生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_アルツハイマー型認知症予防・治療剤
出願番号:2007548031
年次:2012
IPC分類:A61K 31/202,A61K 31/232,A61K 31/198,A61P 25/28


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橋爪 潔志 JP 5043677 特許公報(B2) 20120720 2007548031 20061204 アルツハイマー型認知症予防・治療剤 持田製薬株式会社 000181147 渡辺 望稔 100080159 三和 晴子 100090217 橋爪 潔志 JP 2005349438 20051202 20121010 A61K 31/202 20060101AFI20120920BHJP A61K 31/232 20060101ALI20120920BHJP A61K 31/198 20060101ALI20120920BHJP A61P 25/28 20060101ALI20120920BHJP JPA61K31/202A61K31/232A61K31/198A61P25/28 A61K 31/00 CA/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特開平03−058926(JP,A) 特開平06−237734(JP,A) 特開平08−231391(JP,A) 特開平03−264524(JP,A) NAKANISHI, T. et al.,IGAKU KENKYU,1990年,Vol.60, No.1,pp.18-25 5 JP2006324172 20061204 WO2007064010 20070607 11 20091120 清野 千秋 本発明は新規なアルツハイマー型認知症の予防・治療剤、詳細には、ω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとを組み合わせて使用することを特徴とするアルツハイマー型認知症の予防・治療剤に関する。 高齢化社会の進行に伴い、認知症(痴呆:dementia)の患者数は増加傾向にある。認知症は、後天的に獲得した知能が脳の器質的障害によって持続的に低下した状態である。認知症は、その成因や病理組織学的観点から、いくつかに分類されるが、その代表的なものが、アルツハイマー型認知症および脳血管性認知症である。この二つとこれらの混合型を合わせると、認知症全体の8割から9割を占めると考えられている。 アルツハイマー型認知症は、脳の萎縮を伴うものであり、現時点ではこの病気を根本的に治療できる薬剤は存在しない。唯一、アルツハイマー型認知症(痴呆)の適応を有する医薬品として、塩酸ドネペジル(商品名アリセプト:エーザイ社製)が上市されているが、その適応症は、「軽度及び中等度のアルツハイマー型痴呆における痴呆症状の進行抑制」であり、根治的治療という観点からは、必ずしも十分なものではない。 ω−3系多価不飽和脂肪酸の一つであるイコサペント酸(別名エイコサペンタエン酸、以下EPAと略す)は、魚油から抽出、精製された多価不飽和脂肪酸であり、血清脂質低下作用、血小板凝集抑制作用等を有することが知られている。本邦においては、そのエチルエステルが、閉塞性動脈硬化症治療剤および高脂血症治療剤として市販されている。EPAがアルツハイマー型認知症の症状の進行を遅らせるとの報告がある(例えば、非特許文献1参照)。当該文献においては、アルツハイマー型認知症の患者に1日900mgのEPAを12ヵ月間投与して症状観察(評価対象22例)した結果、「EPAの投与はAD患者に対して、3〜6ヵ月間認知機能を改善させたが、以降は自然経過とほぼ平行して認知機能が低下した。」と報告している(27頁、右カラム)。 しかしながら、ω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとの組み合わせが、アルツハイマー型認知症に対して優れた効果を示すことについての開示、示唆はない。Dementia Japan,2001年,第15巻,p.21−29 そこで、本発明が解決すべき課題は、アルツハイマー型認知症に対して現在行われている治療法に代わりうる、あるいは、それらと併用することにより、高い治療効果が得られ、安全性に優れるアルツハイマー型認知症予防・治療剤を提供することにある。 本発明者は、アルツハイマー型認知症の予防・治療剤について鋭意研究を行ったところ、ω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとの組み合わせによる使用が、アルツハイマー型認知症に対して高い治療効果を示すこと、また、安全性に優れることを見出し、本発明を完成した。 ω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとを組み合わせて使用することを特徴とする本発明のアルツハイマー型認知症予防・治療剤は、アルツハイマー型認知症に対して著明な治療効果を示し、有害事象を示さないことから、有効性、安全性の高いアルツハイマー型認知症の予防・治療剤となる。 以下に本発明を詳細に説明する。 本発明の態様は、ω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとを組み合わせて使用することを特徴とするアルツハイマー型認知症の予防・治療剤である。 本発明の別の態様は、ω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとを組み合わせて使用することを特徴とするアルツハイマー型認知症の予防・治療効果を有する食品である。 多価不飽和脂肪酸は、分子内に複数の炭素−炭素二重結合を有する脂肪酸と定義され、二重結合の位置により、ω−3系、ω−6系などに分類される。ω−3系の多価不飽和脂肪酸としてはα−リノレン酸、EPA、ドコサヘキサエン酸(以下、DHAと略す)などが例示される。本発明で用いるω−3系多価不飽和脂肪酸は、合成品または天然品のいずれでもよく、これらを含有する天然油の形態でもよい。合成品には、化学合成品の他、微生物などにより産生された多価不飽和脂肪酸を原料として、エステル化、エステル交換等を施した半合成品も含まれる。ここで、天然品とは、多価不飽和脂肪酸を含有する天然油から公知の方法によって抽出されたもの、粗精製されたもの、あるいはそれらを更に高度に精製したものを意味する。また、ω−3系多価不飽和脂肪酸の塩、エステル、アミド、リン脂質、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドなどの誘導体も本発明で用いるω−3系多価不飽和脂肪酸に含まれる。 本発明で用いるω−3系多価不飽和脂肪酸としては、EPA、DHAおよびα−リノレン酸から選ばれる少なくとも1種以上が好ましい。さらに好ましくは、ω−3系多価不飽和脂肪酸がEPA、DHAまたは両者の混合物であり、ω−3系多価不飽和脂肪酸がイコサペント酸エチル(以下、EPA−Eと略す)、ドコサヘキサエン酸エチル(以下、DHA−Eと略す)または両者の混合物であるものがさらに好ましく、ω−3系多価不飽和脂肪酸がEPA−Eであるものが最も好ましい。本邦においては、高純度EPA−E含有軟カプセル剤(商品名エパデール:持田製薬社製)が閉塞性動脈硬化症(ASO)および高脂血症治療薬として市販されているので、これを入手して使用することができる。また、EPA−EとDHA−Eの混合物としては、例えば、オマコール(Omacor:ロスプロダクツ:EPA−E約46質量%、DHA−E約38質量%含有する軟カプセル剤)が挙げられる。オマコールは、高TG血症治療薬として、アメリカ等で市販されているので、これを入手して使用することもできる。また、ω−3系多価不飽和脂肪酸が精製魚油であるもの、および、ω−3系多価不飽和脂肪酸がモノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドから選ばれる1種以上であるものも好ましい態様の一つである。 本発明の組成物におけるω−3系多価不飽和脂肪酸の純度、すなわち、全脂肪酸中のω−3系多価不飽和脂肪酸の含量は特に限定されないが、好ましくは25質量%以上、さらに好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上、より好ましくは85質量%以上、とりわけ好ましくはω−3系多価不飽和脂肪酸以外の他の脂肪酸成分を実質的に含まないものが使用できる。 ω−3系多価不飽和脂肪酸は酸化され易いため、さらに、抗酸化剤たとえばブチレート化ヒドロキシトルエン、ブレチート化ヒドロキシアニソール、プロピルガレート、没食子酸、医薬として許容されうるキノンおよびα−トコフェロールを有効量含有させることが望ましい。 本発明で用いる甲状腺ホルモンは、本発明の効果を奏する限りにおいては特に限定されないが、例えば、レボチロキシン、リオチロニンなどが挙げられ、好ましくはレボチロキシンナトリウム(商品名チラーヂンS:あすか製薬社製)である。なお、甲状腺ホルモンの代わりに、成長ホルモン(例えば、ソマトロピン、等)を用いても、ほぼ同様の効果が得られる。 本発明のアルツハイマー型認知症の予防・治療剤は、有効成分を化合物(精製の際に不可避的に含まれる他の成分を含む場合もある)単独で投与するか、或いは一般的に用いられる適当な担体または媒体の類、例えば賦形剤、結合剤、滑沢剤、着色剤、香味剤、必要に応じて滅菌水や植物油、更には無害性有機溶媒あるいは無害性溶解補助剤(たとえばグリセリン、プロピレングリコール)、乳化剤、懸濁化剤(例えばツイーン80、アラビアゴム溶液)、等張化剤、pH調整剤、安定化剤、無痛化剤などと適宜選択組み合わせて適当な医薬用製剤に調製することができる。また、本発明のアルツハイマー型認知症の予防・治療効果を有する食品は、アルツハイマー型認知症の予防・治療剤と同様に、有効成分を化合物(精製の際に不可避的に含まれる他の成分を含む場合もある)単独、或いは一般的に用いられる適当な担体または媒体の類等と組み合わせて、調製することができる。好ましい食品の例としては、サプリメント、栄養補助食品、特定機能食品、特定保健用食品、健康食品などが挙げられる。 製剤の剤形としては、錠剤、カプセル剤、マイクロカプセル剤、顆粒剤、細粒剤、散剤、経口用液体製剤、坐剤、シロップ剤、吸入剤、軟膏、注射剤(乳濁性、懸濁性、非水性)、あるいは用時乳濁または懸濁して用いる固形注射剤の形で、経口および静脈内あるいは動脈内、吸入、直腸内、膣内あるいは外用を問わず患者に投与されるが、とりわけカプセルたとえば、軟質カプセルやマイクロカプセルに封入しての経口投与が好ましい。また、注射剤(乳濁性、懸濁性、非水性)、あるいは用時乳濁または懸濁して用いる固形注射剤での静脈内あるいは動脈内投与が好ましい。 本発明のアルツハイマー型認知症の予防・治療剤におけるω−3系多価不飽和脂肪酸の投与量は対象となる作用を現すのに十分な量とされるが、その剤形、投与方法、1日当たりの投与回数、症状の程度、体重、年齢等によって適宜増減することができる。イコサペント酸エチルを経口投与する場合は、EPA−Eとして100〜9,000mg/日、好ましくは300〜6,000mg/日、さらに好ましくは300〜2,700mg/日を2〜3回に分けて投与するが、必要に応じて全量を1回あるいは数回に分けて投与してもよい。 本発明のアルツハイマー型認知症の予防・治療剤における甲状腺ホルモンの投与量は対象となる作用を現すのに十分な量とされるが、その剤形、投与方法、1日当たりの投与回数、症状の程度、体重、年齢等によって適宜増減することができる。レボチロキシンナトリウムを経口投与する場合は、レボチロキシンナトリウムとして25〜200μg/日を1回投与するが、必要に応じて全量を数回に分けて投与してもよい。 EPA−Eとレボチロキシンナトリウムの一日用量の組み合わせは特に限定されないが、(1)EPA−E1,800〜2,700mg/日とレボチロキシンナトリウム25〜200μg/日、(2)EPA−E1,800〜2,700mg/日とレボチロキシンナトリウム25〜100μg/日、(3)EPA−E300〜600mg/日とレボチロキシンナトリウム25〜200μg/日、(4)EPA−E300〜600mg/日とレボチロキシンナトリウム25〜100μg/日のいずれかの組み合わせが好ましい。 ω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとを組み合わせて使用することを特徴とする本発明のアルツハイマー型認知症の予防・治療剤としては、1)両者の併用、すなわち、ω−3系多価不飽和脂肪酸含有製剤と、甲状腺ホルモン含有製剤のそれぞれを、同時に、あるいは、別々に服用する場合、2)両者の合剤、すなわち、ω−3系多価不飽和脂肪酸と甲状腺ホルモンとを配合して一製剤としたもの、および、3)両者のキット、すなわち、ω−3系多価不飽和脂肪酸含有製剤と甲状腺ホルモン含有製剤とを服用単位毎(例えば1回分、1日分、等)にまとめてセットにしたもの、などが例示される。本発明のアルツハイマー型認知症の予防・治療剤には、有効成分としてω−3系多価不飽和脂肪酸および甲状腺ホルモンのみを使用することを特徴とするもの、すなわち、ω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとを組み合わせてなるアルツハイマー型認知症の予防・治療剤のほか、さらに他の有効成分を組み合わせて使用するアルツハイマー型認知症の予防・治療剤も含まれる。 本発明のアルツハイマー型認知症の予防・治療剤は、ドネペジル(商品名アリセプト:エーザイ社製)に代表される、既存のアルツハイマー型認知症の治療薬と組み合わせて使用することが可能である。ドネペジルと組み合わせることにより、ドネペジル単独では効果が十分ではないアルツハイマー型認知症の症状の改善や、ドネペジルの用量の軽減が達成される。 本発明のω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとを組み合わせて使用することを特徴とするアルツハイマー型認知症の予防・治療剤には、(1)高脂血症またはASOの治療のため、(2)抗動脈硬化作用を期待して、あるいは、(3)心血管イベントや脳血管イベントの発症予防効果を期待して、ω−3系多価不飽和脂肪酸含有製剤を服用しているアルツハイマー型認知症の患者、とりわけ、アルツハイマー型認知症に対する症状等の改善効果が十分ではない患者に対して、これに加えて新たに甲状腺ホルモンを服用する場合を包含する。同様に、甲状腺ホルモンを服用しているアルツハイマー型認知症の患者、とりわけ、アルツハイマー型認知症に対する症状等の改善効果が十分ではない患者に対して、これに加えて新たにω−3系多価不飽和脂肪酸含有製剤、とりわけEPA−E含有製剤を服用する場合をも包含する。 本発明のω−3系多価不飽和脂肪酸と、甲状腺ホルモンとを組み合わせて使用することを特徴とするアルツハイマー型認知症の治療剤の対象となるアルツハイマー型認知症の重症度については特に規定されない。Reisbergらによると、長谷川式簡易知能評価スケール(30点満点:20点以下で「認知症疑い」)において、重症度別の平均得点は、軽度痴呆で19.1点、中等度痴呆で15.4点、やや高度な痴呆で10.7点、高度痴呆で4.0との報告がある。 以下に、本発明を詳細に説明するために実施例により効果を具体的に説明するが、本発明はこれらによってなんら限定されるものではない。(実施例)[対象および方法] 脳梗塞の既往がなく、また甲状腺機能低下症など認知症の原疾患とされる疾患を伴わない、アルツハイマー型認知症と診断された患者14例(男性6名、女性8名;年齢50歳代〜80歳代)について、イコサペント酸エチル(商品名エパデール;持田製薬社製;表中EPA−Eと略す)1日300〜600mgを2ヵ月間投与し、その後、イコサペント酸エチルに加え、レボチロキシンナトリウム(商品名チラーヂンS;あすか製薬社製;表中T4と略す)1日50〜100μgを4ヵ月間投与した。試験開始時、試験開始2ヵ月後(イコサペント酸エチル投与開始から2ヵ月経過後)、および、試験開始6ヵ月後(イコサペント酸エチルとレボチロキシンナトリウムの併用投与開始から4ヵ月経過後)の時点で、各患者について、長谷川式簡易知能評価スケールを用いて、認知症の改善度の評価を実施した。[結果] 各症例毎の結果を表1に示した。また、長谷川式簡易知能評価スケールの得点の平均値等を以下に示す参考例とまとめて、表3に記載した。表1に示したように、6ヵ月間経過後における症状変化について観察した結果、意欲亢進、元気回復、行動範囲拡大、頭脳清明などの改善が認められた。長谷川式簡易知能評価スケールにおいては、ほぼ全例に改善が認められた。試験開始時の長谷川式簡易知能評価スケールは、平均10.0であったが、治療終了時(試験開始6ヵ月後)には、平均16.8であった。やや高度〜高度な痴呆においても症状の改善が認められた。有害事象は全く認められなかった。(参考例)[対象および方法] 脳梗塞の既往を有し、脳血管性認知症と診断された患者10例(男性6名、女性4名;年齢50歳代〜80歳代)について、イコサペント酸エチル(商品名エパデール;持田製薬社製;表中EPA−Eと略す)1日300〜600mgを2ヵ月間投与し、その後、イコサペント酸エチルに加え、レボチロキシンナトリウム(商品名チラーヂンS;あすか製薬社製;表中T4と略す)1日50〜100μgを4ヵ月間投与した。試験開始時、試験開始2ヵ月後(イコサペント酸エチル投与開始から2ヵ月経過後)、および、試験開始6ヵ月後(イコサペント酸エチルとレボチロキシンナトリウムの併用投与開始から4ヵ月経過後)の時点で、各患者について、長谷川式簡易知能評価スケールを用いて、認知症の改善度の評価を実施した。[結果] 各症例毎の結果を表2に示した。また、長谷川式簡易知能評価スケールの平均値等を実施例とまとめて、表3に記載した。表2に示したように、6ヵ月間経過後における長谷川式簡易知能評価スケールは、ほぼ全例で、改善傾向を認めたが著明ではなかった。症状変化について観察した結果、1例(10%)に元気回復が認められた。なお、症状改善が認められた1例は、同スケールの試験開始時の得点が最も高い症例であった。有害事象は全く認められなかった。 表3の実施例の結果から明らかなように、イコサペント酸エチル300〜600mg/日、単独、2ヵ月間投与では、アルツハイマー型認知症患者の長谷川式簡易知能評価スケールの得点にほとんど変化は認められなかったが、その後4ヵ月間、レボチロキシンナトリウム50〜100μg/日を併用することにより、アルツハイマー型認知症患者の同スケールの得点に著明な改善が認められた。一方、表3の参考例の結果から明らかなように、脳血管性認知症を対象とした試験においては、イコサペント酸エチル300〜600mg/日とレボチロキシンナトリウム50〜100μg/日との併用による同スケールの得点の改善はわずかであった。 以上の結果から、ω−3系多価不飽和脂肪酸と甲状腺ホルモンとの組み合わせ、とりわけ、EPA−Eとレボチロキシンナトリウムとの組み合わせが、アルツハイマー型認知症に対する著明な治療効果を示し、有害事象を示さないことから、有効性、安全性の高いアルツハイマー型認知症の予防・治療剤となりうると判断された。また、EPA−Eを現適応、すなわち、高脂血症または閉塞性動脈硬化症(ASO)に用いる場合の一日用量は1800〜2700mgであることから、レボチロキシンナトリウムを組み合わせることにより、常用量よりも少量にてEPA−Eが効果を示すことも確認された。いっぽう、レボチロキシンナトリウムについても、現適応での常用量(維持量)は100〜400μg/日であることから、EPA−Eと組み合わせることにより、常用下限量あるいはそれ以下で効果を示すことも確認された。 ω−3系多価不飽和脂肪酸と、レボチロキシンとを組み合わせて使用することを特徴とするアルツハイマー型認知症の予防・治療剤。 ω−3系多価不飽和脂肪酸がイコサペント酸、ドコサヘキサエン酸、または、イコサペント酸とドコサヘキサエン酸との混合物である請求項1に記載の予防・治療剤。 ω−3系多価不飽和脂肪酸がイコサペント酸エチル、ドコサヘキサエン酸エチル、または、イコサペント酸エチルとドコサヘキサエン酸エチルとの混合物である請求項1または2のいずれかに記載の予防・治療剤。 ω−3系多価不飽和脂肪酸がイコサペント酸エチルである請求項1ないし3のいずれかに記載の予防・治療剤。 レボチロキシンがレボチロキシンナトリウムである請求項1ないし4のいずれかに記載の予防・治療剤。


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