blood, 64:786-790, 1984)を参照されたい。MO7e細胞株に関する情報については、Kiss et al., (Leukemia, 7:235-240, 1993)を参照されたい。 OSMRβおよびIL-31RA受容体のアミノ酸配列から、コードされる受容体はクラスIサイトカイン受容体サブファミリーに属することが分かった。クラスIサイトカイン受容体サブファミリーには、IL-2、IL-4、IL-7、Lif、IL-12、IL-15、EPO、TPO、GM-CSF、およびG-CSFの受容体が含まれるが、これに限定されない(概説については、Cosman, 「The Hematopoietin Receptor Superfamily」 Cytokine 5(2): 95-106, 1993を参照されたい)。IL-31RA受容体は、PCT特許出願第US01/20484号(WIPO国際公開公報第02/00721号)において十分に説明されている。IL-31RA受容体mRNAの組織分布の分析は、活性化されたCD4+およびCD8+T細胞サブセット、CD14+単球における発現を明らかにし、CD19+B細胞における弱い発現を明らかにした。さらに、mRNAは、休止しているまたは活性化された単球細胞株THP-1(ATCC No.TIB-202)、U937(ATCC No.CRL-1593.2)、およびHL60(ATCC No.CCL-240)に存在した。 抗原性エピトープを有するペプチドおよびポリペプチドは、好ましくは、SEQ ID NO:6またはSEQ ID NO:8の細胞外ドメインの少なくとも4〜10個のアミノ酸、少なくとも10〜14個のアミノ酸、または約14〜約30個のアミノ酸を含有する。このようなエピトープを有するペプチドおよびポリペプチドは、本明細書に記載のように、IL-31RAポリペプチドの細胞外ドメインを断片化することによって、またはペプチド化学合成によって生成することができる。さらに、エピトープは、ランダムペプチドライブラリーのファージディスプレイによって選択することができる(例えば、Lane and Stephen. Curr. Opin. Immunol. 5:268 (1993);およびCortese et al., Curr. Opin. Biotechnol. 7:616 (1996)を参照されたい)。エピトープを特定し、エピトープを含む小さなペプチドから抗体を作成する標準的な方法は、Mole, 「Epitope Mapping」, Methods in Molecular Biology, Vol. 10, Manson (ed.), 105-116頁(The Humana Press, Inc. 1992); Price, 「Production and Characterization of Synthetic Peptide-Derived Antibodies」, Monoclonal Antibodies: Production, Engineering, and Clinical Application, Ritter and Ladyman (eds.), 60-84頁 (Cambridge University Press 1995)、ならびにColigan et al. (eds.), Current Protocols in Immunology, 9.3.1-9.3.5頁および9.4.1-9.4.11頁(John Wiley & Sons 1997)に記載されている。 完全長ポリペプチド、機能フラグメント、および融合ポリペプチドを含む本発明のIL-31RAポリペプチドは、PCT出願WO02/00721およびWO04/003140に記載の当技術分野において周知の方法によって生成、精製、およびリフォールディングすることができる。本発明のポリペプチドを、>80%純度、より好ましくは>90%純度、さらにより好ましくは>95%純度まで精製することが好ましく、汚染高分子、特に、他のタンパク質および核酸に関して純度が99.9%超であり、感染性作用因子および発熱性作用因子を含まない薬学的に純粋な状態が特に好ましい。好ましくは、精製されたポリペプチドは、他のポリペプチド、特に、動物由来の他のポリペプチドを実質的に含まない。 本発明は、細胞微小環境における炎症を軽減、阻止、または予防するために、抗IL-31RA抗体および抗IL-31RA抗体フラグメント、可溶性IL-31RA受容体、ならびに可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体を含む、IL-31RAアンタゴニストを使用する方法を提供する。ここで、微小環境にある1つまたは複数の細胞は皮膚リンパ球抗原陽性のT細胞である。 動物にIL-31RA抗原、例えば、SEQ ID NO:6の細胞外ドメイン、またはリガンド結合ドメインなどの細胞外ドメインの一部を接種することによって生じた免疫応答からの抗体は、当技術分野において公知のように、および本明細書に記載のように単離および精製することができる。ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体を調製および単離する方法は当技術分野において周知である。例えば、Current Protocols in Immunology, Cooligan, et al. (eds.), National Institutes of Health, John Wiley and Sons, Inc., 1995; Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition, Cold Spring Harbor, NY, 1989;およびHurrell, J. G. R., Ed., Monoclonal Hybridoma Antibodies: Techniques and Applications, CRC Press, Inc., Boca Raton, FL, 1982を参照されたい。 当業者に明らかなように、ポリクローナル抗体は、IL-31RAポリペプチドまたはそのフラグメントを、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、イヌ、ニワトリ、ウサギ、マウス、およびラットなどの様々な温血動物に接種することによって作成することができる。IL-31RAポリペプチドの免疫原性は、ミョウバン(水酸化アルミニウム)またはフロイント完全アジュバントもしくはフロイント不完全アジュバントなどのアジュバントを用いて高めることができる。免疫化に有用なポリペプチドには、IL-31RAまたはその一部と免疫グロブリンポリペプチドまたはマルトース結合タンパク質との融合などの融合ポリペプチドも含まれる。ポリペプチド免疫原は完全長分子でもよく、その一部でもよい。ポリペプチド部分が「ハプテン様」であれば、このような部分は、免疫化のために、高分子担体(例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、ウシ血清アルブミン(BSA)、または破傷風トキソイド)と有利に結合または連結することができる。 本明細書で使用する用語「抗体」は、ポリクローナル抗体、アフィニティ精製ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、および抗原結合フラグメント、例えば、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab') 2フラグメント、単鎖Fv(scFv)タンパク質分解フラグメントを含む。遺伝子操作されたインタクトな抗体または抗体フラグメント、例えば、キメラ抗体、Fvフラグメント、単鎖抗体など、ならびに合成抗原結合ペプチドおよびポリペプチドも含まれる。非ヒト抗体は、非ヒトCDRをヒトフレームワーク領域および定常領域に接合することによってヒト化されてもよく、または非ヒト可変ドメイン全体を組み込むことによってヒト化されてもよい(任意に、露出している残基の置換によって、非ヒト可変ドメイン全体をヒト様表面で「覆い隠す(cloaking)」ことによってヒト化されてもよい。この結果は「化粧貼り(veneered)」抗体である)。場合によっては、ヒト化抗体は、適切な結合特性を高めるために、ヒト可変領域フレームワークドメイン内に非ヒト残基を保持してもよい。抗体をヒト化することによって、生物学的半減期が延びる場合があり、ヒトへの投与の際の有害な免疫反応の可能性が少なくなる。さらに、ヒト抗体は、WIPO国際公開公報第98/24893号に開示されるように、ヒト免疫グロブリン遺伝子を含むように操作されているトランスジェニック非ヒト動物において生成することができる。これらの動物の内因性免疫グロブリン遺伝子は、例えば、相同組換えによって不活化または排除されることが好ましい。 抗体は、以下の場合:1)閾値レベルの結合活性を示す場合、および2)関連ポリペプチド分子と有意に交差反応しない場合に特異的に結合するとみなされる。結合の閾値レベルは、本明細書の抗IL-31RA抗体が、対照(非IL-31RA)ポリペプチドとの結合親和性より少なくとも10倍大きな親和性でIL-31RAポリペプチド、ペプチド、またはエピトープに結合する場合に求められる。抗体は、106M-1またはそれ以上、好ましくは107M-1またはそれ以上、より好ましくは108M-1またはそれ以上、最も好ましくは109M-1またはそれ以上の結合親和性(Ka)を示すことが好ましい。抗体の結合親和性は、当業者によって、例えば、スキャッチャード分析(Scatchard, G., Ann. NY Acad. Sci. 51: 660-672, 1949)によって容易に求めることができる。 本発明は、治療的有効量の抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントを患者に投与する工程を含む、皮膚障害に罹患している患者を治療する方法を提供する。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519もしくはその一部、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532もしくはその一部と結合し、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応、中毒性表皮壊死症、皮膚T細胞リンパ腫、水疱性類天疱瘡、円形脱毛症、白斑、酒さ性ざ瘡、結節性痒疹、硬皮症、および単純ヘルペスウイルスからなる群より選択される皮膚障害の状態もしくは症状の少なくとも1つを予防し、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの進行を阻止し、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの発症を遅らせ、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの重篤度を軽減し、および/または前記状態もしくは症状の少なくとも1つを抑止する。抗IL-31RA抗体は、任意に、ポリクローナル抗体でもよく、中和モノクローナル抗体でもよい(本発明は、中和IL-31RAモノクローナル抗体を作成するためのハイブリドーマも提供する)。抗IL-31RA抗体フラグメントは、任意に、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、単鎖Fv(scFV)、二重特異抗体、ドメイン抗体、または二重特異性抗体でもよい。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜277またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜240と結合してもよい。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約4〜10個のアミノ酸残基と結合してもよい。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約10〜14個のアミノ酸残基と結合してもよい。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約14〜30個のアミノ酸残基と結合してもよい。抗IL-31抗体または抗IL-31抗体フラグメントは、さらにポリエチレングリコールまたはヒト血清アルブミンとコンジュゲートしてもよい。 本発明はまた、治療的有効量の可溶性IL-31RA受容体を患者に投与する工程を含む、皮膚障害に罹患している患者を治療する方法も提供する。可溶性IL-31RA受容体は、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基1〜164からなるIL-31ポリペプチドと結合し、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応、中毒性表皮壊死症、皮膚T細胞リンパ腫、水疱性類天疱瘡、円形脱毛症、白斑、酒さ性ざ瘡、結節性痒疹、硬皮症、および単純ヘルペスウイルスからなる群より選択される皮膚障害の状態もしくは症状の少なくとも1つを予防し、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの進行を阻止し、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの発症を遅らせ、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの重篤度を軽減し、および/または前記状態もしくは症状の少なくとも1つを抑止する。可溶性IL-31RA受容体は、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519もしくはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜240、SEQ ID NO:10のアミノ酸残基1〜324、またはSEQ ID NO: 12のアミノ酸残基1〜239を含んでもよい。可溶性IL-31RA受容体は、さらに、様々な免疫グロブリン(IgG、IgA、IgD、IgM、またはIgE)のFc領域とコンジュゲートしてもよい。任意に、可溶性IL-31RA受容体はIL-31RAホモ二量体でもよく、IL-31RA/OSMRβヘテロ二量体でもよい。可溶性IL-31RA受容体は、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基24〜164またはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基27〜164を含むIL-31ポリペプチド、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基24〜164またはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基27〜164から本質的になるIL-31ポリペプチド、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基24〜164またはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基27〜164からなるIL-31ポリペプチドと結合してもよい。可溶性IL-31RA受容体は、さらにポリエチレングリコールまたはヒト血清アルブミンとコンジュゲートしてもよい。 本発明はまた、ストリンジェントな条件下で、SEQ ID NO:5のヌクレオチド58〜1557もしくはSEQ ID NO:7のヌクレオチド97〜1596からなるヌクレオチド配列を有する核酸分子、またはSEQ ID NO:5のヌクレオチド58〜1557もしくはSEQ ID NO:7のヌクレオチド97〜1596に相補的なヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズすることができる、単離されたIL-31RAコード核酸分子を提供する。一般的に、ストリンジェントな条件は、特定のイオン強度およびpHで、特定の配列の熱融点(Tm)より約5*C低くなるように選択される。Tmは、(特定のイオン強度およびpHで)標的配列の50%が、完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度である。 DNA-DNA、RNA-RNA、およびDNA-RNAなどの核酸分子対は、ヌクレオチド配列がある程度の相補性を有する場合にハイブリダイズすることができる。ハイブリッドは二重らせんの中のミスマッチ塩基対を許容することができるが、ハイブリッドの安定性はミスマッチの程度の影響を受ける。ミスマッチハイブリッドのTmは、1〜1.5%の塩基対ミスマッチごとに1℃低下する。ハイブリダイゼーション条件のストリンジェンシーを変えることによって、ハイブリッドに存在するミスマッチの程度にわたって制御が可能になる。ハイブリダイゼーション温度が上昇し、ハイブリダイゼーション緩衝液のイオン強度が減少するにつれて、ストリンジェンシーの程度は増加する。 ある特定のポリヌクレオチドハイブリッドと使用するために、これらの条件を合わせることは、十分に当業者の能力の範囲内である。ある特定の標的配列のTmは、(特定の条件下で)標的配列の50%が、完全に一致するプローブにハイブリダイズする温度である。Tmに影響を及ぼす条件には、ポリヌクレオチドプローブのサイズおよび塩基対含有量、ハイブリダイゼーション溶液のイオン強度、ならびにハイブリダイゼーション溶液における不安定化剤の存在が含まれる。非常に多くのTm計算式が当技術分野において公知であり、様々な長さのDNA、RNA、およびDNA-RNAハイブリッドならびにポリヌクレオチドプローブ配列に特有の式である(例えば、Sambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Second Edition (Cold Spring Harbor Press 1989); Ausubel et al., (eds.), Current Protocols in Molecular Biology (John Wiley and Sons, Inc. 1987); Berger and Kimmel (eds.), Guide to Molecular Cloning Techniques, (Academic Press, Inc. 1987);およびWetmur, Crit. Rev. Biochem. Mol. Biol. 26:227 (1990)を参照されたい)。OLIGO 6.0 (LSR; Long Lake, MN) およびPrimer Premier 4.0 (Premier Biosoft International; Palo Alto, CA)などの配列分析ソフトウェアならびにインターネット上のサイトは、ある特定の配列を分析し、ユーザーが定義した基準に基づいてTmを計算するのに利用することができるツールである。このようなプログラムはまた、特定の条件下で、ある特定の配列を分析し、適切なプローブ配列を特定することもできる。典型的に、>50塩基対の長いポリヌクレオチド配列のハイブリダイゼーションは、計算されたTmより約20〜25℃低い温度で行われる。<50塩基対の小さなプローブについては、ハイブリダイゼーションは、典型的に、Tmまたは計算されたTmより5〜10℃低い温度で行われる。これにより、DNA-DNAおよびDNA-RNAハイブリッドについて最大限のハイブリダイゼーション率が可能になる。 ハイブリダイゼーション後にハイブリダイズしなかった核酸分子を除去するために、核酸分子をストリンジェントな条件下または高ストリンジェント条件下で洗浄することができる。典型的なストリンジェントな洗浄条件には、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む0.5x〜2xSSC溶液による55〜65℃での洗浄が含まれる。すなわち、変種IL-31RAポリペプチドをコードする核酸分子は、ストリンジェントな洗浄条件下で、SEQ ID NO:5のヌクレオチド58〜1557(もしくはその相補物)またはSEQ ID NO:7のヌクレオチド97〜1596(またはその相補物)からなるヌクレオチド配列を有する核酸分子とハイブリダイズする。ここで、洗浄ストリンジェンシーは、0.1%SDSを含む0.5xSSC、55℃、または0.1%SDSを含む2xSSC、65℃を含む、0.1%SDSを含む0.5x〜2xSSC、55〜65℃と等しい。当業者であれば、例えば、洗浄溶液中のSSCの代わりにSSPEを用いることによって、等しい条件を容易に考案することができる。 典型的な高ストリンジェント洗浄条件には、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む0.1x〜0.2xSSC溶液による50〜65℃での洗浄が含まれる。言い換えると、変種IL-31RAポリペプチドをコードする核酸分子は、高ストリンジェント洗浄条件下で、SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列(またはその相補物)を有する核酸分子とハイブリダイズする。ここで、洗浄ストリンジェンシーは、0.1%SDSを含む0.1xSSC、50℃または0.1%SDSを含む0.2xSSC、65℃を含む、0.1%SDSを含む0.1x〜0.2xSSC、50〜65℃と等しい。 本発明はまた、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519および/もしくはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532と実質的に類似した配列同一性を有する単離されたIL-31RAポリペプチド、またはそのオルソログも提供する。用語「実質的に類似した配列同一性」は、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519および/またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532に示した配列に対して少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、もしくは99.5%超の配列同一性を含むポリペプチド、またはそのオルソログを指すのに本明細書において用いられる。さらに、本発明は、このようなポリペプチドをコードする核酸分子を含む。パーセント同一性を求める方法は、PCT刊行物WO02/00721(参照により組み入れられる)およびWO04/003140(参照により組み入れられる)に記載されている。 本発明は、治療的有効量の抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントを患者に投与する工程を含む、皮膚障害に罹患している患者を治療する方法を提供する。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519もしくはその一部、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532もしくはその一部に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または99.5%超の配列同一性を有するアミノ酸配列と結合し、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応、中毒性表皮壊死症、皮膚T細胞リンパ腫、水疱性類天疱瘡、円形脱毛症、白斑、酒さ性ざ瘡、結節性痒疹、硬皮症、および単純ヘルペスウイルスからなる群より選択される皮膚障害の状態もしくは症状の少なくとも1つを予防し、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの進行を阻止し、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの発症を遅らせ、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの重篤度を軽減し、および/または前記状態もしくは症状の少なくとも1つを抑止する。抗IL-31RA抗体は、任意に、ポリクローナル抗体でもよく、中和モノクローナル抗体でもよい(本発明は、中和IL-31RAモノクローナル抗体を作成するためのハイブリドーマも提供する)。抗IL-31RA抗体フラグメントは、任意に、Fabフラグメント、Fab'フラグメント、F(ab')2フラグメント、単鎖Fv(scFV)、二重特異抗体、ドメイン抗体、または二重特異性抗体でもよい。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜277またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜240と結合してもよい。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約4〜10個のアミノ酸残基と結合してもよい。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約10〜14個のアミノ酸残基と結合してもよい。抗IL-31RA抗体または抗IL-31RA抗体フラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約14〜30個のアミノ酸残基と結合してもよい。抗IL-31抗体または抗IL-31抗体フラグメントは、さらにポリエチレングリコールまたはヒト血清アルブミンとコンジュゲートしてもよい。 本発明はまた、治療的有効量の可溶性IL-31RA受容体を患者に投与する工程を含む、皮膚障害に罹患している患者を治療する方法も提供する。可溶性IL-31RA受容体は、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519もしくはその一部またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532と、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、少なくとも99.5%、または少なくとも99.5%超の配列同一性を有し、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基1〜164からなるIL-31ポリペプチドと結合し、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応、中毒性表皮壊死症、皮膚T細胞リンパ腫、水疱性類天疱瘡、円形脱毛症、白斑、酒さ性ざ瘡、結節性痒疹、硬皮症、および単純ヘルペスウイルスからなる群より選択される皮膚障害の状態もしくは症状の少なくとも1つを予防し、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの進行を阻止し、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの発症を遅らせ、前記状態もしくは症状の少なくとも1つの重篤度を軽減し、および/または前記状態もしくは症状の少なくとも1つを抑止する。可溶性IL-31RA受容体は、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519もしくはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜240、SEQ ID NO:10のアミノ酸残基1〜324、またはSEQ ID NO:12のアミノ酸残基1〜239を含んでもよい。可溶性IL-31RA受容体は、さらに、様々な免疫グロブリン(IgG、IgA、IgD、IgM、またはIgE)のFc領域とコンジュゲートしてもよい。任意に、可溶性IL-31RA受容体はIL-31RAホモ二量体でもよく、IL-31RA/OSMRβヘテロ二量体でもよい。可溶性IL-31RA受容体は、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基24〜164またはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基27〜164を含むIL-31ポリペプチド、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基24〜164またはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基27〜164から本質的になるIL-31ポリペプチド、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基24〜164またはSEQ ID NO:2のアミノ酸残基27〜164からなるIL-31ポリペプチドと結合してもよい。可溶性IL-31RA受容体は、さらにポリエチレングリコールまたはヒト血清アルブミンとコンジュゲートしてもよい。 IL-31RAタンパク質またはポリペプチドに結合する抗体を検出するために、当業者に公知の様々なアッセイ法を利用することができる。例示的なアッセイ法は、Antibodies: A Laboratory Manual, Harlow and Lane (Eds.), Cold Spring Harbor Laboratory Press, 1988において詳述されている。このようなアッセイ法の代表例には、同時免疫電気泳動法(concurrent immunoelectrophoresis)、ラジオイムノアッセイ、放射性免疫沈降法、酵素結合免疫吸着検定法(ELISA)、ドットブロット法またはウェスタンブロット法、阻害アッセイ法または競合アッセイ法、およびサンドイッチアッセイ法が含まれる。さらに、野生型IL-31RAタンパク質またはポリペプチドとの結合対変異体IL-31RAタンパク質またはポリペプチドとの結合について、抗体をスクリーニングすることができる。 抗IL-31RA抗体は、IL-31RAを発現する細胞のタグ化のために、アフィニティ精製によるIL-31RAの単離のために、IL-31RAポリペプチドの循環レベルを求める診断アッセイ法のために、基礎となる病理または疾患のマーカーとしての可溶性IL-31RAの検出または定量のために、FACSを用いた分析法において、発現ライブラリーのスクリーニングのために、抗イディオタイプ抗体の作成のために、およびIL-31活性をインビトロおよびインビボでブロックするための中和抗体またはアンタゴニストとして使用することができる。適切な直接的なタグまたは標識には、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子などが含まれる。間接的なタグまたは標識は、中間体としてビオチン-アビジンまたは他の相補物/抗相補物対の使用を特徴としてもよい。本明細書の抗体はまた、薬物、毒素、放射性核種などと直接的または間接的にコンジュゲートされてもよく、これらのコンジュゲートはインビボでの診断用途または治療用途に用いられてもよい。さらに、IL-31RAまたはそのフラグメントに対する抗体は、アッセイ法、例えば、ウェスタンブロットまたは当技術分野において公知の他のアッセイ法において、変性されたIL-31RAまたはそのフラグメントを検出するのにインビトロで用いられてもよい。 ポリペプチドまたは抗体には、適切な検出可能な分子が直接的または間接的に取り付けられてもよく、放射性核種、酵素、基質、補因子、阻害剤、蛍光マーカー、化学発光マーカー、磁気粒子などを含む。ポリペプチドまたは抗体には、適切な細胞傷害分子が直接的または間接的に取り付けられてもよく、細菌毒素または植物毒素(例えば、ジフテリア、毒素、サポリン(saporin)、シュードモナス属(Pseudomonas)エキソトキシン、リシン、アブリンなど)、ならびに治療用放射性核種、例えば、ヨウ素-131、レニウム-188、またはイットリウム-90(ポリペプチドもしくは抗体に直接に取り付けられるか、または例えば、キレート化部分によって間接的に取り付けられる)を含む。ポリペプチドまたは抗体はまた、アドリアマイシンなどの細胞傷害薬物にコンジュゲートされてもよい。検出可能な分子または細胞傷害分子を間接的に取り付けるために、検出可能な分子または細胞傷害分子は、多数の相補物/抗相補物対のメンバーと、他のメンバーがポリペプチドまたは抗体部分に結合している場合に、コンジュゲートすることができる。これらの目的のために、ビオチン/ストレプトアビジンが例示的な相補物/抗相補物対である。 ポリペプチド-毒素融合タンパク質または抗体-毒素融合タンパク質は、標的となった細胞または組織の阻害または切除に(例えば、癌細胞または癌組織を治療するために)使用することができる。または、ポリペプチドが複数の機能ドメイン(すなわち、活性化ドメインまたは受容体結合ドメイン、+標的化ドメイン)を有する場合、標的化ドメインのみを含む融合タンパク質は、検出可能な分子、細胞傷害分子、または相補分子を関心対象の細胞タイプまたは組織タイプに向けるのに適している場合がある。ドメインのみの融合タンパク質が相補分子を含む場合、抗相補分子は、検出可能な分子または細胞傷害分子にコンジュゲートすることができる。従って、このようなドメイン-相補分子融合タンパク質は、一般的な抗相補物-検出可能な分子/細胞傷害分子コンジュゲートを細胞/組織特異的に送達するための一般的な標的化担体またはビヒクルである。 皮膚ホーミングT細胞および表皮ケラチノサイトは両方ともヒトにおける皮膚疾患の病態に結びつけられきた。本明細書の実施例1に示したように、IL-31 mRNAおよびIL-31タンパク質の発現は、T細胞サブセットのうちヒトの皮膚ホーミングCLA+T細胞集団に限定される。従って、抗体もしくはそのフラグメントまたは可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)アンタゴニストを含む、IL-31RAに対するアンタゴニストは、CLA+T細胞の発現を有する皮膚疾患および表皮疾患の治療、切除、進行の阻止、ならびに/または重篤度の軽減において有用であろう。このような疾患には、例えば、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、乾癬、薬物性アレルギー反応、皮膚向性ウイルスおよびウイルス関連そう痒、白斑、皮膚T細胞リンパ腫、円形脱毛症、酒さ性ざ瘡、尋常性ざ瘡、結節性痒疹、ならびに水疱性類天疱瘡が含まれる。アトピー性皮膚炎 アトピー性皮膚炎(AD)は、慢性的に再発する炎症性皮膚疾患であり、過去何十年かにわたって発生率が激増している。臨床上、ADは、痒みがひどく、皮膚がはがれていることが多く、慢性的に再発する斑点および丘疹を特徴とする。ADの診断は、主に、重度および軽度の臨床所見に基づいている。Hanifin J.M., Arch Dermatol: 135, 1551 (1999)を参照されたい。組織病理学によって、急性病変では海綿状態、不全角化亢進および巣状不全角化が認められるが、著しい表皮過形成と、不全角化亢進および不全角化、表皮肥厚/顆粒層肥厚、ならびにリンパ球および豊富なマスト細胞による真皮への血管周囲浸潤が慢性病変の顕著な特徴である。 T細胞は、組織における局所免疫応答の開始において中心的な役割を果たしており、特に、皮膚浸潤T細胞が、皮膚における調節不全となった免疫応答の開始および維持において重要な役割を果たし得ることが証拠から示唆されている。皮膚炎症部位にある浸潤T細胞の約90%が、内皮上の誘導性接着分子であるE-セレクチンに結合する皮膚リンパ球関連Ag(CLA+)を発現する(Santamaria-Babi L.F., et al., Eur J Dermatol: 14, 13, (2004)において概説されている)。対照個体と比較してAD患者の中で循環CLA+T細胞が有意に増加していることが証明されているのに対して(Teraki Y., et al., Br J Dermatol: 143, 373 (2000)を参照されたい)、AD患者からの記憶CLA+T細胞がCLA-集団と比較して優先的にアレルゲン抽出物に応答することも証明されている(Santamaria-Babi, L.F., et al., J Exp Med: 181, 1935, (1995)を参照されたい)。ヒトにおける皮膚アトピー障害の発生は、高レベルの、IL-5およびIL-13のようなTh-2型サイトカインを発現するCLA+T細胞の増加と関連付けられてきた。Akdis M., et al., Eur J Immunol: 30, 3533 (2000);およびHamid Q., et al., J Allergy Clin Immunol: 98, 225 (1996)を参照されたい。 NC/Ngaマウスは、約6〜8週齡で、非特異的な病原体を含まない(非SPF)条件下に収容された時に、臨床経過および徴候、組織病理学、ならびに免疫病理学を含む多くの局面においてヒトADと一致するAD様病変を自然発症する。対照的に、SPF条件化で飼育されたNC/Ngaマウスは皮膚病変を発症しない。しかしながら、SPF施設に収容されたNC/Ngaマウスでは粗塵埃ダニ抗原を毎週皮内注射することによって自然皮膚病変の発症およびひっかき行動を同時に起こすことができる。Matsuoka H., et al., Allergy: 58, 139 (2003)を参照されたい。従って、NC/NgaにおけるAD発症は、AD治療のための新規の治療剤を評価するための有用なモデルである。 自然ADのNC/Ngaモデルに加えて、感作マウスの皮膚において単核浸潤物を伴う抗原依存性の表皮肥厚および真皮肥厚を誘導するためのモデルとして、OVAを用いたマウスの皮膚上感作も使用することができる。これは、通常、総IgEおよび特異的IgEの高い血清中濃度と同時に起こる。しかしながら、このモデルでは皮膚バリア機能不全もそう痒も通常起こらない。Spergel J.M., et al., J Clin Invest, 101: 1614,(1998)を参照されたい。皮膚バリア調節不全およびそう痒を誘導するために、DO11.10 OVA TCRトランスジェニックマウスをOVAで感作することによって、このプロトコールを改変することができる。感作抗原を認識することができる抗原特異的T細胞の数を増やすことによって、目に見えるひっかき行動ならびに皮膚の苔癬化/落屑を誘導するように皮膚の炎症レベルを高めることができる。 ADにおけるIL-31およびIL-31RAの発現を調べるために、NC/Nga自然ADモデルおよびOVA皮膚上DO11.10モデルを使用した。実施例3を参照されたい。 IL-31RA中和アンタゴニストは、アトピー性皮膚炎反応の抑止、軽減、最小化、または予防において有効であり得る。アトピー性皮膚炎モデルにおけるIL-31アンタゴニストの効果を試験するためのインビボモデルについては、実施例3を参照されたい。接触性皮膚炎 アレルギー性接触性皮膚炎は、皮膚と接触している抗原に対する、T細胞を介した免疫反応と定義される。アレルゲン依存性T細胞応答が主にCLA+細胞集団に限定されるので、CLA+T細胞集団が皮膚炎の開始に関与しているとみなされている(Santamaria-Babi, L.F., et al., J Exp Med: 181, 1935, (1995)を参照されたい)。最近のデータから、一般的な接触過敏症アレルゲンであるニッケルに応答して、記憶(CD45RO+)CD4+CLA+だけが増殖し、1型(IFN-γ)サイトカインおよび2型(IL-5)サイトカインを産生するが、CD8+T細胞は増殖せず、1型(IFN-γ)サイトカインおよび2型(IL-5)サイトカインを産生しないことが見出されている。さらに、ニッケル特異的刺激後に、CLAと、CD4、CD45RO(記憶)、またはCD69を組み合わせて発現する細胞が増加し、ケモカイン受容体CXCR3、CCR4、CCR10を発現するが、CCR6を発現しない。Moed H., et al., Br J Dermatol:51, 32, (2004)を参照されたい。 動物モデルにおいて、アレルギー性接触性皮膚炎はT細胞依存性であり、アレルギー応答性T細胞はアレルゲン塗布部位に遊走することが証明されている。一般的には、Engeman T.M., et al., J Immunol: 164, 5207, (2000); Ferguson T.A. & Kupper T.S. J Immunol: 150, 1172, (1993);およびGorbachev A.V. & Fairchild R.L. Crit Rev Immunol: 21, 451(2001)を参照されたい。CLA+T細胞はIL-31を産生し、IL-31による皮膚ケラチノサイトの刺激は炎症誘発性ケモカインを誘導することができるので、IL-31は接触性皮膚炎の病態生理に関与しているかもしれない。 IL-31RA中和アンタゴニスト、例えば、抗体もしくはそのフラグメントまたは可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)は、接触性皮膚炎反応の抑止、軽減、最小化、または予防において有効であり得る。接触性皮膚炎モデルにおいてIL-31アンタゴニストの効果を試験するためのインビボモデルについては、実施例2を参照されたい。薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応 薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応はかなり不均質であり、多くの異なる病態生理学的事象を反映している可能性がある。Brockow K., et al., Allergy, 57, 45 (2002)を参照されたい。これらの反応に関与する免疫学的機構は、抗体または細胞によって媒介されることが示されている。即時型薬物アレルギーにおいて、IgEを介した抗体反応は、皮膚プリックおよび/または皮内試験の20分後に陽性であることによって証明できるのに対して、非即時型薬物反応は、最後の薬物摂取後1時間を過ぎて起こることがあり、多くの場合、T細胞によって媒介される。非即時型T細胞性遅延型反応は、例えば、ペニシリンに対して有害な薬物反応を有する患者において起こることがある。ペニシリンに対するT細胞増殖応答は、ペニシリンアレルギー患者からのT細胞の記憶(CD45RO+)CLA+亜集団に限定されることが示されているのに対して、CD45RO+CLA-サブセットは増殖応答を示さない。Blanca M., Leyva L., et al., Blood Cells Mol Dis:31, 75 (2003)を参照されたい。遅延型過敏(DTH)反応はマウスにおいて人為的に再現することができるので、DTH応答の開始および永続に関与し得る要因を評価することができる。IL-31RA中和アンタゴニスト、例えば、抗体または可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)は、遅延型過敏反応の抑止、軽減、最小化、または予防において有効であり得る。DTHモデルにおいてIL-31アンタゴニストの効果を試験するためのインビボモデルについては、実施例4を参照されたい。 中毒性表皮壊死症(TEN)は非常に稀であるが、広範にわたる表皮アポトーシスと幅広い水疱を特徴とする極めて重篤な薬物反応である。水疱に浸潤しているリンパ球はCLA+T細胞であり、表皮ケラチノサイトに対して細胞傷害性を示し得ることが研究によって分かっている。Leyva L., et al.,J Allergy Clin Immunol: 105, 157 (2000);およびNassif A., Bensussan A., et al., J Allergy Clin Immunol:114, 1209 2004)を参照されたい。TENの動物モデルを樹立するために、OVAがケラチン-5(K5)プロモーター制御下でマウスの表皮ケラチノサイトおよび毛包ケラチノサイトにおいて発現するトランスジェニックマウス系が作成されている。OVA特異的CD8+T細胞がK5-OVAマウスに養子移入されると、皮膚-流入領域リンパ節において活性化および増殖し、K5-0VAマウスの皮膚を標的とし、それによって、TENをほうふつとさせる皮膚病変が発症する。Azukizawa H., et al., Eur J Immunol: 33, 1879 (2003)を参照されたい。IL-31RA中和アンタゴニスト、例えば、抗体または可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)は、TEN反応の抑止、軽減、最小化、または予防において有効であり得る。水疱性類天疱瘡 水疱性類天疱瘡は、好中球および好酸球の真皮浸潤物を伴う表皮下水疱として現れる表皮下障害である。診断は、表皮および真皮-表皮接合部の特定の接着タンパク質に対する抗原特異的抗体の存在によって特徴付けられる。Jordon R.E., et al., JAMA: 200, 751 (1967)を参照されたい。PBLおよび皮膚水疱T細胞の分析による水疱性類天疱瘡の発生におけるT細胞の役割を分析した研究から、高レベルの、IL-4およびIL-13のようなTh2-サイトカインを発現するCLA+T細胞が優勢であることが分かっている。Teraki Y., et al., J Invest Dermatol: 111, 1097 (2001)を参照されたい。全身コルチコステロイドを用いた治療後の水疱性類天疱瘡患者では、CLA+インターロイキン-13産生細胞の頻度は有意に減少するが、CLA-インターロイキン-13産生細胞の頻度は有意に減少しない。コルチコステロイド治療後のCLA+細胞の減少は臨床上の改善と関連している。Teraki,同書を参照されたい。IL-31RAアンタゴニスト、例えば、抗体もしくはそのフラグメントまたは可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)によるIL-31の中和は水疱性類天疱瘡の臨床アウトカムを改善し得る。円形脱毛症 円形脱毛症(AA)は、毛包の組織限局性自己免疫疾患とみなされている。AAの毛包では、リンパ球浸潤物の活性が絶えず続いているために毛包活動が止まっている。AAは、完全に脱毛した斑を身体のどこでも発生させるが、無毛病変でも毛包は実際には無くならない。炎症の臨床徴候は無いが、活動性疾患の部位からの皮膚生検材料は、主にCD4+細胞の毛包周囲リンパ球性炎症とCD8+毛包内浸潤物を示す。Kalish R.S. & Gilhar A. J Investig Dermatol Symp Proc: 8, 164 (2003)を参照されたい。 頭皮浸潤CD4+リンパ球またはCD8+リンパ球はCLAを発現し、AA個体の末梢血においてCLA+CD4+リンパ球またはCD8+リンパ球のパーセントは正常対照より有意に高いことが研究によって分かっている。さらに、重篤なAAまたは進行性のAAを有する患者は、疾患から回復に向かいつつある患者と比較して極めて高いCLA陽性を示し、CLA+細胞パーセントの減少は良好な臨床経過と一致している。Yano S., et al., Acta Derm Venereol: 82, 82 (2002)を参照されたい。従って、これらの研究は、CLA+リンパ球がAAにおいて重要な役割を果たしている可能性があることを示唆している。異種移植片モデルから、活性化T細胞はAAの発生において役割を果たしている可能性が高いことが証明されている。ヌードマウスに移植されたAA患者の病変頭皮は、移植片から浸潤リンパ球が消失すると同時に毛を再び成長させ、活性化病変T細胞をSCIDマウスに移すと、SCIDマウスにあるヒト頭皮外植片に脱毛を移すことができる。Kalish R.S. & Gilhar A. J Investig Dermatol Symp Proc: 8, 164 (2003)を参照されたい。 様々な免疫調節療法が、この障害の通常の治療の一部である。しかしながら、これらの治療はどれも効力が一貫していなかった。Tang L., et al., J Invest Dermatol: 120, 400 (2003); Tang L., et al., (2004);およびTang L., et al., J Am Acad Dermatol: 49, 1013 (2003)をを参照されたい。中和抗IL-31RA抗体もしくはそのフラグメントまたはIL-31RA可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)は、AA発症の影響の制限、軽減、抑止、または予防において有効であり得る。尋常性ざ瘡/酒さ性ざ瘡 毛嚢脂腺器官の障害である尋常性ざ瘡は、最もよくみられる青年期皮膚病である。毛包角質化の異常が、ざ瘡病変を起こすと考えられている。酒さ性ざ瘡は、赤い丘疹、膿疱、嚢胞、および幅広い末梢血管拡張が存在するが、面ぽう(白色面ぽう)が存在しないことで尋常性ざ瘡と区別される。皮脂腺からの皮脂排出の増加が尋常性ざ瘡の病態生理における主因である。皮脂性炎症誘発性脂質;局所的に産生される様々なサイトカイン;セボサイト(sebocyte)によって産生される、コルチコトロピン放出ホルモンなどの腺周囲ペプチドおよび神経ペプチド;ならびにざ瘡患者の健康に見える腺の近くにある神経終末において発現するサブスタンスPを含む、他の皮脂腺機能もざ瘡の発症と関連している。Zouboulis C.C. Clin Dermatol: 22, 360 (2004)を参照されたい。 尋常性ざ瘡および酒さ性ざ瘡の病態生理はまだ分かっていないが、臨床観察および組織病理学的研究は、毛嚢脂腺毛包(pilosebaceous follicle)の炎症が酒さおよび尋常性ざ瘡の発生にとって重要であり得ることを示唆している。酒さ病変に浸潤しているT細胞サブセットの分析による初期の研究から、T細胞の大半はCD4を発現することが分かった。Rufli T. & Buchner S.A. Dermatologica: 169, 1 (1984)を参照されたい。 CD4+T細胞はIL-31を発現し、IL-31発現についての皮膚のIHC分析から、IL-31は皮脂腺および汗腺において発現していることが示唆されている。表皮ケラチノサイトをIL-31で刺激すると、細胞浸潤をもたらす可能性の高いケモカインの発現が誘導される。このことは、IL-31は皮膚における炎症誘発応答の一因となっている可能性があることを示唆している。従って、IL-31は、酒さ性ざ瘡および尋常性ざ瘡の病態生理の一因となっている可能性がある。従って、IL-31RAアンタゴニスト、例えば、抗IL-31RA抗体もしくはそのフラグメント、またはIL-31RA可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)は、酒さ性ざ瘡および尋常性ざ瘡に関連する1つもしくは複数の症状の治療、重篤度の軽減、進行の阻止、除去、ならびに/または排除に有用であり得る。結節性痒疹 結節性痒疹は、治療が難しい難治性そう痒によって引き起こされる、苔癬化したまたは皮膚がはがれた結節の出現である。慢性的にこすることによって苔癬化が起こり、ひっかき行動によって線状の表皮剥離が生じる間に、個体は、痒みのある炎症を起こした皮膚をつつき、えぐり、結節性痒疹として知られる著しく厚くなった丘疹を生じる傾向がある。結節性痒疹はアトピー性皮膚炎に特有のものではないが、これらの結節を有する多くの患者は、アレルギー性鼻炎、喘息、または食物アレルギーとして現れるアトピー反応も有する。T細胞が痒疹病変における浸潤細胞の大半を占め、これらの病変は、アトピー患者の最も痒みのある皮膚病変であることが多い。 小さな皮膚感覚神経においてサブスタンスPのような神経ペプチドを枯渇させることによって、そう痒および疼痛の感覚を妨げる止痒性アルカロイドであるカプサイシンを用いた結節性痒疹の局所治療は、皮膚病変を消去する有効で安全なレジメであることが分かっている。Stander S., et al., J Am Acad Dermatol: 44, 471 (2001)を参照されたい。カプサイシン治療を用いたNC/Ngaマウスにおける痒み応答の研究から、皮膚炎病変の自然発症がほぼ完全に妨げられることが分かった。さらに、血清中IgE濃度の上昇が有意に抑制され、カプサイシンで治療したマウスの病変皮膚における浸潤好酸球およびマスト細胞の数が減少した。Mihara K., et al., Br J Dermatol: 151, 335 (2004)を参照されたい。このグループからの観察は、ひっかき行動が、様々な免疫応答を高めることによって皮膚炎発症の一因となっている可能性があることを示唆している。従って、このことは、痒感および/または痒みに関連するひっかき行動の防止がADの有効な治療である可能性があることを意味している。Mihara K., et al., Br J Dermatol: 151, 335 (2004)を参照されたい。 マウスにIL-31を慢性的に送達することによってそう痒および脱毛が誘導され、その後に、皮膚炎に似た皮膚病変が発症する。このことは、IL-31が痒感を誘導することを示唆している。Dillon S.R., et al., Nat Immunol: 5, 752 (2004)を参照されたい。IL-31の関与は、2種類の方法(i)IL-31で処置したマウスにおけるカプサイシン治療、および(ii)実施例5における神経ペプチドが発現しないために侵害受容性疼痛応答が有意に低下したTac1ノックアウトマウスにおけるIL-31処置による痒み応答の誘導において試験された。さらに、IL-31で処置したマウスにおけるIL-31の中和がそう痒および脱毛を妨げることができるかどうかを、実施例5において試験した。皮膚向性ウイルスおよびウイルス関連そう痒 末梢血中の単純ヘルペスウイルス(HSV)特異的CD8+T細胞、およびヘルペス病変から回収されたHSV特異的CD8+T細胞は高レベルのCLAを発現するのに対して、非皮膚向性ヘルペスウイルス特異的CD8+T細胞にはCLA発現が無い。Koelle D.M., et al., J Clin Invest: 110, 537 (2002)を参照されたい。HSV-2反応性CD4+Tリンパ球もCLAを発現するが、CD8+Tリンパ球について以前に観察されたものより低いレベルで発現する。Gonzalez J.C., et al., J Infect Dis: 191, 243 (2005)を参照されたい。そう痒もヘルペスウイルス感染と関連付けられてきたが(Hung K.Y., et al., Blood Purif:16, 147 (1998)を参照されたい)、HTVのような他のウイルス性疾患も、そう痒性皮膚病変と関連付けられてきた。紅斑性丘疹皮膚病変および過好酸球増加と関連することが多い重篤な難治性のそう痒は、一部の非アトピー性HTV感染患者36において観察された状態である。Singh F. & Rudikoff D, Am J Clin Dermatol; 4, 177 (2003);およびMilazzo F., Piconi S., et al., Allergy: 54, 266 (1999)を参照されたい。 皮膚向性ウイルスと、そう痒およびCLA+T細胞との関連は、IL-31産生T細胞がウイルス感染の病態生理に関与している可能性があることを示唆している。 炎症は、侵入した因子を寄せ付けないようにする、生物による防御応答である。炎症は、多くの細胞性メディエータおよび体液性メディエータが関与するカスケード事象である。一方で、炎症応答の抑制は宿主を免疫無防備状態のままにすることができる。しかしながら、炎症は妨げられなければ、慢性炎症性疾患(例えば、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、炎症性腸疾患など)、敗血症ショック、および多臓器不全を含む重篤な合併症につながる可能性がある。重要なことに、これらの多様な疾患状態は共通の炎症メディエータを共有する。炎症を特徴とする疾患集合はヒトの罹患率および死亡率に大きな影響を及ぼす。従って、本明細書に記載の抗IL-31RA抗体およびそのフラグメントならびにIL-31RA可溶性受容体などの抗炎症分子は、喘息およびアレルギーから自己免疫および敗血症ショックまで多数のヒトおよび動物の疾患を治療する大きな可能性を有し得ることは明らかである。従って、本明細書に記載の抗炎症性抗IL-31RA抗体およびそのフラグメントならびにIL-31RA可溶性受容体の使用は、関節炎、内毒血症、炎症性腸疾患、乾癬、関連疾患などの疾患の治療、重篤度の軽減、進行の阻止、および除去のためのIL-31RAアンタゴニストとして治療に使用することができる。 IL-31は、正常ヒト表皮ケラチノサイト(NHEKs)において、GROα(CXCL1)、TARC(CCl17)、MIP3β(CCL19)、MDC(CCL22)、MIP-3(CCL23)、MIP-1β(CCL4)、およびI-309をコードする遺伝子を含む、いくつかのケモカイン遺伝子およびサイトカイン遺伝子を誘導することが示されている。Dillon S.R., et al., Nat Immunol: 5, 752 (2004)を参照されたい。TARCおよびMDCは、Th2型T細胞に関連し、主に末梢血中のCLA+T細胞によって発現されるケモカイン受容体であるCCR4に結合する。両ケモカインともAD患者の皮膚へのT細胞の動員に結び付けられてきた。このことは、これらのケモカインが、ADの発生に関連する炎症プロセスの一因となっていることを示唆している。IL-31アンタゴニストの投与によるTARCレベルおよびMDCレベルの低下を測定するモデルについては、実施例10を参照されたい。 乾癬は、7百万人超の米国人が罹患している慢性皮膚状態である。乾癬は、新たな皮膚細胞が異常増殖して、古い皮膚がすみやかに落ちずに、赤くはれ、腫大した、鱗状の皮膚斑となる時に起こる。最も一般的な形態である尋常性乾癬(plaque psoriasis)は、上部に銀白色の鱗屑を伴う皮膚炎症斑(「病変」)を特徴とする。乾癬は数個の斑に限定されてもよく、中程度から広範囲の皮膚領域にわたってもよく、最も一般的には、頭皮、ひざ、ひじ、および体幹に見られる。乾癬は目立つが、接触性伝染病でない。この疾患の発生は罹患組織の慢性炎症を伴う。抗IL-31RA抗体およびそのフラグメンならびに可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)は、乾癬、他の炎症性皮膚疾患、皮膚および粘膜のアレルギー、ならびに関連疾患における炎症および病理学的な影響の治療、進行の阻止、重篤度の軽減、および軽減のための価値ある治療剤として役立ち得る。 乾癬は、かなりの不快感を引き起こし得る、T細胞を介した皮膚炎症障害である。乾癬は治癒することはなく、全年齢の人間に罹患する疾患である。乾癬は、欧州および北米の人口の約2パーセントに罹患する。軽度の乾癬を有する個体は局所薬剤で疾患を管理できることが多いが、全世界で100万人を超える患者は紫外線療法または全身免疫抑制療法を必要としている。残念なことに、紫外線照射は不便で、危険性があり、多くの療法は毒性があるために、長期間用いることは制限されている。さらに、患者は、通常、乾癬を再発し、場合によっては、免疫抑制療法を止めた直後にぶり返す。 本発明は、単球/マクロファージの活性化または分化を阻止する方法を提供する。単球は不完全に分化した細胞であり、様々な組織に遊走し、そこで成熟し、マクロファージとなる。マクロファージは、抗原をリンパ球に提示することによって免疫応答において中心的な役割を果たしており、非常に多くのサイトカインを分泌することによってリンパ球に対するアクセサリー細胞として補助的な役割を果たしている。マクロファージは細胞外分子を内部に取り入れることができ、活性化されると細胞内微生物および腫瘍細胞を死滅させる能力が高まる。活性化マクロファージは急性炎症または局所炎症の刺激にも関与している。 本発明の分子は、免疫系の単球/マクロファージ集団において特に有用である。このような活性を評価することができる方法は公知である。例えば、インターフェロンγ(IFN-γ)は単核食細胞の強力なアクチベータである。例えば、THP-1細胞(ATCC No. TIB-202)をインターフェロンγで活性化することによってIL-31RA発現が増加することは、この受容体が単球活性化に関与することを示唆している可能性がある。単球は不完全に分化した細胞であり、様々な組織に遊走し、そこで成熟し、マクロファージとなる。マクロファージは、リンパ球に抗原を提示することによって免疫応答において中心的な役割を果たし、非常に多くのサイトカインを分泌することによってリンパ球に対するアクセサリー細胞として補助的な役割を果たしている。マクロファージは細胞外分子を内部に取り入れることができ、活性化されると細胞内微生物および腫瘍細胞を死滅させる能力が高まる。活性化マクロファージは急性炎症または局所炎症の刺激にも関与している。さらに、様々な疾患状態において、単球-マクロファージの機能が異常であることが示されている。例えば、Johnston, RB, New Eng. J. Med. 318:747-752, 1998を参照されたい。 当業者であれば、IL-31RA受容体のアゴニスト、例えば、アゴニストIL-31RA抗体が有用であることを認めるだろう。例えば、新生児、コルチコステロイドまたは他の免疫抑制療法を受けている患者、および糖尿病患者、熱傷患者、またはAIDS患者などの感染素因を有する集団において、単球遊走の低下が報告されている。IL-31RAアゴニスト、例えば、アゴニストIL-31RA抗体は、単球が遊走する能力を高め、恐らく、これらの集団において感染を妨げる能力を高め得る。慢性肉芽腫症患者からの単核食細胞の食作用による死滅という重大な欠陥もある。これは、皮下膿瘍ならびに肝臓、肺、脾臓、およびリンパ節における膿瘍の形成をもたらす。IL-31RA受容体アゴニスト、例えば、アゴニストIL-31RA抗体は、この食作用による欠陥を修正または改善し得る。さらに、欠陥のある単球細胞傷害性が、癌患者およびヴィスコット-オールドリッチ症候群(湿疹、血小板減少、および反復感染)患者において報告されている。IL-31RA受容体アゴニスト、例えば、アゴニストIL-31RA抗体による単球の活性化は、これらの状態の治療の助けとなり得る。単球-マクロファージ系は、ゴーシェー病などの、いくつかの脂質貯蔵病(スフィンゴリピド症)に顕著に関与している。マクロファージ機能に欠陥があるために感染に対する耐性が低くなることがあり、これは、IL-31RA受容体アゴニスト、例えば、アゴニストIL-31RA抗体によって治療され得る。 当技術分野において公知の、および本明細書において開示される方法を用いて、当業者は、CLA+T細胞と高い相関関係のある疾患におけるIL-31RAアゴニストおよびアンタゴニストの活性を容易に評価することができる。さらに、IL-31は、T細胞、マクロファージ、および単球において特異的に発現しており、これらの疾患は、細胞増殖、機能、局在化、および活性化などの単球細胞の異常を伴うので、本発明のポリヌクレオチド、ポリペプチド、および抗体は、このような単球細胞異常を検出するための、ならびに疾患の存在を示すための診断薬として使用することができる。このような方法は、血液、唾液、または生検材料などの生物学的試料を患者から採取する工程、および生物学的試料と正常対照試料を比較する工程を伴う。正常対照と比較して患者試料におけるIL-31またはIL-31発現細胞、すなわち、単球の相対レベルまたは局在化を確かめるために、組織学的方法、細胞学的方法、フローサイトメトリーによる方法、生化学的方法、および他の方法を使用することができる。対照と比較したIL-31発現レベルの変化(増加もしくは減少)または単球の数もしくは局在化の変化(例えば、通常は存在しない組織における単球細胞の増加もしくは浸潤)は疾患を示す。このような診断方法は、例えば、TARCおよびMDCの測定も含んでよい。このような方法は当技術分野において周知であり、本明細書において開示される。 IL-31RAアンタゴニスト、例えば、抗IL-31RA抗体は、IL-31RA受容体に結合することによって、従って、IL-31と内因性IL-31受容体の結合を妨げることによって免疫系を調節するのに使用することができる。または、IL-31RAアンタゴニスト、例えば、可溶性IL-31RAおよびIL-31RA/OSMRβ受容体も、IL-31と内因性IL-31RA受容体の結合を阻止することによって免疫系を調節するのに使用することができる。従って、本発明は、過剰なIL-31を有する被験体に投与することができる、IL-31RA抗体およびそのフラグメントならびにIL-31RA可溶性受容体(IL-31RAおよびIL-31RA/OSMRβ)の使用を含む。IL-31RAアンタゴニスト(例えば、抗IL-31RA抗体およびそのフラグメントならびに可溶性IL-31RAおよび可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体)はまた、CLA+T細胞と高い相関関係のある疾患を治療するのに使用することもできる。適切な被験体には、ヒトなどの哺乳動物が含まれる。 IL-31は活性化単核細胞において発現することが示されており、炎症の調節に関与する可能性がある。従って、本発明の抗体および可溶性受容体は、炎症を変える能力についてアッセイおよび使用されてもよく、炎症マーカーとして用いられてもよい。IL-31の炎症誘発性および抗炎症性を確かめる方法は当技術分野において公知であり、本明細書において述べられている。さらに、IL-31は、血清アミロイドA(SAA)、α1-抗キモトリプシン、およびハプトグロビンなどの急性期反応物の産生のアップレギュレーションに関与している可能性があり、IL-31RA受容体の発現は、インビボで、炎症応答に関与するリポ多糖(LPS)を注射することによって増大する可能性がある(Dumoutier, L. et al., Proc. Nat'l. Acad. Sci. 97:10144-10149, 2000)。SAAなどの急性期タンパク質の産生は、炎症が有益なものとなる短期生存機構とみなされている。しかしながら、急性期タンパク質の長期間の維持は慢性炎症の一因となり、ヒトの健康に有害な場合がある。概説については、Uhlar, CM and Whitehead, AS, Eur. J. Biochem. 265:501-523, 1999、およびBaumann H. and Gauldie, J. Immunology Today 15:74-80, 1994を参照されたい。さらに、急性期タンパク質SAAは、いくつかの慢性炎症性疾患の発生に結び付けられ、アテローム性動脈硬化症および慢性関節リウマチに結び付けられ、アミロイドーシスにおいて沈着するアミロイドAタンパク質の前駆体である(Uhlar, CM and Whitehead, 前記)。従って、IL-31などのリガンドが炎症誘発分子として作用し、SAAの産生を誘導する場合、アンタゴニストが、炎症性疾患およびリガンドによって誘導される急性期応答タンパク質に関連する他の疾患の治療において有用であろう。このようなアンタゴニストは本発明によって提供される。例えば、炎症を軽減する方法は、炎症を有する哺乳動物に、炎症を軽減するのに十分な抗IL-31RA抗体(例えば、中和抗体)もしくはそのフラグメントまたは可溶性受容体(例えば、IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)を含む治療的有効量の組成物を投与する工程を含む。さらに、炎症を有する哺乳動物において炎症応答を抑制する方法は、(1)血清アミロイドAタンパク質レベルを確かめる工程、(2)許容可能な薬学的担体の中に、本明細書に記載の抗IL-31RA抗体または可溶性受容体(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)を含む組成物を投与する工程、(3)血清アミロイドAタンパク質の投与後レベルを確かめる工程、(4)工程(1)における血清アミロイドAタンパク質レベルと、工程(3)における血清アミロイドAタンパク質レベルを比較する工程を含んでもよく、血清アミロイドAタンパク質レベルの増加が無いことまたは減少していることが炎症応答の抑制を示す。 さらに、IL-31とIL-31RAの結合および/またはIL-31のIL-31RAへのシグナル伝達をブロックする抗IL-31RA抗体およびそのフラグメント、ならびにIL-31に結合し、従って、IL-31と細胞性IL-31RAの結合を妨げる可溶性IL-31RA受容体(IL-31RAおよびIL-31RA/OSMRβ)は、IL-31のシグナル伝達に拮抗する、またはIL-31のシグナル伝達をブロックするのに有用であり、従って、接触性皮膚炎、薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応、中毒性表皮壊死症、皮膚T細胞リンパ腫、水疱性類天疱瘡、円形脱毛症、白斑、酒さ性ざ瘡、結節性痒疹、硬皮症、および単純ヘルペスウイルスに関連する1つまたは複数の症状の治療、進行の阻止、重篤度の軽減、軽減において有用である。 抗IL-31RA抗体、ならびに受容体を含む可溶性IL-31RA(IL-31RA可溶性受容体およびIL-31RA/OSMRβ可溶性受容体)はIL-31アンタゴニストとして有用である。このような拮抗作用は、天然リガンドを直接中和または結合することによって達成することができる。拮抗的な用途に加えて、可溶性受容体はIL-31に結合し、IL-31を体内の異なる組織、器官、および細胞へ輸送するために担体または担体タンパク質として作用することができる。従って、可溶性受容体は、可溶性受容体-リガンド複合体を、特定の部位、例えば、組織、特定の免疫細胞、単球、または腫瘍に向ける分子、ポリペプチド、または化学部分と融合または連結することができる。例えば、急性感染症または一部の癌では、炎症および局所急性期応答タンパク質の誘導から利益が生じるかもしれない。従って、本明細書に記載の可溶性受容体または本発明の抗体(およびそのフラグメント)は、炎症誘発性IL-31リガンドの作用を特異的に向けるのに使用することができる。Cosman, D. Cytokine 5: 95-106, 1993;およびFernandez-Botran, R. Exp. Opin. Invest. Drugs 9:497-513, 2000を参照されたい。 IL-31はまた、循環レベルのリガンドを検出する診断システムの中に、および急性期炎症応答の検出において用いられてもよい。関連する態様の中で、IL-31に特異的に結合する抗体または他の薬剤、例えば、可溶性IL-31RAおよび可溶性IL-31RA/OSMRβは循環IL-31ポリペプチドを検出するのに使用することができる。リガンドまたは受容体ポリペプチドのレベルの上昇または低下は、炎症または癌を含む病理学的状態を示すことがある。さらに、IL-31などの急性期タンパク質または分子の検出は、ある特定の疾患状態(例えば、慢性関節リウマチ)における慢性炎症状態を示すことがある。このような状態の検出は、疾患診断の支援ならびに医師による適切な治療の選択に役立つ。 一般的に、投与されるIL-31RA抗体もしくはそのフラグメントまたは可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体の用量は、患者の年齢、体重、身長、性別、一般的な医学的状態および以前の病歴などの要因に応じて異なる。典型的に、約1pg/kg〜10mg/kg(薬剤の量/患者体重)の範囲の用量のIL-31RA抗体もしくはそのフラグメントまたは可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体を、レシピエントに与えることが望ましいが、状況の要求にあわせて、さらに少ない用量または多い容量も投与することができる。当業者は、当技術分野において公知の方法を求めて、このような用量およびその変更を容易に決定することができる。 被験体へのIL-31RA抗体もしくはそのフラグメントまたは可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体の投与は、局所投与、皮内投与、吸入、静脈内投与、動脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投与、胸膜内投与、くも膜下腔内投与、局所カテーテルを介した灌流、または直接的な病巣内注射によるものでもよい。治療用タンパク質を注射によって投与する場合、投与は連続注入でもよく、単回または複数回のボーラスによるものでもよい。 さらなる投与経路には、経口、粘膜、肺、および経皮が含まれる。経口送達は、ポリエステルマイクロスフェア、ゼインマイクロスフェア、プロテイノイドマイクロスフェア、ポリシアノアクリレートマイクロスフェア、および脂質をベースとする系に適している(例えば、DiBase and Morrel,「Oral Delivery of Microencapsulated Proteins」, in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), 255-288頁 (Plenum Press 1997)を参照されたい)。鼻腔内送達の実現が可能なことは、このようなインシュリン投与方法によって例証される(例えば、Hinchcliffe and Illum, Adv. Drug Deliv. Rev. 35:199 (1999)を参照されたい)。IL-31RA抗体もしくはそのフラグメントまたは可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体を含む乾燥粒子または液体粒子は、乾燥粉末分散剤、液体エアロゾル発生器、またはネブライザーの助けを借りて調製および吸引することができる(例えば、Pettit and Gombotz, TIBTECH 16:343 (1998); Patton et al., Adv. Drug Deliv. Rev. 35:235 (1999))。このアプローチは、エアロゾル化したインシュリンを肺に送達する手持ち式電子吸入器であるAERX糖尿病管理システムによって例示される。48,000kDaと大きなタンパク質が低周波数超音波の助けを借りて治療濃度で皮膚を通過して送達されることが研究から分かっており、これは、経皮投与の実現が可能なことを例示している(Mitragotri et al., Science 269:850 (1995))。エレクトロポレーションを用いた経皮送達は、IL-31RA抗体もしくはそのフラグメントまたは可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体を投与する別の手段を提供する(Potts et al., Pharm. Biotechnol. 10:213 (1997))。 IL-31RA抗体もしくはそのフラグメント(アンタゴニストおよびアゴニスト)または可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体を含む薬学的組成物は、薬学的に有用な組成物を調製する公知の方法に従って処方することができ、これによって、薬学的に許容される担体との混合物中で治療用タンパク質が組み合わされる。組成物は、その投与がレシピエント患者に忍容されれば「薬学的に許容される担体」といわれる。滅菌したリン酸緩衝食塩水が薬学的に許容される担体の一例である。他の適切な担体が当業者に周知である。例えば、Gennaro (ed.), Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company 1995)を参照されたい。 治療のために、IL-31RA抗体もしくはそのフラグメント(アンタゴニストおよびアゴニスト)または可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体ならびに薬学的に許容される担体は治療的有効量で患者に投与される。IL-31RA抗体(アンタゴニストおよびアゴニスト)または可溶性IL-31RA受容体(例えば、IL-31RAホモ二量体およびzcytor17/OSMRβヘテロ二量体)ならびに薬学的に許容される担体の組み合わせは、その投与される量に生理学的な効果があれば「治療的有効量」で投与されるといわれる。薬剤は、存在することによってレシピエント患者の生理機能が検出可能に変化すれば生理学的な効果がある。例えば、炎症の治療に用いられる薬剤は、存在することによって炎症応答の少なくとも一部が軽減すれば生理学的な効果がある。 IL-31RA抗体もしくはそのフラグメント(アンタゴニストおよびアゴニスト)または可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体を含む薬学的組成物は、液体の形で、エアロゾルで、または固体の形で提供することができる。液体の形は、注射液、エアロゾル、液滴、局所溶液(topological solution)、および経口懸濁液によって例示される。例示的な固体の形には、カプセル、錠剤、および徐放形態が含まれる。後者の形は、ミニオスモティックポンプおよび移植片によって例示される(Bremer et al., Pharm. Biotechnol. 10:239 (1997); Ranade,「Implants in Drug Delivery」, in Drug Delivery Systems, Ranade and Hollinger (eds.), 95-123頁(CRC Press 1995); Bremer et al., 「Protein Delivery with Infusion Pumps」, in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), 239-254頁(Plenum Press 1997); Yewey et al., 「Delivery of Proteins from a Controlled Release Injectable Implant」, in Protein Delivery: Physical Systems, Sanders and Hendren (eds.), 93-117頁(Plenum Press 1997))。他の固体の形には、クリーム、パスタ剤、他の局所用途などが含まれる。 IL-31RA抗体もしくはそのフラグメント(アンタゴニストおよびアゴニスト)または可溶性IL-31RA受容体もしくは可溶性IL-31RA/OSMRβ受容体は、標準的なタンパク質マイクロカプセル化法を用いてリポソームの中に封入することができる(例えば、Anderson et al., Infect. Immun. 31:1099 (1981), Anderson et al., Cancer Res. 50:1853 (1990)およびCohen et al., Biochim. Biophys. Acta 1063:95 (1991), Alving et al. 「Preparation and Use of Liposomes in Immunological Studies」, in Liposome Technology, 2nd Edition, Vol. III, Gregoriadis (ed.), 317頁 (CRC Press 1993), Wassef et al., Meth. Enzymol. 149:124 (1987)を参照されたい)。前記のように、治療上有用なリポソームは様々な成分を含有してもよい。例えば、リポソームはポリ(エチレングリコール)脂質誘導体を含んでもよい(Allen et al., Biochim. Biophys. Acta 1150:9 (1993))。 例えば、Ansel and Popovich, Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems, 5th Edition (Lea & Febiger 1990), Gennaro (ed.), Remington's Pharmaceutical Sciences, 19th Edition (Mack Publishing Company 1995)、およびRanade and Hollinger, Drug Delivery Systems (CRC Press 1996)によって示されるように、当業者は他の剤形を考案することができる。 本明細書において引用された全ての特許、特許出願、および刊行物、ならびに電子的に利用可能な資料(例えば、GenBankアミノ酸配列およびヌクレオチド配列提出物)の完全な開示が参照により組み入れられる。前述の詳細な説明および実施例は、理解しやすいようにするためだけに示された。詳細な説明および実施例から、不必要な限定を理解してはならない。本発明は、示された、および説明された正確な詳細に限定されず、当業者に明らかな変化が特許請求の範囲に定義された発明の中に含まれる。実施例実施例1刺激されるとIL-31を発現するヒト初代T細胞タイプの決定研究被験者および生検材料の選択 12人のAD患者(中程度〜重度の疾患;年齢の中央値は32歳。5〜45%の皮膚にわたる)、6人の乾癬患者(年齢の中央値は56歳。10〜65%の皮膚にわたる)、および12人の健常個体(年齢の中央値は34歳)を、インフォームドコンセントの後に試験Aに含めた。どの患者にも以前に全身コルチコステロイドが投与されていない。全患者は、皮膚生検または採血の前に1週間、局所コルチコステロイドを使用しなかった。1)発症して3日未満の急性紅斑性AD病変、2)持続期間が2週間を超える慢性苔癬化AD病変、3)慢性乾癬病変、および4)正常皮膚から2mmパンチ生検材料を採取した。免疫組織化学またはウエスタンブロッティングおよびイムノドットブロッティングのために、皮膚試料をすぐに-7O℃で凍結した。初代ヒトT細胞サブセットの単離および活性化: 様々なT細胞サブセットを単離するために、標準的なフィコール勾配遠心分離を用いて、ドナーからヒトPBMCを単離した。次いで、T Cell Isolation Kit II(Miltenyi Biotec)を用いて製造業者の説明書に従って、総T細胞を単離した。標準的なフローサイトメトリーを用いて分離効率を評価し、T細胞が95%超であると確かめられた。CD45RO+「記憶」T細胞からCD45RA+「ナイーブ」T細胞を分離するために、総T細胞集団を、抗CD45ROマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)と+4℃で15分間インキュベートし、製造業者の説明書に従って磁気的に分離した。ナイーブT細胞集団および記憶T細胞集団は、フローサイトメトリーによって>90%純粋であることが確かめられた。 CD45RO+記憶T細胞は組織特異的であることが多く、皮膚ホーミングT細胞とα4/β7を表面上に発現する腸管ホーミングT細胞を区別するために、皮膚リンパ球抗原(CLA)が用いられる。これらの細胞タイプのどちらがIL-31を産生するかを確かめるために、総T細胞からCLA+T細胞を単離し、活性化し、IL-31バイオアッセイのためにコンディションドメディウムを収集した。これを行うために、総T細胞を単離し、次いで、抗CLA-FITC抗体(PharMingen)の1:50希釈液1mL中で、氷上で20分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、MACS緩衝液に再懸濁し、抗FITCマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)と+4℃で15分間インキュベートした。次いで、細胞を洗浄し、再懸濁し、LSカラムによって製造業者の説明書に従って磁気的に分離した。標識されたT細胞は後で>80%純粋であることが確かめられたが、CLAを枯渇させたT細胞は98%超がCLA-であった。CLA+細胞およびCLA-T細胞を両方とも収集し、同時に培養した。 CD45RA+およびCD45RO+T細胞サブセットを活性化するために、細胞を、2.0μg/mL抗CD3抗体(Southern Biotechnology)で前処理した24ウェル組織培養プレート内で一晩培養した。細胞を、2.5x106細胞/mLの濃度で、2.0μg/mL抗CD28(Southern Biotechnology)を添加した組織培地(RPMI、5%胎仔ウシ血清、L-グルタミン、およびピルビン酸ナトリウム(全てGibco))にプレートし、+37℃インキュベーターに入れた。4時間後、ウェルの半分を採取し、細胞をペレット化し、IL-31バイオアッセイの時までコンディションドメディウムを-20℃で凍結した。 CLA+T細胞サブセットおよびCLA-T細胞サブセットを、2.0μg/mL抗CD3抗体(Southern Biotechnology)で前処理した48ウェル組織培養プレート内で同様に活性化した。細胞を、6.25x105細胞/mLの濃度で+37℃インキュベーター内で16時間または24時間活性化した。試料を採取し、細胞をペレット化し、IL-31バイオアッセイの時までコンディションドメディウムを-20℃で凍結した。最適以下の活性化の場合、CLA+T細胞を、0.5μg/ml抗CD3抗体で前処理したプレート内で培養した。ヒトIL-31バイオアッセイプロトコール: hIL-31RA、hOSMRβ、およびKZ134でトランスフェクトしたBAF3細胞を5x105細胞/mLおよび1x106細胞/mLまで増殖させた。細胞をアッセイ培地(RPMI1640、10%FBS、L-グルタミン、ピルビン酸ナトリウム、およびPen/Strep(全てGibco))で洗浄し、アッセイ培地で3x105細胞/mLに再懸濁した。96ウェル不透明プレートにおいて、hIL-31標準の力価を、アッセイ培地中、100μL/ウェル、1:2段階希釈によって600pg/mLから9.38pg/mLまで2回繰り返して求めた。100μL中、350pg/mLおよび35pg/mLの品質管理標準をプレートに2回繰り返して添加した。試験試料は1:2または1:4に希釈することが多く、試料ウェルに2回繰り返して添加した。次いで、最終濃度3x104細胞/ウェルの洗浄済みBAF3細胞100μLを各ウェルに添加した。次いで、プレートを、5%CO2インキュベーター内で+37℃で16〜24時間インキュベートした。次いで、プレートを1200RPMで5分間遠心分離し、培地をはじき飛ばし、25μL/ウェルの溶解緩衝液(Promega)を各ウェルに添加した。10分後に、プレートをルミノメーター(Berthold)で測定した。ルミノメーターは40μL/ウェルのルシフェラーゼ基質ミックス(Promega)を添加し、4秒間の発光の総和を示した。発光値をスプレッドシートにエクスポートした。スプレッドシートにおいて、発光値が分析され、IL-31ピコグラム/106細胞/体積mLに変換された。データを表1にまとめた。IL-31バイオアッセイの結果: CD45RA+T細胞試料およびCD45RO+T細胞試料からの結果から、IL-31は、主に、活性化されたCD45RO+記憶T細胞によって産生されることが明らかになった。両ドナーからのCD45RA+T細胞およびCD45RO+T細胞は刺激を受けていない時には、検出可能なIL-31を産生しなかった。しかしながら、ドナー#3および#4からのCD45RO+試料は、プレート結合抗CD3および可溶性抗CD28によって24時間活性化された後に有意なレベルのIL-31を生じた(それぞれ、110.4pg/106細胞/mLおよび145.6pg/106細胞/mL)。逆に、ドナー#3および#4からのCD45RA+T細胞は抗CD3および抗CD28によって活性化された時には、極めて少量のIL-31を産生した(それぞれ、13.1pg/106細胞/mLおよび12.7pg/106細胞/mL)。 CLA+T細胞試料およびCLA-T細胞試料から、IL-31はほぼ完全に活性化CLA+T細胞によって作られるように見えることが明らかになった。両ドナーからのCLA-T細胞集団(ナイーブT細胞、α4/β7腸管ホーミング記憶T細胞、および組織へ運命付けられていない(tissue uncommitted)T細胞を含む)は、時点にも活性化条件にも関係なく、検出可能なレベルのIL-31を生じなかった。他方で、CLA+T細胞は、2.0μg/mLプレート結合抗CD3抗体による刺激を受けた時には極めて高いレベルのIL-31を生じた。ドナー#5は、16時間までに1385.7pg/106細胞/mLのIL-31を生じ、24時間までに>1920pg/106細胞/mLのIL-31を生じた。ドナー#6は、16時間で121.3pg/106細胞/mLのIL-31を生じ、24時間で328.9pg/106細胞/mLのIL-31を生じた。これらの結果は、IL-31が、T細胞サブセットのうち標準的な活性化条件下にある皮膚(CLA+)T細胞によって特異的に作られるように見えることをはっきりと証明している。 (表1)実施例2接触過敏症の開始および永続化へのIL-31の関与方法I BALB/cマウスの体毛を剃った背中中間部に、ピペッターを用いて、アセトン:オリーブ油(4:1)溶液に溶解した0.5%DNFB(2,4,ジニトロ-フルオロ-ベンゼン, Sigma, St. Louis MO)25μlを塗る。ビヒクル対照群には、アセトン:オリーブ油25μlのみを与える。5日後に、マウスを吸入チャンバーの中でイソフルオランで麻酔し、ベースライン測定値を得るために、技師のマイクロメーター(Mitutoyo)を用いて実験動物および対照動物の両耳介を測定する。次いで、アセトン:オリーブ油(4:1)に溶解した0.25%DNFB 10μlを全マウスの耳の両側に塗布することによって、マウスをチャレンジする。24時間後および48時間後に、接触過敏症を、右耳(チャレンジ)と左耳(非チャレンジ)の差異として測定する。技師のマイクロメーターを用いて全測定を行う。バックグラウンド値は、ナイーブマウスのチャレンジされた耳の耳腫脹とチャレンジされていない耳の耳腫脹の差異によって求める。 FACS分析および/またはELISA分析用の全血および血清を屠殺前に集め、組織学のために耳を集める。方法II(Th2応答を誘導する) BALB/cマウスの体毛を剃った背中中間部に、ピペッターを用いて使用可能なアセトン/フタル酸ジブチルの1:1溶液に溶解した0.5%FITC(フルオレセインイソチオシアネート)(MSDS)100μlを、1日目、2日目、および8日目に塗る。13日目に、マウスを吸入チャンバーの中でイソフルオランで麻酔し、ベースライン測定値を得るために、技師のマイクロメーター(Mitutoyo)を用いて実験動物および対照動物の両耳介を測定する。耳の背面に、0.5%FITC(1:1アセトン/フタル酸ジブチルに溶解)25μlを塗布することによって、マウスをチャレンジする。24時間後および48時間後に、接触過敏症を、右耳(チャレンジ)と左耳(非チャレンジ)の差異として測定する。技師のマイクロメーターを用いて全測定を行う。バックグラウンド値は、ナイーブマウスのチャレンジされた耳の耳腫脹とチャレンジされていない耳の耳腫脹の差異によって求める。FACS分析および/またはELISA分析用の全血および血清を屠殺前に集め、組織学のために耳を集める。方法III(Th1応答を誘導する) BALB/cマウスの体毛を剃った背中中間部に、ピペッターを用いて、2%オキサザロン(4:1アセトン/オリーブ油に溶解)25μlを塗る。7日目に、マウスを吸入チャンバーの中でイソフルオランで麻酔し、ベースライン測定値を得るために、技師のマイクロメーター(Mitutoyo)を用いて実験動物および対照動物の両耳介を測定する。耳の背面に、オキサザロン8μlを塗布することによって、マウスをチャレンジする。24時間後および48時間後に、接触過敏症を、右耳(チャレンジ)と左耳(非チャレンジ)の差異として測定する。技師のマイクロメーターを用いて全測定を行う。バックグラウンド値は、ナイーブマウスのチャレンジされた耳の耳腫脹とチャレンジされていない耳の耳腫脹の差異によって求める。FACS分析および/またはELISA分析用の全血および血清を屠殺前に集め、組織学のために耳を集める。 実験の感作期およびチャレンジ期に、IL-31に対する中和抗体を用いて、接触過敏症の開始および永続化へのIL-31の関与を試験する。実施例3アトピー性皮膚炎へのIL-31の関与方法I(NC/Ngaマウスの感作) 雄NC/Ngaマウスを、Charles River Laboratories, Japanから購入した。マウスは到着時には4週齢であり、順応のために4週間、SPF隔離状態で収容した。抗原感作開始時に、マウスは約10〜11週齢であった。マウスをイソフルオランで麻酔し、電気バリカンで背中の体毛を剃った。マウスに皮膚病変が発症するまで5〜6週間、週に3回、約10μgのヤケヒョウヒダニ(Dermatophagoides pteronyssinus)(Dp)(Indoor Biotechnologies, Charlottesville, Virginia, 特注)抽出物を、うなじに皮内注射した。対照動物には、週に3回、10μlのPBS を皮内注射した。Dp 抽出物は、Matsuokaおよび同僚による方法に従って調製した。Matsuoka H., et al., Allergy: 58, 139 (2003)。簡単に述べると、凍結乾燥した使用済みDp培養抽出物595mgを滅菌PBS(Gibco)12mLに溶解した。Dpを5OmL Falconチューブに入れて、シェーキングロッカー(shaking rocker)で30分間混合した。抽出物を2000rpmで10分間スピンし、上清を集め、1mLクリオバイアルチューブに分注し、-20℃で保存した。方法II(DO11.10マウスの感作) DO11.10トランスジェニックマウスをインハウスコロニーから繁殖させ、抗原感作開始時には9.5〜14週齢であった。皮膚上感作の24時間前に、マウスをイソフルオランで麻酔し、電気バリカンでマウスの体幹全体(背中および腹部)の体毛を剃った。次いで、Elastin外科用テープ(Johnson and Johnson)を用いて、マウスの背中にテープストリッピングを行った。1cm2滅菌ガーゼパッチを500μgオボアルブミン(Calbiochem 32467)または滅菌PBS(Gibco)で湿らし、DuoDerm Extra Thin Dressing(ConvaTec 187932)でマウスの左背面にくっつけた。次いで、マウスがパッチを取り除くことができないように、またはパッチを壊すことができないように、Elastin外科用テープで体を包んでパッチおよび包帯に覆いをした。パッチを7日間着けさせ、取り除いた。マウスを2週間休ませた後に、もう1回皮膚上感作を行った。マウスには、1週間の感作を計3回行った。結果 塵埃ダニ感作NC/Nga動物およびOVA感作DO11.10動物からの病変皮膚および非病変皮膚におけるIL-31RA発現の免疫組織化学的分析から、IL-31RAはマウスの表皮ケラチノサイトによって発現されることが分かった。しかしながら、抗原感作動物とPBS感作動物との間に発現レベルの有意な差は認められない。実施例4遅延型過敏へのIL-31の関与方法 DTH応答を生じさせるために、0日目に、フロイント完全アジュバント(CFA,50〜100μl総体積)に溶解したオボアルブミン(OVA)100μgを用いた尾の根元での皮下免疫化によって、マウスを抗原に対して感作させた。1週間後に、マウスを吸入チャンバーの中でイソフルオランで麻酔し、ベースライン測定値を得るために、技師のマイクロメーター(Mitutoyo)を用いて実験動物および対照動物の両耳介を測定した。マウスを、OVA 10μgを含む総体積10μlのPBSを用いて、左耳介の皮内、皮膚のすぐ下に、どの静脈にもぶつかることなくチャレンジした。対照として、マウスの右耳介にPBS 10μlを注射した。場合によっては、耳にOVAを皮内注射した別の対照群を、反応を阻害する正の対照である局所コルチコステロイドで処置してもよい。チャレンジの24時間後および48時間後に、マウスを麻酔し、耳厚を測定した。結果は、特異的耳腫脹(specific ear swelling)=実験耳の(24時間後の測定-0時での測定)-負の対照耳の(24時間後の測定-0時での測定)で表した。DTHの顕著な特徴である硬化は、感作抗原注射後、18時間までに検出することができ、24〜48時間までに最大である。触診可能な硬化が遅いことが、この応答が「遅延型」と名付けられた理由である。 結果 IL-31トランスジェニックマウスをDTHについて試験した。しかしながら、非チャレンジIL-31トランスジェニック動物の耳厚が厚かったために、IL-31 Tg動物と野生型対照との間でDTHの統計的に有意な差を確かめることができなかった。IL-31RAノックアウト動物もDTH応答において試験し、受容体ノックアウト動物と野生型動物との間でDTH応答の有意な差は観察することができなかった。実施例5痒み応答の誘導へのIL-31の関与方法I(カプサイシン前処置マウスのIL-31処置) 10週齢BALB/c動物(CRL)を麻酔し、持続性鎮痛剤である塩酸ブプラノルフィン(bupranorphine hydrochloride)を0.1mg/kgで皮下注射した後に、10%エタノール+10%Tween-80を含む食塩水に溶解した4mg/mlカプサイシン溶液0.25mlを襟首に皮下注射した。動物は、神経毒処置後少なくとも30分間、麻酔がかかった状態にした。48時間後、20μg/日のIL-31を14日間連続して送達するために、14日オスモティックポンプを皮下移植した。マウスを、脱毛およびそう痒について、以下の基準:0=ひっかき行動なし,動物は正常に見える、1=小領域において体毛が薄くなっている,ひっかき行動が認められる、2=軽度の体毛消失(小さな斑),ひっかき行動、3=中程度の体毛消失,ひっかき行動、および4=重篤な体毛消失,過度のひっかき行動を用いて、6日間毎日モニタリングした。 結果から、IL-31送達の3日後、カプサイシン非処置マウスのひっかき行動/体毛消失スコアの平均は2.625であったのに対して、カプサイシン処置マウスのスコアは有意に低い1であることが証明された。従って、IL-31送達前にカプサイシンで処置したマウスは、6日間の実験にわたって、ひっかき行動および体毛消失の発生が遅くなり、ひっかき行動および体毛消失の強さのスコアが低くなった。これらのデータは、IL-31が、IL-31によって誘導される脱毛およびそう痒の一因となる何らかのニューロン成分を誘導することを示唆している。従って、IL-31の中和は痒みの発生および強さを弱める可能性があり、従って、痒みを伴う皮膚障害にかかっている患者の皮膚炎を軽減する可能性がある。方法II(Tac1遺伝子欠損マウスのIL-31処置) Tac1遺伝子ヌルホモ接合体であるマウスは、検出可能なサブスタンスPもニューロキニンAも発現しない。これらのマウスは、中程度から強度の刺激に対する侵害受容性疼痛応答が有意に弱く、従って、疼痛/痒みの処理および炎症性疾患状態へのタキキニンペプチドの寄与を研究するのに有用なツールである。12週齢のTac1ノックアウトマウスに、1μg/日のIL-31タンパク質を送達する14日オスモティックポンプを移植し、脱毛およびそう痒について、以下の基準:0=ひっかき行動なし,動物は正常に見える、1=小領域において体毛が薄くなっている,ひっかき行動が認められる、2=軽度の体毛消失(小さな斑),ひっかき行動、3=中程度の体毛消失,ひっかき行動、および4=重篤な体毛消失,過度のひっかき行動を用いて、毎日観察した。 この研究の結果から、Tac1欠損マウスは、野生型対照マウスと比較してIL-31誘導性のひっかき行動/体毛消失に対する感受性が低かったことが分かる。100%(10/10)の野生型マウスが、IL-31処置の6日目までに、ひっかき行動および体毛消失の証拠を生じたのに対して、同じ時点でTac1欠損マウスは33.3%(2/6)しか、ひっかき行動および体毛消失の徴候を示さなかった。これらのデータから、IL-31は、IL-31処置マウスにおけるひっかき/体毛消失表現型の一因となるニューロン成分を誘導し、IL-31の中和は、皮膚炎に関連する、ひっかき行動の発生および強さを弱める可能性があることが分かる。方法III(IL-31処置マウスに対するIL-31中和抗体投与の効果) 正常雌BALB/cマウス(CRL)約8〜12週齢に、1μg/日mIL-31を送達する14日オスモティックポンプ(Alzet,#2002)を皮下移植した。マウス群に、ラット抗マウスIL-31モノクローナル抗体10mg/kg(200μg/マウス)を、IL-31送達の1週間前から開始して週2回、腹腔内(i.p.)注射した。マウス対照群には、同じ投与計画で、ビヒクル(PBS/0.1%BSA)を腹腔内注射した。以下の基準:0=ひっかき行動なし,動物は正常に見える、1=小領域において体毛が薄くなっている,ひっかき行動が認められる、2=軽度の体毛消失(小さな斑),ひっかき行動、3=中程度の体毛消失,ひっかき行動、および4=重篤な体毛消失,過度のひっかき行動を用いて、マウスの脱毛およびそう痒を毎日スコア付けした。 全ての実験において、ラット抗mIL-31mAbで処置したマウスは症状開始が約5〜7日遅くなり、脱毛およびそう痒のスコア全体が小さくなった。(投与頻度にも濃度にも関係なく)mAb処置マウスの全ての群が、研究の13日目までに対照マウスと同様の脱毛およびそう痒を生じた。これらのデータは、IL-31の中和が、IL-31によって誘導されるひっかき/体毛消失応答の開始を遅らせることができることを示唆している。実施例6非関連乾癬性皮膚炎(uninvolved psotiatic dermatitis)およびアトピー性皮膚炎による皮膚病変におけるIL-31免疫組織化学的(IHC) 染色 非関連乾癬性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および正常皮膚を、IL-31リガンドについてIHCによって試験した。正の対照細胞は、IL-31でトランスフェクトしたBHK細胞からなった。実施した負の対照は、(1)非トランスフェクトBHK細胞、(2) 代表的な組織および細胞を、プロテインAで精製した正常ウサギ血清を用いて染色し、通常通り抗体結合を検出することを含んだ。抗体試薬は、E5758(ウサギ抗huIL-31 CEE, Aff. 1.0mg/mlで精製)であった。対照細胞は、C02-6020:zcytor17 Lig hu-CEE/21を発現するBHK細胞、およびBHK野生型を含んだ。試験組織は、急性アトピー性皮膚炎の皮膚試料、慢性アトピー性皮膚炎の皮膚試料、非罹患部位の皮膚試料、および正常対照の皮膚試料、ならびに他のインハウス対照試料を含んだ。 前記の細胞および組織を10%NBFで一晩固定し、標準的な技法を用いてパラフィンに包埋した。 組織を接着させるために、5μM切片を61℃で30分間焼いた。その後に、3X5'でキシレンで、スライドからパラフィンを取り除き、スライドを、以下のように段階的なアルコール:2X2'で100%EtOH、2X2'でX95%EtOH、1x2'で70%EtOHによって再水和した。スライドをdH2Oでリンスし、次いで、熱誘導性エピトープ回復(HIER)を蒸気の下で20分間行い、その後に、10mM Tris, 1mM EDTA, pH9.0でRTまで20分間冷却した。 スライドをDakoCytomation Autostainerに入れた。スライドを、製造業者によって推奨されるように調製したTBS/Tween緩衝液(TBST)でリンスした。内因性ビオチンを、アビジン溶液中で10分間インキュベートし、TBSTで洗浄し、その後に、ビオチン溶液中で10分間インキュベートすることによってブロックした。スライドをTBSTで洗浄した。タンパク質ブロック(PBSB)(0.5%Blocking PowderをPBSに溶解したもの, Perkin Elmer NEL700001KT.)を30分間適用し、スライドをリンスした。一次抗体を500ng/mlまで希釈し、ChemMate Antibody Dilution Buffer(部品番号ADB250, Ventana Medical systems)に60分間加えた。 組織をTBSTで2回洗浄し、次いで、PBSBで750ng/mlにしたビオチン化ヤギ抗ウサギAb(カタログ番号BA-1000, Vector Labs)と45分間インキュベートした。スライドをTBSTで2回洗浄した。Vectastain Elite ABC Reagent(カタログ番号PK-7100, Vector Labs)を45分間インキュベートした。スライドをTBSTで2回洗浄した。DAB+(カタログ番号K-3468, DakoCytomation)を用いて、シグナルを室温で10分間生じさせた。次いで、組織スライドをヘマトキシリン(カタログ番号H-3401 Vector Labs)で対比染色し、脱水し、VectorMount(カタログ番号H-5000, Vector Labs)でカバーガラスをかぶせた。結果細胞対照: IL-31でトランスフェクトしたBHK細胞はIL-31抗体E5758染色陽性であったのに対して、非トランスフェクト細胞は、この抗体について陰性であった。同じトランスフェクト細胞および非トランスフェクト細胞が抗ウサギ血清で陰性であった。2)アトピー性皮膚炎の皮膚の分析: AD皮膚試料におけるIL31の染色パターンは、以前に報告された乾癬皮膚のものと同一である。ケラチノサイトおよびCD3陽性T細胞はIL31染色陰性であった。汗腺の分泌部分にある上皮細胞の弱いが均一な染色が存在したが、管部分にある上皮の内層において強いシグナルが観察された。皮脂腺はIL31陽性であった。ADと正常皮膚の間でIL31染色の差はなかった。 非関連乾癬性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および正常皮膚の免疫組織化学的(IHC)染色は、皮脂腺の全分泌の中に強いIL-31染色を示した。IL31トランスジェニックマウスの表現型を考慮すると、皮脂腺が、毛包の外毛根鞘から上皮芽として生じることに注目するのは興味深い。皮脂腺に加えて、汗腺の分泌部分にある上皮細胞において弱いが均一なIL-31染色が観察され、汗腺の管部分にある上皮の内層において強いシグナルが観察された。実施例7非関連乾癬性皮膚炎およびアトピー性皮膚炎におけるIL-31RAの免疫組織化学的(IHC)染色 非関連乾癬性皮膚炎、アトピー性皮膚炎および正常皮膚を、IHCによってIL-31RAについて試験した。正の対照細胞は、IL-31RAおよびOSMRで二重トランスフェクトしたBHK細胞からなった。実施した負の対照は、(1)非トランスフェクトBHK細胞、(2) 代表的な組織および細胞を、プロテインAで精製した正常ウサギ血清を用いて染色し、通常通り抗体結合を検出することを含んだ。抗体試薬は、E6292(ウサギ抗huIL-31RAs-CEE v.4, 1.33mg/ml)であった。対照細胞は、ヒトIL-31RAおよびヒトOSMRを発現するC02-5117 BHK細胞(ペレット中の総細胞:3.9x106,生存率は>90%であった)、およびC04-1587:BHK野生型(ペレット中の総細胞:5x106)を含んだ。調べた他の組織は、5個の急性アトピー性皮膚炎の皮膚試料、10個の慢性アトピー性皮膚炎の皮膚試料、10個の非罹患部位の皮膚試料、正常対照の皮膚試料、および他のインハウス皮膚試料を含んだ。 前記の細胞および組織を10%NBFで一晩固定し、標準的な技法を用いてパラフィン包埋した。 組織を接着させるために、5μM切片を61℃で30分間焼いた。その後に、3X5'でキシレンで、スライドからパラフィンを取り除き、スライドを、以下のように段階的なアルコール:2X2'で100% EtOH、2X2'でX95% EtOH、1x2'で70%EtOHによって再水和した。スライドをdH2Oでリンスし、次いで、熱誘導性エピトープ回復(HIER)を蒸気の下で20分間行い、その後に、10mM Tris, 1mM EDTA, pH9.0でRTまで20分間冷却した。 スライドをDakoCytomation Autostainerに入れた。スライドを、製造業者によって推奨されるように調製したTBS/Tween緩衝液(TBST)でリンスした。内因性ビオチンを、アビジン溶液中で10分間インキュベートし、TBSTで洗浄し、その後に、ビオチン溶液中で10分間インキュベートすることによってブロックした。スライドをTBSTで洗浄した。タンパク質ブロック(PBSB)(0.5%Blocking PowderをPBSに溶解したもの, Perkin Elmer NEL700001KT.)を30分間適用し、スライドをリンスした。IL31RAの一次抗体を665ng/ml〜1330 ng/mlまで希釈し、ChemMate Antibody Dilution Buffer(部品番号ADB250, Ventana Medical systems)に60分間加えた。 組織をTBSTで2回洗浄し、次いで、PBSBで750ng/mlにしたビオチン化ヤギ抗ウサギAb(カタログ番号BA-1000, Vector Labs)と45分間インキュベートした。スライドをTBSTで2回洗浄した。Vectastain Elite ABC Reagent(カタログ番号PK-7100, Vector Labs)を45分間インキュベートした。スライドをTBSTで2回洗浄した。DAB+(カタログ番号K-3468, DakoCytomation)を用いて、シグナルを室温で10分間生じさせた。次いで、組織スライドをヘマトキシリン(カタログ番号H-3401 Vector Labs)で対比染色し、脱水し、VectorMount(カタログ番号H-5000, Vector Labs)でカバーガラスをかぶせた。 結果を表2に示す。 (表2)正常ボランティアと比較した急性ADおよび非関連ADからの皮膚生検材料におけるIL-31RA IHCの結果 略語: AD:アトピー性皮膚炎; UAD:非関連AD; ND:実施せず *IHCシグナルを0(シグナルなし)から4(強いシグナル)までスコア付けした。 IL31RAは、AD皮膚試料の表皮においてわずかにアップレギュレーションしていた。恐らく、AD皮膚において、わずかな割合のCD3陽性T細胞がIL31RA陽性であった。試験した全ての皮膚試料にCLA陽性細胞があった。AD皮膚は、正常試料またはUAD試料より多くのCLA陽性細胞を有する可能性がある。 IL-31RAは、エクリン汗腺の上皮細胞と、エクリン腺の分泌部分にある立方上皮細胞でも発現していた。このことは、管部分と比較してIL-31RAタンパク質レベルがわずかに高いことを証明している。 まとめると、これらのデータは、IL-31RAが対照ボランティアおよびAD患者からの表皮ケラチノサイトによって発現されることを証明している。しかしながら、AD皮膚生検材料からのケラチノサイトにおいて発現されるIL-31RAレベルは、正常対照からの皮膚生検材料において観察されるレベルより高かった。このことは、ADの状況においてIL-31に対する応答性が高いという可能性を示している。 IL-31RAはまた、AD患者からの皮膚生検材料に存在するが、対照皮膚生検材料には存在しない血管周囲浸潤細胞サブセットにおいて発現することも見出された。これらのIL-31RA+細胞は、組織マクロファージマーカーCD68特異的抗体によって認識された。このことは、これらの細胞が皮膚浸潤組織マクロファージであったことを示している。実施例8レーザー捕捉顕微鏡による皮膚浸潤細胞の単離およびRT-PCRによるIL-31 MRNAの分析 皮膚浸潤T細胞が存在することは、正常個体と比較してAD患者からの皮膚生検材料の顕著な特徴である。IL-31はT細胞関連サイトカインであるので、AD患者からの組織生検材料にある皮膚浸潤T細胞におけるIL-31の発現を調べた。最初に、正常個体と比較して、AD患者からの皮膚組織生検材料に多数のCD3+T細胞が存在することがIHCによって確かめられた。表2を参照されたい。次に、IL-31 mRNAをRT-PCRで分析するために、レーザー捕捉顕微鏡を用いて、皮膚浸潤細胞を特異的に単離した。IL-31 mRNAは、急性AD患者からの皮膚浸潤細胞において発現していた。正常組織では、通常、浸潤細胞は見出されず、従って、試験することができなかった。しかしながら、AD皮膚および正常皮膚の両方に存在する表皮ケラチノサイト層をIL-31 mRNA発現について分析し、正常試料におけるIL-31 mRNAレベルは、AD試料の表皮ケラチノサイト層と比較して低いことが見出された。内部対照遺伝子(HPRT)と比較したIL-31 mRNA発現の半定量分析から、IL-31 mRNAレベルはAD試料と正常試料との間で有意な差はないが、AD患者からの皮膚におけるIL-31発現の方が高くなる傾向があった。実施例9IL-31は、皮膚ホーミング表現型を有する記憶T細胞によって産生される 皮膚生検材料の分析から、皮膚にある浸潤CD3+T細胞はIL-31 mRNAを発現し、皮膚ホーミングマーカー皮膚リンパ球抗原(CLA)を発現することが確かめられた。IL-31発現は、正常ヒト末梢血中の総T細胞集団のうち、CD45RA+ナイーブT細胞集団とは対照的に、主としてCD45RO+記憶/エフェクター細胞に限定されることが見出された。 IL-31の産生がCLA+皮膚ホーミングT細胞と関連するかどうか確かめるために、CLA+T細胞およびCLA-T細胞を、ADと診断された患者および対照ボランティアの末梢血から単離し、抗CD3+抗CD28で刺激した後にIL-31 mRNAレベルおよびIL-31タンパク質レベルを比較した。本発明者らの結果から、IL-31 mRNAは、ADおよび正常個体からのCLA+T細胞において、刺激の4時間後(それぞれ、ADおよび正常のCLA-と比較してp0.0087およびp0.0022 CLA+)および24時間後(ADおよび正常試料のCLA-と比較してp0.0022 CLA+)、有意に上昇したことが分かる。培養上清中のIL-31タンパク質レベルの分析から、AD個体および対照個体からのCLA-T細胞からの培養上清中にIL-31を検出することができなかったので、IL-31は主にCLA+T細胞によって産生されることが確かめられた。AD患者と正常患者との間でIL-31レベルの有意な差はなかった。本発明者らはまた、正常ボランティアからの、他の組織特異的ホーミングマーカー、例えば、腸管特異的ホーミングマーカーα4β7を発現する末梢血T細胞によるIL-31の産生も分析した。CLA+T細胞およびα4β7細胞によって産生されるIL-31レベルを比較すると、CLA+T細胞はα4β7細胞と比較して優先的にIL-31を産生することが証明された(それぞれ、平均して34.5pg/mlおよび14.42pg/mlのIL-31)。 AD患者および正常対照は両者とも、活性化されるとIL-31を発現する循環CLA+T細胞を有するが、AD患者からのCLA+T細胞は、正常個体からの細胞と比較して、より活性化された状態で存在することが報告されている。結果として、CLA+T細胞によるIL-31産生に必要な刺激の閾値は皮膚炎患者と対照被験者とで異なる可能性がある。この仮説を試験するために、本発明者らは、抗CD28非存在下、最適濃度以下の抗CD3を用いて、AD患者からのCLA+T細胞および対照個体からのCLA+T細胞を刺激し、刺激24時間後の培養上清中のIL-31の産生を分析した。本発明者らの結果から、本研究において、一部のAD患者からの循環CLA+T細胞は正常個体からの細胞と比較して高レベルのIL-31を産生し、最大レベルが1200pg/mLに達したのに対して、正常CLA+上清中での最大検出レベルは400pg/mlしかなく、乾癬患者の最大検出レベルは最適濃度以下の抗CD3刺激で73pg/mlであったことが証明されている。11人のAD患者のうち5人が、本発明者らのアッセイ法の検出限界を下回るIL-31レベルを示した。このことは、IL-31が低レベルで産生されるAD患者のサブセットがあり得ることを示唆している。これは、本発明者らの研究集団の疾患状態のばらつきを反映しているのかもしれない。それにもかかわらず、抗CD3による最適以下の刺激の後に、AD患者の半分超のIL-31レベルが乾癬患者および正常個体と比較して高くなる傾向を示した。AD患者の皮膚に局在するCLA+T細胞は、正常個体の皮膚に局在するCLA+T細胞と比較して多いので、本発明者らの研究は、AD皮膚微小環境においてIL-31が活発な可能性が高いことを示唆している。従って、本研究は、より活性化されたIL-31産生CLA+T細胞を有するAD患者の亜集団を示唆しているのかもしれない。実施例10ADマウスモデルにおける抗Il-31抗体に応答したTARCおよびMDCの低下方法I 6週齢雄NC/Ngaマウス(CRL Japan)を、50μg塵埃ダニ抽出物(ヤケヒョウヒダニ, Indoor Biotechnologies)で、週3回、背中において皮内感作させ、AD様病変をスコア付けした。感作5週間後に、マウスを安楽死させ、右耳を切除し、RPMI+2%FBS(GIBCO Invitrogen)を添加した48ウェル培養皿(Corning)のウェルに入れた。プレートを、5%CO2湿度管理インキュベーターに入れた。24時間後に、上清を集め、さらに分析するまで-20℃で凍結した。方法II 12週齢雌NC/Ngaマウス(CRL Japan)を、10μg SEB(Toxin Technology)で、週3回、耳および背中において皮内感作させた。マウスのAD様病変をスコア付けした。感作5週間後に、マウスを安楽死させ、それぞれのマウスの注射した耳から6mm生検パンチを採取し、RPMI+2%FBSを添加した48ウェル培養皿のウェルに入れた。プレートを、5%CO2湿度管理インキュベーターに入れた。24時間後に、上清を集め、さらに分析するまで-20℃で凍結した。 両研究のマウス群を、10mg/kgのラット抗マウスIL-31モノクローナル抗体またはビヒクルを用いて、感作1〜2週間後に開始して週2回、腹腔内に処置した。 24時間上清試料中のTARCおよびMDCの濃度を従来のELISA(R&D Systems)によって測定した。 両研究において、抗IL-31処置マウスからの耳上清中のTARCおよびMDCの濃度は対照マウスと比較して低かった。しかしながら、これらの結果は、ANOVA分析を行った時には、恐らく、試料サイズが小さかったために、統計的に有意でなかった。両実験からのデータを組み合わせ、分析すると、処置群間で統計的に有意な差がある。 皮膚障害に罹患している患者を治療する方法であって、以下の工程を含む方法: 治療的有効量の抗IL-31RA抗体またはフラグメントを患者に投与する工程であって、抗IL-31RA抗体またはフラグメントは、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519もしくはその一部、またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532もしくはその一部と結合し、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応、中毒性表皮壊死症、皮膚T細胞リンパ腫、水疱性類天疱瘡、円形脱毛症、白斑、酒さ性ざ瘡、結節性痒疹、硬皮症、および単純ヘルペスウイルスからなる群より選択される皮膚障害の状態もしくは症状の少なくとも1つを予防する、その進行を阻止する、その発症を遅らせる、その重篤度を軽減させる、および/または抑止する、工程。 抗IL-31RA抗体がポリクローナル抗体である、請求項1記載の方法。 抗IL-31RA抗体が中和モノクローナル抗体である、請求項1記載の方法。 請求項3記載のモノクローナル抗体を産生するハイブリドーマ。 抗体フラグメントがFabフラグメントである、請求項1記載の方法。 抗体フラグメントがFab'フラグメントである、請求項1記載の方法。 抗体フラグメントがF(ab')2フラグメントである、請求項1記載の方法。 抗体フラグメントが単鎖Fvである、請求項1記載の方法。 抗IL-31RA抗体またはフラグメントが、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜277またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜240と結合する、請求項1記載の方法。 抗IL-31RA抗体またはフラグメントが、SEQ ID NO: 6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約4〜10個のアミノ酸残基と結合する、請求項1記載の方法。 抗IL-31RA抗体またはフラグメントが、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約10〜14個のアミノ酸残基と結合する、請求項1記載の方法。 抗IL-31RA抗体またはフラグメントが、SEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜532のうちの約14〜30個のアミノ酸残基と結合する、請求項1記載の方法。 フラグメントがさらにポリエチレングリコールとコンジュゲートしている、請求項1記載の方法。 フラグメントがさらにヒト血清アルブミンとコンジュゲートしている、請求項1記載の方法。 皮膚障害に罹患している患者を治療する方法であって、以下の工程を含む方法: 治療的有効量の可溶性IL-31RA受容体を患者に投与する工程であって、可溶性IL-31RA受容体は、SEQ ED NO:2のアミノ酸残基1〜164からなるIL-31ポリペプチドと結合し、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応、中毒性表皮壊死症、皮膚T細胞リンパ腫、水疱性類天疱瘡、円形脱毛症、白斑、酒さ性ざ瘡、結節性痒疹、硬皮症、および単純ヘルペスウイルスからなる群より選択される皮膚障害の状態もしくは症状の少なくとも1つを予防する、その進行を阻止する、その発症を遅らせる、その重篤度を軽減させる、および/または抑止する、工程。 可溶性IL-31RA受容体がSEQ ID NO:6のアミノ酸残基20〜519またはSEQ ID NO:8のアミノ酸残基33〜240を含む、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体がSEQ ID NO:10のアミノ酸残基1〜324を含む、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体がSEQ ID NO:12のアミノ酸残基1〜239を含む、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体がさらにIgG、IgA、IgD、IgM、またはIgEのFc領域とコンジュゲートしている、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体がIL-31RAホモ二量体である、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体がIL-31RA/OSMRβヘテロ二量体である、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体が、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基24〜164からなるIL-31ポリペプチドと結合する、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体が、SEQ ID NO:2のアミノ酸残基27〜164からなるIL-31ポリペプチドと結合する、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体がさらにポリエチレングリコールとコンジュゲートしている、請求項15記載の方法。 可溶性IL-31RA受容体がさらにヒト血清アルブミンとコンジュゲートしている、請求項15記載の方法。 本発明は、接触性皮膚炎、薬物誘導性遅延型皮膚アレルギー反応、中毒性表皮壊死症、皮膚T細胞リンパ腫、水疱性類天疱瘡、円形脱毛症、白斑、酒さ性ざ瘡、結節性痒疹、硬皮症、単純ヘルペスウイルス、またはその組み合わせに罹患している患者を、IL-31RAアンタゴニストを投与することによって治療する方法に関する。配列表