タイトル: | 特許公報(B2)_ヒドララジン持続放出用医薬組成物および該組成物を含む癌治療薬 |
出願番号: | 2007531093 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | A61K 31/502,A61K 9/22,A61K 47/38,A61K 47/36,A61K 47/12,A61K 47/10,A61P 35/00 |
エストラーダ フローレス,ルイス ドゥエニャス ゴンサレス,アルフォンソ ボルボジャ ガルシア,アルトゥーロ セルナ マルティネス,ラウル リヴェラ エルナンデス,アルフレド モアル ベタンコート,アレハンドロ JP 4814885 特許公報(B2) 20110902 2007531093 20040909 ヒドララジン持続放出用医薬組成物および該組成物を含む癌治療薬 サイコファルマ,エッセ.エ.デ セ.ウヴェ. 507069656 特許業務法人ウィンテック 110000187 エストラーダ フローレス,ルイス ドゥエニャス ゴンサレス,アルフォンソ ボルボジャ ガルシア,アルトゥーロ セルナ マルティネス,ラウル リヴェラ エルナンデス,アルフレド モアル ベタンコート,アレハンドロ 20111116 A61K 31/502 20060101AFI20111027BHJP A61K 9/22 20060101ALI20111027BHJP A61K 47/38 20060101ALI20111027BHJP A61K 47/36 20060101ALI20111027BHJP A61K 47/12 20060101ALI20111027BHJP A61K 47/10 20060101ALI20111027BHJP A61P 35/00 20060101ALI20111027BHJP JPA61K31/502A61K9/22A61K47/38A61K47/36A61K47/12A61K47/10A61P35/00 A61K 31/502 A61K 9/22 A61K 47/10 A61K 47/12 A61K 47/36 A61K 47/38 A61P 35/00 CAplus(STN) REGISTRY(STN) JSTPlus(JDreamII) JMEDPlus(JDreamII) JST7580(JDreamII) 特開昭59−128323(JP,A) 国際公開第03/035029(WO,A1) 特表2005−506998(JP,A) 国際公開第04/037293(WO,A1) 特表2002−541090(JP,A) 特開昭63−101334(JP,A) 国際公開第2004/010997(WO,A1) Blanca Segura-Pacheco et al.,Reactivation of Tumor Suppressor Genes by the Cardiovascular Drugs Hydralazine and Procainamide and Their Potential Use in Cancer Therapy,Clinical Cancer Research,2003年,Vol.9,p.1596-1603 A. Hadi Bilac et al.,Syudies on Prolonged Release Matrix Tablet Formulations of Hydralazine Hydrochloride,Acta Pharmaceutica Turica,2003年,Vol.45,p.11-15 Dinsheet, S.P. et al.,Preparation and Evaluation of Muco-adhesive Buccal Tablets of Hydralazine Hydrochloride,Indian Journal of Pharmaceutical Sciences,1997年,Vol.59(3),p.135-141 4 MX2004000064 20040909 WO2006028362 20060316 2008512450 20080424 9 20070718 磯部 洋一郎 本発明は医薬製品の分野に関し、より詳しくは、それは、癌などの悪性疾患の進行中は発現されないメチル化サプレッサー遺伝子の再活性化剤として有用なヒドララジンの長時間放出のための医薬剤形に関する。それゆえ、該徐放性医薬形態は癌療法における支援手段として使用できる。ヒドララジンは、実験レベルで、種々のサプレッサー遺伝子に対して脱メチル作用を示しており、このことは、該作用が単一の遺伝子に特異的なものではないことを示している。ヒドララジンのサプレッサー遺伝子に対する脱メチル化作用および再活性化作用はともにインビトロおよびインビボで確認されている。 錠剤は、一般には適当な添加剤と混合した1種以上の有効成分を含有する固形医薬剤形であり、いくつかの経路で投与される。錠剤は、適切なダイスとパンチとを備えた機械装置を用いて粉末または顆粒を圧縮して作り上げられる。希釈剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤などの添加剤が、錠剤を処方するときに普通に使用される。着色料、着香料などの他の添加剤も存在していてよい。錠剤の製造には、湿式造粒法、乾式造粒法および直接圧縮法の3つの一般的方法が用いられる。 錠剤は、空気、湿気または光からの作用に対してその成分を保護するために、不快な味またはにおいを隠蔽するために、外観を改善するために、また、胃腸管での有効成分の放出部位を制御するために、被覆されていてもよい。 単純コーティング錠:場合により、錠剤は糖によって被覆され(糖衣錠)、それは水性懸濁液によって適用される。その後、被覆錠は、ワックスの溶媒(クロロホルムなど)中希薄溶液または粉末混合物を用いての艶出しに付される。糖衣の適用に先立って、セラックや酢酸フタル酸セルロースなどの物質からなるコーティングがしばしば適用される。 腸溶コーティング錠:有効成分が胃液による分解または中和を受けやすい場合やそれが胃粘膜層を刺激する可能性がある場合には、腸溶コーティングの利用が推奨される。かかるコーティングは、錠剤が胃を通過してしまうまで有効成分の放出を遅らせるよう設計される。遅延放出なる語は、メキシコ薬局方第7版で用いられており、関連各条に、有効成分の放出に関する試験法および規格が含まれている。 放出時間延長錠:これらは、用量投与後に有効成分の放出が延長された時間にわたって行なわれるよう処方される。かかる医薬剤形を記述するために、持続性放出;持続性作用;復効;持続放出(徐放)などの表現も使用される。しかし、薬局方での目的および放出必要条件については、放出時間延長なる語が用いられる。 経口用放出時間延長錠:慣用の医薬剤形(たとえば錠剤、糖衣錠、カプセル)を用いてある薬物を経口投与し、その薬物の血漿濃度曲線を時間に関して分析すると、典型的なグラフが観察されるが、それによれば、治療に有効な薬物レベルが比較的短い間しか達成されない。ケース1:これが理想的な状況である。血漿薬物濃度が絶えず治療レベル内にある(安全域または治療係数)。ケース2:曲線のピークが中毒血中レベルに達し(MTC(=20mg/mL)、薬物関連有害作用(AR)および中毒徴候が現れる可能性がある。ケース3:極小血漿濃度(MPC=10mg/mL)が無効レベル内にある。 この不都合が生じるのを避けるために、また同時に上述の3つの基本目的を達成するために、医薬品研究の現在の趨勢は、従来の固体経口剤形の場合のように有効成分をいきなり放出されるのではなくて、緩和され、適当に制御された態様で放出する固形経口剤形を見出すことに向いている。放出制御剤形は、以下のように分類できる: 放出遅延剤形:有効成分が全体的に放出されるが、即座にではなく、投与(服用)後ある程度の時間(約2〜4時間)にわたって放出される。目標は、胃液分泌の作用を避け、経口剤形が腸管に到達してはじめて薬物を体液と接触させることである。 これらの剤形は、酸性の胃内環境では不溶性であるが、中性または若干アルカリ性の環境では可溶性である腸溶コーティングを有し、錠剤、糖衣錠またはゼラチンカプセルに上記溶解性特性をもつコーティング(セラックまたはニス剤)の薄層を塗布することによって調製される。 放出時間延長剤形:若干量の有効成分の初期放出ののち、その放出がある時間(少なくとも6〜8時間)続き、治療上有効な血漿薬物レベルが該時間中確保されるような剤形である。このタイプの放出系によって、用量を変更しなくても、あるいは投与の間隔が比較的長く(たとえば8〜12時間)ても、常に治療範囲内の、変動しない治療レベルを得ることができる。 徐放(放出持続)性剤形:これらの系では、有効成分の初期の部分的放出があり、有効成分の放出が一様に、定常的に続き、比較的長時間(12〜24時間)にわたる薬物の治療上有効な血漿レベルが確保される。このタイプの経口薬剤によって、連続した治療上有効な血漿レベルを、常に安全域内で、OROSまたはプッシュプルシステムのように、1日1回というきわめて単純化された投与方式を可能ならしめるのに十分長い時間にわたって得ることができる。 経口投与形態においては明らかなとおり、薬剤の極大放出持続時間は、該剤形が患者の腸管に沿って移動するのに要する時間(24〜48時間)によって定まる。放出時間延長経口形態と徐放性経口形態との間の区別が困難なことがしばしばである。そのため、現在では、両システムは持続放出形態として同一視されており、「徐放」なる語は、薬剤の単回投与できわめて長い時間(数か月あるいは数年)にわたって持続性治療作用を可能ならしめる他の医薬剤形(とくに注射可能なデポ製剤または皮下植込剤)に対して使用されている。しかし、放出時間延長経口剤形と徐放性経口剤形との間には、遅延効果を達成するために適用される機構(すなわち、有効成分がゆっくりと徐々に放出される機構)に関して、かなりの差があるので、両放出形態(放出時間延長と徐放)によって得られる結果の差は実際よりもむしろ理論的なものであるが、かかる区別を維持することを選んだのである。 ヒドララジンの放出時間延長剤形に関しては、米国特許発明明細書US,A,4,606,909が、放出速度を制御するポリマーによって最終的に被覆される均質ペレットを基礎とした製剤処方を開示している。しかし、この文献の明細書に示されているところは、極大濃度ピークの出現が遅延させられるだけであるから、化学的な放出遅延形態に言及しているのであると認めることができる。これに関しては、小腸において、約6.5のpHで、コーティングの完全な侵食が起こったときにはじめて薬物全体が放出されるものであることを考慮に入れるべきである。 米国特許発明明細書US,A,4,606,909の方法によって開発された処方は、ペレットが互いに自由で、独立していることが不可欠であるから、カプセルへ充填するのに適しているだけである。このタイプの処方は、遅延放出系の方法として有用である傾向はあるが、制御された放出の方法としては有用ではない。 きわめて小さい寸法の微粒子または「ファーマソーム」を提供する米国特許発明明細書US,A,4,952,402に記載されているもののように、放出時間延長処方を調製、設計する他の方法がある。米国特許発明明細書US,A,4,606,909米国特許発明明細書US,A,4,952,402ドゥエニャス(Duenas)等、Clinical Research第9巻、2003年5月号、1596〜1603頁、論文「心血管薬ヒドララジンおよびプロカインアミドによる癌抑制遺伝子の再活性化と癌療法におけるそれらの可能な使用法」Higuchi T.:J.Pharm.Sci.1963年12月;52巻:1145〜9頁、「持続作用投薬の機構。固体マトリックス中に分散させた固体薬物の放出速度の理論的解析。」 先行技術には、いくつかの放出時間延長処方調製方法があるが、それらの処方の各々は、異なる特定のタイプの薬剤に適したものである。先行技術から既知の方法のいずれもが、癌を含めての異なる疾患において投与可能で、真に有用かつ有効なヒドララジン含有医薬組成物を得るために応用することはできない。 それゆえ、本発明の目的は、ポリマーマトリックス、有効成分および添加剤を含有する錠剤形態の製剤処方を提供することである。 本発明の他の目的は、当該有効成分を、該有効成分の一定の血中濃度に到達し、それを維持するのに必要な速度で放出する薬物放出延長系を提供することである。 本発明のさらに別の目的は、排泄/消失速度に等しい一定速度でヒドララジンを患者に投与したときの連続静脈内注入の類似濃度にそれの放出が均等となるようなヒドララジンなどの薬物の放出時間延長系を提供することである。 本発明のさらに追加の目的は、それの放出速度が剤形中に残っているヒドララジンの量とは無関係で、該放出速度が所定時間にわたってやはり一定であるヒドララジン放出時間延長系を提供することである。 本発明のさらなる目的は、速やかに治療有効レベルに到達し、所定時間にわたり持続した一様な濃度にあり、投与形態が通常、薬物を直ちに放出する初回量および癌治療に適した延長された放出をもたらす維持量の2段階を包含するごとき、ヒドララジン製剤組成物に基づいた放出時間延長系を提供することである。 本発明は、ヒドララジン放出時間延長医薬組成物に関する。本発明に従えば、求めるところは、速やかに治療有効レベルに到達でき、所定時間にわたり持続した一定濃度にでき、投与形態が通常、ヒドララジンを直ちに放出する初回量および当該医薬組成物が癌治療に有用でありうることを可能ならしめるような割合でヒドララジンの持続した放出をもたらす維持量の2段階からなるごとき、医薬組成物を得ることである。 上記を考慮して、本発明は、文献で報告されており、ヒドララジンの十分に確定されている薬物動態パラメータに基づいている。ドゥエニャス(Duenas)らの知見(Clinical Research第9巻、1596〜1603頁、2003年5月号中の論文「心血管薬ヒドララジンおよびプロカインアミドによる癌抑制遺伝子の再活性化と癌療法におけるそれらの可能な使用法」)に基づけば、適切に要求されるのは、24時間の間におよそ7.58mg/時という放出速度であって、それが、所望の脱メチル化作用を維持し、降圧作用は回避するという報告されている治療に使用することを可能にしてくれるであろう。 本発明の主題である医薬組成物は以下からなる:有効成分としての塩酸ヒドララジン16〜20%;放出速度制限ポリマーとしてのヒドロキシプロピルメチルセルロース42〜44%または42〜46%;希釈剤としての微結晶セルロース25〜28%または27〜29%;放出速度調節用親水性ポリマーとしての事前糊化デンプン10%および滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム0.1〜2%および、所望により、水、短鎖有機アルコール、グリコール、トリオールを主成分とした造粒用溶媒。 本発明の添付図面のグラフに示されているところによれば、本発明の記述に従って調製された若干の放出時間延長薬剤からの結果が提供されているが、それらは、有効成分としてのヒドララジンの理想的な溶解プロファイルにこの上なく近いもののいくつかであると考えられる。 本発明に従い、下記量を用いて、ヒドララジン放出時間延長組成物を調製した:ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208USP 42〜44%微結晶セルロースPH200 25〜28%ヒドララジン 16〜20%事前糊化デンプン 10.00%ステアリン酸Mg 0.1〜2% この組成物の挙動の結果は、図1のグラフに示されており、それは、本発明に従った代表的な組成物の一つについて得られた典型的放出プロファイル(時間に対する放出された薬量[Q])を示しており、これが、およそ20〜22時間にわたる10.823mg/時の一定した薬物放出速度とそれに続く24時間目までの該放出速度の低下を示している。 このことは、本発明に従って調製されたこの組成物の図1に示した典型的放出プロファイルを、「持続作用投薬の機構。固体マトリックス中に分散させた固体薬物の放出速度の理論的解析。Higuchi T.:J.Pharm.Sci.1963年12月;52巻:1145〜9頁」に記載されており、薬物の放出量Qと時間の平方根t1/2との関係を予測するT.ヒグチのマトリックスによる放出の理論に従って数学的に変換したものであり、この特定の場合について、かかる直線的関係が約22時間まで保存されることを示している図2のグラフにおいて認めることができる。 本発明に従い、下記量を用いて、ヒドララジン放出時間延長組成物を調製した:ヒドロキシプロピルメチルセルロース2208USP 44〜46%微結晶セルロースPH200 27〜29%ヒドララジン 16〜20%事前糊化デンプン 10.00%ステアリン酸Mg 0.1〜2% この組成物の挙動の結果は、図3のグラフに示されており、そこでは、本発明に従った代表的な組成物の一つについて得られた他の典型的放出プロファイル(時間に対する放出された薬量[Q])が示されており、これが、およそ20〜22時間の期間にわたる10.323mg/時の一定した薬物放出速度とそれに続く24時間目までの該放出速度の低下を示している。 さらに、図4は、本発明に従って調製されたこの組成物の図3に示した典型的放出プロファイルを、薬物の放出量Qと時間の平方根t1/2との関係を予測するT.ヒグチのマトリックスによる放出の理論に従って数学的に変換したものであるが、この特定の場合について、かかる直線的関係が約22時間まで保存されることを示している。 先に述べたとおり、ここに示した理想的な放出定数はほぼ7.5mg/時であるが、本発明の医薬組成物の上記の例で示された放出速度の場合、放出定数は10mg/時である。経口生体内利用率および薬力学的効果検定 本発明の主題である組成物の生体内利用特性を求めるために、健康な志願者を用いて臨床試験を実施し、本発明で開示した組成に従って調製した放出時間延長錠の形のヒドララジン組成物一回量の経口生体内利用率および薬力学的効果を測定した。この試験の目的は、本発明のヒドララジン放出時間延長組成物の単回投与計画における健康な志願者での生体内利用率を求めること;健康な志願者へ一回量を投与された本発明のヒドララジン放出時間延長組成物が惹起する血行力学的変化を確認すること;本発明のヒドララジン放出時間延長組成物の薬力学的挙動を比較すること、および、遅いまたは速いアセチレーターの表現型をもつ集団間の差を確認することである。これらの目的を達成するために、本発明のヒドララジン放出時間延長組成物を182mg錠の形で調製した。図1は、本発明に包含される組成物の一つから得られた典型的な放出プロファイル(放出薬物量[Q]対時間)を示す。図2は、図1に示した典型的放出プロファイルの数学的変換を示す。図3は、本発明に従った組成物の一つから得られたもう一つ典型的な放出プロファイル(放出薬物量[Q]対時間)を示す。図4は、図3に示した典型的放出プロファイルの数学的変換を示す。 有効成分としての塩酸ヒドララジン16〜20%、該有効成分の放出速度を制限するポリマーとしてのヒドロキシプロピルメチルセルロース42〜44%、希釈剤としての微結晶セルロース25〜28%、放出速度調節用親水性ポリマーとしての事前糊化デンプン10%および滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム0.1〜2%からなるヒドララジン放出時間延長医薬組成物。 有効成分としての塩酸ヒドララジン16〜20%、該有効成分の放出速度を制限するポリマーとしてのヒドロキシプロピルメチルセルロース42〜46%、希釈剤としての微結晶セルロース27〜29%、放出速度調節用親水性ポリマーとしての事前糊化デンプン10%および滑沢剤としてのステアリン酸マグネシウム0.1〜2%からなるヒドララジン放出時間延長医薬組成物。 水、短鎖有機アルコール、グリコールおよびトリオールを主成分とする造粒用溶媒と混合されている請求項1または2に記載のヒドララジン放出時間延長医薬組成物。 20〜22時間につき10.823mg/時或いは10.323mg/時の放出速度である請求項1〜3のいずれかに記載のヒドララジン放出時間延長医薬組成物を含む癌治療薬。