生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_テトラサイクリン系抗生物質によるタンパク質分解制御法
出願番号:2007535585
年次:2012
IPC分類:C07K 19/00,A61K 38/00,C12N 15/09,C12N 1/15,C12N 1/19,C12N 1/21,C12N 5/10,A01K 67/027


特許情報キャッシュ

三輪 佳宏 JP 4944781 特許公報(B2) 20120309 2007535585 20060914 テトラサイクリン系抗生物質によるタンパク質分解制御法 独立行政法人科学技術振興機構 503360115 小林 浩 100092783 片山 英二 100095360 藤田 尚 100126354 鈴木 康仁 100104282 三輪 佳宏 JP 2005269074 20050915 20120606 C07K 19/00 20060101AFI20120517BHJP A61K 38/00 20060101ALI20120517BHJP C12N 15/09 20060101ALN20120517BHJP C12N 1/15 20060101ALN20120517BHJP C12N 1/19 20060101ALN20120517BHJP C12N 1/21 20060101ALN20120517BHJP C12N 5/10 20060101ALN20120517BHJP A01K 67/027 20060101ALN20120517BHJP JPC07K19/00A61K37/02C12N15/00 AC12N1/15C12N1/19C12N1/21C12N5/00 102A01K67/027 C07K 19/00 A61K 38/00 A01K 67/027 C12N 1/00- 1/38 C12N 5/00- 5/28 C12N 15/00-15/90 MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus(JDreamII) CA/CONFSCI/SCISEARCH(STN) PubMed 特表平11−506901(JP,A) 特開平11−506901(JP,A) EMBO J.,2001年,vol. 20,2528-2535 Science,1995年,vol. 268,1766-1769 Molecular Cell,2003,Vol.12,No.6,p.1615-1624 Proc.Natl.Acad.Sci.USA.,1992,Vol. 89,No.12,p.5547-5551 15 JP2006318673 20060914 WO2007032555 20070322 23 20080314 中村 正展 本発明は、細胞内に導入可能な抗生物質によってタンパク質の分解を制御する方法およびそれに用いる融合タンパク質に関する。特に、テトラサイクリン系抗生物質によるタンパク質分解制御法に関する。 2003年12月にスタンフォード大学のCrabtreeらのグループが、免疫制御剤であるラパマイシンの誘導体とその結合タンパク質であるFRAP(FKBP12−rapamycin−associated protein)の変異体の組み合わせでタンパク質分解の制御を行うシステムを報告した(Stankunas,K.et al.,Molecular Cell,Vol.12,11815−1824,December,2003)。 この従来技術のタンパク質分解制御システムは、FRAPの変異体、ラパマイシン誘導体、および細胞内に元々存在するFKBP12タンパク質の3つの要素から構成される。FRAPの変異体として、FKBP12−ラパマイシン結合に必要なFRAPの最小領域である89アミノ酸ドメイン、FRBが用いられる。グリコーゲンシンターゼキナーゼ−3β(GSK−3β)とFRBとを融合させると、FRBはGSK−3βを不安定化するが、GSK−3βFRB融合タンパク質は、ラパマイシン誘導体の存在下で、偏在するFKBP12タンパク質に結合することにより、GSK−3βFRBの構造が安定化し、タンパク質のレベルおよび活性の両方を回復することができる。 Stankunas,K.et al.(2003)では、GSK−3βの分解を止めるために遺伝子導入して細胞に発現させるタンパク質FRBの他に、細胞に元々存在するタンパク質FKBP12も使用する。そのため、細胞内に正常タンパク質も混在し、さらに融合タンパク質と別のタンパク質とが結合してはじめて分解制御がかかるため、どうしても細胞への影響を考慮しながら実験をしなくてはならない。また、Stankunas,K.et al.(2003)で使用されるラパマイシン誘導体は、臨床での使用例もなく、また免疫制御効果など余分な作用がどう生物に影響するか未知数な部分が多く、実験後の廃棄物に関しても、取り扱いに注意が必要である。 したがって、生きた細胞中でのタンパク質量を、人工的分解制御機構を用いてコントロールするための、代替的システムまたはより使いやすいシステムが求められている。 本発明者らは、テトラサイクリン系抗生物質によって分解制御のできる変異型テトラサイクリンリプレッサータンパク質を作製し、これを細胞内での量を制御したい目的のタンパク質との融合タンパク質として細胞に発現させ、テトラサイクリン系抗生物質の添加の有無やその量を変化させることによって、上記目的のタンパク質の分解の程度を人工的に制御することできることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は、以下の融合タンパク質、該融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、該ポリヌクレオチドを含有する発現ベクター、該融合タンパク質、該ポリヌクレオチドもしくは該発現ベクターを含有する組成物、キット、および目的のタンパク質の分解を制御する方法を提供する。(1)抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質であって、 上記変異タンパク質は、細胞内で、上記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、上記抗生物質と結合している場合には安定化され、 上記融合タンパク質は、細胞内で、上記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、上記抗生物質と結合している場合には安定化される、融合タンパク質。(2)上記抗生物質がテトラサイクリン系抗生物質、上記抗生物質に結合するタンパク質が上記抗生物質のリプレッサータンパク質である、上記(1)に記載の融合タンパク質。(3)変異型TetRタンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む、上記(2)に記載の融合タンパク質。(4)上記変異型TetRタンパク質が、野生型TetRタンパク質のアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基が置換されているアミノ酸配列を有する、上記(3)に記載の融合タンパク質。(5)上記アミノ酸残基の置換が、野生型TetRタンパク質のアミノ酸配列の95位のアスパラギン酸、101位のロイシン、および102位のグリシンのいずれか少なくとも2つの部位において存在する、上記(4)に記載の融合タンパク質。(6)上記目的のタンパク質が、蛍光タンパク質または発光タンパク質である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の融合タンパク質。(7)上記目的のタンパク質が、治療タンパク質である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の融合タンパク質。(8)上記目的のタンパク質が、機能解析に供するためのタンパク質である、上記(1)〜(5)のいずれかに記載の融合タンパク質。(9)上記蛍光タンパク質または発光タンパク質が、緑色蛍光タンパク質またはルシフェラーゼのいずれかである、上記(6)に記載の融合タンパク質。(9a)上記変異型TetRタンパク質が、野生型TetRタンパク質のアミノ酸配列において、95位のアスパラギン酸がアスパラギンに、101位のロイシンがセリンに、および102位のグリシンがアスパラギン酸に置換される変異のうちのいずれか少なくとも2つを有するアミノ酸配列を有し、上記目的のタンパク質が、緑色蛍光タンパク質またはルシフェラーゼである、上記(4)に記載の融合タンパク質。(9b)上記変異型TetRタンパク質が、上記野生型TetRタンパク質のアミノ酸配列において、さらに28位のアルギニンがグルタミンに置換されている変異を有する、上記(9a)に記載の融合タンパク質。(10)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド。(10a)上記(10)に記載のポリヌクレオチドを含有する組成物。(11)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する、発現ベクター。(12)上記(11)に記載の発現ベクターで遺伝子導入された宿主細胞または宿主生物。(13)上記(6)、(9)、(9a)、または(9b)に記載の融合タンパク質を含有する、細胞内または生体内イメージング用組成物。(14)上記(6)、(9)、(9a)、または(9b)に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを含有する、細胞内または生体内イメージング用組成物。(15)上記(7)に記載の融合タンパク質を含有する、治療用組成物。(16)上記(7)に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを含有する、治療用組成物。(17)上記(8)に記載の融合タンパク質を含有する、タンパク質機能解析用組成物。(18)上記(8)に記載の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを含有する、タンパク質機能解析用組成物。(19)テトラサイクリン系抗生物質と組み合わせて使用する、上記(13)〜(18)のいずれかに記載の組成物。(19a)さらに、テトラサイクリン系抗生物質を含有する、上記(13)〜(18)のいずれかに記載の組成物。(20)上記テトラサイクリン系抗生物質が、テトラサイクリン、またはその誘導体であるドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、もしくは無水テトラサイクリンである、上記(19)または(19a)に記載の組成物。(21)上記(1)〜(9)のいずれかに記載の融合タンパク質、上記(10)に記載のポリヌクレオチド、上記(11)に記載の発現ベクター、または上記(13)〜(20)のいずれかに記載の組成物を含む、キット。(21a)さらに、テトラサイクリン系抗生物質を含む、上記(21)に記載のキット。(22)細胞内に導入可能な抗生物質によってタンパク質の分解を制御する方法であって、以下の(A)または(B)のいずれかの工程: (A)上記抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、上記抗生物質の存在下または非存在下で、細胞内または生体内で発現させる工程、 (B)上記抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質を、上記抗生物質の存在下または非存在下で、細胞内または生体内で使用する工程、を包含し、ここで、 上記変異タンパク質は、細胞内で、上記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、上記抗生物質と結合している場合には安定化され、 上記融合タンパク質は、細胞内で、上記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、上記抗生物質と結合している場合には安定化される、方法。(23)上記抗生物質がテトラサイクリン系抗生物質、上記抗生物質に結合するタンパク質が上記抗生物質のリプレッサータンパク質である、上記(22)に記載の方法。(24)テトラサイクリン系抗生物質によってタンパク質の分解を制御する方法であって、以下の(A)または(B)いずれかの工程: (A)変異型TetRタンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、テトラサイクリン系抗生物質の存在下または非存在下で、細胞内または生体内で発現させる工程、 (B)変異型TetRタンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質を、テトラサイクリン系抗生物質の存在下または非存在下で、細胞内または生体内で使用する工程、を包含する、方法。(25)上記テトラサイクリン系抗生物質の濃度を制御することによって、上記目的のタンパク質の分解を制御する、上記(23)または(24)に記載の方法。(26)上記変異型TetRタンパク質が、野生型TetRタンパク質のアミノ酸配列において、95位のアスパラギン酸、101位のロイシン、および102位のグリシンのいずれか少なくとも2つの部位のアミノ酸残基が置換されているアミノ酸配列を有する、上記(24)または(25)に記載の方法。(27)上記目的のタンパク質が、治療タンパク質である、上記(22)〜(26)のいずれかに記載の方法。(28)上記目的のタンパク質が、機能解析のためのタンパク質である、上記(22)〜(26)のいずれかに記載の方法。(29)上記目的のタンパク質が、蛍光タンパク質または発光タンパク質である、上記(22)〜(26)のいずれかに記載の方法。(29a)細胞内または生体内でのイメージングに使用するための、上記(29)に記載の方法。(30)上記テトラサイクリン系抗生物質が、テトラサイクリン、またはその誘導体であるドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、もしくは無水テトラサイクリンである、上記(23)〜(29a)のいずれかに記載の方法。 本発明によれば、簡単な分子システムを用いて、目的のタンパク質の機能解析、イメージングによる薬物の動態解析、副作用の少ない疾患の治療等を行うことができる。 本発明において使用するテトラサイクリン系抗生物質は、例えば、Stankunas,K.et al.(2003)で使用されるラパマイシンに比較して、非常に安価であり、また動物に用いた際の吸収や体内での浸透が良く、安全性も高いという利点を有する。本発明において使用するテトラサイクリン系抗生物質は、マウスでの投与実験例も非常に多く、またすでに臨床の現場で多く使用されている薬物であり、安全性について確認がなされている点で有利である。 本発明のタンパク質分解制御法では、細胞へ外部から導入する融合タンパク質以外のタンパク質(例えば、細胞内に元々存在するタンパク質)を使用しないため、細胞への余分な影響を排除することができる。 図1は、(A)TetR−EGFPをコードするcDNAの模式図;および(B〜D)野生型TetR−EGFPおよび変異TetR−EGFPの安定性をフローサイトメーターを用いて試験した結果を示すグラフである。 図2は、変異型TetR−EGFPを発現させた細胞をドキシサイクリンの存在下で培養した場合の蛍光変化を示す写真である。(A)28位アルギニンの置換無し。(B)28位のアルギニンをグルタミンに置換したもの。 図3は、様々な濃度のドキシサイクリンを添加して、変異型TetR−EGFPを発現させた細胞の蛍光強度をフローサイトメーターで解析した結果を示すグラフである。 図4は、(A)変異型TetR−EGFPを発現する細胞のドキシサイクリン添加後の蛍光強度の変化を、単にEGFPを発現するのみの細胞と比較して示すグラフである。(B)変異型TetR−EGFPを発現する細胞のドキシサイクリン除去後の蛍光強度の変化を、単にEGFPを発現するのみの細胞と比較して示すグラフである。 図5は、変異型TetR−EGFPおよびDsRedの遺伝子を組み込んだベクターを注射して発現させたマウスにおける蛍光を、倒立顕微鏡を用いて時間経過に伴い観察した結果を示す写真である。 図6は、図5の実験における蛍光強度の時間変化を示すグラフである。 図7は、変異型TetR−EGFPをコードするmRNAをゼブラフィッシュの受精卵に注入して、ドキシサイクリンの存在下または非存在下で、倒立顕微鏡を用いて蛍光を観察した結果を示す写真である。(A)処理なし、ドキシサイクリンなしの細胞;(B)処理無しの細胞にドキシサイクリンを添加した細胞;(C)変異型TetR−EGFPをコードするmRNAを導入し、ドキシサイクリンを添加した細胞。 図8は、細胞中でのテトラサイクリンのみによる毒素遺伝子の転写の制御方法と、本発明のタンパク質分解制御方法を利用した毒素遺伝子の発現制御方法との間で、ドキシサイクリンの存在下および非存在下で、生細胞数を比較した結果を示すグラフである。 本発明は、大腸菌由来テトラサイクリンリプレッサータンパク質(TetRタンパク質)に点変異を導入した変異タンパク質を提供する。より詳細には、本発明は、TetRタンパク質に点変異を導入した変異タンパク質とそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質を提供する。本発明の融合タンパク質は、生きた動物細胞中において、単独の状態では不安定で急速な分解を受けるが、テトラサイクリン系抗生物質との結合により安定化し分解を免れるという性質を獲得した。本発明は、以下の1)〜3)のような用途に使用することができる。 1)大腸菌テトラサイクリンリプレッサー(TetR)タンパク質は、ヒト細胞中で安定であるが、これに変異(例えば、2カ所以上)を導入した変異体は、テトラサイクリン系抗生物質(本明細書中、「Tet」と略すことがある。)のない状態では急速に分解されるが、Tetを添加すると分解を免れるようになり、細胞中に蓄積するようになる。したがって、例えば、この変異型TetRタンパク質と機能解析を行いたい目的のタンパク質との融合タンパク質を細胞に発現させると、添加するTetの量により細胞内の目的のタンパク質の量をコントロールできる。これにより、目的のタンパク質が、細胞や生物個体に与える影響を実験的に解析することが可能となる。 2)遺伝子治療として患者に外来遺伝子を導入し、その遺伝子の産物であるタンパク質の働きによって症状を改善する場合、そのタンパク質が抗原となって予想外の副作用を引き起こす危険が存在する。そこで、治療のための目的遺伝子と変異型TetRタンパク質の融合遺伝子を導入すれば、その産物である融合タンパク質量は、Tetによりコントロールでき、患者の状況に応じてTetを投与することで副作用を防ぎつつ治療を行うことが可能となる。 3)変異型TetRタンパク質を、蛍光タンパク質や発光タンパク質であるルシフェラーゼといった検出が可能なタンパク質との融合タンパク質として細胞に発現させれば、Tetの量に応じて蛍光量や発光量が変動するため、生きた細胞中や生物個体中のTet量を検出しイメージングすることができる。1.本発明の融合タンパク質 したがって、本発明は、1つの局面において、抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質を提供する。ここで、上記変異タンパク質は、細胞内で、上記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、上記抗生物質と結合している場合には安定化され、上記融合タンパク質は、細胞内で、上記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、上記抗生物質と結合している場合には安定化される。 本明細書中、「抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質」とは、抗生物質に結合するタンパク質のアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基が置換、欠失、付加、または挿入されているアミノ酸配列を有し、該抗生物質の非存在下では不安定化してプロテアーゼによる分解を受けるが、該抗生物質と結合すると安定化して分解を免れるようになる該タンパク質の変異体のことをいうものとする。 「抗生物質」の例としては、テトラサイクリン系抗生物質、ペニシリン系抗生物質、クロラムフェニコール系抗生物質、アミノグリコシド系抗生物質などが挙げられる。またそのような抗生物質に結合する「タンパク質」の例としては、該抗生物質のリプレッサータンパク質、β−ラクタマーゼ、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ、アミノグリコシド3’−ホスホトランスフェラーゼなどが挙げられる。本発明の好ましい実施形態では、上記抗生物質がテトラサイクリン系抗生物質、上記抗生物質に結合するタンパク質が上記抗生物質のリプレッサータンパク質である。 好ましくは、上記リプレッサータンパク質は、TetRタンパク質であり、前記変異タンパク質は、変異型TetRタンパク質である。したがって、本発明は1つの好ましい局面において、変異型TetRタンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む、融合タンパク質を提供する。 本明細書中、「TetRタンパク質」または「野生型TetRタンパク質」とは、GenBank GeneID:2653970のDNAによってコードされる大腸菌由来テトラサイクリンリプレッサータンパク質(NCBIタンパク質データベース アクセッション番号:NP_941292(配列番号2);CDS:NC_005211(配列番号1))のことをいう。 本明細書中、「変異型TetRタンパク質」とは、上記TetRタンパク質のアミノ酸配列において、少なくとも1つのアミノ酸残基が置換、欠失、付加、または挿入されているアミノ酸配列を有し、テトラサイクリン系抗生物質の非存在下では不安定化してプロテアーゼによる分解を受けるが、テトラサイクリン系抗生物質と結合すると安定化して分解を免れるようになるTetRタンパク質の変異体のことをいうものとする。 好ましくは、上記変異型TetRタンパク質は、野生型TetRタンパク質のアミノ酸配列において、少なくとも2つのアミノ酸残基が置換されているアミノ酸配列を有する。さらに好ましくは、上記アミノ酸残基の置換は、野生型TetRタンパク質のアミノ酸配列の95位のアスパラギン酸、101位のロイシン、および102位のグリシンのいずれか少なくとも2つの部位において存在する。最も好ましくは、前記変異型TetRタンパク質は、野生型TetRタンパク質のアミノ酸配列において、95位のアスパラギン酸がアスパラギンに、101位のロイシンがセリンに、および102位のグリシンがアスパラギン酸に置換される変異のうちのいずれか少なくとも2つ、もしくは上記3つ全ての変異を有するアミノ酸配列を有する。変異型TetRタンパク質のアミノ酸配列の変異の形態は、野生型TetRタンパク質からのアミノ酸残基の置換のみならず、1つ以上のアミノ酸残基の欠失、付加、および/または挿入であってもよい。また、そのような変異を有するアミノ酸の位置は、上記で例示したものに限定されない。 本発明の融合タンパク質において、「目的のタンパク質」とは、(1)蛍光タンパク質または発光タンパク質;(2)治療タンパク質;または(3)機能解析に供するためのタンパク質のような、そのタンパク質の分解(または安定性もしくは活性)を、変異型TetRタンパク質およびTetを利用して制御することによって産業上有用な効果の得られるタンパク質のことをいうものとする。目的のタンパク質が公知のタンパク質であるような場合には、通常、それをコードする遺伝子のヌクレオチド配列は、公に利用可能な種々の配列データベース(例えば、GenBankデータベース)から入手することができる。また、目的のタンパク質のアミノ酸配列もしくはそれをコードするヌクレオチドレセプター配列が未知の場合は、当業者に周知の配列決定方法を用いて、該タンパク質のアミノ酸配列およびそれをコードするヌクレオチド配列を決定することができる(例えば、Sambrook & Russell、Molecular Cloning;A Laboratory Manual,Third Edition,2001,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New Yorkなどを参照)。 本発明の融合タンパク質は、当該分野での常法に従って作製され得る。簡単には、目的のタンパク質をコードするcDNAに、変異型TetRタンパク質をコードするcDNAを連結させ、該目的のタンパク質と変異型TetRタンパク質との融合タンパク質をコードするDNAを構築し、このDNAを、例えば、真核生物用の発現ベクターに挿入し、この発現ベクターを真核生物へ導入することにより発現させることができる(例えば、上記Sambrook & Russellを参照)。 本発明の実施形態において使用される「蛍光タンパク質」の例としては、緑色蛍光タンパク質(Green Fluorescent Protein(GFP))、強化(Enhanced)緑色蛍光タンパク質(EGFP)、シアン蛍光タンパク質(Cyan Fluorescent Protein)(CFP))、強化シアン蛍光タンパク質(ECFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)、強化黄色蛍光タンパク質(EYFP)、赤色蛍光タンパク質DsRedおよびその変異体(DsRed2、DsRed−express、タイマー(Timer)、mRFP1とその変異体など)、AmCyan、ZsGreen、ZsYellow、AsRed、HcRed、KusabiraOrange、Kaede、AzamiGreenなどが挙げられる。 本発明の実施形態において使用される「発光タンパク質」の例としては、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ、クラゲエクオリンなどが挙げられる。これらの蛍光タンパク質または発光タンパク質は、当業者に周知の供給業者(例えば、ClontechやPromegaなど)により市販されている。 本明細書中、「治療タンパク質」とは、疾患の予防および/または治療に有効なタンパク質をいい、例えば、免疫を担う細胞を活性化するサイトカイン(例えば、ヒトインターロイキン2、ヒト顆粒球−マクロファージ−コロニー刺激因子、ヒトマクロファージコロニー刺激因子、ヒトインターロイキン12等)などが挙げられる。また、癌細胞などを直接殺傷するために、リシンやジフテリア毒素などの毒素やヘルペスウイルスチミジンキナーゼを抗ウイルス剤ガンシクロビルと組み合わせて用いることもできる。また、抗体なども用いることができる。例えば、抗体との融合タンパク質については、抗体または抗体断片をコードするcDNAに変異型TetRタンパク質をコードするcDNAを連結させ、抗体と変異型TetRタンパク質との融合タンパク質をコードするDNAを構築し、このDNAを、例えば、真核生物用の発現ベクターに挿入し、この発現ベクターを真核生物へ導入することにより発現させることができる。あるいは、生体組織中の特定の抗原に対して部位特異的な治療タンパク質の送達を行うために、該抗原に対する抗体と、治療タンパク質と、変異型TetRタンパク質との融合タンパク質をコードするDNAを構築し、このDNAを、例えば、真核生物の発現ベクターに挿入し、この発現ベクターを真核生物へ導入して発現させることもできる。あるいは、そのような融合タンパク質をエキソビボで作製した後、生体内へ導入してもよい。 また、本発明の別の実施形態において使用される「機能解析に供するためのタンパク質」の例としては、タンパク質キナーゼ、転写因子などが挙げられる。タンパク質キナーゼの例としては、例えば、MAPKファミリーキナーゼ、PKCファミリーキナーゼ、PKAファミリーキナーゼ、Srcファミリーキナーゼ、Jakファミリーキナーゼ、Ablファミリーキナーゼ、IKKファミリーキナーゼなどが挙げられる。転写因子の例としては、RUNXファミリー、STATファミリー、核内受容体、ロイシンジッパーファミリー、NF−κBファミリーなどがある。 上記本発明の融合タンパク質は、テトラサイクリン系抗生物質の非存在下では、不安定であるが、テトラサイクリン系抗生物質と結合すると安定化する。したがって、本発明の融合タンパク質によって、目的のタンパク質の分解の制御がテトラサイクリン系抗生物質の濃度によって可能となるため、本発明の融合タンパク質は、蛍光または発光タンパク質を用いた生体内イメージング、治療タンパク質の作用の制御、タンパク質の生体内での機能解析等のために用いることができる。 本発明において使用される「テトラサイクリン系抗生物質(Tet)」としては、本発明の変異型TetRタンパク質に結合して、その構造を安定化し、タンパク質分解酵素による分解を抑制するものであれば、特に限定されないが、例えば、テトラサイクリンおよびその誘導体であるドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、または無水テトラサイクリンが挙げられる。2.本発明のポリヌクレオチド、発現ベクターおよびそれを用いて遺伝子導入された宿主 本発明は、別の局面において、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを提供する。さらに、本発明は、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを提供する。好ましくは、本発明の発現ベクターは、以下の(a)〜(c)の構成要素を含む発現カセットを含む: (a)宿主細胞内で転写可能なプロモーター (b)該プロモーターに結合した、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド;及び (c)RNA分子の転写終結およびポリアデニル化に関し、宿主細胞で機能するシグナル。 プロモーターおよび転写終結シグナル(ターミネーター)としては、上記発現カセットを導入する宿主に応じて、遺伝子発現の効率を増大させるように適切な組み合わせを使用する。当業者は、そのような適切な組み合わせを選択することができる。このような発現ベクターの非限定的な例としては、ヒト細胞中で安定に複製および維持される本願の実施例において使用した発現ベクターpEB6CAGが挙げられ、これは、プロモーターとしてCAGプロモーター、融合タンパク質として変異型TetR−EGFP、および転写終結シグナル配列としてSV40polyA配列を含んでいる。 本発明の発現ベクターは、上記の発現カセットの他に、他の構成要素を含んでいても良い。そのような他の構成要素の非限定的な例としては、本明細書の実施例で使用したような、変異型TetR−EGFPとSV40polyAの間に挿入された、IRES配列およびその下流のDsRedのタンデムダイマーのような蛍光タンパク質を発現することができるcDNAが挙げられる。 その他、細胞または生体内での本発明の融合タンパク質の発現のために使用し得る発現ユニットまたは発現ベクターとしては、例えば、プラスミドpcDNA3(Invitrogen)、プラスミドAH5、pRC/CMV(Invitrogen)、pCAGGS、pCXN2、pME18S、pEF−BOS等で見出される発現ユニットなどを使用することができる。発現ユニットおよび/またはベクターへの遺伝子の導入は、例えば、Molecular Cloning & Current Protocols in Molecular Biology(Sambrook,J.ら、Molecular Cloning,Cold Spring Harbor Press(1989);Ausbel.F.M.ら、Current Protocols in Molecular Biology、Green Publishing Associates and Wiley−Interscience(1989)のような説明書に記載されるような遺伝子操作技術を使用して達成され得る。生じる発現可能なポリヌクレオチドは、発現可能な形態で(例えば、裸のプラスミドもしくは他のDNAとして、標的化リポソームにおいて、またはウイルスベクターの一部として)、ポリヌクレオチドを細胞へ配置し得る任意の方法によって被験体(例えば、ヒト被験体)の細胞へ導入され得る。遺伝子導入の方法には、組織または患部(例えば、腫瘍)への直接注射、リポソームによるトランスフェクション(Fraleyら、Nature 370:111−117(1980))、レセプター媒介エンドサイトーシス(Zatloukalら、Ann.N.Y.Acad.Sci.660:136−153(1992))、および粒子盆バード媒介遺伝子移入(Eisenbraunら、DNA & Cell.Biol.12:791−797(1993))などが含まれる。 本発明はまた、1つの局面において、上記ポリヌクレオチドを導入されたまたは上記発現ベクターで遺伝子導入された宿主細胞または宿主生物を提供する。そのような宿主生物および宿主細胞の非限定的な例としては、脊椎動物およびその細胞が挙げられ、例えば、魚類、両生類、は虫類、鳥類、哺乳動物など、またはそれらの細胞が使用され得る。他に昆虫類およびその細胞が使用されうる。哺乳動物の例としては、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなどが挙げられる。より具体的な宿主細胞または宿主生物の例としては、これらに限定されることはないが、本願の実施例で使用したヒト細胞、マウス、ゼブラフィッシュの受精卵などが挙げられる。3.本発明の融合タンパク質または該融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する組成物 本発明はさらに別の局面において、本発明の融合タンパク質を含有する組成物、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する組成物、および本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを含有する組成物を提供する。これらの本発明の組成物は、上記融合タンパク質に結合する抗生物質と組み合わせて用いられる。例えば、上記融合タンパク質がテトラサイクリン系抗生物質のリプレッサータンパク質の変異型を含む場合、本発明の組成物は、テトラサイクリン系抗生物質(テトラサイクリンおよびその誘導体であるドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、または無水テトラサイクリン)と組み合わせて用いられる。 1つの実施形態では、本発明の組成物は、蛍光タンパク質もしくは発光タンパク質と抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質との融合タンパク質を含有するか、またはそのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを含有する。好ましい変異タンパク質の例は、変異型TetRタンパク質であり、好ましい蛍光タンパク質または発光タンパク質の例は、既に本発明の融合タンパク質の説明において記載したものと同様である。好ましい変異型TetRタンパク質は、既に本発明の融合タンパク質の説明において記載したものと同様である。好ましくは、細胞の核内への蛍光の偏りを防ぐために、上記変異型TetRタンパク質は、さらに28位のアミノ酸残基においてアルギニンからグルタミンへの置換を有していても良い。本発明の融合タンパク質は、Tetの濃度によって分解が制御され得るため、本発明の組成物は、テトラサイクリン系抗生物質の細胞内または生体内での量を検出しイメージングすることに使用することができ、薬物の動態のモニタリングに使用することができる。 別の実施形態では、本発明の組成物は、治療タンパク質と抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質との融合タンパク質を含有するか、またはそのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを含有する。好ましい変異タンパク質の例は、変異型TetRタンパク質であり、好ましい治療タンパク質の例は、既に本発明の融合タンパク質の説明において記載したものと同様である。好ましい変異型TetRタンパク質は、既に本発明の融合タンパク質の説明において記載したものと同様である。遺伝子治療として患者に外来遺伝子を導入し、その遺伝子の産物であるタンパク質の働きによって症状を改善するような場合、そのタンパク質が抗原となって予想外の副作用を引き起こす危険が存在する。そこで、本発明の組成物を用いて、例えば、治療タンパク質をコードする遺伝子と変異TetRの融合遺伝子を導入すれば、その産物である融合タンパク質の発現量は、Tetによりコントロールでき、患者の状況に応じてTetを投与することで副作用を防ぎつつ治療を行うことが可能となる。 さらに別の実施形態では、本発明の組成物は、機能解析に供するためのタンパク質と抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質との融合タンパク質を含有するか、またはそのような融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを含有する。好ましい変異タンパク質は、変異型TetRタンパク質であり、好ましい機能解析に供するためのタンパク質は、既に本発明の融合タンパク質の説明において記載したものと同様である。好ましい変異型TetRタンパク質は、既に本発明の融合タンパク質の説明において記載したものと同様である。本発明の組成物を使用して、例えば、変異TetRと機能解析を行いたい目的のタンパク質との融合タンパク質を細胞に発現させると、添加するTetの量により細胞内の目的のタンパク質の量をコントロールできる。これにより、目的のタンパク質が、細胞や生物個体に与える影響を実験的に解析することが可能となる。 本発明の組成物が、疾患の治療、生体中での薬物動態のイメージングもしくはモニタリング等の診断および/もしくは治療、または生体中でのタンパク質の機能解析等の目的で使用される場合は、本発明の組成物は、薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤をさらに含有しても良く、経口または非経口投与に適する医薬組成物として提供され得る。 例えば、経口投与のための組成物は、固体または液体の剤形であり得、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などが含まれる。このような組成物は、公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、ショ糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられ得る。また、非経口投与のための組成物の剤形としては、例えば、注射剤、坐剤などが含まれ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。このような注射剤は、公知の方法に従って、例えば、本発明の融合タンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、例えば、上記融合タンパク質またはそれをコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。 上記の経口用または非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好ましい。そのような投薬単位の剤形としては、例えば、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが挙げられ、それぞれの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの上記活性成分が含有されていることが好ましい。このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは温血動物(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、トリ、ネコ、イヌ、サル、チンパンジーなど)に対して経口的にまたは非経口的に投与することができる。 本発明の融合タンパク質の分解を防止するために投与する抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該抗生物質を約1.0〜500mg、好ましくは約5.0〜300mg、より好ましくは約5.0〜200mg投与する。非経口的に投与する場合は、該抗生物質の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、テトラサイクリン系抗生物質を注射剤の形で通常成人(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき該抗生物質を約0.1〜300mg、好ましくは約1〜200mg、より好ましくは約10〜100mgを静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、体重60kg当たりに換算した量を投与することができる。 本発明の組成物は、抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)と組み合わせて使用される。1つの実施形態では、本発明の組成物は、さらに抗生物質)を含有する。別の実施形態では、本発明の組成物は、抗生物質と同時、または抗生物質を投与する前もしくは後に、細胞または被験体に投与することによって使用される。4.本発明のキット 本発明はまた、1つの局面において、本発明の融合タンパク質を含有するキット、本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有するキット、および本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを含有するキットを提供する。また、本発明は、上記3.で説明した本発明の組成物を含むキットを提供する。 本発明のキットは、通常、さらに抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)を含んでいる。本発明のキットは、例えば、インビトロまたはエキソビボで、細胞に本発明の融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する発現ベクターを導入して、形質転換細胞を作製および選択するために使用され得る。本発明のキットはさらに、インビボでの使用のための所望の剤形に必要な緩衝液、注射器、バイアル等を含んでいても良い。また、本発明のキットはさらに、使用方法および/または使用上の注意などを記載した製造業者による指示書を含んでいても良い。5.本発明の抗生物質によってタンパク質の分解を制御する方法 本発明はまた、1つの局面において、細胞内に導入可能な抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)によってタンパク質の分解を制御する方法を提供する。この方法は、以下の(A)または(B)のいずれかの工程を包含する。(A)上記抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、上記抗生物質の存在下または非存在下で、細胞内または生体内で発現させる工程、(B)上記抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質を、上記抗生物質の存在下または非存在下で、細胞内または生体内で使用する工程。 好ましい実施形態では、上記抗生物質はテトラサイクリン系抗生物質であり、上記抗生物質に結合するタンパク質は、該抗生物質のリプレッサータンパク質である。 上記本発明の1つの好ましい実施形態は、テトラサイクリン系抗生物質によってタンパク質の分解を制御する方法である。この方法は、以下の(A)または(B)いずれかの工程を包含する。(A)変異型TetRタンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを、テトラサイクリン系抗生物質の存在下または非存在下で、細胞内または生体内で発現させる工程、(B)変異型TetRタンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質を、テトラサイクリン系抗生物質の存在下または非存在下で、細胞内または生体内で使用する工程。 上記本発明の方法は、例えば、実験目的または疾患の診断、予防、治療の目的で、インビトロもしくはエキソビボで細胞内に本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子を導入して、抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)の存在下または非存在下で、該遺伝子を発現させるため、あるいは、インビボで被験体の細胞またはそのような細胞を含む組織もしくは臓器内に本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子を導入し、そこで抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)の存在下または非存在下で、該遺伝子を発現させるために使用され得る。細胞内への本発明の融合タンパク質をコードする遺伝子(またはポリヌクレオチド)の導入は、既に上記2.において説明したものと同様の方法に従って行い得る。 さらに、上記本発明の方法は、例えば、実験目的または疾患の診断、予防、治療の目的で、インビトロもしくはエキソビボで細胞内において本発明の融合タンパク質を、抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)の存在下または非存在下で使用するために、あるいは、インビボで被験体の細胞またはそのような細胞を含む組織もしくは臓器内で本発明の融合タンパク質を、抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)の存在下または非存在下で使用するために、用いられ得る。 本発明の方法において、上記融合タンパク質または上記融合タンパク質をコードする遺伝子は、直接細胞または被験体の組織などに投与または接触されてもよいが、好ましくは、上記3.において説明したように、適切な担体、希釈剤もしくは賦形剤などとともに処方されて、細胞または生体内に導入されてもよい。上記方法において、抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)は、上記融合タンパク質または上記融合タンパク質をコードする遺伝子を細胞または生体内に投与または提供する前、同時、または後のいずれかで該細胞または生体内に投与または提供され得る。上記方法において、タンパク質の分解は、抗生物質(例えば、テトラサイクリン系抗生物質)の(細胞または組織内での)濃度を調節(加減)することによって、調節され得る。 以下、実施例を用いて本発明をより具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例によって限定されない。[実施例1]野生型TetR−EGFPおよび変異TetR−EGFPの調製および安定性の検証1.材料および方法 A.cDNAの調製 抗生物質のテトラサイクリン(Tet)に結合する大腸菌タンパク質である、テトラサイクリンリプレッサー(TetR)に、95番目のアスパラギン酸をアスパラギン、101番目のロイシンをセリン、および102番目のグリシンをアスパラギン酸に置換する3種類の変異を全て、またはいずれか2つの変異を組み合わせで導入した。手順は、以下の通りである。 (手順) 導入するべきアミノ酸置換を含むアミノ酸配列をコードするオリゴヌクレオチドを合成し、これを用いてPCR反応によって、変異を含んだDNA断片を調製した。これを野生型タンパク質をコードするDNAの当該部位と入れ替えることにより、上記変異を導入した。 次いで、野生型および変異導入TetR遺伝子を緑色蛍光タンパク質(EGFP)と融合させたTetR−EGFPをコードするcDNAを作製した。手順は、以下の通りである。 (手順) TetR遺伝子の終止コドンのかわりに他のアミノ酸をコードするように置換した塩基配列とその下流に制限酵素によって認識され切断される配列を有するオリゴDNAを合成し、これを用いてPCR反応を行い終止コドンを持たないTetRをコードするDNA断片を調製し、これを野生型遺伝子をコードするDNAの当該部位と置換した。次に制限酵素にて切断し、EGFPをコードするDNA断片の上流側とタンパク質合成の翻訳の読み枠が合うように連結した(図1A)。 B.遺伝子発現ベクターの作製 上記のように作製したcDNAを、本発明者および共同研究者らが開発した、ヒト細胞中で安定に複製・維持される遺伝子発現ベクター「pEB6CAG」に組み込んだ。構築した発現ベクターDNAは、市販のDNA精製キットを用いて大腸菌から大量調製した。 C.形質転換細胞の作製および選択 このDNAを市販のリポフェクション試薬を用いてヒト細胞株HEp−2に導入し、4日間1.5mg/ml G418存在下で培養し、DNAが導入された細胞だけを選択した。細胞をトリプシン処理して回収し、フローサイトメーター(BD社FACSCalibur)で蛍光陽性細胞率や個々の細胞の蛍光強度を解析した。2.結果 A.フローサイトメーターによる蛍光強度の測定 図1B〜Dは、野生型TetR−EGFPおよび変異TetR−EGFPの安定性をフローサイトメーターを用いて試験した結果を示すグラフである。 野生型TetR−EGFPを発現させた細胞では、90%以上の細胞でEGFP由来の蛍光が認められたが、変異TetR−EGFPを発現させた細胞では、10〜20%程度の細胞で、非常に微弱な蛍光しか観察されなかった(図1B)。 これらの細胞を、プロテアソーム阻害剤であるMG132、100μg/ml存在下で12時間培養したところ、野生型TetR−EGFPを発現させた細胞では蛍光強度に大きな変化は見られなかったが、変異TetR−EGFPを発現させた細胞では著しい蛍光の増強が見られた(図1C)。このことから、変異TetR−EGFPタンパク質が細胞内でプロテアソームによって分解されていることが、わずかな蛍光しか観察されない原因であることがわかった。 またこの細胞を、1.5μg/mlのドキシサイクリンを添加して4日間培養した場合には、野生型TetR−EGFPでは変化が見られないが、変異体を発現させた細胞では、MG132を添加した場合以上に著しい蛍光の増強が見られた(図1D)。なお、ここでTetRは、上述の3種類の変異を3つとも導入したものを使用した。 B.倒立顕微鏡による観察 図2Aは、上記の細胞の倒立顕微鏡写真である。示されるように、細胞全体で緑色蛍光が観察されたが、特に核に蛍光が片寄っていた(図2A)。これはTetRがDNA結合タンパク質であるために、ヒト細胞中のゲノムDNAに結合することにより、タンパク質が核に片寄って存在することが原因であると予想された。これは一般的な目的に応用しようとする場合に問題となる場合もあることが予想される。そこでDNA結合能を失わせるために、さらに28番目のアルギニンをグルタミンに置換する変異を導入した。 図2Bは、R28Q変異を追加したTetR−EGFP変異体を使用して蛍光顕微鏡観察を行った結果を示す写真である。示されるように、核への蛍光の局在は解消され、細胞内に均一に蛍光が観察され核と細胞質の境界がはっきりしなくなった。また、この変異では、ドキシサイクリン依存的な蛍光増強の程度も維持されていた(図2B)。 C.ドキシサイクリン濃度と蛍光強度との相関 ドキシサイクリンの濃度と蛍光強度の相関を解析するために、様々な濃度のドキシサイクリンを添加した状態での蛍光強度をフローサイトメーターで解析した。図3は、その結果を示す。示されるように、0.05μg/ml以上の濃度で蛍光の増強が見られはじめ、1.5μg/mlの濃度のときに最大の蛍光強度になった。 D.ドキシサイクリン添加後の経過時間と蛍光強度との相関 ドキシサイクリン添加後に時間変化を解析するために、1.5μg/mlのドキシサイクリン添加後8時間ごとに蛍光強度を測定した。図4Aは、その結果を示す。示されるように、EGFPを単純に発現するだけのベクターをトランスフェクションした細胞と比較したところ、変異型TetR−EGFPを発現するベクターをトランスフェクションした細胞は、初めの8時間に急激な蛍光増強を示し、24時間後には蛍光はほぼ平衡に達していた(図4A)。逆にドキシサイクリン除去後の時間経過を観察するために、1.5μg/mlのドキシサイクリンで4日処理した後、ドキシサイクリンを含まないMEM培地に交換し8時間ごとの蛍光強度を測定した。その結果を図4Bに示す。示されるように、半減期は8時間であり24時間後にはほぼ完全に蛍光が消失した(図4B)。[実施例2]本発明のタンパク質分解制御システムのインビボでの性能の評価1.トラスジェニックマウスにおける評価 このタンパク質分解制御システムを使って、生きたままの動物個体中でのドキシサイクリンの挙動を蛍光として検出できるかどうかを解析するために、トランスジェニックマウスを作成した。 マウスに全身性に導入遺伝子を発現させやすいことが知られているCAGプロモーターの下流に、R28Q、D95N、L101S、G102Dの変異を導入したTetR−EGFPのcDNAを結合し、さらにIRES配列をはさんで下流に蛍光タンパク質DsRedのタンデムダイマーを発現できるcDNAを配置した。これにより、TetR−EGFPタンパク質はドキシサイクリンの有無により分解制御を受けるために緑の蛍光強度は変動するが、DsRedの赤い蛍光は常に一定になることが予想されるため、各種臓器ごとの発現強度は赤色蛍光でモニターし、ドキシサイクリンの挙動による緑の蛍光強度の変動は、緑と赤の蛍光強度比をとることで標準化して数値化できると期待された。 そこで、大量調製したDNAをマウス受精卵にインジェクションした後、偽妊娠マウスに戻し、生まれてきた仔マウスの中からトランスジーンを持つものを選択し飼育した。 このマウスでは期待通り、普段から赤色蛍光が観察され、さらに腹腔にドキシサイクリンを投与すると8時間後に全身性に緑の蛍光増強が起こった(図5)。赤と緑の蛍光強度比をグラフ化したところ、8時間目に緑の蛍光強度が最大となり、その後減衰することが確認された(図6)。2.ゼブラフィッシュでの評価 他の動物種においても同様な分解制御が起こるかどうかを確認するために、R28Q、D95N、L101S、G102Dの変異を導入したTetR−EGFPをコードするmRNAを、市販のキットによって合成しゼブラフィッシュの受精卵にインジェクションを行った。 ドキシサイクリンを添加しない場合には、緑の蛍光は検出されなかったが、1.5μg/mlのドキシサイクリンを添加すると24時間後には40%の卵において弱い蛍光が観察され、15μg/ml添加した場合には100%の卵において非常に強い蛍光が観察された(図7)。以上のように、魚類においてもマウスにおいて使用したものと同様な分解制御システムを利用できることが示された。[実施例3] 本発明の融合タンパク質を用いた遺伝子発現の制御 ヒト細胞に対して強い毒性を示すジフテリア由来の毒素タンパク質ジフテリアトキシンA(DTA)遺伝子を緑色蛍光タンパク質(EGFP)と融合させたDTA−EGFPおよびこれをさらに変異TetRと融合させたTetR−DTA−EGFPをコードするcDNAを作製し、遺伝子の転写を制御する実験を行った。手順は、以下の通りである。 (手順) A.TetR−DTA−EGFPの作製 既存のpMC1 DT−3ベクターから制限酵素BamHI−DraIで切り出して、DTAをコードするcDNA断片を調製した。これを上記、変異TetR−EGFP遺伝子のTetR部分を制限酵素BglII−SmaIで切除したものに挿入してDTA−EGFPをコードするcDNAを作製した。またTetR−EGFP遺伝子のTetRとEGFPの間に制限酵素BamHIを用いてDTAをコードするcDNA断片を挿入することで、TetR−DTA−EGFPを作製した。 B.遺伝子発現ベクターの作製 上記のように作製したcDNAを、恒常的遺伝子発現ベクター「pEB6CAG」または本発明者が特許公開2003−515314の方法を応用して開発したドキシサイクリンにより調節発現が可能なベクター「pOSTet15」に組み込んだ。これにより次の4通りのベクターを構築した。1)転写レベル、タンパク質分解レベルで2重制御が可能な「pOSTet15−TetRDTAEGFP」、2)転写レベルでのみ制御が可能な「pOSTet15−DTAEGFP」、3)タンパク質分解レベルでのみ制御が可能な「pEB6CAG−TetRDTAEGFP」、4)まったく制御なしに恒常的に発現する「pEB6CAG−DTAEGFP」。これらに加えて、比較実験のためにDTAを有さず細胞毒性を示さない「pOSTet15−TetREGFP」も作成した。構築した発現ベクターDNAは、市販のDNA精製キットを用いて大腸菌から大量調製した。 C.形質転換細胞の作製および選択 このDNAを市販のリポフェクション試薬を用いてヒト細胞株HEp−2に導入し、4日間1.5mg/ml G418存在下で培養し、DNAが導入された細胞だけを選択した。このとき生き残った細胞数を計測した。また遺伝子導入の確認のためEGFPの蛍光観察を行った。 結果 図8に示すように、転写またはタンパク質分解のいずれかのみで制御をかけた場合には、発現制御が無い場合と同じく、ドキシサイクリンを添加せず発現が抑制されている場合でもほぼ全ての細胞が死滅した。これは、単独の制御では発現抑制が不十分であり、低いレベルでの発現の漏れであってもDTAの高い毒性のために細胞が死滅したことを意味する。 一方、2重制御をかけた場合には、ドキシサイクリン非添加時において毒性のない遺伝子を導入した場合よりは細胞数が減少するものの、毒素遺伝子が十分に発現抑制されていることにより十分な数の細胞が生き残ることが示された。また、ここにドキシサイクリンを添加すると、毒素遺伝子が発現し細胞が死滅することも明らかとなった。 以上の結果より、従来技術のドキシサイクリンによる転写制御だけでは、十分に厳密な発現コントロールが難しい場合でも、本発明によるタンパク質分解の制御と組み合わせることにより、きわめて厳密な遺伝子発現制御を実現できることが示された。 本発明によれば、治療のための目的遺伝子と、例えば、変異TetR遺伝子との融合遺伝子を導入すれば、その産物である融合タンパク質量は、Tetによりコントロールでき、患者の状況に応じてTetを投与することで副作用を防ぎつつ治療を行うことが可能となるため、本発明は医療分野等での適用に有用である。 また、本発明により、抗生物質に結合するタンパク質の変異タンパク質(例えば、変異TetR)を、蛍光タンパク質や発光タンパク質といった検出が可能なタンパク質との融合タンパク質として細胞に発現させれば、抗生物質(例えば、Tet)の量に応じて蛍光量や発光量が変動するため、生きた細胞中や生物個体中の抗生物質(例えば、Tet)量を検出しイメージングすることが可能となり、したがって、本発明は、薬物のインビボでのイメージング等においても有用である。[配列表] テトラサイクリン系抗生物質によって目的のタンパク質の分解を制御するための組成物であって、 テトラサイクリンリプレッサータンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質を含有し、 前記変異タンパク質は、細胞内で、前記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、前記抗生物質と結合している場合には安定化され、 前記融合タンパク質は、細胞内で、前記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、前記抗生物質と結合している場合には安定化され、 前記テトラサイクリンリプレッサータンパク質の変異タンパク質が、野生型テトラサイクリンリプレッサータンパク質のアミノ酸配列において、95位のアスパラギン酸、101位のロイシン、および102位のグリシンのいずれか少なくとも2つの部位のアミノ酸残基が置換されているアミノ酸配列を有する、組成物。 前記目的のタンパク質が、蛍光タンパク質または発光タンパク質である、請求項1に記載の組成物。 前記目的のタンパク質が、治療タンパク質である、請求項1に記載の組成物。 前記目的のタンパク質が、機能解析に供するためのタンパク質である、請求項1に記載の組成物。 テトラサイクリン系抗生物質によって目的のタンパク質の分解を制御するための組成物であって、 テトラサイクリンリプレッサータンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有し、 前記変異タンパク質は、細胞内で、前記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、前記抗生物質と結合している場合には安定化され、 前記融合タンパク質は、細胞内で、前記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、前記抗生物質と結合している場合には安定化され、 前記テトラサイクリンリプレッサータンパク質の変異タンパク質が、野生型テトラサイクリンリプレッサータンパク質のアミノ酸配列において、95位のアスパラギン酸、101位のロイシン、および102位のグリシンのいずれか少なくとも2つの部位のアミノ酸残基が置換されているアミノ酸配列を有する、組成物。 テトラサイクリン系抗生物質によって目的のタンパク質の分解を制御するための組成物であって、テトラサイクリンリプレッサータンパク質の変異タンパク質およびそれに融合した目的のタンパク質を含む融合タンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する、発現ベクターを含有し、 前記変異タンパク質は、細胞内で、前記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、前記抗生物質と結合している場合には安定化され、 前記融合タンパク質は、細胞内で、前記抗生物質と結合していない場合は分解されるが、前記抗生物質と結合している場合には安定化され、 前記テトラサイクリンリプレッサータンパク質の変異タンパク質が、野生型テトラサイクリンリプレッサータンパク質のアミノ酸配列において、95位のアスパラギン酸、101位のロイシン、および102位のグリシンのいずれか少なくとも2つの部位のアミノ酸残基が置換されているアミノ酸配列を有する、組成物。 細胞内または生体内イメージング用組成物である、請求項2、5、または6に記載の組成物。 疾患の治療のために使用する、請求項3に記載の組成物。 前記目的のタンパク質が治療タンパク質であり、疾患の治療のために使用する、請求項5または6に記載の組成物。 タンパク質機能解析用組成物である、請求項4、5、または6に記載の組成物。 テトラサイクリン系抗生物質と組み合わせて使用する、請求項1〜10のいずれかに記載の組成物。 前記テトラサイクリン系抗生物質が、テトラサイクリン、またはその誘導体であるドキシサイクリン、オキシテトラサイクリン、クロルテトラサイクリン、もしくは無水テトラサイクリンである、請求項1〜11のいずれかに記載の組成物。 テトラサイクリン系抗生物質によって目的のタンパク質の転写および分解を制御するための組成物であって、 (a)テトラサイクリンリプレッサータンパク質の変異体と目的のタンパク質との融合タンパク質をコードするポリヌクレオチド、および (b)(a)のポリヌクレオチドの転写を制御するタンパク質をコードするポリヌクレオチド、を発現可能に含む発現ベクターであって、細胞内での(a)のポリヌクレオチドの転写および(a)のポリヌクレオチドの発現産物である前記融合タンパク質の分解が、細胞内でのテトラサイクリン系抗生物質の有無によって制御される、発現ベクターを含有し、ここで、 前記テトラサイクリンリプレッサータンパク質の変異タンパク質が、野生型テトラサイクリンリプレッサータンパク質のアミノ酸配列において、95位のアスパラギン酸、101位のロイシン、および102位のグリシンのいずれか少なくとも2つの部位のアミノ酸残基が置換されているアミノ酸配列を有する、組成物。 前記(b)のポリヌクレオチドが、前記(a)のポリヌクレオチドの転写制御領域に結合して該ポリヌクレオチドの転写を増強するタンパク質をコードし、該タンパク質は、前記抗生物質と結合した場合にのみ該転写制御領域に結合することができる、請求項13に記載の組成物。 前記(a)のポリヌクレオチドの発現産物である前記融合タンパク質が、前記細胞内で、前記抗生物質と結合していないときに分解される、請求項13または14に記載の組成物。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る