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タイトル:特許公報(B2)_ポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子、及びその成形体と該樹脂発泡粒子の製造方法
出願番号:2007542651
年次:2014
IPC分類:C08L 67/04,C08K 5/29,C08J 9/18,C08L 101/16,C12P 1/00


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宮川 登志夫 廣瀬 文信 千田 健一 JP 5408877 特許公報(B2) 20131115 2007542651 20061026 ポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子、及びその成形体と該樹脂発泡粒子の製造方法 株式会社カネカ 000000941 特許業務法人 有古特許事務所 110000556 宮川 登志夫 廣瀬 文信 千田 健一 JP 2005310613 20051026 20140205 C08L 67/04 20060101AFI20140116BHJP C08K 5/29 20060101ALI20140116BHJP C08J 9/18 20060101ALI20140116BHJP C08L 101/16 20060101ALI20140116BHJP C12P 1/00 20060101ALI20140116BHJP JPC08L67/04C08K5/29C08J9/18C08L101/16C12P1/00 C08K 3/00−13/08 C08L 1/00−101/16 C08J 9/18 特開2003−327737(JP,A) 特開昭63−004909(JP,A) 特開平03−281638(JP,A) 特開2000−095891(JP,A) 特許第5014127(JP,B2) 6 JP2006321372 20061026 WO2007049694 20070503 11 20090827 米村 耕一 植物由来で、生分解性を有するポリヒドロキシアルカノエート樹脂発泡粒子、及びその成形体と該樹脂発泡粒子の製造方法に関する。 プラスチック廃棄物の中で包装容器、緩衝材、クッション材等に多量に用いられている発泡プラスチックは嵩高いために大きな社会問題となっており、その解決が望まれている。このため、生分解性を有するプラスチック発泡体の研究が盛んに行われており、これまで脂肪族ポリエステル系樹脂やデンプンとプラスチックの混合樹脂等の押出発泡体や発泡粒子を用いた型内成形発泡体の検討がなされている。 石油由来の原料から合成して得られた生分解性脂肪族ポリエステル樹脂を用いた発泡粒子及びその成形体に関する従来技術として、発泡性を改良するため、有機過酸化物等を用い、架橋して得られる発泡粒子及びその成形体(特許文献1〜3)や、ジイソシアネートを連結剤として用い、高分子量化させることで特定の溶融粘度を有することを特徴とする脂肪族ポリエステル発泡性粒子(特許文献4)、架橋剤としてポリイソシアネート、多価アルコール類、多価カルボン酸類等を用いた、ポリ乳酸発泡粒子及びその成形体(特許文献5〜14)が知られている。 微生物から生産されるポリ(3−ヒドロキシアルカノエート(以下、P3HA)は、耐水性、耐水蒸気透過性に優れ、かつ、好気性、嫌気性何れの環境下でも分解する、植物原料を使用した微生物に由来するプラスチックである。例えば、特許文献15には、P3HAの一種であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、略称はPHBH)を使用し、耐圧容器内で水を分散媒とし、イソブタンを発泡剤として2つの融点を有する発泡粒子を得る方法が記載されている。 この方法によれば、結晶性制御により、良質な発泡粒子を得ることができ、更にそれを成形する事で良質な成形体を得ることができる。しかしながら、成形後の後収縮や成形時の加工幅が狭いなどの問題がある。特許文献16には、ポリイソシアネートなどのイソシアネート化合物を用いてPHBH樹脂などのP3HA樹脂を改質することにより成形後の後収縮を改善し成形時の加工幅を広くできることが開示されている。特開平10−324766号公報特開2001−106821号公報特開2004−10798号公報特開平6−248106号公報国際公開第99/21915パンフレット特開2000−169546号公報特開2000−17039号公報特開2000−230029号公報特開2001−98044号公報特開2002−327037号公報特開2003−253107号公報特開2004−107430号公報特開2004−107505号公報特開2004−149649号公報特開2000−319438号公報国際出願PCT/JP2006/307549号明細書 本発明の目的は、イソシアネート化合物を用いて改質されたP3HA樹脂であってさらにP3HA樹脂発泡粒子成形体を製造しやすい、植物由来の環境適合性に優れた生分解性の樹脂発泡粒子を提供することである。 本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、P3HAに対してイソシアネート化合物を混合して、所定の溶融粘度を付与したP3HA樹脂組成物を用い、ゲル分率の高い発泡粒子とすることで、高発泡化が達成された成形体を得ることが出来、更に発泡成形体を成形後の後収縮が見られず、かつ、成形時の加工幅が広いことを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明の第一は、微生物から生産される、式(1):[−O−CHR−CH2−CO−](ここに、RはCnH2n+1で表されるアルキル基で、n=1以上15以下の整数である。)で示される一種以上の繰り返し単位からなる共重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称はP3HA)及びイソシアネート化合物を含んでなるP3HA樹脂組成物からなるP3HA樹脂発泡粒子であって、該P3HA樹脂組成物がP3HA樹脂組成物の融解温度をTm1としたとき、剪断速度122sec-1、Tm1以上Tm2以下(ここで、Tm2=Tm1+20℃、ただしTm2<180℃)の条件下で測定される溶融粘度が500Pa・s以上であることを特徴とするP3HA樹脂発泡粒子に関する。 本発明の第2は、微生物から生産される、式(1):[−O−CHR−CH2−CO−](ここに、RはCnH2n+1で表されるアルキル基で、n=1以上15以下の整数である。)で示される一種以上の繰り返し単位からなる共重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称はP3HA)、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(以下、略称はPHB)及びイソシアネート化合物を含んでなるP3HA樹脂組成物からなるP3HA樹脂発泡粒子であって、該P3HA樹脂組成物がP3HA樹脂組成物の融解温度をTm1としたとき、剪断速度122sec-1、Tm1以上Tm2以下(ここで、Tm2=Tm1+20℃、ただしTm2<180℃)の条件下で測定される溶融粘度が500Pa・s以上であることを特徴とするP3HA樹脂発泡粒子に関する。 好ましいP3HA樹脂発泡粒子としては、次のものが挙げられる。(1)前記P3HAが、n=1及び3の単量体からなるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、略称はPHBH)であるP3HA樹脂発泡粒子、(2)P3HA樹脂発泡粒子のゲル分率が80%よりも多い事を特徴とするP3HA樹脂発泡粒子、(3)PHBHの共重合成分の組成比が、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=80/20以上99/1以下(mol/mol)であることを特徴とするP3HA樹脂発泡粒子。 本発明の第3は、前記記載のP3HA樹脂発泡粒子を金型に充填し、加熱成形してなることを特徴とするP3HA樹脂発泡粒子成形体に関する。 本発明の第4は、P3HA樹脂組成物を基材樹脂とした樹脂粒子を、分散剤とともに密閉容器内で水系分散媒に分散後、発泡剤を密閉容器内に導入し、該基材樹脂の軟化温度以上に加熱した後、密閉容器の一端を開放し、該樹脂粒子と水系分散媒とを密閉容器の圧力よりも低圧の雰囲気下に放出して、該樹脂粒子を発泡させることを特徴とする前記記載のP3HA樹脂発泡粒子の製造方法に関する。 本発明によって、高発泡化が達成された成形体を得ることが出来、更に発泡成形体成形後の後収縮が見られず、かつ、成形時、広い加工条件幅で安定的にP3HA樹脂発泡成形体を得ることが出来る。基材樹脂として、P3HAを使用しているため、耐熱性、耐水性に優れた、植物由来の環境適合性に優れた樹脂発泡粒子及びその成形体を得ることが出来る。 ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(PHB)および少なくとも1種のP3HA(PHBを除く)の混合物を使用する場合には、成型体の収縮がさらに改善される。P3HAは製造条件によってイソシアネート化合物で処理しても得られる発泡成型体が少し収縮する場合がある。このような場合、PHBを併用すると発泡成型体の収縮が抑制される。 本発明のポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)(P3HA)とは、式(1)で示される一種以上の3−ヒドロキシアルカノエートよりなる繰り返し単位からなり、かつ微生物から生産される脂肪族ポリエステルである。[−CHR−CH2−CO−O−] (1)ここで、RはCnH2n+1で表されるアルキル基で、n=1以上15以下の整数である。 本発明におけるP3HAとしては、前記3−ヒドロキシアルカノエートのホモポリマー、またはnの異なる2種以上の3−ヒドロキシアルカノエート組み合わせからなる共重合体、つまりジ−コポリマー、トリ−コポリマー、テトラ−コポリマーなど、またはこれらホモポリマー及び共重合体から選ばれる2種以上のブレンド物が挙げられ、中でもn=1の3−ヒドロキシブチレート、n=2の3−ヒドロキシバリレート、n=3の3−ヒドロキシヘキサノエート、n=5の3−ヒドロキシオクタノエート、n=15の3−ヒドロキシオクタデカノエートなどのホモポリマー、又はこれら前記nが異なる3−ヒドロキシアルカノエート単位2種以上の組み合わせからなる共重合体、又はこれらのブレンド物が好ましく使用できる。とりわけ、n=1の3−ヒドロキシブチレートとn=3の3−ヒドロキシヘキサノエートの共重合体であるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)が好ましく、さらにその組成比としては、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=80/20以上99/1以下(mol/mol)であるのが好ましい。3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート組成比が99/1以下であると、高温に加熱せずとも加工することが可能となる傾向にある。また、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート組成比が80/20以上であると加熱加工時の再結晶化の時間が短縮され生産性がよくなる傾向にある。 本発明において使用するイソシアネート化合物としては、1分子中にイソシアネート基を2個以上有するものである。イソシアネート化合物の例としては芳香族イソシアネート、脂環族イソシアネート、脂肪族イソシアネート等が挙げられる。更に具体的には、トリレン、ジフェニルメタン、ナフチレン、トリジン、キシレン、トリフェニルメタンを骨格とする芳香族イソシアネート;イソホロン、水素化ジフェニルメタンを骨格とする脂環族イソシアネート;ヘキサメチレン、リジンを骨格とする脂肪族イソシアネート等があげられる。これらイソシアネート化合物を2種類以上組み合わせたものも使用可能である。汎用性、取扱い性、耐候性等から、芳香族イソシアネートを使用することが好ましく、さらにはトリレン、ジフェニルメタン、特にはジフェニルメタンのポリイソシアネートが好ましい。 イソシアネート化合物は、P3HA100重量部に対して、0.1重量部以上添加することが好ましく、これより少ないと発泡時の発泡力に樹脂の膜強度が耐えられず、発泡セルが破泡し、良好な発泡体が得られにくい場合がある。一方、上限は10重量部であることが好ましく、10重量部を超えると未反応イソシアネート化合物が残り、かえって発泡性を落としてしまう場合がある。更に好ましくは0.3重量部以上8重量部以下、最も好ましくは0.5重量部以上5重量部以下が品質上、又、実用上好ましい量である。 本発明において使用できるポリ(3−ヒロドキシブチレート)(PHB)としては、微生物産生及び合成法のいずれの方法によって得られても良く、特に限定されるものではない。又、PHBの添加量は、P3HA100重量部に対して、0.1〜20重量部である。0.1重量部よりも少ない場合には、結晶化速度の向上効果が不十分であり、成形後の成形体が収縮する場合がある。20重量部よりも多い場合には、配合量に見合うだけの効果が期待できず、実際的でないばかりか、不経済である。又、PHBの平均粒径は小さい事が好ましい。好ましくは300μm以下であり、より好ましくは100μm以下、更に好ましくは50μm以下、更に更に好ましくは10μm以下、最も好ましくは5μm以下である。PHBの平均粒径が、300μmよりも大きくなると、P3HA樹脂組成物内でのPHBの均一な分散が困難なため、好ましくない。細かい結晶核点を組成物中に、微分散させるためには、粒径300μm以下であることが好ましい。 本発明のP3HA樹脂組成物は、P3HA及びイソシアネート化合物を含んでなり、好ましくはさらにPHBを含んでなる。P3HA樹脂組成物は融解温度(Tm1)を有する。尚、融解ピークを複数有する場合は、最も融解熱量の大きいピークをTm1とする。P3HA樹脂組成物の溶融粘度は、剪断速度122sec-1、Tm1以上Tm2以下(ここで、Tm2=Tm1+20℃、ただしTm2<180℃)の条件下、500Pa・s以上であり、好ましくは1000Pa・s以上、更に好ましくは1500Pa・s以上である。500Pa・s未満では、粘度が低すぎるため、発泡時の発泡力に樹脂の膜強度が耐えられず、発泡セルが破泡し、良好な発泡体が得られない。溶融粘度の上限は本発明の樹脂組成物が熱可塑性の特性を有する粘度域であれば特に限定するものではないが、例えば10000Pa・s未満であることが好ましい。又、実際の発泡工程では、発泡剤が樹脂を可塑化するため、P3HA樹脂組成物の融解温度よりも低い温度が最適発泡温度となる場合があるが、ここでは発泡剤未含浸のP3HA樹脂組成物のTm1以上Tm2以下(ここで、Tm2=Tm1+20℃、ただしTm2<180℃)の条件下での溶融粘度をもって実際の発泡時の溶融特性を評価している。Tm1以上Tm2以下の温度領域の何れかにおいて、P3HAの溶融粘度が500Pa・s以上であれば、良好な発泡性を示す。 本発明におけるP3HA樹脂発泡粒子のゲル分率は、80%よりも多いことが好ましく、更に好ましくは90%よりも多いことである。ゲル分率が80%よりも少なくなると、高い発泡倍率の発泡粒子を得る場合、発泡時の圧力に樹脂膜が耐え切れず、発泡セルが破泡し、良好な成形体が得られない場合がある。 本発明でいうゲル分率は、次のようにして測定される。150mlのフラスコに、架橋樹脂粒子、発泡粒子又は発泡粒子成形体約1gと100mlのクロロホルムを入れ、大気圧下で8時間加熱還流した後、得られた加熱処理物を200メッシュの金網を有する吸引濾過装置を用いて濾過処理する。得られた金網上の濾過処理物を80℃のオーブン中で760トールの真空条件下にて8時間乾燥する。この際に得られた乾燥物重量W1を測定する。この重量W1の架橋樹脂粒子W2に対する重量比率(W1/W2×100%)をゲル分率とする。 本発明におけるP3HA樹脂組成物には、得られる発泡粒子の要求性能を阻害しない範囲において、各種添加剤を加えても良い。ここで添加剤とは、たとえば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染料、顔料などの着色剤、可塑剤、滑剤、結晶化核剤、無機充填剤等目的に応じて使用できるが、中でも生分解性を有する添加剤が好ましい。添加剤としては、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素等の無機化合物や、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸バリウム等の脂肪酸金属塩、流動パラフィン、オレフィン系ワックス、ステアリルアミド系化合物などが挙げられるが、これらに限定された物ではない。また、発泡粒子の気泡径を調節する必要がある場合は気泡調整剤を添加する。気泡調整剤としては無機造核剤には、タルク、シリカ、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、珪藻土、クレイ、重曹、アルミナ、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、ベントナイト等があり、その使用量は通常0.005重量部以上2重量部以下を添加する。 本発明のP3HA樹脂発泡粒子の製造方法を以下に述べる。P3HA樹脂発泡粒子を製造するにあたっては、まず基材樹脂であるP3HA、及びイソシアネート化合物、好ましくはPHBとを押出機、ニーダー、バンバリーミキサー、ロールなどを用いて加熱溶融混錬し、次いで円柱状、楕円柱状、球状、立方体状、直方体状などの本発明の発泡に利用しやすい粒子形状に成形することにより得られるP3HA樹脂粒子を使用する。粒子1個当たりの重量は0.1mg以上が好ましく、更には0.5mg以上が好ましい。0.1mg未満ではP3HA樹脂粒子自体の製造が困難な場合がある。 こうして得られたP3HA樹脂粒子を、分散剤とともに密閉容器内で水系分散媒に分散後、発泡剤を密閉容器内に導入し、該P3HA樹脂組成物の軟化温度以上に加熱し、必要で有れば発泡させる温度付近で一定の時間保持した後、密閉容器の一端を解放し、該P3HA樹脂粒子と水系分散媒とを密閉容器の圧力よりも低圧の雰囲気下に放出して、P3HA樹脂発泡粒子が製造される。 前記分散剤としては、第3リン酸カルシウム、ピロリン酸カルシウム、カオリン、塩基性炭酸マグネシウム、酸化アルミニウム、塩基性炭酸亜鉛等の無機物と、アニオン界面活性剤たとえば、ドデシルベンゼンスルホン酸ソーダ、α−オレフィンスルホン酸ソーダ、ノルマルパラフィンスルフォン酸ソーダ等を組み合わせて使用される。無機物の量はP3HA樹脂組成物100重量部に対して0.1重量部以上3.0重量部以下、アニオン界面活性剤量はP3HA樹脂組成物100重量部に対し0.001重量部以上0.2重量部以下が通常である。また、分散媒としては経済性、取り扱い性の点から通常は水が好ましいが、これに限られたものではない。 前記の発泡剤としては、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ネオペンタン等の炭素数3以上5以下の飽和炭化水素、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、及びメチルエチルエーテル等のエーテル、モノクロルメタン、ジクロロメタン、ジクロロジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素、二酸化炭素、窒素、空気などの無機ガス、水等が挙げられるが、これらを少なくとも1種使用することが出来る。環境適合性を考えると飽和炭化水素、エーテル、無機ガス、水を発泡剤をして使用することが好ましい。発泡剤の添加量は目的の予備発泡粒子の発泡倍率、発泡剤の種類、ポリエステル系樹脂の種類、樹脂粒子と分散媒の比率、容器の空間容積、含浸または発泡温度などによって異なるがP3HA樹脂粒子100重量部に対し、通常2〜1000重量部の範囲である。 前記方法で得られた樹脂発泡粒子は、必要であれば加圧空気で加圧熟成し、樹脂発泡粒子に発泡能を付与し閉鎖しうるが密閉できない金型に充填し、次いで、金型内に水蒸気を導入することにより、樹脂発泡粒子同士を加熱融着させ、P3HA樹脂粒子の樹脂発泡成形体が製造される。 以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。また、実施例において「部」は重量基準である。本発明で使用した物質は以下の様に略した。P3HA:ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)PHBH:ポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)PHB:ポリ(3−ヒドロキシブチレート)HH率:PHBH中のヒドロキシヘキサノエートのモル分率(mol%) <P3HA樹脂粒子の融解温度測定法>示差走査熱量測定は、実施例にあるP3HA樹脂粒子約5mgを精秤し、示差走査熱量計(セイコー電子工業(株)製、SSC5200)にて10℃/分の昇温速度で0℃から200℃まで昇温を実施し、DSC曲線を得、吸熱曲線のピーク温度を融解温度Tm1とした(ピークが複数有る場合は、熱量の大きい方の融解温度をTm1とする)。 <P3HA樹脂組成物の溶融粘度測定法>キャピログラフ(東洋精機製作所製)を用い、1mmφ×10mmのダイスを使用して上記で測定したTm1をもとに、Tm+8℃或いはTm+15℃、剪断速度122sec-1にて、P3HA樹脂組成物の溶融粘度を測定した。溶融粘度の評価は以下のように判断した。○:溶融粘度が500Pa・s以上である×:溶融粘度が500Pa・s未満でない <P3HA樹脂発泡粒子及び成形体の発泡倍率測定法> 相対湿度50%、23℃、1atmの条件にて7日間放置した500個以上のP3HA樹脂発泡粒子B或いは、適当な大きさに切り出したP3HA樹脂発泡成形体C(重量W(g))を23℃のエタノールの入ったメスシリンダーに金網などを使用して沈め、エタノール水位上昇分より読みとられる発泡粒子群或いは、成形体の容積V(cm3)としたときに、樹脂密度ρ(g/cm3)から次式で与えられる。発泡倍率=V/(W/ρ) <P3HA樹脂発泡成形体の独立気泡率測定法>マルチピクノメーター(ベックマン・ジャパン(株)社製)を用い、ASTM D−2856に準じて測定した。 <P3HA樹脂発泡粒子の生分解性>実施例のP3HA樹脂発泡粒子を、深さ10cmの土中に埋めて6ヶ月後、形状変化を観察し分解性を以下の基準で評価した。○:かなりの部分が分解されており形状を確認しにくいほど分解×:ほとんど形状に変化なく発泡粒子が観察され、分解していない <P3HA樹脂発泡粒子のゲル分率>150mlのフラスコに、P3HA樹脂発泡粒子約1gと100mlのクロロホルムを入れ、大気圧下で8時間加熱還流した後、得られた加熱処理物を200メッシュの金網を有する吸引濾過装置を用いて濾過処理する。得られた金網上の濾過処理物を80℃のオーブン中で760トールの真空条件下にて8時間乾燥する。この際に得られた乾燥物重量W1を測定する。この重量W1の架橋樹脂粒子W2に対する重量比率(W1/W2×100%)をゲル分率とする。 <成形加熱幅>○:成形可能な水蒸気圧力範囲が0.05(MPa)(ゲージ)以上△:成形可能な水蒸気圧力範囲が0.01(MPa)(ゲージ)以上0.05(MPa)(ゲージ)未満×:成形可能な水蒸気圧力範囲が0.01(MPa)(ゲージ)未満 <成形後の成形体収縮>◎:収縮全く無し○:少し収縮有り×:収縮有り (実施例1)微生物として、Alcaligenes eutrophusにAeromonas caviae由来のPHA合成酵素遺伝子を導入したAlcaligenes eutrophus AC32(J.Bacteriol.,179,4821(1997))を用いて原料、培養条件を適宜調整して生産されたPHBH、HH率12mol%のPHBH95重量部、PHB5重量部、ポリイソシアネート化合物4重量部(日本ポリウレタン製、ミリオネートMR-200(イソシアネート基2.7〜2.8当量/モル))とをハンドブレンドした後、ニーダー付きφ35mm単軸押出成形機(笠松加工製ラボ万能押出機)でシリンダー温度145℃にて溶融混練し、押出機先端に取り付けられた3mmφの小孔ダイより押し出されたストランドを、ペレタイザーでカットして粒重量5mg、融解温度135℃のPHBH樹脂組成物Aを作製した。剪断速度122sec-1、150℃(=Tm1+15℃)での、樹脂組成物Aの溶融粘度は7600Pa・sであった。 該樹脂組成物A100重量部を、4.5L耐圧容器に仕込んだ後、発泡剤としてイソブタン25重量部を添加、攪拌し、容器内温度が119℃となるまで昇温(発泡温度とする)後、容器内圧が1.8MPaの状態で1時間保持したのち、耐圧容器下部に設けた小孔ノズルを通して大気圧下に放出発泡し、発泡倍率が18倍、独立気泡率98%のPHBH樹脂発泡粒子Bを得た。尚、PHBH樹脂発泡粒子Bのゲル分率は93%であった。 該PHBH樹脂発泡粒子Bを、300×400×30mmの金型に充填し、0.23〜0.35MPa(ゲージ)の水蒸気を金型に導入し、該PHBH樹脂発泡粒子B同士を加熱、融着させ、発泡倍率20倍、独立気泡率91%のPHBH樹脂発泡成形体Cを得た。又、PHBH樹脂発泡成形体Cは作製後の収縮は全く無く、又、表面性等外観上も良好なPHBH樹脂発泡成形体Cを得た。結果を表1に示す。 (実施例2)PHBH樹脂組成物A中のポリイソシアネート化合物の添加部数を3重量部とし、かつ、発泡時の容器内温度を131℃で実施した以外は、実施例1と同様に行った。剪断速度122sec-1、150℃(=Tm1+15℃)での、樹脂組成物Aの溶融粘度は6200Pa・sであり、それを発泡に用いると、発泡倍率28倍、独立気泡率96%のPHBH樹脂発泡粒子Bを得た。尚、PHBH樹脂発泡粒子Bのゲル分率は95%であった。更に、それを0.17〜0.30MPa(ゲージ)の水蒸気を導入し加熱、融着させ、発泡倍率29倍、独立気泡率92%のPHBH樹脂発泡成形体Cを得た。又、PHBH樹脂発泡成形体Cは作製後の収縮は全く無く、又、表面性等外観上も良好なPHBH樹脂発泡成形体Cを得た。結果を表1に示す。(参考例)PHBH樹脂のみ使用している以外は、実施例1と同様に行った。剪断速度122sec-1、150℃(=Tm1+15℃)での、樹脂組成物Aの溶融粘度は5630Pa・sであり、それを発泡に用いると、発泡倍率13倍、独立気泡率99%のPHBH樹脂発泡粒子Bを得た。尚、PHBH樹脂発泡粒子Bのゲル分率は49%であった。更に、それを0.23〜0.35MPa(ゲージ)の水蒸気を導入し加熱、融着させ、発泡倍率14倍、独立気泡率99%のPHBH樹脂発泡成形体Cを得た。又、PHBH樹脂発泡成形体Cは作製後に少し収縮したが、表面性等外観上は良好なPHBH樹脂発泡成形体Cを得た。結果を表1に示す。 (比較例1)PHBH樹脂のみ使用し、ポリイソシアネート化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様に行った。剪断速度122sec-1、150℃(=Tm1+15℃)での該樹脂組成物Aの溶融粘度は400Pa・sであり、それを発泡に用いると、発泡倍率13倍、独立気泡率53%のPHBH樹脂発泡粒子Bを得た。尚、ゲル分率は0%であった。又、発泡粒子を得る際、結晶化が遅く発泡粒子同士がブロッキングした。更に、それを0.02MPa(ゲージ)の水蒸気を導入し加熱したが、PHBH樹脂発泡粒子Bが大きく収縮し、良好なPHBH樹脂発泡成形体Cを得ることができなかった。また、この樹脂の生分解性は良好であった。結果を表1に示す。 (比較例2)ポリイソシアネート化合物を添加しなかった以外は、実施例1と同様に行った。剪断速度122sec-1、150℃(=Tm1+15℃)での該樹脂組成物Aの溶融粘度は2360Pa・sであり、それを発泡に用いると、発泡倍率20倍、独立気泡率32%のPHBH樹脂発泡粒子Bを得た。尚、ゲル分率は0%であった。更に、それを0.02MPa(ゲージ)の水蒸気を導入し加熱したが、PHBH樹脂発泡粒子Bが大きく収縮し、良好なPHBH樹脂発泡成形体Cを得ることができなかった。また、この樹脂の生分解性は良好であった。結果を表1に示す。 本発明の特定の溶融粘度を有するポリ(3−ヒドロキシアルカノエート)樹脂発泡粒子を使用すると、広い加工条件幅で安定的にP3HA樹脂発泡成形体を得ることが出来、高発泡で成形後の後収縮がない生分解性を有する発泡体を得ることができる。従って包装材などの発泡体などの発泡体産業において有用である。微生物から生産される、式(1):[−O−CHR−CH2−CO−](ここに、RはCnH2n+1で表されるアルキル基で、n=1以上15以下の整数である。)で示される一種以上の繰り返し単位からなる共重合体(以下、ポリ(3−ヒドロキシアルカノエート):略称はP3HA)100重量部、ポリ(3−ヒドロキシブチレート)(以下、略称はPHB)及びイソシアネート化合物0.1〜10重量部を含んでなるP3HA樹脂組成物からなるP3HA樹脂発泡粒子であって、該P3HA樹脂組成物がP3HA樹脂組成物の融解温度をTm1としたとき、剪断速度122sec-1、Tm1以上Tm2以下(ここで、Tm2=Tm1+20℃、ただしTm2<180℃)の条件下で測定される溶融粘度が500Pa・s以上であることを特徴とするP3HA樹脂発泡粒子。前記P3HAが、n=1及び3の単量体からなるポリ(3−ヒドロキシブチレート−コ−3−ヒドロキシヘキサノエート)(以下、略称はPHBH)である、請求項1に記載のP3HA樹脂発泡粒子。P3HA樹脂発泡粒子のゲル分率が80%よりも多い事を特徴とする請求項1又は2に記載のP3HA樹脂発泡粒子。PHBHの共重合成分の組成比が、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシヘキサノエート=80/20以上99/1以下(mol/mol)であることを特徴とする請求項2又は3に記載のP3HA樹脂発泡粒子。請求項1〜4の何れか1項に記載のP3HA樹脂発泡粒子を金型に充填し、加熱成形してなることを特徴とするP3HA樹脂発泡粒子成形体。P3HA樹脂組成物を基材樹脂とした樹脂粒子を、分散剤とともに密閉容器内で水系分散媒に分散後、発泡剤を密閉容器内に導入し、該基材樹脂の軟化温度以上に加熱した後、密閉容器の一端を開放し、該樹脂粒子と水系分散媒とを密閉容器の圧力よりも低圧の雰囲気下に放出して、該樹脂粒子を発泡させることを特徴とする請求項1〜4の何れか一項に記載のP3HA樹脂発泡粒子の製造方法。


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