タイトル: | 特許公報(B2)_多枝性スイカ植物および作出方法 |
出願番号: | 2007543596 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A01H 5/00,A01H 5/10,A01H 1/02,C12N 5/04 |
ラニニ, ブレンダ コウプス, ビル スペラック, セオドア, エイチ. JP 4874260 特許公報(B2) 20111202 2007543596 20051130 多枝性スイカ植物および作出方法 ハリス モーラン シード カンパニー 507146957 山田 行一 100094318 野田 雅一 100123995 ラニニ, ブレンダ コウプス, ビル スペラック, セオドア, エイチ. US 10/999,650 20041130 20120215 A01H 5/00 20060101AFI20120126BHJP A01H 5/10 20060101ALI20120126BHJP A01H 1/02 20060101ALI20120126BHJP C12N 5/04 20060101ALI20120126BHJP JPA01H5/00 ZA01H5/10A01H1/02 AC12N5/00 203 A01H 5/00 A01H 1/02 C12N 5/04 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed CiNii 国際公開第03/075641(WO,A1) 国際公開第03/056901(WO,A1) 23 ATCC PTA-6300 US2005043193 20051130 WO2006060425 20060608 2008521409 20080626 32 20081006 太田 雄三関連出願の相互参照 [0001]本出願は、米国特許法第119条に基づき、参照によりその全体が本明細書に組み込まれている2004年11月30日に出願された米国特許出願第10/999650号明細書の優先権を主張する。発明の分野 [0002]本発明は、多枝性小型植物および小さな果実を生じさせる「HMBN」と呼ばれるスイカ対立遺伝子に関する。本発明は、スイカ種子、スイカ植物およびスイカ植物の部分、突然変異対立遺伝子を含むスイカ品種およびスイカ交配種にも関する。さらに、本発明は、スイカ植物中のHMBN対立遺伝子を他のスイカ品種および種に導入することに関し、新しいタイプおよび品種の多枝性スイカの作出に有用である。発明の背景 [0003]本発明は、「HMBN」と呼ばれる新しく特徴的なスイカ突然変異対立遺伝子に関する。任意の新規な望ましい植物遺伝資源の開発には多数の段階がある。植物育種は、現在の遺伝資源の問題および弱点の分析および定義、計画目標の設定、ならびに特定の育種目的の定義と共に開始する。次の段階は、計画目標に合致する形質を有する遺伝資源の選択である。その目標は、単一の品種または交配種において親の遺伝資源由来の望ましい形質の改良された組合せを組合せることである。これらの重要な形質には、高収量、圃場での特性や、硬さ、色、可溶性固形物の含量、酸度および粘度、耐病虫性、ならびに乾燥および熱に対する耐性などの果実の品質および作物学的品質が含まれることがある。 [0004]すべての栽培品種のスイカは、品種に応じて5から40ポンドの重量になる可食性果実を得るために生育される多型的な種キトルルスラナツス(Citrullus lanatus)に属する。作物として、環境条件が経済的に実行可能な収量の生産を許すならば、スイカはどこでも栽培される。米国では、スイカの主生産地はフロリダ州、ジョージア州、テキサス州およびカリフォルニア州である。生のスイカはスライスまたは角切りにして食べられており、加工食品の材料としても使用されることがある。 [0005]スイカは、南アフリカ原産と考えられている。それは、その地域の至る所でスイカが野生していることが見出され、そこで品種が最大の多様性に達しているからである。スイカは、4000年を超えてアフリカで栽培されてきた。コロシントウリ(Citrullus colocynthis)は、スイカの野生原種と考えられている。コロシントウリは、苦い果肉および小さく茶色の種子をもつ、最大直径が75mmと小さな果実を有する。キトルルス種は南アフリカおよび中央アフリカに自生するが、コロシントウリはインドにも自生する。スイカの栽培は古代エジプトおよびインドに始まり、地中海、近東、およびアジアを通過してそれらの国から拡大したと考えられている。作物は1629年以来米国で生育されてきた。 [0006]キトルルスラナツスは、大部分熱帯の約90属および700から760種からなるウリ科の一員である。この科には、カボチャ、スカッシュ、ヒョウタン、スイカ、ヘチマ、およびいくつかの雑草が含まれる。認識されているキトルルス種には4種、すなわちC.ラナツス、コロシントウリ、C.レーミイ(C.rehmii)およびC.エキルローズス(C.ecirrhosus)があり、これらすべてが22本の染色体を有し、うまく相互に交雑されることができる。 [0007]C.ラナツスは一年生スイカである。これは、大型の広い緑色の葉を有し、その葉は形が円形から三角卵形であり、切れ込みの深い3から5裂片であるか、ときに裂片なしである。花は大きさが中型で、雌雄同株で、短い小花柄を有する。果実は中から大型で、厚い皮および高水分含量の固形果肉を有する。果肉の色は赤、黄または白のことがある。種子は卵形から楕円形であり、ひどく扁平で、白または褐色の種皮を有する。この植物の根系は土壌表面下に6フィート以上伸びる深く広がる半ひげ根半主根系である。 [0008]コロシントウリは、多年生スイカである。コロシントウリは、主に植物器官の大きさがC.ラナツスと異なる。葉は小さく幅の狭い裂片を有し、有毛で色は帯灰色である。花は雌雄同株で小さい。秋に豊かに開花し、そのときに新たな栄養成長も起こる。種子は小さく褐色である。果実は小さく、直径3インチを超えず、皮および海綿状の果肉は常に苦い。 [0009]C.エキルローズスは多年生スイカである。C.エキルローズスは、栄養特性ではコロシントウリとよく類似するが、葉裂数はさらに多く、葉は密な細毛で覆われ、大きく反曲した縁を有する。巻きひげは欠如している。果実はやや球形で、白い果肉を有し、コロシントウリのように苦い。花は生育2年目まで作られない。 [0010]市販のスイカ植物は雌雄同株で、雄花および雌花の両方を作る。小さなスイカに似た基部の膨らみによって雌花を容易に認めることができる。ミツバチは主に午前中に花に受粉する。濃緑色から黄色の皮着色、縞模様または無地の着色を有し、種ありまたは種なしの品種により多くの多様な栽培品種が作出される。果実の形は球形から楕円形まで多様である。 [0011]スイカ品種は、どのように種子が成熟するかに基づき、放任受粉、F1雑種、および三倍体(通常、種なしと称される)の3つの広いクラスに分かれる。放任受粉品種は、数世代の選抜を経て開発される。その選抜は、収量、品質特性および耐病性に基づくことがある。F1雑種は数世代にわたり自家受粉させてから交雑した2つの同系交配系統から開発される。F1雑種の種子は、放任受粉された種子に比較してタイプおよび収穫時期の均一性の増大を示し、類似条件で生育した放任受粉変種よりも20%から40%の収量増加を示すことがある。第3のタイプは三倍体または種なしスイカである。これらは、通常の染色体数を倍加したスイカ植物を作出し、それらを通常のスイカ植物と交雑することによって開発される。結果として生じた植物は正常な染色体数の1.5倍を有する。これらの植物が奇数の染色体を有することから、生存可能な種子を形成することができない。三倍体スイカは種なしと称されるが、本当は種なしではなく、むしろ柔らかく可食の未発達の種子を有する。 [0012]育種方法または選抜方法の選択は、植物の再生様式、改良される形質の遺伝率、および商業的に栽培される栽培品種の種類(例えば、F1雑種栽培品種、純系栽培品種など)に依存する。高度に遺伝性の形質については、単一の場所で評価された優良な個別の植物を選択することが有効であろうが、低遺伝率の形質については、選抜は関係する植物のファミリーの反復評価から得られた平均値に基づくべきである。一般的な選抜方法には、一般に系統選抜、修正系統選抜、集団選抜、および循環選抜がある。 [0013]遺伝の複雑性は育種方法の選択に影響する。戻し交雑育種は、高遺伝性の形質について1つまたは少数の好都合な遺伝子を望ましい栽培品種に導入するために使用される。このアプローチは、耐病性栽培品種の育種に広く使用されてきた。様々な循環選抜技法が、多数の遺伝子により制御される量的遺伝形質を改良するために使用される。自家受粉作物への循環選抜の使用は、受粉の容易さ、各受粉からの雑種の成功頻度、および成功した各交雑からの雑種後代数に依存する。 [0014]各育種プログラムは、育種手順の有効性を定期的に客観的に評価することを含むべきである。評価基準は、目標および目的に応じて多様であるが、適切な標準との比較に基づき1年あたりの選抜による利益、最新育種系統の全体的な値、および単位投入量あたり(例えば、1年あたり、支出した1ドルあたりなど)で作出された成功栽培品種の数を含むべきである。 [0015]有望な最新育種系統は徹底的に検査され、少なくとも3年間販売ターゲット地域を代表する環境で適切な標準と比較される。最良の系統は新しい市販用栽培品種の候補であり、少数の形質をまだ欠損する系統が、さらなる選抜のための新しい集団を作出するための親として使用される。 [0016]販売および流通の最終段階に至るこれらの過程には、最初の交雑が行われたときから通常8から12年間かかる。したがって、新しい栽培品種の開発は時間のかかる過程であり、正確な将来計画、効率的な資源の利用、および最小限の方向変更を必要とする。 [0017]たいていの形質について真の遺伝子型の値が他の困惑させる植物形質または環境因子によって遮蔽されていることから、最も困難な作業は、遺伝的に優良な個体の同定である。優良な植物を同定する一方法は、他の実験植物および広く栽培されている標準栽培品種に比較してその性能を観察することである。1回の観察で結論が出ないならば、反復観察がその遺伝的価値のよりよい推定をもたらす。 [0018]スイカ植物育種の目標は、新しく独特で優良なスイカ同系交配種および雑種を開発することである。育種家は最初2つ以上の親系統を選抜および交雑し、続いて自殖および選抜を繰り返し、多くの新しい遺伝的組合せを作出する。育種家は、交雑、自殖および突然変異を介して数10億の異なる遺伝的組合せを理論的に生成することができる。育種家は細胞レベルでの直接制御は行わない。したがって、同じ系統や、似通った系統でさえ、同じスイカ形質を有する系統を持つ系統を開発する育種家は2人といないだろう。 [0019]毎年、植物育種家は次世代にある遺伝資源を選抜する。この遺伝資源は、独特で異なる地理、気候および土壌条件で生育され、次に生育期の途中および終わりにさらなる選抜が行われる。開発された品種は予測不可能である。この予測不可能性は、育種家の選抜が独特の環境で起こり、DNAレベルで制御されておらず(従来の育種手順を使用)、数百万の異なる可能な遺伝的組合せが生成するからである。当技術分野の育種家は、ひょっとしたら非常に概略的で一般的な方法を除いては、開発の結果として生じる最終系統を予測することはできない。同じ育種家が正確に同じ起源の親および同じ選抜技法を使用しても同じ系統を2度作出することはできない。この予測不可能性は、優良な新しいスイカ品種を開発するために多額の研究費用を支出する結果となる。 [0020]市販用スイカ雑種の開発は、ホモ接合性同系交配系統の開発、これらの系統の交雑、およびその交雑種の評価を必要とする。系統選抜、戻し交雑選抜または循環選抜育種法は、育種集団から系統を開発するために使用される。育種プログラムは、2つ以上の系統または様々な幅広い供給源からの望ましい形質を組合せて育種プールに入れ、そのプールから突然変異対立遺伝子が自殖および所望の表現型の選抜により開発される。新しい同系交配種が他の同系交配系統と交雑され、これらの交雑からの雑種が評価されて、どれが商業的潜在性を有するかが決定される。 [0021]自家受粉作物または他家受粉作物の同系交配親を改良するために、系統育種が通常使用される。好適な相補的形質を有する2つの親を交雑してF1を作出する。1つもしくはいくつかのF1の自殖により、または2つのF1の相互交雑(同胞交配)によりF2集団を作出する。最良の個体の選抜は、通常はF2集団で始まり、次にF3で始まる。最良のファミリー中の最良の個体が選抜される。ファミリーまたはこれらのファミリーの個体を伴う雑種組合せの繰り返し検査がF4世代で続き、低遺伝率を有する形質の選抜の有効性を改善する。同系交配の進行した段階(すなわちF6およびF7)で、新しい栽培品種または雑種用の新しい親として発売する潜在性について最良の系統または表現型が類似の系統の混合物を検査する。 [0022]集団選抜および循環選抜を使用して、自家受粉または他家受粉作物のいずれかの集団を改良することができる。ヘテロ接合性個体の遺伝的に多様な集団を、同定するか、またはいくつかの異なる親を相互交雑することにより作出する。個体の優良性、傑出した子孫、または優秀な組合せ能力に基づき、最良の植物を選択する。選択された植物を相互交雑してさらなる選抜サイクルが継続される新しい集団を作出する。 [0023]戻し交雑育種は、単純に遺伝し、高度に遺伝性の形質についての遺伝子を、反復親である望ましいホモ接合性品種または同系交配種に導入するために使用されてきた。導入される形質の供給源は、ドナー親と呼ばれる。結果として生じる植物は、反復親(例えば栽培品種)の特質およびドナー親から移入された望ましい形質を有すると予想される。最初の交雑後に、ドナー親の表現型を有する個体が選択され、反復親に繰り返し交雑される(戻し交雑)。結果として生じる植物は、反復親(例えば栽培品種)の特質およびドナー親から導入された望ましい形質を有すると予想される。 [0024]突然変異育種は、スイカ品種に新しい形質を導入する別の方法である。自然に起こる突然変異および人工的に誘導される突然変異は、植物育種家にとって変異性の有用な供給源である。人工突然変異誘発の目標は、所望の特徴について突然変異率を増大させることである。温度、種子の長期保存、組織培養条件、放射線(X線、ガンマ線、中性子、β線、または紫外線など)、化学突然変異誘発物質(5−ブロモ−ウラシルのような塩基アナログなど)、抗生物質、アルキル化剤(スルファマスタード、ナイトロジェンマスタード、エポキシド、エチレンアミン、スルファート、スルホナート、スルホン、またはラクトンなど)、アジド、ヒドロキシルアミン、亜硝酸またはアクリジンを含めた多くの異なる手段により突然変異率を増大させることができる。突然変異誘発によって一度所望の形質が観察されたならば、次に伝統的な育種技法によりその形質を現存する生殖質に組み込むことができる。突然変異育種の詳細は、Fehrによる「Principles of Cultivar Development」Macmillan Publishing Company、1993に見出すことができる。 [0025]突然変異育種は、細胞分裂の際のの微小管形成を阻害する化学物質であるコルヒチンなどの染色体倍加剤を伴う。コルヒチンで処理されると、細胞の染色体は正常のときと同じく有糸分裂に備えてコピーされるが、微小管の欠如が細胞の分割を阻止する。結果は、生物の染色体の正常なセットを2倍含む未分裂細胞である。次に、コルヒチン処理細胞は完全な植物に再生され、その植物体では、各細胞の染色体が倍加している。ミスマッチした染色体を有する個体がコルヒチンで処理されたならば、その染色体は倍加することにより、有性生殖時に正しく配偶できる配偶パートナー染色体を作り出すであろう。この手順は、以前に不稔性の個体に稔性を回復することができ、新たな稔性の複二倍体植物は、次に、さらなる形質について観察できる分離後代を作出することができる。コルヒチンを使用して正常な栽培植物の染色体数を倍加することもでき、その結果、その植物が別の染色体数を有する別の植物と容易に組合せることができるようになりうる。 [0026]異なる形質および作物について通常使用される他の育種方法の説明は、いくつかの参考文献の1つに見出すことができる(例えば、Principles of Plant Breeding、John Wiley and Son、115〜161頁、1960;Allard、1960;Simmonds、1979;Sneepら、1979;Fehr、1987)。 [0027]妥当な検査は任意の主要な欠点を検出して、現行の栽培品種の優良性または改良のレベルを確立するはずである。優良な性能を示すことに加えて、業界基準と適合する、もしくは新しい市場を作り出す、新品種の需要があるに違いない。新栽培品種の導入は、特別の広告およびマーケティング、改変された種子生産および市販生産の実施、ならびに新生産物の利用のために種子生産者、栽培者、加工業者および消費者に追加のコストを招くであろう。発売前の新栽培品種の検査は、研究開発コストおよび最終栽培品種の技術的優良性を考慮すべきである。種子繁殖される品種については、種子を容易かつ経済的に生産することが実行可能でなければならない。 [0028]最良の掛け合わせ性能を与える同系交配種が一旦同定されたならば、その同系交配親の均一性が維持される限り、その掛け合わせ種子を無限に再生産することができる。2つの同系交配種が交雑されてF1後代が作出されるときに単交雑雑種が作出される。 [0029]スイカは、硬く白い果肉と、無味または苦味とを有する小さな果実をもつ晩生つる植物から、食べられる甘い果肉を有する大きな果実をもつ早生のより小型の植物に栽培化および正式に植物育種することによって改良された。前世紀には、米国および世界中の公的または私的事業に従事する植物育種家は、耐病性、矮性つる、大きな果実、高い糖含量、高いリコペン含量、種なし、ならびに暗赤色、橙色および黄色などの新しい果肉の色を有する品種を発表した。種なし三倍体雑種の育種における最近の進歩の結果として、スイカの人気回復が生じ、1人あたりの消費量は1980年から37%増加した。 [0030]しかし、そのようなおびただしい多様性を有しても、たいていのスイカ植物は大型で、5から40ポンドの重量の大きな果実を作出し、一方で小さい植物および果実の需要はますます増えている。いくつかの小さな植物が発見され、矮性植物の傾向を生じる遺伝子dw−1が単一劣性遺伝子として同定された(Mohr、H.C.、Proc.Assoc.Southern Agric.Work.、53:174(1956))。1975年に植物の根際からの多分枝性を制御する別の単一劣性矮性遺伝子dw−2が同定された(Mohr、H.C.およびM.S.Sandhu、J.Am.Soc.Hortic.Sci.100:135〜137)。 [0031]これらの矮性遺伝子は、果実ではなく植物にのみ適用され、小さな植物に大きな果実を生じる。スイカの育種家にとって小さな果実を商業的に許容できる収量有する小さな植物を開発することは非常に困難であった。予想外に、本発明のHMBN対立遺伝子は、商業的に許容できる収量で小さな植物と小さな果実の両方を生じる。発明の概要 [0032]本発明は、ホモ接合性状態で存在する場合に小型植物および小さな果実の形成によって表現型が発現されるキトルルスラナツス由来の新規な対立遺伝子を提供する。この突然変異対立遺伝子は、単一劣性遺伝子であると決定された。本発明は、突然変異対立遺伝子を含む植物、種子、果実ならびに花粉および胚珠などの他の植物部分をさらに提供する。 [0033]本発明は、突然変異対立遺伝子を欠如する変種を、その対立遺伝子を有する変種と交雑すること、その後代を、その突然変異対立遺伝子を欠如した変種と戻し交雑すること、結果として得られた世代を自殖すること、および次に小型植物およびより小さな果実を示す植物を選抜することによる、植物に対立遺伝子を導入する方法も提供する。 [0034]別の態様では、本発明は、第1栽培品種植物親を第2栽培品種植物親と交雑すること、および結果として得られた雑種キトルルスラナツス種子を収穫することを含む、雑種キトルルスラナツス種子を作出する方法を提供し、ここで、両方の親は突然変異対立遺伝子を含む栽培品種である。当該方法により作出された雑種種子、植物および部分も本発明の一部である。 [0035]本発明の別の態様は、突然変異対立遺伝子HMBNを有する任意のスイカ種子または植物に関する。 [0036]別の態様では、本発明は、組織培養で使用するための再生可能な細胞を提供する。この組織培養は、好ましくは前述の同系交配スイカ植物の生理的および形態的特徴を有する植物を再生でき、かつ前述の同系交配スイカ植物と実質的に同じ遺伝子型を有する植物を再生できるであろう。好ましくは、当該組織培養で再生可能な細胞は、胚、プロトプラスト、分裂組織細胞、カルス、花粉、葉、葯、茎、葉柄、根、根端、果実、種子、花、子葉、胚軸などであろう。さらに、本発明は、本発明の組織培養から再生されたスイカ植物を提供する。定義 [0037]以下に続く説明および表に、多数の用語が使用されている。当該用語に与えられる範囲を含めて、明細書および特許請求の範囲を明確に一貫して理解するために、以下の定義がもたらされる。 [0038]対立遺伝子。「対立遺伝子」は、遺伝子の任意の1つまたは複数の代替形態であり、その対立遺伝子のすべては一形質または一特徴に関係する。二倍体細胞または生物では、任意の遺伝子の2つの対立遺伝子は相同染色体対上の対応する遺伝子座を占有する。 [0039]戻し交雑。戻し交雑は、育種家が雑種後代をその親の一方と、例えば1代雑種F1をそのF1雑種の親遺伝子型の一方と繰り返し戻し交雑する過程である。 [0040]平均果実長。「平均果実長」は、特定の遺伝子型の1つまたは複数のスイカ植物から収穫されたすべての果実のcm単位の平均長を意味する。 [0041]平均果実数。「平均果実数」は、特定の遺伝子型の1つまたは複数のスイカ植物から収穫された果実の平均数を意味する。 [0042]平均果実重量。「平均果実重量」は、特定の遺伝子型の1つまたは複数のスイカ植物からのすべての果実のkg単位の平均重量を意味する。 [0043]平均果実幅。「平均果実幅」は、特定の遺伝子型の1つまたは複数のスイカ植物から収穫されたすべての果実のcm単位の平均幅を意味する。 [0044]平均節間長。「平均節間長」は、cm単位で測定された、特定の遺伝子型のスイカ植物の平均節間長を意味する。 [0045]平均葉長。「平均葉長」は、先端から葉柄基部までの中肋に沿った葉の平均距離を意味する。 [0046]平均葉幅。「平均葉幅」は、葉の中肋に垂直な葉の最も幅広い部分の平均距離を意味する。 [0047]平均長幅比(L/W比)。「平均長幅比」(L/W比)は特定の遺伝子型の1つまたは複数のスイカ植物から収穫されたすべての果実からの平均長幅比を意味する。 [0048]最長枝の平均長。「最長枝の平均長」は、植物の根際から測定したcm単位のスイカ植物の最長枝の平均長を意味する。 [0049]最短枝の平均長。「最短枝の平均長」は、植物の根際から測定したcm単位のスイカ植物の最短枝の平均長を意味する。 [0050]雌花の平均数。「雌花の平均数」は、特定の日に植物1体あたり開花している雌花の平均数を意味する。日数は第1花からの日数を表す。 [0051]雄花の平均数。「雄花の平均数」は、特定の日に植物1体あたり開花している雄花の平均数を意味する。日数は第1花からの日数を表す。 [0052]30cmでの2次分枝の平均数。「30cmでの2次分枝の平均数」は、特定の遺伝子型のスイカ植物の根際から30cmで測定された2次分枝の平均数を意味する。 [0053]90cmでの2次分枝の平均数。「90cmでの2次分枝の平均数」は、特定の遺伝子型のスイカ植物の根際から90cmで測定された2次分枝の平均数を意味する。 [0054]染色体倍加剤。コルヒチン、オリザリン、トリフルラリン、アミプロホスメチル、およびNO2ガスを含めた多数の分裂阻害剤のうちの任意の1つ。 [0055]コルヒチン。コルヒチンは、コルチカムアウツムナーレ(Colchicum autumnale)(イヌサフラン)の球茎および種子から調製されたアルカロイドである。通常は細胞分裂に備えて細胞がそれの染色体を複製した後で、紡錘体が形成し、染色体に付着し、細胞の対側に染色体を移動させる。次に、細胞は娘細胞のそれぞれに1組の染色体を有して分裂する。コルヒチンは、紡錘体微小管の形成を阻害することにより細胞分裂を抑制し、細胞がその対側に染色体の2つのコピーを分配させるのを阻止する。そのとき、細胞は分裂できない。 [0056]二倍体。2組または1対の染色体を有すること。 [0057]二倍体植物。「二倍体植物」は、二倍体種子を蒔くことから、またはミクロ繁殖から得られた植物または移植した植物を意味する。 [0058]本質的にすべての生理的および形態的特徴。「本質的にすべての生理的および形態的特徴」を有する植物は、変換された遺伝子から得られた特徴を除き、生理的および形態的特徴を有する植物を意味する。 [0059]爆発性皮(explosive rind)。スイカにおける「爆発性皮」は、皮が柔らかくナイフで切ったときに破裂しうる形質である。爆発性皮は「e」と呼ばれる遺伝子により起こる。皮はスイカ果実が生理的成熟に達する前にも爆発することがあり、市販できない果実に終わる。 [0060]雌花。「雌花」は雌蕊をもつ不完全花を意味する。 [0061]果実の硬さ。「果実の硬さ」は、果実加圧検査器(8.0mmチップを備えるモデルFT327、International Ripening Company、ノーフォーク、バージニア州)を用いて果実の外皮を穿刺するのに必要なポンド単位の圧を意味する。 [0062]半数体。生殖細胞と同数または体細胞の半数の染色体の組を有する。 [0063]空洞果(hollowheart)。「空洞果」は、急速な果実の成長および軟弱な組織によって起こるおそれのある、内果皮内の組織が分離する特徴である。空洞果(または胎座部の分離(placental detachment)である一変形)の存在は環境に影響されるが、同系交配系統の開発に対して選抜されることもある。この望ましくない形質の遺伝的制御については理解されていない。 [0064]分裂葉。「分裂葉」は2つ以上の裂片を有する葉を意味する。 [0065]雄花。「雄花」は雄蕊をもつ不完全花を意味する。 [0066]不分裂葉。「不分裂葉」は分裂していない葉を意味する。 [0067]植物。「植物」には、植物細胞、植物プロトプラスト、スイカ植物を再生できる組織培養からの植物細胞、植物カルス、植物集塊、および植物または花粉、花、種子、葉、茎、皮、果肉などの植物部分において無傷な植物細胞がある。 [0068]植物径。「植物径」はインチ単位の植物計測の平均長を意味する。 [0069]倍数性。細胞または生物における1組の染色体の数。 [0070]量的形質遺伝子座(QTL)。「量的形質遺伝子座(QTL)」は、通常は連続的に分布している数的に表現できる形質をある程度制御する遺伝子座を表す。 [0071]再生。「再生」は組織培養からの植物の発育を表す。 [0072]皮のパターン。「皮のパターン」は、灰色と称されることが多い淡緑から、中間の緑色、ほとんど黒色に見える極濃緑までのスイカの皮の着色である。さらに、皮は変種またはタイプに典型的な様々な模様の縞を有することがある。したがって、「虎縞(tiger stripe)」、「斑紋縞(mottle stripe)」、「濃斑紋縞(dark mottle stripe)」などの用語が様々なパターンを識別するために使用される。 [0073]2次分枝。「2次分枝」は、1次(根際)分枝の分裂に起因する枝を意味する。 [0074]種なし。「種なし」は、胚の発育が不全であり成熟した生存可能な種子を作出する前に種子の発育過程が停止したスイカ果実を意味する。種なし果実は発育途中の種子の痕跡を含むことがあり、ときに種皮が形成して硬化し種子の外観を有することがある。 [0075]単一遺伝子変換。「単一遺伝子変換」植物は、戻し交雑と呼ばれる植物育種技法により、または遺伝子工学を介して開発された植物を表し、その植物では、戻し交雑技法または遺伝子工学を介して同系交配種に導入された単一遺伝子に加えて、同系交配種の本質的にすべての所望の形態的および生理的特徴が回復する。 [0076]四倍体。細胞核に半数体の4倍の染色体数を有すること。 [0077]厚い皮。「厚い皮」はポリジーン的に遺伝する(1つよりも多い遺伝子によって制御される)。厚い皮は果実全径(果実の大きさ)に比例する。3/4”の皮の厚さは16ポンドのスイカに許容できるが、10ポンドのスイカを市販できるには、皮はわずか1/4”であるべきである。 [0078]三倍体植物。「三倍体植物」は三倍体種子を蒔くことから、またはミクロ繁殖から得られた植物または移植された植物を意味する。 [0079]つるの長さ。「つるの長さ」は、ランナー(つる)の長さであり、インチ単位で測定される。 [0080]収量。「収量」は1エーカーあたり収穫されたスイカ果実のポンド単位の総重量を意味する。発明の詳細な説明 [0081]本発明は、キトルルス属における「HMBN」と呼ばれる新しい対立遺伝子に関し、この対立遺伝子の表現型は多分枝性小型植物および小さな果実となって発現する。本発明は、スイカ種子、スイカ植物および植物の部分、新しいHMBN対立遺伝子を含むスイカ品種およびスイカ雑種にも関する。本発明は、開示されたスイカ植物および種子を作出する方法にも関する。 [0082]この突然変異対立遺伝子を有するスイカ植物の習性は、正常な二倍体およびdw−2またはdw−1遺伝子を含むホモ接合性系統に比べて2次分枝が顕著に増加する。 [0083]本発明の対立遺伝子は、寄託された栽培品種とその近縁栽培品種との間で容易に導入される。本発明の対立遺伝子および方法を使用して、商業生産のために果実の重量ならびにすべてのC.ラナツス栽培品種の植物の習性を変更および低減することができる。一般に、その方法は一方の親の除雄に続いて、その第1の親の柱頭へのもう一方の親の花粉塗布を伴う。花粉の親としてどちらの親を用いても交雑を行うことができる。 [0084]本発明の植物は、請求された突然変異対立遺伝子についてホモ接合性の植物を、その対立遺伝子を欠如する任意のスイカ栽培品種と交雑することにより得ることができる。その対立遺伝子を含む植物は、因子が以前に遺伝的に固定された栽培品種を含めた任意のC.ラナツス品種でありうる。 [0085]HMBN対立遺伝子は単一劣性対立遺伝子として働くことから、F1世代は多枝性ではないであろう。その対立遺伝子についてホモ接合性の植物だけが多分枝表現型を完全に示すであろう。この表現型を使用して、請求された突然変異対立遺伝子についてホモ接合性である後代を同定することができる。F1集団を自殖した後に、F2世代は約1:3の比でその表現型を示すであろう。F2多分枝性個体を正常な反復親植物と戻し交雑すると、戻し交雑F1集団が作出されるであろう。その戻し交雑F1集団を自殖すると、戻し交雑F2世代が得られるであろう。F2集団と同様に、多分枝形質はこの集団で約1:3の比に分離するであろう。反復戻し交雑は、反復親栽培品種の特徴を有する多分枝性栽培品種を作出するであろう。このように、HMBN対立遺伝子は、結果として生じる栽培品種に遺伝的に固定されるようになるであろう。次に、所望により有性交雑により他の栽培品種にその形質を伝播することができる。 [0086]他の育種スキームを使用して、所望の栽培品種にHMBN対立遺伝子を導入することができる。使用される特別なスキームは、その対立遺伝子が栽培品種のゲノムに安定に組み込まれる限り、本発明に重大ではない。例えば、マーカー遺伝子を使用することができる。マーカー遺伝子とハイブリダイズする核酸プローブを使用して、F1世代における所望の植物を同定することができる。 [0087]未知の多分枝性栽培品種が請求されたHMBN対立遺伝子を有するかどうかを決定するために、アレリズムについての古典的遺伝子検査を行うことができる。その栽培品種を、請求された対立遺伝子を有することが公知の植物と交雑する。結果として生じるF1世代を分析することによって、未知の栽培品種の遺伝子型を決定することができる。未知の栽培品種がHMBN対立遺伝子を有するならば、多分枝性表現型がF1世代に観察されるであろう。 [0088]HMBN対立遺伝子は、ある栽培品種から別の栽培品種に容易に導入される。ホモ接合性状態は同定がかなり容易である。ホモ接合体を早期に、開花のかなり前に同定することができる。 [0089]HMBN対立遺伝子は、耐病性、果実の早熟性、耐乾燥性、果実の形、種なしなどの他の望ましい遺伝的形質を含む品種に有利に導入されるであろう。 [0090]本発明のスイカは、スイカ育種プロジェクトから現れた予想外の突然変異対立遺伝子であった。系統610f5として公知であるスイカ育種系統がこの育種プロジェクトに使用され、HMBN対立遺伝子を含んでいた。 [0091]本発明のスイカ突然変異体は他の種子系統および栄養系統に交雑された。F2世代に突然変異形質を発現している一連のスイカ植物を作出した。このシリーズの植物からの自殖種子はすべて多分枝性の植物を作出した。 [0092]本発明は、遺伝物質中に1つまたは複数の導入遺伝子を含むスイカ植物を作出する方法およびその方法により作出されたトランスジェニックスイカ植物にも関する。 [0093]別の態様では、本発明は、HMBNの単一遺伝子変換植物を提供する。単一導入遺伝子は、好ましくは優性または劣性対立遺伝子でありうる。好ましくは、単一導入遺伝子は、雄性不稔、除草剤耐性、耐虫性、細菌、真菌、またはウイルス病耐性、雄性稔性、早生、栄養品質の強化、および香気の強化などの形質を付与するであろう。単一遺伝子は、天然スイカ遺伝子または遺伝子工学技法により導入された導入遺伝子のことがある。 [0094]本発明は、循環選抜、戻し交雑、系統育種、制限酵素断片長多型に促進される選抜、遺伝子マーカーに促進される選抜および形質転換を含めた植物育種技法を用いたスイカ植物育種プログラムにおいてスイカ植物を開発する方法をさらに提供する。当該育種方法により作出された種子、スイカ植物、およびその部分も本発明の一部である。 [0095]本発明は、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0、および10.0を含めた全整数およびその部分の範囲の果実数を含めて、3.0よりも多い平均果実数を有する。 [0096]本発明の別の態様は、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、40.0、41.0、42.0、43.0、44.0、45.0、46.0、47.0、および48.0を含めた全整数およびその部分の範囲に30cmで20.0よりも多い2次分枝数を含んで、30cmで20.0よりも多い平均2次分枝数を有する。 [0097]本発明の別の態様は、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、40.0、41.0、42.0、43.0、44.0、45.0、46.0、47.0、48.0、49.0、および50.0を含めた全整数およびその部分の範囲に90cmで19.0よりも多い2次分枝数を含んで、90cmで19.0よりも多い平均2次分枝数を有する。 [0098]本発明の別の態様は、1.5、1.4、1.3、1.2、1.1、1.0、0.9、0.8、0.7、0.6、0.5、0.4、および0.3kgを含めた全整数およびその部分の範囲の果実重量を含めて、1.5キログラム未満の平均果実重量を有する。 [0099]本発明の別の態様は、17.0、16.0、15.0、14.0、13.0、12.0、11.0、10.0、9.0、8.0、7.0、6.0、5.0、および4.0ポンドを含めた全整数およびその部分の範囲の果実の硬さを含めて、17.0ポンド未満の果実の平均硬さを有する。 [0100]本発明の別の態様は、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、30.0、31.0、32.0、33.0、34.0、35.0、36.0、37.0、38.0、39.0、および40.0を含めた全整数およびその部分の範囲の8日目平均雄花数を含めて、8日目に13.0よりも多い平均雄花数を有する。 [0101]本発明の別の態様は、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、21.0、22.0、23.0、24.0、25.0、26.0、27.0、28.0、29.0、および30.0を含めた全整数およびその部分の範囲の15日目平均雄花数を含めて、15日目に11.0よりも多い平均雄花数を有する。 [0102]本発明の別の態様は、7.0、8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、13.0、14.0、15.0、16.0、17.0、18.0、19.0、20.0、および21.0を含めた全整数およびその部分の範囲の22日目平均雄花数を含めて、22日目に7.0よりも多い平均雄花数を有する。 [0103]本発明は、キトルルス種の独特な植物を開発することに関する。本発明のスイカ植物は、分枝に大幅な増加を発現する結果として小型植物を生じる。この特徴を伝えるHMBNと称する移入可能な遺伝子または対立遺伝子が単離され、他の遺伝的背景に組み込まれた。本発明の対立遺伝子は異なる遺伝的背景のスイカにも発現された。 [0104]以下の実施例は、本発明をさらに説明するためにもたらされ、添付の特許請求の範囲に述べられる限定を超えて本発明を限定することを意図しない。実施例1 [0105]本発明のHMBN対立遺伝子は、植物1体あたりの2次分枝数を大きく増加させる。検査された標準二倍体変種は、植物1体あたり平均16本の2次分枝であった。検査された矮性種は3から25本の範囲の2次分枝であり、植物1体あたり平均11.3本であった。本発明の多分枝性系統は植物1体あたり32から72本の範囲の2次分枝であり、平均44.9本であった。本発明において、その植物は標準二倍体変種よりも見た目に小さい。本発明の平均最長枝は、標準二倍体変種の226.7cmに比べて142.8cmである。6個の異なる被験矮性系統は最長枝について平均100.6cmであり、これは本発明の多分枝性系統および標準二倍体のどちらよりも小さい。本発明では、この植物は、標準二倍体よりも顕著に短いが、矮性系統ほどは短くない節間も有する。 [0106]下記表1に示すように、本発明のHMBN対立遺伝子を含む変種HMBNを2つの矮性変種であるJ86(dw−2)およびBush Jubilee(dw−1)、ならびに標準二倍体変種Allsweetと比較する。 [0107]本発明のHMBN対立遺伝子は、被験矮性系統および二倍体標準のどちらよりも植物1体あたりの花の数が明らかに非常に増加する。この花数の増加は、雄花および雌花の両方にあてはまり、花期の間不変である。 [0108]下記表2では、本発明のHMBN対立遺伝子を含む品種であるHMBNを、2つの矮性品種J86およびBush Jubilee、ならびに標準二倍体Allsweetと22日間の花期にわたり植物あたりの花の数について比較する。 [0109]本発明のHMBN対立遺伝子は、被験矮性品種および標準二倍体品種に比べて植物1体あたりの果実数も増加させる。本発明の多分枝性系統は、植物1体あたり平均9.1個の果実に達し、一方で、矮性系統は植物1体あたり平均1.8個の果実に達し、標準二倍体変種は植物1体あたり平均1.0個の果実に達する。本発明のHMBN対立遺伝子を含む変種の果実重量は、同様に標準二倍体よりも小さく、8.98kgに比べて1.6kgであった。 [0110]表3において、本発明のHMBN対立遺伝子を含む品種を、2つの矮性品種J86およびBush Jubilee、ならびに標準二倍体品種Allsweetと葉および果実の特徴について比較する。実施例2 [0111]HMBN系統と2つの矮性系統J86およびBush Jubileeとを交雑し、すべての可能性のあるF1組合せを作出した。すべてのF1は正常なつるのタイプを生じ、これは、HMBN、dw−1およびdw−2遺伝子が異なる単一劣性遺伝子であることを示している。実施例3 [0112]表4では、それぞれ正常/HMBNの2つの異なるF1集団を自殖してF2後代を作出した。正常系統はHM17であった。F2の分離データの結果は、予想される3:1表現型比に適合し、これは、HMBN対立遺伝子が単一劣性対立遺伝子であることを示している。実施例4 [0113]下記表5では、HMBN/dw−1の1つの別個のF1集団を自殖してF2後代を作出した。F2分離データの結果は、9:3:3:1の表現型比に一致し、これは、HMBNおよびdw−1遺伝子が異なる遺伝子座で単一劣性遺伝子として働くことを示している。実施例5 [0114]下記表6では、HMBN/dw−2の異なるF1集団を自殖し、F2後代を作出した。F2の分離データの結果は、9:3:3:1の表現型比に一致し、これは、HMBNおよびdw−2遺伝子が異なる遺伝子座で単一劣性遺伝子として働くことを示している。実施例6 [0115]下記表7では、HMBN対立遺伝子を有するHMBN遺伝子型の果実外部の硬さを、ポンド単位の針入度計の読み取り値(8.0mmチップを用いて果実加圧検査器、モデルFT327で計測)を用いてSangriaと比較した。HMBN対立遺伝子を含む品種について、ポンド単位の針入度計の平均読み取り値は6.93であったが、Sangriaについての平均は17.27であった。発明のさらなる実施形態 [0116]本発明は、第1親スイカ植物を第2親スイカ植物と交雑することによるスイカ植物を作出する方法にも関し、ここで、第1または第2親スイカ植物のいずれかは本発明のHMBN対立遺伝子を含む。さらに、本発明は、HMBN対立遺伝子を含む同系交配スイカ系統を、第2スイカ植物と交雑すること、およびその後代種子を生育させること、ならびに同系交配スイカ系統HMBN由来植物を用いた交雑段階および生育段階を1、2、3、4、5、6回から7回繰り返すことによって、同系交配スイカ系統HMBN由来スイカ植物を作出する方法にも関する。このように、HMBN対立遺伝子を含むスイカ系統を用いた(自殖、戻し交雑、雑種作出、集団との交雑などの)任意の方法は、本発明の一部である。親としてHMBN対立遺伝子を含むスイカ系統を用いて作出されるすべての植物は、HMBNを有する同系交配スイカ系統由来の植物を含めて、本発明の範囲内に属する。 [0117]これらの同系交配種は、細胞質または他の因子の日常的な操作により雄性不稔型で作出されうることが了解されるべきである。そのような実施形態も、本特許請求の範囲内に属すると考えられている。 [0118]本明細書に使用される用語「植物」には、植物細胞、植物プロトプラスト、スイカ植物を再生できる植物細胞組織培養物、植物カルス、植物集塊、および植物または胚、花粉、胚珠、花、葉、茎などの植物の部分において無傷な植物細胞がある。 [0119]当技術分野で十分に公知であるように、スイカの組織培養をスイカ植物のin vitro再生のために使用することができる。様々なスイカ組織の組織培養およびそこからの植物の再生は十分に公知であり公表されている。例として、器官を含む組織培養が、Regeneration and Micropropagation:Techniques,Systems and Media 1991−1995、Herman、E.B.編、Recent Advances in Plant Tissue Culture第3巻(1995);Desameroら、Plant Cell Tiss.Org.Cult.33:265〜271(1993);Tabeiら、Plant Tiss.Cult.Lett.10:235(1993)に記載されているように再生された植物を作出するために使用されてきた。このように、本発明の別の態様は、生育および分化したときにHMBN対立遺伝子を含むスイカ系統の生理的および形態的特徴を有するスイカ植物を作出する細胞を提供することである。 [0120]特定のタンパク質産物をコードする遺伝子を単離および特徴づけさせる分子生物学的技法の出現と共に、植物生物学分野の科学者は、特定の方法で植物の形質を改変するために、外来遺伝子または天然もしくは内因性の遺伝子(恐らく異なったプロモーターによって働く)の追加版もしくは修飾版を含み発現するための植物ゲノム工学に強い関心をもつようになった。そのような外来の追加遺伝子および/または修飾遺伝子は、本明細書においてまとめて「導入遺伝子」と称される。過去15から20年間、トランスジェニック植物を作出するいくつかの方法が開発され、特定の実施形態では、本発明は、突然変異対立遺伝子を有する、請求された植物の形質転換版にも関する。 [0121]植物形質転換は、植物細胞において機能するであろう発現ベクターの構築を伴う。当該ベクターは、調節エレメント(例えば、プロモーター)の制御下の、またはそれに動作可能に連結された遺伝子を含むDNAを備える。発現ベクターは、1つまたは複数の動作可能に連結された当該遺伝子/調節エレメントの組合せを含むことがある。これらのベクターは、プラスミドの形態のことがあり、単独で、または他のプラスミドと組合せて使用されて、スイカ植物の遺伝物質に導入遺伝子を組み込むために下記のような形質転換方法を使用して、形質転換スイカ植物をもたらすことができる。 スイカの形質転換のための発現ベクター [0122]マーカー遺伝子−発現ベクターは、負の選択、すなわち選択マーカー遺伝子を含まない細胞の成長を阻害すること、または正の選択、すなわち遺伝子マーカーによりコードされる産物をスクリーニングすることのいずれかにより、マーカーを含む形質転換細胞を回収させる調節エレメント(例えばプロモーター)に動作可能に連結した少なくとも1つの遺伝子マーカーを含む。植物形質転換に通常使用される多くの選択マーカー遺伝子は形質転換の分野で十分に公知であり、それらには、例えば抗生物質もしくは除草剤のことがある選択的化学薬剤を代謝的に解毒する酵素をコードする遺伝子、または阻害剤に非感受性の改変された標的をコードする遺伝子がある。少数の正の選択方法も当技術分野において公知である。 [0123]植物形質転換のために通常使用される1つの選択マーカー遺伝子は、トランスポゾンTn5から単離されたネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptII)遺伝子であり、その遺伝子は植物調節シグナルの制御下に置かれた場合にカナマイシン耐性を付与する。Fraleyら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、80:4803(1983);Eckら、Plant Cell Report、14:5 299〜304(1995)。別の通常使用される選択マーカー遺伝子は、抗生物質ハイグロマイシンに対する耐性を付与するハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ遺伝子である。Vanden Elzenら、Plant Mol.Biol.、5:299(1985)。 [0124]抗生物質耐性を付与する追加の細菌起源の選択マーカー遺伝子には、ゲンタマイシンアセチルトランスフェラーゼ、ストレプトマイシンホスホトランスフェラーゼおよびアミノグリコシド−3’−アデニルトランスフェラーゼ、ブレオマイシン耐性決定因子がある。Hayfordら、Plant Physiol.86:1216(1988);Jonesら、Mol.Gen.Genet.、210:86(1987);Svabら、Plant Mol.Biol.14:197(1990);Hilleら、Plant Mol.Biol.7:171(1986)。他の選択マーカー遺伝子は、グリホセート、グルホシネートまたはブロモキシニルなどの除草剤に対する耐性を付与する。Comaiら、Nature 317:741〜744(1985);Gordon−Kammら、Plant Cell 2:603〜618(1990)およびStalkerら、Science 242:419〜423(1988)。 [0125]細菌起源ではない植物形質転換のための選択マーカー遺伝子には、例えばマウス−ジヒドロ葉酸レダクターゼ、植物5−エノールピルビル−シキミ酸−3−リン酸シンターゼ、および植物アセト乳酸シンターゼがある。Eichholtzら、Somatic Cell Mol.Genet.13:67(1987);Shahら、Science 233:478(1986);Charestら、Plant Cell Rep.8:643(1990)。 [0126]植物形質転換のための別クラスのマーカー遺伝子は、抗生物質などの有毒物質に対する耐性について形質転換細胞を直接遺伝的選択するよりもむしろ推定的に形質転換された植物細胞をスクリーニングすることを必要とする。これらの遺伝子は、特定組織中の遺伝子発現の空間パターンを定量または視覚化するのに特に有用であり、遺伝子発現の研究のために遺伝子または遺伝子調節配列に融合できることから、レポーター遺伝子と称されることが多い。形質転換されたと推定される細胞をスクリーニングするために通常使用される遺伝子には、β−グルクロニダーゼ(GUS)、α−ガラクトシダーゼ、ルシフェラーゼ、およびクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼがある。Jefferson,R.A.、Plant Mol.Biol.Rep.5:387(1987);Teeriら、EMBO J.8:343(1989);Konczら、Proc.Natl.Acad.Sci U.S.A.84:131(1987);DeBlockら、EMBO J.3:1681(1984);Charngら、Plant Science Limerick.1994、98:2、175〜183;Hu Weiら、In vitro Cellular and Developmental Biology Plant 37:1 12〜18(2001);Agharbaouiら、Plant Cell Report 15:1/2 102〜105(1995)。 [0127]植物組織の破壊が必要ない、GUS活性を視覚化するin vivo法が利用できる。Molecular Probes publication 2908、IMAGENE GREEN、1〜4頁(1993)およびNalewayら、J.Cell Biol.115:151a(1991)。しかし、GUS活性を視覚化するためのこれらのin vivo法は、低感度、高蛍光バックグラウンドおよび選択マーカーとしてルシフェラーゼ遺伝子を使用することに関連する制限が原因で形質転換細胞の回収に有用であると証明されなかった。 [0128]緑色蛍光タンパク質(GFP)をコードする遺伝子が、原核細胞および真核細胞における遺伝子発現のマーカーとして利用されてきた。Chalfieら、Science 263:802(1994)。GFPおよびGFP突然変異体をスクリーニング可能なマーカーとして使用することができる。 [0129]プロモーター−発現ベクターに含まれる遺伝子は、調節エレメント、例えばプロモーターを含むヌクレオチド配列によって駆動されなければならない。単独またはプロモーターと組合せて使用できる他の調節エレメントと同様に、いくつかの種類のプロモーターが形質転換の分野で今や十分に公知である。 [0130]本明細書に使用する「プロモーター」は、転写の開始部から上流のDNA領域への参照を含み、転写を開始するためのRNAポリメラーゼおよび他のタンパク質の認識および結合に関与している。植物プロモーターは、植物細胞において転写を開始できるプロモーターである。発育制御下にあるプロモーターの例には、葉、根、種子、繊維、木部道管、仮道管、または厚壁組織などのある種の組織中で転写を選好的に開始するプロモーターがある。当該プロモーターは、「組織選好的(tissue−preferred)」と称される。ある種の組織中でのみ転写を開始するプロモーターは、「組織特異的」と称される。「細胞型」特異的プロモーターは、1つまたは複数の器官におけるある種の細胞型、例えば根また葉の維管束細胞における発現を主に推進する。「誘導性」プロモーターは、環境制御下にあるプロモーターである。誘導性プロモーターによる転写に影響しうる環境条件の例には、嫌気性条件または光の存在がある。組織特異的、組織選好的、細胞型特異的、および誘導性プロモーターは「非構成的」プロモータークラスを構成している。「構成的」プロモーターは、たいていの環境条件で活性なプロモーターである。 A.誘導性プロモーター [0131]誘導性プロモーターは、スイカに発現させるための遺伝子に動作可能に連結されている。場合により、誘導性プロモーターは、スイカに発現させるための遺伝子に動作可能に連結された、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列に動作可能に連結されている。誘導性プロモーターを用いると、転写率は誘導剤に応答して増加する。 [0132]任意の誘導性プロモーターを本発明に使用できる。Wardら、Plant Mol.Biol.22:361〜366(1993)参照。誘導性プロモーターの例には、銅に応答するACEI系からのプロモーター(Meftら、PNAS 90:4567〜4571(1993));ベンゼンスルホンアミド除草剤薬害軽減剤に応答するトウモロコシ由来In2遺伝子(Hersheyら、Mol.Gen Genetics 227:229〜237(1991)およびGatzら、Mol.Gen.Genetics 243:32〜38(1994))またはTn10由来Tetリプレッサー(Gatzら、Mol.Gen.Genetics 227:229〜237(1991))があるが、それに限定されるわけではない。特に好ましい誘導性プロモーターは、植物が通常は応答しない誘導剤に応答するプロモーターである。誘導性プロモーターの例は、ステロイドホルモン遺伝子由来誘導性プロモーターであり、その転写活性はグルココルチコステロイドホルモンにより誘導される(Schenaら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.88:0421(1991))。 B.構成的プロモーター [0133]構成的プロモーターは、スイカに発現させるための遺伝子に動作可能に連結されているか、または構成的プロモーターは、スイカに発現させるための遺伝子に動作可能に連結される、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。 [0134]多くの異なる構成的プロモーターを本発明に利用することができる。構成的プロモーターの例には、CaMV由来35Sプロモーターなどの植物ウイルス由来プロモーター(Odellら、Nature 313:810〜812(1985);Tababeizadehら、Plant Cell Report 19:2 197〜202(1999);Kunikら、Acta Horticulturae 447、387〜391(1997))、ならびにイネ−アクチン(McElroyら、Plant Cell 2:163〜171(1990));ユビキチン(Christensenら、Plant Mol.Biol.12:619〜632(1989)およびChristensenら、Plant Mol.Biol.18:675〜689(1992));pEMU(Lastら、Theor.Appl.Genet.81:581〜588(1991));MAS(Veltenら、EMBO J.3:2723〜2730(1984))およびトウモロコシH3ヒストン(Lepetitら、Mol.Gen.Genetics 231:276〜285(1992)およびAtanassovaら、Plant Journal 2(3):291〜300(1992))などの遺伝子由来プロモーターがあるが、それに限定されるわけではない。 [0135]西洋アブラナ(Brassica napus)ALS3構造遺伝子の5’側のALSプロモーターであるXba1/NcoI断片(または前記Xba1/NcoI断片に類似したヌクレオチド配列)は、特に有用な構成的プロモーターを代表する。PCT出願国際公開第96/30530号パンフレット参照。 C.組織特異的または組織選好的プロモーター [0136]組織特異的プロモーターは、スイカに発現するための遺伝子に動作可能に連結されている。場合により、組織特異的プロモーターは、スイカに発現させるための遺伝子に作動可能に連結された、シグナル配列をコードするヌクレオチド配列に作動可能に連結されている。組織特異的プロモーターに作動可能に連結された、対象となる遺伝子で形質転換された植物は、特定組織中で専らまたは選好的に導入遺伝子のタンパク質産物を産生する。 [0137]任意の組織特異的または組織選好的プロモーターを本発明に利用することができる。組織特異的または組織選好的プロモーターの例には、ファセオリン遺伝子由来のプロモーターなどの根選好的プロモーター(Muraiら、Science 23:476〜482(1983)およびSengupta−Gopalanら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82:3320〜3324(1985))、Grichkoら、Plant Physiology and Biochemistry 39:1 19〜25(2001)に言及されているようにアグロバクテリウムリゾゲネス(Agrobacterium rhizogenes)由来プロモーターrolDなど;cabまたはrubisco由来のプロモーターなどの葉特異的光誘導性プロモーター(Simpsonら、EMBO J.4(11):2723〜2729(1985)およびTimkoら、Nature 318:579〜582(1985));LAT52由来プロモーターなどの葯特異的プロモーター(Twellら、Mol.Gen.Genetics 217:240〜245(1989));Zm13由来プロモーターなどの花粉特異的プロモーター(Guerreroら、Mol.Gen.Genetics 244:161〜168(1993))またはapg由来プロモーターなどの小胞子選好的プロモーター(Twellら、Sex.Plant Reprod.6:217〜224(1993))があるが、それに限定されるわけではない。 細胞内区画を標的としてタンパク質を送り込むためのシグナル配列 [0138]クロロプラスト、液胞、ペルオキシソーム、グリオキシソーム、細胞壁もしくはミトコンドリアなどの細胞内区画に、またはアポプラストに分泌させるために、導入遺伝子により産生されるタンパク質を輸送することは、対象となるタンパク質をコードする遺伝子の5’および/または3’領域にシグナル配列をコードするヌクレオチド配列を動作可能に連結することにより成し遂げられる。構造遺伝子の5’および/または3’末端の標的配列は、タンパク質の合成およびプロセシング中に、コードされたタンパク質が最後にどこに区画化されるかを決定することができる。 [0139]シグナル配列の存在は、細胞内オルガネラもしくは細胞内区画のいずれかに、またはアポプラストへの分泌のためにポリペプチドを割り当てる。多くのシグナル配列は当技術分野で公知である。例えば、Beckerら、Plant Mol.Biol.20:49(1992);Close、P.S.、修士論文、アイオワ州立大学(1993);Knox、C.ら、Plant Mol.Biol.9:3〜17(1987);Lernerら、Plant Physiol.91:124〜129(1989);Fontesら、Plant Cell 3:483〜496(1991);Matsuokaら、Proc.Natl.Acad.Sci.88:834(1991);Gouldら、J.Cell.Biol.108:1657(1989);Creissenら、Plant J.2:129(1991);Kalderonら、Cell 39:499〜509(1984);Steifelら、Plant Cell 2:785〜793(1990)参照。 外来タンパク質遺伝子および作物遺伝子 [0140]本発明によるトランスジェニック植物を用いて、外来タンパク質を商業的な量で産生することができる。このように、当技術分野で十分に理解されている形質転換植物の選抜および繁殖のための技法によって、通常の方法で収穫された複数のトランスジェニック植物がもたらされる。次に、外来タンパク質を、対象となる組織または総バイオマスから抽出することができる。植物バイオマスからのタンパク質抽出を、例えばHeneyおよびOrr、Anal.Biochem.114:92〜6(1981)によって論じられた公知の方法によって成し遂げることができる。 [0141]好ましい実施形態により、外来タンパク質の商業的産生のために提供されるトランスジェニック植物はスイカである。別の好ましい実施形態では、対象となるバイオマスは種子である。高レベルの発現を示す相対的に少数のトランスジェニック植物について、主に従来のRFLP、PCRおよびSSR分析により遺伝子地図を作成することができる。その遺伝子地図は組み込まれたDNA分子の概算的な染色体位置を同定する。これに関する方法の例としては、GlickおよびThompson、Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology CRC Press、Boca Raton 269:284(1993)を参照されたい。染色体の位置に関する地図の情報は、主題トランスジェニック植物の所有権保護に有用である。未認可の繁殖が行われ、他の生殖質との交雑がなされるならば、組み込み領域の地図を被疑植物についての類似の地図と比較して、後者が主題植物と共通の親子関係を有するかどうか決定することができる。地図の比較は、ハイブリダイゼーション、RFLP、PCR、SSRおよび配列決定を伴い、それらすべてが通常の技法である。 [0142]同様に、本発明により作物遺伝子を形質転換植物に発現させることができる。さらに具体的には、植物を遺伝的に操作して作物学的関心対象となる様々な表現型を発現させることができる。これに関係する遺伝子の例には、以下に分類される遺伝子があるが、それに限定されるわけではない。 1.害虫および病気に耐性を付与する遺伝子であって、以下をコードする遺伝子: [0143]A.植物耐病性遺伝子。植物防御は、植物中の耐病性遺伝子(R)産物と病原体中の対応する非病原性(Avr)遺伝子産物との間の特異的相互作用により活性化されることが多い。植物突然変異対立遺伝子を、クローニングされた耐性遺伝子を用いて形質転換して、特異的病原体株に耐性の植物を加工して作ることができる。例えば、Jonesら、Science 266:789(1994)(クラドスポリウムフルブム(Cladosporium fulvum)に対する耐性のためのトマトCf−9遺伝子のクローニング); Martinら、Science 262:1432(1993)(シュードモナスシリンゲpv.トマト(Pseudomonas syringae pv.tomato)に対する耐性のためのトマトPto遺伝子はプロテインキナーゼをコードする);Mindrinosら、Cell 78:1089(1994)(シュードモナスシリンゲに対する耐性のためのシロイヌナズナRSP2遺伝子)参照。 [0144]B.バシルスツリンギエンシス(Bacillus thuringiensis)タンパク質、その誘導体またはそれに合わせて作った合成ポリペプチド。例えば、Bt−δ−エンドトキシン遺伝子のクローニングおよびヌクレオチド配列を開示しているGeiserら、Gene 48:109(1986)参照。さらに、δ−エンドトキシン遺伝子をコードするDNA分子は、American Type Culture Collection、マナッサス、バージニア州から例えばATCC受託番号第40098号、第67136号、第31995号および第31998号で購入することができる。Mandaokatら、Crop Protection.2000、19:5、307〜312も参照されたい。 [0145]C.レクチン。例えば、いくつかのクリビアミニアタ(Clivia miniata)マンノース結合レクチン遺伝子のヌクレオチド配列を開示しているVan Dammeら、Plant Molec.Biol.24:25(1994)による開示を参照されたい。 [0146]D.キュウリモザイクウイルス(CMV)のコートタンパク質をコードする遺伝子。CMVに耐性を付与するTomassoliら、Molecular Breeding.1999、5:2、121〜130を参照されたい。 [0147]E.酵素阻害剤、例えばプロテアーゼもしくはプロテイナーゼ阻害剤またはアミラーゼ阻害剤もしくはポリガラクツロナーゼ阻害剤タンパク質。例えば、Abeら、J.Biol.Chem.262:16793(1987)(イネ−システインプロテイナーゼ阻害剤のヌクレオチド配列);Huubら、Plant Molec.Biol.21:985(1993)(タバコ−プロテイナーゼ阻害剤IをコードするcDNAのヌクレオチド配列);Sumitaniら、Biosci.Biotech.Biochem.57:1243(1993)(ストレプトマイセスニトロスポレウス(Streptomyces nitrosporeus)α−アミラーゼ阻害剤のヌクレオチド配列)およびPowellら、Molecular Plant Microbe Interaction.2000、13:9 942〜950(真菌病原エンドポリガラクツロナーゼを阻害するためにナシ果実ポリガラクツロナーゼ阻害剤タンパク質を用いて形質転換されたトマト)参照。 [0148]F.エクジステロイドもしくは幼若ホルモンなどの昆虫特異的ホルモンもしくはフェロモン、その変異体、それに基づく模倣体、またはそのアンタゴニストもしくはアゴニスト。例えば、クローニングされた幼若ホルモンエステラーゼ(幼若ホルモンの不活性化因子)のバキュロウイルスからの発現に関するHammockら、Nature 344:458(1990)による開示を参照されたい。 [0149]G.発現したときに、影響を及ぼされた害虫の生理機能を破壊する昆虫特異的ペプチドまたは神経ペプチド。例えば、Regan、J.Biol.Chem.269:9(1994)(発現クローニングは昆虫利尿ホルモンレセプターをコードするDNAをもたらす)およびPrattら、Biochem.Biophys.Res.Comm.163:1243(1989)(アロスタチンがジプロプテラプンタータ(Diploptera puntata)において同定されている)の開示を参照されたい。昆虫特異的麻痺性神経毒をコードする遺伝子を開示している、Tomalskiらの米国特許第5266317号明細書も参照されたい。 [0150]H.ヘビ、ハチなどによって自然界で産生される昆虫特異的毒。例えば、植物における、サソリ昆虫毒性ペプチドをコードする遺伝子の異種発現の開示についてのPangら、Gene 116:165(1992)参照。 [0151]I.モノテルペン、セスキテルペン、ステロイド、ヒドロキサム酸、フェニルプロパノイド誘導体、または殺虫活性を有する別の非タンパク質分子の過大蓄積を担う酵素。 [0152]J.翻訳後修飾を含めた、生物学的活性分子の修飾に関与する酵素、例えば、天然または合成いずれかの糖分解酵素、タンパク質分解酵素、脂肪分解酵素、ヌクレアーゼ、シクラーゼ、トランスアミナーゼ、エステラーゼ、ヒドロラーゼ、ホスファターゼ、キナーゼ、ホスホリラーゼ、ポリメラーゼ、エラスターゼ、キチナーゼ、およびグルカナーゼ。カラーゼ(callase)遺伝子のヌクレオチド配列を開示している、Scottら名義のPCT出願国際公開第93/02197号パンフレットを参照されたい。キチナーゼをコードする配列を含むDNA分子を、例えば受託番号第39637号および第67152号でATCCから得ることができる。タバコフックワーム(tobacco hookworm)キチナーゼをコードするcDNAのヌクレオチド配列を教示しているKramerら、Insect Biochem.Molec.Biol.23:691(1993)およびパセリubi4−2ポリユビキチン遺伝子のヌクレオチド配列を提供するKawalleckら、Plant Molec.Biol.21:673(1993)も参照されたい。 [0153]K.シグナル伝達を刺激する分子。例えば、リョクトウ−カルモジュリンcDNAクローンについてのヌクレオチド配列の、Botellaら、Plant Molec.Biol.24:757(1994)およびトウモロコシ−カルモジュリンcDNAクローンのヌクレオチド配列を提供するGriessら、Plant Physiol.104:1467(1994)による開示を参照されたい。 [0154]L.疎水性モーメントペプチド。PCT出願国際公開第95/16776号パンフレット(真菌植物病原体を阻害するタキプレシンのペプチド誘導体の開示)およびPCT出願国際公開第95/18855号パンフレット(耐病性を付与する合成抗菌ペプチドを教示する)参照。 [0155]M.膜パーミアーゼ、チャネル形成剤またはチャネルブロッカー。例えば、トランスジェニックタバコ植物をシュードモナスソラナセアルム(Pseudomonas solanacearum)に耐性にするセクロピン−β溶解ペプチドアナログの異種発現に関する、Jaynesら、Plant Sci 89:43(1993)の開示を参照されたい。 [0156]N.ウイルス浸潤タンパク質またはそれから得られた複合毒素。例えば、形質転換植物細胞中のウイルスコートタンパク質の蓄積は、ウイルス感染および/またはそのコートタンパク質遺伝子が得られたウイルスおよび関連ウイルスにより生み出される疾患発現に対する耐性を与える。Beachyら、Ann.Rev.Phytopathol.28:451(1990)参照。アルファルファモザイクウイルス、キュウリモザイクウイルス、タバコ条斑ウイルス、ジャガイモXウイルス、ジャガイモYウイルス、タバコエッチウイルス、タバコ茎壊疽ウイルス、およびタバコモザイクウイルスに対するコートタンパク質介在性耐性が形質転換植物に付与された。 [0157]O.昆虫特異的抗体またはそれから得られる免疫毒素。このように、昆虫の腸における重大な代謝機能を標的とする抗体は、影響を及ぼされた酵素を不活性化してその昆虫を殺滅するであろう。Cf.Taylorら、要旨#497、Seventh Int’l Symposium on Molecular Plant−Microbe Interactions(エジンバラ、スコットランド)(1994)(一本鎖抗体断片の産生によるトランスジェニックタバコの酵素的不活性化)。 [0158]P.ウイルス特異的抗体。例えば、組換え抗体遺伝子を発現しているトランスジェニック植物がウイルスの攻撃から防御されることを示しているTavladorakiら、Nature 366:469(1993)を参照されたい。 [0159]Q.病原体または寄生虫により自然界で産生される発育遅滞タンパク質。このように、真菌エンド−α−1,4−D−ポリガラクツロナーゼは、真菌の定住と、植物細胞壁ホモ−α−1,4−D−ガラクツロナーゼを可溶化することによる植物栄養素の放出とを容易にする。Lambら、Bio/Technology 10:1436(1992)参照。マメ−エンドポリガラクツロナーゼ阻害タンパク質をコードする遺伝子のクローニングおよび特徴付けは、Toubartら、Plant J.2:367(1992)に記載されている。 [0160]R.植物により自然界で産生される成長遅滞タンパク質。例えば、Logemannら、Bioi/Technology 10:305(1992)は、オオムギ−リボソーム不活性化遺伝子を発現しているトランスジェニック植物が真菌病に対する耐性増加を有することを示した。 2.除草剤耐性を付与する遺伝子の例: [0161]A.イミダゾリノンまたはスルホニル尿素などの、成長点または分裂組織を阻害する枯草剤。この分類コードの遺伝子の例は、突然変異ALSおよびAHAS酵素をコードする。それらは、例えば、それぞれLeeら、EMBO J.7:1241(1988)およびMikiら、Theor.Appl.Genet.80:449(1990)によって記載されている。 [0162]B.グリホセート(それぞれ突然変異5−エノール−ピルビルシキミ酸−3−リン酸シンターゼ(EPSP)およびaroA遺伝子により弱められる耐性)、ならびにグルホシネート(ホスフィノトリシンアセチルトランスフェラーゼ(PAT)およびストレプトマイセスヒグロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus)PAT、bar遺伝子)およびピリジノキシプロピオン酸またはフェノキシプロピオン酸およびシクロヘキソン(cyclohexone)(ACCアーゼ阻害剤をコードする遺伝子)などの他のホスホノ化合物。例えば、グリホセート耐性を付与できるEPSPの一形態のヌクレオチド配列を開示しているShahらの米国特許第4940835号明細書を参照されたい。突然変異aroA遺伝子をコードしているDNA分子はATCC受託番号第39256号で得ることができ、その突然変異遺伝子のヌクレオチド配列は、Comaiの米国特許第4769061号明細書に開示されている。Kumadaらの欧州特許出願第0333033号明細書およびGoodmanらの米国特許第4975374号明細書は、L−ホスフィノトリシンなどの、枯草剤耐性を付与するグルタミンシンターゼ遺伝子のヌクレオチド配列を開示している。PAT遺伝子のヌクレオチド配列は、Leemansらの欧州特許出願第0242246号明細書にもたらされている。DeGreefら、Bio/Technology 7:61(1989)は、PAT活性をコードするキメラbar遺伝子を発現するトランスジェニック植物の作出を記載している。セトキシジムおよびハロキシホップなどのフェノキシプロピオン酸およびシクロヘキソンに対する耐性を付与する遺伝子の例は、Marshallら、Theor.Appl.Genet.83:435(1992)に記載されているAcc1−S1、Acc1−S2およびAcc1−S3遺伝子である。 [0163]C.トリアジン(psbAおよびgs+遺伝子)またはベンゾニトリル(ニトリラーゼ遺伝子)などの光合成を阻害する枯草剤。Przibillaら、Plant Cell 3:169(1991)は、突然変異psbA遺伝子をコードするプラスミドを用いたクラミドモナス(Chlamydomonas)の形質転換を記載している。ニトリラーゼ遺伝子についてのヌクレオチド配列は、Stalkerの米国特許第4810648号明細書に開示されており、これらの遺伝子を含むDNA分子は、ATCC受託番号第53435号、第67441号、および第67442号で入手できる。グルタチオンS−トランスフェラーゼをコードするDNAのクローニングおよび発現は、Hayesら、Biochem.J.285:173(1992)によって記載されている。 3.付加価値形質を付与するかまたはそれに寄与する遺伝子: [0164]A.例えば、細菌酵素ACCデアミナーゼを用いて植物を形質転換することによる水没耐性の強化。Grichkoら、Plant Physiology and Biochemistry.2001.39:1、19〜25参照。 [0165]B.ポリガラクツロナーゼのアンチセンス遺伝子用いて植物を形質転換することによる果汁および果肉粘度の改良。例えば、Porrettaら、Food Chemistry.62:283−290(1998)またはErringtonら、Journal of the Science of Food and Agriculture、76:515−519(1998)参照。 [0166]C.S−アデノシルメチオニンヒドロラーゼを用いて植物を形質転換することにより果実の成熟をよりよく制御するための還元ポリエチレン産生。Goodら、Plant Molecular Biology.1994、26:3、781〜790参照。 [0167]D.国際公開第9738116号パンフレットに記載されているようなタバコPRグルカナーゼをコードする遺伝子の導入により特に雑種スイカの作出に有用な雄性不稔植物を得ること。 スイカ形質転換のための方法 [0168]生物学的および物理的植物形質転換プロトコールを含めた植物形質転換のための多数の方法が開発された。例えば、Mikiら、「Procedures for Introducing Foreign DNA into Plants」、Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology、Glick B.R.およびThompson、J.E.編(CRC Press、Inc.、ボカラトン、1993)67〜88頁参照。さらに、植物細胞または組織の形質転換および植物の再生のための発現ベクターおよびin vitro培養方法が利用できる。例えば、Gruberら、「Vectors for Plant Transformation」、Methods in Plant Molecular Biology and Biotechnology、Glick B.R.およびThompson、J.E.編(CRC Press、Inc.、ボカラトン、1993)89〜119頁参照。 A.アグロバクテリウム介在性形質転換 [0169]植物に発現ベクターを導入する一方法は、アグロバクテリウムの天然形質転換系に基づく。例えば、Fraryら、Plant Cell Report.1996、16:3/4、235〜240;Roehelら、Plant Cell Report.1993、12:11、644〜647;Hu−Weiら、In Vitro Cellular and Developmental Biology Plant.2001 37:1、12〜18参照。A.ツメファシエンス(tumefaciens)およびA.リゾゲネス(rhizogenes)は、植物細胞を遺伝的に形質転換する植物病原性土壌細菌である。A.ツメファシエンスおよびA,リゾゲネスのそれぞれTiおよびRiプラスミドは、植物の遺伝的形質転換を担う遺伝子を運ぶ。例えば、Kado、C.I.、Crit.Rev.Plant Sci.10:1(1991)参照。アグロバクテリウムベクター系の説明およびアグロバクテリウム介在性遺伝子導入方法は、Gruberら、上記;Mikiら、上記;およびMoloneyら、Plant Cell Reports 8:238(1989)によって提供される。2001年3月6日に発行された米国特許第6198022号明細書も参照されたい。 B.直接遺伝子移入 [0170]アグロバクテリウム介在性形質転換のホストは広範囲であるという事実にかかわらず、主な穀物作物および野菜種および裸子植物の一部は、イネおよびトウモロコシである程度の成功が近年収められたものの、一般にこの様式の遺伝子移入に不応性であった。Hieiら、The Plant Journal 6:271〜282(1994)および1997年1月7日に発行された米国特許第5591616号明細書。直接遺伝子移入とまとめて称される植物形質転換の一部の方法は、アグロバクテリウム介在性形質転換の代替として開発された。 [0171]植物形質転換の一般に適用できる方法は、DNAが1から4μmの微粒子発射体表面上で運搬される微粒子発射体介在性形質転換である。発現ベクターは、微粒子銃装置を用いて植物組織に導入され、その微粒子銃は、植物細胞壁および膜を貫通するのに十分な300から600m/sの速度に微粒子発射体を加速する。Sanfordら、Part.Sci.Technol.5:27(1987);Sanford、J.C.、Trends Biotech.6:299(1988);Kleinら、Bio/Technology 6:559から563(1988);Sanford、J.C.、Physiol Plant 7:206(1990);Kleinら、Biotechnology 10:268(1992);Baumら、Plant Journal.1997、12:2、463〜469;Eckら、Plant Cell Report.1995,14:5、299〜304;Manzaraら、Plant Molecular Biology Reporter 123:221〜226(1994)。 [0172]植物にDNAを物理的に送達する別の方法は、標的細胞の超音波処理である。Zhangら、Bio/Technology 9:996(1991)。あるいは、リポソームおよびスフェロプラスト融合が植物に発現ベクターを導入するために使用されてきた。Deshayesら、EMBO J.、4:2731(1985)、Christouら、Proc Natl.Acad.Sci.U.S.A.84:3962(1987)。CaCl2沈殿、ポリビニルアルコールまたはポリ−L−オルニチンを用いた、プロトプラストへのDNAの直接取込みも報告された。Hainら、Mol.Gen.Genet.199:161(1985)およびDraperら、Plant Cell Physiol.23:451(1982)。プロトプラストおよび細胞全体および組織のエレクトロポレーションも記載された。Donnら、VIIth International Congress on Plant Cell and Tissue Culture IAPTC要旨集、A2−38、53頁(1990);D’Halluinら、Plant Cell 4:1495〜1505(1992)およびSpencerら、Plant Mol.Biol.24:51〜61(1994)。マイクロプロトプラストPEG誘導性融合によるジャガイモの形質転換ドナー系統からトマトレシピエント系統への染色体の移入が報告された。Ramaluら、Theorical and Applied Genetics 92:316〜325(1996)参照。 [0173]スイカ標的組織の形質転換後に、上記選択マーカー遺伝子の発現は、今や当技術分野で十分に公知の再生および選択方法を用いて、形質転換細胞、組織および/または植物の選好的選抜を可能にする。 [0174]形質転換の前述の方法は、典型的にはトランスジェニック植物を作出するために使用されるであろう。次に、新しいトランスジェニック植物を作出するために、そのトランスジェニック植物を別の(非形質転換または形質転換)植物と交雑することができるであろう。あるいは、前述の形質転換技法を使用して特別なスイカ系統に加工導入された遺伝形質を、植物育種の技術分野で十分に公知の伝統的な戻し交雑技法を用いて別の系統に移行させることができるであろう。例えば、戻し交雑手法を使用して、一般の非優良品種から優良品種に、またはゲノムに外来遺伝子を含む品種からその遺伝子を含まない系統に、加工された形質を移行させることができよう。本明細書に使用する「交雑」は、状況に応じて単純なXとYの交雑または戻し交雑過程を表すことがある。 [0175]同系交配スイカ植物という用語が本発明に関連して使用される場合、これはその同系交配種の任意の単一遺伝子変換も含む。本明細書に使用される単一遺伝子変換植物という用語は、戻し交雑と呼ばれる植物育種技法により開発されたスイカ植物を表し、ここで、戻し交雑技法により同系交配種に移入された単一遺伝子に加えて、その同系交配種の本質的にすべての所望の形態的および生理的特徴が回復する。戻し交雑法を本発明と共に使用して、特徴を改良するか、または同系交配系統にその特徴を導入することができる。本明細書に使用する戻し交雑という用語は、その同系交配種についての親スイカ植物の一方に雑種後代を繰り返し戻し交雑することを表す。所望の特徴のための遺伝子を提供する親スイカ植物は、非反復親または供与親と命名される。この命名は、戻し交雑プロトコールで非反復親が1回使用され、よって反復しないという事実を表す。非反復親由来の遺伝子が移入される親スイカ植物は、戻し交雑プロトコールで数回使用されることから反復親として知られている(PoehlmanおよびSleper、1994;Fehr、1987)。典型的な戻し交雑プロトコールでは、対象となる本来の同系交配種(反復親)が、移入される対象となる単一遺伝子を有する第2同系交配種(非反復親)と交雑される。この交雑の結果として生じた後代を、次に反復親ともう一度交雑させ、非反復親からの単一移入遺伝子以外に、反復親の所望の形態的および生理的特徴の本質的にすべてが変換された植物に回復したスイカ植物が得られるまで、この過程を繰り返す。 [0176]適切な反復親の選抜は、戻し交雑手順を成功させるために重要な段階である。戻し交雑プロトコールの目標は、本来の同系交配種における単一の形質または特徴を改変または置換することである。これを成し遂げるために、反復同系交配種の単一遺伝子を修飾するか、非反復親からの所望の遺伝子に置換する一方で、本来の同系交配種の所望の遺伝的構成、よって、所望の生理的および形態的構成の残りの本質的にすべてを維持する。特別な非反復親の選択は、戻し交雑の目的に依存するであろう。主な目的の1つは、商業的に望ましく、および/または農業的に重要ないくつかの形質を植物に付加することである。正確な戻し交雑プロトコールは、適切な検査プロトコールを決定するために、改変される特徴または形質に依存するであろう。移入される特徴が優性対立遺伝子である場合に戻し交雑法は簡略化されるが、劣性対立遺伝子も移入することができる。この場合、所望の特徴がうまく導入されたかどうかを決定するために後代の検査を導入することが必要なことがある。 [0177]新しい同系交配種の開発のために正式に選抜されておらず、戻し交雑技法により改良されうる多くの単一遺伝子形質が同定された。単一遺伝子形質はトランスジェニックであることも、ないこともある。これらの形質の例には、PRグルカナーゼ遺伝子などの雄性不稔、patまたはbar遺伝子などの枯草剤耐性、細菌病、真菌病(フザリウムオキシスポルム(Fusarium oxysporum)耐性について使用されるI遺伝子など)、またはウイルス病(TMV耐性について使用されるTM1およびTM2遺伝子など)についての耐性、Cry1AcまたはMi遺伝子などの耐虫性、雄性稔性、栄養価の強化、糖含量の強化、norまたはrin遺伝子を使用するときなどの保存性の強化および成熟遅延、収量安定性および収量強化があるが、それに限定されるわけではない。これらの遺伝子は、核により一般に遺伝する。他の公知の雄性不稔遺伝子のいくつかは、細胞質により遺伝するが、単一遺伝子形質として依然働く。これらの単一遺伝子形質のいくつかは、米国特許第5777196号;第5948957号および第5969212号明細書に記載されており、それらの開示は、参照により本明細書に具体的に組み込まれる。寄託情報 [0178]HMBN突然変異対立遺伝子を含むスイカ種子は、2004年11月12日にAmerican Type Culture Collection(ATCC)、10801 University Boulevard、マナッサス、バージニア州20110−2209に寄託され、寄託受託番号PTA−6300を有する。 [0179]上記発明は、明確化および理解のための例証および例としてある程度詳細に説明されたが、単一遺伝子修飾、体細胞変異体、および大集団の植物などから選択される変異個体などのある種の変更および修飾が、添付の特許請求の範囲にのみ限定されるとして本発明の範囲内で実施されうることは明確であろう。 HMBN対立遺伝子を含むスイカ種子およびスイカ植物であって、 前記HMBN対立遺伝子は、ホモ接合性であるときに多分枝表現型を付与する劣性対立遺伝子であり、 前記HMBN対立遺伝子を含む種子の試料がATCC受託番号PTA−6300で寄託されている、スイカ種子およびスイカ植物。 ATCC受託番号PTA−6300で寄託された種子由来のスイカ種子およびスイカ植物であって、HMBN対立遺伝子を含み、 前記HMBN対立遺伝子は、ホモ接合性であるときに多分枝表現型を付与する劣性対立遺伝子である、スイカ種子およびスイカ植物。 請求項1又は2に記載のスイカ種子を生育させることにより作出されるスイカ植物またはその部分。 請求項3に記載のスイカ植物の花粉。 請求項3に記載のスイカ植物の胚珠。 請求項3に記載のスイカ植物から作出される細胞の組織培養物であって、前記組織培養物の細胞が、胚、分裂組織細胞、カルス、花粉、葉、葯、茎、葉柄、根、根端、果実、種子、花、子葉、および胚軸からなる群から選択される植物部分から作出される組織培養物。 請求項3に記載のスイカ植物から作出されるプロトプラスト。 請求項6に記載の組織培養物から作出されるプロトプラスト。 請求項6に記載の組織培養物から再生されるスイカ植物であって、前記HMBN対立遺伝子を含む、スイカ植物。 第1親スイカ植物を第2親スイカ植物と交雑するステップと、結果として生じた雑種スイカ種子を収穫するステップとを含む、雑種スイカ種子を作出する方法であって、前記第1親スイカまたは第2親スイカの種子が、請求項3に記載のスイカ植物である方法。 請求項10に記載の方法により作出される雑種スイカ種子であって、 前記HMBN対立遺伝子を含む、雑種スイカ種子。 請求項11に記載の雑種スイカ種子を生育させることにより作出される雑種スイカ植物。 3.0よりも多い平均果実数を有する、請求項3に記載のスイカ植物。 30cmで20.0よりも多い平均2次分枝数を有する、請求項3に記載のスイカ植物。 90cmで19.0よりも多い平均2次分枝数を有する、請求項3に記載のスイカ植物。 1.5kg未満の平均果実重量を有する、請求項3に記載のスイカ植物。 17.0ポンド未満の果実の平均硬さを有する、請求項3に記載のスイカ植物。 8日目に13.0よりも多い平均雄花数を有する、請求項3に記載のスイカ植物。 15日目に11.0よりも多い平均雄花数を有する、請求項3に記載のスイカ植物。 22日目に7.0よりも多い平均雄花数を有する、請求項3に記載のスイカ植物。 請求項11に記載の雑種スイカ種子を生育させることにより作出され、前記HMBN対立遺伝子を含み、三倍体である、雑種スイカ植物。 HMBN対立遺伝子を含む四倍体スイカ植物を作出する方法であって、 HMBN対立遺伝子についてホモ接合性である二倍体スイカ植物を選択するステップと、染色体倍加剤により前記二倍体スイカ植物を処理して前記四倍体スイカ植物を作出するステップとを含み、 前記HMBN対立遺伝子は、ホモ接合性であるときに多分枝表現型を付与する劣性対立遺伝子であり、 前記HMBN対立遺伝子を含む種子の試料がATCC受託番号PTA−6300で寄託されている、方法。 請求項22に記載の方法により作出される四倍体スイカ植物。