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タイトル:特許公報(B2)_シチジンジリン酸コリンの製造法
出願番号:2007532140
年次:2013
IPC分類:C12P 19/32


特許情報キャッシュ

河本 義孝 柳 隆幸 小田 秀樹 JP 5112869 特許公報(B2) 20121019 2007532140 20060823 シチジンジリン酸コリンの製造法 協和発酵バイオ株式会社 308032666 河本 義孝 柳 隆幸 小田 秀樹 JP 2005240788 20050823 20130109 C12P 19/32 20060101AFI20121213BHJP JPC12P19/32 Z C12P 19/32 CA/BIOSIS/MEDLINE/WPIDS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特許第3369236(JP,B2) 国際公開第2003/095660(WO,A1) 特開2001−103973(JP,A) 国際公開第1998/011247(WO,A1) 3 IPOD FERM BP-3717 JP2006316451 20060823 WO2007023830 20070301 13 20090615 松原 寛子 本発明は、医薬品として有用なシチジンジリン酸コリンの製造法に関する。 シチジンジリン酸コリン(以下、CDP-コリンと略す)の製造法としては、化学的合成法、微生物菌体を用いてシチジン-5’-三リン酸(以下、CTPと略す)、シチジン-5’-二リン酸(以下、CDPと略す)またはシチジン-5’-一リン酸(以下、CMPと略す)から製造する方法(特許文献1、特許文献2、特許文献3)等が知られているが、いずれも収率が低い、原料が高価である、などの問題がある。 微生物を用いて生産する方法においては、生産性を向上させるために遺伝子組換え微生物を利用して、ウリジン-5’-一リン酸(以下、UMPと略す)とコリンまたはホスホリルコリンとから製造する方法(特許文献4)、CMPとコリンまたはホスホリルコリンとから製造する方法(特許文献5)、オロット酸とコリンまたはホスホリルコリンとから製造する方法(特許文献6)、ウラシルとコリンまたはホスホリルコリンとから製造する方法(特許文献7)が報告されている。しかしながら、オロット酸やウラシルから製造する方法では、オロット酸やウラシルは水への溶解度が低いため、これら原料をCDP-コリンの生成蓄積を行う媒体へ添加する際には粉末のまま投入する必要があり、多大の手間を要する。オロット酸やウラシルのアルカリ性溶液中における溶解度が高いことは知られているが、オロット酸またはウラシルを含有するアルカリ性溶液を該媒体に添加することによりCDP-コリンを効率よく製造できることは知られていない。特公昭48-2358号特公昭48-40758号特公昭48-2359号国際公開第99/49073号パンフレット特開2001-103973号特許第3369236号国際公開第03/95660号パンフレット 本発明の目的は、CDP-コリンの効率のよい製造方法を提供することにある。 本発明は、以下の(1)〜(7)に関する。(1)オロット酸またはウラシルと、コリンまたはホスホリルコリンとからCDP-コリンを生成する活性を有する生体触媒を、媒体中でオロット酸またはウラシル、およびコリンまたはホスホリルコリンに接触させ、媒体中にCDP-コリンを生成蓄積させ、該媒体からCDP-コリンを採取するCDP-コリンの製造法において、オロット酸またはウラシルを、オロット酸またはウラシルを含有するアルカリ性溶液として該媒体に添加することを特徴とするCDP-コリンの製造法。(2)媒体のpHをCDP-コリンの製造に適したpHに維持するようにオロット酸またはウラシルを含有するアルカリ性溶液を添加することを特徴とする、上記(1)のCDP-コリンの製造法。(3)生体触媒が微生物の培養物または該培養物の処理物を含有する生体触媒である、上記(1)または(2)のCDP-コリンの製造法。(4)微生物がエシェリヒア(Escherichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属、ヘモフィラス(Haemophilus)属およびサッカロミセス(Saccharomyces)属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物である、上記(3)のCDP-コリンの製造法。(5)微生物がコリネバクテリウム(Corynebacterium)属およびエシェリヒア(Escherichia)属に属する微生物から選ばれる微生物である、上記(3)のCDP-コリンの製造法。(6)微生物がコリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)およびエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)に属する微生物である、上記(3)のCDP-コリンの製造法。(7)微生物がコリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株およびエシェリヒア・コリMM294/pCKG55(FERM BP-3717)株である、上記(3)のCDP-コリンの製造法。本発明により、CDP-コリンを工業的に有利に製造する方法が提供される。 本発明に用いられるオロット酸またはウラシルを含有するアルカリ性溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液、水酸化リチウム溶液、水酸化カルシウム溶液、水酸化バリウム溶液またはアンモニア水をあげることができる。該アルカリ性溶液の規定度は0.01〜15規定が好ましく、0.1〜12規定がさらに好ましい。アルカリ性溶液中のオロット酸またはウラシルの濃度は1mmol/L〜2mol/Lが好ましく、10mmol/L〜1.6mol/Lがより好ましい。 オロット酸またはウラシルを含有するアルカリ性溶液を、オロット酸またはウラシルとコリンまたはホスホリルコリンとからCDP-コリンを生成する活性(以下、CDP-コリン生成活性と略す)を有する生体触媒とコリンまたはホスホリルコリンとを含有する媒体に添加し、該媒体中で該生体触媒、オロット酸またはウラシル、およびコリンまたはホスホリルコリンを接触させることによって媒体中にCDP-コリンを生成蓄積させ、該媒体からCDP-コリンを採取することによって、CDP-コリンを製造することができる。 該生体触媒とコリンまたはホスホリルコリンを含有する媒体には、必要に応じてオロット酸またはウラシルや他の成分が添加されていてもよい。オロット酸またはウラシルを含有するアルカリ性溶液を該媒体に添加する場合、該媒体のpHがCDP-コリンの製造に適したpHに維持されるように添加することが好ましい。該pHとしては、5〜10、好ましくは6〜8をあげることができる。該アルカリ性溶液は連続的または断続的に該媒体に添加することができる。 本発明に用いられる生体触媒としては、CDP-コリン生成活性を有する生体触媒であれば、いずれでも用いることができる。 このような生体触媒としては、CDP-コリン生成活性を有する微生物の培養物、該培養物の処理物等をあげることができる。 微生物としては、元来CDP-コリン生成活性を有する微生物、および元来CDP-コリン生成活性はないが、CDP-コリンを生成する反応を担う酵素(以下、CDP-コリン生成酵素と略す)をコードするDNAで形質転換された微生物、または該活性を有する他の微生物の細胞を融合させて得られる微生物などをあげることができる。 上記微生物としては、エシェリヒア(Escherichia)属、セラチア(Serratia)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属、ヘモフィラス(Haemophilus)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、クラビバクター(Clavibacter)属、クルトバクテリウム(Curtobacterium)属、ピメロバクター(Pimerobacter)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、クリュイベロマイセス(Kluyveromyces)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、シワニオマイセス(Schwanniomyces)属、ピヒア(Pichia)属、またはキャンディダ(Candida)属に属する微生物等をあげることができる。 エシェリヒア(Escherichia)属に属する微生物としては、Escherichia coli MM294、Escherichia coli XL1-Blue、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM109、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.49、Escherichiac oli W3110、Escherichia coli NY49、Escherichia coli GI698およびEscherichia coli TB1等をあげることができる。セラチア(Serratia)属に属する微生物としては、例えば、Serratia ficaria、Serratia fonticola、Serratia liquefaciensおよびSerratia marcescens等をあげることができる。バチルス(Bacillus)属に属する微生物としては、Bacillus subtilisおよびBacillus amyloliquefaciens等をあげることができる。ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属に属する微生物としては、Brevibacterium immariophilum、Brevibacterium saccharolyticum、Brevibacterium flavumおよびBrevibacterium lactofermentum等をあげることができる。コリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物としては、Corynebacterium glutamicum ATCC13032およびCorynebacterium glutamicum ATCC13869等のCorynebacterium glutamicum、Corynebacterium ammoniagenes ATCC6872およびCorynebacterium ammoniagenes ATCC21170等のCorynebacterium ammoniagenes、Corynebacterium acetoacidophilum ATCC13870等のCorynebacterium acetoacidophilum等をあげることができる。ミクロバクテリウム(Microbacterium)属に属する微生物としては、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15354等のMicrobacterium ammoniaphilum、Microbacterium lactiumおよびMicrobacterium imperiale等をあげることができる。シュードモナス(Pseudomonas)属に属する微生物としては、Pseudomonas putida等をあげることができる。ストレプトコッカス(Streptococcus)属に属する微生物としては、Streptococcus pneumoniae等をあげることができる。シノリゾビウム(Sinorhizobium)属に属する微生物としては、Sinorhizobium meliloti等をあげることができる。ヘモフィラス(Haemophilus)属に属する微生物としては、Haemophilus influenzae等をあげることができる。アースロバクター(Arthrobacter)属に属する微生物としては、Arthrobacter citreusおよびArthrobacter globiformis等をあげることができる。オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属に属する微生物としては、Aureobacterium flavescens、Aureobacterium saperdaeおよびAureobacterium testaceum等をあげることができる。セルロモナス(Cellulomonas)属に属する微生物としては、Cellulomonas flavigenaおよびCellulomonas carta等をあげることができる。クラビバクター(Clavibacter)属に属する微生物としては、Clavibacter michiganensisおよびClavibacter rathayi等をあげることができる。クルトバクテリウム(Curtobacterium)属に属する微生物としては、Curtobacterium albidum、Curtobacterium citreumおよびCurtobacterium luteum等をあげることができる。ピメロバクター(Pimerobacter)属に属する微生物としては、Pimerobacter simplex等をあげることができる。 サッカロマイセス(Saccharomyces)属に属する微生物としては、Saccharomyces cerevisiae等をあげることができる。シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属に属する微生物としては、Schizosaccharomyces pombe等をあげることができる。クリュイベロマイセス(Kluyveromyces)属に属する微生物としては、Kluyveromyces lactis等をあげることができる。トリコスポロン(Trichosporon)属に属する微生物としては、Trichosporon pullulans等をあげることができる。シワニオマイセス(Schwanniomyces)属に属する微生物としては、Schwanniomyces alluvius等をあげることができる。キャンディダ(Candida)属に属する微生物としては、Candida utilis等をあげることができる。 微生物としては、上記の微生物をあげることができるが、エシェリヒア(Escherichia)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、バチルス(Bacillus)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属、ヘモフィラス(Haemophilus)属およびサッカロミセス(Saccharomyces)属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物が好ましく用いられ、エシェリヒア(Escherichia)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属およびコリネバクテリウム(Corynebacterium)属に属する微生物からなる群より選ばれる微生物がさらに好ましく用いられる。 上記微生物のうち、元来CDP-コリン生成活性を有する微生物であってもCDP-コリン生成活性が充分に強くない場合には、該微生物に、CDP-コリン生成酵素をコードするDNAを有する組換え体DNAを常法によって導入するか、該活性を有する他の微生物の細胞を融合させることにより、該活性の強化された微生物を作製して用いてもよい。 該活性が強化された微生物および該活性が付与された微生物としては、CDP-コリン生成酵素をコードするDNAを以下に示す方法によって微生物に導入して得られる形質転換体が好ましく用いられる。 CDP-コリン生成酵素をコードするDNAとしては、例えば、オロット酸からオロチジン-5’-一リン酸(以下、OMPと略す)を生成する活性を有するオロット酸ホスホリボシルトランスフェラーゼ[EC 2.4.2.10]、OMPからUMPを生成する活性を有するオロチジン-5’-モノリン酸デカルボキシラーゼ[EC4.1.1.23]、ウラシルからウリジンを生成する活性を有するウリジンホスホリラーゼ[EC 2.4.2.3]、ウリジンからUMPを生成する活性を有するウリジンキナーゼ[EC 2.7.1.48]、UMPからウリジン-5’-二リン酸(以下、UDPと略す)を生成する活性を有するウリジル酸・シチジル酸キナーゼ[EC2.7.1.48]、UDPからウリジン-5’-三リン酸(以下、UTPと略す)を生成する活性を有するヌクレオシド二リン酸キナーゼ[EC 2.7.4.6]、UTPからCTPを生成する活性を有するシチジン-5’-三リン酸シンセターゼ[EC 6.3.4.2](以下、PyrGと略す)をコードするDNA、コリンからホスホリルコリンを生成する活性を有するコリンキナーゼ[EC 2.7.1.32](以下、CKIと略す)をコードするDNAおよびCTPとホスホリルコリンからCDP-コリンを生成する活性を有するコリンリン酸シチジルトランスフェラーゼ[EC 2.7.7.15](以下、CCTと略す)をコードするDNA等をあげることができる。 CDP-コリン生成酵素をコードするDNAとしては、上記の酵素をコードするDNAがあげられ、PyrG、CKIまたはCCTをコードするDNAが好適に用いられる。 PyrGをコードするDNAは、Escherichia coliの染色体よりクローン化され、その全塩基配列が決定されている[J. Biol. Chem. , 261, 5568(1986)]。PyrGをコードするDNAを有する組換え体DNAとしては、Escherichia coliのベクターpUC8[Gene, 19, 25(1982)]のマルチクローニングサイトのSmaI-PstI部位にEscherichia coli由来のPyrGをコードするDNAを含む2426ベースペア(以下、bpと略す)のNruI-PstI断片が挿入されたプラスミドであるpMW6[Biosci.Biotechnol. Biochem., 61, 956 (1997)]などをあげることができる。 CCTをコードするDNAは、その全塩基配列が決定されている[Eur. J. Biochem., 169, 477(1987)]。CCTをコードするDNAを有する組換え体DNAとしては、Escherichia coliのベクターpUC18[Gene, 33, 103(1985)]のマルチクローニングサイトのSmaI部位に酵母由来のCCTをコードするDNAを含む1296bpのDraI断片が挿入されたプラスミドpCC41[生化学, 60, 701 (1988)]などをあげることができる。 CKIをコードするDNAも同様に酵母染色体よりクローン化され、その全塩基配列が決定されている[J. Biol. Chem., 264, 2053(1989)]。CKIをコードするDNAを有する組換え体DNAとしては、酵母とEscherichia coliのシャトルベクターYEpM4[Mol. Cell. Biol., 7, 29(1987)]に酵母由来のCKIをコードするDNAを含む2692bpのPstI-HindIII断片が挿入されたプラスミドpCK1D[J. Biol. Chem., 264, 2053(1989)]などをあげることができる。 上記のプラスミドは、これらのプラスミドを保持した大腸菌から公知の方法[Nuc. Acids Res., 7, 1513 (1979)] に従い単離精製できる。 上記のようにして得られるプラスミドから、例えば、Molecular Cloning, A Laboratory Manual, Third Edition,Sambrookら編、Cold Spring Harbor Laboratory (2001)に従って、CDP-コリン生成酵素をコードするDNAを取得し、該DNAを発現ベクターに組み込み、組換え体DNAを作製し、上記微生物を宿主細胞として形質転換を行うことにより、CDP-コリン生成活性を有する生体触媒を取得することができる。 例えば、PyrG、CCTまたはCKIをコードするDNAを上記プラスミドpMW6、プラスミドpCC41またはプラスミドpCK1Dより取得し、得られたDNAをもとにして、必要に応じて、該ポリペプチドをコードする部分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。 また、必要に応じて、CDP-コリン生成酵素をコードする部分の塩基配列を、宿主細胞の発現に最適なコドンとなるように塩基を置換したDNAを調製する。該DNAはCDP-コリン生成酵素の効率的製造に有用である。 該DNA断片、または全長DNAを適当な発現ベクターのプロモーターの下流に挿入することにより、組換えベクターを作製する。この際、CDP-コリン生成酵素をコードするDNAを、それぞれ別個に発現ベクターに挿入してもよいし、複数のDNAを同じ発現ベクターに挿入してもよい。 該組換えベクターを、該発現ベクターに適合した宿主細胞に導入する。 宿主細胞としては、上記微生物をあげることができる。 発現ベクターとしては、該宿主細胞において自立複製可能ないしは染色体中への組込が可能で、CDP-コリン生成活性に関わる酵素をコードするDNAを転写できる位置にプロモーターを含有しているものが用いられる。 宿主細胞として、細菌等の原核生物を用いる場合は、CDP-コリン生成酵素をコードするDNAを含有してなる組換えベクターは原核生物中で自立複製可能であると同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、該DNA、転写終結配列、より構成されたベクターであることが好ましい。プロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。 発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社より市販)、pKK233-2[ファルマシア(Pharmacia)社製]、pSE280[インビトロジェン(Invitrogen)社製]、pGEMEX-1[プロメガ(Promega)社製]、pQE-8[キアゲン(QIAGEN)社製]、pKYP10(特開昭58-110600号)、pKYP200〔Agric.Biol. Chem., 48, 669 (1984)〕、pLSA1〔Agric. Biol. Chem., 53, 277(1989)〕、pGEL1〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 82, 4306 (1985)〕, pBluescriptII SK(-)[ストラタジーン(Stratagene)社製]、pTrs30〔Escherichia coliJM109/pTrS30 (FERM BP-5407)より調製〕、pTrs32〔Escherichia coliJM109/pTrS32(FERM BP-5408)より調製〕、pGHA2〔Escherichia coli IGHA2(FERM BP-400)より調製、特開昭60-221091号〕、pGKA2〔Escherichia coli IGKA2(FERM BP-6798)より調製、特開昭60-221091号〕、pTerm2(米国特許4686191号、米国特許4939094号、米国特許5160735号)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400〔J.Bacteriol., 172, 2392 (1990)〕、pGEX[ファルマシア(Pharmacia)社製]、pETシステム[ノバジェン(Novagen)社製]等をあげることができる。 プロモーターとしては、宿主細胞中で機能するものであればいかなるものでもよい。例えば、trpプロモーター(Ptrp)、lacプロモーター、PLプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター等の、Escherichia coliやファージ等に由来するプロモーターをあげることができる。またPtrp を2つ直列させたプロモーター(Ptrp×2)、tacプロモーター、lacT7プロモーター、letIプロモーターのように人為的に設計改変されたプロモーター等も用いることができる。 リボソーム結合配列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)に調節したプラスミドを用いることが好ましい。 本発明の組換えベクターにおいては、CDP-コリン生成酵素をコードするDNAの発現には転写終結配列は必ずしも必要ではないが、構造遺伝子の直下に転写終結配列を配置することが好ましい。 組換えベクターの導入方法としては、上記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (1972)〕、プロトプラスト法(特開昭63-248394号)、またはGene, 17, 107 (1982)やMolecular & General Genetics, 168, 111 (1979)に記載の方法等をあげることができる。 宿主細胞として酵母を用いる場合には、発現ベクターとして、例えば、YEP13(ATCC37115)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC37419)、pHS19、pHS15等をあげることができる。 プロモーターとしては、酵母菌株中で発現できるものであればいずれのものを用いてもよく、例えば、ヘキソースキナーゼ等の解糖系の遺伝子のプロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーター、gal1プロモーター、gal 10プロモーター、ヒートショックポリペプチドプロモーター、MFα1 プロモーター、CUP 1プロモーター等をあげることができる。 組換えベクターの導入方法としては、酵母にDNAを導入する方法であればいずれも用いることができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Methods Enzymol., 194, 182 (1990)〕、スフェロプラスト法〔Proc.Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1929 (1978)〕、酢酸リチウム法〔J. Bacteriology, 153,163 (1983)〕、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1929(1978)記載の方法等をあげることができる。 微生物がCDP-コリン生成活性の一部しか有していない場合、CDP-コリン生成活性が得られるように、適宜2種以上の微生物を組み合わせて、CDP-コリン生成活性を有する生体触媒として用いてもよい。なお、微生物がCDP-コリン生成活性を有している場合でも、2種以上の微生物を組み合わせることができる。 2種以上の微生物の組合せとしては、上記微生物から選ばれるいずれの組合せでもよく、エシェリヒア(Escherichia)属、セラチア(Serratia)属、バチルス(Bacillus)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、コリネバクテリウム(Corynebacterium)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属、シュードモナス(Pseudomonas)属、ストレプトコッカス(Streptococcus)属、シノリゾビウム(Sinorhizobium)属、ヘモフィラス(Haemophilus)属、アースロバクター(Arthrobacter)属、オーレオバクテリウム(Aureobacterium)属、セルロモナス(Cellulomonas)属、クラビバクター(Clavibacter)属、クルトバクテリウム(Curtobacterium)属、ピメロバクター(Pimerobacter)属、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロマイセス(Schizosaccharomyces)属、クリュイベロマイセス(Kluyveromyces)属、トリコスポロン(Trichosporon)属、シワニオマイセス(Schwanniomyces)属、ピヒア(Pichia)属、キャンディダ(Candida)属等に属する微生物から選ばれる、同一の属に属する微生物、あるいは異なる属に属する微生物の組合せがあげられる。 例えば、コリネバクテリウム属に属する微生物とエシェリヒア属に属する微生物の組合せなどをあげることができ、具体的には、Corynebacterium ammoniagenes ATCC21170とEscherichia coli MM294/pCKG55株(FERM BP-3717)との組合せ(日本特許第3369236号、米国特許第6387667号)等をあげることができる。 CDP-コリン生成活性を有する生体触媒の一つである、CDP-コリン生成活性を有する微生物の培養物としては、上記の微生物を常法に従って培養して得られる培養物をあげることができる。 該微生物が細菌等の原核生物あるいは酵母等の真核生物である場合は、該微生物を培養する培地として、該微生物が資化し得る炭素源、窒素源、無機塩類等を含有し、該微生物の培養を効率的に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれを用いてもよい。 炭素源としては、該微生物が資化し得るものであればよく、グルコース、フラクトース、シュクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンあるいはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、エタノール、プロパノールなどのアルコール類等を用いることができる。 窒素源としては、アンモニア、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等の無機酸もしくは有機酸のアンモニウム塩、その他の含窒素化合物、ならびに、ペプトン、肉エキス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌体およびその消化物等を用いることができる。 無機塩としては、リン酸第一カリウム、リン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。 培養は、振盪培養または通気攪拌培養などの好気的条件下で行う。培養温度は15〜50℃がよく、培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養中のpHは3〜9に保持することが好ましい。pHの調整は、無機または有機の酸、アルカリ性溶液、尿素、炭酸カルシウム、アンモニアなどを用いて行う。 該微生物が形質転換体であって、かつ、該微生物を形質転換するために用いた組換え体DNAが抗生物質耐性遺伝子を保有している場合は、該微生物を培養する培地に、該組換え体DNAが保有する抗生物質耐性遺伝子に対応する抗生物質を添加してもよい。 生体触媒として2種以上の微生物の培養物または該培養物の処理物を用いる場合は、それぞれの微生物を上記方法に従って別々にあるいは同一の培地中で培養して得られる培養物等を用いることができる。 2種以上の微生物を同一の培地中で培養する場合、これらの微生物を同時に培養しても、一つの微生物の培養中、あるいは培養終了後に残りの微生物を該培地中に培養してもよい。 微生物の培養物の処理物としては、上記の手法で得られる微生物の培養物を界面活性剤、有機溶剤またはリゾチーム等の細胞溶解酵素で処理して得られる処理物があげられる。界面活性剤、有機溶剤または細胞溶解酵素はそれぞれ単独で用いて該培養物を処理してもよいし、これらを組合せて処理してもよい。また、上記の手法で得られる微生物の培養物を濃縮機または乾燥機等で濃縮または乾燥処理して得られる該培養物の濃縮物もしくは乾燥物、該培養物をろ過もしくは遠心分離などで固液分離して得られる細胞、該細胞を乾燥機等で乾燥処理して得られる該細胞の乾燥物、該細胞を界面活性剤、有機溶剤、もしくはリゾチームなどの細胞溶解酵素、またはこれらを組合せて処理して得られる該細胞の処理物等も微生物の培養物の処理物としてあげることができる。 該細胞をホモジェナイザー等で破砕した後、さらに塩析処理、等電点沈殿処理、有機溶媒沈殿処理、透析処理、各種クロマトグラフィー処理等、通常の酵素の精製手段を施して得られる粗酵素または精製酵素も該培養物の処理物としてあげることができる。 また、上記微生物の培養物の処理物を水不溶性の単体やゲルなどに固定化し、これを生体触媒として用いてもよい。 2種以上の微生物の培養物の処理物を用いる場合、該処理物を別々にCDP-コリン生成活性を有する生体触媒として用いてもよく、これら処理物の混合物をCDP-コリン生成活性を有する生体触媒として用いてもよい。 生体触媒の使用量は、該生体触媒の比活性等により異なるが、例えば、酵素源として微生物の培養物または該培養物の処理物のいずれかを用いる場合でも、該培養物を遠心分離して得られる湿菌体として、塩化コリン1mgに対して、3〜300mg、好ましくは5〜200mg用いることが好ましい。 コリンまたはホスホリルコリンは、それらの塩として媒体中に添加されてもよい。コリンまたはホスホリルコリンの塩としては、例えば、塩化コリン、臭化コリン、ヨウ化コリンなどのハロゲン化コリン、重炭酸コリン、硫酸メチルコリン、クエン酸二水素コリン、重酒石酸コリン、塩化ホスホリルコリンなどのホスホリルコリンのハロゲン化物などがあげられるが、コリンまたはホスホリルコリンのハロゲン化物が好ましく用いられ、塩化コリン、塩化ホスホリルコリンがさらに好ましく用いられる。 コリンまたはホスホリルコリンもしくはそれらの塩、およびオロット酸またはウラシルは、化学合成して得てもよいし、発酵法などにより生物から得てもよい。また、必ずしも純粋に精製されたものでなくてもよい。また、いずれの基質も市販されており容易に入手可能である。 コリンまたはホスホリルコリンの濃度は、1 mmol/L〜1mol/Lが好ましく、10〜100mmol/Lがさらに好ましい。 必要に応じて媒体に添加される他の成分としては、CDP-コリンの生成に必要なエネルギー供与体、リン酸イオン、マグネシウムイオン、アンモニウムイオン、界面活性剤および有機溶剤などがあげられる。これらの成分は、生体触媒等から必要量が持ち込まれる場合には添加する必要はない。 エネルギー供与体としてはグルコース、フラクトース、シュクロースなどの糖、糖蜜、澱粉加水分解物など、グリシン、アラニンなどのアミノ酸が用いられる。これらは、0.02〜2.0mol/Lの濃度で用いられることが好ましい。 リン酸イオンとしては正リン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸などのポリリン酸、ポリメタリン酸、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウムなどの無機のリン酸塩などを用いることができる。これらのリン酸イオンは、10〜500mmol/Lの濃度で用いられることが好ましい。 マグネシウムイオンとしては硫酸マグネシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどの無機のマグネシウム塩、クエン酸マグネシウムなどの有機のマグネシウム塩を用いることができる。マグネシウムイオンは5〜200mmol/Lの濃度で用いられることが好ましい。 アンモニウムイオンとしてはアンモニア水、アンモニアガス、各種無機あるいは有機のアンモニア塩、酵母エキス、コーンスチープリカーなどを用いることができる。またアンモニウムイオンに代えてグルタミンやグルタミンを含有するペプチドやカザミノ酸などの有機栄養源を用いることもできる。これらのアンモニウムイオンの濃度は10mmol/L〜2mol/Lの濃度で用いられることが好ましい。 界面活性剤としてはジオクチルスルホコハク酸ナトリウム(例えばラビゾールB-80、日本油脂社製)、ラウロイルザルコシネートなどの陰イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレン・セチルエーテル(例えばノニオンP-208、日本油脂社製)などの非イオン性界面活性剤、アルキルジメチルアミン(例えば三級アミンFB、日本油脂社製)などの三級アミン類など、CDP-コリンの生成を促進するものであればいずれでも使用できる。これらは通常0.1〜100g/L、好ましくは1〜50g/Lの範囲で用いられる。 有機溶剤としては、キシレン、トルエン、脂肪族アルコール(メチルアルコール、エチルアルコール、ブチルアルコール等)、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド等があげられる。これらは通常、0.1〜100mL/L、好ましくは1〜50mL/Lの濃度で用いられる。 生体触媒、コリンまたはホスホリルコリンもしくはそれらの塩、およびオロット酸またはウラシルを接触させる媒体としては、生体触媒として使用する微生物を培養するための培地、該微生物の培養物、および培養上清等を用いてもよいし、水性媒体を用いてもよい。 水性媒体としては、水、リン酸緩衝液、HEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N-エタンスルホン酸)緩衝液、トリス[トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン]塩酸緩衝液等の緩衝液をあげることができる。 反応を阻害しなければ媒体に有機溶媒を添加してもよい。有機溶媒としては、アセトン、酢酸エチル、ジメチルスルホキシド、キシレン、メチルアルコール、エチルアルコール、ブタノール等があげられる。 媒体中で生体触媒、オロット酸またはウラシル、およびコリンまたはホスホコリンを接触させ、該媒体中にCDP-コリンを生成蓄積させる場合、媒体中のpHは通常5〜10、好ましくは6〜8に維持し、通常20〜50℃で2〜48時間反応させる。 上記した方法によって、媒体中にCDP-コリンを生成蓄積させることができる。生成蓄積したCDP-コリンは、イオン交換クロマトグラフィー、吸着クロマトグラフィー、塩析等の通常の単離精製手段により単離精製することができる。 上記したCDP-コリンの製造法として、例えば、Corynebacterium ammoniagenes ATCC21170とEscherichia coli MM294/pCKG55株(FERM BP-3717)を生体触媒として用いてCDP-コリンを生産する方法(日本特許第3369236号、米国特許第6387667号)において、オロット酸またはウラシルをアルカリ性溶液として添加してCDP-コリンを製造する方法をあげることができる。 また、別の方法としては、WO99/49073に記載されているUMPとコリンからのCDP-コリンの製造法において、オロット酸またはウラシルからUMPを生成する活性を有する生体触媒を加え、オロット酸またはウラシルをアルカリ性溶液として添加してCDP-コリンを製造する方法をあげることができる。 以下に本発明の実施例を示すが、本発明はこれにより限定されるものではない。オロット酸またはウラシルをアルカリ性溶液として添加するCDP-コリンの生産 Escherichia coli MM294株に酵母由来のCCTおよびCKI遺伝子とEscherichia coli由来のPyrG遺伝子を組み込んだプラスミドpCKG55を導入したEscherichia coli MM294/pCKG55株(日本特許第3369236号、FERM BP-3717)をアンピシリン50mg/Lを含むL培地[バクトトリプトン(ディフコ社製)10g/L、酵母エキス(ディフコ社製)5g/L、NaCl 5g/Lを含みpHを7.2に調整した培地]200mLの入った2Lバッフル付き三角フラスコに接種し、25℃にて24時間220rpmにて回転振とう培養した。この培養液20mLを、グルコース5g/L(別殺菌)、ペプトン(極東製薬工業社製)5g/L、Na2PO4 6g/L、KH2PO4 3g/L、NH4Cl 1g/L、MgSO4・7H2O 250mg/L(別殺菌)およびビタミンB1 4mg/L(別殺菌)の組成からなる2.5Lの液体培地(pH無調整)が入った5L容培養槽に接種し、培養温度28℃、攪拌600rpm、通気量2.5L/分の培養条件下、14%アンモニア水を用いてpH7.0に調整しつつ培養を行った。 上記種培養液の上清中のグルコースが消費された時点で、250mLの培養物を無菌的に採取し、グルコース 5g/L(別殺菌)、ペプトン(極東製薬工業社製)5g/L、Na2PO4 6g/L、KH2PO4 3g/L、NH4Cl 1g/L、MgSO4・7H2O 250mg/L(別殺菌)およびビタミンB1 4mg/L(別殺菌)の組成からなる2.5Lの液体培地(pH無調整)が入った5L容培養槽に接種し、培養温度28℃、攪拌600rpm、通気量2.5L/分の培養条件下、14%アンモニア水を用いてpH7.0に調整しつつ培養を行った。 培養中、培養11時間目から24時間目までの間、グルコース 167g/L、ペプトン 167g/Lの組成からなるフィード液をペリスタポンプにより30mL/時間の速度にて添加した。 一方、Corynebacterium ammoniagenes ATCC21170株を、グルコース 50g/L、ポリペプトン(大五栄養化学社製)10g/L、イーストエキス(大五栄養化学社製)10g/L、尿素 5g/L、(NH4)2SO4 5g/ L、KH2PO4 1g/ L、K2HPO4 3g/L、MgSO4・7H2O 1g/L、CaCl2・2H2O 0.1g/L、FeSO4・7H2O 10mg/L、ZnSO4・7H2O 10mg/L、MnSO4・4〜6H2O 20mg/L、L-システイン 20mg/L、D-パントテン酸カルシウム 10mg/L、ビタミンB1 5mg/L、ニコチン酸 5mg/L、およびビオチン 30μg/L(10規定水酸化ナトリウム溶液を用いてpH7.2に調整)の組成からなる液体培地200mLの入った2Lバッフル付き三角フラスコに接種し、28℃、24時間、220rpmで回転振とう培養した。この培養物 20mLを、グルコース 100g/L、ポリペプトン 10g/L、KH2PO4 1g/L、K2HPO4 1g/L、MgSO4・7H2O 1g/L、CaCl2・2H2O 0.1g/L、FeSO4・7H2O 20mg/L、ZnSO4・7H2O 10mg/L、MnSO4・4〜6H2O 20mg/L、β-アラニン 15mg/L、L-システイン 20mg/L、ビオチン 0.1mg/L、尿素 2g/L(別殺菌)およびビタミンB1 5mg/L(別殺菌)(10規定水酸化ナトリウム溶液を用いてpH7.2に調整)の組成からなる2.5Lの液体培地が入った5L容培養槽に接種し、32℃、攪拌600rpm、通気量2.5L/分の培養条件下、濃アンモニア水でpHを6.8に調整しつつ種培養を行った。 上記種培養物の上清中のグルコースが消費された時点で、350mLの培養液を無菌的に採取し、グルコース 180g/L、KH2PO4 10g/L、K2HPO4 10g/L、MgSO4・7H2O 10g/L、CaCl2・2H2O 0.1g/L、FeSO4・7H2O 20mg/L、ZnSO4・7H2O 10mg/L、MnSO4・4〜6H2O 20mg/L、β-アラニン 15mg/L、グルタミン酸ナトリウム 1g/L、L-システイン 20mg/L、ビオチン 0.1mg/L、尿素 2g/L(別殺菌)およびビタミンB1 5mg/L(別殺菌)(10規定水酸化ナトリウム溶液を用いてpH7.2に調整)の組成からなる2.5Lの液体培地が入った5L容培養槽に接種し、32℃、攪拌600rpm、通気量2.5L/分の培養条件下、濃アンモニア水でpHを6.8に調整しつつ本培養を行った。培養液上清中のグルコースが消費された時点で培養を終了した。 このようにして得られたEscherichia coli MM294/pCKG55株の培養液500mLとCorynebacterium ammoniagenes ATCC21170株の培養液185mLをそれぞれ3本の2L容培養槽に分注し、それぞれに60%(w/v)グルコース溶液を80mL、25%(w/v)MgSO4・7H2Oを25mL、25%(w/v)KH2PO4を160mL、さらに塩化コリンとキシレンをそれぞれ8.4g/L(60mM)、20ml/Lになるように添加した。さらに1本(ポット1)には粉末オロット酸 35mmol/Lを添加した。この混合液を、32℃にて攪拌800rpm、通気量0.2L/分の条件下、10規定の水酸化ナトリウム溶液にてpHを7.2に保ちつつ反応を行った。別の1本(ポット2)は、800mmol/Lのオロット酸を含む6規定の水酸化カリウム溶液にてpHを7.2に保ち、培養槽内にポット1と同量のオロット酸(35mmol/L)が添加された時点より、pH調整剤を10規定の水酸化ナトリウム溶液に切り替えpHを7.2に保ち、32℃にて攪拌800rpm、通気量0.2L/分の条件下反応を行った。残りの一本(ポット3)は、800mmol/Lのウラシルを含む6規定の水酸化カリウム溶液にてpHを7.2に保ち、培養槽内にポット1と同量のウラシル(35mmol/L)が添加された時点より、pH調整剤を10規定の水酸化ナトリウム溶液に切り替えpHを7.2に保ち、32℃にて攪拌800rpm、通気量0.2L/分の条件下反応を行った。これらの混合液を、32℃にて攪拌800rpm、通気量0.2L/分の条件下22時間反応を行った。反応終了後、反応液を遠心分離し、上清を水で100倍希釈後、高速液体クロマトグラフィー分析にてUV検出器により256nmの吸光度を測定することにより、CDP-コリンの生成量を定量した。結果を表1に示す。 以上のとおり、CDP-コリンの製造法において、オロット酸またはウラシルを、オロット酸またはウラシルを含有するアルカリ性溶液として添加することにより、CDP-コリンの生成量が増加し、CDP-コリンを効率よく製造できた。 本発明により、CDP-コリンを工業的に有利に製造する方法が提供される。 シチジン-5’-三リン酸シンセターゼ、コリンキナーゼおよびコリンリン酸シチジルトランスフェラーゼ活性を有するコリネバクテリウム(Corynebacterium)属およびエシェリヒア(Escherichia)属に属する微生物から選ばれる微生物の培養物または該培養物の処理物と、オロット酸またはウラシル、およびコリンまたはホスホリルコリンとを媒体中で接触させ、媒体中にCDP-コリンを生成蓄積させ、該媒体からCDP-コリンを採取するCDP-コリンの製造法において、オロット酸またはウラシルを、媒体のpHをCDP-コリンの製造に適したpHに維持するようにオロット酸またはウラシルを含有するアルカリ性溶液として該媒体に添加することを特徴とするCDP-コリンの製造法。 微生物がコリネバクテリウム・アンモニアゲネス(Corynebacterium ammoniagenes)およびエシェリヒア・コリ(Escherichia coli)に属する微生物から選ばれる微生物である、請求項1記載のCDP-コリンの製造法。 微生物がコリネバクテリウム・アンモニアゲネスATCC21170株およびエシェリヒア・コリMM294/pCKG55(FERM BP-3717)株である、請求項1記載のCDP-コリンの製造法。


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