タイトル: | 特許公報(B2)_アルキルレゾルシノール配糖体とその製造方法並びに用途 |
出願番号: | 2007552917 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | A61K 8/60,C07H 15/203,A61K 31/7032,A61P 17/00,A61P 17/16,A61Q 19/02 |
渋谷 孝 野口 綾志 高山 悟 末本 保雄 竹内 誠人 中野 真之 JP 5244400 特許公報(B2) 20130412 2007552917 20061222 アルキルレゾルシノール配糖体とその製造方法並びに用途 株式会社林原 397077760 須磨 光夫 100108486 渋谷 孝 野口 綾志 高山 悟 末本 保雄 竹内 誠人 中野 真之 JP 2005373040 20051226 20130724 A61K 8/60 20060101AFI20130704BHJP C07H 15/203 20060101ALI20130704BHJP A61K 31/7032 20060101ALI20130704BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130704BHJP A61P 17/16 20060101ALI20130704BHJP A61Q 19/02 20060101ALI20130704BHJP JPA61K8/60C07H15/203A61K31/7032A61P17/00A61P17/16A61Q19/02 A61K 8/60 A61K 31/7032 A61P 17/00 A61P 17/16 A61Q 19/02 C07H 15/203 CA/REGISTRY(STN) 特開平09−241128(JP,A) 特開2002−193990(JP,A) 特開平11−152203(JP,A) 特開2001−206813(JP,A) 特開2006−124357(JP,A) 1 JP2006325658 20061222 WO2007077770 20070712 34 20091214 植原 克典 本発明は、新規4−アルキルレゾルシノール配糖体と、その製造方法、並びに用途に関し、更に詳細には、4−アルキルレゾルシノール又はその誘導体(配糖体を除く、以下本明細書では4−アルキルレゾルシノールとその誘導体(配糖体を除く)を併せて「4−アルキルレゾルシノール類」という場合がある。)に、グリコシル基が1個又は2個結合している4−アルキルレゾルシノール配糖体、及び、その製造方法、並びに、この4−アルキルレゾルシノール配糖体を含有せしめた組成物に関する。 4−アルキルレゾルシノール類は、皮膚色素沈着症の予防や改善(特開2001−206813号公報)、美白(特開2002−179516号公報)、掻痒抑制(特開2001−302506号公報)等に有効で、皮膚外用組成物の成分として利用できることや、にきびの発生や悪化に関与する細菌に対して抗菌作用を有することから、にきび抑制化粧品の成分として利用できること(特許第2875374号公報)も知られており、その利用範囲は極めて広く、4−n−ブチルレゾルシノールは、既に医薬部外品の有効成分として皮膚外用剤に使用されている。 しかし、4−アルキルレゾルシノール類は、一般に水に対する溶解度が低く扱いにくい上に、溶解後の安定性が悪く、さらに、刺激性がある等、数々の問題点があり、4−アルキルレゾルシノール類を医薬品、医薬部外品、化粧料などとして使用する際に不都合であり、これらを安定化、水溶化及び低刺激化された誘導体で用いる方法の開発が望まれている。 また、アルキルレゾルシノールの経皮吸収性を改善する目的で、4位のアルキル基を変換する試みがなされ、4−シクロペンチルレゾルシノール、4−シクロヘキシルレゾルシノール(例えば、特表2005−527534号公報、特表2005−526093号公報、特開平11−152203号公報を参照)等の環状アルキル基を有するレゾルシノール誘導体、4−(1−メチルプロピル)レゾルシノール、4−(1−メチルブチル)レゾルシノールなどの分岐アルキル基を有するレゾルシノール誘導体が開発されている(例えば、特開2006−124358号公報、特開2006−124357号公報を参照)。これらの化合物は、メラニン産生抑制作用が低くなるものの、経皮吸収性が向上し、有用な有効成分と期待されたが、安定性が、直鎖アルキル基のものに比して、損なわれ、この安定性を確保する技術の開発が望まれていた。 さらに、レゾルシノールの水溶性を向上するために、特公平7−36759号公報及び特開2001−46096号公報には、糖転移酵素を利用した配糖体の製造方法が提案されており、特開2002−179516号公報にはアルキルレゾルシノールの誘導体を含有する美白用組成物が記載されている。しかしながら、未だこれらのアルキルレゾルシノール類を利用する際の障害となっている欠点を解決する有効な手段の開発はなされておらず、上記した特許文献には、何れもアルキルレゾルシノール配糖体に関する記載は認められない。 なお、4−アルキルレゾルシノールの配糖体及び/又はそのアシル化体の製造原料である、4−アルキルレゾルシノールについては、その製造は既に知られている(例えば、特開平2−49715号公報、Lille,J.; Bitter, L. A.; Peiner, V. Trudy−Nauchono−Issledovatel’ skii Institut Slantsev (1969), No.18, 127−34を参照)。フェノール性物質の配糖化の方法については、例えば、CGTase(シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼ)[EC 2.4.1.19]、α−アミラーゼ[EC 3.2.1.1]、β−アミラーゼ[EC 3.2.1.2]、グルコアミラーゼ[EC 3.2.1.3]、α−グルコシダーゼ[EC 3.2.1.20]、β−ガラクトシダーゼ[EC 3.2.1.23]等の細菌類の酵素を利用した糖転移反応が知られている(例えば、特開2004−115392号公報、特開2001−238673号公報を参照)。 本発明は、アルキルレゾルシノール類の欠点を解消し、水溶性及び安定性に優れ、実質的に無味、無臭で、刺激性もなく、毒性の懸念もなく、加えて、生体内で生理活性を充分発揮しうるアルキルレゾルシノール誘導体を提供することを課題とする。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、アルキルレゾルシノール類に対して、グリコシル基が1個又は2個α−結合したアルキルレゾルシノール類の配糖体(以下総称して、「アルキルレゾルシノール配糖体」という場合がある。)が、水溶性、安定性に優れ、実質的に無味、無臭で、刺激性も少なく、毒性の懸念もなく、生体内で容易に加水分解され、アルキルレゾルシノール類本来の生理活性を発揮することを見出した。また、有機合成法、又は、酵素法、なかでも、糖転移酵素を使用した酵素法により、大量安価にアルキルレゾルシノール配糖体を製造する方法を見出し、さらに、このアルキルレゾルシノール配糖体を含有せしめた組成物を確立して、本発明を完成した。 本発明のアルキルレゾルシノール配糖体は、アルキルレゾルシノール類に比して安定で、高い水溶解性を示し、しかも、無臭で、刺激性も少なく、毒性の懸念もなく、生体内で容易に加水分解され、アルキルレゾルシノール類本来の生理活性を発揮する。また、本発明のアルキルレゾルシノール配糖体は、医薬品、医薬部外品、化粧料等の組成物へ高濃度に配合することができ、アルキルレゾルシノール類の持つ美白効果や抗感受性疾患に対する治療効果に優れた組成物を製造することができる。さらに、本発明のアルキルレゾルシノール配糖体の製造方法は、アルキルレゾルシノール類と、とりわけ、安価な澱粉部分分解物とから、大量安価にアルキルレゾルシノール配糖体を製造することができる。本発明の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体のUV吸収スペクトルを示す図である。糖転移酵素を使用した糖転移反応により調製した本発明の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有標品のHPLC(CAPCELLPAK C18 AG120カラム使用)の溶出パターンを示す図である。本発明の反応生成物a(3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)及び応生成物b(1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)のMSスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物a(3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)の1H−NMRスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物a(3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)の13C−NMRスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物a(3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)のH−H COSYスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物a(3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)のC−H COSYスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物b(1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)の1H−NMRスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物b(1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)の13C−NMRスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物b(1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)のH−H COSYスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物b(1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)のC−H COSYスペクトルを示す図である。本発明の反応生成物b(1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)の遠隔C−H COSYスペクトルを示す図である。図12の反応生成物b(1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール)の遠隔C−H COSYスペクトルの一部を拡大した図である。 本発明でいう4−アルキルレゾルシノール配糖体は、下記一般式1に示す4−アルキルレゾルシノール類のR1、R2の何れか一方にグリコシル基が結合した4−アルキルレゾルシノール配糖体であってもよく、また、グリコシル基が、R1及びR2の2箇所に、各々結合した4−アルキルレゾルシノール配糖体であってもよく、これらの配糖体の2種以上の混合物であってもよい。(但し、式中R1、R2はそれぞれ独立に水素原子またはグリコシル基を表し、且つ、R1、R2の少なくとも何れかはグリコシル基であり、R3は炭素数3乃至20の環状構造又は分岐構造を有するアルキル基、或いは、炭素数1乃至20の直鎖構造を有するアルキル基を表す。) 本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体は、そのアルキル基の炭素数が、3乃至20、望ましくは、4乃至18のアルキル基で置換された環状又は分岐構造を有するものであってもよく、1乃至20の非置換の直鎖構造を有するものであってもよい。前記環状構造はアルキル基やアルケニル基の脂肪族に限らず、例えばフェニル基のような芳香族基であっても、レゾルシノールに直接結合する部分がアルキル基である限りに於いては包含する。又、炭素数はこの様な芳香族環状置換基が存する場合には、芳香族置換基の炭素数も含めて数える。この環状又は分岐構造を有するアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−フェニルエチル基、イソオクチル基、アミル基、イソアミル基、イソブチル基、ターシャリーブチル基、1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、1−エチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基、1−イソプロピル−2−メチルプロピル基、1−ジメチル−3−メチルブチル基、1−ブチルペンチル基、1−イソブチル−3−メチルブチル基、イソプロピル基、イソブチル基、イソアミル基、2−メチルヘキシル基又はイソステアリル基などが好適に例示できる。これらの内、好適なものは、環状アルキル基を有するものとしては、毒性の低いシクロプロピル基が好ましく、分岐アルキル基を有するものとしては、効果と毒性のバランスの良い、1−メチルプロピル基乃至は1−メチルブチル基が好ましい。また、本願発明の効果が著しい点では、1−エチルプロピル基乃至は1−イソプロピル−2−メチルプロピル基が、著しい安定性の向上が得られるので好ましい。 また、非置換の直鎖構造を有するアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基及びエイコシル基が挙げられる。これらの内、炭素数が1乃至7のアルキル基を有するものがメラニンの生成抑制作用や抗炎症作用の強さの点から望ましく、ブチル基が特に望ましい。 さらに、本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体には、そのアルキル基の水素原子の1個以上が、メチル基以外の炭化水素基、カルボキシル基やケトン基をはじめとする酸素原子を含む置換基、アミノ基、ニトロ基をはじめとする窒素原子を含む置換基、スルホン基やスルヒド基などの硫黄原子を含む置換基、フッ素基、クロロ基などのハロゲン基等で置換されたものも含まれる。また、これらの4−アルキルレゾルシノール配糖体の中で、光学異性体の存在する場合には、抗菌作用や美白作用等の4−アルキルレゾルシノール類の生理活性を有している限り、その一方であっても、或いは、両者が混在するものであってもよい。 本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体の、アルキルレゾルシノールの2つの水酸基に結合したグリコシル基とは、合成法或いは酵素法などにより、4−アルキルレゾルシノールに結合させることが可能なものであれば、制限はなく、例えば、グルコシル基、ガラクトシル基、フラクトシル基、アラビノシル基、マルトシル基、イソマルトシル基、セルビオシル基、ラフィノシル基、ゲンチオビオシル基、コージビオシル基、ラミナリビオシル基、ニゲロシル基、サンブビオシル基、ネオヘスペリドシル基、セロトリオシル基、グリセロール基又はゲンチオトリオシル基から選ばれる何れか1種又は2種を例示することができる。なかでも、製造の容易さの点からは、グルコシル基や、マルトシル基をはじめとするマルトオリゴシル基が望ましく、グルコシル基が特に望ましい。 本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体の由来や製造方法に制限はなく、有機合成法、発酵法、酵素法などの方法やこれらの方法を適宜組み合わせて製造したものでもよい。具体的には、アシル化糖を過酸化銀触媒の存在下で4−アルキルレゾルシノールと縮合させる有機合成法や、糖転移酵素を利用した酵素法を好ましく例示することができる。なかでも、4−アルキルレゾルシノール類とα−グリコシル化合物とを含む系に、糖転移酵素を作用させる酵素法は、4−アルキルレゾルシノール類と安価な澱粉やその部分加水分解物等から、大量安価に4−アルキルレゾルシノール配糖体を製造できることから、経済性に優れ、工業的に有利に利用できる。 本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体の製造に使用する4−アルキルレゾルシノール類の由来や製造方法に制限はなく、例えば、レゾルシノールと対応するカルボン酸を塩化亜鉛の存在下縮合し、亜鉛アマルガム/塩酸で還元する方法、レゾルシノールと対応するアルコールとを200乃至400℃の高温下で縮合させる方法(例えば、Lille,J.; Bitter, L. A.; Peiner, V. Trudy−Nauchono−Issledovatel’ skii Institut Slantsev (1969), No.18, 127−34を参照)、飽和カルボン酸とレゾルシノールとをアルミナ触媒を使用して200℃乃至400℃の高温下で反応させて得る方法(例えば、英国特許第1,581,428号明細書参照)等によって容易に得ることができるし、市販品を使用してもよい。 4−アルキルレゾルシノール類の製造方法について、さらに、具体的に説明すると、例えば、イソオクチル基やイソステアリル基を導入するのであれば、レゾルシノールとイソオクタン酸或いはイソステアリン酸を塩化亜鉛の存在下で縮合すればよいし、シクロペンチルアルコール、シクロヘキシルアルコール、フェネチルアルコール、2−エチルヘキサノール、イソアミルアルコール、アミルアルコール、イソブチルアルコール、ターシャリーブチルアルコールをレゾルシノールと200乃至300℃で縮合させれば、4−シクロペンチルレゾルシノール、4−シクロヘキシルレゾルシノール、4−イソオクチルレゾルシノール、4−アミルレゾルシノール、4−イソアミルレゾルシノール、4−イソブチルレゾルシノール、4−ターシャリーブチルレゾルシノール等が得られる。更に、1位にメチル基を有するアルキル基を導入する場合には、特開2006−124358号公報、特開2006−124357号公報に記載の方法に従えば良く、アセトフェノンにプロピルクロリドやブチルクロリドから誘導したグリニャール試薬を反応させれば、4−(1−メチルプロピル)レゾルシノール、4−(1−メチルブチル)レゾルシノール、4−イソステアリルレゾルシノールが得られる。同様に、1位にエチル基を導入する場合には、2´,4´−ジヒドロキシプロピオフェノンを出発物質とし、残存した水酸基を、パラジウムを触媒として接触還元すれば、所望の誘導体が得られる。この方法についても特開2006−124357号公報に記載されている。他の1位に分岐を有するアルキル基の導入も、4−イソブチリルレゾルシノール等を出発物質としてグリニャール反応、必要に応じてパラジウムを触媒とする接触還元反応を行うことにより得ることができる。斯くして得られた4−アルキルレゾルシノールは、4−n−ブチルレゾルシノールなどの直鎖アルキル置換レゾルシノールに比して、保存における安定性が低い傾向にある。その一例を下記に示す。<参考例> 4位水素原子をアルキル基で置換したレゾルシノール誘導体の水溶液の安定性を比較した。即ち、各種4−アルキルレゾルシノールの0.5%水溶液を作製し、40℃で1ヶ月間保存し、HPLCにて4−アルキルレゾルシノールの定量を行った結果を表1に示す。HPLCの条件は、カラム:ODS 4.6mm×150mm、カラム温度:40℃、検出:紫外部230nmの吸収、移動相:25%アセトニトリル−15mMテトラブチルアンモニウムブロミド加15mMリン酸緩衝液(pH6.5)、流速:1ml/分であった。保存後の定量値を、製造直後の定量値で除し、100を乗じた値を残存率として求めた。 表1から明らかなように、アルキル基として分岐アルキル基や環状アルキル基を採用すると、安定性が低くなることが判明した。 本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体の酵素法による製造方法について、具体的に説明すると、配糖体の製造に用いる糖転移酵素は、4−アルキルレゾルシノール類とグリコシル化合物とを含有する溶液に作用させる時、4−アルキルレゾルシノール配糖体を生成するものであれば特に制限はない。作用効果の点からは、α−結合により配糖体を生成する酵素が望ましい。 具体的には、例えば、α−グルコシダーゼは、ブタの肝臓、ソバの種子などの動植物組織由来の酵素、または、ムコール(Mucor)属、ペニシリウム(Penicillium)属等に属するカビ、またはサッカロミセス(Saccharomyces)属などに属する酵母などの微生物を栄養培地で培養し得られる培養物由来の酵素が、シクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼは、バチルス(Bacillus)属、クレブシーラ(Klebsiella)属等に属する細菌培養物由来の酵素が、α−アミラーゼは、バチルス属などに属する細菌、または、アスペルギルス(Aspergillus)属などに属するカビ培養物由来の酵素等、糖転移活性を有する公知の酵素を適宜選択することができる。これらの糖転移酵素は、必ずしも精製して使用する必要はなく、通常は、これら微生物の培養液、その濃縮液や塩析物などの粗酵素で本発明の目的を達成することができる。 これらの酵素は、必要に応じて、公知の各種方法で精製して使用してもよいし、担体に固定化して使用してもよい。また、市販の糖転移酵素を利用することもできる。通常は、経済性の点から約5乃至80時間で反応を終了するように酵素量が選ばれる。また、固定化酵素を使用する場合には、バッチ式或いは連続式で酵素反応を行う方法を適宜選択できる。 本発明に用いるグリコシル化合物としては、糖転移酵素を使用して4−アルキルレゾルシノール配糖体を製造する際、当該酵素の基質となるものであればよく、例えば、アミロース、デキストリン、シクロデキストリン、マルトオリゴ糖等の澱粉部分加水分解物、更には、液化澱粉、糊化澱粉等のα−グルコシル化合物を好適に例示することができる。 4−アルキルレゾルシノール配糖体の生成を容易にするためには、使用する糖転移酵素の違いにより、各々の酵素に好適なグリコシル化合物を選択すればよい。 糖転移反応を行う際の反応液中のグリコシル化合物の濃度に特に制限はないが、通常は、0.1質量%以上(以下、本明細書では特に断らない限り質量%を「%」と表記する。)が用いられ、0.1%乃至70%が望ましく、0.1%乃至50%の溶液が特に望ましい。 また、反応時の4−アルキルレゾルシノール類含有液は、4−アルキルレゾルシノール類をできるだけ高濃度に含有するものが望ましく、例えば、4−アルキルレゾルシノール類を、懸濁状で、または、高温で溶解させた、もしくはpH7.0を越えるアルカリ側pHで溶解させた溶液状で、4−アルキルレゾルシノール類を高濃度に含有する溶液が適しており、通常は、4−アルキルレゾルシノール類の濃度が約0.005%以上のものが用いられ、約0.01%乃至10.0%の溶液が特に望ましい。 本発明の反応方法は、4−アルキルレゾルシノール類の仕込み濃度を高めた状態で、糖転移酵素を作用させるのが望ましい。例えば、4−アルキルレゾルシノール類を懸濁状で反応せしめる場合には、約0.1%乃至2.0%の懸濁状4−アルキルレゾルシノール類と適量のグリコシル化合物とを含有する4−アルキルレゾルシノール類高含有液を、pH約4.0乃至7.0とし、糖転移酵素が作用しうるできるだけ高温、具体的には、約20℃乃至90℃に維持し、これに糖転移酵素を作用させると、4−アルキルレゾルシノール類が4−アルキルレゾルシノール配糖体に変換するにつれて懸濁状4−アルキルレゾルシノール類が徐々に溶解し、同時に、4−アルキルレゾルシノール配糖体が容易に高濃度で生成する。 また、例えば、pH7.0を越えるアルカリ側でアルキルレゾルシノール類を配糖化する場合には、pH約7.5乃至10.0の水に約0.2%乃至5.0%のアルキルレゾルシノール類を加熱溶解し、これに適量のα−グリコシル化合物を溶解して得られるアルキルレゾルシノール類高含有液を、糖転移酵素の作用しうるできるだけ高pH、高温、具体的には、pH約7.5乃至10.0、温度約20℃乃至90℃に維持し、これに糖転移酵素を作用させるとアルキルレゾルシノール配糖体を容易に、高濃度に生成する。この際、アルカリ性溶液中のアルキルレゾルシノール類は、分解を起しやすいので、これを防ぐため、できるだけ遮光、嫌気下に維持するのが望ましい。必要ならば、L−アスコルビン酸、エリソルビン酸などの酸化防止剤を共存させてもよい。 また、例えば、約0.5%乃至10.0%のアルキルレゾルシノール類と適量のα−グリコシル化合物とを含有するアルキルレゾルシノール類高含有液をpH約7.5乃至10.0、温度約50℃乃至80℃に維持し、これに糖転移酵素を作用させると、アルキルレゾルシノール配糖体を容易に、高濃度で生成する。 また、アルキルレゾルシノール類として、例えば、約0.1規定乃至1.0規定のカセイソーダ水溶液、カセイカリ水溶液、炭酸ソーダ水溶液、水酸化カルシウム水、アンモニア水などの強アルカリ性水溶液に、約0.5%乃至10.0%の高濃度に溶解させたものを用い、これに塩酸、硫酸などの酸性水溶液を加えて、酵素が作用し得るpH、望ましくはpH7.0を越えるpHに調整するとともに、α−グリコシル化合物を加え、直ちに、糖転移酵素を作用させることは、アルキルレゾルシノール配糖体を容易に高濃度に生成させることができるので、極めて好都合である。 この際、高濃度に溶解させたアルキルレゾルシノール類溶液も、酸性水溶液でpHを調整するとアルキルレゾルシノール類が析出を起し易いので、そのpH調整前に、α−グリコシル化合物や少量のアルキルレゾルシノール配糖体などを共存させて、アルキルレゾルシノール類の析出を抑制しつつ糖転移反応を開始することも有利に実施できる。 また、更に必要ならば、反応前のアルキルレゾルシノール類の溶解度を高め、アルキルレゾルシノール類への糖転移反応を容易にするために、アルキルレゾルシノール類高含有液に水と互いに溶解しうる有機溶媒、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、アセトニトリルアセトンなどの低級アルコール、低級ケトンなどを共存させることも、適宜選択できる。 また、糖転移反応により生成せしめた比較的高分子のアルキルレゾルシノール配糖体は、必要により、そのままで、または、多孔性合成吸着樹脂により精製した後、グルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3)、またはβ−アミラーゼ(EC 3.2.1.2)などのアミラーゼによって部分加水分解し、α−グリコシルアルキルレゾルシノール類のα−グルコシル基の数を低減させることができる。例えば、グルコアミラーゼを作用させる場合には、α−マルトシル−4−アルキルレゾルシノール類以上の高分子物を加水分解し、グルコースを生成するとともにα−グルコシル−4−アルキルレゾルシノール類を蓄積生成させることができ、また、β−アミラーゼを作用させる場合には、α−マルトトリオシル−4−アルキルレゾルシノール類以上の高分子物を加水分解し、マルトースを生成するとともに、主にα−グルコシル−4−アルキルレゾルシノール類とα−マルトシル−4−アルキルレゾルシノール類との混合物を、蓄積生成させることができる。 本発明の酵素法による配糖体の製造方法により得ることのできる4−アルキルレゾルシノール配糖体は、4−アルキルレゾルシノールの水酸基へのグルコシル基の結合様式の異なる、1位又は3位の水酸基の何れかにグリコシル基が導入されたものと、1位及び3位の両方にグリコシル基が導入されたものの3種類が得られる。この場合、個々のグリコシル基を構成する単糖類の個数に特に制限はないが、製造のしやすさや取り扱いやすさの点からは、通常単糖が1個乃至6個のものが望ましく、1個及び/又2個のものが望ましく、1個のものが特に望ましい。本発明の製造方法で得られた反応溶液は、そのままで、部分精製して、高度に精製して、さらには、この3種類の配糖体を個々に分画して、分画したものを混合して、これらを、常法により、濾過、濃縮したシラップや、乾燥、粉末化して、本発明の皮膚外用組成物に配合することも随意である。 これらの4−アルキルレゾルシノール配糖体の精製方法は、4−アルキルレゾルシノール配糖体の純度をあげることができる方法であれば、特に制限はないが、通常は、多孔性合成吸着剤による吸着性の差を利用して4−アルキルレゾルシノール配糖体とα−グリコシル化合物などの夾雑物とを分離して精製すればよい。この場合、配糖化されていない4−アルキルレゾルシノール類は、それ自体にも生理活性があるので、必ずしも除去する必要はないが、水溶性向上等の点からは、できるだけ4−アルキルレゾルシノール配糖体の純度をあげることが望ましい。 本発明でいう多孔性合成吸着剤とは、多孔性で広い吸着表面積を有し、かつ非イオン性のスチレン−ジビニルベンゼン重合体、フェノール−ホルマリン樹脂、アクリレート樹脂、メタアクリレート樹脂などの合成樹脂であり、例えば、市販されているRohm & Haas社製造の商品名アンバーライトXAD−1、アンバーライトXAD−2、アンバーライトXAD−4、アンバーライトXAD−7、アンバーライトXAD−8、アンバーライトXAD−11、アンバーライトXAD−12、三菱化成工業株式会社製造の商品名ダイヤイオンHP−10、ダイヤイオンHP−20、ダイヤイオンHP−30、ダイヤイオンHP−40、ダイヤイオンHP−50、IMACTI社製造の商品名イマクティSyn−42、イマクティSyn−44、イマクティSyn−46などがある。 本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体を生成せしめた反応液を、例えば、上記のような多孔性合成吸着剤を充填したカラムに通液すると、4−アルキルレゾルシノール配糖体及び比較的少量の未反応4−アルキルレゾルシノール類が多孔性合成吸着剤に吸着するのに対し、多量に共存するグリコシル化合物の大部分は吸着されることなく、そのまま流出する。 必要ならば、糖転移酵素の反応終了後、多孔性合成吸着剤に接触させるまでの間に、例えば、反応液を加熱して生じる不溶物を濾過して除去したり、ケイ酸アルミン酸マグネシウム、アルミン酸マグネシウムなどで処理して反応液中の蛋白性物質などを吸着除去したり、強酸性イオン交換樹脂(H型)、中塩基性または弱塩基性イオン交換樹脂(OH型)などで処理して脱塩するなどの精製方法を組み合せて、利用することも随意である。 前述のようにして、多孔性合成吸着剤カラムに選択的に吸着した4−アルキルレゾルシノール配糖体と比較的少量の未反応4−アルキルレゾルシノール類とは、希アルカリ、水などで洗浄した後、比較的少量の有機溶媒または有機溶媒と水との混合液、例えば、メタノール水、エタノール水などを通液すれば、まず、4−アルキルレゾルシノール配糖体が溶出し、通液量を増すか有機溶媒濃度を高めるかすれば未反応4−アルキルレゾルシノール類が溶出してくる。 この有機溶媒による4−アルキルレゾルシノール配糖体及び未反応4−アルキルレゾルシノール類の溶出操作は、同時に、多孔性合成吸着剤の再生操作にもなるので、この多孔性合成吸着剤の繰り返し使用を可能にする。 この4−アルキルレゾルシノール配糖体高含有溶出液を蒸留処理して、まず有機溶媒を溜去した後、適当な濃度にまで濃縮すれば4−アルキルレゾルシノール配糖体を主成分とするシラップ状製品が得られる。更に、これを凍結乾燥や噴霧乾燥などの方法で乾燥し粉末化することによって、4−アルキルレゾルシノール配糖体を主成分とする粉末状製品が得られる。 また、本発明の多孔性合成吸着剤による精製は、グリコシル化合物だけでなく、酵素反応液に含まれる水溶性の塩類等の夾雑物も同時に除去できる特長を有している。 上記のごとく、合成法或いは酵素法などにより得られた、4−アルキルレゾルシノール配糖体は、何れも、4−アルキルレゾルシノール類自身に比して水溶性が高く、安定で、且つ、それ自身の持つ生理活性を維持しているので、抗菌性や美白効果にも優れている。この生理活性の発現は、4−アルキルレゾルシノールの配糖体が、皮膚表面或いは皮膚内に於いて、配糖体が4−アルキルレゾルシノール類と糖とに分解されて、4−アルキルレゾルシノールの機能が発揮されると考えられる。4−アルキルレゾルシノールの水酸基へのグリコシル基の結合様式の間異なる3種類の4−アルキルレゾルシノール配糖体の混合物は、そのままで、個々に単離して、或いは、個々に単離したものを組み合わせて本発明の組成物を製造することができる。好ましいものは1位の水酸基のみ配糖化されたものである。また、これらの4−アルキルレゾルシノール配糖体は、アルカリで処理し、塩と為して、塩として、組成物に含有せしめることもできる。好ましい塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩、トリエチルアミン塩等の有機アミン塩類、リジン塩、アルギニン塩等の塩基性アミノ酸塩等が好ましく例示できる。 なお、本明細書において、「美白」の用語は、肌を白くする積極的効果のみならず、肌の黒化を抑制する予防的効果も含む意味で用いるものとする。例えば、シミ、ソバカス等の色素沈着を改善する効果のみならず、色素沈着を抑制する効果を含むものとする。 本発明の組成物における4−アルキルレゾルシノール配糖体或いはその塩類の配合量は、4−アルキルレゾルシノール配糖体のもつ抗菌、美白、抗酸化等の生理機能が発揮される量であれば、制限はなく、通常、0.001%乃至10%で使用され、0.05%乃至5%が好ましく、0.1%乃至2%がより好ましく、0.05乃至1%が特に望ましい。かかる範囲であれば、4−アルキルレゾルシノール配糖体を容易に配合することができ、且つ優れた効果、特に美白や抗酸化効果を奏する。0.001%未満では4−アルキルレゾルシノール配糖体の生理機能が発揮されず、10%を越えると、効果が頭打ちとなる場合や配合処方により澱や着色の発生、使用感の低下などの物性的な問題が発生する場合がある。 本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体を配合した組成物とは、医薬品、医薬部外品、化粧料、雑貨などをいう。なかでも、4−アルキルレゾルシノール配糖体は優れた抗菌作用、美白作用、抗酸化作用などを有することから、美白などを目的とした皮膚外用組成物に有利に配合することができる。これらの内では、化粧料、取り分け、医薬部外品に適用することが好ましい。医薬部外品に於いては、その薬効と使用上の注意と医薬部外品である旨とを表示し、その使用態様を明確にしておくことが、安全に、且つ、効果をより効率的に奏するために好ましい。この様な、薬効としては、当該皮膚外用剤に配合される有効成分の特性に従って定めれば良く、例えば、アスコルビン酸類、アルブチン、トラネキサム酸類を含有せしめた場合にはメラニン産生抑制効果に基づく美白作用を、グリチルリチン酸ジカリウムやグリチルレチン酸ステアリルエステルなどのグリチルレチン酸類を含有させた場合には、抗炎症作用を表示することが好ましい。また、この皮膚外用剤の必須成分である、4−アルキルレゾルシノール配糖体は、メラニン産生抑制作用に基づく美白作用や、抗炎症作用を有しているため、かかる化合物を有効成分としてメラニン産生抑制作用に基づく美白作用や、抗炎症作用を表示することも可能である。 これらの組成物には、必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、通常、化粧料や医薬部外品、医薬品等の製剤に使用される成分、すなわち、水(精製水、温泉水、海洋深層水など)、アルコール類、油剤、界面活性剤、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、水溶性高分子、糖質、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、抗菌剤、防腐剤、香料、色素、消臭剤、塩類、pH調整剤、清涼剤、動物や微生物由来の抽出物、植物抽出物、血行促進剤、抗炎症剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類、ビタミン類、ミネラル類等を加えることができる。その具体例としては、例えば、以下のような成分を挙げることができる。 アルコールは、溶解、清涼感、防腐、保湿等の目的で用いられる。アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール等の低級アルコール、及びグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ポリエチレングリコール、イソペンチルジオール等の多価アルコール、ソルビトール、マルチトール、マルトトリイトール、マルトテトライトール、マルトペンタイトール等の糖アルコールを挙げることができる。 油剤は、基材の構成成分として、使用性もしくは使用感を改善する目的等で用いられる。通常の化粧料に使用されるものであればいずれも使用することができ、天然系油であるか、合成油であるか等の由来について、又は、固体、半固体、液体であるか等の性状については問わない。油剤としては炭化水素類、ロウ類、脂肪酸類、高級アルコール類、エステル油、シリコーン油類、フッ素系油類等を使用することができる。より具体的には、トリ−2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット等の合成エステル油、トウモロコシ油、オリーブ油、ナタネ油、綿実油、ヤシ油、パーム油、液状ラノリン、硬化ヤシ油、硬化油、モクロウ、硬化ヒマシ油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油、杏仁油、パーシック油、サフラワー油、ヒマワリ油、アボガド油、メドゥホーム油、ツバキ油、アーモンド油、エゴマ油、ゴマ油、ボラージ油、シア脂等の植物や動物由来の油脂;ミツロウ、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、イボタロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬質ラノリン、ホホバロウ、ゲイロウ等のワックス類;プリスタン、オゾケライト、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス等の炭化水素類;オレイン酸、イソステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸等の高級脂肪酸類;セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクチルドデカノール、ミリスチルアルコール、セトステアリルアルコール等の高級アルコール等;イソオクタン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジ−2−エチルヘキシル、乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸グリセリン、トリ−2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタンエリトリット等の合成エステル油類;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等の鎖状ポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサンシロキサン等の環状ポリシロキサン;アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等の変性ポリシロキサン等のシリコーン油等の油剤類;脂肪酸セッケン(ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等)、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル等のアニオン界面活性剤類;塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン界面活性剤類;イミダゾリン系両性界面活性剤(2−ココイル−2−イミダゾリニウムヒドロキサイド−1−カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等)、ベタイン系界面活性剤(アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)、アシルメチルタウリン等の両性界面活性剤類;ソルビタン脂肪酸エステル類(ソルビタンモノステアレート、セスキオレイン酸ソルビタン等)、グリセリン脂肪酸類(モノステアリン酸グリセリン等)、プロピレングリコール脂肪酸エステル類(モノステアリン酸プロピレングリコール等)、硬化ヒマシ油誘導体、グリセリンアルキルエーテル、POEソルビタン脂肪酸エステル類(POEソルビタンモノオレエート、モノステアリン酸ポリオキエチレンソルビタン等)、POEソルビット脂肪酸エステル類(POE−ソルビットモノラウレート等)、POEグリセリン脂肪酸エステル類(POE−グリセリンモノイソステアレート等)、POE脂肪酸エステル類(ポリエチレングリコールモノオレート、POEジステアレート等)、POEアルキルエーテル類(POE2−オクチルドデシルエーテル等)、POEアルキルフェニルエーテル類(POEノニルフェニルエーテル等)、プルロニック型類、POE・POPアルキルエーテル類(POE・POP2−デシルテトラデシルエーテル等)、テトロニック類、POEヒマシ油・硬化ヒマシ油誘導体(POEヒマシ油、POE硬化ヒマシ油等)、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等の非イオン界面活性剤類;ポリエチレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、エリスリトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセリン、イソプレングリコール、1,2−ペンタンジオール、2,4−ヘキサンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール等の多価アルコール類;ピロリドンカルボン酸ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム等の保湿成分類;表面を処理されていても良い、マイカ、タルク、カオリン、合成雲母、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水ケイ酸(シリカ)、酸化アルミニウム、硫酸バリウム等の粉体類、;表面を処理されていても良い、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化コバルト、群青、紺青、酸化チタン、酸化亜鉛の無機顔料類;表面を処理されていても良い、雲母チタン、魚燐箔、オキシ塩化ビスマス等のパール剤類;レーキ化されていても良い赤色202号、赤色228号、赤色226号、黄色4号、青色404号、黄色5号、赤色505号、赤色230号、赤色223号、橙色201号、赤色213号、黄色204号、黄色203号、青色1号、緑色201号、紫色201号、赤色204号等の有機色素類;ポリエチレン末、ポリメタクリル酸メチル、ナイロン粉末、オルガノポリシロキサンエラストマー等の有機粉体類;ビタミンA又はその誘導体、ビタミンB6塩酸塩、ビタミンB6トリパルミテート、ビタミンB6ジオクタノエート、ビタミンB2又はその誘導体、ビタミンB12、ビタミンB15又はその誘導体等のビタミンB類;α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン、ピロロキノリンキノン、ビタミンP類等のビタミン類やこれらの誘導体等などが好ましく例示できる。 使用可能な紫外線防御剤としては、パラアミノ安息香酸系紫外線吸収剤、アントラニル酸系紫外線吸収剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、桂皮酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、糖系紫外線吸収剤を挙げることができる。より具体的には、パラアミノ安息香酸及びそのエステル、サリチル酸オクチル、サリチル酸ホモメンチル、2,5−ジイソプロピルケイ皮酸メチル、シノキサート、ジパラメトキシケイ皮酸モノ−2−エチルヘキサン酸グリセリル、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、1−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,4−ジメチル−1,3−ペンタンジオン、ジメチコジエチルベンゾマロン酸及びそのエステル、ジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリジンプロピオン酸2−エチルヘキシル、テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,4,6−トリス「−(2−エチルヘキシルオキシカルボニル)アニリノ」−1,3,5−トリアジン、トリメトキシケイ皮酸メチルビス(トリメチルシロキシ)シリルイソペンチル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、ジエチルアミノヒドロキシベンゾヘキシル安息香酸エステル、パラメトキシケイ皮酸エステル混合物、パラメチルケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその三水塩、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸ナトリウム、2−(2´−ヒドロキシ−5´−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、4−メトキシ−4´−t−ブチルジベンゾイルメタン、フェニルベンズイミダゾールスルホン酸、4−tert−ブチル−4−メトキシジベンゾイルメタン、2−シアノ−3,3−ジフェニルプロパ−2−エン酸2−エチルヘキシルエステル(オクトクレリン)、4−(2−β−グルコピラノシロキシ)プロポキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、テレフタリリデンジカンフルスルホン酸、フェルラ酸、2,2´−メチレンビス(6−(2Hベンゾトリアゾール−2−イル)−4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェノール、メトリゾールトリシロキサン、酸化チタン、酸化亜鉛等を例示することができる。 水溶性高分子や糖質は、系の安定化のため、又は使用性もしくは使用感を改良するために用いられ、また保湿効果を得るためにも用いられる。使用可能な水溶性高分子としては、プルラン、カラギーナン、ペクチン、寒天、ローカストビーンガム等の植物系高分子、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子、アルギン酸ナトリウム等のアルギン酸系高分子、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子等が含まれる。糖質としては、マルトース、マルトトリオース、マルトテトラオース、トレハロース、トレハロースの糖質誘導体、環状四糖などの環状糖質などを挙げることができる。 防腐剤、抗菌剤としては、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ベンザルコニウム、フェノキシエタノール、イソプロピルメチルフェノール等を挙げることができる。 本発明の4−アルキルレゾルシノール配糖体は、単独で優れた美白効果を有するが、その効果をさらに向上させるために、本発明の組成物には、従来公知の美白剤を併用してもよい。美白剤は日焼け等により生じる皮膚の黒化、色素沈着により生じるシミ、ソバカス等の現象を防止する目的で用いられる。使用可能な他の美白剤としては、アルブチン、リノール酸、5,5´−ジプロピルビスフェニル−2,2´−ジオール、ビタミンC及びこれらの誘導体、ビタミンE及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、トラネキサム酸及びその誘導体、テトラヒドロクルクミノイド、胎盤抽出物、藍抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出物、エイジツ抽出物、オウゴン抽出物、海藻抽出物、クジン抽出物、ケイケットウ抽出物、ゴカヒ抽出物、コメヌカ抽出物、小麦胚芽抽出物、サイシン抽出物、サンザシ抽出物、サンペンズ抽出物、シラユリ抽出物、シャクヤク抽出物、センプクカ抽出物、大豆抽出物、茶抽出物、糖蜜抽出物、ビャクレン抽出物、ブドウ抽出物、ホップ抽出物、マイカイカ抽出物、モッカ抽出物、ユキノシタ抽出物、ヨクイニン抽出物、ロイヤルゼリー抽出物等を挙げることができる。 抗炎症剤は、日焼け後の皮膚のほてりや紅斑等の炎症を抑制する目的で用いられる。抗炎症剤としては、イオウ及びその誘導体、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸及びその誘導体、塩化レポカルチニン、アロエ抽出物、アルテア抽出物、アシタバ抽出物、アルニカ抽出物、藍エキス、インチンコウ抽出物、イラクサ抽出物、オウバク抽出物、オトギリソウ抽出物、カミツレ抽出物、カンゾウ抽出液、キンギンカ抽出物、クレソン抽出物、コンフリー抽出物、サルビア抽出物、シコン抽出物、シソ抽出物、シラカバ抽出物、ゲンチアナ抽出物等を挙げることができる。 細胞賦活剤は、肌荒れの改善等の目的で用いられる。本発明の組成物に使用可能な細胞賦活剤としては、カフェイン、鶏冠抽出物、貝殻抽出物、貝肉抽出物、ローヤルゼリー、シルクプロテイン及びその分解物又はそれらの誘導体、ラクトフェリン又はその分解物、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸等のムコ多糖またはそれらの塩、コラーゲン、酵母抽出物、乳酸菌抽出物、ビフィズス菌抽出物、発酵代謝抽出物、イチョウ抽出物、オオムギ抽出物、センブリ抽出物、タイソウ抽出物、ニンジン抽出物、ローズマリー抽出物、グリコール酸、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸等の有機酸及びそれらの誘導体等を挙げることができる。 活性酸素消去剤は、過酸化脂質生成抑制等の酸化障害抑制等の目的で用いられる。活性酸素除去剤としては、スーパーオキサイドディスムターゼ、マンニトール、クエルセチン、カテキン及びその誘導体、ルチン及びその誘導体、ボタンピ抽出物、ヤシャジツ抽出物、メリッサ抽出物、羅漢果抽出物、レチノールやカロチノイド等のビタミンA類及びその誘導体、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、ニコチン酸等のビタミンB類及びその誘導体、ビタミンC及びその誘導体、ルチン、ヘスペリジン、ナリンジン等のビタミンP類及びその誘導体、トコフェロール等のビタミンE類及びその誘導体、ジブチルヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等を挙げることができる。 保湿剤としては、エラスチン、ケラチン等のタンパク質又はそれらの誘導体、加水分解物並びにそれらの塩、グリシン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アルギニン、テアニン等のアミノ酸及びそれらの誘導体、ソルビトール、エリスリトール、トレハロース及びその誘導体、イノシトール、グルコース、マルトース、蔗糖及びその誘導体、デキストリン、シクロデキストリン、環状四糖及びそれらの誘導体、ハチミツ等の糖類、D−パンテノール及びその誘導体、尿素、リン脂質、セラミド、オウレン抽出物、ショウブ抽出物、ジオウ抽出物、センキュウ抽出物、ゼニアオイ抽出物、タチジャコウソウ抽出物、ドクダミ抽出物、ハマメリス抽出物、ボダイジュ抽出物、マロニエ抽出物、マルメロ抽出物等を挙げることができる。 本発明の皮膚外用組成物の形態としては、特に限定されず、例えば、ローション、エッセンス、乳液、クリーム、化粧水、パック、美容液、洗浄料、メーキャップ化粧品、ヘアケア化粧品、浴用剤、分散液、軟膏、液剤、エアゾール剤、貼布剤、パップ剤、リニメント剤等を挙げることができる。又、使用目的も、疾病の治療や予防の他、基礎的なお肌の手入れやメークアップなどの装いなど、通常皮膚外用剤で知られている用途に応用できる。特に好ましいのは、本発明の効果を存分に生かせる、乳化形態のエッセンス製剤乃至はクリーム製剤である。また、その製造方法に特に制限はなく、常法により製造することができる。 次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。 4−シクロヘキシルレゾルシノールを1.9g秤取り、これにビストリメチルシリルアセタミド2mlをアセトニトリル10mlに溶解させて加え、30分室温で攪拌し、反応させた後、溜去し、これにあらためてアセトニトリル100mlを加え、過酸化銀200mgとペンタアセチルグルコース5gを20mlのアセトニトリルに溶解、分散させて、氷冷下滴下した。滴下後、アイスバスをはずし、室温まで徐々に戻し、しかる後に加熱し、2時間還流させた。室温まで冷却した後、重曹とともに氷上に注ぎ、反応を止め、酢酸エチル500mlで抽出し、100mlの水で2回洗浄し、酢酸エチル相を無水硫酸ナトリウムで乾燥させた後、濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶出溶媒;クロロホルム:メタノール=100:0→90:10→70:30)、4−シクロヘキシル−1−(テトラアセチルグルコシル)レゾルシノールと4−シクロヘキシル−3−(テトラアセチルグルコシル)レゾルシノールと1,3−ビス(テトラアセチルグルコシル)−4−シクロヘキシルレゾルシノールとを得た。これらをそれぞれアンモニア飽和メタノール溶液で5時間処理し、4−シクロヘキシル−1−グルコシルレゾルシノール(化合物1)421mg、4−シクロヘキシル−3−グルコシルレゾルシノール(化合物2)345mg及び1,3−ビスグルコシル−4−シクロヘキシルレゾルシノール(化合物3)95mgを得た。 実施例1と同様に、4−シクロヘキシルレゾルシノールを4−シクロペンチルレゾルシノールに変えて処理し、4−シクロペンチル−1−グルコシルレゾルシノール(化合物4)396mg、4−シクロペンチル−3−グルコシルレゾルシノール(化合物5)223mg及び1,3−ビスグルコシル−4−シクロペンチルレゾルシノール(化合物6)119mgを得た。 実施例1と同様に、4−シクロヘキシルレゾルシノールを4−(2−フェニルエチル)レゾルシノールに変えて処理し、1−グルコシル−4−(2−フェニルエチル)レゾルシノール(化合物7)287mg、3−グルコシル−40(2−フェニルエチル)レゾルシノール(化合物8)181mg及び1,3−ビスグルコシル−4−(2−フェニルエチル)レゾルシノール(化合物9)76mgを得た。 実施例1と同様に、4−シクロヘキシルレゾルシノールを4−(1−メチルプロピル)レゾルシノールに変えて処理し、1−グルコシル−4−(1−メチルプロピル)レゾルシノール(化合物10)321mg、3−グルコシル−40(1−メチルプロピル)レゾルシノール(化合物11)239mg及び1,3−ビスグルコシル−4−(1−メチルプロピルレゾルシノール(化合物12)105mgを得た。 実施例1と同様に、4−シクロヘキシルレゾルシノールを4−(1−エチルプロピル)レゾルシノールに変えて処理し、4−(1−エチルプロピル)−1−グルコシルレゾルシノール(化合物13)291mg、4−(1−エチルプロピル)−3−グルコシルレゾルシノール(化合物14)204mg及び1,3−ビスグルコシル−4−(1−エチルプロピルレゾルシノール(化合物15)83mgを得た。 実施例1と同様に、4−シクロヘキシルレゾルシノールを4−(1−イソプロピル−2−メチルプロピル)レゾルシノールに変えて処理し、1−グルコシル−4−(1−イソプロピル−2−メチルプロピル)レゾルシノール(化合物16)168mg、3−グルコシル−40(1−イソプロピル−2−メチルプロピル)レゾルシノール(化合物17)118mg及び1,3−ビスグルコシル−4−(1−イソプロピル−2−メチルプロピル)レゾルシノール(化合物18)64mgを得た。<試験例1:4−アルキルレゾルシノール配糖体の安定性> 前記参考例と同様に、実施例1乃至6で作製した化合物1乃至18について、安定性を検討した。結果を表2に示す。 表2から明らかなように、配糖体化することにより、安定性が向上したことがわかる。<レゾルシノール配糖体の薬理活性の検討> メラノーマB−16でメラニン産生抑制作用を調べた。即ち、対数増殖期にあるメラノーマB−16細胞をトリプシン処理した後、FBS(ウシ胎仔血清)含有MEM培地に1.5×103個/mlの濃度になるように加え、メラノーマB−16のFBS含有MEM懸濁液を作成した。この懸濁液を5本の培養ボトルに10mlずつ分注し、37℃、5容量%CO2濃度の炭酸ガスインキュベーターに入れて2日間培養した。その後、4本の培養ボトルには、上記4−シクロヘキシルレゾルシノール(コントロール)、化合物1、化合物2及び化合物3をそれぞれ0.001%(最終濃度)になるように、10容量%DMSO・FBS含有MEM培地溶液とともに5mlずつ加えた。残りの1本にはコントロールとして10容量%DMSO・FBS含有MEM培地溶液を5ml加えた。これらのボトルを37℃、5容量%炭酸ガスの条件下2日間培養した。その後、各培養ボトルに15mlのFBS含有MEM培地を加え、更に、上記と同様上記4−シクロヘキシルレゾルシノール、化合物1、化合物2及び化合物3をそれぞれ加え、残る1本にはベヒクルを加えた。これを更に2日間培養した。培養終了後、各ボトルについて、培地を除去し、PBS(燐酸緩衝生理食塩水)で洗浄した後、トリプシン処理をして細胞を培養ボトルから剥離させ、細胞懸濁液とした。この細胞懸濁液を遠心分離にかけ細胞を回収した。得られた細胞の細胞数及びメラニン色素沈着の度合いを見て以下の基準で肉眼観察して、細胞毒性とメラニン産生抑制作用を評価した。結果を表3に示す。[細胞毒性の評価基準]+:コントロールと比較して細胞数がかなり少なく細胞毒性あり。±:コントロールと比較して細胞数が僅かに少ないが、細胞毒性の判定は困難。−:コントロールと比較して細胞数に殆ど差がなく細胞毒性は認められない。[メラニン産生抑制作用]+:コントロールに比較して明らかに白化されており、メラニン産生抑制作用あり。±:コントロールより僅かに白化されており、メラニン産生抑制作用が僅かに認められる。−:コントロールとほぼ同等であり、メラニン産生抑制作用は認められない。 表3から明らかなように、本発明の化合物である配糖体はアグリコンと同様のメラニン産生抑制作用を有することがわかる。また、細胞毒性は配糖体化することにより、低下することがわかる。<4−n−ブチルレゾルシノール配糖体の調製> 英国特許第1,581,428号明細書の実施例1に記載の方法に基づき、4−n−ブチルレゾルシノールを調製した。この4−n−ブチルレゾルシノール4gと、α−シクロデキストリン(以下、「α−CD」と略記する場合がある。)80gを50mM酢酸緩衝液(pH5.5、2mM CaCl2含む)800mLに溶かしたのち、バチルス ステアロサーモフィラス由来のシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所販売)を500単位/g−α−CDを添加し、40℃で24時間反応させた。100℃で10分間加熱して反応を停止させたのち、1M酢酸緩衝液(pH4.5)を80mL加え、グルコアミラーゼ(生化学工業製)を10単位/g−α−CD添加して50℃で20時間反応させた。100℃で10分間加熱して反応を停止した後、多孔性合成吸着剤(三菱化成株式会社販売、商品名「ダイヤイオンHP−20」)を充填したカラム(7cmφ×39cm、1.5L)に供した。このカラムを水で洗浄した後、35%エタノールを通液してカラムに吸着した画分を溶出させた。得られた画分を濃縮乾固し、96%エタノールに懸濁溶解した後不溶の糖質を除去した。上清の溶媒を留去後、ふたたび水に溶解して凍結乾燥を行ない、糖転移酵素による反応生成物(以下、「反応生成物」と略記する場合がある。)を含む粉末標品3.21gを得た。得られた粉末標品の一部を使用して、高速液体クロマトグラフィー(以下、「HPLC」と略記する場合がある。)にかけ、溶出画分の液体クロマトグラム質量分析(以下、「LC/MS」と略記する場合がある。)分析、及び、紫外(以下、「UV」と略記する場合がある)吸収スペクトル分析を行なった。なお、これらの分析は、下記条件で実施した。<HPLC> 装 置:CR−4A及びLCD−10AD(株式会社島津製作所販売) カラム:CAPCELLPAK C18 AG120 4.6mmφ×2 50mm(信和化工株式会社製) 移動相:アセトニトリル/水/酢酸(35:65:0.2) 流 速:0.5mL/min 温 度:40℃<UV> 装 置:SPD−10AVP(株式会社島津製作所販売) 波 長:UV280nm<LC/MS> 装 置:LCQ Advantage(サーモエレクトロン株式会社販) 検出条件: ESI, negative mode,m/z50〜2000 Sheath Gas Flow:40 Ion Spray Voltage:5kV Capillary Temp.:275℃ Capillary Voltage:−7.0V Tube Lens Offset:−10.0V 反応生成物を含む凍結乾燥標品の水溶液は、原料の4−n−ブチルレゾルシノールとほぼ同じ吸収スペクトルを示し(図1)、糖転移酵素よる反応生成物のレゾルシノール骨格部分には、反応前と大きな変化はないと考えられた。また、この標品をHPLCに供したところ、図2に示すように、リテンションタイムが、約7.34分と約9.42分の位置にUV280nmに吸収を有する(レゾルシノール骨格を有する)2種の反応生成物のピークが認められた(以下、「反応生成物a」、「反応生成物b」という。)。これら2つのピーク部分のMS分析では、イオンの質量を電荷で除した値(M/Z)とイオン強度との関係を示す図3から明らかなように、何れも質量が387の酢酸イオン付加分子イオンが検出され、酢酸イオンの分子量は59であることから、2種類の反応生成物の分子量は、何れも328であることが判明した。これらの反応生成物の粉末標品3.21g中にしめる含量は、UV280nmの吸光度によるHPLCの溶出パターンを示すチャートにしめる各反応生成物の溶出ピーク面積の測定及び4−n−ブチルレゾルシノールのUV280nmのモル吸光係数(配糖体の糖質部分は紫外吸収がないので、4−n−ブチルレゾルシノールとその配糖体とは、UV280nmのモル吸光係数とは同一と見なして計算)から、各々0.85g及び1.87gと計算された(表4)。<試験例2:反応生成物の構造決定> 実施例7で調製した反応生成物を含む粉末乾燥標品1gを、アセトニトリル/水/酢酸(=30/70/0.2)の溶液に溶解した後、この溶解に使用した溶液を移動相として用いたD−ODS−5 S5(YMC社販売)カラムクロマトグラフィーにより分画して、2種類の反応生成物a(純度99%以上)及び反応生成物b(純度96.8%)を、それぞれ0.25g及び0.56g得た。これらの反応生成物の一部を使用して、下記の条件でNMR分析を行い、それぞれの構造を決定した。<NMR装置> 装置:JNM−AL300(日本電子株式会販売) 溶媒:D2O 基準物質:トリメチルシリルプロピオン酸ナトリウム−2,2,3,3−d4磁場強度:1H−NMR 300.4MHz 13C−NMR 75.45MHz<NMR解析> 下記に示す反応生成物a及び反応生成物bのNMR分析による化学シフト(図4乃至図13)、及び、ベンゼン環の水素が水酸基(1位、3位)、O−グルコシル基(3位、1位)、及び、n−ブチル基(4位)に置換された場合の化学シフト計算値を参考にして、反応生成物a及び反応生成物bのNMR分析の全てのシグナルを帰属させた。その結果を表5に示す。<反応生成物aのNMRによる解析> 1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを図4及び図5に示した。図4から明らかなように、1H−NMRにおいて、化学シフトが6ppm乃至7ppmの位置にベンゼンプロトンが3個分、化学シフトが3ppm乃至6ppmの位置に糖の水酸基以外のプロトンが6個分、化学シフトが0.5ppm乃至3ppmの位置にブチル基プロトンが9個分観察された。図5から明らかなように、13C−NMRスペクトルにおいては、化学シフトが100ppm乃至160ppmの位置にベンゼンカーボンのシグナル6本(1位と3位はほぼ同じ位置)、化学シフトが60ppm乃至100ppmの位置に糖カーボンのシグナルが6本、化学シフトが10ppm乃至35ppmの位置にブチル基カーボンのシグナルが4本観察された。また、表2に示す、各炭素原子の化学シフトδ(δC)値からグルコース残基はピラノース型であり、化学シフトδC97.1ppmにアノメリック炭素の、水素原子の化学シフトδ(δH)5.52ppmにアノメリックプロトンのシグナルが観察され(図4及び図6)、グルコシル基の1´´位の化学シフト(δC97.1ppm,δH5.52ppm(1H,d,J=3.3Hz))から(表5)、グルコース残基はα結合していると考えられた。さらに、ブチル基1´位プロトンにジェミナル非等価性が認められた(図5及び図7)。<反応生成物bのNMRによる解析> 1H−NMRおよび13C−NMRスペクトルを図8及び図9に示した。反応生成物bのNMRスペクトルは、反応生成物aと同様、1H−NMRにおいて、化学シフトが6ppm乃至7ppmの位置にベンゼンプロトンが3個分、3ppm乃至6ppmの位置に糖の水酸基以外のプロトンが6個分、化学シフトが0.5ppm乃至3ppmの位置にブチル基プロトンが9個分観察された(図8)ものの、反応生成物aとは異なり、ブチル基1´位プロトンのジェミナル非等価性はほとんど認められなかった(図8及び図10)。13C−NMRスペクトルは、反応生成物aとよく似ていた。反応生成物aと同様、グルコシル基の1´´位の化学シフト(δC98.0ppm,δH5.30ppm(1H,d,J=3.7Hz))からグルコースはα結合していると考えられた(図9、図11及び表5)。また、遠隔C−H COSY(コージー)においてグルコシル基1´´位のプロトンとの相関が認められるベンゼンカーボン(2位と6位)を調べたところ、ブチル基1´位プロトンと遠隔カップリングが認められたベンゼンカーボン(3乃至5位)とは異なっていた(図12及び図13)。 これら解析結果から、反応生成物bでは、グルコースは3位ではなく1位に転移していると考えられた。従って、反応生成物bとNMRスペクトルの異なる反応生成物aでは、3位にグルコースが転移していると考えられた。そして、ブチル基ジェミナルプロトンの非等価性が反応生成物aのみで生じたことも、反応生成物aでは、ブチル基に隣接してグルコース残基が存在するために、立体障害による回転の制限等の影響を受けると考えられるので、反応生成物aのグルコース残基の結合部位が1位であることとよく一致する。従って、これらの試験結果及びその解析結果は、反応生成物aが化学式1で示される3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール、反応生成物bが化学式2で示される1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールの構造を有することを物語っている。 また、具体的なMS分析のデータは示さないけれども、図2に示すCAPCELLPAK C18 AG120カラムを使用したHPLCの溶出画分のLC/MS分析結果において、リテンションタイムが、5.08分乃至5.33分、5.95分乃至6.20分、及び、8.29分付近に溶出される3つの画分には、UV280nmに吸収を有し(レゾルシノール骨格を有する)、質量が549の酢酸イオン付加分子イオンが検出されたことから、これらの画分には、質量490を有し、疎水性の強度の異なる3種類の反応生成物が含まれることが明らかになった。そして、これらの反応生成物の質量量は、ブチルレゾルシノールに2分子のグルコースが結合したブチルレゾルシノールの分子量に相当すること、及び、化学式1に示すように、糖転移酵素による4−n−ブチルレゾルシノールへのグルコース残基の転移部位は、その1位と3位のOH基としかないので、この3種類の質量490の反応生成物は、グルコアミラーゼによる消化が完全に行われていないn−ブチルレゾルシノールの1位のOH基にマルトシル基がα−結合した1−O−α−D−マルトシル−4−n−ブチルレゾルシノール及びn−ブチルレゾルシノールの3位のOH基に2分子のマルトシル基がα−結合した3−O−α−D−マルトシル−4−n−ブチルレゾルシノールと、両方のOH基にグルコース残基が、各々1個α結合した1,3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールの何れかであると判断した。従って、この結果は、シクロマルトデキストリン グルカノトランスフェラーゼを使用した4−n−ブチルレゾルシノールへの糖転移反応においては、その何れか一方のOH基にグルコースが結合した配糖体の生成量よりは少ないものの、両方のOH基にグルコース残基が結合した配糖体も生成されることを物語っている。<試験例3:溶解性試験> 実施例7で配糖体を調製するための基質として使用した4−n−ブチルレゾルシノール(以下、「実施例7で使用した4−n−ブチルレゾルシノール」という。)10mg、及び実験1でD−ODS−5 S5を用いたカラムクロマトグラフィーにより調製した1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール(反応生成物b)10mg、及び、3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール(反応生成物a)10mgに、各々脱イオン水を加え、ボルテックスミキサーで2分間乃至3分間攪拌して静置したときに不溶物が目視で認められなくなるときの、それぞれの最大濃度を求め、それぞれの化合物の溶解度とした。その結果を表6に示す。 表6から明らかなように、2種類の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体の溶解度は、何れも4−n−ブチルレゾルシノールの2倍であった。これにより、4−n−ブチルレゾルシノールを配糖化することにより、水に対する溶解度が向上することが確認された。また、グルコースの結合位置による溶解度の差は認められなかった。<試験例4:薬理活性の検討> 実施例7で調製した反応生成物含有凍結乾燥粉末(1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール及び3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールの他に、4−n−ブチルレゾルシノールに2個以上のグルコシル残基が結合した4−n−ブチルレゾルシノール配糖体を少量含有:以下、「4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末」という。)、1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール及び3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールの3種類の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体標品と、実施例7で使用した4−n−ブチルレゾルシノールとを使用して、その美白効果を確認する試験を以下のように行った。すなわち、試験例1に準じて、マウスB16メラノーマ細胞を培養し、培養上清を除去後、4−n−ブチルレゾルシノール或いは3種類の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体標品の何れかを添加して、4−n−ブチルレゾルシノール或いは4−n−ブチルレゾルシノール配糖体が、各々表7に示す濃度なるように調製した培地を添加して、更に72時間培養した。細胞を回収し、細胞をキャピラリー管に詰めて色調を観察して、下記判定基準によりメラニン産生抑制作用に基づく白色化作用の程度を判定し、その結果を表7に示す。陽性対照として、美白剤として皮膚外用剤に使用されているコウジ酸(2.5mM)を使用して同様に美白効果の判定を行った。また、回収した細胞の一部を、各々生細胞のみを染色する色素(アラマブルー)で染色し、全細胞中にしめる色素で染色された生細胞の割合(%)を求めて、細胞生存率(%)として、表7に示す。また、以下の実験で使用した4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末中の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体の濃度は、UV280nmにおけるレゾルシノールのモル吸光係数をもとに計算した。[白色化作用]薬剤なしのコントロールの黒色度に対して−:変化なし。±:わずかに白色化した。+:やや白色化した。++:かなり白色化した。+++:完全に白色化した。 表7から明らかなように、3種類の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体標品は、いずれも0.5mM或いは2.0mMで、陽性対照物質として設置した2.5mMコウジ酸と同等、もしくは、より強い白色化作用が認められた。また、使用した3種類の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体標品間では、その美白作用の強さに差は認められなかった。一方、4−n−ブチルレゾルシノールは、0.5mM濃度では、3種類の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体標品と同等の美白作用を示し、1mMの濃度では強い美白作用が認められたものの、B16メラノーマ細胞の生存率が79.7%にまで低下していることから、この美白作用は、4−n−ブチルレゾルシノールの細胞毒性によるものと考えられた。3種類の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体標品は、濃度が2.0mMの場合でも、B16メラノーマ細胞の生存率は95.8%乃至97.3%で、培地のみ(無添加)で培養した細胞とほぼ同じ細胞生存率を示し、何れも細胞毒性は認められなかったことから、4−n−ブチルレゾルシノールは、配糖化することにより、その美白効果が低減されることなく、毒性が低減されることが明らかになった。<試験例5:薬理活性の検討> 実施例7で調製した4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末標品を使用して、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体の美白効果を確認する試験を以下のように行った。すなわち、試験例2と同じ方法により、マウスB16メラノーマ細胞を24時間培養後、培養上清を除去し、各々の試験試料を表8に示す濃度になるように配合した培地を添加して、更に72時間培養した。細胞を回収し、キャピラリー管に詰めて色調を観察して、下記判定基準によりメラニン産生抑制作用に基づく白色化効果の程度を判定し、その結果を表8に示す。[白色化作用]薬剤なしのコントロールの黒色度に対して−:変化なし。±:わずかに白色化した。+:やや白色化した。++:かなり白色化した。+++:完全に白色化した。 表8から明らかなように、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末標品は、L−アスコルビン酸ナトリウム塩、4−メトキシサリチル酸カリウム、コウジ酸、アルブチン、トラネキサム酸、エラグ酸、リノール酸、カミツレエキス、及びテトラヒドロクルクミンと併用した場合、相乗的白色化効果を示すことが認められた。この結果は、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体が、L−アスコルビン酸ナトリウム塩、4−メトキシサリチル酸カリウム、コウジ酸、アルブチン、トラネキサム酸、エラグ酸、リノール酸、カミツレエキス、及びテトラヒドロクルクミンと併用した場合に、相乗的にメラニンの生成を抑制し、優れた色白化効果を発揮することを物語っている。<試験例6:4−n−ブチルレゾルシノール配糖体の抗酸化効果評価:脂質過酸化抑制効果> 1%卵黄レシチンと0.4%ドデシル硫酸ナトリウムとの混合溶液1.5mLに、2.4mmol/Lの硫酸第一鉄0.5mLと、4.8mmol/Lのアスコルビン酸溶液0.5mLとを加え、さらに、実施例7で調製した4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末を緩衝液に溶解して調製した、表9に示す濃度の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体を含有する溶液の何れか0.5mLを加え、37℃の水浴中で1時間加温した。その後、チオバルビツール酸値(以下、「TBA値」という。)を常法により測定し、過酸化度を求めた。4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末の代わりに、ブランクとして緩衝液、陽性対照として0.10%のコウジ酸溶液を0.5mL加えて同様に反応させた。溶液調製には、10mmol/Lのトリス−塩酸緩衝液(pH7.5)を用いた。ブランクのTBA値を100として、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末或いは陽性対照を加えた時のTBA値の相対値を求め、100から減じて求めた過酸化脂質の生成の抑制率(%)を抗酸化効果として、表9に示す。 表9から明らかなように、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末を添加した場合は、0.001%以上の添加で、添加量に依存した過酸化脂質の生成の抑制が認められ、0.01%では抑制率が29.8%となり、0.1%のコウジ酸を添加した場合(抑制率30.0%)と同等の抑制効果が認められた。更に、0.05%の添加では、抑制率42.5%に上昇し、0.10%以上の添加では50%を越える強い抑制効果が認められ、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末は、コウジ酸に比して抗酸化効果に優れていることが確認された。この結果は、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体を皮膚外用剤に配合することにより、肌に対する強い酸化防止効果が得られるだけでなく、酸化防止剤として皮膚外用剤の安定性の向上にも寄与できることを物語っている。 これらの試験結果は、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体は、メラニン生成抑制作用及び抗酸化作用などを有することから、これを配合した皮膚外用組成物は、美白及び/又は美肌効果や老化防止効果に優れていることを物語っている。また、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体は、4−n−ブチルレゾルシノールに比して細胞毒性が低いことから、皮膚外用剤に配合した場合、皮膚に対する刺激性が4−n−ブチルレゾルシノールよりも低いことを物語っている。<4−n−ブチルレゾルシノール配糖体の製造> 英国特許第1,581,428号明細書の実施例1に記載の方法に基づき、4−n−ブチルレゾルシノールを調製した。この4−n−ブチルレゾルシノール20gを、50mM酢酸緩衝液(pH5.5)800mLに溶解した後、デキストリン(松谷化学工業株式会社販売、商品名「パインデックス#1」)400gを加え、攪拌した後、酢酸緩衝液を加えて、全量を4000mLとした。そこへバチルス ステアロサーモフィラス由来のシクロマルトデキストリングルカノトランスフェラーゼ(株式会社林原生物化学研究所販売)を600単位/g−デキストリンを加え、50℃で24時間反応させた。この反応液を100℃で10分間加熱して反応を停止させた後、反応液を濾過し、これにグルコアミラーゼ(EC 3.2.1.3、生化学工業株式会社販売)を10単位/g−デキストリン添加し、pH4.5、55℃に維持して5時間反応させた。反応液を加熱して酵素を失活させ、濾過し、濾液を多孔性合成吸着剤、商品名ダイヤイオンHP−10(三菱化成工業株式会社販売)を6L充填したカラムにSV2で負荷した。カラムを水で洗浄した後、35%エタノールを通液して配糖体画分を溶出させた。得られた画分を濃縮乾固し、96%エタノールに懸濁溶解したのちに不溶物を除去した。上清を濃縮乾固し、ふたたび水に溶解した後、凍結乾燥を行ない、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体を含有する粉末標品を得た。この標品を、アセトニトリル/水/酢酸(=30/70/0.2)に溶解した後、この溶解に使用した溶液を移動相として用いたD−ODS−5 S5(YMC社販売)カラムクロマトグラフィーにより分画して、2種類の反応生成物a(純度99%以上)及び反応生成物b(純度96.8%)を、それぞれ95%の収率で得た。 この反応生成物a及び反応生成物bを、試験例3と同じ方法で、MS分析及びNMR分析を行ったところ、実験1と同様に、反応生成物aは3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールであり、反応生成物bは1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールであることが確認された。また、実験1と同様、反応生成物a及び反応生成物bより生成量は少ないものの、これらと異なる位置に溶出された画分に、1,3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールに相当する物質の生成を確認した。[安全性試験] 実施例7で調製した4−n−ブチルレゾルシノール配糖体を含有する凍結乾燥粉末標品、実施例7でD−ODS−5 S5を用いたカラムクロマトグラフィーにより調製した反応生成物a及び反応生成物bの何れか3質量部(凍結乾燥標品は、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体として3質量部)を、基剤としてエタノール5質量部、グリセロール5質量部及び精製水87質量部を混合した溶液に溶解し、試験液を調製した。この何れかの溶液を各々5名(合計15名)のボランティアの上腕の内側に1cm×1cmの範囲に、一日3回3日間連続して塗布し、その後1週間塗布した部位の皮膚の状態を観察した。また、対照として、試験液を塗布した部分に隣接する1cm×1cmの範囲に、基剤のみを、1日3回3日間連続して塗布し、塗布開始日から1週間、皮膚の状態を観察した。試験溶液或いは対照の溶液を塗布した、何れの場合にも、塗布部位には、肌荒れや発赤などの変化は認められず、これら3種類の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体標品は、何れも皮膚外用剤に配合しても安全性の高い物質と判断された。<アルキル基の異なる7種類のアルキルレゾルシノール配糖体の製造> 実施例7の方法に準じて、4−n−メチルレゾルシノール、4−n−エチルレゾルシノール、4−n−ヘキシルレゾルシノール、4−n−ヘプチルレゾルシノール、4−n−オクチルレゾルシノール、4−n−デシルレゾルシノール及び4−n−エイコシルレゾルシノールの何れか5gとデキストリン100gを使用して糖転移反応を行い、反応液を、実験1と同様に、多孔性合成吸着剤(三菱化成株式会社販売、商品名「ダイヤイオンHP−20」)を充填したカラムを用いて精製し、96%エタノールで沈殿する糖質を除去後、凍結乾燥して、これらのアルキルレゾルシノール配糖体粉末標品(純度は85%乃至91%)を調製した。 実施例9で調製した7種のアルキルレゾルシノール配糖体粉末標品に加えて、実施例7で調製した4−n−ブチルレゾルシノール配糖体の粉末標品を使用して、実験3と同じ方法で、0.5mM或いは2mMとなるように各配糖体を、試験例4と同様にマウスB16メラノーマの培地に添加して、その白色化試験を実施したところ、2mMの濃度の4−n−ブチルレゾルシノール配糖体含有粉末の添加で強い白色化効果(かなり白色化した)が認められた。4−n−メチルレゾルシノール配糖体、4−n−エチルレゾルシノール配糖体、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体、4−n−ヘキシルレゾルシノール配糖体、4−n−ヘプチルレゾルシノール配糖体を培地に添加したした場合には、2mMの濃度でかなり強い白色化効果(やや白色化した)が認められた。また、4−n−オクチルレゾルシノール配糖体、4−n−デシルレゾルシノール配糖体及び4−n−エイコシルレゾルシノール配糖体を培地に添加した場合にも白色化効果が認められたものの、4−n−ヘプチルレゾルシノール配糖体或いはそれより低分子量のアルキルレゾルシノール配糖体を添加した場合に比して、弱い白色化効果(わずかに白色化した)であった。なお、この実験に使用した濃度では、何れのアルキルレゾルシノール配糖体においても、細胞の生存率は96%乃至99%と高く、試験に使用した濃度においては、B16メラノーマに対する細胞毒性は認められなかった。<ローション> 実施例1乃至6で調製した化合物1乃至18を使用し、以下に示す処方に従って、本発明の皮膚外用剤である、ローション化粧料1乃至18を作製した。即ち、処方成分を80℃で攪拌可溶化し、攪拌冷却してローションを得た。これらのローションは、何れも優れた美白作用を有していた。なお、以下に示す、本発明の配糖体を配合した組成物を示す実施例の各成分の配合は、化粧品の総質量に占める各成分の割合(%)で示す。(処方) (%)(1)1,3−ブタンジオール 5(2)1,2−ペンタンジオール 3(3)グリチルリチン酸ジカリウム 0.1(4)L−アスコルビン酸−2−グルコシド 3(5)実施例1乃至6の方法で調製した化合物1乃至18の何れか1種 1(6)グリセリン 3(7)水 84.9<化粧水> 下記の配合処方を使用し、常法により化粧水を調製した。本品は、肌に適用することによって、肌を美白にし、且つ肌に張りや艶を与える、優れた化粧品であった。また、本品は、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体を含んでいるので、保存安定性も良好であった。(処方) (%)(1)グリセリン 5(2)1,3−ブチレングリコール 6.5(3)モノラウリン酸ポリオキシエチレン ソルビタン(20E.O.) 1.2(4)エチルアルコール 8(5)実施例7の方法で調製した4−n−ブチル レゾルシノール配糖体含有粉末 0.5(6)乳酸 0.05(7)乳酸ナトリウム 0.1(8)パラメトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル 0.1(9)プルラン 0.05(10)防腐剤 適量(11)香料 適量(12)水 適量 この化粧水を10名のボランティアに、1日3回、10日間使用してもらい、4−n−ブチルレゾルシノール配糖体に代えて、4−n−ブチルレゾルシノールを等モル配合した化粧水で同様の試験を行い、その使用感を比較したところ、何れのボランティアも4−n−ブチルレゾルシノール配糖体を配合した化粧水の方が、肌に対する刺激が少ないと回答した。<化粧水> 下記の配合処方を使用し、常法により2層化粧水を調製した。本品は、肌に適用することによって、肌を美白にし、且つ肌に張りや艶を与える、優れた化粧品であった。また、本品は、3−O−α−D−モノグルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールを含んでいるので、保存安定性も良好であった。(処方) (%)(1)スクワラン 8(2)テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 0.3(3)ソルビット 34(4)プルラン 0.001(5)エチルアルコール 1(6)実施例7の方法で調製した3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール 0.5(7)L−アスコルビン酸−2−グルコシド 2(8)収れん剤(カラミン) 0.1(9)防腐剤 適量(10)香料 適量(11)精製水 残量<乳液> 下記の配合処方を使用し、常法により乳液を調製した。本品は、肌に適用することによって、肌を美白にし、且つ肌に張りや艶を与える、優れた化粧品であった。また、本品は、澱の発生や褐変等もなく、1−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールを含んでいるので、保存安定性も良好であった。(処方) (%)(1)モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン (20E.O.) 1(2)テトラステアリン酸ポリオキシエチレンソルビッ ト(60E.O.) 0.5(3)モノステアリン酸グリセリン 1(4)ステアリン酸 0.5(5)ベヘニルアルコール 0.5(6)スクワラン 8(7)実施例7の方法で調製した1−O−α−D−グル コピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール 1(8)防腐剤 0.1(9)カルボキシビニルポリマー 0.1(10)水酸化ナトリウム 0.05(11)エチルアルコール 5(12)水 残量(13)香料 適量<乳液> 下記の配合処方を使用し、常法により乳液を調製した。本品は、肌に適用することによって、肌を美白にし、且つ肌に張りや艶を与える、優れた化粧品であった。また、本品は、澱の発生や褐変等が認められず、3−O−α−D−グルコピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノールを含んでいるので、保存安定性も良好であった。(処方) (%)(1)ポリオキシエチレン(20)ポリオキシ プロピレン(2)セチルエーテル 1(2)メチルポリシロキサン(信越化学工業株式会社 販売、商品名「KF96−A」) 2(3)流動パラフィン(中粘度) 3(4)プロピレングリコール 5(5)実施例7の方法で調製した3−O−α−D−グル コピラノシル−4−n−ブチルレゾルシノール 1(6)グリセリン 2(7)エチルアルコール 15(8)カルボキシビニルポリマー 0.25(9)ヒドロキシプロピルセルロース 0.1(10)プルラン 0.05(11)2−アミノメチルプロパノール 0.1(12)防腐剤 適量(13)精製水 残量 本発明の組成物は、化粧料、医薬部外品及び外用医薬品等、種々の用途に供することができる。中でも、抗酸化効果及び/又は美白効果に優れているので、化粧料として特に有用である。また、本発明の4−n−アルキルレゾルシノール配糖体は、何れも水溶性が高く、且つ優れた作用効果を有するので、種々の用途、好ましくは皮膚外用美白組成物として用いることができる。 4−アルキルレゾルシノールにおける1位及び3位の水酸基のいずれか一方又は両方にグリコシル基がα−結合してなる配糖体であって、4位のアルキル基がn−メチル基、n−エチル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基又はn−オクチル基であり、且つ、グリコシル基がグルコシル基又はマルトシル基である4−アルキルレゾルシノール配糖体とともに、4−メトキシサリチル酸カリウム、コウジ酸、アルブチン及びカミツレエキスから選ばれる1種又は2種以上を含んでなる抗酸化作用を有する皮膚外用組成物用の美白剤。