生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_バリエナミンの製造方法
出願番号:2007542924
年次:2011
IPC分類:C07C 213/00,C07C 215/44,C07B 61/00


特許情報キャッシュ

ビュン、イル、スク キム、ジョ、スン シン、スン、ヘ キム、ワン、ジョ JP 4639236 特許公報(B2) 20101203 2007542924 20051202 バリエナミンの製造方法 ケムテック、リサーチ、インコーポレーション 503302942 CHEMTECH RESEARCH INCORPORATION 吉武 賢次 100075812 中村 行孝 100091487 紺野 昭男 100094640 横田 修孝 100107342 伊藤 武泰 100111730 ビュン、イル、スク キム、ジョ、スン シン、スン、ヘ キム、ワン、ジョ KR 10-2005-0021852 20050316 KR 10-2005-0036755 20050502 20110223 C07C 213/00 20060101AFI20110203BHJP C07C 215/44 20060101ALI20110203BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110203BHJP JPC07C213/00C07C215/44C07B61/00 300 C07B 31/00-63/04 C07C 1/00-409/44 CAplus(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) JCHEM(JDreamII) 国際公開第2004/108657(WO,A1) 国際公開第2004/000782(WO,A1) 5 KR2005004093 20051202 WO2006107134 20061012 2008520657 20080619 8 20070517 小久保 敦規 本発明は、下記式(1)で示されるバリエナミン(Valienamine)の製造方法に関するものである。より具体的には、本発明は塩基を用いてアカルボース(acarbose)又はアカルボース誘導体からバリエナミンを製造する方法に関するものである。 バリエナミンは、食後の急激な血糖上昇を抑制する薬効を有する糖尿病治療用血糖低下剤であるボグリボース(Voglibose)を製造するに使用されるコア前駆体である[Carbohydrate Research, 140, 185 (1985) ; J. Med. Chem., 29, 1038 (1986) ; 米国特許4,701,559 (1987)]。 慣用のバリエナミンの合成法は大きく2つに分けられる。一つは炭水化物からバリエナミンを全合成する方法であり、もう一つはバリエナミン部分を含むバリダマイシン(Validamycin)やアカルボースからバリエナミンを製造する方法である。 炭水化物からバリエナミンを全合成する方法では、D−グルコース[Chem. Pharm. Bull., 36, 4236 (1988) ; J. Org. Chem., 57. 3651 (1992)]や、D−キシロース[J. Antibiot. 53, 430 (2000)]のような炭水化物源からバリエナミンを経済的に合成する。しかしながら、このような全合成方法は、反応段階が10段階以上で長くて複雑であり、バリエナミンの大量生産技術としては不適合である。 したがって、前記の問題点を解決する方法として提案されたのが、バリエナミン部分を含む周知化合物であるバリダマイシンやアカルボースから、バリエナミンを製造する方法である。例えば、バリダマイシンから製造される、ベンジル保護基を有するバリドキシアミン(Validoxyamine)誘導体を、DMF(ジメチルホルムアミド(dimethylformamide))やDMSO(ジメチルスルホキシド(dimethylsulfoxide))のような溶媒下でNBS(N−ブロモスクシンイミド(N−bromosuccinimide))と反応させることによって、約36%〜50%の収率でバリエナミン誘導体を製造する方法が知られている[Chemistry Letters, 725 (1989) ; J. Chem. Soc., Perkin Trans I, 3287 (1991)]。しかしながら、前記方法は、また、溶媒又は酸化剤としてDMF、DMSO、NBSのような有毒性試薬が使用され、また種々の副産物が形成される短所を持っている。 一方、前記方法の問題点を解決する製法として、WO 2004/000782は、アカルボース又はバリダマイシンを、強酸であるTFA(トリフルオロ酢酸(trifluoroacetic acid))溶媒中で反応させ、バリエナミンを製造する方法を記載している。この製法は他の慣用の方法に比べて大量生産に適しているが、相対的に高価で有害なTFAを使用しなければならないという短所がある。発明の概要 よって、本発明者らは従来技術の問題点を最小化するための単純で経済的なバリエナミンの製造方法を開発した。本発明によれば、塩基を用いてアカルボース又はアカルボース誘導体からバリエナミンを容易に製造することができ、本発明は特に大量生産に適した経済的な製法である。 本発明の目的は、バリエナミンの慣用の製造方法の問題点を解決するために、塩基を用いてアカルボース又はアカルボース誘導体からバリエナミンを製造する方法を提供することにある。 前記のような本発明の目的を達成するために、本発明は、塩基を用いて、下記式(2)で示されるアカルボース又はアカルボース誘導体から、下記式(1)で示されるバリエナミンを製造する方法を提供する。 アカルボース誘導体とは、バリエナミン骨格に1又は2個以上の糖類が結合された化合物であり、一般的に下記式で示されるとおり単糖類又は二糖類が結合された誘導体を称する。 本発明によるバリエナミンの製造方法は、安価な試薬の塩基を用いるため、本発明は大量生産に向いている経済的な方法である。 本発明によるバリエナミンの製造方法を反応式で図示すると下記の通りである: 本発明において、塩基は特に制限されず、多様な無機塩基や有機塩基が用いることができる。用いられる塩基には、例えば、水酸化塩、炭酸塩、重炭酸塩、燐酸塩、有機アミンなどがある。 より具体的に本発明において望ましい塩基の例を挙げると、水酸化物としては、水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化カリウム(KOH)のようなアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウム(Ca(OH)2)、水酸化バリウム(Ba(OH)2)のようなアルカリ土類水酸化物、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(NMe4OH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド(NEt4OH)のようなテトラアンモニウムヒドロキシドであり;炭酸塩としては、炭酸ナトリウム(Na2CO3)、炭酸カリウム(K2CO3)のような金属炭酸塩(MCO3)(ここで、Mはアルカリ金属又はアルカリ土類金属である)であり;重炭酸塩としては、重炭酸ナトリウム(炭酸水素ナトリウム)(NaHCO3)、重炭酸カリウム(炭酸水素カリウム)(KHCO3)のような金属重炭酸塩(MHCO3)であり;燐酸塩としては、燐酸三ナトリウム(Na3PO4)、燐酸三カリウム(K3PO4)、燐酸二ナトリウム(Na2HPO4)であり;有機アミンとしては、ジイソプロピルエチルアミン、トリプロピルアミン、トリエチルアミンのようなNR1R2R3(ここで、R1、R2、及びR3は同一又は異なるものであって、独立して炭素数1〜4個のアルキル基である)である。 前記の多様な塩基のうち、適切な塩基を選択する基準は塩基強度である。本発明において塩基強度は、反応速度及び反応条件を決定するにおいて最も重要な要因であり、塩基強度が強ければ強いほど反応速度は速くなる。一般的に、塩基強度は解離定数(pKa)として示される。例えば、ヒドロキシル基(OH−)のpKaは15.7、カルボキシ基(CO32−)のpKaは10.3、有機アミンのpKaは10、三燐酸基(PO43−)のpKaは12.7、重炭酸基(HCO3−)のpKaは6.4である。本発明では6以上の解離定数(pKa)を有する塩基を用いた方が望ましく、さらに望ましくはpKaが10以上のものである。 塩基の量は特に制限されないが、アカルボースやその誘導体に比べて過剰量を使用した方が望ましい。望ましくは、アカルボース又はその誘導体を基準にして5当量以上を使用することである。 典型的には、前記反応物質の反応を円滑に進行させるために、水、又は、水と水混和性有機溶媒との混合溶媒のような反応溶媒を使用することができる。水混和性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、エチレングリコールなどのアルコール溶媒が望ましい。反応溶媒の量は特に制限されないが、望ましくはアカルボース又はその誘導体の重量を基準にし、5倍以上であり、さらに望ましくは5倍〜30倍である。また、反応中に反応液を還流させた方が望ましい。望ましい反応温度及び反応時間は60℃以上、12時間以上であり、さらに望ましくは80℃〜120℃、24時間〜72時間である。 反応液から得られるバリエナミンは、当該技術分野における通常的な精製方法を用いて容易に精製することができる。例えば、水溶性のようなバリエナミンの物理的特性を考慮して、イオン交換樹脂を用いることができる。また、生じたバリエナミンを、必要によって結晶化などの精製方法でさらに精製しても良い。 本発明によれば、アカルボースの骨格に結合された糖を、塩基を用いて除去するため、アルカルボースを比較して結合された糖の個数においてのみ差があるアカルボース誘導体をアカルボースと同様の反応経路に付す。よって、アカルボース誘導体の反応条件や精製法は、下記反応式2に示したようにアカルボースと実質的に同じである。 反応式2において、塩基は前記で定義したものと同じであることができる。 本発明は以下の実施例によりさらに具体化されるが、このことは本発明の権利範囲を限定するものではない。 実施例1: アカルボースからのバリエナミンの製造1 水(200mL)に、アカルボース(10g)と水酸化ナトリウム(9.3g)を加え、48時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、1N塩酸溶液で中和し、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(アンバーライト IR−120H(Amberlite IR-120H))と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(1.1g)を得た。 得られた生成物(バリエナミン)の水素NMRスペクトラムは次の通りである。 1H NMR (D2O、300 MHZ) 3.35 (m、1 H)、 3.49 (m、2H)、3.80〜3.95 (m、2H)、4.02 (d、1H)、5.61 (d、1H) 実施例2: アカルボースからのバリエナミンの製造2 水(180mL)に、アカルボース(10g)と水酸化カリウム(10.5g)を加え、48時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、1N塩酸溶液で中和し、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(1.0g)を得た。 実施例3: アカルボースからのバリエナミンの製造3 水(20mL)に、アカルボース(1.0g)と水酸化カルシウム(1.6g)を加え、60時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.12g)を得た。 実施例4: アカルボースからのバリエナミンの製造4 水(20mL)に、アカルボース(1.0g)と水酸化バリウム・八水和物(Barium hydroxide octahydrate)(6.8g)を加え、55時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後 、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.09g)を得た。 実施例5: アカルボースからのバリエナミンの製造5 水(20mL)に、アカルボース(1.0g)と炭酸ナトリウム(2.0g)を加え、72時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.08g)を得た。 実施例6: アカルボースからのバリエナミンの製造6 水(20mL)に、アカルボース(1.0g)と重炭酸ナトリウム(1.8g)を加え、72時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.09g)を得た。 実施例7: アカルボース誘導体(二糖類)からのバリエナミンの製造7 水(40mL)に、アカルボース誘導体(二糖類、2.0g)と水酸化カリウム(2.0g)を加え、48時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、1N塩酸溶液で中和し、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.2g)を得た。 実施例8: アカルボース誘導体(二糖類)からのバリエナミンの製造8 水(40mL)にアカルボース誘導体(二糖類、2.0g)と水酸化ナトリウム(1.6g)を加え、40時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.18g)を得た。 実施例9: アカルボースからのバリエナミンの製造9 水(50mL)に、アカルボース(5g)とテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(20g)を加え、40時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、1N塩酸溶液で中和し、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.4g)を得た。 実施例10: アカルボースからのバリエナミンの製造10 水(20mL)に、アカルボース(2g)と燐酸三カリウム(potassium phosphate tribasic)(9.8g)を加え、45時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、1N塩酸溶液で中和し、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.17g)を得た。 実施例11: アカルボースからバリエナミンの製造11 水(20mL)に、アカルボース(2g)と燐酸三カリウム(7.5g)を加え、48時間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、1N塩酸溶液で中和し、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.19g)を得た。 実施例12: アカルボースからのバリエナミンの製造12 水(50mL)に、アカルボース(5g)と燐酸二ナトリウム(16.5g)を加え、4日間還流させた。この反応混合液を常温まで冷却した後、1N塩酸溶液で中和し、濃縮した。濃縮された反応液を陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱酸性陽イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.35g)を得た。 実施例13:アカルボースからのバリエナミンの製造13 水(5mL)に、アカルボース(2g)とジイソプロピルエチルアミン(20mL)を加え、3日間還流させた。この反応混合液を減圧下で濃縮し、水(50mL)で希釈させた後、陽イオン交換樹脂(Amberlite IR-120H)と弱イオン交換樹脂(Amberlite CG-50)で精製し、純粋なバリエナミン(0.16g)を得た。 慣用のバリエナミンの合成方法は反応段階が長くて複雑であり、多種の副反応物が形成されるため、大量生産には向いていない。本発明は、反応段階を単純化させ、副反応物の生成が少なくなるようにすることによって、大量生産に適した新たなバリエナミンの製造方法を提供する。また、本発明によるバリエナミンの製造方法は、アカルボース又はアカルボース誘導体の反応のために塩基を用いるため、有害な有機溶媒を用いる慣用の方法に比べて有害性が少ない方法である。 アカルボース又はアカルボース誘導体と塩基とを溶媒中に溶解して反応させることを含んでなる、下記式(1)のバリエナミン(Valienamine)の製造方法であって、 前記塩基が、金属水酸化物、金属炭酸塩、および金属重炭酸塩からなる群より選択され、かつ 前記塩基が、アカルボース又はその誘導体を基準にして5当量以上加えられる、方法。 前記金属水酸化物が、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである、請求項1に記載の方法。 前記金属水酸化物が、水酸化カルシウム又は水酸化バリウムである、請求項1に記載の方法。 前記金属炭酸塩が、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである、請求項1に記載の方法。 前記金属重炭酸塩が、重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウムである、請求項1に記載の方法。


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