タイトル: | 特許公報(B2)_スペーサー領域を使用するセラチア(Serratia)種の検出、同定および鑑別 |
出願番号: | 2007534025 |
年次: | 2013 |
IPC分類: | C12N 15/09,C12Q 1/68 |
ヘールト・ヤネス ウーテル・メイス トーマス・エムリッヒ ゲルト・ハーベルハウゼン JP 5210634 特許公報(B2) 20130301 2007534025 20050929 スペーサー領域を使用するセラチア(Serratia)種の検出、同定および鑑別 イノジェネティックス・ナムローゼ・フェンノートシャップ 399044160 INNOGENETICS N.V. ロッシュ ディアグノスティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング 591005589 田中 光雄 100081422 山崎 宏 100084146 冨田 憲史 100122301 志賀 美苗 100127638 ヘールト・ヤネス ウーテル・メイス トーマス・エムリッヒ ゲルト・ハーベルハウゼン EP 04447218.1 20040930 US 60/634,106 20041208 20130612 C12N 15/09 20060101AFI20130527BHJP C12Q 1/68 20060101ALI20130527BHJP JPC12N15/00 AC12Q1/68 A C12N15/ C12Q1/ CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq 国際公開第2004/052606(WO,A1) 国際公開第2004/053156(WO,A1) 欧州特許出願公開第01091004(EP,A1) 国際公開第91/016454(WO,A1) Res. Microbiol., 141(1990) p.1139-1149 Ann. Inst. Pasteur/Microbiol., 137B(1986) p.165-175 KUR,ACTA MICROBIOL. POL.,1995年,V44 N3-4,P219-225 6 EP2005054913 20050929 WO2006035062 20060406 2008514217 20080508 34 20080730 小暮 道明 本発明は、セラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の特異的検出ならびに/あるいは同定のために使用される16Sおよび23Sリボソームリボ核酸(rRNA)遺伝子間のITS(内部転写スペーサー)領域から誘導される新規の核酸配列に関する。 本発明はまた、ITS領域から誘導される新規の核酸配列を使用するセラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の特異的検出ならびに/あるいは同定のための方法に関する。 腸内細菌(Enterobacteriaceae)科のセラチア(Serratia)属は、次の11種:セラチア・エントモフィラ(Serrtia entomophila)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、セラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)、セラチア・リケファシエンス(Serratia liquefaciens)群(上記のS.リケファシエンス(S.liquefaciens)、S.グリメッシィ(S.grimesii)およびS.プロテアマクランス(S.proteamaculans))、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・オドリフェラ(Serratia odorifera)、セラチア・プリムティカ(Serratia plymuthica)、セラチア・クイニボランス(Serratia quinivorans)ならびにセラチア・ルビダエア(Serratia rubidaea)よりなる。 セラチア(Serratia)属のメンバーは、水および土壌中ならびに葉、果物、野菜、マッシュルーム、コケ類および昆虫において見出される。ヒト疾患と日常的に関連している唯一のセラチア(Serratia)種は、S.マルセッセンス(S.marcescens)である。セラチア(Serratia)の他のほとんどの種もまたヒトから単離されており、ここで、それらは、通常、一過的に存在し、日和見感染を生じ得る。これまで、S.エントモフィラ(Serrtia entomophila)のみがヒトから単離されていない。 セラチア(Serratia)感染の最も一般的な部位として、尿路、呼吸器および血流が挙げられる。CNS感染は、神経手術後に最も生じる。セラチア(Serratia)は毒性生物体である。それが血流に進入する場合、内毒素が放出され、熱、敗血症性ショック、血小板減少および散在性血管内凝固症候群を生じる。セラチア(Serratia)菌血症由来の死亡率は高い。セラチア(Serratia)は、通常、いくつかの抗生物質に耐性であり、酵素産生により他の抗生物質に迅速に耐性になる。 セラチア(Serratia)の院内感染は、医療従事者の汚染された手から最も多く生じる。汚染された装置は、セラチア(Serratia)感染のもう1つの供給源である。尿路感染は、留置カテーテルに常に関連する。呼吸器感染は、機械的に通気されている場所に存する患者に一般的である。ヒトがセラチア(Serratia)によってコロニー化されると、それらは、侵襲デバイス、手術および病気の重症度によって、容易に感染されるようになる。 現在、セラチア(Serratia)種は、培養に基づく方法ならびに表現型生化学的試験によって、同定および鑑別される。 それらは、富化された培地(例えば、血液寒天)上、35〜37℃で良好に増殖する。それらは乳糖非発酵菌であり、運動性である。セラチア(Serratia)種は、25℃で細胞外DNaseおよび22℃でゼラチナーゼを産生する。それらは、リパーゼを作り出し、コリスチン、アンピシリンおよびセファロチンに耐性である。これらの特性は、セラチア(Serratia)に特異的であり、他のいずれの腸内細菌(Enterobacteriaceae)の特徴ではない。長年にわたって、S.マルセッセンス(S.marcescens)は、その特徴的な赤色の色素形成によって、他の腸内細菌から鑑別された。しかし、すべてのS.マルセッセンス(S.marcescens)生物体が典型的な赤色の色素プロジギオシンを産生するとは限らない。脱炭酸化および発酵反応によって、多様なセラチア(Serratia)種をS.マルセッセンス(S.marcescens)から識別することができる。 非特許文献1は、S.マルセッセンス(S.marcescens)生物体のrDNA16S−23Sスペーサー領域の増幅および制限ヌクレアーゼを使用するそのフラグメント化について記載している。スペーサー領域についても、またそのフラグメントについても開示されていない。この方法を用いてS.マルセッセンス(S.marcescens)の他のセラチア(Serratia)種からの同定は実証されていない。 健康安全の見地から、S.マルセッセンス(S.marcescens)は、その増加する症例数、毒性およびその増加する抗生物質に対する耐性のため、大いに関心が寄せられている。従って、迅速かつ特異的な同定アッセイは、この生物体によって生じる感染のより適切な抗微生物管理の基礎である。J.クル(J.Kur)ら((1995年)Acta Microbiologica Polonica 44(3/4):219−225) 本発明の目的は、セラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の検出および/または同定のために使用することができるセラチア(Serratia)種のITSから誘導される新規の核酸配列を提供することである。 従って、本発明は、配列番号1〜57、それらの相補形態、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、および相同物からなる群から選択される単離された核酸分子を提供する。 セラチア(Serratia)種の検出および/または同定のための前記核酸分子およびそれらのフラグメントの使用もまた、本発明の目的である。グルタミン、イソロイシンおよびアラニンをコードするtRNA配列が前記検出および/または同定に適切ではないことは、当業者に明らかである。 本発明の態様は、セラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の検出および/または同定のためのプローブならびに/あるいはプライマーとしての使用のための新規のポリヌクレオチドに関する。 従って、本発明は、セラチア(Serratia)種の検出および/または同定のための配列番号12〜57、それらの相補形態、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相同配列、およびそれらのフラグメントからなる群から選択される核酸分子を含んでなるか、あるいは該核酸分子よりなる標的配列に特異的にハイブリダイズする単離された核酸分子を提供する。 本発明のもう1つの態様は、サンプル中のセラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の検出ならびに/あるいは同定のためのプローブの組に関する。 本発明のもう1つの態様は、セラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の16S−23S rRNAスペーサー領域の特異的増幅を可能にするプライマーに関する。 本発明のもう1つの目的は、本発明の新規の配列のいずれか、または本発明のプローブおよび/もしくはプライマーのいずれか、あるいはそれらの組み合わせを含有する組成物である。 本発明のもう1つの目的は、前記プローブならびに/あるいはプライマーが、セラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の検出および/または同定のために使用されるキットである。 本発明のもう1つの目的は、セラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の検出ならびに/あるいは同定のための迅速かつ信頼し得るハイブリダイゼーション方法である。 本発明のもう1つの目的は、セラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の検出ならびに/あるいは同定のためのリアルタイムPCRに基づくハイブリダイゼーション方法である。表の説明 表1:実施例において使用した増幅および融解曲線プログラム。 表2:使用したHybProbeの異なる組み合わせ。 表3:配列番号26および44によって表されるHybProbeの組み合わせの特異性について試験された微生物のリスト。 表4:配列番号1〜59のリスト。 以下の定義は、以下に記載の本発明の異なる実施態様において使用される用語および表現を例示する役割を果たす。 用語「スペーサー」および「ITS」(内部転写スペーサー)は、省略形の用語であって、両方とも16Sおよび23S rRNAの間または16Sおよび23S rRNA遺伝子の間の領域を指す。 用語「プローブ」は、標的配列にハイブリダイズするのに十分に相補的である配列を有する一本鎖オリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドを指す。 本発明の枠内における標的配列は、配列番号1〜11、それらの相補形態、それらのRNA形態、相同物またはそれらのフラグメントのいずれかによって表される任意の核酸分子を含んでなる検出すべき配列である。 標的配列は、ゲノムDNAもしくは前駆体RNA、またはその増幅されたバージョンのいずれかであり得る。 好ましくは、本発明のプローブは、標的配列の正確な相補体に対して、約80%もしくはそれ以上、より好ましくは約85%もしくはそれ以上、さらにより好ましくは約90%もしくはそれ以上、および最も好ましくは約95%もしくはそれ以上相同である。 本発明のプローブは、対応するヌクレオチド配列を含む挿入物を含有する組換えプラスミドのクローニングによって、必要であれば、適切なヌクレアーゼを使用してクローニングされたプラスミドから後者を切断し、例えば、分子量による分画によりそれらを回収することによって、形成することができる。 本発明に従うプローブもまた、例えば、従来のホスホトリエステル法によって、化学的に合成することもできる。 本明細書において使用される用語「相補的な」核酸は、核酸配列が相互に完全な塩基対形成をした二重螺旋を形成することができることを意味する。本特許出願を通して、相補形態が配列およびそのRNA形態に関連して述べられている場合、配列およびそのRNA形態の両方の相補形態を意味する。 用語「ポリ核酸」、「核酸」、および「ポリヌクレオチド」は、少なくとも5、10、15、20、30、40または50連続ヌクレオチドを含有する二本鎖もしくは一本鎖cDNAまたはゲノムDNAあるいはRNAのいずれかに対応する。100ヌクレオチド長より小さなポリ核酸は、しばしば、「オリゴヌクレオチド」と称される。本特許出願において述べられているヌクレオチドの数は、用語「約」と同じ意味でプラスまたはマイナス2の範囲を示すものとみなすべきである。 それらはまた、イノシンまたはそれらのハイブリダイゼーションの特徴を本質的に変更しない改変された基を含有するヌクレオチドのような改変されたヌクレオチドを含有することができる。 本発明のポリ核酸分子は、常に、5’末端から3’までが表される。しかし、それらは、任意の形態、即ち、それらの二本鎖または一本鎖形態(2つの鎖のいずれか)、それらのDNAまたはRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)(改変されているまたは改変されていない)で使用することができる。 用語「最も緊密な近接体」は、DNA相同性について最も緊密に関係することが公知であるかまたはそのように予想され、目的の生物体から鑑別されなければならないタクソンを意味する。 表現「タクソン特異的ハイブリダイゼーション」または「タクソン特異的プローブ」は、プローブが、タクソン由来のDNAまたはRNA(これらを対象にプローブが設計された)にのみハイブリダイズし、他のタクソン由来のDNAまたはRNAにはハイブリダイズしないことを意味する。 タクソンという用語は、完全な属または属内のサブグループ、種または種内のサブタイプ(亜種、血清型、配列型(sequevar)、生物型など)を指し得る。 用語「特異的増幅」または「特異的プライマー」は、前記プライマーが、生物体由来の関連領域(これを対象にプライマーが設計された)のみを増幅し、他の生物体由来のものは増幅しないという事実を指す。 用語「スペーサー特異的増幅」または「スペーサー特異的プライマー」は、前記プライマーが、生物体由来のスペーサー領域(これを対象にプライマーが設計された)のみを増幅し、他の生物体由来のものは増幅しないという事実を指す。 用語「特異的プローブ」は、生物体由来の関連領域(これを対象にプライマーが設計された)のみにハイブリダイズし、他の生物体由来の対応する領域にも、他のいずれの領域にもハイブリダイズしないプローブを指す。 用語「スペーサー特異的プローブ」は、生物体由来の関連スペーサー(これを対象にプライマーが設計された)のみにハイブリダイズし、他の生物体由来のスペーサーにはハイブリダイズしないプローブを指す。 用語「感度」は、偽陰性の数:即ち、検出しようとする100株のうちの1株が見落とされる場合、試験は(100−1/100)%=99%の感度を示す。 用語「特異性」は、偽陽性の数:即ち、検出される100株に対して、2株が生物体(これに対して試験が設計されていない)に属するようである場合、試験の特異性は(100−2/100)%=98%である。 「選好的」であるように選択されるオリゴヌクレオチドまたはポリヌクレオチドは、80%を超える、好ましくは90%を超える、最も好ましくは95%を超える感度および特異性を示す。 用語「固相支持体」は、ポリヌクレオチドプローブを結合することができる任意の基体を指すことができ、但し、プローブはそのハイブリダイゼーションの特徴を保持し、かつハイブリダイゼーションのバックグランドレベルは低く保持する。通常、固体基質は、マイクロタイタープレート、メンブラン(例えば、ナイロンもしくはニトロセルロース)またはマイクロスフェア(ビーズ)であり、これらの例に限定されない。メンブランへの適用または固定化の前に、固定化を容易にするかまたはハイブリダイゼーション効率を改善するために、核酸プローブを改変すると都合がよい。そのような改変は、ホモポリマーテーリング、脂肪族基、NH2基、SH基、カルボキシル基のような異なる反応基との結合、またはビオチン、ハプテンもしくはタンパク質との結合を包含し得る。 用語「標識された」は、標識核酸の使用を指す。標識化は、サイキ(Saiki)ら((1988年)Science 239:487−491)もしくはベジュ(Bej)ら((1990年)Mol Cell Probes 4:353−365)によって例示されるような増幅のポリマー化工程中に組み入れられる標識ヌクレオチドの使用または標識プライマーの使用、あるいは当業者に公知の他の任意の方法によって行ってもよい。標識の性質は、アイソトープ(32P、35Sなど)であっても、または非アイソトープ(ビオチン、ジゴキシゲニン、蛍光染料、酵素など)であってもよい。 用語「シグナル」は、一連の電磁波は(例えば、蛍光)、または情報を担持する電流の変化を指す。シグナルは、直接目視することができるか、あるいは異なる手段またはデバイスによって可視化するおよび/もしくは解釈可能にすることができる。 「サンプル」は、いずれの生物学的材料であってもよい。この生物学的材料は、感染したヒト、もしくは動物から直接、または培養もしくは富化後、あるいは食物、環境などのいずれから採取してもよい。 生物学的材料は、例えば、任意の種類の喀痰、気管支洗浄液(broncheolavage)、血液、皮膚組織、生検、リンパ球の血液培養材料、コロニーなどであってもよい。前記サンプルは、当該分野において公知の技術のいずれかに従って調製または抽出することができる。 本発明の趣旨において臨床的に関連するセラチア(Serratia)種は、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)である。 異なるセラチア(Serratia)種は、スペーサー領域に挿入されるtRNA遺伝子のタイプ、tRNAgluまたはtRNAile−alaに基づく異なる2つのタイプのスペーサーを示す。さらに、それぞれのタイプのスペーサーおよびそれぞれのセラチア(Serratia)種について、異なるクラスターまたはグループを識別することができる。 例えば、3つのS.マルセッセンス(S.marcescens)の株のうち、第1のタイプ(即ち、tRNAgluの挿入を伴う)のスペーサーを考慮すると、それぞれ、配列番号1〜2によって表される異なる2つのグループが規定され得る。 第2のタイプ(即ち、tRNAile−alaの挿入を伴う)を考慮すると、それぞれ、配列番号3〜5によって表される異なる3つのグループが規定され得る。 すべてのセラチア(Serratia)種、もしくはそれぞれのセラチア(Serratia)種、または少なくとも2つのセラチア(Serratia)種の任意の組み合わせを検出および/あるいは同定するために、本発明は新規の核酸分子を提供する。 本発明のITS配列は、配列番号1〜11、それらの相補形態、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、およびそれらの任意の相同配列からなる群から選択される核酸分子を含んでなるか、または該核酸分子よりなる。 「相同物」とも称せられる任意のセラチア(Serratia)種のITSにおいて見出される相同配列もまた、本発明の目的である。配列全体に関する相同性の程度は95%より高い。 次いで、本発明の枠内において、「相同物」は、配列番号1〜11のいずれかあるいは任意のセラチア(Serratia)種のITS領域に局在し、セラチア(Serratia)種の検出および/または同定に適切な少なくとも10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、100ヌクレオチドのそれらの任意のフラグメントに対する相同配列である。 配列番号1〜5はS.マルセッセンス(S.marcescens)から誘導され、配列番号6および7はS.フィカリア(S.ficaria)から誘導され、配列番号8〜11はS.フォンチコラ(S.fonticola)から誘導される。 本発明はまた、任意のセラチア(Serratia)種の検出のためのITSから誘導される新規の核酸分子を提供し、挿入されるtRNAを顧慮する異なるタイプ(それぞれのタイプが異なるグループを含んでなる)のITSが存在するという事実により極めて高い変動性によって生じる問題を解決する。 実際、配列番号17、18、19、20、33、38、39、および57よりなる新規の核酸分子が、試験したすべてのセラチア(Serratia)種、特に、臨床に関連するセラチア(Serratia)種の特定のタイプのスペーサーの異なるグループにおいて見出されることが発見されている。 次いで、該特異的ポリヌクレオチド、少なくとも10、15、20、25、30、好ましくは、約20ヌクレオチド(18、19、20、21、もしくは22)のそれらの任意のフラグメント、それらのRNA形態および属特異的ポリヌクレオチドとも称させるそれらの相補形態は、任意のまたはすべてのセラチア(Serratia)種、特に、臨床に関連するセラチア(Serratia)種の検出のためのプライマーおよび/またはプローブを設計するために使用することができるITSの特異敵領域である。 1つ、2つもしくはそれ以上のセラチア(Serratia)種の検出および/または同定のためのプローブおよび/またはプライマーとしての使用のための新規のポリヌクレオチドが提供される。 言い換えれば、本発明の目的は、1つ、2つもしくはそれ以上のセラチア(Serratia)種の検出および/または同定のための本発明の標的配列とハイブリダイズするプローブならびに/あるいはプライマーとしての使用のための新規のポリヌクレオチドに関する。 特に、本発明の目的は、配列番号1〜11、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態、それらの任意の相補物、およびそれらの少なくとも約10、15、20、25、30、50、100、150、200、もしくは300連続ヌクレオチドのフラグメントからなる群から選択される核酸を含んでなるかまたは該核酸よりなる標的配列に特異的にハイブリダイズする単離された核酸分子である。 好適なポリヌクレオチドプローブは、約5〜約50塩基長、より好ましくは、約10〜約25ヌクレオチドの間であり、標的配列に十分相同である。 配列番号12〜57のポリヌクレオチドまたはそれらの相補物、それらの相補形態もしくはそれらのRNA形態のいずれかをプローブとして使用してもよい。 本発明の好適なプライマーは、本発明の標的配列の合成のための開始点として作用することが可能な一本鎖DNAポリヌクレオチドである。本発明のプライマーの長さおよび配列は、それらが伸長産物の合成をプライムすることを可能にするようなものでなければならない。 好ましくは、本発明のプライマーは、約5〜約50ヌクレオチド長、好ましくは、約15〜約25である。その特異的長さおよび配列は、温度およびイオン強度のような使用される条件に依存して選択されるべきである。 本発明のプライマーは、標的配列を増幅する。言い換えれば、本発明のプライマーは、配列番号1〜11、それらの相補鎖および/または相同物のいずれかを含んでなる核酸分子を増幅する。 rRNAスペーサーの保存されたフランキング領域、即ち、16S遺伝子および23S遺伝子に局在するユニバーサルプライマーを使用することができる。セラチア(Serratia)種がサンプル中に存在する場合、増幅産物、標的配列は、配列番号1〜11および/または相同物のいずれかよりなる核酸分子を含んでなる。 好ましくは、標的配列は、それぞれ約40〜約50ヌクレオチド以下の16Sおよび23S rRNAによって隣接される配列番号1〜11および/または相同物からなる群から選択される任意の核酸分子よりなる。 増幅プライマーは、適切な増幅を保証するために対応するテンプレート配列に正確に一致する必要はないという事実は、参考文献(クウォック(Kwok)ら(1990年)Nucl Acids Res.18:999)に詳細に立証されている。 使用される増幅方法は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR;サイキ(Saiki)ら、((1988年)、Science 239:487−491)、リガーゼ連鎖反応(LCR;ランドグレン(Landgren)ら、((1988年)、Science 241:1077−1080)、ウー(Wu)およびウォーレス(Wallace)、((1989年)Genomics 4:560−569);バーラーニ(Barany)、((1991年)、Proc Natl Acad Sci.USA88:189−193)核酸配列に基づく増幅(NASBA;ガテリ(Guatelli)ら、((1990年)、Proc Natl Acad Sci.USA87:1874−1878)、コンプトン(Compton)、((1991年)、Nature 350:91−92)転写に基づく増幅システム(TAS;クヲ(Kwoh)ら、(1989年)Proc Natl Acad Sci.USA 86:1173−1177)、鎖置換型増幅(SDA;ダック(Duck)、((1990年)Biotechniques 9:142−147);ウォーカー(Walker)ら、((1992年)Proc Natl Acad Sci.USA 89:392−396)またはQβレプリカーゼによる増幅(リザード(Lizardi)ら、((1988年)Bio/Technology 6:1197−1202)、ロメリ(Lomeli)ら、((1989年)Clin Chem 35:1826−1831)または当該分野において公知の核酸分子を増幅するための他の任意の適切な方法のいずれかであり得る。 プライマーもしくはプローブとしての使用のため、または本発明の方法において使用すべきさらなるプライマーおよびプローブを設計するための本発明の好適なポリヌクレオチドは、配列番号12〜57によって表される。 本発明のポリヌクレオチドは、それらのそれぞれの末端のいずれかに対する1つもしくはいくらかのヌクレオチドの付加もしくは除去によって、または前記配列内の1つもしくはそれ以上のヌクレオチドを変更することによって、あるいは両方の組み合わせのいずれかにより、配列番号12〜57によって表されるポリヌクレオチドと配列が異なり得、但し、得られる等価物はなお、標的配列にハイブリダイズする。前記等価なポリヌクレオチドは、対応する改変されていないポリヌクレオチドと少なくとも80%相同性、好ましくは、85%を超える、より好ましくは、90%を超える相同性、最も好ましくは、95%を超える相同性を共有する。 ポリヌクレオチドの等価物を使用する場合、対応する改変されていないポリヌクレオチドと同じ特異性を得るために、ハイブリダイゼーション条件を改変する必要があり得る。 結果として、ポリヌクレオチドを同じハイブリダイゼーション条件下での設定において使用しようとする場合、それに応じて他のポリヌクレオチドの配列を改変する必要もある。これらの改変は、ヘイムズ B(Hames B)およびヒギンズ S(Higgins S)(編):Nucleic acid hybridization.Practical approach.IRL Press,Oxford、英国、1985年に記載のような原理に従って、行うことができる。 本発明のポリヌクレオチドプライマーおよび/またはプローブはまた、ホスホロチオエート(マツクラ(Matsukura)ら、((1987年)Proc Natl Acad Sci.USA 84(21):7706−7710)、アルキルホスホロチオエート(ミラー(Miller)ら、((1979年)、Biochemistry 18(23):5134−5143)またはペプチド核酸(ニールセン(Nielsen)ら、((1991年)Science 254(5037):1497−1500);ニールセン(Nielsen)ら、((1993年)Nucl Acids Res.21(2):197−200)のようなヌクレオチドアナログを含んでなり得るか、またはインターカレート剤(アセライン(Asseline)ら、((1984年)Proc Natl Acad Sci.USA 81(11):3297−3301)などを含有し得る。 改変されたプライマーまたはプローブは、要求される特異性および感度を得るためにそれらが使用される条件に関連する適応を必要とする。しかし、ハイブリダイゼーションの結果は、改変されていないポリヌクレオチドで得られる結果と本質的に同じものを保持するべきである。 これらの改変の導入は、ハイブリダイゼーション速度論、ハイブリッド形成の可逆性、ポリヌクレオチド分子の生物学的安定性などのようないくつかの特徴に影響を及ぼすために有利であり得る。 本発明のプローブおよびプライマーは、セラチア(Serratia)種、特に、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)、セラチア・フィカリア(Serratia ficaria)、および/またはセラチア・フォンチコラ(Serratia fonticola)の検出ならびに/あるいは同定のための本発明の方法、また目的において使用される。 標的配列の検出および/または同定は、電気泳動法、ハイブリダイゼーション法または配列決定法を使用することによって実施することができる。 サンプル中の1つもしくはそれ以上のセラチア(Serratia)種の検出のための本発明の方法は、以下の工程を含んでなる:・第1に、必要であれば、サンプル中に存在する核酸を、増幅および/またはハイブリダイゼーションに利用可能にする。・第2に、また、必要であれば、核酸が存在するならば、1つもしくは別の標的増幅システムにより増幅する。通常、増幅は、以後のハイブリダイゼーションシグナルを増強するために必要である。しかし、いくつかのサンプル、またはいくつかの高感度のシグナル増幅システムについては、増幅は必ずしも必要ではない。・第3に、サンプル中に存在する核酸または得られる増幅された産物をプローブと接触させ、ハイブリダイゼーションを進行させる。・最後に、簡便かつ適合性の検出システムを使用して、ハイブリッドを検出する。観察されるハイブリダイゼーションシグナルまたはパターンから、1つ、2つもしくはそれ以上のセラチア(Serratia)種の有無を推測することができる。 増幅工程では、ユニバーサルプライマーとも呼ばれるrRNAスペーサーの保存されたフランキング領域(16Sおよび23S遺伝子)に局在するプライマーを使用することができる。配列番号58および59によって表されるプライマー対は、ユニバーサルプライマーのそのような例である。 いくつかのアプリケーションでは、サンプル中に存在するすべての細菌ではないが、1つもしくはいくらかの属、または1つもしくはいくらかのセラチア(Serratia)種を増幅するのに適切であり得る。 後者の場合、これは、属特異的プライマーまたはセラチア(Serratia)種のITS領域から誘導される種特異的プライマーを使用することによって達成することができる。 特に、サンプル中のセラチア(Serratia)種の検出および/または同定のための本発明の方法は、以下の工程(i)所望により、サンプル中に存在するポリ核酸を単離および/または濃縮する工程、(ii)所望により、16S−23S rRNAスペーサー領域、または標的配列もしくは(a)そのフラグメントの少なくとも1つを、少なくとも1つの適切なプライマー対で増幅する工程、(iii)ポリ核酸と、配列番号1〜11、それらの相同物、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態およびそれらのフラグメントからなる群から選択される少なくとも1つの標的配列にハイブリダイズする少なくとも1つのポリヌクレオチドプローブとを接触させる工程、(iv)形成されるハイブリダイズを検出する工程、ならびに(v)得られるシグナルを解釈し、セラチア(Serratia)種の存在を推察し、および/またはサンプル中のセラチア(Serratia)種を同定する工程、を含んでなる。 例えば、本発明の任意の方法の増幅またはハイブリダイゼーション工程において述べられるようなフラグメントは、本発明の核酸分子の約10、15、20、25、30、50、100、200、300連続ヌクレオチドを含んでなるか、または該ヌクレオチドよりなり得る。 好ましくは、本発明のプローブは、高いストリンジェンシーの条件下でハイブリダイズする。 高いストリンジェンシー条件下では、相補的な核酸ハイブリッドのみが形成される。従って、アッセイ条件のストリンジェンシーは、ハイブリッドを形成する2つの核酸鎖間に必要な相補性の量を決定する。ストリンジェンシーは、標的および非標的核酸と共に形成されるハイブリッド間の安定性における差異を最大にするために選択される。 いずれにせよ、適切なハイブリダイゼーション条件は、本発明のポリヌクレオチドが標的配列に特異的にハイブリダイズする場合に得られるハイブリダイゼーションのシグナルが、前記ポリヌクレオチドが非特異的様式で標的配列にハイブリダイズする場合に得られるシグナルと異なるような方法で選択される。 実際には、異なるシグナルは、例えば、標的配列に対する非特異的ハイブリダイゼーションと比較して、標的に対する特異的ハイブリダイゼーションにより、その強度が2、5、10もしくはそれ以上強い場合、可視化され得る。Line Probe Assay(LiPA)システムは、これに関連する良好な例である。 異なるシグナルもまた、例えば、リアルタイムPCR法を使用する場合に融解曲線解析において異なるピークが描かれる場合、可視化され得る。 一実施態様では、サンプル中に存在する可能性のある標的配列の検出のための極めて簡便かつ有利な技術はリアルタイムPCR法である。 本発明の枠内において使用することができる増幅されたDNAの検出のための異なる形式、特に、TaqManTMプローブ、Molecular Beaconsプローブ、「Scorpions」、またはFRETハイブリダイゼーションプローブが存在する。 TaqManTMプローブに関して、一本鎖ハイブリダイゼーションプローブは、2つの成分で標識される。第1の成分、いわゆる蛍光剤が適切な波長の光で励起される場合、吸収されるエネルギーは、蛍光共鳴エネルギー移動の原理に従って、第2の成分、いわゆるクエンチャーに移される。PCR反応のアニーリング工程中に、ハイブリダイゼーションプローブは標的DNAに結合し、伸長フェーズ中にポリメラーゼ、例えば、Taqポリメラーゼの5’−3’エキソヌクレアーゼ活性によって分解される。結果として、励起された蛍光成分およびクエンチャーは、空間的に相互に離れており、従って、第1の成分の蛍光発光を測定することができる(EPB0543942および米国特許第5,210,015号明細書)。 Molecular Beaconsプローブに関して、プローブはまた、第1の成分およびクエンチャーで標識され、標識は、好ましくは、少なくとも部分的に自己相補的なプローブの異なる末端に局在する。プローブの二次構造の結果として、両方の成分は、溶液において空間的に近接にある。標的核酸へのハイブリダイゼーション後、適切な波長の光による励起後に、第1の成分の蛍光発光を測定することができるように、両方の成分を相互に分離する(米国特許第5,118,801号明細書)。 「Scorpions」に関して、プローブおよびプライマーは、1つの分子に含まれる。Molecular Beaconsシステムと同様に、それぞれのプローブは、第1の成分およびクエンチャーで標識され、標識は、少なくとも部分的に自己相補的なプローブの異なる末端に局在する。プライマーは、二次構造が特異的標的配列の非存在下で開放されることを防止するPCRストッパーを介してそれぞれのプローブに連結される。(ホワイトクーム,D.(Whitcombe,D.)ら、(1999年)Nature Biotechnology 17:804−807;セルウェール,N.(Thelwell,N.)ら、(2000年)Nucleic Acids Research第28巻、19号:3752−3761;スヴァンヴィク(Svanvik)らAnalytical Biochemistry 287:179−182(2000年))。 蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)ハイブリダイゼーションプローブ試験形式は、すべての種類の相同ハイブリダイゼーションアッセイに特に有用である(マシューズ,J.A.(Matthews,J.A.)およびクリカ,L.J.(Kricka,L.J.)、(1988年)Anal Biochem169:1−25)。それは、同時に使用され、(増幅された)標的核酸の同じ鎖の隣接部位に相補的である2つの一本鎖ハイブリダイゼーションプローブによって特徴付けられる。両方のプローブとも、異なる蛍光成分によって標識される。適切な波長の光で励起される場合、両方のハイブリダイゼーションプローブが検出しようとする標的分子の隣接位置に結合する場合にのみ第2の成分の蛍光発光を測定することができるように、第1の成分は、蛍光共鳴エネルギー移動の原理に従って、吸収されるエネルギーを第2の成分に移動する。 標的配列にアニーリングされる場合、ハイブリダイゼーションプローブは、頭−尾配列で相互に極めて緊密に局在しなければならない。通常、第1のプローブの標識された3’末端と第2のプローブの標識された5’末端との間の間隙は可能な限り小さく、特に、約0〜25塩基、好ましくは、約1〜約5塩基よりなる。このことは、FRETドナー化合物とFRETアクセプター化合物との緊密な近接を可能にし、典型的に、10〜100オングストロームである。 あるいは、FRETアクセプター成分の蛍光の増加をモニターするために、ハイブリダイゼーション事象の定量測定としてFRETドナー成分の蛍光減少をモニターすることも可能である。 リアルタイムPCRの当該分野において公知のすべての検出形式のうち、FRET−ハイブリダイゼーションプローブ形式は、高感度、正確および信頼性があることが証明されている(国際公開第97/46707号パンフレット;同第97/46712号パンフレット;同第97/46714号パンフレット)。なお、適切なFRETハイブリダイゼーションプローブ配列の設計は、時々、検出しようとする標的核酸配列の特別な特徴によって制限され得る。 2つのFRETハイブリダイゼーションプローブの使用に対する代替物として、蛍光標識プライマーおよびただ1つの標識ポリヌクレオチドプローブを使用することも可能である(バーナード,P.S.(Bernard,P.S.)ら、(1998年)Anal.Biochem.255:101−7)。これに関して、それは、プライマーがFRETドナー化合物で標識されようと、またはFRETアクセプター化合物で標識されようと任意に選択され得る。 伸長工程中の蛍光を測定して、増殖曲線を作製することができ、該曲線から、使用するプライマーおよび/またはプローブ、それらのTmならびにハイブリダイゼーション条件に依存して、検出しようとするセラチア(Serratia)種の存在を推察するかまたはどのセラチア(Serratia)種が存在するかを推察することが可能である。 FRETハイブリダイゼーションプローブ(HybProbeまたはFRET−プローブとも呼ばれる)はまた、融解曲線解析に使用することもできる(国際公開第97/46707号パンフレット;同第97/46712号パンフレット;同第97/46714号パンフレット)。そのようなアッセイでは、標的核酸は、まず、適切な増幅プライマーによる典型的なPCR反応において増幅される。ハイブリダイゼーションプローブは、増幅反応中に常に存在し得るか、または続いて添加し得る。PCR反応の完了後、サンプルの温度を連続的に増加させる。ハイブリダイゼーションプローブが標的DNAに結合する限り、蛍光が検出される。融解温度では、ハイブリダイゼーションプローブは、それらの標的から遊離し、直ちに、蛍光シグナルがバックグランドレベルにまで減少する。この減少は、1次導関数の負数を算出することができるように、適切な蛍光対温度−時間プロットでモニターされる。次いで、そのような関数の得られる最大値に対応する温度の値を、FRETハイブリダイゼーションプローブの前記対の決定された融解温度として採用する。 標的核酸内の点変異誘発または多型は、標的核酸とFRETプローブとの間の100%未満の相補性を生じ、従って、減少した融解温度を生じる。これは、FRET−HybProbeハイブリダイゼーションによる配列変種のプールの一般的な検出を可能にする一方、続いて、前記プールの異なるメンバーが、融解曲線解析を実施することによって識別され得る。 FRETハイブリダイゼーションプローブの代わりに、融解曲線解析のために、Molecular Beaconsを代替的に使用してもよい。 リアルタイムPCRおよび相同リアルタイムPCR融解曲線解析の利用可能時は、SybrGreenTMIのような二本鎖DNA結合性染料、あるいは、異なるが類似の標的配列にハイブリダイズする特異的に設計されたハイブリダイゼーションプローブのいずれかを使用して、所定のタイプの種または株の識別が可能になる。 第1の場合、作製される二本鎖PCR産物の融解温度が決定されなければならない。なお、若干の配列変動は精妙な融解温度の差異しか生じないことから、僅かな差異を効率的にモニターすることができないため、この方法は、限られたアプリケーションしか有さない。 あるいは、ハイブリダイゼーションプローブは、プローブ/標的核酸ハイブリッドの融解温度が決定されるような方法で使用してもよい。 ABI/PrismTM装置、特に、LightCyclerTM器具のような使用することができる異なるリアルタイムPCRプラットフォームが存在し、発光を測定すること、融解サイクル中の放射ピークを連続的にモニターすること、標識プローブが増殖産物から分離する温度(融解ピーク)を決定および可視化することを含んでなる同じ原理にすべて基づく。プローブと標的との間のミスマッチは、融解の速度論に影響を及ぼし、目的のそれぞれの種に対して異なる融解ピークを生じるため、融解ピークデータは、特定の[プローブ:標的]配列の特徴である。 LightCyclerTMプラットフォームは、多くの利点、特に、時間の利得ならびにハイブリダイゼーションプローブ(HybProbe)、TaqManTMプローブ、Molecular Beacons、Scorpionプローブおよびバイプローブ(biprobe)(SybrGreenTMI)のようないくらかの異なる配列特異的蛍光プローブ検出システムの可能な使用を付与する。 本発明の好適な方法では、頭−尾配向で、若干のヌクレオチド、一般に0〜25、好ましくは、約1〜約5だけ相隔てた本発明の標的配列から誘導される2つの隣接ポリヌクレオチドプローブよりなるHybProbeシステムが使用される。プローブのうちの一方は、ドナー染料によりその3’末端で標識され、他方は、その5’末端でアクセプター分子で標識され、(プライマーとしてそれが作用することを防止するために)3’末端でリン酸基がブロックされる。ドナー染料は、一般に、フルオレセインであり、アクセプター分子は、一般に、LC Red 610、640、670または705である。 本発明の標的配列の検出は、内部標識PCR鎖および対向鎖上に配置される検出プローブによっても達成することができる。シグナルは、染料の空間的接近に依存し、標的の量に依存する。 両方のプローブがそれらの標的配列に対してハイブリダイズされる場合、ドナーの発光した光は、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)によって、アクセプターフルオロフォアに伝達され、発光した蛍光(610、640、670もしくは705nm)を検出することができる。蛍光は、標的DNA、増幅の産物と同時に増加する。 LightCyclerTMプローブは、加水分解を必要とせず、従って、PCR時間のさらなる延長を伴わない(アニーリング〜伸長≦12秒)TaqManTMプローブを超える利点を付与する。従って、LightCyclerTMの高速熱サイクルを利用して、僅か45分間内でPCRプログラムを完了することが可能である。 そして、最近の世代のリアルタイムPCRプラットフォームは、単一の反応でいくらかのプローブをモニターすることが可能であり、種レベルでの異なるセラチア(Serratia)の検出および/または同定、ならびに/あるいは異なるタイプのセラチア(Serratia)スペーサーの区別を可能にする。 さらに、TaqManTM技術のために設計された方法を、等価な結果を伴うHybProbe技術に対して容易に変換することができることが示されている(Haematologica 第85巻(12)1248−1254頁、2000年12月)。 従って、本発明の別の目的は、HybProbeとも称される少なくとも2つのポリヌクレオチドプローブの組に関し、両方のHybProbeは、前記2つのHybProbe間に25個以下のヌクレオチド、好ましくは、10ヌクレオチド以下、特に、5個以下のヌクレオチドで相互に隣接する同じ標的配列にハイブリダイズする。 2つのHybProbeが存在する場合、2つのHybProbeの標的配列とのハイブリダイゼーション時に、ドナーおよびアクセプターフルオロフォアが相互の0〜25個のヌクレオチド内、好ましくは、相互の0〜5個のヌクレオチド内に存在するように、一方はアクセプターフルオロフォアで標識され、他方はドナーで標識される。 3つ以上のHybProbeが存在する場合、HybProbeの標的配列とのハイブリダイゼーション時に、ドナーおよびアクセプターフルオロフォアが相互の0〜25個のヌクレオチド内、好ましくは、相互の0〜5個のヌクレオチド内に存在するように、一方はアクセプターフルオロフォアで標識され、他方はドナー(または逆)で標識される。 セラチア(Serratia)種、特に、臨床に関連するセラチア(Serratia)種を検出および/または同定するために、少なくとも2つのポリヌクレオチドプローブの組が使用され得、前記プローブは、配列番号1〜11、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態、および相同物からなる群から選択される標的配列の少なくとも1つとハイブリダイズし、ここで、前記プローブ間に25以下のヌクレオチド、好ましくは、5個以下のヌクレオチドが存在する。 本発明のプローブの組は、3、4、5、6、7、8、9、10個もしくはそれ以上のプローブよりなり得るが、それは、好ましくは、2〜5個のプローブよりなる。 表2に列挙されるプローブの組およびそれらの相同物は、本発明の好適な組である。 3つのポリヌクレオチドの組(2つがプライマーとしての使用のため、他方がプローブとしての使用のため)もまた使用することができる。次いで、前記プライマーと前記プローブとの間に25個以下のヌクレオチド、好ましくは、5個以下のヌクレオチドが存在するように、前記プライマーおよび前記プローブのうちの一方は、配列番号1〜11、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態、および相同物からなる群から選択される標的配列の少なくとも1つにハイブリダイズする。 本発明の少なくとも2つのポリヌクレオチドの組は、セラチア(Serratia)種、特に、S.マルセッセンス(S.marcescens)、S.フィカリア(S.ficaria)および/またはS.フォンチコラ(S.fonticola)の検出ならびに/あるいは同定のための方法において使用される。 サンプル中のセラチア(Serratia)種、特に、S.マルセッセンス(S.marcescens)、S.フィカリア(S.ficaria)および/またはS.フォンチコラ(S.fonticola)の検出ならびに/あるいは同定のための本発明の方法は、以下の工程(i)所望により、サンプル中のポリ核酸を遊離、単離および/または濃縮する工程、(ii)16S−23S rRNAスペーサー領域、または少なくとも1つの標的配列、もしくはそのフラグメントを、少なくとも1つの適切なプライマー対で増幅する工程、(iii)ポリ核酸と、配列番号1〜11、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態、任意の相同物、またはそれらの少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個の連続ヌクレオチドのフラグメントからなる群から選択される少なくとも1つの標的配列にハイブリダイズする少なくとも2つのHybProbeの少なくとも1つの組とを接触させる工程、(iv)工程(iii)において形成されるハイブリッドを検出する工程、(v)工程(iv)において得られるディファレンシャルハイブリダイゼーションシグナルからサンプル中のセラチア(Serratia)種の存在を推察するか、またはセラチア(Serratia)種を同定する工程、を含んでなる。 例えば、ハイブリダイゼーション工程において使用される2つのHybProbeの組は、配列番号26によって表されるHybProbeと配列番号44および45によって表されるHybProbe、またはそれらの相同物のいずれかとの組み合わせであり得る。 配列番号26によって表されるHybProbeは、フルオレセインで標識され得、他方は、LCR610、LCR640、LCR670またはLCR705のいずれかで標識され得る。 HybProbeシステムの利点の1つは、次の分子概念に基づいて、それが変異、多型および他の変種核酸種を含む配列変動の検出を可能にするという事実にある:HybProbeの1つは、緊密に結合する「アンカープローブ」である一方、隣接「センサープローブ」は、配列変動の領域に及ぶ。最終PCR産物の融解中、センサープローブの融解温度(Tm)の変化として、配列改変が検出される。 例えば、サンプルが配列番号1のみを含有する場合、前記配列番号1に特異的にハイブリダイズするHybProbeを使用することにより、単一の融解ピークが作製される。サンプル中に相同物も存在する場合、一般に、容易に観察され得る温度シフトを含む少なくとも1つのミスマッチ塩基が存在する限り、2つの同じHybProbeを使用することにより、2つのピークが作製される。 増幅の産物の検出のために使用されるプローブの形式、選択(または設計される)ポリヌクレオチド、それらのTmおよびハイブリダイゼーション条件に依存して、増殖工程(次いで、増幅曲線が作成される)中、または融解曲線解析、融解曲線解析、融解曲線を作成するための増幅工程後、蛍光が測定され得る。 従って、得られるシグナルは、セラチア(Serratia)種の存在を推察するおよび/またはセラチア(Serratia)種のうちのどの種が存在するかを推察することが可能である増幅曲線の形態または融解曲線の形態で可視化され得る。 特に、サンプル中のセラチア(Serratia)種の検出および/または同定のための方法はまた、以下の工程、(i)必要であれば、サンプル中のポリ核酸を遊離、単離および/または濃縮する工程、ならびに(ii)配列番号1〜11、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態、任意の相補物、それらの少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個の連続ヌクレオチドのフラグメントからなる群から選択される標的配列の少なくとも1つを、プライマーの対(そのうち一方が標識される)で増幅する工程、(iii)ポリ核酸と、前記標的配列にハイブリダイズする少なくとも1つのHybProbe(間に25個未満のヌクレオチドを伴う前記標識プライマーに隣接する)とを接触させる工程、(iv)形成されるハイブリダイズを検出する工程、ならびに(v)工程(iv)において得られるシグナルからサンプル中のセラチア(Serratia)種の存在を推察する、および/またはセラチア(Serratia)種を同定する工程を含んでなる。 HybProbeシステムを使用する本発明の方法は、1つもしくはいくらかのセラチア(Serratia)種の検出および同定に適応され得、他のセラチア(Serratia)種からのその/それらの区別を可能にする。 特に、HybProbeシステムを使用する本発明の方法は、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)の検出および同定に適応され得、他のセラチア(Serratia)種からのその区別を可能にする。 次いで、増幅工程では、適切なプライマーは、配列番号1〜5、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態および相同物からなる群から選択される標的配列を特異的に増幅するプライマー対である。 ハイブリダイゼーション工程では、HybProbeは、例えば、配列番号12〜14、21〜23、26、27〜32、40〜46、49および50〜56のいずれか、またはそれらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、もしくはそれらの相補形態に特異的にハイブリダイズすべきである。 従って、セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)およびセラチア・フィカリア(Serratia ficaria)株は、融解曲線解析によって試験される他のすべての生物体から明白に識別することができる。 非セラチア(Serratia)種またはヒトゲノムDNAでは関連シグナルは得られない。 2つのHybProbeの好適な組は、配列番号26または相同物および配列番号44もしくは45または相同物よりなる。 配列番号26および44もしくは45よりなるHybProbeのこの組は、高い感度でセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)を検出することが可能である。 配列番号12〜配列番号57およびそれらの相同物のいずれかに対応する表4に列挙された各ポリヌクレオチドは、プライマーおよび/またはプローブとして、単独あるいは組み合わせで本発明の任意の方法において使用され得る。 ハイブリダイゼーション法にも基づく第2の実施態様は、Line Probe Assay技術である。Line Probe Assay(LiPA)は、いくらかのポリヌクレオチドプローブ(ネガティブまたはポジティブコントロールポリヌクレオチドを含む)を並列ラインとして簡便に適用することができるメンブランストリップを使用する逆ハイブリダイゼーション形式(サイキ(Saiki)ら、(1989年)、Proc Natl Acad Sci USA.16:6230−4)である。 ストイヴェラ(Stuyver)ら((1993年)、J Gen Virol.74(Pt6):1093−102)によって記載およびEPB0637342明細書におけるLiPA技術は、迅速かつ使用し易いハイブリダイゼーション試験を提供する。結果は、増幅の開始後4時間以内に読み取ることができる。通常、非アイソトープ標識が増幅された産物に組み入れられる増幅、およびアルカリ変性後、増幅される産物は、メンブラン上のプローブと接触され、ハイブリダイゼーションは、約1〜1.5時間行われる。従って、形成されるハイブリッドは酵素手順によって検出され、紫〜褐色の沈殿物が目視で認められる。LiPA形式は、市販の走査デバイスと完全に適合可能であり、従って、結果の自動装置での解釈を可能にする。それらのすべての利点は、LiPA形式を、日常的施設におけるアプリケーションに適切にする。 LiPA形式は、種レベルであるが、また分類学的により高等または下等なレベルでの病原体の検出および/または同定のための有利なツールである。例えば、LiPAストリップ上でのプローブ形状は、それらがセラチア(Serratia)の完全な属を検出することができるか、あるいは属内の種(例えば、S.マルセッセンス(S.marcescens)、S.フィカリア(S.ficaria)および/またはS.フォンチコラ(S.fonticola)など)を同定することができるか、あるいはいくつかの場合において、種内のサブタイプを検出することさえできるような様式で、選択することができる。 多数のプローブによってハイブリダイゼーションの結果を同時に生じさせる能力は、LiPA技術の別の利益である。多くの場合、プローブの特定の組み合わせによって得られる情報の量は、単一のプローブアッセイを使用して得られるデータよりもかなり多い。従って、最適化された組のプローブは、情報の最大化を可能にするため、メンブランストリップ上のプローブの選択は、最も重要である。 これらのプローブは、異なる局在でメンブランストリップに適用することができ、これらのプローブの少なくとも1つがポジティブである場合、結果はポジティブと解釈される。あるいは、これらのプローブは、同じ局在で混合物として適用し、ストリップ上のラインの数を減少することができる。ストリップをより簡潔にするかまたはストリップ上のプローブの総数を拡大することが可能であるためには、この減少は都合がよい。 もう1つのアプローチは、LiPA−stripの製造手順をかなり簡便にすることができる縮重プローブである。 上記の特性によって、LiPAシステムは、ハイブリダイゼーション法の効率的な形式とみなすことができ、ここで、いくらかの生物体は、サンプルにおいて同時に検出される必要がある。 しかし、異なるプローブが同じハイブリダイゼーションおよび洗浄条件下で使用される他の任意のハイブリダイゼーションアッセイは、上記の検出および/または選択方法に使用することができることが明らかであるべきである。例えば、標的核酸を固相支持体に固定化し、異なるプローブ(すべてが異なる標識をされている)の混合物を使用し、標的に対してハイブリダイズされるプローブのそれぞれについて異なる検出シグナルを生じさせることが可能であり得る。そして、今日では、異なる多くの支持体が利用可能である。 例として、LiPA形式を使用してサンプル中の1つもしくはそれ以上のセラチア(Serratia)種の検出のために従うべき手順は、以下のように概略される:・第1に、必要であれば、サンプル中に存在する核酸を、増幅および/またはハイブリダイゼーションに利用可能にする。・所望により、核酸を、1つもしくは別の標的増幅システムで増幅する。通常、増幅は、以後のハイブリダイゼーションシグナルを増強するために必要である。・第3に、結局は、変性工程後、サンプル中に存在する核酸または得られる増幅された産物を、目的の生物体の検出を可能にする1つもしくはそれ以上のプローブが固定化されるLiPAストリップと接触させ、ハイブリダイゼーションを進行させる。・最後に、結局は、洗浄工程を実施した後、簡便かつ適合性の検出システムを使用して、ハイブリッドを検出する。観察されるハイブリダイゼーションシグナルまたはパターンから、特に、生物学的サンプルにおいてスクリーニングされる1つもしくはいくらかの生物体の有無を推測することができる。 rRNAスペーサーの保存されたフランキング領域、即ち、16S遺伝子および23S遺伝子に局在する普遍的プライマーを使用することができる。 いくつかのアプリケーションでは、サンプル中に存在する異なる細菌は増幅しないが、セラチア(Serratia)種をより特異的に増幅することは適切であり得る。 サンプル中のセラチア(Serratia)種の検出および/または同定のための本発明の方法は、以下の工程、(i)必要であれば、サンプル中に存在するポリ核酸を遊離、単離および/または濃縮する工程、(ii)必要であれば、16S−23S rRNAスペーサー領域、もしくはその一部を、少なくとも1つの適切なプライマー対で増幅する工程、(iii)ポリ核酸を、配列番号1〜11、もしくは前記配列番号1〜11のRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、またはそれらの相補形態、または相同物、あるいはそれらの少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個の連続ヌクレオチドのフラグメントよりなる標的配列にハイブリダイズする少なくとも1つのプローブと接触させる工程、(iv)工程(iii)において形成されるハイブリッドを検出する工程、(v)工程(iv)において得られるディファレンシャルハイブリダイゼーションシグナルからサンプル中に存在する微生物を検出および/または同定する工程、を含んでなる。 増幅の工程において述べられるITSの部分は、標的配列を含んでなるポリヌクレオチド、または標的配列自体、配列番号1〜11、もしくはそれらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)のいずれか、またはそれらの相補形態、あるいは任意の相同物、あるいはそれらの少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個の連続ヌクレオチドのフラグメントよりなる標的配列である。 優先的に、本発明は、上記の方法を提供し、ここで、少なくとも2つの微生物が同時に検出される。本発明の好適な方法では、上記のプロセスの工程(iii)において、少なくとも2つのプローブの組が使用される。工程(iii)に記載のプローブのそのような組は、本発明の少なくとも2つ、3つ、4つ、5つ、6つ、7つ、8つ、9つもしくはそれ以上のプローブを含んでなる。 好適なプローブは、配列番号12〜57のポリヌクレオチド、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態、任意の相同物、およびそれらの少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個の連続ヌクレオチドのフラグメントである。 本発明はまた、上記の方法を提供し、ここで、工程(iii)において詳記されるプローブは、同じサンプル中に存在し易い異なる病原性細菌の同時検出を可能にする優先的に16S−23S rRNAスペーサー領域由来の別の微生物の少なくとも1つのプローブと接触される。 好適なプローブは、それらが、同時ハイブリダイゼーションのための組において使用することができるように、同じハイブリダイゼーション条件下で至適性能を達成するために設計され;これは、これらのプローブの有用性を高度に増加し、有意な時間および労働面での利得がもたらされる。 本発明のポリヌクレオチドのいずれかを含有するキットもまた、本発明の目的である。 本発明のキットは以下の組成物を含んでなる:・セラチア(Serratia)種の検出および/または同定のために、配列番号1〜11、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態、もしくはそれらの相補物、またはそれらの少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個の連続ヌクレオチドのフラグメントよりなる標的配列にハイブリダイズする少なくとも1つのポリヌクレオチド;・ハイブリダイゼーション緩衝液、または前記緩衝液を生成するのに必要な成分。 好適なキットは以下を含んでなる:・セラチア(Serratia)種の検出および/または同定のために、配列番号1〜11、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、それらの相補形態、もしくはそれらの相補物、またはそれらの少なくとも10個、好ましくは、少なくとも15個、より好ましくは、少なくとも20個の連続ヌクレオチドのフラグメントよりなる標的配列にハイブリダイズする、25個未満のヌクレオチド、好ましくは、5個未満のヌクレオチドで相互に隣接する2つのHybProbeの少なくとも1つの組;・ハイブリダイゼーション緩衝液、または前記緩衝液を生成するのに必要な成分。 結論として、標的としてセラチア(Serratia)ITSを使用して、異なる検出および/または同定方法において使用すべきプローブを設計することが可能である。 一方、リアルタイムPCR方法では、LightCyclerTMシステムにおいて単一の融解ピークを発生する単一のHybProbeの組(実施例4)を使用して、セラチア(Serratia)属、特に、S.マルセッセンス(S.marcescens)、S.フィカリア(S.ficaria)、およびS.フォンチコラ(S.fonticola)を検出ならびに同定することが可能である。 一方、種特異的シグナルは、1つもしくはそれ以上の特定の種(実施例3におけるS.マルセッセンス(S.marcescens)およびS.フィカリア(S.ficaria))に対する1つの特定の融解ピークの存在、または特定の種(実施例3における他のセラチア(Serratia)種を参照のこと)に対して特異的であるTmでのピークの存在によって、得ることができる。 また、完全ITS領域を配列決定し、それをここで与えられた参照配列と比較することは、セラチア(Serratia)種を検出および同定するための方法として使用することができる(実施例5)。 上記の説明または以下の実施例は、本明細書において具体的に開示される実施態様に本発明を限定するものと解釈されるべきではない。 以下の実施例では、それぞれ16S rRNAおよび23S rRNAの保存された領域において設計されたプライマーを使用して、16S−23S内部転写スペーサー(ITS)を増幅した。実施例1:LightCyclerTMプロトコル 標準的な方法に従ってDNAを調製し、約104ゲノム等価物を増幅のための標的として使用した。 定量曲線および融解ピークが該サンプルに対して存在する場合、サンプルをポジティブとした。 プローブは、リアルタイム蛍光PCR検出を可能にするLightCyclerTMv1.2(ソフトウェアv4)においてHybProbeとして稼動するように設計した。 1つのHybProbeは、その3’末端においてフルオレセイン染料で標識する一方、隣接するHybProbeは、その5’末端においてLC−red640またはLC−red705染料で標識した。 キットLC−FastStart DNA Master Hybridization Probes(カタログ番号第3003248または同第2239272)の製造者の指示に従って:・精製、濃縮、およびインヒビターの非存在に関するPCRに適切な任意のサンプル材料を使用することができる;・プライマーは、それぞれ0.3〜1μMの最終濃度であるべきである;・それぞれ0.2μM、もしくはその二倍の最終濃度のHybProbe;・MgCl2の濃度は最適化すべきであり、1〜5mMに変動し得る;・ネガティブコントロールを稼動すべきである。 増幅および融解条件について、以後説明する。LCソフトウェアバージョン4を使用した。定量化の設定値はF2/backF1(サンプル)であった。基底値調整のために、計算モードを使用した。通過点(Ct)の計算は2次導関数の最大値に基づいた。融解ピークのための計算方法は、多項式であった。Tmを算出するためにピーク面積を使用した。実施例2:Hybprobeの異なる組 本実施例では、1つのHybProbeは、その3’末端においてフルオレセイン染料で標識する一方、隣接するHybProbeは、その5’末端においてLC−red640またはLC−red705染料で標識した。 実施例1と同じLightCyclerTMプロトコルを適用した。 異なるプローブの組み合わせを、セラチア(Serratia)種および臨床に関連する他の細菌のゲノムDNAを使用して評価した。好適なプローブの組み合わせのための第1の選択基準は:定量曲線およびニック(nic)融解ピークを生じる蛍光シグナルの質;同じTmにおけるセラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)および/またはセラチア(Serratia)種の検出ならびに他の細菌との交差反応の欠如であった。実施例3:S.マルセッセンス(S.marcescens)およびS.フィカリア(S.ficaria)を他のセラチア(Serratia)種から識別するためのHybProbe 配列番号26および配列番号44によって表されるHybProbeを、実施例1に記載のLightCyclerTMプロトコルにおいて使用した。第1(配列番号26)をフルオレセイン標識し、第2(配列番号44)をLC−Red640標識した。 実施例1に記載と同じLightCyclerTMプロトコルを適用し、使用したサンプルは、S.マルセッセンス(S.marcescens)株を1つ含有した。58℃で1つの特異的融解ピークを観察した。 このHybProbeの組の感度を、42株のS.マルセッセンス(S.marcescens)株(10株は西欧由来、10株は英国由来、10株は南欧由来、10株は米国由来、2株は日本由来)を使用して評価した。すべてのS.マルセッセンス(S.marcescens)株は、20.6〜31.0に変動するCt値を伴う目視可能な定量曲線を有した。 試験したS.マルセッセンス(S.marcescens)株では、58℃の融解ピーク(STDEVA 0.29℃)が観察され、このHybProbeの組によりS.マルセッセンス(S.marcescens)について100%の感度が示された。 特異性を試験するために、他のセラチア(Serratia)種および緊密な近接体を試験した。S.マルセッセンス(S.marcescens)株は、このHybProbeの組ではS.フィカリア(S.ficaria)から識別することができず、該HybProbeの組は、後者の種について58℃で同じ融解ピークを生じる。S.フィカリア(S.ficaria)の臨床関連性は極めて低いこと、およびこの種は臨床サンプルでは稀にしか見出されないことに留意すべきである。他のセラチア(Serratia)種は、55℃〜56℃で融解ピークを有し、これによって、S.マルセッセンス(S.marcescens)から識別し得る。エルシニア・シュ−ドツベルクロ−シス(Yersinia pseudotuberculosis)およびY.エンテロコリチカ(Y.enterocolitica)のような緊密に関係する種は、46℃〜47℃でより低い融解ピークを有した。 これらのセラチア(Serratia)種および緊密な近縁体の他に、大パネルの他の生物体を試験し(表3を参照のこと)、ヒトDNAでさらなる実験を行った。試験したヒトDNAも、また微生物も、任意の定量曲線または任意の融解ピークを示さなかった。実施例4:セラチア(Serratia)種のためのHybProbe それぞれ、1株のS.マルセッセンス(S.marcescens)、1株のS.フィカリア(S.ficaria)、1株のS.フォンチコラ(S.fonticola)、1株のS.グリメッシィ(S.grimessi)および1株のS.プロテアマクランス(S.proteamaculans)を含有する5つのサンプルを試験した。 配列番号20および配列番号37によって表されるHybProbeを、実施例1に記載のLightCyclerTMプロトコルにおいて使用した。 各株は、定量曲線を生じ、56℃で1つの融解ピークが観察された。 エルシニア(Yersinia)種のような緊密に関連する属は、何ら定量曲線も融解ピークも生じなかったことから、使用したHybProbeの組はセラチア(Serratia)種に特異的であることが示唆される。実施例5:ITSヌクレオチド配列決定によるセラチア(Serratia)種の検出および同定 セラチア(Serratia)種の明確な徴候を伴わないが含有することが推測されるサンプルを受容した。 決定しようとする種のITS領域を、16Sおよび23S領域に局在する普遍的プライマーを使用して増幅した。 アンプリコンをpGEM−Tベクター(Promega)にクローニングし、ITSヌクレオチド配列を、プラスミドベクターに局在するプライマーを使用するジデオキシチェーンターミネーティング化学に従って誘導した。 tRNAgluおよびtRNAile−alaを含有する両方のスペーサーを見出した。 これらのITS配列を配列解析に提出し、既に配列決定した他のスペーサーと比較した。 配列番号2によって表されるS.マルセッセンス(S.marcescens)のタイプ−株由来のtRNAgluスペーサーのコンセンサスヌクレオチド配列と比較する場合、同定しようとするサンプル由来のtRNAgluスペーサーのヌクレオチド配列は、403塩基対のうち6塩基対が異なった(98.5%相同性)。 配列番号4によって表されるS.マルセッセンス(S.marcescens)のtRNAile−alaスペーサーのコンセンサスヌクレオチド配列と比較する場合、このサンプル由来のtRNAile−alaスペーサーのヌクレオチド配列は、471塩基対のうち18塩基対が異なった(96.2%相同性)。 高い程度の相同性を考慮すると、サンプルはS.マルセッセンス(S.marcescens)を含有していたことが推察され得る。 セラチア(Serratia)種の検出および/または同定のためのポリヌクレオチドプローブの組であって、前記プローブが配列番号1〜11、配列番号1〜11に対して80%より高い同一性を有するヌクレオチド配列、それらのRNA形態(ここで、TはUに置き換えられる)、およびそれらの相補形態からなる群から選択される核酸に特異的にハイブリダイズし、ここで、前記ポリヌクレオチドプローブの組が、以下のポリヌクレオチドの組み合わせ:配列番号19および37、配列番号19および39、配列番号20および37、配列番号20および39、配列番号24および47、配列番号25および47、配列番号25および48、配列番号22および44、配列番号26および44、配列番号26および45、配列番号26および46、または配列番号26および49のいずれかよりなるものであり、前記プローブ間に25個以下のヌクレオチドが存在する、組。 以下のポリヌクレオチドの組み合わせ:配列番号19および37、配列番号22および44、配列番号26および44、または配列番号26および45のいずれかよりなる、請求項1に記載のポリヌクレオチドプローブの組。 請求項1または2に記載のポリヌクレオチドプローブの組の少なくとも1つを含んでなる組成物。 請求項1または2に記載のポリヌクレオチドプローブの組の少なくとも1つを使用するセラチア(Serratia)種の検出および/または同定のための方法。 (i)所望により、サンプル中のポリ核酸を遊離、単離および/または濃縮する工程、(ii)所望により、少なくとも1つの適切なプライマー対で、16S−23S rRNAスペーサー領域、または請求項1に記載の任意の核酸分子を含んでなる標的配列を増幅する工程、(iii)ポリ核酸と、請求項1または2に記載のポリヌクレオチドプローブの組の少なくとも1つとを接触させる工程、(iv)形成されるハイブリダイズを検出すること、ならびに(v)得られるシグナルを解釈し、セラチア(Serratia)種の存在を推察し、および/またはサンプル中のセラチア(Serratia)種を同定する工程、を含んでなる、サンプル中のセラチア(Serratia)種の検出ならびに/あるいは同定のための請求項4に記載の方法。 以下の成分:・請求項1または2に記載のポリヌクレオチドプローブの組の少なくとも1つ、・ハイブリダイゼーション緩衝液、または前記緩衝液を生成するのに必要な成分、を含んでなる、セラチア(Serratia)種の検出および/または同定のためのキット。配列表