生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_固相ペプチド合成のための方法
出願番号:2007537195
年次:2012
IPC分類:C07K 7/08,C07K 7/06,C07K 14/815,C07K 17/08,C07K 1/04


特許情報キャッシュ

ドロッツ、アンネ−ソフィー シュニドリグ、ジャスミネ シュトゥデル、ニコレ バライ、ステファネ ベンゲル、コリンネ ベルビッツキイ、オレグ JP 4903709 特許公報(B2) 20120113 2007537195 20051019 固相ペプチド合成のための方法 ロンザ アーゲー 398075600 河野 哲 100091351 中村 誠 100088683 蔵田 昌俊 100108855 峰 隆司 100075672 福原 淑弘 100109830 白根 俊郎 100095441 村松 貞男 100084618 野河 信久 100103034 砂川 克 100140176 橋本 良郎 100092196 風間 鉄也 100100952 ドロッツ、アンネ−ソフィー シュニドリグ、ジャスミネ シュトゥデル、ニコレ バライ、ステファネ ベンゲル、コリンネ ベルビッツキイ、オレグ EP 04024812.2 20041019 20120328 C07K 7/08 20060101AFI20120308BHJP C07K 7/06 20060101ALI20120308BHJP C07K 14/815 20060101ALI20120308BHJP C07K 17/08 20060101ALI20120308BHJP C07K 1/04 20060101ALI20120308BHJP JPC07K7/08C07K7/06C07K14/815C07K17/08C07K1/04 C07K 7/04-7/08 C07K 1/04 C07K 14/81 C07K 14/815 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed WPI 特開2003−226713(JP,A) 特表平04−507253(JP,A) Chem. Commun.,1999年,Vol.1999,P.2509-2510 Chem. Pharm. Bull.,1996年,Vol.44, No.7,P.1344-1350 Chem. Commum.,1997年,Vol.1997,P.785-786 Chem. Rev.,2000年,Vol.100,P.2091-2157 J. Pept. Sci.,1999年,Vol.5,P.457-461 CHEMICAL AND PHARMACEUTICAL BULLETIN,1996年,Vol.44, No.7,P.1344-1350 17 EP2005011226 20051019 WO2006045503 20060504 2008517018 20080522 16 20080414 鈴木 崇之 本発明は、抗凝血薬ペプチドであるビバリルジン(bivalirudin)、いわゆる‘ヒルログ(hirulog)’、の固相ペプチド合成の改善された方法に関する。本発明は、さらに、樹脂に結合し、保護されたままのペプチドを具備した各々のペプチド−固相共役体生成物にも関する。 トロンビン阻害剤は、有望な抗トロンビン剤とみなされている:トロンビンによるタンパク質分解処理は、血液凝固の制御における中枢である。吸血ヒル Hirudo medicinalis 由来の強力な臨床トロンビンペプチド阻害剤であるヒルジンは、65個のアミノ酸からなる。 ヒルジンのアミノ酸位置45乃至65番目のペプチドセグメントのより短いペプチドアナログ、いわゆるヒルログは、生命を脅かす状態である血栓症の治療に有効であることが証明されている。 Okayama et al.(非特許文献1)及び Steinmetzer et al.(非特許文献2)は、Wang樹脂上における種々のヒルログの固相合成を案出しており、それは、p−ベンジルオキシ−ベンジルアルコールラジカルへとエステル化された樹脂へのC−末端Fmocアミノ酸のエステル結合を用いている。Wang樹脂は、濃トリフルオロ酢酸を用いたペプチドの樹脂からの切断を必要とし、そのために樹脂の切断は、それに付随した、ペプチドの包括的な(global)脱保護を意味する。 Wang樹脂からの酸分解的切断は、強酸性条件下で適用され、酸分解中のスカベンジ試薬の使用にも拘わらず、Trp残基の望ましくないアルキル化を副反応として必然的に招くとして知られている(非特許文献3)。特に、C−末端のTrpは、このような副反応を被りやすい(非特許文献4)。アルキル化は、Wang樹脂リンカーのフェノキシ部位から生成される芳香族カルベニウムイオンによってもたらされる。−ヒルログはTrp残基を含まないが、C−隣接部位にはTyr残基を具備している。我々は、Wang樹脂からの切断に際して、このTyr残基も生成物の純度に負に影響する思いもよらないアルキル化を同程度に被りやすいことを初めて見出し、またここに報告する。1996, Chem. Pharm. Bull. 44:1344-13501999, Eur. J. Biochem. 265:598-605Giraud et al., 1999, J. Peptide Science 5:457-461Atherton et al., 1988, Tetrahedron 44:843-857 従来技術の不都合を欠いた各ヒルログの別の又は改善された合成方法を案出することは、本発明の目的である。 この目的は、本発明で案出されたペプチド−樹脂共役体及びそれぞれの合成方法によって解決される。 本発明によると、ペプチド−固相共役体を脱離及び脱保護して、最終的にペプチド、好ましくは、式 D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly−Asp−Phe−Glu−Glu−Tyr−Leu のペプチドを生成するための方法が案出される。前記のペプチド−固相共役体は、式Iの2−クロロ−トリチルハンドルを具備しており、ここで、A=Boc−D−Phe−Pro−Arg(R2)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O−又はA=Fmoc−D−Phe−Pro−Arg(R2)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O−又はA=NH2−D−Phe−Pro−Arg(R2)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O−であり,R2,R3,R4,R5,R6,R7,R8,R9は、アミノ酸側鎖保護基であり、R1は不溶性の固相である。 上記のペプチド配列は、ヒルログ−8のものである(欧州特許第489070号明細書に記載)。それは、天然の強力なトロンビン阻害剤であるヒルジン(65mer)の20mer2価誘導体である。それは、ヒルジン由来の機能的に重要な結合された構造モチーフから構成されている:活性サイト結合モチーフD−Phe−Pro−Arg−Proとヒルジン由来のC−末端配列Asn9 乃至Leu20 とがテトラグリシンスペーサで架橋されている。定義の目的で、ここでは、‘−D−Phe−’はD−フェニルアラニンを意味し、所定のアミノ酸、この場合はPhe、の天然のL−鏡像異性体と対比される。 任意に、本発明の更なる目的において、式I中のラジカルAは、以下の何れであってもよい:1.A=P−X1−Tyr(R9)−X2−、ここで、X1は、任意に、0乃至200、好ましくは1乃至100、最も好ましくは2乃至50アミノ酸の個々のアミノ酸側鎖上に保護基を具備したペプチジル部位であり、X2は、単一の、任意に側鎖又はC−末端を保護され、−O−又は−NH−を介して固相に結合されたアミノ酸残基であり、好ましくは、X2はTrp、Cys又はArgではなく、PはH(即ち−NH2を与える)又は保護基であり、好ましくはその保護基は直交性の保護基であるか下で定義されるような強酸性条件下で除去可能な保護基であり、より好ましくはその保護基はBoc、Fmoc、Dde、Nps、Alloc、Zからなる群より選択される保護基である。 上記に従って、残基X2は、その側鎖にアミノ官能基が含まれている(例えば、リシン、ホモリシン、ノルリシン、又は、3−リシンのような構造異性体)場合には、1つのアミノエーテル官能を介してのみ樹脂に結合されてもよいことは、理解されるべきである。対照的に、−O−結合は、側鎖又はCαカルボキシ基又は側鎖のヒドロキシ官能を介したハンドル又はリンカーへのエステル又はエーテル結合の何れであってもよい。2.A=P−X1−Tyr(R9)−Leu−O−又はP−X1−Tyr(R9)−X2−3.A=P−X1−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O又はP−X1−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−X24.A=P−X1−[Gly]0-4−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O又はP−X1−[Gly]0-4−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−X25.A=P−X1−Arg(R2)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O−又はP−X1−Arg(R2)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−X2 P、X1、X2の定義は、A及び生成するペプチド−固相共役体についての全てのこれらの可能な態様に対して、構成的に適用される。 我々は、Wang樹脂からの切断に際して、前記のTyr残基は、生成物の純度に負に影響する思いもよらないアルキル化を同程度に被りやすいことを初めて見出し、またここに報告する。ヒルログの場合は、このような修飾は、Atherton et al.によりTrpに対してなされた観測と類似した近接効果によって促進されると思われる;しかしながら、例えばアルギニンの脱保護の場合におけるTyrのアルキル化は、一般的な問題としては決して報告されておらず、これはTrpの場合と際立って対照的である(Atherson et al., 1989, Solid phase synthesis: A practical approach, IRL press, Oxford)。 さらに、Athersonの観測は、C−末端のTrpのみに関係しており、一方、C末端からN末端方向に合成されたヒルログペプチド中のTyr残基は、近接した(juxtaproximal)、つまり、成長するペプチド鎖のC−末端の隣の、最後から2番目の残基に過ぎない。後知恵では、理論に束縛されることを望むことなしに、このことは、フェノキシ部位は平均的なアリール化合物よりも求電子置換における反応性が高いことによって説明されるかもしれない。確かにフェノールは、樹脂からの酸分解的切断においてスカベンジ剤として使用される(D. King et al., 1990, Int. J. Peptid Protein Res., 36, 255)。それでもなお、前記の副反応は、これまで当業者によって記載又は示唆されたことはなく、今日まで、末端のTrpのみがこれに関して脆弱だと信じられてきた。結果として、Wang樹脂は、従来技術において、最近まで、ヒルログ合成のために広く用いられてきた。 本発明のペプチド−固相共役体は、当技術でよく知られ、Bodanszky et al., Principles of Peptide Synthesis, 2nd ed., Springer Verlag Berlin Heidelberg 1989によく記載及び参照されているルーチンの固相法により合成されうる。必然的に、固相への接着の酸置換活性のため、このような合成戦略は、固相合成中におけるカップリング反応を実施するために、Fmoc化学を用いる。最後の末端D−Phe残基のみが、Boc又はFmocの何れかにより保護されてもよい。このようなFmoc保護は、例えば20%ピペリジン又は他のFmoc脱保護塩基試薬を用いた標準的な処理により樹脂上にありながら除去されて、本発明の、但しフリーのN−末端アミノ基を有している、ペプチド−樹脂共役体を生成してもよい。しかしながら、N−末端を早期にむき出しにする早期のFmoc脱保護は、酸分解か又は特には強酸性条件下における脱離に伴う包括的な脱保護かによる樹脂からの脱離に晒されたときに、前記のフリーのN−末端D−Phe残基を遥かにラセミ化させやすくするであろう。従ってより好ましくは、別途のFmoc脱保護工程の必要性を避けるため、末端D−Phe残基は、Boc保護されるか又は強酸性条件で容易に除去されうる別の保護基を用いて保護される。はっきりさせるために、これは、例えばZ−(ベンジルオキシ−カルボニル−)保護基を含んでおり、とりわけ本文脈で定義されるような強酸性条件によって切断されてもよい。水素化分解的又はHFに活性化された切断は、より効率的であることが知られているが。重ねて、末端D−Phe残基上での別途のFmoc脱保護工程であって、N−末端を早期にむき出しにし(フリーのa−アミノ基で終端させ、それは、式IにおいてH−D−Phe−.. 又はNH2−D−Phe.. として同等に表示されてもよい)、フリーになったD−Pheを例えば酸分解による樹脂からの脱離に伴う包括的な脱保護に供されたときにラセミ化を被りやすくする工程は、本発明の別の可能な態様ではあるが、選択肢としてそれほど良くはない。前記の単一工程での脱離又は包括的な脱保護に伴った切断は、例えば水性TFA及びDCMなどの溶媒混合物中で実施されてもよい。 一般的に、本発明によると、式Iの保護されたペプチドを、アミノ酸側鎖の及び好ましくはN−末端保護基の脱保護又は包括的な脱保護にと同時に又はその前に最初の工程において樹脂から切断することが可能である。後者の態様では、それは、最初に樹脂からの切断のために弱酸性条件へと、次に全ての残存した保護基の切断(包括的な脱保護)のために強酸性条件へと、順に供される。 ともかく両条件において、特に2−クロロ−トリチル樹脂(略してCTC樹脂)、及び例えば市販の、厳密に類似した4−メトキシ−若しくは4−メチル−トリチル−樹脂又は本発明で同程度に若しくはより少ない程度にクレームされた他の樹脂は、切断及び/又は脱保護の際に近接したチロシン残基の好ましくない修飾を避けるのに良く適している。それは、チロシンが樹脂からの切断の際に同時に脱保護されるときに、近接したチロシン、即ちC−末端上の最後から2番目のチロシンの不所望なアルキル化を妨げる。ハロゲノ置換基のおかげで、任意に、CTC樹脂は、ほとんどの側鎖及びN−末端保護基が通常では影響されず、従って別々の脱保護過程を時間的に隔離することによってアルキル化が妨げられる条件である非常に穏やかな酸性反応条件下、例えばジクロロメタン(DCM)中の0.5%トリフルオロ酢酸(TFA)中で、保護されたままのペプチド及びチロシンの樹脂除去をもたらすことを可能とする。以下では、固相又は樹脂の最も好ましい態様として特にCTC樹脂に関して参照される態様は、本発明において記載及びクレームされた他の樹脂を暗黙に参照する。 定義により、本発明によると、強酸性条件は、弱酸性条件とは対照的に、溶媒中の少なくとも50%(v/v)のトリフルオロ酢酸(TFA)を適用することを意味する。さらに、逆に、除去に強酸性条件を必要とする保護基は、最低でも80%のTFAにより除去されうる保護基である。したがって、HFなどのより強い酸を必要とする保護基は、本発明の文脈において上述した定義の範疇には入らない。 弱酸性条件は、0.01%(v/v)乃至<50%のTFAを有していること、好ましくは0.1%乃至30%のTFAを有していることによって定義される。 何れの方式でも、本発明のペプチジル部位は、近接チロシンの不所望なアルキル化の予想外な不存在を顕著に示し、それは、ジケトピペラジン副反応、樹脂からの切断の際に起こり、最後の2つのC末端アミノ酸の性質に特に感受性であることが知られている他の可能な副反応を完全に欠いている。理論に束縛されることを望むことなしに、CTC樹脂ハンドルの隣の、ペプチド鎖の2番目のチロシンは、芳香性フェニル部位を安定化する疎水性スタッキングを示すのにちょうど最適な距離及び間隔にあり、例えば、ジケトピペラジン形成への前触れであるサイクリックな配置を避けると推測される。 CTC樹脂のローディングは、ジフェニル−2’−クロロフェニル−クロロメタン誘導体(従ってCTC、クロロトリチルクロライドの略)の求核置換によって通常起こり、また効果的であることが知られている。1つの選択肢として、事前にローディングされたFmoc−アミノ酸−CTC樹脂が市販されている。 保護基とそれらの化学は、当技術において、さらによく知られ、よく参照されている(先のBodanszkyを参照のこと)。個々のアミノ酸側鎖の保護にはR2乃至R9の別々の保護基が適しており、別個の化学部位は別個の保護基を要することは、もちろん述べるまでもない。例としては、例えば、ヒスチジンは慣例的にはトリチル又はBocを用いて保護されることができ、リシンはBoc又はアリルオキシカルボニルによって保護されることができ、アスパラギン酸塩(aspartate)はtert.ブチルエステル又はアリルエステルとして保護されることができる。スレオニン、セリン及びチロシンは、通常、tert−ブチルエーテルとして保護される。アルギニンの保護は、以下でさらに議論されるだろう。脱保護の別個の方式が適用されてもよく、例えば、アリル保護基は、Pd触媒還元的アシル転移反応によって、苦労して除去される。Z(ベンジルオキシカルボニル)基は、効率的な除去のために水素化分解を必要とするため、あまり都合良くは用いられていない。好ましくは、R2乃至R9の保護基は、酸置換活性であり、ここで‘置換活性’とは、弱酸性又は強酸性の何れかの条件下、5時間までの間DCM中でインキュベートされたときにおける、前記各保護基の少なくとも20%の切断効率を意味する。より好ましくは、本発明によると、R2乃至R9の保護基は、除去され、上で定義された強酸性条件下でのみ、つまり強酸性条件下での酸分解によってのみ除去可能である。 R1は、不溶性の、通常は高分子の固相であり、例えば、架橋ポリスチレン/1%ジビニルベンゾール共重合体である。典型的には、本発明の実施に厳密に必要というわけではないが、このような固相R1は、当然、式I中で明示的に示されているもの以外にペプチドラジカルAによって機能化されたさらなる複数の2−クロロ−トリチル部位を表すであろう。より重要なことに、Merrifiledによって最初に案出された固相合成において有用であるためには、高分子固相は、コロイド状の振舞いではなく、容易に濾過可能又はペレット化可能な十分なサイズの粒子を与えるための最小の粒子サイズを有するであろう。CTCハンドル若しくはリンカー(Bayerの4−カルボキシトリチルリンカー、Bayer et al, 13th American Peptide Symposium, Hodges et al., Ed., ESCOM, Leiden, 1994, page 156 等)により直接的に誘導体化されたポリスチレン基質高分子、又は、基質高分子の個々のベンゼン部位が2−クロロ−トリチル官能の一部を形成するように誘導体化されている場合は別として、純粋な若しくは混合されたPEG樹脂(例えばTentagel)又は任意にハイブリッド若しくはグラフト樹脂、例えば2−CTCリンカー(Bayerリンカー等)などのさらなる他の基質高分子は、リンカーをポリスチレン基質高分子に直接的に反応させる代わりに、PEGスペーサを介してポリスチレン基質高分子上にグラフトされている。PEGを樹脂中に含ませることは、ローディング容量が問題となるかもしれないが、より両親媒性の樹脂を、及びしたがって単一工程での脱離及び脱保護のための例えばDCM/TFA中でのより優れた取り扱いを提供する。−もちろん厳密に不溶性のPEG樹脂が存在することは、注意されるべきである。しかしながら、Bayer, et al., Nature 1972, vol. 237, page 512f に記載された技術は、完全に溶液中で行われながらも固相の分離原理を模倣し、ペプチド樹脂共役体が可溶性のままであり、また、均一な一相系を提供するPEG高分子媒介技術を記述した。本文脈における好ましい意味においては、このような樹脂の振舞いは、ミクロスコピックなレベルでの精密又は限外濾過技術により、素早く単純なサイズ基準の分離を実質的に可能にするため、本定義により‘不溶性’に含まれる。より好ましい意味では、‘不溶性’は、ペプチド合成のための所定の溶媒系において、一方の相は完全な固体の懸濁された相である二相系を指す。 好ましくは、固相は、700メッシュより小さなメッシュサイズを有している(メッシュサイズは US Bureau of Standards により定義されており、例えば、Rompps Chemie-Lexikon, 7. Auflage, 1973, Franck’sche Verlagshandlung, W. Keller & Co. Stuttgart/Germany から入手可能)。 好ましくは、2−クロロ−トリチルにより機能化された本発明の固相は、50乃至600メッシュ(US Bureau of Standards の定義による)の、より好ましくは60乃至400メッシュの、最も好ましくは100乃至300メッシュのメッシュサイズを有している。 本発明のチロシンは、種々の保護基、例えば、tert.ブチルエーテル又はZ−又は、より好ましくは、2−ブロモ−Zエステルによって保護されてもよい。2−クロロ−トリチル又は4−メトキシ若しくは4,4’−メトキシトリチル基などのトリチルアルコール保護基も同様に使用可能である。好ましくは、R9はトリチル又はtert.ブチル保護基である。より好ましくは、R9は第3級ブチル(tBu)保護基であり、即ち、チロシンの側鎖がtert.ブチルエーテルへと修飾される。そのtBu基は、強酸性条件下でのみ効率的に除去される。 好ましくは、単独で、及び、特には、さらに好ましい態様と組み合わせて、アルギニン保護基R2は、上で定義されたような強酸性条件下でのみ切断されるペンタメチルジヒドロベンゾフラニル−(Pbf)、アダマンチルオキシ−カルボニル及びイソボルニル−オキシ−カルボニル、ペンタメチレンクロマンスルホニル(Pmc)及びその4−メトキシ−2,3,5,6−テトラメチル同族体(Tart)又はBocからなる群より選択される。より好ましくは、R2は、Pbf、Pmc、Mtrであり、最も好ましくはPbfであり;強酸性条件下における側鎖の包括的な脱保護に際して、通常は水性溶媒中、Pmc、Mtr、及び特にはPbfについては、脱保護されたチロシンの傍らでのアルキル化(bystander alkylation)は観測されない。Pbfの切断効率は、これまでで最も高い。 Glu,Aspのためのカルボキシ−保護基は良く知られており、例えば、Mpe、O−1−アダマンチル、O−ベンジル、及び、一般にはあまり使用されないが、単純なアルキルエステルさえも使用されてよい。あるいは、除去のために少なくとも50%のトリフルオロ酢酸を必要とする酸置換活性な保護基が使用されてもよい。容易さのため、典型的には及び好ましくはtert.ブチル基が、R4、R5、R6、R7、R8の保護基のために独立して使用される。 保護基R3は、ヒルログ−8中の、副反応としてaspartimideを特に形成しやすいジペプチド配列である上記の配列Gly−Asp中に存在するため、最も重要な保護基であるかもしれない。aspartimide形成は、保護されたペプチドにおいて、線状合成中の各々の次のカップリングサイクルに亘って小程度(0.1乃至0.5%)で生じ、最終的には累積効果を有していてもよい。重ねて、トリチル保護基又はその2−クロロ及び4−メチル若しくは4−メトキシ誘導体が好ましいが、同様にアダマンチル保護基も使用されうる。最も好ましくは、トリチル保護基が用いられる。 側鎖とNa保護されたアミノ酸との両方をカップリングさせる代わりに、Na−アルキル保護されたジペプチドモジュールが線状合成中のカップリングに使用されてもよく;このようなジペプチドは2次構造を破壊する効果を有しており、合成の収率及び純度を容易にすることもまた注意されるべきである。例えば、Fmoc−Gly−(N−Hmb)Gly−OH及びFmoc−Gly−(N−Dmb)Gly−OHは、EMD Biosciences (Novabiochem)から市販されている。このようなN−アルキル基は、本発明の意味では、保護基とはみなされず、したがってそれらの使用又は存在は任意であり、式Iの構造から除外されないことは、理解されるべきである。 各請求項中で本質的に述べられているように、式Iのペプチド共役を脱離及び脱保護する好ましい方法では、第1に保護されたペプチドをCTC樹脂から切断するための弱酸性条件下での酸分解を行い、第2に残存した保護基を強酸性条件下で除去する2工程の連続スキームが適用される。 この理由は、式Iのペプチド−固相共役体の単一工程における包括的な脱保護が、完全に脱保護された生成物と疎水性の共役した抽出物との相反する溶媒の要求、生成物の純度及び収量に負に影響する妥協の必要性に見舞われたからである。逐次的で段階的なアプローチは、このような固有の欠点を排除し、別の反応をより良く制御することを可能とし、したがって最適な収率を可能とする。本発明によると、それは、副反応としてのジケトピペラジン形成を完全に抑制するという驚くべき効果をさらに享受する。 したがって、上で定義されたように、式D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leuのペプチドを与える式Iのペプチド−固相共役体の脱離及び脱保護の方法であって、第1工程において、保護されたペプチドが弱酸性条件下、好ましくは極性非プロトン性溶媒中0.1乃至10%TFAを用いた処理により2−クロロトリチルハンドルから除去され、第2工程において、上で定義された強酸性条件下で保護基が除去されることを特徴とする方法が発明された。 好ましくは、第1工程は極性非プロトン性溶媒、つまりジクロロメタン中で実施される。これは、NMP(N−メチルピロリドン)などの他の溶媒と対照的に、このような反応を行うための最良の溶媒である。溶媒中、特には第2工程のための溶媒系中において、チロシンの芳香環の不所望なアルキル化を防ぐために、反応液に対して0.1乃至10%(w/w)の量で存在しているスカベンジ試薬を含むことも必須ではないが可能である。このようなスカベンジャーは、保護基の除去に際して生成する反応性のアルキル−カルベニウムイオン中間体(第1工程の切断反応中で既に少量生じていてもよい)を妨害する。 スカベンジャーの例は、例えばチオアニソール(第2の酸分解促進効果をも有する−このような2次的な役割及びアニソールの代替は、Bodanszky M. et al., Int. J. Peptide Protein Res. 23:287中で議論されている)である。このような酸分解効果を有していないスカベンジャーの他の例はフェノールであり、及び/又は、トリアルキルシランが使用される(Stierandova et al., Int. J. Peptide Protein Res. 43, 1994, 31-38)。 好ましくは、樹脂からの切断又は脱離の第1工程の後で、反応はピリジンと混合することにより直接的にクエンチされ、続いて第1工程の生成物を水と混合することにより回収する。このようにして、生成物は最もシンプル且つ効率的に回収される。 本発明の更なる態様では、本質的には式Iのペプチド−固相共役体がクレームされるが、トロンビン切断サイトである−Arg(R2)−Pro−が標準的なペプチド結合ではなく化学的に変換された擬似切断結合(pseudoscissile bond)、即ち‘psi’結合(アミド結合の置換は、大括弧中に示され頭字語‘psi’が前に付けられた複数の原子によって表される、Rudinger et al., Drug Desgin Vol.II, Ed. Ariens, E., Academic Press, New York, p.319 (1971) 参照)であることのみで異なっている。より好ましくは、このようなpsi置換は、Arg[psiCH2NH]Pro−(Kline, T. et al., 1991, Hirulog peptides with scissile bond replacements resistant to thrombin cleavage, Biochem. Biophys. Res. Commun. 177, 1049-1055)である。最も容易には、このようなpsi結合は、例えば、固相合成中に、成長中の共役ペプチドと既成のFmoc保護されたpsi−ペプチドとを直ちに通常通りにカップリングさせることによって導入される。 上述した態様及び方法を、前記CTC樹脂以外であって、それでもなお、上で定義されたような弱酸性又は穏やかな酸性条件下で、ペプチド部位を樹脂から除去することを同様に可能にするような樹脂部位を具備したペプチド−固相共役体に拡張することは、本発明の更なる目的である。以下で定義されるような2−CTC及び関連するトリチル並びに4−メトキシ−及び4−メチル−トリチル樹脂は、それでもなお、上記にしたがって、本発明の最良の形態であるとみなされる。 更なる目的として、式A−Wのペプチド−樹脂共役体であって、ここでAは、Aについて上で定義された態様の何れであってもよく、任意に個々のアミノ酸側鎖保護基を具備しており、R2乃至R9は、存在するときには上のように定義され、Wは、好ましくは不溶性であり、弱酸性条件下でペプチド部位を除去することを可能とし、以下の樹脂ハンドル又はリンカーを具備した固相又は固相コンポジットであるペプチド−樹脂共役体が案出される。a.式II、但し、Aは、残基X2を含んでいる場合には常に−O−を介して前記ハンドル又はリンカーに結合されるという条件付きであり、また、ここで、R’’’は固相であり、R’’1、R’’2、R’’3 は、独立に、水素、4−若しくは4’−(C1−C4アルキル)又は4−若しくは4’−(C1−C4アルコキシ)であり、R’’1、R’’2 の一方のみが水素であってもよいという条件付きで同じ又は異なっていてもよく、R’’2 は、任意に、R’’1 がHであるという条件付きで2−Clであってもよく、さらに及び最も好ましくは、式IIのハンドル又はリンカーは2−クロロ−トリチル、4−メトキシ−トリチル、4,4’−ジメトキシトリチル、4−メチルトリチルからなる群より選択される、b.又は式III、(アミノ−又はヒドロキシ機能化樹脂から、Bayer の4−カルボキシトリチルリンカーを用いたアシル化によって誘導されてもよい、上記 E. Bayer 参照)但し、Aは、残基X2を含んでいる場合には−O−を介して前記ハンドル又はリンカーに結合され、R’’’は先の通り定義されるという条件付きであり、c.又は式IV、ここで、R’’’は固相又は高分子樹脂であり、R’’1、R’’2、R’’3 は、独立に、水素、C1−C4アルキル又はC1−C4アルコキシであり、R’’1、R’’2 の一方のみが水素であってもよいという条件付きで同じ又は異なっていてもよく、また、LはA(L=A)であるか、又は、Lは式Vのものである。 さらに好ましい態様では、樹脂ハンドルは式VIのものであり、ラジカルR’’’、R’’1、R’’2 に対する上記の定義が適用される。 重ねて、更により好ましいのは、樹脂又は樹脂ハンドルが式VIIのものであり、ラジカルR’’’、R’’1、R’’2 に対する上記の定義が適用されることである。 更により好ましい態様では、任意に残基X2を含んだAが−O−を介して式VIIの前記ハンドル又はリンカーに結合される場合、R’’1、R’’2 は、R’’1、R’’2 の一方のみが水素であってもよいという条件付きで、独立に、水素、メチル又はメトキシであり、また、X2を含んだAが、−N−を介して式VIIの前記ハンドル又はリンカーに結合されル場合には、独立にメチル又はメトキシであり、好ましくはメトキシである。更により好ましくは、Aは、X2を具備している場合には、−O−官能を介してハンドルに結合されており、R’’1 は水素であり、R’’2 はメチル又はメトキシであり、好ましくは、Aは樹脂又は樹脂ハンドルである。最も好ましくは、R’’2 はメチルである。 樹脂又は樹脂ハンドルコンポジット体は、原則として、例えば、Merrifield によってヒドロキシベンジル−フェニルインテグラル(integral)リンカー部位とともに、又は Wang によってヒドロキシベンジル−p−ベンジルオキシ部位とともに使用されるポリスチレン−ジビニルベンゼンベンゼン樹脂や、例えばより酸置換活性なリンカーがさらにグラフトされてもよい部位などの、合成用に用いられるあらゆる樹脂であってもよく、又は、代わりに、後者のリンカーは、樹脂にインテグラルに(integrally)若しくは直接的に結合されてもよい。原則として、合成における用途のための固相樹脂は、固相コア材料の一部である少なくとも1つのインテグラルリンカー又はハンドルを必然的に具備しており;このようなリンカー又はハンドルは、固定された保護基とみなされてもよい(Guiller et al., Chem. Rev.100,2091-2157, 2000)。例としては、例えば、Sieber樹脂、関連したキサンテニル型PALハンドル樹脂、Rinkアミド樹脂、Rink酸樹脂、2’−クロロトリチルなどの種々のグラフトハンドルとともに利用可能なtentagel系 Novasyn TG(Novabiochem, Merck Biosciences, Germany)などのより複雑なPEG−グラフトポリスチレン樹脂、又はシリカゲルなどのマトリクス材料上に機能性ハンドルをグラフトすることにより構成された樹脂である。好ましくは、樹脂がトリチル樹脂又は樹脂ハンドルであるときには、このような樹脂は4−メトキシ又は4,4’−ジメトキシトリチル樹脂である。本発明で使用される樹脂は、標準的なメッシュサイズ、つまり約50乃至500メッシュ、より好ましくは100乃至400メッシュである。式IVに示されている樹脂又は固相R’’’は、R’’’の構成部分とみなされるべきあらゆる種類の化学的に不活性なアルキル、アルキルオキシ、アリールオキシ又はアルキルエステルスペーサー又はリンカーによって、式IV乃至VIIにおいて特定されているハンドル部位へと結合されてもよい架橋された高分子マトリクス材料を具備していると解釈されるべきである。しかしながら、樹脂材料の化学的性質、及び、特にはハンドル基の化学的性質は、樹脂からの切断の条件に影響を与えるだけでなく、未だ不十分にしか理解されていない仕方で、カップリング、及び、特にはラクタム化反応の合成効率に影響するかもしれないことは注意されるべきである。樹脂上段階での成熟ペプチドの収率は、用いられる樹脂又は樹脂ハンドルのタイプに依存して異なるかもしれない。この理由のため、本発明に係る好ましい態様では、樹脂又は樹脂ハンドルは、クレーム中に記載された式IVの、より好ましくは式VIの、最も好ましくは、クレーム中に詳細に記載された式VIIのものである。このような樹脂又は樹脂ハンドルの例は、(4−メトキシフェニル)−メチル−及び(4−メチルフェニル)−メチル−ポリスチレン(Atkinson et al., 2000, J. Org. Chem. 65, 5048)であり、ペプチド部位へとO−又はN−結合した樹脂及びそれらの各々のPEG−樹脂誘導体である。更なる例は、例えば、酸置換活性なHMPB−MBHA又はHMPB−BHA樹脂(Sieber et al., 1987, Tetrahedron Lett. 28, 6147)、酸置換活性Rinkアミド樹脂又はRink酸樹脂(Rink et al., 1987, Tetrahedron Lett. 28,3787)である。用語‘酸置換活性’は、周囲温度のジクロロメタン中2乃至10%TFAにおける、少なくとも1時間での本質的に定量的な切断に適用される。驚くべきことに、ジフェニル−メチル構造コアモチーフを有しているこのような好ましい樹脂を使用することは、線状合成及びラクタム化の間のより効率的なカップリング反応を可能とし;著しくは、このような樹脂は、例えばトリチル樹脂上での効率的なカップリングのために必要とされる標準的な40℃と比較してより低い15乃至25℃の反応温度をも可能とする。実験1.Boc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly−Asp(tBu)−Phe−Glu(tBu)Glu(tBu)−Ile−Pro−Glu(tBu)−Glu(tBu)−Tyr(tBu)−Leu−O−2−CTC(欧州特許第489070号明細書に記載の保護されたヒルログ−8、カルボキシ末端において2−CTC樹脂へとエステル結合で共役)の合成 全ての試薬は、EMD Biosciences(Madison, WI/U.S.A.; Novabiochem-brand)から入手された。Fmoc−Leu−OHによってあらかじめローディングされたポリスチレン系2−ClTrt(CTC)樹脂(Cbl Patras, ギリシア)は、基質高分子に関しては100乃至200メッシュであり、あらかじめローディングされた最終的なCTC樹脂生成物に関しては60乃至200メッシュであった。ローディング密度は、約0.60mmol/gであった。個々のアミノ酸は、Fmocアミノ酸か、又は、D−Pheの場合には容易にBoc保護されたBoc−D−Pheかの、何れかとして入手された。カップリングは、ジクロロメタン/N−メチルピロリドン(NMP)中、Hunig塩基(ジイソプロピル−エチルアミン、DIEA)の存在下で、TCTUを用いて実施された。2.5当量が用いられたFmoc−Arg(Pbf)のカップリングを除いて、通常は、1.5当量のFmoc又はBoc保護されたアミノ酸が使用された。同様に、Fmoc−Arg(Pbf)の場合は、60分(30℃において)の標準的なカップリング反応時間が、90分に延長された。カップリング効率の工程管理は、Kaiser試験又はクロラニル試験によって達成された。 Fmocの脱保護は、間にNMPを用いた適切なすすぎを伴いながら、30℃でのNMP中20%ピペリジンの3乃至4サイクルによって実施された。2.Boc−D−Phe−Pro−Arg(Pbf)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(Trt)−Gly−Asp(tBu)−Phe−Glu(tBu)Glu(tBu)−Ile−Pro−Glu(tBu)−Glu(tBu)−Tyr(tBu)−Leu−OHの合成 実験1で生成された48.3gの樹脂(約100mlの膨潤した樹脂)からの切断は、それぞれ、15℃におけるジクロロメタン中の2%(w/w)TFA、1%(w/w)トリエチルシラン(TES)の3サイクルによって成し遂げられた。反応は、窒素バブリングによって攪拌され;反応の色はサイクル毎に黄色/橙色から茶色系に変化した。各サイクルの後、切断反応は、全反応液を希ピリジン(ピリジン/エタノール 1:9(v/v))中へと注ぐことによって直接的にクエンチされた。樹脂は、その後、フリットを用いた濾過によって除去され、次のサイクルに供された。全ての濾液は、溜められ、真空下(RotaVap)で橙色の半液体へと濃縮され、DCMで洗浄され、400mlの再蒸留水中で再び懸濁され、室温で攪拌され、濾過され、水を用いて洗浄され、乾燥された。収量は、分析品質(〜90%純度)のわずかに黄色の粉末の28.8gであった。生成物は、HPLC及びLC−MSによって分析された。3.包括的な脱保護、NH2−D−Phe−Pro−Arg−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn−Gly−Asp−Phe−Glu−Glu−Ile−Pro−Glu−Glu−Tyr−Leu−OHの合成 包括的な脱保護は、切断カクテル(‘CC’)によって希釈されたDCM、DCM:‘CC’=1:10(v/v)、中で実施された。‘CC’は、混合比(%w/w)89:2.5:2.5:5.0:1.0のTFA/チオアニソール/フェノール/水/TESから調合された。実験2からの1gの乾燥生成物は、先に述べたように‘CC’を用いて希釈されたDCM10mlに溶解され、室温で5時間攪拌された。生成物は、その後、50mlのメチル−tertブチルエーテル(MTBE、Fluka Chemie, Buchs/スイス)を添加し攪拌しながら水浴中で30分間0℃へと反応を冷却し、その間に形成された塩析沈殿物を濾過することによって回収された。濾過ケークは、MTBEを用いて数回すすがれ、その後室温で乾燥され、HPLCによって決定された約55%の純度の粗生成物0.8gを生成する。第2及び第3工程を併せた総収率は、約55%である。4.Wang樹脂上又はCTC樹脂上の何れかにおけるヒルログ−8又はそのC−末端テトラペプチド断片の合成のための比較切断実験及びLC−MS分析論。 HPLC LC−MS分析論を使用して、強酸性条件での樹脂からの切断及び包括的な脱保護に際して、Wang樹脂の場合は1乃至10%のペプチド生成物がアルキル化されることが証明され、一方CTC樹脂からの切断に際してはこのような修飾は観察されえないことが示されることができた。MS分析は、チロシル残基へのその修飾をマッピングすることを可能とした。合成手順は上記記載の通り。 ペプチド−樹脂共役体A−Wであって、ここで Aは、P−X1−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−X2−であり、 Pは、水素であるか又はBoc、Fmoc、Dde、Nps、AllocおよびZからなる群より選択される保護基であり; X1は、0乃至200アミノ酸のぺプチジル部分であり; R4、R5、R6、R7、R8およびR9は、アミノ酸側鎖保護基であり; X2は、−O−を介して式(II)の固相コンポジットへと結合した単一のアミノ酸残基であり; Wは、式(II)の固相コンポジットであり、 ここで R1”は、水素、4−(C1−C4アルキル)又は4−(C1−C4アルコキシ)であり、 R2”は、塩素、水素、4−(C1−C4アルキル)又は4−(C1−C4アルコキシ)であり、 R1”およびR2”は同じであっても異なっていてもよく、ただし、R1”、R2”の一方のみが水素であってもよく、ただし、R2”が2−塩素であればR1”は水素であり; R’’’は、固相である、ペプチド−樹脂共役体。 X1が、個々のアミノ酸側鎖上に保護基を具備しているぺプチジル部分であることを特徴とする、請求項1に記載のペプチド−樹脂共役体。 X2が、側鎖を保護された単一のアミノ酸残基であることを特徴とする、請求項1または2に記載のペプチド−樹脂共役体。 R1”が水素であり、R2”が2−塩素、4−メトキシ又は4−メチルであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 R1”およびR2”の両方が4−メトキシであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 固相R’’’が高分子樹脂であることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 X2がLeuであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 X2がTrp、Cys又はArgでないことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 X1が0乃至50個のアミノ酸残基を具備していることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 R9がtert−ブチルであることを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 Aが、 Boc−D−Phe−Pro−Arg(R2)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O−、 Fmoc−D−Phe−Pro−Arg(R2)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O−、および H−D−Phe−Pro−Arg(R2)−Pro−Gly−Gly−Gly−Gly−Asn(R3)−Gly−Asp(R4)−Phe−Glu(R5)−Glu(R6)−Ile−Pro−Glu(R7)−Glu(R8)−Tyr(R9)−Leu−O−から選択され、 R2およびR3がアミノ酸側鎖保護基であり、固相が不溶性である、請求項1〜10の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 固相が高分子であり、100乃至400メッシュのメッシュサイズ(US Bureau of Standards)を有していることを特徴とする、請求項1〜11の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。 R2が、ペンタメチルジヒドロベンゾフラニル、アダマンチルオキシカルボニルまたはイソボルニルオキシカルボニルであり;R9が、tert-ブチルであり;R3〜R8が、酸置換活性な保護基であることを特徴とする、請求項11に記載のペプチド−樹脂共役体。 R2が、ペンタメチルジヒドロベンゾフラニル(Pbf)であることを特徴とする、請求項11または13に記載のペプチド−樹脂共役体。 R3が、トリチルであり;R4、R5、R6、R7およびR8が、tert-ブチルであることを特徴とする、請求項14に記載のペプチド−樹脂共役体。 R9が、tert-ブチルであることを特徴とする、請求項15に記載のペプチド−樹脂共役体。 −Arg(R2)−Pro−部分が、−Arg[psiCH2NH]Pro−であることを特徴とする、請求項11および13〜16の何れか1項に記載のペプチド−樹脂共役体。


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