タイトル: | 特許公報(B2)_C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患の予後の予測 |
出願番号: | 2007528175 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | G01N 33/576,G01N 33/53 |
伊東 恭悟 佐田 通夫 由谷 茂 小松 誠和 山田 亮 JP 4615567 特許公報(B2) 20101029 2007528175 20060419 C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患の予後の予測 株式会社グリーンペプタイド 304058240 大野 聖二 230104019 森田 耕司 100106840 田中 玲子 100105991 北野 健 100114465 伊東 恭悟 佐田 通夫 由谷 茂 小松 誠和 山田 亮 JP 2005121293 20050419 20110119 G01N 33/576 20060101AFI20101222BHJP G01N 33/53 20060101ALI20101222BHJP JPG01N33/576 ZG01N33/53 N G01N 33/48 - G01N 33/98 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PIRISI,M. et al.,Reactivity to B Cell Epitopes within Hepatitis C Virus Core Protein and Hepatocellular Carcinoma. ,Cancer Res.,1995年,Vol.55, No.1,p.111-114 杉安孝徳,Enzyme-linked Immnunosorbent Assay for Antibodies against Core Protein of Hepatitis C Virus with a Synthetic Oligopeptide. ,福岡医学雑誌,1993年,Vol.84, No.4,p.148-158 TAKAO,Y. et al.,Antibody Reactive to a Hepatitis C Virus (HCV)-Derived Peptide Capable of Inducing HLA-A2 Restricted Cytotoxic T Lymphocytes Is Detectable in a Majority of HCV-Infected Individuals without HLA-A2 Restriction ,Microbiol.Immunol.,2004年,Vol.48, No.7,p.507-517 4 JP2006308233 20060419 WO2006112482 20061026 15 20070906 白形 由美子 本発明は,C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患の予後の予測に関する。より詳細には,本発明は,C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患の,肝炎から肝硬変へ,さらに肝細胞癌への進行を予測する方法,およびかかる方法に用いるためのキットに関する。 C型肝炎ウイルス(HCV)のキャリアは我が国では200万人,全世界では2億人と推定されている。さらにこれらのHCV感染者の多くが慢性肝炎の症状を呈している。慢性C型肝炎は放置しておけば年率2〜3%の割合で肝硬変へと進行し,それらの患者はさらに年率5〜7%の割合で肝癌(肝細胞癌)へと移行する。 C型肝炎ウイルス感染の検出方法としては,高感度の診断法が普及している。スクリーニング法としては,HCVのNS3,4領域に対応したリコンビナント抗原(C100-3)のみを用いた第1世代抗体検査,コア領域,NS3,NS4,NS5(第3世代のみ)に対応した,リコンビナント抗原を用いた第2・第3世代抗体検査が用いられている。また,確定法として,ウイルス抗原遺伝子同定法が存在する。 一方,C型肝炎ウイルス関連肝疾患の診断法としては,患者血清ALT値やAST値などの多種類のマーカーによる肝機能検査,腫瘍マーカーAFPやPIVKA IIの測定,ウイルス量の測定,および生検により線維化および癌化への移行を診断する方法が用いられている。しかし,これらの方法では,C型肝炎ウイルス関連肝疾患の予後を予測することは困難であった。例えばウイルス量が高値だからといって必ずしも肝癌ではないなど,上述のマーカーの測定値が必ずしも肝病変の進行にパラレルではないことが多いためである。 予後を予測しうる新たな検査法として,生体のもつウイルス排除の免疫機能を反映した検査法が開発されている。本発明者らは先に,HCVコア蛋白質のC35ペプチドに対する抗体がC型慢性肝炎患者の血漿中に認められるが,健康人やB型慢性肝炎患者の血漿中には認められないことを見出し,このペプチドに対する抗体を多数の慢性肝炎・肝硬変・肝癌患者(いずれもC型肝炎ウイルス感染者),および健康人の血漿を用いて調べた。その結果,検出の特異性は100%,感度は93%以上であり,C型肝炎ウイルス診断に極めて有効な方法であることが示された。また,この抗体は患者の病態(肝炎・肝硬変・肝癌)およびウイルスの亜種(HCV−1b,2a,2b)には無関係であることが明らかとなった(WO03/025569)。 さらに,前述のコア蛋白質とは別の非構造蛋白質のNS5A−2132ペプチドに対するIgG抗体が,治癒例やHCV初期の慢性肝炎では高値を示すが,病気の進行に伴い低下することを見出した(WO2005/028503)。上述の抗C35ペプチド抗体の血清レベルは持続感染と相関するため,これらの2種類のペプチドに対する抗体価をモニターすることにより,HCV感染の診断と予後の判定,すなわち肝癌への移行の予測が可能となることが示された。 さらに,より確実な予後の予測のために,これらの2種類のペプチドと組み合わせて予後の予測に用いることができる別のマーカーを開発することが求められている。 本明細書において引用される参考文献は以下のとおりである。これらの文献に記載される内容はすべて本明細書の一部としてここに引用する。WO03/025569WO2005/028503 本発明は,C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患の予後の予測に用いることができる新規なマーカーを提供することを目的とする。 本発明者らは,C型肝炎ウイルス感染患者において,肝病変の進行に伴ってHCVコア蛋白質30−39ペプチドに対する抗体価が増加することを見出して,本発明を完成させた。 本発明は,被験者の血液中において,C型肝炎ウイルスコア蛋白質のアミノ酸Gly32を含む連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドに対する抗体の抗体価を測定することを含む,HCV感染に関連する肝疾患の進行を予測する方法を提供する。本明細書においては、HCVペプチドの番号付けは、HCV1bウイルスゲノムのコンセンサス配列によってコードされる全翻訳領域のアミノ酸配列にしたがい、N末端側より順次番号付けを行っている。コンセンサス配列によってコードされるアミノ酸配列を図5に示す。 抗HCV抗体とは,C型肝炎ウイルスに由来するペプチドと結合することができる抗体を意味する。HCVに感染した患者の血清中では,抗HCV抗体を検出することができる。C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患とは,C型肝炎ウイルス感染を原因とする肝臓の疾患を意味し,例えば,肝炎,肝硬変および肝細胞癌が含まれる。肝疾患の進行は,典型的には,慢性肝炎から肝硬変への進行,さらに肝硬変から肝癌への進行である。 より好ましくは,本発明の方法においてはさらに,被験者の血液中において,C型肝炎ウイルスの非構造蛋白質NS5Aのアミノ酸Arg2132を含む連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドに対する抗体価を測定する。 また好ましくは,本発明の方法においてはさらに,C型肝炎ウイルスコア蛋白質のGly33からVal48までのアミノ酸のうち連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドに対する抗体価を測定する。 別の観点においては,本発明は,C型肝炎ウイルスコア蛋白質のアミノ酸Gly32を含む連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドと結合しうる抗HCV抗体により認識されるペプチドを含む,C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患の進行を予測するためのキットを提供する。 好ましくは,本発明のキットは,C型肝炎ウイルスコア蛋白質のアミノ酸Gly32を含む連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドを含む。特に好ましくは,本発明のキットは,IVGGVYLLPR(配列番号1),VGGVYLLPRR(配列番号2)およびGGVYLLPRRG(配列番号3)からなる群より選択されるペプチドを含む。 また好ましくは,本発明のキットはさらに,C型肝炎ウイルスの非構造蛋白質NS5Aのアミノ酸Arg2132を含む連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドと結合しうる抗体により認識されるペプチドを含む。また好ましくは,本発明のキットはさらに,C型肝炎ウイルスコア蛋白質のGly33からVal48までのアミノ酸のうち連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドと結合しうる抗体により認識されるペプチドを含む。 本発明にしたがえば,ウイルス感染の陽性陰性を判定するのみならず,C型肝炎ウイルス感染に関連する疾患の予後を予測することができる。本発明の方法は,従来の肝機能検査と組み合わせることにより,より正確な予後の予測を可能とする。図1は,被験者の血清中の,C30−39ペプチド,NS5A−2132−2140ペプチド,およびC33−42ペプチドに対する抗体価を示す。図2は,被験者の血清中の,C30−39ペプチド,C31−40ペプチド,およびC32−41ペプチドに対する抗体価を示す。図3は,被験者の血清中の,C33−42ペプチド,C34−43ペプチド,C35−44ペプチド,C36−45ペプチドおよびC37−46ペプチドに対する抗体価を示す。図4は,被験者の血清中の,C30−39ペプチドに対する抗体価とC35−44ペプチドに対する抗体価の比率を示す。図5は、HCV1bウイルスゲノムのコンセンサス配列によってコードされる全翻訳領域のアミノ酸配列にしたがい、N末端側より順次番号付けを行っている。コンセンサス配列によってコードされるアミノ酸配列を示す。図中、C30−39ペプチドおよびNS5A−2132−2140ペプチドには下線が付されている。図6−1から図6−16は、HCV1bの種々の単離物のアミノ酸配列のホモロジーを示す。 本発明は,被験者の血液中において,C型肝炎ウイルスコア蛋白質のアミノ酸Gly32を含む連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドに対する抗体の抗体価を測定することを含む,HCV感染に関連する肝疾患の進行を予測する方法を提供する。 C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患とは,C型肝炎ウイルス感染を原因とする肝臓の疾患を意味し,例えば,肝炎,肝硬変および肝細胞癌が含まれる。肝疾患の進行は,典型的には,慢性肝炎から肝硬変への進行,さらに肝硬変から肝癌への進行である。 被験者の血液中の抗体価は,当該技術分野においてよく知られる抗原抗体反応を用いて測定することができる。例えば,典型的なELISA法を用いる場合には,以下のようにして測定を行うことができる。抗原であるペプチドを96ウェルなどの慣用のELISAプレートに結合させ,非特異的吸着を防止するためにプレートを適宜ブロッキングする。次に被験者の血液から調製した血清を適宜希釈してプレートの各ウェルに加えて,所定時間反応する。プレートを洗浄して未結合成分を除去した後,ヒト抗体と結合しうる抗体(例えばウサギ抗ヒト抗体)を加える。IgGを検出することが望まれる場合には,γ鎖特異的抗ヒトIgGを用いることができる。所定時間反応した後,プレートを洗浄し,検出可能なように標識した抗体(例えば抗ウサギIgG)を加える。標識は,酵素,蛍光色素,化学発光物質,ビオチン,放射線化合物等を用いて,当業者によく知られる方法により行うことができる。プレートを所定時間反応した後,適当な基質を加えて基質の減少もしくは生成物の増加を測定するか,または蛍光,発光,放射活性を測定することにより,標識を検出する。このようにして,被験者の血清における特定のペプチドに対する抗体の量を測定することができる。 このような抗原抗体反応により抗体を検出する方法のうち,感度の高い方法の1つとしてxMAP技術がある。これは,Luminex社が開発した蛍光マイクロビーズアレイシステムによるフローメトリー測定法であり,ペプチドを結合させたマイクロビーズと血清とを接触させ,次に,蛍光標識二次抗体を結合させて,フローメトリーにより蛍光強度を測定する。この方法を用いる抗体価の測定の詳細は,下記の実施例に示される。 また,病院の検査室などで抗体価を測定する場合には,免疫クロマト法を用いることができる。この方法は,試験紙上に抗原(または抗体)を線状に分布させた部分を作っておき,検体中の抗体と着色粒子で標識された抗原との複合体が試験紙上を移動する際に,抗原(または抗体)に集中的に捕捉されることで現れる色付きのラインの有無によって定性分析を行う方法である。この方法を用いれば,簡便な設備で短時間(20〜30分以内)で結果を得ることができる。 本発明において検出に用いられるペプチドは,既知のC型肝炎ウイルスの遺伝子配列に基づいて,コア蛋白質のアミノ酸Gly32を含む連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチドを製造することにより得ることができる。本発明において特に好ましいペプチドは,C30ペプチド:IVGGVYLLPR(配列番号1),C31ペプチド:VGGVYLLPRR(配列番号2)およびC32ペプチド:GGVYLLPRRG(配列番号3)である。これらのペプチドは,本発明の作用効果を奏する程度に上記の配列を有していればよく,付加的な配列が含まれていてもよい。当業者であれば,抗体を検出するための抗原ペプチドとして所望の作用効果を奏するためには,すなわち目的とする抗体と特異的に結合することができるためには,そのN末端側およびC末端側にそれぞれどの程度の配列の付加が許容されるかを当然に理解することができる。したがって,例えば,本発明にかかるペプチドのN末端側および/またはC末端側に,融合蛋白質としてペプチドを発現させるのに便利なアミノ酸配列や,ペプチドの製造および精製に便利なアミノ酸配列が付加されていてもよい。また,本発明にかかるペプチドは,抗体との結合の特異性が失われない限り,化学的に修飾されていてもよく,ポリマーや糖鎖が付加されていてもよい。さらに、当該技術分野においてよく知られているように、HCVの種々の株や同じ株の種々の単離物の間に配列のバリエーションが存在する。当業者は、本発明の教示にしたがって、これらのバリエーション配列に対応するペプチド配列を選択することもでき、そのような配列を有するペプチドも本発明の範囲内である。配列のバリエーションの例として、HCV1bの種々の単離物のアミノ酸配列のホモロジーを図6−1から図6−16に示す。 より好ましくは,本発明の方法においてはさらに,被験者の血液中において,C型肝炎ウイルスの非構造蛋白質NS5Aのアミノ酸Arg2132を含む連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチド,例えば,NS5A−2132ペプチド:RYAPACKPL(配列番号4)に対する抗体価を測定する。このペプチドに対する抗体は,HCV感染関連肝疾患の治癒例やHCV初期の慢性肝炎では高値を示すが,病気の進行に伴い低下することが知られている。したがって,上述の本発明の方法と組み合わせることにより,より確実な予後の予測が可能となる。 また好ましくは,本発明の方法においてはさらに,被験者の血液中において,C型肝炎ウイルスコア蛋白質のGly33からVal48までのアミノ酸のうち連続する8個以上のアミノ酸からなるペプチド,例えば,C33ペプチド:GVYLLPRRGP(配列番号5),C34ペプチド:VYLLPRRGPR(配列番号6)またはC35ペプチド:YLLPRRGPRL(配列番号7)に対する抗体価を測定する。これらのペプチドに対する抗体は,HCV感染に関連する慢性肝炎,肝硬変および肝癌の患者の血漿中に高い確率で認められるが,健康人やB型肝炎ウイルスに関連する慢性肝炎患者の血漿中には認められないことが見出されている。すなわち,血清中のこれらのペプチドに対する抗体の存在は,ウイルスの持続感染と相関する。したがって,上述の本発明の方法と組み合わせることにより,ならびにNS5A−2132ペプチドに対する抗体価の測定と組み合わせることにより,より確実な予後の予測,すなわち肝癌への移行の予測が可能となる。 本発明の方法において抗原として用いられるペプチドは,通常の化学的合成法や,目的のアミノ酸配列をコードする塩基配列を発現するように形質転換した宿主を用いた遺伝子組換え技術などにより得ることができる。 目的とするペプチドを化学的合成法で製造する場合には,通常のペプチド化学において慣用されている手法によって製造することができ,例えば,ペプチド合成機を使用して,固相合成法により合成することができる。このようにして得られた粗ペプチドは,タンパク質化学において通常使用されている精製方法,例えば,塩析法,限外ろ過法,逆相クロマトグラフィー法,イオン交換クロマトグラフィー法,アフィニティークロマトグラフィー法などによって精製することができる。 一方,ペプチドを遺伝子組換え技術で生産する場合には,目的のアミノ酸配列をコードするDNA断片を適当な発現ベクターに組込み,この発現ベクターを用いて微生物や動物細胞を形質転換して,得られた形質転換体を培養することによって,所望の該ペプチドを得ることができる。使用できる発現ベクターとしては,当該技術分野において公知であるプラスミド,ウイルスベクターなどを用いることができる。ペプチドの発現および精製を容易にするために,ペプチドを融合蛋白質として発現させる手法も当該技術分野においてよく知られている。 発現ベクターを用いた宿主細胞の形質転換方法としては,慣用の方法,例えば,塩化カルシウム法,リン酸カルシウム共沈殿法,DEAEデキストラン法,リポフェクチン法,エレクトロポレーション法などを使用することができる。得られたペプチドの精製は,培養した培地から回収した細胞抽出液もしくは培養上清から上記精製法により行うことができる。 本明細書において明示的に引用される全ての特許および参考文献の内容は全て本明細書の一部としてここに引用する。また,本出願が有する優先権主張の基礎となる出願である日本特許出願2005−121293号の明細書および図面に記載の内容は全て本明細書の一部としてここに引用する。 以下に実施例により本発明をより詳細に説明するが,本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。 種々の肝疾患を有するHCV感染者と健常人の血清を用いて,以下のペプチドに対する抗体価を測定した:C30−39:IVGGVYLLPR(配列番号1)C31−40:VGGVYLLPRR(配列番号2)C32−41:GGVYLLPRRG(配列番号3)NS5A−2132−2140:RYAPACKPL(配列番号4)C33−42:GVYLLPRRGP(配列番号5)C34−43:VYLLPRRGPR(配列番号6)C35−44:YLLPRRGPRL(配列番号7)C36−45:LLPRRGPRLG(配列番号8)C37−46:LPRRGPRLGV(配列番号9) 検体としては,肝疾患と診断された患者群(慢性肝炎(CH)21例,肝硬変(LC)21例,肝臓癌(HCC)27例)と,健常人(HD)20例を用いた。ペプチドは,Thermo社より純度90%以上のものを購入した。ペプチド結合ビーズの調製 以下の操作は,特に記載のないかぎり,室温(25℃)で行った。フィルタープレートを0.05%Tween−20/PBSで洗浄した。暗所でフィルタープレートの各ウェルにカルボキシビーズ(Luminex社製)を100μlずつ入れて吸引し,0.1M MES(2−モルホリノエタンスルホン酸)緩衝液(pH7.0)で洗浄し,50μlの0.1M MES緩衝液(pH7.0)を加えた。EDC(N−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)−カルボジイミド塩酸塩)(10mg/ml/0.1M MES緩衝液(pH7.0))を各ウェルに10μlずつ添加した。 各ペプチドをジメチルスルホキシドに10mg/mlで溶解して,ペプチド溶液とした。別のプレートの各ウェルで,60μlの0.1M MES緩衝液(pH7.0)および15μlのペプチド溶液の混合物を調製し,各50μlをフィルタープレートの各ウェルに加えた。 暗所で20分間反応させた後,EDC(1mg/ml/0.1M MES緩衝液(pH7.0))を各ウェル10μlずつ添加し,暗所で20分間反応させた。さらにEDC(1mg/ml/0.1M MES緩衝液(pH7.0))を各ウェル10μlずつ添加し,暗所で20分間反応させた。フィルタープレートを吸引した後,1Mトリス塩酸緩衝液(pH7.0)を各ウェル100μlずつ添加し,暗所で室温で15分間反応させた。次に,各ウェルのビーズを0.05%Tween−20/PBSで洗浄し,ブロックエース(登録商標)に0.05%アジ化ナトリウムを入れて調整した保存用溶液で回収した。抗ペプチド抗体測定 被験者から得た血清を10%ブロックエース(登録商標)/PBSで100倍に希釈した。フィルタープレートを0.05%Tween−20/PBSで洗浄し,先に作成したペプチド結合ビーズを5μl/ウェルで添加した。ビーズを0.05%Tween−20/PBSで洗浄した後,希釈血清を100μl/ウェルで加え,室温で2時間反応した。ビーズを0.05%Tween−20/PBSで洗浄し,ビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(γ)抗体を100μl/ウェルで加え,室温で1時間反応した。ビーズを0.05%Tween−20/PBSで洗浄した後,ストレプトアビジン−R−フィコエリスリンコンジュゲート(SAPE)を100μl/ウェルで加え,室温で30分間反応した。次に,Luminex蛍光フローメトリーシステムで蛍光強度を測定した。 各サンプルについて少なくとも50個のビーズを用いて測定を行い,それぞれのビーズの示す蛍光強度の中央値(Median)を抗体価とした。結果を図1および図2に示す。 図1は,被験者の血清中の,C30−39:IVGGVYLLPR(配列番号1),NS5A−2132−2140:RYAPACKPL(配列番号4),およびC33−42:GVYLLPRRGP(配列番号5)に対する抗体価を疾患の進行度別にプロットした結果を示す。C30−39に対する抗体価は,疾患の進行(CH→LC→HCC)とともに上昇し,一方,NS5A−2132−2140に対する抗体価は,疾患の進行とともに低下することがわかる。さらに,C33−42に対する抗体価は,疾患の進行とは無関係にHCV感染者において高い値を示すが,健康なドナーでは低いことがわかる。すなわち,この3種類のペプチドに対する抗体測定を行うことによりC型肝炎ウイルス感染の診断と予後の判定,すなわち慢性肝炎から肝硬変や肝癌への移行の予測が可能となることが示された。 図2は,被験者の血清中の,C30−39:IVGGVYLLPR(配列番号1),C31−40:VGGVYLLPRR(配列番号2),およびC32−41:GGVYLLPRRG(配列番号3)に対する抗体価を疾患の進行度別にプロットした結果を示す。C31およびC32に対する抗体価も,C30に対する抗体価と同様に,疾患の進行とともに上昇することが示された。 図3は,被験者の血清中の,C33−42:GVYLLPRRGP(配列番号5),C34−43:VYLLPRRGPR(配列番号6),C35−44:YLLPRRGPRL(配列番号7),C36−45:LLPRRGPRLG(配列番号8)およびC37−46:LPRRGPRLGV(配列番号9)に対する抗体価を疾患の進行度別にプロットした結果を示す。これらのいずれのペプチドに対する抗体価も,疾患の進行とは無関係にHCV感染者において高い値を示すが,健康なドナーでは低いことがわかる。すなわち,これらのペプチドに対する抗体価を,上述のC30,C31またはC32ペプチドに対する抗体価と組み合わせることにより,HCV感染関連肝疾患のより正確な予後の予測が可能となる。 既に知られているように,C35−44に対する抗体価は,疾患の進行とは無関係にHCV感染者において高い値を示すが,HCV非感染の健康なドナーでは低い。一方,図1で示されるように,C30−39に対する抗体価は,疾患の進行とともに上昇する。そこで,被験者の血清中の,C30−39:IVGGVYLLPR(配列番号1)に対する抗体価と,C35−44:YLLPRRGPRL(配列番号7)に対する抗体価の比を計算した。その結果,図4に示されるように,C30/C35の値を用いると,疾患の進行と抗体価の相関がより明確に示された。なお,HCC患者と健康なドナーとではC30/C35の値が同様であるが,健康なドナーではC35に対する抗体価が有意に低いため,HCC患者と健康なドナーとは容易に判別することが可能である。すなわち,C30ペプチドに対する抗体価とC35ペプチドに対する抗体価を組み合わせることにより,HCV感染関連肝疾患のより正確な予後の予測が可能となる。 本発明は,C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患の診断と予後の予測に有用である。 被験者の血液中において,配列番号1〜4からなる群より選択されるペプチドに対する抗体の抗体価を測定することを特徴とする,HCV感染に関連する肝疾患の進行を予測する方法。 C型肝炎ウイルス感染に関連する肝疾患の進行を予測するためのキットであって,配列番号1〜4からなる群より選択されるペプチドを含むキット。 肝疾患の進行が,慢性肝炎から肝硬変への進行である,請求項2に記載のキット。 肝疾患の進行が,慢性肝炎または肝硬変から肝癌への進行である,請求項2に記載のキット。配列表