タイトル: | 特許公報(B2)_口内炎の予防または治療のための組成物および方法 |
出願番号: | 2007530409 |
年次: | 2012 |
IPC分類: | A61K 38/00,A61K 31/505,A61P 1/02 |
古川 令 島田 健次郎 ジョーンズ,ディーン ジーグラー,トーマス JP 5066448 特許公報(B2) 20120817 2007530409 20050902 口内炎の予防または治療のための組成物および方法 協和発酵バイオ株式会社 308032666 エモリー ユニバーシティー 504391260 平木 祐輔 100091096 藤田 節 100118773 古川 令 島田 健次郎 ジョーンズ,ディーン ジーグラー,トーマス US 60/607,053 20040903 20121107 A61K 38/00 20060101AFI20121018BHJP A61K 31/505 20060101ALI20121018BHJP A61P 1/02 20060101ALI20121018BHJP JPA61K37/02A61K31/505A61P1/02 A61K 38/43 A23G 3/34 A23G 4/00 A23L 1/06 A23L 1/305 A61K 31/505 A61P 1/02 CA/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN) JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) 特表2004−513957(JP,A) 国際公開第02/100409(WO,A1) 特表2003−508501(JP,A) 特表平08−503699(JP,A) 特開2003−321356(JP,A) 国際公開第2003/088986(WO,A1) 特表2002−520281(JP,A) 特表2004−518758(JP,A) 国際公開第2004/030623(WO,A1) OSAKI,T. et al,Prophylaxis of oral mucositis associated with chemoradiotherapy for oral carcinoma by Azelastine hydrochloride (Azelastine) with other antioxidants,Head Neck,1994年,Vol.16, No.4,p.331-9 吉川佐栄子,癌化学療法の過程で発症の口内炎とアロプリノール含そう液の有効性の検討,医薬ジャーナル,1995年,Vol.31, No.7,1809-12 河田圭司ら,口内炎発症予防を目的としたレバミピド含そう液の使用経験,医薬ジャーナル,2001年,Vol.37, No.5,1610-8 田中輝和ら,ポビドンヨードとプロテアーゼ阻害剤gabexate mesilate(FOY)の併用によるヒト好中球活性酸素の産生阻害と治療関連性口内炎・咽頭炎に対する臨床効果,現代医療,1998年,Vol.30, 増刊2,1505-10 植田栄作ら,アゼラスチン(アゼプチン)の口腔潰ように対する臨床効果と白血球に及ぼす影響,日本口腔科学会雑誌,1993年,Vol.42, No.2,292-300 5 US2005031364 20050902 WO2006028991 20060316 2008512381 20080424 12 20080724 安藤 公祐 本発明は、口内炎の予防または治療に使用するための組成物および方法に関する。 口内炎とは、一般に、舌、歯茎、唇、頬の内側等の口腔内粘膜に生ずる炎症性疾患の総称である。 口内炎の原因としては、歯で噛んだ傷、熱い食事、粘膜の乾燥などにより損傷を受けた口腔内粘膜部分に、口内に内在するウィルスや細菌が感染することが考えられている。また、放射線療法や化学療法の副作用として生ずる口内炎では、活性酸素などの影響で粘膜細胞が損傷を受け、粘膜炎が生じ、さらに口腔内の防御機構が障害され、口内のウィルスや細菌による二次感染が起こる。 特に、放射線療法、化学療法に伴う口内炎は重篤で、敗血症などを併発すると死亡率は40〜60%にも達する[The Lancet, 351, 1501-1505 (1998)]。また、他の原因で発症する口内炎と異なり、痛みのために食事もとれず、Quality of Life(QOL)や医療コストの観点からも非常に重要な問題となっている。 口内炎の治療薬としては、ステロイド系薬剤の塗り薬と貼り薬が知られているが、その効果には個人差が大きい。健康食品関連では、ビタミンB群を中心としたビタミン類、亜鉛、プロポリス、ビフィズス菌、青汁などに多少の効果があると言われているが、必ずしも満足できるものではない。 放射線療法や化学療法による重篤な口内炎の治療に関しては、GM-CSF[European Journal of Cancer, 37(16), 1971-1975 (2001)]、や亜鉛−塩酸カルノシン[Nippon acta radiologica, 62(4), 144-150 (2002)]等が検討されているが、認可された治療薬はまだ無い。 本発明は、口内炎の予防または治療に有効な組成物を提供することを目的とする。 本発明は、以下の(1)〜(20)に関する。(1)グルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩を含有する、口内炎の予防または治療用組成物。(2)グルタチオンが還元型グルタチオンまたは酸化型グルタチオンである、(1)記載の組成物。(3)オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩が、オロット酸フリー体またはオロット酸亜鉛である、(1)記載の組成物。(4)口内炎が、放射線療法または化学療法を原因とする口内炎である、(1)記載の組成物。(5)組成物が、医薬、飲食品または飲食品添加物である(1)記載の組成物。(6)組成物が、チュアブル錠、舌下錠、チューインガム、グミキャンデーまたはドロップである(1)記載の組成物。(7)グルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩を含有する組成物を投与すること含む、口内炎の予防または治療方法。(8)グルタチオンが還元型グルタチオンまたは酸化型グルタチオンである、(7)記載の方法。(9)オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩が、オロット酸フリー体またはオロット酸亜鉛である、(7)記載の方法。(10)口内炎が、放射線療法または化学療法を原因とする口内炎である、(7)記載の方法。(11)組成物を、医薬、飲食品または飲食品添加物として投与する、(7)記載の方法。(12)組成物を、チュアブル錠、舌下錠、チューインガム、グミキャンデーまたはドロップとして投与する、(7)記載の方法。(13)口内炎を予防または治療するために、グルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩を含有する組成物を投与することを含む方法。(14)グルタチオンがγ−L−Glu−L−Cys−Glyの構造を有する還元型グルタチオンである、(13)記載の方法。(15)グルタチオンが、還元型グルタチオン2分子がSS結合により結合したグルタチオンジペプチドである酸化型グルタチオンである、(13)記載の方法。(16)オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩が、オロット酸フリー体またはオロット酸亜鉛である、(13)記載の方法。(17)口内炎が、放射線療法または化学療法を原因とする口内炎である、(13)記載の方法。(18)組成物を、医薬、飲食品または飲食品添加物として投与する、(13)記載の方法。(19)組成物を、チュアブル錠、舌下錠、チューインガム、グミキャンデーまたはドロップとして投与する、(13)記載の方法。(20)医薬、飲食品または飲食品添加物の製造のための、グルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩を含有する組成物の使用。 本発明において、グルタチオンとは、還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオンをいう。 還元型グルタチオンとはγ−L−Glu−L−Cys−Glyの構造を有するトリペプチドを表し、酸化型グルタチオンとは還元型グルタチオン2分子がSS結合により結合したグルタチオンジペプチドを表す。 本発明で用いられる還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオンは、どのような製造法によって得られたものであってもよく、還元型グルタチオンの製造法としては、例えば、酵母等の微生物からの抽出法[Methods in Enzymology, 3, 603 (1957)]、化学合成法[Bull. Chem. Soc. Jpn., 53, 2529 (1980)]、酵素法(特開昭61-74595)等、酸化型グルタチオンの製造法としては、[Acta Biochim. Pol., 17, 175 (1970) ]記載の方法をあげることができる。 以下に、還元型グルタチオンの製造法として、化学合成法、および酵母からの抽出法を例示する。1.還元型グルタチオンの化学合成法 還元型グルタチオンは、[Bull. Chem. Soc. Jpn., 53, 2592 (1980)]記載の方法にしたがって化学合成することができる。 N−ホルミル−L−2−アミノ−4−シアノ酪酸エチルエステルを、エチルL−システイニルグリシネートと縮合して、(4R)−2−[(3S)−3−エトキシカルボニル−3−(ホルミルアミノ)プロピル]−4−(エトキシカルボニルメチルカルバモイル)−2−チアゾリンを取得し、続いてアセトン水溶液中、約−15℃でケン化した後、希薄硫酸(pH4)で処理することにより、ホルミルグルタチオンを得る。次に、0.5mmol/lの硫酸で加水分解することによりホルミル基を除去し、遊離グルタチオンを得る。必要に応じて、さらに精製する。このさらなる精製では、遊離グルタチオンをその銅チオレートに転化した後、硫化水素で処理することにより、純粋なグルタチオンを得ることができる。2.還元型グルタチオンの酵母からの抽出法 還元型グルタチオンは、[Methods in Enzymology, 3, 603 (1957)]記載の方法にしたがって酵母から抽出することができる。 酵母エキスに、等重量の10%トリクロロ酢酸(TCA)を添加する。遠心分離により得られた残留物を、TCAの最初の容積の半分でさらに二回抽出する。抽出物を合わせて、そこに、抽出物の容積の4分の1量の塩化カドミウム溶液を添加する。10mol/lの水酸化ナトリウムを添加することにより溶液のpHを5にした後、重炭酸塩でpH6.5に調整する。沈殿したカドミウム錯体を、0℃で1時間保持した後、氷冷蒸留水で2回洗浄する。沈殿を最少量の2mol/lの硫酸に溶解した後、グルタチオンの取得予想量10mg当たり3mlの0.5mol/lの硫酸を添加する。必要に応じて溶液を濾過し、グルタチオンの存在量を、アリコット単位で求める。溶液を40℃に暖め、グルタチオン10mg当たり2.5mgの酸化銅を含有する酸化銅懸濁液を、穏やかに振とうしながら滴下する。得られた沈殿を、0℃で数時間放置し、遠心分離し、0.5mol/lの硫酸で2回、蒸留水で3回及びメタノールで2回順次洗浄する。遊離グルタチオンを単離するために、グルタチオンの銅錯体を水性懸濁液中、水素により分解し、亜硫酸銅を除去した後の溶液を凍結乾燥により乾燥させる。 本発明の組成物は、還元型グルタチオンまたは酸化型グルタチオンのいずれかを単独で含有する組成物であってもよいし、還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオンを同時に含有する組成物であってもよい。 また、本発明の組成物に含まれる還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオンは、それらの薬理学的に許容される塩として該組成物中に存在してもよい。還元型グルタチオンおよび酸化型グルタチオンの薬理学的に許容される塩(水溶性、油溶性または分散性生成物の形態)としては、例えば、無機酸、有機酸または塩基から形成される通常の非毒性塩または四級アンモニウム塩等があげられる。 無機酸または有機酸から形成される塩としては、例えば、アセテート、アジベート、アルギネート、アスパーテート、ベンゾエート、ベンゼンスルホネート、ビスルフェート、ブチレート、シトレート、カンファレート、カンファスルホネート、シクロペンタンプロピオネート、ジグルコネート、ドデシルスルフェート、エタンスルホネート、フマレート、グルコヘプタノエート、グリセロホスフェート、ヘミスルフェート、ヘプタノエート、ヘキサノエート、ヒドロクロリド、ヒドロブロミド、ヒドロヨーダイド、2−ヒドロキシエタンスルホネート、ラクテート、マレエート、メタンスルホネート、2−ナフタレンスルホネート、ニコチネート、オキサレート、バモエート、ペクチネート、ペルスルフェート、3−フェニルプロピオネート、ピクレート、ピバレート、プロピオネート、スクシネート、タートレート、チオシアネート、トシレートおよびウンデカノエート等をあげることができる。 塩基から形成される塩としては、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミン等の有機塩基との塩、およびアルギニン、リシン等のアミノ酸との塩等をあげることができる。 また、四級アンモニウム塩としては、メチル、エチル、プロピルおよびブチルの塩化物、臭化物ならびにヨウ化物等の低級ハロゲン化アルキル、ジメチルスルフェート、ジエチルスルフェート及びジブチルスルフェート等のジアルキルスルフェート、ジアミルスルフェート、デシル、ラウリル、ミリスチルおよびステアリル等の塩化物、臭化物ならびにヨウ化物等の長鎖ハロゲン化物、アラルキルハライド(例えば、臭化ベンジルおよび臭化フェネチル等)のような薬剤で四級化して取得できる塩等をあげることができる。他の薬理学的に許容される塩としては、スルフェート塩エタノーレートおよびスルフェート塩等がある。 また、本発明では、生体内で還元型グルタチオンに代謝される物質、例えば、N-アセチルシステイン等をグルタチオンの代りに使用することもできる。 本発明において、オロット酸とはウラシル−4−カルボン酸を表し、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩は、微生物由来のもの、化学合成により得られるもの、市販のもの等のいずれを用いてもよい。 微生物由来のオロット酸としては、例えばUS5,013,656記載の製造方法により取得されるオロット酸等があげられる。 オロット酸の誘導体としては、4位のカルボン酸にメチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等炭素数1〜6のアルキル基がエステル結合した4−エステル置換体、1,2,3,6位の水素の一つ以上がメチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等炭素数1〜6のアルキル基またはメチル、エチル、ブチル、プロピル、ペンチル、ヘキシル等炭素数1〜6のアルキル基を持つアルコキシ基に置換された誘導体等があげられる。 オロット酸もしくはその誘導体の薬理学的に許容される塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩、亜鉛塩等の重金属塩、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム等のアンモニウム塩、モルホリン、ピペリジン等の付加した有機アミン付加塩等があげられる。 本発明において、口内炎としては、機械的損傷、口腔内衛生不良、全身状態の低下、癌の治療等を原因とするものがあげられる。 機械的損傷としては、入れ歯が合わない時、歯並びが悪く粘膜に当る時、熱いものを食べ火傷した時、口腔内の粘膜が乾燥している時等に生じ得る機械的損傷があげられる。 口腔衛生不良としては、水分や食事の摂取が不十分で、唾液の分泌が不足している時、歯みがきやうがいなど口の中を清潔にすることができない時等に生じ得る口腔衛生不良があげられる。 全身状態の低下としては、病気や過労などで体力が衰えている時、食事がとれず、貧血やビタミンB2等のビタミン不足などで栄養状態が悪い時、抗生物質やステロイド剤を多く使用している時、白血病や再生不良貧血などの病気がある時等に生じ得る全身状態の低下があげられる。 癌の治療としては、放射線治療、化学療法等の治療があげられる。 本発明における組成物は、医薬、飲食品または飲食品添加物として用いることができる。 本発明の組成物を医薬として用いる場合、経口剤、口洗浄またはうがい製剤、口腔内軟膏剤として用いることが好ましい。 経口剤は、グルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩を必要に応じ担体と一緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られている任意の方法により製造することができる。 経口剤を製剤化する際には、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、分散剤、懸濁剤、乳化剤、希釈剤、緩衝剤、抗酸化剤、細菌抑制剤等の添加剤を用いることができる。 経口剤の剤形としては、チュアブル錠、舌下錠、徐放錠等の錠剤、散剤、顆粒剤、乳剤、シロップ剤、カプセル剤等があげられるが、口内での滞留時間が長いチュアブル錠、舌下錠が好ましい。 例えば、経口剤の剤形が、錠剤、散剤、顆粒剤等の場合には賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、界面活性剤、可塑剤等を添加して製剤化することができる。賦形剤の例としては乳糖、白糖、ブドウ糖、蔗糖、マンニトール、ソルビトール等の糖類、バレイショ、コムギ、トウモロコシ等の澱粉、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、塩化ナトリウム等の無機物、カンゾウ末、ゲンチアナ末等の植物末等があげられる。崩壊剤の例としては澱粉、寒天、ゼラチン末、結晶セルロース、カルメロースナトリウム、カルメロースカルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、アルギン酸ナトリウム等があげられる。滑沢剤の例としてはステアリン酸マグネシウム、タルク、水素添加植物油、マクロゴール、シリコン油等があげられる。結合剤の例としてはポリビニールアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、カルメロース、ゼラチン、澱粉のり液等があげられる。界面活性剤の例としては脂肪酸エステル等があげられる。可塑剤の例としてはグリセリン等があげられる。 経口剤の剤形が乳剤およびシロップ剤等の液体調製物である場合は、水、蔗糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、ごま油、オリーブ油、大豆油等の油類、p−ヒドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリーフレーバ、ペパーミント等のフレーバ類などを添加して、製剤化することができる。上記液体調製物中のグルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩の濃度は、いずれの濃度であってもよく、好ましくは10〜200mmol/l、より好ましくは10〜50mmol/lの濃度をあげることができる。また液体調製物のpHは、グルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩が安定であればいずれのpHであってもよいが、好ましくは4.0〜6.0の範囲をあげることができる。 経口剤の剤形がカプセル剤である場合は、硬カプセルに充填する、またはカプセル基材で被包成型し、軟カプセル剤として製剤化することができる。カプセル基材としては、ゼラチンをあげることができ、軟カプセルでは可塑性を賦与するためにグリセリンまたはソルビトールを添加する。また、必要に応じて色素、遮光剤として酸化チタン、硫酸バリウム、沈降炭酸カルシウム、防腐剤としてパラオキシ安息香酸エステル類を添加することができる。 口洗浄またはうがい製剤は、グルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩に、抗菌剤、界面活性剤、共界面活性剤、油、水および他の添加剤、製剤の技術分野において公知の甘味料/矯味矯臭剤等を添加して製剤化することができる。 口洗浄またはうがい製剤に含有されるグルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩は、いずれの濃度であってもよく、好ましくは10〜200mmol/l、より好ましくは10〜50mmol/lの濃度をあげることができる。また液体調製物のpHは、グルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩が安定であればいずれのpHであってもよいが、好ましくは4.0〜6.0の範囲をあげることができる。 口腔内軟膏剤は、グルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩に、選択された添加剤を組み合わせて調製することができる。添加剤の例としては注射用蒸留水、精製水、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロールナトリウム、乳糖、ソルビット、マンニット、白糖、トウモロコシデンプン、結晶セルロース、ラクチトール、セルロース誘導体、アラビアゴム、トラガントゴム、ゼラチン、ポリソルベート80、タルク、ステアリン酸マグネシウム、水、エタノール、白色ワセリン、グリセリン、脂肪、脂肪油、グリコール類、ステアリルアルコールなどの高級アルコール類、プラスチベース、パラフィン、ミツロウ、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、サッカリン、パインシロップ等があげられる。 本発明の医薬において、グルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩を組み合わせて使用するときには、それぞれの成分を含有するように製剤化したものであれば、単剤(合剤)としてでも複数の製剤の組み合わせとしてでも使用または投与することができる。複数の製剤の組み合わせとして使用する際には、同時にまたは時間をおいて別々に使用または投与することができる。 複数の製剤の組み合わせとして投与する際には、例えば(a)グルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩と、(b)オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩とを、それぞれ上記のように別途製剤化し、キットとして作製しておき、このキットを用いてそれぞれの成分を同時にまたは時間をおいて、同一対象に対して同一経路または異なった経路で投与することもできる。 該キットは2つ以上の容器(例えばバイアル、バッグ等)と内容物とを含む。該容器としては、例えば保存する際に外部の温度や光による内容物である成分の変性、容器からの化学成分の溶出等がみられない容器であれば材質、形状等は特に限定されない。該キットとしては内容物である上記第一成分と第二成分が同一経路または異なった経路で投与可能な形態を有するものが用いられる。 本発明の組成物を医薬としてヒトに投与する場合の投与量および投与回数は、投与形態、年齢、体重、症状などによって異なるが、通常、グルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩として1〜10000mg、好ましくは10〜2000mg、より好ましくは、50〜500mgを1日1回から数回投与する。投与期間は、特に限定はないが、通常は1日間〜1年間、好ましくは1週間〜3ケ月間である。 本発明の飲食品添加剤は、上記で説明した経口剤と同様な方法により調製することができる。当該飲食品添加剤は、通常、必要に応じて他の飲食品添加剤を混合または溶解し、例えば粉末、顆粒、ペレット、錠剤、各種液剤の形態に加工製造される。 本発明の飲食品としては、飲食品中にグルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩を添加したものをあげることができる。 本発明の飲食品は、飲食品中にグルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩を添加する以外は、一般的な飲食品の製造方法を用いることにより、加工製造することができる。 本発明の飲食品は、例えば流動層造粒、攪拌造粒、押し出し造粒、転動造粒、気流造粒、圧縮成形造粒、解砕造粒、噴霧造粒、噴射造粒等の造粒方法、パンコーティング、流動層コーティング、ドライコーティング等のコーティング方法、パフドライ、過剰水蒸気法、フォームマット方法、マイクロ波加熱方法等の膨化方法、押出造粒機やエキストルーダー等の押出方法等を用いて製造することもできる。 本発明の飲食品は、ジュース類、清涼飲料水、茶類、乳酸菌飲料、発酵乳、冷菓、バター、チーズ、ヨーグルト、加工乳、脱脂乳等の乳製品、ハム、ソーセージ、ハンバーグ等の畜肉製品、蒲鉾、竹輪、さつま揚げ等の魚肉練り製品、だし巻き、卵豆腐等の卵製品、クッキー、ゼリー、チューインガム、キャンデー、グミキャンデー、ドロップ、喉飴、スナック菓子等の菓子類、パン類、麺類、漬物類、燻製品、干物、佃煮、塩蔵品、スープ類、調味料等、いずれの形態のものであってもよいが、口内での滞留時間が長いチューインガム、キャンデー、グミキャンデー、ドロップ、喉飴等が好ましい。 また、本発明の飲食品は、例えば粉末食品、シート状食品、瓶詰め食品、缶詰食品、レトルト食品、カプセル食品、タブレット状食品、流動食品、ドリンク剤等の形態のものであってもよい。 本発明の飲食品または飲食品添加剤には、一般的に飲食品に用いられる飲食品添加剤が添加されてもよい。飲食品添加剤の例としては甘味料、着色料、保存料、増粘安定剤、酸化防止剤、発色料、漂白料、防かび剤、ガムベース、苦味料、酵素、光沢剤、酸味料、調味料、乳化剤、強化剤、製造用剤、香料、香辛料抽出物等があげられる。 本発明の飲食品は、口内炎の予防または治療用健康食品または機能性食品等の飲食品として用いることができる。 本発明の飲食品中へのグルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩、または本発明の食品添加剤の添加量は、飲食品の種類、当該飲食品の摂取により期待する効果等に応じて適宜選択されるが、グルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩として、通常は0.1〜90重量%、好ましくは0.3〜70重量%、特に好ましくは1〜50重量%含有するように添加される。 本発明の飲食品の摂取量は、摂取形態、摂取者の年齢、体重等に応じて異なるが、通常成人に対し一日あたりグルタチオンまたはその薬理学的に許容される塩、オロット酸もしくはその誘導体またはそれらの薬理学的に許容される塩として、1〜10000mg、好ましくは10〜2000mg、より好ましくは、50〜500mgであり、1日に1回または数回に分けて摂取する。摂取期間は、特に限定はないが、通常は1日間〜1年間、好ましくは1週間〜3ケ月間である。 グルタチオンおよび/またはオロット酸もしくはその薬理学的に許容される塩による口内炎の治療効果を以下の試験例に示す。試験例1 グルタチオンの猫口内炎に対する治療効果 エイズ(AIDS)を発症し、10年近くインターフェロン投与による治療を行ったにもかかわらず重篤な慢性口内炎の改善が認められなかった猫(15才、体重1.9kg)に対し、1日当たり30mg/kgの還元型グルタチオンを2週間混餌投与した結果、口峽部びらんおよび歯肉炎に顕著な改善が認められ、食欲も改善された。試験例2 オロット酸の犬口内炎に対する治療効果 歯石が原因と思われる軽度の口内炎を発症し、歯肉炎を併発したプードル(14才、体重3.0kg)に対し、オロット酸亜鉛とオロット酸フリー体の等量混合組成物を1日当たり100mg/kgで2週間混餌投与した。その結果、口内炎および歯肉炎が顕著に改善された。試験例3 グルタチオンおよびオロット酸の混合組成物の猫口内炎に対する治療効果 細菌、外傷、歯石などを原因とする口内炎を有する7頭の猫に対し、還元型グルタチオン、オロット酸亜鉛、オロット酸フリー体を1:0.5:1の比率で混合した組成物を1日当たり50mg/kgで混餌投与した。 投与開始後1週間毎に、口内炎の症状について獣医師が評価し、投与開始後2週間以内に症状が改善された場合を「有効」、投与開始後2週間以降に症状が改善された場合を「やや有効」、全く改善されない場合を「無効」、症状が悪化した場合を「悪化」と判定した。 その結果、有効が4例、やや有効が1例、無効が2例、悪化が0例で、有効率71.4%(5/7頭)であった。 以下に、本発明の実施例を示す。実施例1 還元型グルタチオン含有錠剤の調製 以下に記載の処方で、常法により錠剤を調製する。実施例2 還元型グルタチオン含有チューインガムの調製 以下に記載の処方で、常法によりチューインガムを調製する。実施例3 オロット酸亜鉛含有グミキャンデーの調製 以下に記載の処方で、常法によりグミキャンデーを調製する。実施例4 還元型グルタチオンおよびオロット酸亜鉛含有ドロップの調製(1) 以下に記載のあめ基剤と薬剤混合物を用いてドロップを調製する。 あめ基剤の調製は以下のように行う。 マルチトールを水5.5リットルに溶解し、グルコース含有コーンシロップを添加し、十分に混合する。この時点で、必要があれば色素を添加して、所望の色を付与する。色素は、十分に溶解するものを用いる。 上記混合物を、125℃に加熱した蒸気ジャケットケトルに入れる。そこから、混合物を、ポンプで貯蔵容器に入れて、連続クッカーに供給する。シロップがクッカーにおけるコイルを通過するうちに、125〜150℃の温度に到達し、その後、スチーム真空エジェクタにより、真空28〜29インチに維持した受け入れケトルに約6〜7分間供給する。この間に、水含量が約1%以下に減少するまで水が除去され、適当な溶融あめ基剤が形成する。溶融あめ基剤をゆっくりと冷却することで、あめ基剤を調製する。 次に、還元型グルタチオン、オロット酸亜鉛、クエン酸及び模倣フレーバ(粉末状)を、ポリエチレングリコールに添加して薬剤混合物を調製する。次に、該混合物を、約90℃で加熱することにより流動化する。得られた熱流体混合物を、溶融あめ基剤(温度を約100℃又はそれよりもわずかに低い温度に低下させたもの)に、適当に混合しながら迅速に添加する。次に、全塊を、十分に混練した後、スピニングマシーンに移し、それをロゼンジ形成ダイに押し出すことで還元型グルタチオンおよびオロット酸亜鉛含有ドロップを調製する。実施例5 還元型グルタチオンおよびオロット酸亜鉛含有ドロップの調製(2) 実施例4で得られる薬剤混合物添加溶融あめ塊を、冷却テーブルに流し、冷却テーブル上で半固体塊に固化した後、還元型グルタチオンおよびオロット酸亜鉛の単位摂取量を摂取するためのいずれか所望の形状に成形することにより、還元型グルタチオンおよびオロット酸亜鉛含有ドロップを調製する。 本発明により、グルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および/またはオロット酸もしくはその誘導体もしくはそれらの薬理学的に許容される塩を含有する口内炎の予防または治療に有効な組成物が提供される。 10〜2000mgのグルタチオンもしくはその薬理学的に許容される塩、および10〜2000mgのオロット酸もしくはその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する、口内炎の予防または治療用組成物。 グルタチオンが還元型グルタチオンまたは酸化型グルタチオンである、請求項1記載の組成物。 オロット酸またはその薬理学的に許容される塩が、オロット酸フリー体またはオロット酸亜鉛である、請求項1記載の組成物。 口内炎が、放射線療法または化学療法を原因とする口内炎である、請求項1記載の組成物。 組成物が、チュアブル錠、舌下錠、チューインガム、グミキャンデーまたはドロップである請求項1記載の組成物。