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タイトル:特許公報(B2)_自閉症、強迫神経症、および衝動性の治療のためのメマンチン(ナメンダ)の使用
出願番号:2007532585
年次:2013
IPC分類:A61K 31/13,A61K 45/00,A61P 25/00,A61P 25/08,A61P 25/18,A61P 25/24,A61P 43/00


特許情報キャッシュ

オランダー,エリック JP 5289765 特許公報(B2) 20130614 2007532585 20050919 自閉症、強迫神経症、および衝動性の治療のためのメマンチン(ナメンダ)の使用 マウント シナイ スクール オブ メディシン 504320190 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 オランダー,エリック US 60/611,534 20040920 20130911 A61K 31/13 20060101AFI20130822BHJP A61K 45/00 20060101ALI20130822BHJP A61P 25/00 20060101ALI20130822BHJP A61P 25/08 20060101ALI20130822BHJP A61P 25/18 20060101ALI20130822BHJP A61P 25/24 20060101ALI20130822BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130822BHJP JPA61K31/13A61K45/00A61P25/00A61P25/08A61P25/18A61P25/24A61P43/00 121 A61K 31/13 A61K 45/00 A61P 25/00 A61P 25/08 A61P 25/18 A61P 25/24 A61P 43/00 MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) CAplus/JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 米国特許第04994467(US,A) ZHANG,G.H. et al,Intraarticular pretreatment with ketamine and memantine could prevent arthritic pain: relevance to the decrease of spinal c-fos expression in rats,Anesth Analg,2004年 7月,Vol.99, No.1,p.152-8 24 US2005033467 20050919 WO2006034187 20060330 2008513491 20080501 28 20080821 伊藤 清子 本発明は、様々な強迫性、衝動性および広汎性発達障害の治療のためのメマンチンの使用に関する。 「強迫スペクトラム障害」は、様々な強迫性、衝動性、および広汎性発達障害を含む障害の包括的な分類である。これらの障害は、反復性思考および反復性行動などの症状を含む強迫性障害の特徴を共有する。強迫性障害(OCD)は、この分類に含まれうる1つの障害である。この分類に含まれる他の障害は本明細書に記載され、身体表現性障害、摂食障害、衝動制御障害、トゥレット症候群およびシデナム舞踏病を含む運動障害、ならびに自閉症、アスペルガー症候群および特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOS)を含む広汎性発達障害を包含する。 強迫性障害(OCD)は今や、米国において1.9%〜3.3%の生涯有病率を有する一般的な障害として認識されている(Shapiraら、Depression and Anxiety 6; 170-173 (1997))。多数のよく知られているOCDの診断基準が存在する(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, 第4版; DSM−IV)。このような基準は、認識される障害の経過のある時点において個体が有する強迫観念または衝動を含み、その強迫観念または衝動は度を超しているかまたは不合理である、すなわち、著しいストレスにより生じる強迫観念または衝動が、個人の通常の日常作業、職業的な/教育上の機能、または通常の社会活動もしくは人間関係に多大な時間を必要とさせるかあるいは著しい妨げとなり、別の第I軸(Axis I)障害が存在する場合、強迫観念または衝動の内容はそれに制限されず、その撹乱は薬物の直接的な生理的作用または一般的な健康状態に起因するものではない。 DSM−IVによると、強迫観念の兆候は、煩わしく不適切で、著しい不安もしくは苦痛をもたらすような混乱の間に経験される、反復性および/または持続性の思考、衝動または心象を有する人を含む。通常、その思考、衝動または心象は、単に現実の問題に関する過剰な不安ではない。第三に、人はこのような思考、衝動もしくは心象を無視または抑圧しようと試みるか、あるいは、それらを他の何らかの思考もしくは行動によって無効にしようと試みる。第四に、人は、その強迫的思考、衝動または心象が彼もしくは彼女自身の思考であり、外部から課せられたものではないことを認識する。 DSM−IVはまた衝動の兆候としての診断基準を示す。強迫性障害では、人は、繰り返し行動または精神的活動を有し、それらを強迫観念に反応してまたは厳格に適用されなければならないルールに従って行わざるを得ないと感じる。繰り返し行動は、手洗い、順番に並べることおよび点検を含み、一方、精神的活動は、祈り、計数および無言で言葉を繰り返すことを含む。第二に、行動または精神的活動は何らかの恐ろしい出来事もしくは状況を防ぐことを目的としているが、これらの行動または精神的活動はいずれも、彼らが無効にすることもしくは妨げることを目的としたことと現実的には関連していないか、あるいは明らかに過剰である。 OCDのためのDSM−IV基準を満たす個体は、Yale−Brown強迫尺度(Y−BOCS)を用いてスコア付けされうる。Y−BOCSは0〜40までの範囲のスコアをつける。通常、0〜7は無症候性症候群とみなされ、8〜15は軽度、16〜23は中程度、24〜31は重度、32〜40は極めて重度であるとみなされる。この尺度は、例えば、米国特許第6,387,956号においてさらに議論されている(参照により本明細書にその全体が組み入れられる)。OC障害を評価および治療する方法の議論を広く提供する他の米国特許としては、例えば、米国特許第6,420,351号;同第6,410,527号;同第6,632,429号;同第6,716,416号;同第6,667,297号;および同第6,512,010号が挙げられる。これらの特許はそれぞれ、参照により本明細書にその全体が組み入れられる。 様々な精神疾患および神経精神疾患がOCDに関連すると考えられ、強迫(OC)スペクトラム障害と呼ばれる関連障害のファミリーを形成する。OCスペクトラム障害は、身体表現性障害、摂食障害、衝動制御障害(ICD)、倒錯的および非倒錯的性依存症、シデナム舞踏病、斜頸、自閉症、ならびにトゥレット症候群を含む運動障害を包含する。 身体表現性障害は、身体醜形障害(BDD)および心気症(hyperchondriasis)を包含する。身体醜形障害(BDD)は、著しい苦痛または機能障害を引き起こす、想像上のごくわずかな外見上の欠陥へのこだわりである。BDDを患っている個体はOCD強迫観念と同様のこだわりを持ち、そこで彼らは反復性の煩わしい思考を有し、しばしば時間のかかる、繰り返しの、時に儀式的な行動を行う。心気症は、その人の身体的兆候もしくは症状の誤った解釈に基づく、重病に罹っていることへの不安、またはそれに罹っているとの考えへのこだわりである。心気症のこだわりは、彼らがしばしば煩わしく持続的に経験するOCD強迫観念と似ており、個体はしばしば繰り返しの点検行動を見せる。 摂食障害は、拒食症、過食症および多食性障害(BED)を包含する。DSM−IVは、拒食症を、最低限の正常な体重維持の拒否;低体重であるにも関わらず体重増加または太ることへの強い不安;体型もしくは体の大きさの認識の著しい混乱;および女性においては無月経、として定義する。DSM−IVは、過食症を、むちゃ食いとそれに続く体重増加を防ぐための不適切な代償行為の頻発的エピソードとして定義する。BEDは、不適切な代償行為の常用を欠く、むちゃ食いの頻発的エピソードを特徴とする。拒食症、過食症、およびBEDの間にはいくらかの重複がある。しかし、3つの障害はすべて、食べ物および体重への中心的なこだわりを特徴とする。摂食障害を患っている個体はしばしば、固有の儀式を行い、食べ物および体重への異常なこだわりを持つ。 DSM−IVは、衝動制御障害(ICD)を、有害な何らかの行為を行う衝動、原動力または誘惑への抵抗不全として定義する。ICDは、間欠性爆発性障害(IED)、強迫的購買または買い物依存症、反復的自傷行為(RSM)、咬爪癖、心因性擦創、窃盗癖、病的賭博、および抜毛癖を包含する。ICDを患っているほとんどの個体は、その行為をする前に緊張感の増加または覚醒を経験し、続いて、その行為をする際には喜び、満足または安堵を経験する。ICDを患っている個体は、煩わしく、持続的で、不安または緊張を伴う衝動をしばしば経験する。倒錯的および非倒錯的性依存症(NPSA)を患っている個体は、その行為をする前に同様の緊張感の増加または覚醒を経験し、続いて、その行為をする際には喜び、満足または安堵を経験する。 トゥレット症候群は、18歳以前に始まる運動性チックおよび1つ以上の音声チックを特徴とする慢性精神神経疾患である。DSM−IVは、チックを、突発的で、急速な、反復性、非律動的、常同的な運動または発声として定義する。トゥレット症候群患者はしばらくの間チックを抑制できる場合があるが、最終的に不可抗力としてそれらを経験し、それらを行う。トゥレット患者はOCD強迫観念に類似した強迫観念を示し、例えば、彼らはしばしば、彼らが「ちょうど良い」と感じられるまでチックを行う必要性を感じる。 自閉症は、社会的交流、発話およびコミュニケーションの困難、ならびに強迫性コアを特徴とする。自閉症の個体はしばしば、強迫性、反復性の行動を示す。最初にKannerによって1943年に記載された自閉症は、社会生活能力およびコミュニケーション能力に影響を及ぼし、また、例えば常同的で複雑な手や体の動き、同一物への欲求、および狭く反復的な関心などの強迫性/反復性の行動を特徴とする(American Psychiatric Press, 1994 DSM-IV)。加えて、不注意−多動性、衝動性および攻撃性、自傷、情緒不安定、精神遅滞およびてんかんとの高い共存性があり、家族および制度的背景にとってこれらの個体の看護を更に困難なものにさせている。 自閉症は、DSM IVと世界保健機関:国際疾病分類改訂第10版(ICD−10)との両方によって特徴付けられるように、広汎性発達障害(PDD)のグループに属する。自閉症に加えて、PDDは、アスペルガー症候群、ADD、およびADHDを包含する。PDDは一般的に、例えば、注意、認知現実検討および運動などの社会能力および言語の発達に関わる、基本的心理機能の発達における多様な歪みを特徴とする。加えて、自閉症と診断された多くの子供は、例えば、長引く下痢および便秘などの原発性びまん性胃腸障害を患う。PDDは現在のところ原因不明であるが、PDD関連疾患を患っている個体の治療のために、食事の変更、行動修正、および薬物投与などの多くの従来法が利用されている。残念なことに、PDD関連疾患は症状となるものに打ち勝つ既知の治療法を持たず、これらの従来法は、これらの小児および成人から症状または障害をなくすことにおいては有用でないことが示されている。 発達上不相応な不注意、衝動性および多動の兆候を示す子供は一般的に、ADDおよび/またはADHDを有するものとして診断される。これらの障害には、著しい整理の障害、散漫性、衝動性、落ち着きのなさ、ならびに他の言語および/または社会的行動の障害があり得る。ADDおよびADHDを有する子供の治療のために、精神科治療と薬物との併用が一般的に用いられる。 行動修正療法は、OCDをはじめとする強迫スペクトラム障害の治療においてしばしば有効である。しかし、行動修正療法は通常、長期間の治療を必要とする。また、重度のOCスペクトラム障害の症状が最初に制御または低減されない限り、個体は行動修正療法に首尾よく反応しないかもしれない。従って、しばしば、行動修正の初期段階を薬物療法によって補うことが望ましい。薬物療法は、好ましくは2週間以下の、短期間の作用発現を示すものが好ましい。 過食症などのいくつかのOCスペクトラム障害は、モノアミン酸化酵素阻害薬(MAOI)に反応することが示されている。残念なことに、MAOIを使用する人々は、多くの食事制限を守らなければならず、薬物相互作用を避けるために特別な予防措置に注意を払わなければならない。 OCDは、クロミプラミン、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリンおよびパロキセチンなどのセロトニン再取り込み阻害薬(SRI)によって治療されている。また、トゥレット症候群、心気症、拒食症、ならびに間欠性爆発性障害(IED)、窃盗癖、病的賭博、抜毛癖、買い物依存症、咬爪癖および心因性擦創などのICDはSRIに反応しうることを示唆する証拠がある(Obsessive-Compulsive Disorder, Richard P. Swinsonら編、The Guilford Press. pages 397-425 (1998)における、Goldsmithら、Conceptual Foundations of Obsessive-Compulsive Spectrum Disorder)。SRIはまた、自閉症における強迫症状の治療にも使用されている(Hollander, J. Clim. Psychiatry, 58(12): 3-6 (1997))。 残念なことに、一部の個体はセロトニン再取り込み阻害薬に反応しない。個体の約30〜50%はセロトニン再取り込み阻害薬に全く反応せず、一方、反応する者の多くは部分的にのみ反応する。さらに、セロトニン再取り込み阻害薬は遅い作用発現を示し、症状の顕著な低減を達成するために、しばしば8〜10週間の治療を必要とする。また、トゥレット症候群のような運動障害を患っている個体は、しばしば必要な時に(頓用で)摂取できる薬物を望む。 消化管ペプチドホルモンであるセクレチンの、自閉症と診断された小児への投与は、自閉症に関連する症状の改善をもたらすことが、最近発見された。この発見は、HorvathらによるImproved Social and Language Skills After Secretin Administration In Patients with Autistic Spectrum Disordersと題された論文(Journal of the Association for Academic Minority Physician Vol. 9 No. 1, pp. 9-15, January, 1998)に発表された。Horvathが記載したように、セクレチン投与は、治療方法としてよりむしろ診断方法として、すなわち、上部消化管内視鏡検査の間に膵胆管(pancreaticaobiliary)の分泌を促進するために行われた。セクレチンが自閉症関連症状を改善する特定の機構は具体的には明らかにされていないが、Horvathはセクレチンが中枢神経系に直接または間接的な影響を及ぼしうると仮定した。しかし、重要なことは、これが初めて、自閉症の小児の胃腸障害を自閉症の考えられる病因と関連づけたという点である。 メマンチンは、神経系の神経変性疾患であるアルツハイマー病での記憶障害の治療のために、最近FDAにより認可された。この認可は3つの無作為プラセボ対照試験に基づき、この集団では認知的、機能的および全体的な評価項目において有意な改善が見られた(Tariotら、JAMA. 2004;291:317-24, Reisbergら、N Engl J Med., Apr 3; 348(14): 1333-41 (2003), Winbladら、Int J Geriatr Psychiatry, 14(2): 135-46 (1999))。同様の結果は、血管性認知症における2つの試験でも見られた(Wilcockら、Int Clin Psychopharmacol., 17(6): 297-305(2002), Orgogozoら、Stroke,33:1834-9 (2002))。メマンチンはドイツで様々な神経症候群および認知障害のために1982年から良好な耐容性で使用されている。動物モデルにおいて、メマンチンはin vivoでの長期増強の持続時間を延長し、学習および記憶を改善することが示された(Zajaczkowskiら、Eur J Pharmacol., 296(3): 239-46 (1996))。神経防護作用は動物では実証されている(Danyszら、Amino Acids., 19(1): 167-72 (2000))が、臨床データはまだ得られていない。 自閉症は、アルツハイマー病とは異なり、神経変性疾患というより神経発達障害である。 現在、自閉症および他のPDDの治療のために認知されている薬物はない。セロトニン再取り込み阻害薬は繰り返し行動にいくらかの効果を有することが示されている。非定型抗精神病薬は攻撃性の治療に有効であると考えられる。抗てんかん薬は、特にてんかん様の異常を有する小児における攻撃性に有用でありうる。NMDAグルタミン酸受容体の弱い阻害剤であるアマンタジンは、自閉症において試験された。その研究は興奮性および多動においていくらかの改善を示したが、アマンタジンはこの受容体に非常に弱い親和性しか持たず、従って、十分な効果を得るために非常に高い用量が必要とされるであろう。メマンチンは、アルツハイマー病における認知低下の治療のための、新たに認可された薬物である。それはNMDA受容体への中程度の親和性を有し、非常に良好な耐容性をもたらす迅速な阻害/非阻害能力などの特性を有する。 このように、多数の変性疾患は様々な治療法によって治療されうる一方、多数の発達障害、例えば自閉症は依然として現代医学によって治療不可能なままである。発明の概要 本発明は、一般的には行動障害の治療に関し、より詳細には、強迫性、衝動性、および広汎性発達障害の治療に関する。本発明の1つの実施形態では、行動障害の動物を治療する方法が提供され、それはメマンチンまたは製薬上許容されるその塩、メマンチンアナログまたは製薬上許容されるその塩を含む有効量の組成物を動物に投与するステップを含む。関連した実施形態では、その動物は哺乳動物またはヒトである。 本発明の別の実施形態では、前記行動障害が広汎性発達行動障害である上記の方法が提供される。関連した実施形態では、その広汎性発達行動障害は、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥障害(ADD)、および注意欠陥多動性障害(ADHD)からなる群より選択される。更に別の関連した実施形態では、その広汎性発達行動障害は自閉症である。 更に別の実施形態では、前記行動障害が強迫スペクトラム障害である上記の方法が提供される。関連した実施形態では、その強迫スペクトラム障害は、強迫性障害、トゥレット症候群、身体醜形障害、心気症、摂食障害、衝動制御障害、倒錯的および非倒錯的性依存症、シデナム舞踏病、斜頸、自閉症ならびにこれらの組み合わせからなる群より選択される。さらに別の関連した実施形態では、その強迫スペクトラム障害は、間欠性爆発性障害、窃盗癖、病的賭博、放火癖、買い物依存症、強迫的購買、反復的自傷行為、咬爪癖、心因性擦創、抜毛癖およびこれらの組み合わせからなる群より選択される衝動制御障害である。 本発明の別の実施形態では、前記障害が、拒食症、過食症、および多食症からなる群より選択される上記の方法が提供される。別の実施形態では、その障害は、病的賭博、強迫的購買、性的衝動、アルコール使用障害および物質使用障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、脱抑制または前頭葉欠陥を伴う神経障害、双極性障害、ならびに幼児期発症双極性障害からなる群より選択される衝動制御障害である。 さらに別の実施形態では、本発明は、セロトニン再取り込み阻害薬を投与するステップをさらに含む、上記の方法を提供する。関連した実施形態では、セロトニン再取り込み阻害薬は、クロミプラミン、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、ベンラファキシン、ミルタザピン、デュロキセチンおよびこれらの混合物からなる群より選択される。 さらに別の実施形態では、本発明は、抗てんかん薬を投与するステップをさらに含む、上記の方法を提供する。関連した実施形態では、抗てんかん薬は、バルプロエート、ジバルプロエックス、ガバペンチン、トピラメート、レビラセタム、ラモトリジン、カルバマゼピン、オクスカルバマゼピン、チアガビン、ゾニサミド、クロナゼパム、プレガバリン、ザロンチンおよびこれらの混合物からなる群より選択される。 本発明の別の実施形態では、注意の刺激剤または非刺激剤を投与するステップをさらに含む上記の方法が提供される。関連した実施形態では、注意の刺激剤または非刺激剤は、デクストロアンフェタミン、メチルフェニデート、アデラル、アデラルXR、コンセルタ、フォカリン、およびストラテラからなる群より選択される。 さらに別の実施形態では、非定型抗精神病薬を投与するステップをさらに含む上記の方法が提供される。関連した実施形態では、非定型抗精神病薬は、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールからなる群より選択される。さらに別の実施形態では、コリン作用増強剤(cholinergic enhancer)を投与するステップをさらに含む上記の方法が提供される。関連した実施形態では、コリン作用増強剤は、アリセプト(ドネペジル)、エクセロン、レミニル(ガランタミン)、およびメスチノンからなる群より選択される。 本発明のさらに別の実施形態では、前記投与が、臨床全般印象改善尺度(Clinical Global Impression Improvement Scale)−ADでの少なくとも2の評価、またはVineland適応行動評価尺度、ABC(異常行動チェックリスト)、PDD−BI尺度、YBOCS、CY−BOCS、ADOS、言語評価尺度、注意評価尺度での改善をもたらす、上記の方法が提供される。特に好ましい実施形態では、1の評価のCGI改善である(症状が非常に改善されていることを示す)。 さらに別の実施形態では、メマンチンを1日用量0.01〜500mg/kgで投与する上記の方法が提供される。本発明の類似の実施形態では、メマンチンは1日用量約1mg/日〜約50mg/日で投与される。関連した実施形態では、メマンチンは5〜10mgで1日2回投与される。 本発明の別の実施形態では、自閉性障害の個体を治療する方法であって、その障害の症状を改善するのに有効な量のメマンチンを個体に投与するステップを含む方法が提供される。関連した実施形態では、その症状は、他者と視線を合わせることの障害、他者との社会的接触の欠如、発語の遅延または欠如、腕をばたつかせるなどの反復的パターンの行動、多動、認知障害、および/または注意欠陥を含む。 さらに別の実施形態では、メマンチンを1日用量0.01〜500mg/kgで投与する上記の方法が提供される。関連した実施形態では、メマンチンは1日用量約1mg/日〜約50mg/日で投与される。さらに別の関連した実施形態では、メマンチンは5〜10mgで1日2回投与される。好ましい実施形態の詳細な説明 背景において議論されたように、PDDの新たな治療法の重大な必要性がある。本出願はメマンチンを用いたPDDの治療を提供する。好ましい実施形態では、自閉症患者がメマンチンによって治療される。 自閉症は、繰り返し行動および限定された関心、ならびに社会性障害および言語障害を特徴とする発達障害である。すべての種類の症候群を考慮した場合、自閉症は最大で60/10,000個体に影響を及ぼす。最近では、グルタミン酸系が自閉症に影響を及ぼすという興味深い証拠が存在する。自閉症の患者は非罹患個体より高い血中グルタミン酸レベルを有する。グルタミン酸系の異常は、死亡した自閉症患者の脳の研究において見られる。遺伝学的研究は自閉症被験者におけるグルタミン酸遺伝子の突然変異を明らかにした。 本発明は、上述のPDDなどのOC障害(例えば、自閉症、トゥレット症候群、身体醜形障害、心気症、摂食障害、衝動制御障害、倒錯的および非倒錯的性依存症、シデナム舞踏病、斜頸、注意欠陥障害、病的賭博、強迫的購買、性的衝動、アルコール使用障害および物質使用障害、注意欠陥多動性障害(ADHD)、脱抑制または前頭葉欠陥を伴う神経障害、双極性障害、拒食症、過食症、間欠性爆発性障害、窃盗癖、病的賭博、放火癖、買い物依存症、強迫的購買、反復的自傷行為、咬爪癖、心因性擦創、抜毛癖、多食症、ならびに幼児期発症双極性障害)を患っていると診断された患者を治療する方法を提供する。本明細書を通じて記載されるように、臨床精神医学の当業者はこれらの障害の様々な診断方法を承知しており、任意の従来の診断方法が本発明とともに使用され得る。 本発明の治療方法は、OC障害と診断された患者に治療上有効な量のメマンチンを含有する医薬組成物を、単独でまたは別の治療行為と併用して、例えば、NMDA受容体のグリシン部位のアゴニスト、グリシン取り込み阻害剤、セリン取り込み阻害剤もしくは行動修正療法の使用と併用して、投与することを必要とする。メマンチン療法 アマンタジンは、インフルエンザおよびパーキンソン病に通常用いられる用量で、いずれの精神性副作用も有することなく、NMDA非競合阻害剤活性を有することが示された(Kornhuberら、J Neural Transm Suppl., 43: 91-104 (1994))。それに基づき、自閉症の小児でのアマンタジンの二重盲検プラセボ対照試験が行われた。それは耐容性であったが、良くても興奮性および多動へのわずかな効果しか有さないことが指摘された。この効果は、NMDA受容体へのアマンタジンの低い親和性が原因でありうる。 メマンチンもまた非競合NMDA阻害剤である。しかし、それは受容体に対して中程度の親和性を有し、強い電位依存性および迅速な阻害/非阻害特性を有する(Mobius, Int J Geriatr Psychiatry., 18(Suppl 1): S47-54 (2003))。それは病的状態下におけるマイクロモル濃度のグルタミン酸での持続的活性化を阻害するが、ミリモル濃度のシナプス性グルタミン酸での一過性の生理的活性化において、NMDAチャネルから迅速に解離すると考えられている(Parsonsら、Amino Acids. 19(1): 157-66 (1993))。それはその受容体のイオンチャネル6つのうちおよそ5つを占め、6番目の受容体は静止状態下において自由なままであり、生理的伝達に利用可能である(Blanpiedら、J Neurophysiol., 77(1): 309-23 (1997))。これらの特徴は、PCPおよびPCP様物質で見られる精神性副作用を持たないことの基礎を為すと考えられる。 メマンチンは、投与された用量の大部分(57〜82%)が変化せずに尿中に排出され、ほとんど代謝を受けない。残りは主として3つの代謝産物、すなわち、N−グルダンタンコンジュゲート(N-gludantan conjugate)、6−ヒドロキシメマンチン、および1−ニトロソ−脱アミノ化メマンチンに変換される。これらの代謝産物は最小限のNMDA受容体アンタゴニスト活性を有する。肝ミクロソームCYP450酵素系はメマンチンの代謝において重要な役割を果たしていない。メマンチンは約60〜80時間の最終排出半減期を有する。腎クリアランスは能動的な尿細管分泌を伴う。 本発明では、メマンチンが自閉症および本明細書上記で議論された他のPDDの治療において使用されうることを示す。メマンチン治療に適した障害 本発明によって検討されるメマンチンを用いた治療に適した障害は、行動障害、広汎性行動障害、自閉症、アスペルガー症候群、強迫スペクトラム障害、トゥレット症候群、身体醜形障害、心気症、摂食障害、衝動制御障害、倒錯的および非倒錯的性依存症、シデナム舞踏病、斜頸、間欠性爆発性障害、窃盗癖、病的賭博、放火癖、買い物依存症、強迫的購買、反復的自傷行為、咬爪癖、心因性擦創、抜毛癖、拒食症、過食症、多食症、病的賭博、強迫的購買、性的衝動、アルコール使用障害および物質使用障害、注意欠陥障害(ADD)、注意欠陥多動性障害(ADHD)、脱抑制または前頭葉欠陥を伴う神経障害、双極性障害、ならびに幼児期発症双極性障害を含むがそれらに限定されない。特に好ましい実施形態では、本発明の方法はメマンチンを自閉症の治療のために用いる。以下の議論は、自閉症の診断のための測定および与えられた治療計画の有効性の予後測定を提供する。自閉症の診断のための評価手段 自閉症のようなOC障害を診断し、メマンチンに基づく治療の有効性をモニタリングするために、様々な方法が使用されうる。一般的な診断方法の多くは、例えば、米国特許第6,387,956号;同第6,420,351号;同第6,410,527号;同第6,632,429号;同第6,716,416号;同第6,667,297号;および同第6,512,010号に記載されている。以下の議論は、障害を診断し、本発明に従って施された治療をモニタリングするために使用されうるこのような典型的な方法を提供する。A. 疫学および現象学 英国で発表された自閉症の32の大規模な調査がある。これらの調査は、サンプルサイズ、被験者の特定方法、スクリーニング方法および用いられた診断手段が著しく異なる(Fombonne, Psychological Medicine, 29:769-786 (1999))。診断基準もまた、時間とともに1960年代のKannerの基準から1990年代のDSM−IVおよびICD−10へと変遷した。PDDを特徴付けるこれらの後者の2つの指標は当業者によく知られており、所定の障害を評価するために通常使用される。 有病率データを1937年以降の研究に限定した場合、有病率は10/10,000と推定される。しかし、アスペルガー症候群およびPDD−NOSの診断を受けた患者を含む最近の疫学的調査は、60/10,000程度の割合を報告した。精神遅滞の発生率は古典的自閉症において19.3%であると推定される(Fombonne、上掲)。しかし、知的には問題のない被験者の数は、自閉症スペクトラムの診断を受けたが古典的自閉症の基準を満たしていない者の間でより多い(Chacrabarti & Fombonne, JAMA, 285:3093-9 (2001))。男性対女性の比率は約4:1である。正常な知能範囲の個体については、これは6:1に増加するが、顕著なMRを有する者についてはわずか1.7:1である(Fombonne、上掲)。1980年以降に行われた研究では、社会経済的地位と自閉症の間に相関はない。自閉症と関連した医学的症状の比率は研究間で大きく異なる。てんかん、ダウン症候群、脆弱性X症候群、感覚欠損、先天性風疹および脳性麻痺はすべてこの集団に評価された。自閉症の症例のわずか6%のみが、潜在的に自閉症の病因と関連のある別の医学的症状と関連していた。上記障害のうち、最も高頻度なのはてんかんであり、最大42%までの同時有病率を示す。 DSM−IVによって同定される3つの中核的特徴がある。すなわち、社会性の欠陥、強迫的/反復的行動および限定された関心、ならびに発話/コミュニケーションの欠陥である。自閉症において最も特徴的な欠陥は、社会的交流の障害であり、しばしば関係を形成し、やり取りすることへの障害として現れる。自閉症における社会性の欠陥は、基本的な社会的コミュニケーション行動に見いだされる。すなわち、そのような行動の協調が指さしのような「社会的認知事象」および相互関係をもたらす状況における、アイコンタクトおよび表情の欠如である。コミュニケーションの障害は、指さし、うなずきおよび表現などの非音声的言語と音声的言語との両方を含む。言語的自閉症患者については、語用論的な欠陥、様々な表現上および感受上の困難、語義障害、ならびに場合によっては音韻異常を含む、多数の欠陥が報告されている。自閉症の小児の約2分の1は非言語的であると考えられるが、この数は早期の介入プログラムによって減少すると思われる。強迫的/反復的行動は、同一性への切望、「まったくそのとおり」すなわち常同的であることおよび反復行動の必要性、ならびに統計を計算し直したり、バスの対照的な路線を記憶するなどの一風変わった執着および行動を含む。 本発明では、自閉症の社会性およびコミュニケーションの欠陥特質の変化を評価することが意図される。社会的特質に対する一次成果の指標は、異常行動チェックリストであろう(Amanら、Am J Ment Defic., 89(5):485-491 (1985))。同様に、言語的欠陥領域については、統制発語連合検査(Controlled Oral Word Association test)、COWA、およびPeabody絵画語彙検査(Randolph, J Clin Exp Neuropsychol., 20(3):310-9 (1998))が、自閉症の評価に有用であると考えられる。B. 関連症状 自己と他者との両方に向かう攻撃性および衝動性は、自閉症に通常関連している(Wellerら、J Clin Psychiatry, 60 (suppl 15): 5-11 (1999), Jaselskisら、J Clin Psychopharmacol., 12(5):322-7 (1992))。攻撃性の一形態であると考えられる自傷行動は、自閉症の集団において25〜43%の発症率を有する(Tsai, J Aut Dev Disord, 159-163 (1996), Chungら、J Aut Dev Disord, 20:221-232 (1990); Simons, J Aut Child Schizophrenia,4:1-10 (1974))。フルオキセチンのプラセボ対照二重盲検試験に参加した小児の自閉症患者のうち、約50%は顕著な合併症状として攻撃的な行動を示した。また、自閉症発端者の血縁者において衝動性形質の発現が増加しているという知見も存在する(Murphyら、Psychol Med., 30(6):1411-24 (2000))。 本発明では、異常行動尺度の興奮性下位尺度(Amanら、上掲)および修正された顕在性攻撃尺度(OASM)(Coccaroら、J Neuropsych Clin Neurosci., 3(2):S44-S51 (1991))を用いて、衝動的な攻撃性に対するメマンチンの効果を評価する。 精神遅滞と自閉性障害との間には関連があり、遅滞範囲の機能を有する最大75%の自閉症患者を含む(Freeman, J Aut Devel Dis., 27: 641-651 (1997); Rapin, New England J of Med., 337: 97-104 (1997))。加えて、辺縁系−前頭前野に制御されるエピソード記憶が最も影響を受けやすいことを示唆するいくつかの知見とともに、記憶障害が繰り返し報告されている(Shalom B, Cortex, 39:1129-38 (2003))。 IQおよび機能的能力の試験は、精神遅滞および機能的障害の指標を確立するために各被験者に対して行われる。IQはWAIS−III(Wechsler D. Wechsler Adult Intelligence Scale − 第3版、The Psychological Corporation, Harcourt Brace & Company, 1997)によって評価される。Vineland適応行動評価尺度(例えば、Lovelandら、J Aut Dev Disord, 1998; 28(4):287-302; Dunlapら、Am Ann Deaf. 1990;135:384-8; Freemanら、Adolescent Psychiatry, 1988; 27(4): 428-429; Vinelandら、1984において用いられている)は、機能的能力を測定するために使用され、機能的能力の変化を記録するために被験者の参加前後に実施される。記憶機能は、神経心理学的状態の評価のための反復可能なバッテリー(Randolph, J Clin Exp Neuropsychol., 20(3):310-9 (1998))およびWechsler記憶評価尺度改訂版の視覚性記憶範囲サブテスト(Wechsler記憶評価尺度は学習、記憶および作業記憶の評価を目的とする)によって評価されモニタリングされる。 この方法で評価されない他の合併症状は、情緒不安定、多動、てんかんならびに様々な医学的症候群および障害を含む。C. 評価手段 自閉症または他のPDDの初期診断における使用、および与えられた治療の有効性の評価のために、本発明によって多数の評価手段が検討される。これらの手段は以下のものを含む。1. DSM−IV:これは米国で現在使用されている標準的な精神医学用語であり、自閉性障害のための使用可能な包括基準および排除基準を提供する(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders,第4版、Washington, D.C.: American Psychiatric Press, 2000)。2. 自閉症診断面接改訂版(ADI−R)(Rutter M, Lord C, LeCouteur A: Autism Diagnostic Interview-Revised (ADI-R)第3版、Department of Psychiatry, University of Chicago, 1994b):ADI−Rは、自閉症および関連障害の研究のために考案された半構造的精神医学的面接であり、通常、被験者の主要な保護者/家族に対して施行される。この手段は、3歳から青年期までの自閉症患者と非自閉性精神障害者を識別し、症状の収束性の実証を提供する。ADI−Rは、自閉症の中核的特徴、すなわち、社会的交流障害、発話およびコミュニケーションの欠陥、ならびに繰り返し行動、に特に適合させたICD−10基準に基づいた診断アルゴリズムを用い(Lordら、J Aut Devel Dis., 24(5): 659-685 (1994))、この手段の精神測定特性の広範囲の研究がもたらした因子分析に基づく(Lordら、上掲)。施行時間は約2時間である。3. 包括的自閉症診断観察スケジュール(ADOS−G)(Lord C, Rutter M, DiLavre PC. Autism Diagnostic Observation Schedule- Generic (ADOS-G). San Antonio, Tex: Psychological Corp. 1998):ADOSGは今や以前の自閉症診断観察スケジュール(ADOS)および前言語期自閉症診断観察スケジュール(PL−ADOS)に取って代わった。この手段はADI−Rの併用手段として開発された。ADOS−Gは、自閉性スペクトラム障害が疑われる小児、青少年および成人における、社会的およびコミュニケーション行動の観察のための標準的プロトコールである。ADOS−Gは、試験官が、発達レベルおよび生活年齢の全体を通して自閉性スペクトラム障害の診断に重要であると見なされている行動の有無を観察することを可能にする、標準的な活動により構成される。 ADOS−Gには4つのモジュールがある。モジュール1は、言葉を使わないか、または3語句を連続して使用しない小児を対象とする。モジュール2は、30〜47ヶ月レベル(Vineland適応行動評価尺度によって評価された場合)の表現言語能力を有する小児に適している。モジュール3および4は、48ヶ月レベルまたはそれ以上の表現言語能力を有する個体を対象とする。モジュール3は玩具の使用に重点を置き、従って、小児および思春期前の対象に適している。モジュール4は面接での質問に焦点を当てている。この手段は、スコア化されうる社会的交流およびコミュニケーションのための一連の構造的および半構造的「圧力」を提供する。評価は施行後直ちに完了する。カットオフ基準は診断アルゴリズムを用いて確定される。施行時間は約45分である。4. Wechsler成人知能検査−III(Wechsler D. Wechsler Adult Intelligence Scale −第3版、The Psychological Corporation, Harcourt Brace & Company, 1997):これは全般的な知的機能についての情報を与える手段である。これは知能検査の「最高基準」と考えられている。これは、11のサブテスト、すなわち、6つの言語に対するサブテストおよび5つの行動に対するサブテストから構成される。この手段は良好な分割試験変動性および試験・再試験変動性を有する。施行時間は1〜2時間である。5. 臨床全般印象改善尺度(CGI)−AD(Guy W. ECDEU assessment manual for psychopharmacology. 改訂版、NIMH Publication DHEW Publ No (adm.) 76-388. Bethesda, MD: National Institute of Mental Health, 1976; 217-222):これは、自閉性障害のために修正された7点の全般的な重症度および変化の尺度を有する、標準的な評価尺度である。2の評価は、治療を行う医師が治療をすぐに変更する可能性が低い、症状の大幅な減少がある場合に与えられる。1の評価は実質的に症状のなくなった患者に用いられる。CGIにおける3の評価(最小限の改善)は、臨床的に顕著とは見なされないわずかな症状の改善と定義され、このような改善を示す患者はそのまま維持されないであろう。施行時間は約2分である。 メマンチンに基づく治療を受ける患者は、新しい治療が価値のあることを示唆する、自閉症を評価するための少なくとも1つの上記試験による十分な症状の重症度を有するべきである。患者は、この障害の3つの中核的特徴すべてにおいて最低限のカットオフスコアをはじめとする、自閉症の診断のための自閉症診断面接および自閉症診断観察スケジュール基準を満たす必要がある。加えて、被験者は、研究に参加するために、自閉性障害の重症度の臨床全般印象(CGI−AD)においてカットオフスコア「4」(中程度の症状)を満たす。Arnoldら(The Autism RUPP Network, J of Autism and Devel. Disorders, 30(2):99-111 (2000))は、CGI重症度スコアは合併症のない自閉症、すなわち、(この研究において標的とされる随伴所見などの)二次行動を伴わない自閉症については、スコア3(軽度の症状)周辺にとどまるべきであると論じた。Arnoldらは、彼らが自閉症の中核症状よりも二次行動においてより広範な治療変化を期待しており、重度の合併症状を有する患者に対して4つの最も高い重症度表示(「4」中程度の症状〜「7」最も重度の症状)を残したいと提案する。研究は予備的であるが、治療試験において自閉症の中核症状の変化が実証された(DeLong, Dev Med Child Neuro.,40:551-562 (1998); McDougle, Arch Gen Psychiatry, 53:1001-1008 (1996); Awad. Can J Psych., 41:361-366 (1996); Markowitz, Journal Clin Psychopharmacology, 12: 27-31 (1992); Cookら、J Am Acad Child Adolesc Psychiatry, 31:739-745 (1992); Todd, J Aut Dev Disord., 159-163 (1991); Ghazziuddinら、J Am Acad Child Adolesc Psychiatry, 30(3):508-9 (1991); Mehlingerら、J Am Acad Child Adolesc Psychiatry, 29:985 (1990))。従って、自閉症の中核症状の大きさならびに随伴所見における治療への反応を捕らえることが望ましい。中核症状の重症度は、実際、治療に対する反応の予測因子でありうる。加えて、「二次行動」における治療変化の評価を特に意図した別の測定が使用されうるが、臨床全般印象尺度は全般的な変化の評価としての使用に最も適しており、被験者の臨床像全体を捕らえていると考えられる。6. 異常行動チェックリスト(ABC)(興奮性)(Amanら、Am J Ment Defic.,89(5):485-491 (1985)):異常行動チェックリストは、精神遅滞者に対する薬物および他の治療の効果を評価する。これは58項目を含む5つの因子尺度から構成される。興奮性の項は、社会的関係性を評価するために使用されるであろう。内部整合性、妥当性および試験・再試験信頼度は非常に良好であることが報告されたが、評定者間信頼度は中程度であった(Amanら、上掲)。ABCは、情報提供者によって記入された後、治療を行う精神科医によって検討される。施行時間は約10分である。7. 神経心理学的状態の評価の反復可能なバッテリー(Randolph、上掲):この手段は、認知症、トラウマ、および統合失調症などの神経学的または神経精神病学的障害を有することが知られている最大89歳までの成人の神経心理学的状態の測定を助ける。これは、異なる種類の記憶およびいくつかの他の認知領域のサンプリングを提供し得る。これは、長期にわたる対象の精神心理学的状態の変化の測定に理想的な、2つの並行形式を採る。これは、良好な感度および信頼性を有する有効な手段であることが示されている。試験・再試験信頼度は、統合失調症において0.8であることが示された。試験は約30分を要する。8. 異常行動チェックリスト(ABC)(無気力/社会的離脱の項)(Amanら、上掲):異常行動チェックリストは、精神遅滞者に対する薬物および他の治療の効果を評価する。これは58項目を含む5つの因子尺度から構成される。無気力/社会的離脱の項は、社会的関係性を評価するために使用されるであろう。内部整合性、妥当性および試験・再試験信頼度は非常に良好であることが報告されたが、評定者間信頼度は中程度であった(Amanら、上掲)。ABCは、情報提供者によって記入された後、治療を行う精神科医によって検討される。施行時間は約10分である。9. 統制発語連合検査(Controlled Oral Word Association test)(Bentonら、上掲):この試験の目的は、所定の文字から始まる単語の自発的な生成を評価することである。それは完璧に近い評定者間変動性を有することが示され、成人における19〜42日後の再試験信頼度は0.88である。同時妥当性はいくつかの研究において確立されている。様々な教育水準および年齢のための標準データが存在する。施行時間は5〜10分である。10. VMS−IIIの視覚性記憶範囲サブテスト(Wechsler, 1987、上掲):これはWechsler記憶評価尺度−IIIのサブテストであり、有効で包括的な手段である。特定のサブテストは2つの部分、すなわち前向きにタッピングすることおよび後ろ向きにタッピングすることを含む。これはこの集団における視覚的記憶に関してさらなる情報を提供するであろう。その施行には5〜10分を必要とする。11. 改変型顕在性攻撃尺度(OAS−M)(Coccaroら、上掲):この尺度は、情動障害および統合失調症用面接基準(SADS)と同様に、一人の入院患者の行動の興奮性のイベントを客観化するために、Yudovskyらによって考案された元来の顕在性攻撃尺度(OAS)の修正版である。Coccaroらによる修正版は、外来患者での使用および1週間以上の行動の評価のためにデザインされている。OAS−Mは、3つの領域、すなわち、攻撃性、興奮性、および自殺傾向から構成される。攻撃性については、行動の4つの下位尺度、すなわち、言葉による攻撃性、物に対する攻撃性、他人に対する攻撃性、および自己攻撃性(自分自身に対する攻撃性)がある。各カテゴリー内で、イベントの重症度を尺度によるスコア(より衝動的/攻撃的な行動に対してより高いスコア)で評価し、その後、その週の間のこのイベントの頻度を乗じる。OAS−Mは、薬物試験の間の、人格障害の患者における衝動的/攻撃的な行動の変化に敏感であることが実証されている。この手段の攻撃性領域は、攻撃性および自傷行為を評価するためだけに使用されるであろう。攻撃性および興奮性下位尺度全体のクラス内相関は高い(0.91)。OAS−M下位尺度間の相関は中程度で、統計的に有意である。施行時間は約10分である。12. Vineland適応行動評価尺度(Vinelandら、上述):Vineland評価尺度は、被験者の日常的機能を評価する半構造的情報提供者面接である。それは通常、保護者/家族に対して施行される(DunlapおよびSands, Am Ann Deaf., 135:384-8 (1990); Dykensら、Am Acad Child Adolesc Psychiatry, 28:427-30 (1989); Voelkerら、Ment Retard., 28:305-9 (1990))。その評価尺度は、改訂され、国内の代表標本に基づき遅滞群および正常群において標準化されている(Sparrowら、Vineland Adaptive Behavior Scales. Circle Pines, MN: American Guidance Service, 1984)。加えて、Vinelandは最近、自閉症群に対して標準化された(Carterら、J Aut Dev Disord., 28(4):287-302 (1998))。この評価尺度は自閉症における社会性の欠陥(LovelandおよびKelley, Am J Men Retard., 93:84-92 (1988); LovelandおよびKelley, Am J Men Retard., 96: 12-20 (1991); Rodriguezら、J Aut Dev Dis., 21:187-196 (1991))ならびに日常的生活能力の相対強度(Carterら、J Aut Dev Disord., 28(4):287-302 (1998))を評価するために確立された。項目は4つの主要な適応領域、すなわち、コミュニケーション、日常生活能力、社交能力および運動能力に分類される。Vinelandは、適応行動コンポジットと呼ばれる要約スコアを提供し、それは社会的適応および長期転帰を予測する(Freemanら、Adolescent Psychiatry, 27(4): 428-429 (1988))。13. Peabody絵画語彙検査−III(Dunn & Dunn, Peabody picture vocabulary test. Circle Pines, MN: American Guidance Service, 1981):この手段は絵画の名前の聴解力を評価するために考案されている。第3版は性別および民族的バランスを備え、2.5歳〜90歳までの年齢に対して標準化されている。これは有効性が認められており、良好な感度および信頼性を有する。その施行には10〜20分を必要とする。D. 優良性の管理およびデータ解析 薬物療法:薬物療法は、自閉症および強迫スペクトラム障害の精神薬理学もしくは小児精神医学における研究員ならびに臨床研究員を現在行っている、または行っていた、有免許すなわち資格のある精神科医あるいは神経科医によって施行される。 評定者間信頼度:理想的には、精神科医、心理学者、および独立の評定者は数年間一緒に働いており、高い評定者間信頼度を築いている。本研究の研究者は自閉症診断面接改訂版の開発者による集中訓練セミナーを受けている。評定者は、自閉症の小児および彼らの保護者との現場面接、ならびに、ADI−Rの開発者によって検討されるビデオテープ面接の両方において、ADI−Rの専門家/開発者とともに信頼度を確立した。訓練後の許容されうる評定者間信頼度κは、専門家の間で少なくとも0.85であった。評定者は、本研究において使用される評価尺度の一貫性を実現するためによく訓練された。 治療コンプライアンスのモニタリング:薬物の在庫は通院毎に確認される。コンプライアンスを最大にするため、薬物は、親、保護者、または信頼できる成人によって患者に投薬される。 データ解析:解析は、以下の潜在的共変量、すなわち、年齢、民族性、知能レベル、自閉症の重症度(CGI−AD)、攻撃性(ABCによって評価される);記憶(RBANSによって評価される)または言語能力(COWAによって評価される)において、治療群同士の間でベースラインの差があるかどうかを決定するために実施される。カイ二乗解析は離散変数に対して使用され、連続変数にはANOVAが使用される。群間にベースラインの差がある場合、変数は共変量として用いられる。 一次解析:独立の評定者(IE)の評価は、一次解析に用いる。一次解析はITT解析であり、直前の観察値を用いて、その研究に無作為に選ばれたすべての被験者を含む。ITT解析は、2群における異なるドロップアウトの偏りを調整する。ドロップアウトの個別解析は、この群が治療中の被験者からの人口統計学的または潜在的な予測変数において異なるかどうかを決定するために行われる。 それぞれの仮説は、異なる領域における従属変数でのメマンチン処理とプラセボ処理との比較である。仮説1では、領域は全般的な自閉症の改善(CGI−I−AD)であり;仮説2では、領域は言語障害(COWA)であり;仮説3では、領域は社会的相互関係(ABC)であり;仮説4では、領域は記憶障害(RBANS)であり;仮説5では、領域は攻撃性および興奮性(ABC)である。評価される従属変数は、IEによって評価されるベースライン測定値である共変量、および上述のような他の任意の共変量による共分散分析を用いて検定される。仮説1では、従属変数はCGI−I−ADであり、共変量はCGI−S−ADである。民族性が共変量である場合、その4つのカテゴリーは3つのダミーコードの二分法を定義するように使用される。仮説6では、回帰分析が行われる。治療とGRIK2遺伝子の2つのハプロタイプとの相互作用もまた検定されうる。 それぞれの仮説のそれぞれの測定値は、有意水準0.05で検定される。結果が有意であった場合、結論は、メマンチンがプラセボとは異なり、それぞれの仮説および領域に差があるということであろう。仮説は方向性があるが、すべての有意性検定は両側検定であろう。 二次解析(二次的な結果の測定値におけるメマンチンとプラセボの効果):さらに、それぞれの二次的な結果の測定値は一次解析と同様に検定される。各領域における二次的な結果の測定の一覧については20ページを参照されたい。それぞれの二次的な測定値に対して、有意水準は0.05である。仮説は方向性があるが、すべての検定は両側検定であろう。 検出力分析:この調査援助の主要目的は、検出力分析が自閉症においてメマンチンを用いた将来の大規模な臨床試験の基礎となりうるデータをもたらすことである。 検出力分析はCohen(Statistical power analysis for the behavioral sciences(第2版)Lawrence Erlbaum Associates (pub), New York, 1988)に従い、彼は様々な統計学的手法に対して「小」、「中」、および「大」のエフェクトサイズを提案した。スチューデントt−検定では、それぞれ0.2、0.5、および0.8標準偏差の群間平均に差がある。現在、検出力分析の基礎となるような自閉症集団または他の同様の集団における他のメマンチンの研究はない。1群あたり15人の被験者では、McDougleら(Arch Gen Psychiatry, 53:1001-1008 (1996))によってフルボキサミン対プラセボの研究において見いだされたように、エフェクトサイズが1.6であった場合、検出力は0.99である。しかし、エフェクトサイズが、例えば0.8のようにより小さい場合、検出力はわずか0.56である。これは予備的研究であるため、特に結果が無効である場合、決定的な結論にはサンプルサイズが小さすぎるかもしれないと予想されるが、これらの結果はより大規模な研究を正当化するために十分有益であることが期待される。E. 併用療法 本発明はまた、本明細書に記載される1つ以上の障害を患っている患者を治療するために他の治療薬と併用した、メマンチンの使用を意図する。一例として、メマンチンとともに投与しうる他の治療薬は、セロトニン再取り込み阻害薬、NMDA阻害剤、抗てんかん薬、注意の刺激薬/非刺激薬、非定型抗精神病薬、およびコリン作用増強剤を含むが、それらに限定されない。メマンチンはまた行動療法との併用で使用しうる。 OCスペクトラム障害を患っている多くの個体は、行動修正療法に首尾よく反応する。しかし、一部の個体では、OCスペクトラム障害の症状は行動修正療法の開始を妨げるほど重症でありうる。例えば、汚染に対する非常に重度のOCDの個体は、行動修正療法を受けるために自宅から離れることに気が進まないかもしれない。このような個体は、OCD症状の重症度を迅速に制御または軽減できる薬物療法の恩恵を受け、それにより、その個体はより快く行動修正療法を受けるであろう。メマンチンへの反応の迅速な発現は、個体のOCスペクトラム障害の症状に対して、このような利点の提供を可能にする。メマンチン治療は、行動修正療法の開始に先立って、またはそれとともに開始しうる。既に行動修正療法を開始している個体もまた、メマンチンによって治療しうる。このことは、OCスペクトラム障害の症状の重症度が行動修正療法を妨げていると考えられる場合、特に有益でありうる。 1つの好ましい実施形態では、OCスペクトラム障害を患っている個体は、行動修正療法もしくは他のOCスペクトラム障害の治療の開始の間またはそれより前に、メマンチンによって治療される。好ましくは、メマンチン療法は行動修正療法の開始より前に開始され、より好ましくは行動修正療法の開始の少なくとも約2日前、さらに好ましくは行動修正療法の開始の少なくとも約7日前に開始される。行動修正療法の適切な形式は当技術分野において知られており、曝露反応妨害法、思考停止法、 飽和療法、刺激制御療法、またはモデリング療法を包含する。 メマンチンへの反応の迅速な発現の別の驚くべき利点は、頓用でのOCスペクトラム障害、特に自閉症の症状の治療である。本明細書において用いられる場合、「頓用」(as-needed basis)とは、必要とされる時に症状の制御に十分な必要とされるレベルで、個体が薬剤を摂取する投与計画を指すことを意図する。メマンチンは、例えば、1日に100mgを4回のような計画に従って処方されうるが、頓用が好ましい場合がある。 例えば、OCスペクトラム障害の個体は、特定のイベントまたは状況について症状を制御または軽減することを希望する場合がある。自閉症患者は、ストレスを誘導する状況に曝される前にメマンチンの頓用用量を投与されうる。トゥレット症候群患者は授業を受けるかまたはスピーチをするなどのイベントの前にメマンチンを摂ることを望み、一方、過食症あるいはBEDの患者は食事の前または通常むちゃ食いもしくは瀉下を引き起こす特定の状況の前にメマンチンを摂ることを望みうる。強迫的購買の個体は商店の近くに行く前にメマンチンを摂ってもよく、一方、病的賭博の個体は賭博に導く引き金に曝される前にメマンチンを摂りうる。OCD患者は、ストレスを誘導する状況に曝される前にメマンチンの頓用用量を摂ることを望みうる。例えば、汚染妄想および/または洗浄強迫の患者は浴室の掃除の前にメマンチンを摂ってもよく、一方、危害強迫状態にある患者は育児の前にメマンチンを摂りうる。 症状の軽減が望まれる時点より少なくとも約1時間前の、有効量のメマンチン、好ましくはメマンチン塩酸塩の経口投与は、症状の効果的な軽減をもたらすであろう。メマンチンは最大約6時間まで症状を軽減するであろう。通常、頓用用量は約50〜約400mgの経口メマンチンであろう。 個体が少なくとも部分的にSRIに反応するならば、必要に応じて、メマンチン治療をSRIによって補助しうる。好ましくはSRIは、クロミプラミン、フルボキサミン、フルオキセチン、セルトラリン、およびパロキセチンから選択され、より好ましくは、SRIはフルボキサミン、フルオキセチン、セルトラリンおよびパロキセチンからなる群より選択されるSSRIである。通常、セロトニン再取り込み阻害薬の平均用量は、1日に約10〜約200mg、より好ましくは1日に約10〜約40mgの範囲である。好ましくはSRIは経口投与される。 SRIでの長期維持療法が望ましい場合、個体を、OCスペクトラム障害の症状の迅速な軽減を得るために、最初はSRIとメマンチンとの併用で治療しうる。SRI反応が起こるために十分な時間が経った後、通常約8〜10週間後、個体がSRIのみで治療されるまで、メマンチンのレベルを徐々に漸減しうる。 本発明によって意図されるセロトニン再取り込み阻害薬の例としては、クロミプラミン、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、ベンラファキシン、ミルタザピン、デュロキセチンおよびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。 本発明によって意図される抗てんかん薬の例としては、バルプロエート、ジバルプロエックス、ガバペンチン、トピラメート、レビラセタム、ラモトリジン、カルバマゼピン、オクスカルバマゼピン、チアガビン、ゾニサミド、クロナゼパム、プレガバリン、ザロンチン(エトスクシミド)およびそれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。本発明によって意図される注意の刺激薬/非刺激薬の例としては、デクストロアンフェタミン、メチルフェニデート、アデラル、アデラルXR、コンセルタ、フォカリン(デキサメチルフェニデート)およびストラテラ(アトモキセチン)が挙げられるが、それらに限定されない。 本発明によって意図される非定型抗精神病薬の例は、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールが挙げられるが、それらに限定されない。 本発明によって検討されるコリン作用増強剤の例としては、アリセプト(ドネペジル)、エクセロン(リバスチグミン)、レミニル(ガランタミン)、およびメスチノン(ピリドスチグミン)が挙げられるが、それらに限定されない。F. 医薬品 プロドラッグとは、もとの薬剤と比較して腫瘍細胞に対する細胞毒性がより低いかまたは細胞毒性を持たず、もとの活性型もしくはより高い活性型へと酵素的に活性化または変換され得る、製薬上活性を有する物質の前駆体あるいは誘導体型を指す。例えば、Wilman, "Prodrugs in Cancer Chemotherapy" Biochemical Society Transactions, 14, pp. 375-382, 615th Meeting Belfast (1986)およびStellaら、"Prodrugs: A Chemical Approach to Targeted Drug Delivery," Directed Drug Delivery, Borchardtら(編)、 pp. 247-267, Humana Press (1985)を参照されたい。プロドラッグとしては、より活性の高い細胞毒性のない薬剤に変換され得る、リン酸塩含有プロドラッグ、チオリン酸塩含有プロドラッグ、スルフェート含有プロドラッグ、ペプチド含有プロドラッグ、D−アミノ酸修飾プロドラッグ、グリコシル化プロドラッグ、β−ラクタム含有プロドラッグ、任意により置換されたフェノキシアセトアミド含有プロドラッグまたは任意により置換されたフェニルアセトアミド含有プロドラッグ、5−フルオロシトシンおよび他の5−フルオロウリジンプロドラッグが挙げられるが、それらに限定されない。本明細書における使用のためにプロドラッグ型に誘導体化され得る細胞毒性薬物の例としては、上述の化学療法薬が挙げられるがそれらに限定されない。 本発明の方法の実施において使用されるメマンチンは、望ましい送達方法に適した担体を含有する医薬組成物に製剤化することができる。適切な担体としては、メマンチンと併用した際、メマンチンの機能を保持し被験体の免疫系に反応しない任意の物質が挙げられる。例としては、滅菌リン酸緩衝生理食塩水、静菌水等のような多くの任意の標準的な製薬担体が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、水、バッファー、0.4%生理食塩水、0.3%グリシン等の様々な水性担体が使用され、穏やかな化学修飾などを受けたアルブミン、リポタンパク質、グロブリン等の、安定性の向上のための他のタンパク質を含みうる。 メマンチンの治療用製剤は、保存のために、望ましい純度を有するメマンチンと任意の生理的に許容される担体、賦形剤もしくは安定化剤(Remington's Pharmaceutical Sciences第16版、Osol, A.編(1980))とを混合することによって、凍結乾燥製剤または水溶液の形態に調製される。許容される担体、賦形剤、または安定化剤は、使用される用量および濃度でレシピエントに対して毒性を持たないものであり、リン酸、クエン酸、および他の有機酸などのバッファー;アスコルビン酸およびメチオニンをはじめとする抗酸化剤;保存料(オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチルもしくはベンジルアルコール;メチルもしくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3−ペンタノール;およびm−クレゾール);低分子量の(約10残基以下の)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジンなどのアミノ酸;グルコース、マンノース、またはデキストリンを含む単糖類、二糖類、および他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロースまたはソルビトールなどの糖質;ナトリウムのような塩を形成する対イオン;金属錯体(例えば、Zn−タンパク質複合体);ならびに/あるいはTWEENTM、PLURONICSTMまたはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。 本明細書の製剤はまた、治療対象の特定の適応症に必要な1つ以上の活性化合物、好ましくは、互いに悪影響を及ぼさない相補的な活性を有するものを含みうる。例えば、さらに免疫抑制剤を与えることが望ましいかもしれない。このような分子は、意図された目的のために有効な量で組み合わせられて適切に存在する。 活性成分はまた、コロイド薬物送達システム(例えば、リポソーム、アルブミンマイクロスフェア、マイクロエマルジョン、ナノ粒子およびナノカプセル)もしくはマクロエマルジョンにおいて、例えば、コアセルベーション技術または界面重合によって調製されたマイクロカプセル、例えば、それぞれ、ヒドロキシメチルセルロースまたはゼラチンマイクロカプセルおよびポリ(メチルメタクリレート)マイクロカプセルに封入することができる。このような技術は、Remington's Pharmaceutical Sciences第16版、Osol, A.編(1980)に開示されている。 in vivo投与のために用いられる製剤は無菌でなければならない。これは滅菌ろ過膜によるろ過によって容易に達成される。 メマンチンは、非経口、皮下、腹腔内、肺内、および鼻腔内、ならびに、局所治療が望ましい場合には病巣内投与をはじめとする任意の適切な方法によって投与される。非経口注入としては、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮内または皮下投与が挙げられる。加えて、メマンチンは、特に漸減する用量のメマンチンでの、パルス注入によって適切に投与される。好ましくは、投薬は、一つには投与が短期間であるか持続的であるかに応じて、注射によって、最も好ましくは静脈注射または皮下注射によって与えられる。局所性投与、経皮投与、粘膜投与、直腸投与、経口投与または、例えば目的とする部位付近に留置されたカテーテルを介する局所投与をはじめとする、他の投与方法が意図される。 本発明の組成物は、例えば、顆粒剤、粉末剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤、坐薬、注射、エマルジョン剤、エリキシル剤、懸濁液剤または溶液剤の剤形であり得る。例えば、経口投与、鼻腔内投与、直腸投与、皮下注射、静脈注射、筋肉注射、または腹腔内注射による、様々な投与経路のために、即時使用できる組成物を製剤化することができる。以下の剤形は一例であり、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。 経口、頬腔、および舌下投与のためには、粉末剤、懸濁液剤、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、ジェルキャップ剤、およびカプレット剤が、固形の剤形として許容される。これらは、例えば、本発明の1つ以上の化合物、または製薬上許容されうる塩もしくはその互変異性体を、デンプンまたは他の添加物などの少なくとも1つの添加物と混合することによって調製することができる。適切な添加物は、スクロース、ラクトース、セルロース糖、マンニトール、マルチトール、デキストラン、デンプン、寒天、アルギネート、キチン、キトサン、ペクチン、トラガカントガム、アラビアガム、ゼラチン、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、合成もしくは反合成ポリマーまたはグリセリドである。任意選択で、経口の剤形は、例えば、不活性な希釈剤、またはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤、またはパラベンもしくはソルビン酸などの保存料、またはアスコルビン酸、トコフェロールもしくはシステインなどの抗酸化剤、崩壊剤、結合剤、増粘剤、バッファー、甘味料、矯味剤もしくは香料のような、投与を補助するための他の成分を含み得る。錠剤および丸剤は、当技術分野において既知の適切なコーティング材料によってさらに処理することができる。 経口投与のための液状の剤形は、製薬上許容されるエマルジョン剤、シロップ剤、エリキシル剤、懸濁液剤、および溶液剤の剤形であり、水などの不活性な希釈剤を含みうる。医薬製剤および薬剤は、限定はされないが、油、水、アルコール、およびこれらの組み合わせなどの滅菌した液体を用いて、液体懸濁液または溶液として調製される。製薬上適切な界面活性剤、懸濁化剤、乳化剤が、経口投与または非経口投与のために添加される。 メマンチンは、錠剤、液剤、持続放出カプセル剤、ロリポップのようなキャンディーの形態、柔らかい食べ物に混合されるふりかけ、舌下投与、経表皮パッチ、皮下持続放出装置、鼻腔用スプレー、肛門坐薬および注射を含む、任意の適切な形態で投与されうる。持続放出が望ましい場合、好ましい形態は時限カプセル、経表皮パッチ、および皮下持続放出装置である。迅速な反応が望ましい場合、好ましい形態は舌下投与および注射である。小児、高齢の患者、および嚥下困難またはコンプライアンスに問題のある患者に対して、好ましい形態はキャンディー、ふりかけ、肛門坐薬および液剤である。 本明細書において用いられる場合、「有効量」とは、OCスペクトラム障害の症状の重症度を軽減するために必要とされる最低限の量を指す。個体は、好ましくは、治療の約14日後、より好ましくは治療の約7日後に、Y−BOCSまたはこのような障害の評価のための他のスコアの減少を示す。さらに好ましくは、個体は治療の約2日後に強迫行動の減少を経験する。 好ましくは、メマンチンは塩酸塩の形をとる。通常、個体は、1日あたり合計約50〜約400、好ましくは約100〜約400mgのメマンチンによって治療される。1つの実施形態では、メマンチン用量は約2〜約5回、好ましくは約2〜約3回の1日あたりの個別用量に分割されてもよく、それぞれの個別用量は約50〜約200、より好ましくは約50〜約100mgのメマンチンである。1つの実施形態では、個体は、1日2〜3回、約50〜約100mgのメマンチンによって治療される。通常、有効性、耐容性およびコンプライアンスの観点から1日あたり2〜3回の個別用量が好ましいが、より深刻に罹っている個体は、症状を制御するために1日あたり4〜5回の個別用量を必要としうる。当業者は、アルツハイマー病(Riveら、Int J Geriatr Psychiatry. 2004 May;19(5):458-64);血管性認知症(Winbladら、Lancet Neurol 2002;1:469);虚血性脳卒中(Culmseeら、Stroke. 2004:35:1197:202);パーキンソン病(Merelloら、Clin Neuropharmacol.1999;22:273-6);ハンチントン病(Palmer, Curr Drug Targets. 2001;2:241-71);網膜神経節損傷(Lipton, Surv Ophthalmol. 2003;48:S38-46);蝸牛(cochlea)(Oestreicherら、ORL J Otorhinolaryngol Relat Spec. 1998:60:18-21);多発性硬化症におけるMS眼振(Starkら、J Neurol 1997;244:9-16);定位手術に伴う重度のけいれん性錐体外路性運動障害の治療(Mundingerら、Nervenarzt. 1985 Feb;56(2):106-9);薬物抵抗性ジスキネジー(Hanagashiら、Mov Disord 2000;15:1016-7);有痛性末梢神経障害(Kirbyら、Pain Med 2002;3:182);依存症におけるグルタミン酸系の調節(Bisagaら、Psychopharmacology (Berl) 2001;157:1-10)などの障害の治療行為のためにメマンチンを投与する処方および方法を知っている。上述のそれぞれの文献は、当業者によく知られているメマンチンの投与方法および投与経路の一般的教示を提供するものとして、参照により本明細書に組み入れられる。メマンチンはMerz Pharma GmbH & Co. KgaAから市販されている。市販製剤はアルツハイマー病の治療のために使用され、米国においてナメンダ(NAMENDA)として販売されている。欧州では、メマンチンはAXURA(登録商標)の市販名で入手可能である。このような製剤は、自閉症などのOC障害の治療における常用のために直ちに使用されうる。 任意選択で、メマンチンは「頓用」で投与されうる。好ましくは、メマンチンは経口または舌下に投与される。 上述のように、懸濁液は油を含みうる。そのような油としては、ピーナッツ油、ゴマ油、綿実油、トウモロコシ油およびオリーブ油が挙げられるがそれらに限定されない。懸濁液製剤はまた、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、脂肪酸グリセリドおよびアセチル化脂肪酸グリセリドなどの脂肪酸のエステルを含みうる。懸濁液製剤は、限定はされないが、エタノール、イソプロピルアルコール、ヘキサデシルアルコール、グリセロールおよびプロピレングリコールなどのアルコールを含みうる。限定はされないが、ポリ(エチレングリコール)などのエーテル、鉱油およびワセリンなどの石油炭化水素;ならびに水もまた、懸濁液製剤に使用されうる。 鼻腔内投与では、医薬製剤および薬剤は、適切な溶媒、ならびに任意により、限定はされないが、安定化剤、抗菌剤、抗酸化剤、pH調整剤、界面活性剤、生体利用性調整剤およびこれらの組み合わせのような他の化合物を含有するスプレーまたはエアロゾルでありうる。エアロゾル製剤の噴射剤は、圧縮空気、窒素、二酸化炭素、または炭化水素ベースの低沸点溶剤を含みうる。 注射用の剤形は通常、適切な分散剤もしくは湿潤剤および懸濁化剤を用いて調製されうる水性懸濁液または油性懸濁液を含む。注射用剤形は、溶媒または希釈剤を用いて調製される、溶液相または懸濁液の形態でありうる。許容される溶媒またはビヒクルとしては、滅菌水、リンガー溶液、または等張生理食塩水が挙げられる。あるいは、滅菌した油が溶媒または懸濁化剤として使用されうる。好ましくは、油または脂肪酸は不揮発性であり、天然または合成の油、脂肪酸、モノ−、ジ−もしくはトリグリセリドが挙げられる。 注射のために、医薬製剤および/または薬剤は、上述の適切な溶液による再調製に適した粉末でありうる。これらの例としては、凍結乾燥、回転乾燥もしくは噴霧乾燥した粉末、非晶質粉末、顆粒、沈殿物、または微粒子が挙げられるがそれらに限定されない。注射のために、製剤は任意により、安定化剤、pH調整剤、界面活性剤、生体利用性調整剤およびこれらの組み合わせを含有しうる。 直腸投与のために、医薬製剤および薬剤は、S状結腸曲および/または直腸における化合物の放出のための坐薬、軟膏、注腸剤、腸、錠剤またはクリーム剤の剤形でありうる。肛門坐薬は、本発明の1つ以上の化合物、またはその化合物の製薬上許容されうる塩もしくは互変異性体を、許容されうるビヒクル、例えば、通常の保存温度では固相で存在し、直腸内などの体内に薬物を放出するのに適した温度では液相で存在する、ココアバターまたはポリエチレングリコールと混合することによって調製される。柔らかいゼラチン状の製剤および坐薬の調製においては、油もまた使用されうる。水、生理食塩水、水性デキストロースおよび関連した糖溶液、ならびにグリセロールは、ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどの懸濁化剤、ならびにバッファーおよび保存料をも含有しうる懸濁製剤の調製において使用される。 持続放出製剤を調製することができる。持続放出製剤の適切な例としては、メマンチンを含有する固体の疎水性ポリマーの半透性マトリックスが挙げられ、そのマトリックスは、例えば、フィルムまたはマイクロカプセルのような成形品の形をとる。持続放出マトリックスの例としては、ポリエステル、ヒドロゲル(例えば、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)、もしくはポリ(ビニルアルコール))、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号)、L−グルタミン酸およびyエチル−L−グルタミン酸のコポリマー、非分解性エチレン酢酸ビニル、Lupron DepotTM(乳酸−グリコール酸コポリマーおよび酢酸ロイプロリドからなる注射可能なマイクロスフェア)のような分解性乳酸−グリコール酸コポリマー、ならびにポリ−D−(−)−3−ヒドロキシ酪酸を含む。エチレン酢酸ビニルおよび乳酸−グリコール酸などのポリマーは100日間を超える分子の放出を可能にするが、ある種のヒドロゲルはより短い期間タンパク質を放出する。封入された抗体が長時間体内に留まる場合、それらは37℃で水分に曝された結果として変性または凝集し、その結果、生物学的活性を失い、免疫原性の変化を起こすかもしれない。関与するメカニズムに応じた安定化のために合理的な戦略を採ることができる。例えば、凝集メカニズムがチオール(thio)−ジスルフィド交換による分子間S−S結合形成であることが見いだされる場合、安定化は、スルフヒドリル残基の修飾、酸性溶液からの凍結乾燥、含水量の制御、適切な添加物の使用、および特殊なポリマーマトリックス組成物の開発によって実現されうる。 本発明の製剤は、上述のように短時間作用型、急速放出型、長時間作用型、または持続放出型であるように設計しうる。従って、医薬製剤はまた、制御放出または徐放のためにも製剤化しうる。 本発明の組成物はまた、例えば、ミセルもしくはリポソームまたは他の何らかの封入形態を含むか、あるいは、長期の保存および/または送達効果をもたらすために持続放出形態で投与しうる。従って、医薬製剤および薬剤は、ペレットまたはシリンダー内に圧縮され、デポー注射として、もしくはステントのようなインプラントとして筋肉内または皮下に埋め込まれうる。このようなインプラントには、シリコーンおよび生分解性ポリマーなどの既知の不活性物質を使用しうる。 上述されたそれらの代表的な剤形に加えて、製薬上許容されうる賦形剤および担体は当業者に一般的に知られており、従って本発明に含まれる。このような賦形剤および担体は、例えば、"Remingtons Pharmaceutical Sciences" Mack Pub. Co., New Jersey (1991)に記載され、これは参照により本明細書に組み入れられる。 特定の投与量は、疾患の状態、被験者の年齢、体重、一般的な健康状態、性別、および食事、投与間隔、投与経路、排せつ率、ならびに薬物の組み合わせに応じて調整されうる。有効量を含有している上記の剤形のいずれも、十分に通常の実験の範囲内であり、従って、本発明の範囲内である。 本発明の組成物は、従来の周知の滅菌技術によって滅菌しうる。その結果得られた溶液は使用のために包装されても、または無菌状態でろ過され凍結乾燥されてもよく、その凍結乾燥製剤は投与前に滅菌溶液と混合される。組成物は、生理状態に近づけるために必要とされるような、pH調整剤および緩衝剤、等張化剤等、例えば、酢酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウムならびに安定化剤(例えば、120%マルトース等)などの製薬上許容されうる補助剤を含みうる。 メマンチンはまた、薬物(本明細書に開示される抗体および、任意選択で、化学療法薬など)の送達に有用な様々な種類の脂質および/またはリン脂質および/または界面活性剤からなる小胞である、リポソームによって投与されうる。リポソームとしては、エマルジョン、泡状物質、ミセル、不溶性単分子層、リン脂質分散物、ラメラ層等が挙げられ、メマンチンを特定の組織に標的化するため、ならびに組成物の半減期を増加させるためのビヒクルとして機能し得る。例えば、米国特許第4,837,028号および同第5,019,369号に記載されるような、リポソームの調製のための様々な方法が利用可能であり、それらの特許は参照により本明細書に組み入れられる。 メマンチンを含有するリポソームは、Epsteinら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA 82: 3688 (1985);Hwangら、Proc. Natl Acad. Sci. USA 77: 4030 (1980);ならびに米国特許第4,485,045号および同第4,544,545号に記載されるような、当技術分野において公知の方法によって調製される。循環時間の向上を伴うリポソームは、米国特許第5,013,556号に開示されている。特に有用なリポソームは、ホスファチジルコリン、コレステロールおよびPEG誘導体化ホスファチジルエタノールアミン(PEG−PE)を含んでなる脂質組成物を用いた逆相蒸発法によって生成され得る。リポソームは所定のポアサイズのフィルターから押し出され、目的とする直径のリポソームを生じる。実施例1メマンチンは自閉症の治療に効果がある 本発明は、一つには、自閉症の症状を有する個体へのメマンチンの投与が1つ以上の自閉症の特徴の改善をもたらすという驚くべき知見に基づく。従って、自閉症がメマンチンを含有する組成物を用いて治療され得ることが、初めて示される。このような組成物は単独で、または行動修正療法をはじめとする他の治療と併用して投与されうる。当業者はメマンチンの市販製剤を知っており、有用なメマンチン製剤を調製するための安全対策および安全性評価基準もまた当業者によく知られているため、この広汎性発達障害の治療へのメマンチンの使用は特に魅力的である。本出願は、発達障害におけるメマンチンの最初の使用を記載する。 実施例は、メマンチンによって治療される自閉性スペクトラム障害の最初の6人の連続した患者の特徴、合併症診断および併用療法、メマンチン投与量および治療継続期間、標的となる症状の反応、ならびに副作用を要約する。すべての被験者は、自閉症または特定不能の広汎性発達障害(PDD−NOS)を含む自閉性スペクトラム障害のDSM−IV TR基準を満たしていた。 表1に示されたように、患者は8歳〜13歳までで、6人すべて男児であった。4人の患者は自閉症の基準を満たし、2人はPDD−NOSであった。治療は5mg po qhs(就寝前に経口投与)で2週間の継続期間で開始され、投与量は治療反応および副作用に基づいて、2〜4週毎に5mgずつ、最大10mg po BID(1日2回経口投与)(1日に20mg)まで、臨機応変に増量された。併用薬は通常、メマンチン用量分析および治療期間より前3週間、ならびにその間続けられた。併用薬は、非定型抗精神病薬(すなわち、リスペリドン、アリピプラゾール、オランザピン)、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)(すなわちフルオキセチン、フルボキサミン)、刺激剤(すなわちメチルフェニデート)およびノルアドレナリン作動薬(すなわち、クロニジン)を含んでいた。合併症診断は強迫性障害(2人の患者)および精神遅滞(1人の患者)を含んでいた。 慎重な精神医学的観察の際に専門医によって認められた標的となる症状の改善は、破壊的行動の改善(メルトダウンの減少、落ち着きの増加、困難さの減少、反抗の減少)、社会的機能の改善(アイコンタクトの増加、関係性の増加、傾聴の増加)、認知および発話/言語機能の改善(家庭での個別指導および記憶の改善、言語機能の増加、会話の増加)を含んでいた。副作用は、軽度の脱抑制、軽度の感情起伏の増加、軽度の攻撃性の増加、および軽度の不注意状態(goofiness)を含んでいた。 表2は、本発明の方法を用いて治療された患者の症状をモニタリングしたさらなる研究を示す。実施例2 以下の実施例は、自閉症の治療においてメマンチンとプラセボとを比較するための手順を示す。IQ>85を有する自閉症の外来患者を、12週間の二重盲検プラセボ対照並行治療調査に無作為抽出した。治療群およびプラセボ群の被験者のIQを一致させた。12週間、患者は治療を行う医師によってモニタリングされ、独立の評定者(IE)によって評価された。IEは調査の評価を行うが、投薬計画(漸減の可能性を含む)ならびにいずれの副作用も知らないままである。調査の評価は指定された時点で施行される。手順 A. 予備的な電話によるスクリーニング。さらなる評価への適性を決定するために自閉症に関するSeaver Centerスクリーニング質問票を用いて被験者候補をスクリーニングする。 B. インフォームド・コンセント。それぞれの患者は、調査手順、危険性および期待できる利益についての情報を与えられた後、インフォームド・コンセントの書類にサインする。臨床観察者、すなわち調査に利害関係を持たない独立の精神科医が、同意する能力についてそれぞれの患者を評価する。臨床観察者が患者(例えば小児)が同意する能力を有すると断定した場合、その患者の参加への同意が求められる。 C. 診断評価。被験者はDiagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders − 第4版(DSM−IV)に基づく診断を行う調査医師によって総合評価を受ける。自閉症の診断を確立するために、適格な患者の情報提供者は自閉症診断面接改訂版(ADI−R)によって面接され、患者は包括的自閉症診断観察尺度(ADOSG)によって評価される。これらの手段は自閉症の評価および診断において信頼でき妥当であることが実証されている。知的機能はWAIS−IIIによって評価される。機能的能力のレベルを評価するためには、Vineland適応行動評価尺度が使用される。臨床的面接および構造化面接の両方による診断基準を満たす患者は調査に参加する。過去または現在、統合失調症、統合失調性感情障害、器質性精神症候群の患者は、調査から除外される。 D. 医学的評価およびグルタミン酸遺伝子の評価。調査に適した患者は、調査する精神科医または神経科医によって総合的な医学的評価(病歴、身体検査、通常の血液学および血液化学、肝臓プロフィール、尿検査、妊娠検査、薬物検査)を受ける。加えて、すべての患者は、以前に記載されたGRIK2遺伝子ハプロタイプについて検査される。乱用物質について薬物検査陽性または妊娠検査陽性の患者もまた除外される。通常の血液学、血液化学および毒物学は12週目または終了時に繰り返される。 E. 向精神薬の漸減。現在、自閉症の治療のために認可されている薬剤はない。しかし、「Y」(軽症)またはより軽症の臨床全般重症度スコアから証明されるように、患者は彼らに十分な利益をもらたす薬剤から開放されない。現在、向精神薬を投与されている「4」(中程度の症状)またはより重症の臨床全般重症度スコアの患者は、調査の無作為化段階に進む前に2週間の薬剤を摂らない期間を持った。漸減は調査する精神科医によってモニタリングされ、良好な臨床判断および患者の耐容性に応じて臨機応変に行われる。 F. ベースライン評価、情報提供者および無作為化。薬剤を摂らない適当な期間の後に、患者は引き続き彼らを治療している医師と会い、包括基準および排除基準が検討される。調査に参加する患者は、調査医師および独立の評定者によるベースライン評価を受ける。 支援を必要としうる被験者の変化の正確な評価を得るために、情報提供者を利用する。情報提供者の利用は、知的障害および言語障害の個体に関する情報を得るために広く用いられる方法である(Arnoldら、上掲)。情報提供者は以下の評価、すなわち、Vineland、CGI(可能ならば患者とともに)、OAS:Mおよび自閉症行動チェックリストに利用されうる。自閉症診断面接は情報提供者を必要とする。他の評価は患者の観察および交流によって達成される。参加基準を満たす患者は二重盲検の治療条件に無作為化される。医師(pharmacy)には無作為化の前に被験者のIQが提供され、プラセボおよび治療群を、3つの群、すなわち、IQ85〜100、100〜115、および>115においてIQについて一致させる。 G. 12週間のプラセボ対照並行治療。試験の長さを慎重に検討し、12週間の試験は自閉症の成人に対するメマンチンの安全性および有効性の分析に十分であると考えられた。一定の治療薬用量は4週間以内の範囲である。 H. 薬剤および投与計画。メマンチンおよびプラセボは、目的の投与量を含有する同一形態の錠剤である。例となる実施形態では、投与量は5mg/錠剤である。錠剤はそのままでまたは砕いて服用することができる。用量は5mgの増加量で1日2回10mgまで増加される。この用量は試験の残りの期間維持される。顕著な副作用が起こり治療用量に耐えられない被験者は、より低い用量で維持される。上記の説明では投与のために10mgの用量を示すが、当業者は、治療される個体に応じて、より多くまたはより少なく投与しうることを理解すべきである。例えば、用量は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、12、14、16、18、20mg/錠剤、またはそれ以上を含みうる。もちろん、任意の特定の投与においてこれらの用量の倍数が投与されてもよく、平均1日用量は1日の中で単回用量または複数回用量で投与されうることが理解されるべきである。 I. 調査通院。治療レベルに対する薬剤の段階的な用量分析を可能にし、副作用の綿密なモニタリングを可能にするために、調査の最初の1ヶ月間、患者は毎週モニタリングされる。その後、隔週のモニタリングが行われる。医師は必要に応じて薬剤投与の調整について助言し、副作用を記録し、臨床全般改善尺度を完遂する。治療に当たる医師はまた、臨床状態のモニタリングに加えて支援を行うが、洞察指向的療法、認知療法または行動療法の試みを行わない。指示がある場合、調査医師は、薬剤のあらゆる副作用をより綿密にモニタリングするために、規定の計画より多く定期的に診察する。 J. 独立の評定者。被験者の副作用のモニタリングは治療に当たっている精神科医が完全に先入観を持たずにいることを妨げるかもしれないので、調査の評価を行うために、この調査では、副作用について知らないままの独立の評定者(IE)を用いる。IEによって行われる評価は一次解析のために用いられる。被験者、情報提供者、および治療に当たる医師は、独立の評定者に副作用および投与計画の問題を公開しないように指示される。調査のための一次評価は副作用情報について知らない評定者(独立の評定者)によって行われるので、実験群の秘匿の成功を評価することは不必要である。 様々な出版物が本明細書に引用され、その内容は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。 広汎性発達行動障害を有する動物の治療における使用のための、メマンチンまたは製薬上許容されるその塩を含んでなる組成物。 前記広汎性発達行動障害が、自閉症、アスペルガー症候群、注意欠陥障害(ADD)、および注意欠陥多動性障害(ADHD)からなる群より選択される、請求項1に記載の組成物。 前記広汎性発達行動障害が自閉症である、請求項2に記載の組成物。 セロトニン再取り込み阻害薬をさらに含む、請求項1に記載の組成物。 前記セロトニン再取り込み阻害剤が、クロミプラミン、フルオキセチン、フルボキサミン、セルトラリン、パロキセチン、シタロプラム、エスシタロプラム、ベンラファキシン、ミルタザピン、デュロキセチンおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項4に記載の組成物。 抗てんかん薬をさらに含む、請求項1に記載の組成物。 前記抗てんかん薬が、バルプロエート、ジバルプロエックス、ガバペンチン、トピラメート、レビラセタム、ラモトリジン、カルバマゼピン、オクスカルバマゼピン、チアガビン、ゾニサミド、クロナゼパム、プレガバリン、エトスクシミドおよびこれらの混合物からなる群より選択される、請求項6に記載の組成物。 注意の刺激剤または非刺激剤をさらに含む、請求項1に記載の組成物。 前記注意の刺激剤または非刺激剤が、デクストロアンフェタミン、メチルフェニデート、デキサメチルフェニデートおよびアトモキセチンからなる群より選択される、請求項8に記載の組成物。 非定型抗精神病薬をさらに含む、請求項1に記載の組成物。 前記非定型抗精神病薬が、リスペリドン、オランザピン、ケチアピン、ジプラシドン、およびアリピプラゾールからなる群より選択される、請求項10に記載の組成物。 コリン作用増強剤(cholinergic enhancer)をさらに含む、請求項1に記載の組成物。 前記コリン作用増強剤が、ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、およびピリドスチグミンからなる群より選択される、請求項12に記載の組成物。 メマンチンを1日用量0.01〜500mg/kgでパッケージングする、請求項1に記載の組成物。 メマンチンを1日用量約1mg/日〜約50mg/日の範囲でパッケージングする、請求項1に記載の組成物。 メマンチンを5〜10mgで1日2回投与のためにパッケージングする、請求項1に記載の組成物。 自閉性障害の個体を治療するための組成物であって、該障害の症状を改善するのに有効な量のメマンチンを含む、上記組成物。 前記症状が、他者と視線を合わせることの障害を含む、請求項17に記載の組成物。 前記症状が、他者との社会的接触の欠如を含む、請求項17に記載の組成物。 前記症状が、発語の遅延または欠如を含む、請求項17に記載の組成物。 前記症状が、腕をばたつかせるなどの反復的パターンの行動を含む、請求項17に記載の組成物。 前記症状が多動を含む、請求項17に記載の組成物。 前記症状が認知障害を含む、請求項17に記載の組成物。 前記症状が注意欠陥を含む、請求項17に記載の組成物。


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