タイトル: | 特許公報(B2)_生理活性インタクト副甲状腺ホルモン(PTH)1−84に対する選択的結合特異性を有する抗体および同抗体を作製するためのペプチド抗原 |
出願番号: | 2007543576 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | C07K 16/26,G01N 33/53 |
ザーラドニク、リチャード ジェイ. ラビーニュ、ジェフリー アール. JP 5028269 特許公報(B2) 20120629 2007543576 20051129 生理活性インタクト副甲状腺ホルモン(PTH)1−84に対する選択的結合特異性を有する抗体および同抗体を作製するためのペプチド抗原 ザーラドニク、リチャード ジェイ. 507172691 ZAHRADNIK,Richard J. ラビーニュ、ジェフリー アール. 507172705 LAVIGNE,Jeffrey R. 小林 浩 100092783 片山 英二 100095360 大森 規雄 100120134 鈴木 康仁 100104282 ザーラドニク、リチャード ジェイ. ラビーニュ、ジェフリー アール. US 10/998,927 20041129 20120919 C07K 16/26 20060101AFI20120830BHJP G01N 33/53 20060101ALN20120830BHJP JPC07K16/26G01N33/53 B C07K 16/00 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) 国際公開第01/044818(WO,A1) 6 US2005042962 20051129 WO2006058300 20060601 2008521824 20080626 12 20081119 長谷川 茜 本発明は生理活性インタクト副甲状腺ホルモン(PTH)1−84に対する選択的結合特異性を有する抗体および同抗体を作製するためのペプチド抗原に関する。 副甲状腺ホルモン(PTH)および血中カルシウムイオン濃度の調節におけるその重要はよく知られている。これに関し、このホルモンは上皮小体により生産され、他の因子と組み合わされて、血中カルシウムイオンレベルが細胞内と周囲の流体内との両方で安定した濃度に維持されるように血中カルシウムイオンレベルを調節するように機能する。本質的に、血清カルシウムレベルが減少すると、PTHは身体に貯蔵されたカルシウムを放出するように機能する。他方、そのような分泌は血清カルシウム濃度が増加する程度に抑えられる。 PTHは、その完全型の場合、84個のアミノ酸で構成された固有のペプチドを有する。PTHの特定のシーケンス、複数の種(すなわちヒト、ラット、マウス、ウシ、イヌ、ブタ、ネコ、およびサル)に対して規定されているPTHの特異的配列は図1に示されており、その変異型が図2であり、このような同定された種の間でPTHホルモンが比較的一貫した構造を有することが示されている。 ヒトだけでなく様々な種のカルシウム代謝におけるその重要性を考慮すると、PTHの正確な測定はこれまでも現在も臨床上非常に重要である。血清PTHレベルが特に高カルシウム血症、原発性上皮小体機能亢進症および骨粗鬆症等の疾病を有する患者のための重要なパラメータとして機能することが文書により実証されている。PTHは同様に、PTH異常のために腎臓骨ジストロフィーをきたし得る慢性腎不全患者においても臨床上非常に重要である。 代謝および臨床上の重要性におけるその重要な役割にもかかわらず、循環中の生理活性PTHレベルの決定には本質的な困難さがこれまでも今も存在し続けている。第一に、PTHは非常に低レベル(通常10pg/mlから65pg/mlの間)で通常存在することはよく知られている。さらに、PTHペプチドが様々な循環するPTH断片の形で存在し得ることがよく知られている。特に、クロマトグラフィで(7−84)PTH分子と共に移動するように見える大きな非(1−84)循環PTH断片は、従来のPTH測定法(アッセイ)に著しく干渉することが知られている、実際、この大きな非PTH(1−84)断片は多数の現在の測定法により測定されるPTHの約半分(1/2)を表わし得る。PTHの正確な測定に関する現在の欠点は、特許文献1や非特許文献1に記載されており、これらの教示は引用により本明細書に組み込まれる。 上記の欠点に対応するために、PTHレベルを検出するための新しい測定法がカリフォルニア州サンティ市(Santee)のスキャンチボディ研究所(Scantibodies Laboratory)で導入された。この測定法は、ヒトPTHのN末端の最端の部分、詳細にはヒトPTHのN末端の最初の6個のアミノ酸残基に対する結合特異性を有するトレーサー抗体を組込んでいる。ここで理解されるように、そのような測定法は大きな非(1−84)PTH断片との交差反応性を最小限にするように見えるが、そのような抗体を得るには抗体の作製に大きな努力と費用が要求される。さらに、そのようなトレーサー抗体は、PTHの最初すなわち1番目のアミノ酸残基だけに対して最大の認識部位を有するのであって、後続の残基に対する特異性が大きく減少され、1番目のアミノ酸が異なる他のいくつかの種に対する使用が排除される。この欠点は非特許文献2に記載されており、この教示は引用により本明細書に組み込まれる。特許協力条約国際出願出願番号PCT/USOO/00855、公開番号WO/00/42437、発明の名称「Methods for Differentiating and Monitoring Parathyroid and Bone Status Related Diseases, and Lepage, Raymond」A Non-(l-84) Circulating Parathyroid Hormone (PTH) Fragment Interferes With Intact PTH Commercial Assay Measurement In Uremic Samples, Clinical Chemistry 44:4, 1998 pages 805-809John, M.R.et al., A Novel Immunoradiometric Assay Detects Full-Length Human PTH but not Amino-Terminally Truncated Fragments: Implications for PTH Measurements in Renal Failure, The Journal of Clinical Endocrinology & Metabolism, Vol. 84, No. 11, 1999, p. 4287-4290 したがって、PTHペプチド断片に対する交差反応性を低減させてPTHレベルを決定することが可能な、生理活性のあるインタクトPTHに対して特異的な測定法結合パートナーおよび同パートナーを生成する方法が当該技術分野においてこれまでも現在も長い間必要とされている。同様に、よりコスト効率の良い方法でPTHレベルを測定することができ、免疫測定キットおよびその等価物に容易に組み入れ可能なPTHに対するより大きな親和性を有する改良された結合PTH結合パートナーが当該技術分野において必要とされている。さらには、PTHに対して特異的で、広範な種に対するPTHレベルの検出に利用することができる結合認識部位を有する結合パートナーすなわち抗体が必要とされている。最後に、最小減の精製しか必要とせずに従来の機構を使用して容易に得られ、その結果インタクトなPTHに対する大きな結合認識があり、大きな非(1−84)PTH断片に対する交差反応性が最小限で、従来の結合パートナーよりも大きな抗体収率を得る方法を用いて得られる、PTHに対して高い結合親和性を有する改良された結合パートナーが当該技術分野において必要とされている。 本発明は当該技術分野における上述の問題について取り組み、これを軽減する。これに関し、本発明は、特定の抗原、抗体ならびに血清、血漿または細胞培地等の試料流体中の生理活性インタクトPTHのレベルの決定に有用な抗体を作製する方法を対象とする。本発明の抗体および方法は、PTHに対する親和性がより大きいという特定の利点を有し、詳細には1番目のN末端のPTH残基から延びるが好ましくはPTHの4番目のアミノ酸残基を越えない最初の数個のアミノ酸残基に対する新規な認識部位を有するように設計される。最も好ましい実施形態では、抗体はPTHのN末端の最初の3つのアミノ酸残基に対する特異性を有する。抗体はさらに、PTHの大きな非(1−84)分子型との交差反応性も有しない。さらに、本発明による抗原、抗体および同抗体を生産する方法は、広範の種との交差反応性を有し、ヒトだけでなく、ラット、マウス、ウシ、イヌ、ブタ、ネコ、およびサルにおけるPTHレベルをも検出するために利用可能である。 好ましい実施形態によれば、抗原は以下の式を有する: VAL-SER-GLU-ILE-GLN-X-MET-HIS-ASN-LEU-GLY ここでXはLEU[配列番号1]およびPHE[配列番号2]から成るグループから選択される。この実施形態に関して、このような抗原ペプチドはPTHのアミノ酸残基2−12を表し、その6番目のアミノ酸残基はLEUとPHEの間で選択され、LEUはヒト、ラット、マウスおよびブタのPTHに存在し、PHEはウシおよびイヌのPTHに存在する。より好ましい実施形態では、抗原は以下の式を有するペプチドを含む: Y-VAL-SER-GLU-ILE-GLN-X-MET-HIS-ASN-LEU-GLY ここでXは上述したようにLEUとPHEの間で選択されたアミノ酸残基であり、YはSERまたはALAのいずれかから成るアミノ酸残基である[それぞれ配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6]。SERはヒト、イヌおよびブタに存在するアミノ酸を反映し、ALAはラット、マウスおよびウシのPTHに存在する。 さらなる好ましい実施形態では、抗原は以下の式を有する: VAL-SER-GLU-ILE-GLN-X-MET-HIS-ASN-LEU-GLY-LYS-HIS-LEU ここでXはLEU[配列番号7]またはPHE[配列番号8]から成るグループから選択される。このような抗原ペプチドはPTHの2−15のアミノ酸残基を表し、その6番目のアミノ酸残基はLEUまたはPHEのいずれかであり、上記に特定した適切な種で生じる対応のアミノ酸残基を反映する。別の実施形態では、抗原ペプチドはPTHの1−15のアミノ酸残基を表わし、以下の式を有する。 Y-VAL-SER-GLU-ILE-GLN-X-MET-HIS-ASN-LEU-GLY-LYS-HIS-LEU ここでXはアミノ酸残基LEUまたはPHEを含み、YはSERまたはALAのいずれかから成るアミノ酸残基である[それぞれ配列番号9、配列番号10、配列番号11、および配列番号12]。Yは上述の特定の種に対応するよう選択される。 本発明による抗体および同抗体を作製する方法に関して、それらは上述の抗原に対する親和性および特異性を有する抗体を対象とする。好ましくは、抗体は、PTHのアミノ酸残基2−12、1−12、2−15および1−15にそれぞれ特異的である。最も好ましい実施形態では、抗体はPTHの最初の3つのアミノ酸残基だけに特異的である。ペプチド抗原に対する抗体産生を生じさせるために、そのような抗体は、ホスト動物(好ましくはヤギを含む)に、上述の種類のペプチド抗原を単独でまたはキャリアタンパク質と組み合わせて投与し、ペプチド抗原に対する抗体を生産することにより好ましくは作製される。別の好ましい実施形態では、抗体産生は、PTHのより大きなペプチド断片の投与によって引き起こされる。好ましくは、そのようなPTH断片は(1−34)PTHを含み、これにはインタクトな(1−84)PTHに対する抗原性を増加させるためにキャリアタンパク質が共有結合または融合されてもよい。ヒトでPTHを検出するために抗体の取得が求められる程度で、インタクトな(1−84)PTH分子は好ましくはインタクトなラットPTHであるか、またはより少ない程度で、ヒトPTHを含む。その後、ホスト動物への抗原の投与により生産された抗体の力価がモニタされる。その後、ホスト動物中で生産された抗血清が分離され、PTHの所望の抗原領域(すなわちPTHのアミノ酸残基2−12、1−12、2−15および1−15のそれぞれ)に対する特異性を有するよう、抗血清中の抗体がアフィニティクロマトグラフィにより選択される。追加の工程で、分離された抗体をさらに精製し、(4−34)PTHおよび(4−84)PTHの少なくとも一方、または(5−34)PTHおよび(5−84)PTHの少なくとも一方に対応する、望ましくない抗体を保持するが(1−3)または(1−4)PTHに特異的な抗体の通過は許容する結合抗原を用いることにより、4番目または5番目のN末端PTHアミノ酸残基を超えて延びるアミノ酸残基に対する親和性を有する抗体を除去する。その後抗体は、標識を付けてもよいし、ヒト対象であれ、任意の様々な種対象であれ、PTHの検出に使用される様々な従来の測定法に組み入れてもよい。 当業者には容易に理解されるように、本発明の抗原、抗体および方法は、PTHのアミノ酸残基2−12、1−12、2−15および1−15のそれぞれに注目することにより、N末端の生理活性を有するPTH分子の同部分に焦点を当て、したがって同PTH分子の検出を最大にする。さらに、より好ましい実施形態では、抗原、抗体、およびN末端の生理活性部位を越えて延びる他のアミノ酸残基(すなわちPTHの12番目および15番目のアミノ酸残基以下)を包含する同抗体の作製方法を提供することにより、そのような抗体の特異性および親和性が大いに改善され、測定法よびその等価物に組み入れられた時に、抗体による先行技術の受容体より大きな特異性および親和性でのPTHレベルの検出が可能となる。最も好ましい実施形態では、抗体は、上述したように除去または「スクラブ」工程により達成されるPTHの最初の3つのアミノ酸残基以下に対する特異性を有し、それにより本発明の抗原の使用により生産された抗体は、そのような抗体がすべて(4−34)PTHまたは(4−84)PTHに対する親和性を有する程度に選択的に除去される。結果として、本発明により生産された抗体は、(その目的の達成のために本明細書に開示された方法およびペプチド抗原と同様に)、より大きな非(1−84)PTHペプチド断片に対する実質的な交差反応性がなく、PTHの1番目のアミノ酸残基のみに対する最大の認識部位を有さず、本発明の方法から生成される抗体の収率が先行技術方法より大きい範囲で、コスト効率の良い方法で容易に得られる。 代わりに、そのような除去または「スクラブ」工程は、(5−34)PTHまたは(5−84)PTHに対する親和性を有する抗体を選択的に除去するために利用される。そうすることによって、分離された抗体は最終的には、N末端PTHの最初の4つのアミノ酸残基以下に対する親和性を有する。したがって、本発明の目的は、1)抗体の生産および分離のための選択抗原;2)抗体;および3)大きな非(1−84)PTHペプチド断片に対して低減された交差反応性を有するPTHに対する結合親和性および特異性を有する抗体を生産する方法を提供することである。 本発明の別の目的は、1)抗体の生産のための選択抗原;2)抗体;および3)本発明の抗原、抗体、および抗体の作製方法が様々な種におけるPTHの検出に容易に利用できるよう先行技術の結合パートナーよりもPTHに対して大きな親和性および特異性を有すると共に、種間PTHで高い交差反応性を有する抗体を生産する方法を提供することである。 本発明の別の目的は、1)抗体の生産および分離のための選択抗原;2)抗体;および3)PTHの生理活性のあるN末端の部分のより多くの部分に対する結合親和性および特異性を有し、従って対象の先行技術の結合パートナーよりも有効かつ正確にインタクトPTHレベルを決定する同抗体の作製方法を提供することである。 本発明の別の目的は、1)抗体の生産および分離のための選択抗原;2)抗体;および3)PTHの1番目のN末端アミノ酸配列のみに対しては最大の結合親和性および特異性を有しない抗体を作製する方法を提供することである。 本発明の別の目的は、1)抗体の生産および分離のための選択抗原;2)抗体;および3)PTHのN末端に対する結合親和性および特異性を有する抗体を作製する従来の方法よりも安価に高収率の抗体が生成される抗体の作製方法を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、1)抗体の生産および分離のための選択抗原;2)抗体;および3)様々な市販の測定法に容易に組み込み可能な上、様々な免疫測定法の用途に望ましいように修正(例えば標識等)できる抗体を容易に取得する抗体の作製方法を提供することにある。 本発明の上記および他の特徴は、図面を参照すればより明白になる。 以下に述べる詳細な説明は、本発明の現時点で好ましい実施形態の説明として意図されるものであって、本発明が構成または利用され得る唯一の形式を表わすことは意図されない。以下の説明では本発明の構成および実施のための機能および工程の順序を述べるが、異なる実施形態によっても同じ機能および順序は達成され得るのであって、そのような異なる実施形態も本発明の範囲内に包含されるものとする。 本発明は、抗原、抗体、およびPTHのN末端領域に位置するPTHの抗原領域、より正確には図1−3に10として描かれたN末端から延びる最初の15個のアミノ酸残基に向けられた抗体を作製する方法を包含する。最も好ましい実施形態では、抗体はPTHの最初の3個のアミノ酸残基のみに特異的である。周知のように、PTHのN末端領域はPTH/PTHrp受容体結合に必要であると認識されており、血清、血漿または細胞培地のような生物流体試料に見出され得る生理活性インタクトPTHのレベルを測定するための最も望ましいエピトープであるものとして認識されている。PTHに関連する現状の技術水準およびPTHの生産方法は、特許文献1や非特許文献1に記載されており、これらの教示は引用により本明細書に組み込まれる。 本発明の好ましい実施形態によれば、本発明の抗原ペプチドは図1−3では包括的に12として識別されるPTHのアミノ酸残基2−12に対応するアミノ酸残基を有する。詳細には、同抗原ペプチドは以下の式を有する: VAL-SER-GLU-ILE-GLN-X-MET-HIS-ASN-LEU-GLY ここでXはLEU[配列番号1]またはPHE[配列番号2]から選択される。当業者には理解されるように、このPTHペプチド抗原の6番目のアミノ酸残基は列挙されている種間で異なり、そのためヒト、ラット、マウスおよびブタではLEUを有し、ウシおよびイヌではPHEを有する。当業者には理解されるように、一つのアミノ酸残基の違いにも拘わらず、同抗原ペプチドは列挙された種間で変わらず、以下により詳細に論じるように、交差反応性で様々なそのような種でのPTHレベルの検出に有効な抗体を調製および究極的には利用することが可能である。 より好ましい実施形態では、ペプチド抗原は14として識別されるPTHの最初の12個のアミノ酸残基を反映し、以下の式を有する: Y-VAL-SER-GLU-ILE-GLN-X-MET-HIS-ASN-LEU-GLY ここでXはLEUまたはPHEから選択されたアミノ酸残基であり、YはSERまたはALAからアミノ酸残基である[それぞれ配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6]。1番目のアミノ酸残基のバリエーション(変異)に関して、かかるアミノ酸はヒト、イヌおよびブタに見出されるSERであるか、ラット、マウスおよびウシに見出されるALAである。これについて、本発明で、詳細には本発明のより好ましい実施形態で抗原ペプチドに与えられるバリエーションは、そのようなペプチド抗原から最終的に得られる抗体が所与の種でのPTHの検出に望ましい高い結合親和性を有するような余地を与える。 本発明のより高度に洗練された実施形態では、抗原ペプチドはPTHのアミノ酸残基2−15および1−15のそれぞれに対応する配列を有する。前者に関しては図1−3に16として識別され、そのような抗原ペプチドは以下の式を有する: VAL-SER-GLU-ILE-GLN-X-MET-HIS-ASN-LEU-GLY-LYS-HIS-LEU XはLEU[配列番号7]またはPHE[配列番号8]から選択される。10として識別されるPTHのアミノ酸残基1−15に対応する後者に関して、そのような抗原ペプチドは以下の式を有する: Y-VAL-SER-GLU-ILE-GLN-X-MET-HIS-ASN-LEU-GLY-LYS-HIS-LEU ここでXはアミノ酸残基LEUまたはPHEから選択されるアミノ酸残基であり、YはSERまたはALAから選択されるアミノ酸残基である[それぞれ配列番号9、配列番号10、配列番号11、および配列番号12]。米国施行規則1.821−1.825の要件を満たすコンピュータ読取り可能な形式の配列番号1−12(本明細書で提供された記述した配列リストと同一である)を提供するコンパクトディスクを、法定の要件を遵守するために提出した。 上述のペプチドの上述の式にもかかわらず、それらは同ペプチドのすべての機能的誘導体にも及ぶ。機能的誘導体とは、図1−3の配列に反映されるPTHの同じ部分から得られ、特異的抗PTH抗体、詳細にはPTHのN末端アミノ酸残基に特異的な抗体を得る同様の能力を有する機能的に匹敵するペプチドを含む。これに関し、そのような機能的誘導体は、上に論じられると共に図1−3に反映された配列から得られ、アミノ酸の置換、付加または削除(このような誘導はPTHに反応性の抗原を引き起こすというペプチド抗原の能力を変更しない)を有する同様に位置決定されたペプチドであり得る。 本発明のペプチド抗原は、図1−3で上述したペプチドの上流または下流の数個のアミノ酸がシフトされ得るペプチドや、アミノ酸の置換、付加または除去もしくは変更がPTHの最初の12個のアミノ酸残基またはその任意の下位配列に対する高い親和性および特異性を備えた抗体を引き起こすというペプチド抗原の能力を著しく達成しないような保存されたアミノ酸変化を有するペプチドを含むこともさらに認識されるべきである。 抗体産生に関して、図4に抗体を生成する方法(20)が示される。最初に、所与の種のPTHの最初の12個から15個のアミノ酸残基の全部または一部に対応する前述のバリエーションであるペプチドを提供する(22)。しかしながら、より好ましい実施形態では、抗体産生を生成するために使用される抗原ペプチドはより大きなPTH断片を含み、これには(1−34)PTHおよび完全なインタクト(1−84)PTHペプチドが含まれるがこれらに限定されるわけではない。この流れに沿うと、少なくとも抗原を提供する最初の工程(22)と、続く以下に論じる工程(24)による抗原を投与する工程とに関して、最終的に生産される抗体は、本発明の方法の前述の抗原ペプチド(すなわちPTHのアミノ酸配列2−12、1−12、2−15および/または1−15)に対応するアミノ酸残基に対する特異性を有するが、完全PTHペプチドおよびそのN末端断片が、PTHのN末端のPTHの生理活性部分に対して理想的な結合親和性および特異性を最終的に有する抗体の産生を引き起こすのに適切な抗原ペプチドとして好ましく役立ち得る。最も好ましい実施形態では、提供され投与される抗原ペプチドはPTHのアミノ酸残基1−34に対応するPTH断片を含み、これはキャリアタンパク質に任意選択で結合され得る。このペプチド断片は、代わりに全長(1−84)PTHとして投与されてもよく、同PTHは図1および図2で識別される種のいずれの形式をとってもよい。好ましくは、ヒトPTHに特異的な抗体の開発に関しては、(1−34)ラットPTHまたは全長(1−84)ラットPTHの使用が好まれる。 このような抗原ペプチドは、固相化学合成のような従来の方法や組換え技術による合成を含む当該技術分野の種々の周知の方法により作製可能である。さらに理解されるように、合成ペプチドは、任意選択でキャリアタンパク質と結合されてもよいし、代わりに抗原性を増加させる融合タンパク質として組換えペプチドが生成されてもよい。当業者にはさらに理解されるように、そのような抗原ペプチドは抗PTH抗体を得る同ペプチドの能力に基づいてスクリーニングされ得る。そのようなスクリーニング技術には免疫沈降法または免疫測定法が含まれるがそれらに限定されるわけではない。 一旦得られると、そのようなペプチド抗原は従来の技術を使用して本発明の抗体を作製するために利用可能となる。これに関し、ペプチド抗原、好ましくは免疫賦活剤(アジュバント)と組み合わされたペプチド抗原は、好ましくはヤギを含むホスト動物24に投与される。しかしながら、ウサギ、マウス、ヒツジ、ニワトリ等の他の種がホスト動物としてさらに利用され得る。これに関し、抗原の投与は、皮下注射または筋内注射を含むがこれらに限定されない様々な方法で遂行され得る。投与されるペプチド抗原の投与量は使用される特定のペプチドおよび動物ホストに応じて変化する。しかしながら、所与の種に対して最も高い親和性および特異性を有する抗体を得るためには、各々の種に由来する適切な対応ペプチドに対する抗体が個別に生成されるべきである。 一旦投与されると、ホスト動物中で生じた抗体力価の結果がモニタされる(26)が、これは慣例の採血等の当該技術分野で周知の種々の技術により行うことが可能である。(遠心分離等で)抗血清が分離されると、抗血清に対する結合親和性を有する抗ペプチド抗体の存在を調べるために工程(28)でスクリーニングが行われる。本発明の抗体を得る上述の従来の免疫学的方法を仮定すると、そのような抗体は本来的にモノクローナルまたはポリクローナルであり得る。従来の慣例と一致して、抗血清は複数のホスト動物に由来するものであることが好まれる。 本発明用の抗体を得るために、ホスト動物から得た抗血清はアフィニティ精製される。当該技術分野において周知のように、抗血清は、固相(例えばビーズ等)に結合されたPTHのアミノ酸残基配列2−12、1−12、2−15および1−15に対応する前述の抗原ペプチドを備えた分離カラムへの導入のような、従来の技術により精製され得る。その後、抗血清は洗浄され、1または複数の抗原ペプチドに対する特異性を有しない抗体が除去され、残りの同1または複数の抗原ペプチドに対して特異的な結合抗体は最終的に分離カラムから溶出される。その後抗体は当業者に周知の慣例に従って保存され得る。 追加の工程(29)で、上記のような分離および精製プロセスによって得られた抗体はさらなる精製プロセスを受け、それにより(4−34)または(5−34)PTHならびに/もしくは(4−84)または(5−84)PTHに対して親和性を有する抗血清中に存在する抗体はすべて選択的に除去または「スクラブ」される。このため、抗血清が工程(28)で分離されると、抗血清は分離カラムまたは他の従来の技術の使用により本明細書で詳述した種のいずれかの(4−34)または(5−34)PTHならびに/もしくは(4−84)または(5−84)PTHに対して特異性を有する抗体を除去するために精製されることが想定され、そのためにアミノ酸配列(4−34)または(5−34)PTHもしくは(4−84)(5−84)PTHのいずれかに対応する抗原ペプチドが精製が求められる抗血清が晒される固相に結合される。(4−34)または(5−34)PTHならびに/もしくは(4−84)または(5−84)PTHペプチドに対する特異性を有する抗体は結合されたままとなり、(4−34)または(5−34)PTHもしくは(4−84)または(5−84)PTHペプチドのいずれに対しても特異性を有しない残りの抗体は特異性を有する抗体から区別される。有利には、そのようなプロセスは、PTHの最初の3個または4個以下のアミノ残基に対する親和性を有する抗体のみを分離するため、PTHのN末端の5番目のアミノ酸残基やそれを超える任意のアミノ酸残基に対する結合親和性を全く有しない。そのようなプロセスにより、最終的に分離された抗体がすべて、PTHの(1−84)N−最端に実際に特異的で、少なくともPTHの最初の3つまたは4つのN末端アミノ酸残基を含まない任意のタイプのPTH断片に結合しないことが保証される。 上記の抗体はPTHのアミノ酸残基配列2−12および2−15のそれぞれに対応する抗原ペプチドを使用して分離されるため、従来技術の方法によって得られた抗体で問題であることがわかっているPTHの1番目のアミノ酸残基に対する結合親和性を必ずしも有さず、いわんや最大結合親和性を有しない単離抗体が存在する。上記に習って、PTHの1−12および1−15にそれぞれ対応するペプチド配列が最終的に得られる抗体が使用される種に由来するのとは違なる1番目のアミノ酸残基を有する種から選択されるとすれば、PTHの1番目のアミノ酸残基に対する親和性を有する抗体の除去または実質的な抑制が、かかるペプチド配列の利用により同様に達成されるだろう。 例えば、ヒトPTHの1番目のアミノ酸残基に対する特異性を欠いた、ヒトでのPTHレベルを検出するのに適した抗体を得るために、ホスト動物に由来する抗ラットPTH血清がヒトPTHのアミノ酸残基配列1−12および1−15に対応するペプチドに対して精製される。理解されるように、ラットPTHの1番目のN末端のアミノ酸残基はヒトで見出されるSERとは異なりALAを含むため、最終的に分離された抗体はすべて、必ずそのような1番目のアミノ酸残基配列を越えて延びるアミノ酸残基に対する結合親和性を有するだろう。 一旦工程(30)で得られると、上記の抗体は、所与の試料(例えば血清または血漿)に見出されるように、生理活性インタクトPTHの存在と相関させるために、免疫学的技術に使用され得る。これに関し、本発明の抗体は、大きな非(1−84)PTH断片との交差反応は有利に避けて生理活性インタクトPTHの存在を決定すべく所与試料をスクリーニングするために、単独または組み合わせて使用され得る。例として、そのような抗体は免疫学的測定キットに組み込まれ得る。そのような用途の例には、血清、血漿または細胞培地中の生理活性インタクトPTHのレベルの定量的決定のための酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)を提供するカリフォルニア州サンクレメント(San Crement)のImmutopics社により作製されたヒト生理活性PTHおよびラットのインタクト名生理活性PTHのELISAキットが含まれる。この点に関して、様々な種のPTHに対して特異的な抗体を得るために上述の応用例が与えられれば、Immutopics社により提供されるような免疫学的測定は、そのような抗体の親和性および特異性を広範な種に応用するように特別に設計され得るか、または代わりにキットが所与の種向けにより狭くあつらえられるように所与の種の適当な対応ペプチドに対して作製され得る。 本発明のさらなる改変および改良も、当業者には明白であり得る。したがって、本明細書で説明し図示した部分の特定の組み合わせは、本発明の特定の実施形態を表わすにすぎず、本発明の精神および範囲内の代わりの装置の限定として機能するものではない。様々な種、すなわちヒト、ラット、マウス、ウシ、イヌ、ブタ、ネコ、およびサルに対するPTHのアミノ酸配列と、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、配列番号7、配列番号8、配列番号9、配列番号10、配列番号11、および配列番号12として本明細書で識別したアミノ酸配列とを示す。図1の種のPTHの1−84アミノ酸配列のバリエーションを示す図1の別例。配列番号1−12のアミノ酸配列が比較的一定であるPTHの保存されたN末端をも示す。ヒトPTHのN末端部分の図。本発明の好ましい実施形態により抗体を生産する工程を示すフローチャート。 生理活性のある副甲状腺ホルモン((1−84)PTHと称する)に対し、PTH(1−84)のN末端部分において、免疫特異的に結合する抗体の作製方法であって、前記N末端部分は(i)PTH(1−84)のN末端3アミノ酸残基、または(ii)PTH(1−84)のN末端の4アミノ酸残基からなり、前記方法が、 a)ホスト動物において第1のペプチド抗原に対する抗体産生を誘導すべく、非ヒトのホスト動物へ第1のペプチド抗原を投与する工程であって、前記第1のペプチド抗原は配列番号3、配列番号4、配列番号5、配列番号6、(1−34)PTHおよび(1−84)PTHから成るグループから選択される、工程と、 b)前記ホスト動物への前記第一のペプチド抗原の投与により産生された抗体の力価をモニタする工程と、 c)前記第1のペプチド抗原の前記投与により前記ホスト動物で産生された血清を抽出する工程と、 d)配列番号3、配列番号4、配列番号5、および配列番号6から成るグループから選択された第2のペプチド抗原を用いてアフィニティクロマトグラフィにより工程c)で抽出された前記血清から少なくとも1つの抗体を分離および選択する工程と、 e)(4−34)PTH、(5−34)PTH、(4−84)PTH、および(5−84)PTHから成るグループから選択されたペプチド抗原に対して特異性を有する、工程d)で分離された前記少なくとも1つの抗体を、(4−34)PTH、(5−34)PTH、(4−84)PTH、および(5−84)PTHから成るグループから選択された第3のペプチド抗原を用いてアフィニティクロマトグラフィにより除去する工程と、および f)工程e)で生産された溶出液を集めることにより、前記PTHのN末端部分の最初の3個または4個以下のアミノ酸残基に対する結合親和性を有する抗体を分離する工程であって、前記分離された抗体がPTHのN末端の5番目のアミノ酸残基やそれを超える任意のアミノ酸残基に対する結合親和性を全く有しない、工程とを含む方法。 工程a)で前記ホスト動物はマウスおよびウサギから成るグループから選択される請求項1に記載の方法。 工程a)で前記ホスト動物は少なくとも1頭のヤギを含む請求項1に記載の方法。 工程a)で前記(1−34)PTHはヒト、ラット、マウス、ウシ、イヌ、ブタ、ネコ、およびサルから成るグループから選択された種に由来するものである請求項1に記載の方法。 工程a)で前記第1のペプチド抗原にはキャリアタンパク質が結合されている請求項1に記載の方法。 工程a)で前記(1−84)PTHはヒト、ラット、マウス、ウシ、イヌ、ブタ、ネコ、およびサルから成るグループから選択された種に由来するものである請求項1に記載の方法。配列表