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タイトル:特許公報(B2)_イソシアナートの製造方法、およびアミン塩酸塩の製造方法
出願番号:2007526055
年次:2012
IPC分類:C07C 263/10,C07C 265/14,C07C 209/00,C07C 209/68,C07C 211/63,C08G 18/72


特許情報キャッシュ

島川 千年 森尻 博之 林 秀俊 深津 典彦 小林 誠一 湯本 誉 石山 淳一 土山 慎也 JP 4861322 特許公報(B2) 20111111 2007526055 20060720 イソシアナートの製造方法、およびアミン塩酸塩の製造方法 三井化学株式会社 000005887 速水 進治 100110928 佐藤 浩司 100127074 島川 千年 森尻 博之 林 秀俊 深津 典彦 小林 誠一 湯本 誉 石山 淳一 土山 慎也 JP 2005213148 20050722 20120125 C07C 263/10 20060101AFI20120105BHJP C07C 265/14 20060101ALI20120105BHJP C07C 209/00 20060101ALI20120105BHJP C07C 209/68 20060101ALI20120105BHJP C07C 211/63 20060101ALI20120105BHJP C08G 18/72 20060101ALI20120105BHJP JPC07C263/10C07C265/14C07C209/00C07C209/68C07C211/63C08G18/72 Z C07C 263/10 C07C 211/63 C07C 265/14 特開2003−286241(JP,A) 特開平07−233137(JP,A) 特開平07−309827(JP,A) 特開平03−204851(JP,A) 特開平03−007253(JP,A) 特開2004−244377(JP,A) 12 JP2006314417 20060720 WO2007010996 20070125 19 20070809 安田 周史 本発明は鎖状脂肪族または環状脂肪族アミンを塩化水素と反応させる工程(造塩工程)を有する、鎖状脂肪族または環状脂肪族イソシアナートの製造方法に関する。本発明は、さらに、前記の製造方法により得られた鎖状脂肪族または環状脂肪族イソシアナートおよびその用途に関する。 イソシアナート化合物は、化学工業、樹脂工業、塗料工業等の分野において用いられるポリウレタン系材料、ポリ尿素系材料、ポリイソシアヌレート系材料等の原料として有用である。 特に、硫黄原子等を含有するポリウレタン系材料を用いたプラスチックレンズは、無機レンズに比べ軽量で割れ難く、染色が可能なため近年、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子用途に急速に普及してきている。 上記のプラスチックレンズ用の樹脂の原料をはじめとする各種用途において重要なイソシアナート類の製造方法については、さらなる製造法の合理化が求められており、既に各種の提案がなされている。 イソシアナートの製造方法としては、原料アミンをホスゲンと反応させるホスゲン法が代表的である。ホスゲン法としては、原料アミンにホスゲンを直接反応させる直接法と、原料アミンを塩酸塩にした後にホスゲンと反応させる塩酸塩法とが広く知られている。 直接法は塩酸塩法よりもはるかに簡便な方法であるが、中間体であるカルバモイルクロリド又はイソシアナートと、原料アミンとが反応してウレアを副生することが多い。芳香族イソシアナートを製造する場合には、副生したウレアが更にホスゲンと反応してイソシアナートを生成するので、比較的高収率で製品が得られ、ウレアの副生は通常問題とはならない。しかしながら、鎖状脂肪族または環状脂肪族アミンとホスゲンを直接法で反応させる場合、副生したウレアがホスゲンと反応するため、塩素誘導体を副生する事が知られている(例えば、特許文献1参照)。塩素誘導体は、通常で、3〜10%、多い時には20%近くも副生する事があり、収率低下を来たすと共に、使用したウレタン等の樹脂の物性にも悪影響を与えるおそれがあるため、通常直接法は採用されない。すなわち、鎖状脂肪族又は環状脂肪族イソシアナートを製造する場合、ウレアの副生を抑制する為に、原料アミンを塩酸塩とした後、ホスゲンと反応させてイソシアナートを製造する塩酸塩法が用いられている(例えば、特許文献2〜5参照)。 これらの特許文献のうちでも特許文献3〜5には、原料アミンを有機溶媒中等であらかじめ塩酸塩とした後、ホスゲンと反応させてイソシアナートを製造する方法が記載されている。英国特許第1086782号公報特開昭50−108239号公報特開平11-310567号公報英国特許第1146664号公報特開2003-286241号公報 しかしながら、塩酸塩法では、得られる塩酸塩スラリーの粘度の上昇が、生産性の低下等の不利益をもたらし、その解決が望まれていた。例えば、塩酸塩法では、通常、原料アミンを溶解した有機溶媒中に塩化水素ガスを吹き込んで、造塩(塩酸塩の製造)する方法が一般的である。このとき、原料アミン濃度を工業的に有利な、例えば、5重量%以上の条件で塩化水素ガスと反応させると、反応の進行に従い、塩酸塩スラリーの粘度が例えば5000〜10000mPa・sに上昇し、塩酸塩スラリーの流動性低下が生じ、ポンプ等による塩酸塩の移液が困難となる場合がある。移液が困難であることによる生産性の低下は、連続的に造塩を行う際に、特に重大である。 本発明者らは、上述の課題を解決するために鋭意検討した結果、2官能以上の鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩製造時の圧力を、大気圧よりも0.01MPa以上、0.1MPa以下の範囲で高い条件とする事で、塩酸塩スラリーの粘度を低下させることが可能であることを見出し、本発明に至った。塩酸塩スラリーの粘度低下により流動性が向上すれば、良好な移液性を備えた塩酸塩が得られ、塩酸塩の生産性の向上(特に、連続的に造塩反応を行う際の生産性の向上)に、特に有益である。 また、2官能以上の鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩の製造時の圧力を上記の条件とする事で、塩酸塩スラリー中の塩酸塩粒子の粒径増大を抑制することができ、塩酸塩スラリーの粘度の上昇を抑制することができるばかりか、ホスゲン化の際の塩酸塩転化率の向上を通じて、イソシアナートの収率を向上させる場合があることをも見出した。 即ち、本発明は、(1)2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと塩化水素とを反応させて、鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩を得る工程を有する鎖状脂肪族または環状脂肪族イソシアナートの製造方法であって、前記工程が大気圧より0.01MPa以上、0.1MPa以下の範囲で高い圧力下で行われる、鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法に関する。 以下、(2)から(9)は、それぞれ本発明の好ましい実施形態の1つである。 (2)前記工程が、槽型反応機内の有機溶媒中で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと塩化水素とを反応させる工程である、(1)に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 (3)前記工程が、有機溶媒中で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと、該有機溶媒中に吹き込まれた塩化水素とを反応させる工程である、(1)に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 (4)BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した、前記工程により得られる鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩を含むスラリーの粘度が2000mPa・s以下である、(1)から(3)のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 (5)前記工程における反応温度が、−20℃以上、180℃以下である、(1)から(3)のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 (6)前記工程において、少なくとも1種類の有機芳香族系溶媒を用いる、(1)から(3)のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 (7)前記2官能以上の鎖状脂肪族アミン又は環状脂肪族アミンが、1級のアミノ基を有する化合物である、(1)から(3)のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 (8)前記鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートが、2官能以上の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートであって、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン、ヘキサメチレンジイソシアナート、およびビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選ばれる1つ以上の化合物である(1)から(3)のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 (9)前記工程において、反応系内の全アミン濃度が5重量%以上40重量%以下である、(1)から(3)のいずれか1項に記載の、鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 また、本発明は、(10)大気圧より0.01MPa以上、0.1MPa以下の範囲で高い圧力下で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと塩化水素とを反応させる、鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩の製造方法に関する。 以下、(11)から(12)は、それぞれ本発明の「鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩の製造方法」における好ましい実施形態の1つである。 (11)槽型反応機内の有機溶媒中で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンを塩化水素と反応させる、(10)に記載の鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。 (12)有機溶媒中で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと、該有機溶媒中に吹き込まれた塩化水素とを反応させる、(10)に記載の鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。 本発明によれば、2官能以上の鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩製造時の圧力を大気圧よりも0.01MPa以上、0.1MPa以下の範囲で高い条件とする事で、得られる鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩スラリーの粘度を低下させることが可能になる。これにより、塩酸塩スラリーの流動性及び移液性が向上し、連続造塩反応に特に好適な、良好な移液性を備えた塩酸塩の製造が可能となるため、塩酸塩の生産性が向上する。 以下、本発明を詳細に説明する。 本発明の「鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法」は、鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと塩化水素とを反応させて、鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩を含むスラリーを得る工程(以下、「造塩反応工程」ともいう。)を有する。さらに、前記イソシアナートを製造するには、前記工程により得られたアミン塩酸塩にホスゲンを反応させる工程(以下、「ホスゲン化工程」ともいう。)を経ることにより、アミン塩酸塩をホスゲン化してイソシアナートを製造する。 造塩反応工程 本発明において、造塩反応は、反応機の圧力を大気圧より0.01MPa以上高い圧力下、好ましくは0.02MPa以上、より好ましくは0.03MPa以上高い圧力下で行う。これにより、造塩反応で得られる塩酸塩スラリーの粘度を低下させること、好ましくは2000mPa・s以下とすることができる。なお、スラリーの粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した値である。 このような圧力下で造塩反応を行う本発明の製造方法によれば、塩酸塩スラリーの粘度低下により流動性及び移液性が向上し、連続造塩反応に特に好適な、良好な移液性を備えた塩酸塩の製造が可能となる。したがって、塩酸塩の生産性を向上させることができる。 さらに、本発明の製造方法によれば、塩酸塩スラリーの粘度を上記の範囲とすることができるため、塩酸塩スラリーの攪拌効率の向上による未反応原料アミンの減少、および未反応原料アミンから生ずる塩素誘導体の減少が可能となる場合がある。その結果、造塩反応時における原料アミンの転化率が向上し、イソシアナートの収率の向上等の効果が得られる場合がある。またさらに、本発明の製造方法によれば、塩酸塩スラリーに含まれる塩酸塩粒子の粒径の増大を抑制し、塩酸塩粒子の微細化が可能となる場合がある。これにより、塩酸塩スラリーの粘度の上昇を抑制することができるばかりか、ホスゲン化の際の塩酸塩転化率の向上を通じて、イソシアナートの収率の向上が可能となる場合がある。 本発明においては、前記鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンが2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは2官能以上の環状脂肪族アミンであることが好ましい。前記鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンが2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは2官能以上の環状脂肪族アミンであると、造塩反応により2官能以上の鎖状脂肪族アミン塩酸塩または2官能以上の環状脂肪族アミン塩酸塩を得ることができる。さらに、これらの塩酸塩をホスゲン化することにより、2官能以上の鎖状脂肪族イソシアナートまたは2官能以上の環状脂肪族イソシアナートを得ることが可能である。2官能以上の鎖状脂肪族イソシアナートまたは2官能以上の環状脂肪族イソシアナートは、活性水素含有基を2個以上持つ化合物と反応させることで、ポリウレタン等の高分子化合物を得ることができるので、実用上高い価値を有する。 また、本発明においては、前記造塩反応工程は、反応の安定性、反応に寄与する各成分の溶解度等の観点から、有機溶媒中で行われることが好ましい。 本発明においては、前記造塩反応工程で用いる反応機としては、槽型反応機、特に内部を攪拌する攪拌機を備えた槽型反応機であることが好ましい。本発明において槽型反応機とは、反応に関与する物質(反応物、生成物、溶媒等)の少なくとも一部が、液相でその内部に存在する反応容器を備える反応機であって、攪拌翼の径(D1)と、反応容器の内径(D2)とが、D1/D2≦0.85の関係を満たす反応機である。さらに、本発明において用いられる槽型反応機は、槽径(D)と槽長(L)の比(D/L)が0.1以上、5.0以下の比率であるものが望ましい。D/Lが0.1以上であれば、塩化水素ガスを良好に除去することができるので、得られる塩酸塩がホイップ状を呈し流動性が悪化するという現象を有効に抑制することができる。D/Lが5.0以下であれば、均一な攪拌が容易であり、未反応アミン増加等の問題を有効に抑制することができる。このような効果のバランスの観点から、上記D/L比が0.5以上、1.5以下である反応機がさらに望ましい。 造塩反応は、槽型反応機内に有機溶媒、好ましくは有機芳香族系溶媒を敷液し、所定の温度に昇温後、アミンを溶解した溶媒を滴下と同時に塩化水素ガスを装入する方法、敷液した溶媒を所定の温度に昇温し、予め塩化水素ガスを吸収させた後、アミン溶解液を滴下と同時に塩化水素ガスを装入する方法、或いは、アミンを溶解した溶媒を、所定の温度に昇温後、塩化水素ガスを装入する方法などの各種の方法で行うことができる。上記例示のいずれかの方法で行うことが好ましいが、これら以外の方法で行うことを排除するものではない。いずれの方法においても、反応効率の観点から、塩化水素ガスの挿入にあたっては、塩化水素ガスを有機溶媒中に吹き込むことが好ましい。 造塩反応で得られる塩酸塩スラリーを、粘度2000mPa・s以下、あるいは原料アミン転化率99mol%以上もの好ましいレベルとする観点から、本発明の造塩反応を行う槽型反応機内の圧力は、大気圧よりも0.01MPa以上高圧とする。大気圧よりも0.02MPa以上高圧であればより好ましい。大気圧よりも0.03MPa以上高圧であれば、更に好ましい。 一方、大気圧下で造塩反応を行った場合、塩酸塩スラリー中の塩酸塩粒子の粒径が大きくなったり、塩酸塩スラリーの粘度が上昇するため、移液性の低下や流動性低下による反応機内の攪拌効率低下を招く。そのため、未反応アミンの増加や、ホスゲンとの反応時において生成する塩素化物の増加を招く場合がある。 本発明においては、造塩反応時の圧力の上限値を、大気圧よりも1.0MPa以下とすると、塩酸塩スラリー中の塩化水素ガスの溶解度が上がり、造塩反応時の反応速度が向上する効果があるので好ましい。更に、流動性が向上するため、塩酸塩スラリーの移液性も良好となるので好ましい。大気圧よりも0.5MPa以下の加圧条件であればより好ましく、大気圧よりも0.3MPa以下の加圧条件であれば更に好ましい。造塩反応機内圧力が極端に高いと、塩化水素ガスの抜けが悪くなり、塩酸塩スラリーがホイップ状を呈し流動性が逆に悪化するという問題を生ずる場合がある。 なお、造塩反応時の圧力の下限値と上限値は任意の組み合わせとすることができる。本発明においては、上記効果の観点から、大気圧より0.01MPa以上、1.0MPa以下の範囲で高い圧力下において造塩反応を行うことが好ましく、大気圧より0.01MPa以上、0.5MPa以下の範囲で高い圧力下において造塩反応を行うことがより好ましい。 本発明の製造方法によれば、原料アミンの転化率を、99mol%以上とすることができる場合がある。原料アミンの転化率が99mol%以上であると、イソシアナートの収率が高く、また、副生成物の影響を抑制できるので好ましい。 原料アミンの転化率は、以下の様にして測定される。造塩反応終了後のスラリー中に残存するアミンを中和滴定して、残存アミンのモル数を得る。これと、仕込んだアミンのモル数とから、下記式によりアミン転化率を算出する。 式:アミン転化率=((仕込んだアミンのモル数−残存アミンのモル数)/仕込んだアミンのモル数)X100 本発明における全アミン濃度は、工業的生産効率を考慮すると、5重量%以上40重量%以下が望ましい。全アミン濃度は、造塩反応機における仕込アミン量を、造塩反応機における仕込原料の総重量で割って算出した値である。 5重量%以上であれば、生産効率が高いので好ましく、40重量%以下であれば、塩酸塩スラリーの流動性の悪化、スラリー粘度上昇による攪拌効率低下、未反応アミン増加、移液性低下、ホスゲンとの反応時における塩素化物の増加等の問題を有効に抑制することができる。同様の理由により、全アミン濃度は好ましくは5重量%以上、35重量%以下、より好ましくは5重量%以上30重量%以下が好ましい。 本発明における造塩反応時の温度は、未反応アミンの低減及び、未反応アミンに由来する塩素誘導体の副生防止、生成する塩酸塩粒子径の微細化、又、次のホスゲンとの反応へ移行する際の熱バランス等を考慮すると、−20℃以上、180℃以下が好ましい。 −20℃以上であれば、塩酸塩粒子が凝縮し難く、造塩時に塊状の塩酸塩が生成する現象を有効に抑制することができる。180℃以下であれば、生成する塩酸塩の性状がホイップ状を呈し、流動性が損なわれ、塩酸塩の移液が困難となる現象を有効に抑制することができる。造塩反応時の温度は−20℃以上、180℃以下が好ましく、より好ましくは60℃以上、175℃以下であり、更に好ましくは100℃以上、170℃以下が好ましい。 ホスゲン化工程 造塩反応により得られた塩酸塩とホスゲンとの反応は、常圧及び加圧下のいずれで行う事も可能であるが、常圧でホスゲン化を行う方が、副生塩化水素ガスによる副反応抑制の点から好ましい。又、ホスゲンとの反応温度は、反応速度及び、生成するイソシアナートのタール化抑制の面から、120℃以上、180℃以下、好ましくは130℃以上、175℃以下、更に好ましくは150℃以上、170℃以下の範囲が好適である。 本発明における、造塩反応時のアミンと塩化水素ガスの当量比は、アミン1.0に対し塩化水素ガスが、1.0以上、2.5以下、好ましくは1.1以上、2.0以下であることが望ましい。1.0以上であると原料アミンの転化率を高く保つことができ、2.5以下であると経済性の面から工業的により有利である。 本発明において好ましく用いられる2官能以上の鎖状脂肪族アミン又は環状脂肪族アミンに特に制限はないが、代表的なものとしては、ヘキサメチレンジアミン、2,2−ジメチルペンタンジアミン、2,2,4−トリメチルヘキサンジアミン、ブテンジアミン、1,3−ブタジエン−1,4−ジアミン、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジアミン、1,6,11−ウンデカトリアミン、1,3,6−ヘキサメチレントリアミン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、ビス(アミノエチル)カーボネート、ビス(アミノエチル)エーテル、リジンジアミノメチルエステル、リジントリアミン、キシリレンジアミン、ビス(アミノエチル)ベンゼン、ビス(アミノプロピル)ベンゼン、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジアミン、ビス(アミノブチル)ベンゼン、ビス(アミノメチル)ナフタリン、ビス(アミノメチル)ジフェニルエーテル、ビス(アミノエチル)フタレート、メシチリレントリアミン、2,6−ジ(アミノメチル)フラン、等の鎖状脂肪族アミン、 ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジアミン、シクロヘキサンジアミン、メチルシクロヘキサンジアミン、ジシクロヘキシルジメチルメタンジアミン、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジアミン、2,5−ビス(アミノメチル)ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2,6−ビス(アミノメチル)ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、3,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(アミノメチル)トリシクロデカン、ビス(アミノメチル)ノルボルネン等の環状脂肪族アミン、 ビス(アミノメチル)スルフィド、ビス(アミノエチル)スルフィド、ビス(アミノプロピル)スルフィド、ビス(アミノヘキシル)スルフィド、ビス(アミノメチル)スルホン、ビス(アミノメチル)ジスルフィド、ビス(アミノエチル)ジスルフィド、ビス(アミノプロピル)ジスルフィド、ビス(アミノメチルチオ)メタン、ビス(アミノエチルチオ)メタン、ビス(アミノエチルチオ)エタン、ビス(アミノメチルチオ)エタン、1,5−ジアミノ−2−アミノメチル−3−チアペンタン等の含硫鎖状脂肪族アミンが挙げられる。 上述の造塩反応で得られたアミン塩酸塩をホスゲンと反応させて得られるイソシアナートには特に制限はないが、代表的なものとして、ヘキサメチレンジイソシアナート、2,2−ジメチルペンタンジイソシアナート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアナート、ブテンジイソシアナート、1,3−ブタジエン−1,4−ジイソシアナート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアナート、1,6,11−ウンデカトリイソシアナート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアナート、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、ビス(イソシアナトエチル)カーボネート、ビス(イソシアナトエチル)エーテル、リジンジイソシアナトメチルエステル、リジントリイソシアナート、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトエチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトプロピル)ベンゼン、α,α,α',α'−テトラメチルキシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトブチル)ベンゼン、ビス(イソシアナトメチル)ナフタリン、ビス(イソシアナトメチル)ジフェニルエーテル、ビス(イソシアナトエチル)フタレート、メシチリレントリイソシアナート、2,6−ジ(イソシアナトメチル)フラン、等の鎖状脂肪族ポリイソシアナート、 ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、ジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、シクロヘキサンジイソシアナート、メチルシクロヘキサンジイソシアナート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアナート、2,2−ジメチルジシクロヘキシルメタンジイソシアナート、2,5−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、2,6−ビス(イソシアナトメチル)ビシクロ−〔2,2,1〕−ヘプタン、3,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、3,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,8−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、4,9−ビス(イソシアナトメチル)トリシクロデカン、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン等の環状脂肪族ポリイソシアナート、 ビス(イソシアナトメチル)スルフィド、ビス(イソシアナトエチル)スルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)スルフィド、ビス(イソシアナトヘキシル)スルフィド、ビス(イソシアナトメチル)スルホン、ビス(イソシアナトメチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトエチル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトプロピル)ジスルフィド、ビス(イソシアナトメチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)メタン、ビス(イソシアナトエチルチオ)エタン、ビス(イソシアナトメチルチオ)エタン、1,5−ジイソシアナト−2−イソシアナトメチル−3−チアペンタン等の含硫鎖状脂肪族イソシアナートなどが挙げられる。 本発明の製造方法により得られる上記例示化合物の中で、各種の光学素子用途において特に好ましい化合物としては、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン、ヘキサメチレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンが挙げられる。 本発明に用いられる溶媒には特に制限は無いが、造塩反応時には塩酸溶解度が大きく、ホスゲン化時にはホスゲン溶解度が大きく、かつ塩酸溶解度が小さい高沸点有機芳香族化合物を用いることが望ましい。代表的な有機芳香族化合物としては、1,2−ジエチルベンゼン、1,3−ジエチルベンゼン、1,4−ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、アミルベンゼン、ジアミルベンゼン、トリアミルベンゼン、ドデシルベンゼン、p−シメン、クメン、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル、安息香酸プロピル、安息香酸イソアミル、安息香酸ベンジル、サリチル酸メチル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル、ジイソアミルエーテル、n−ヘキシルエーテル、オルソジクロロベンゼン、p−クロロトルエン、ブロムベンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン等が挙げられるが、これらに制限されない。例示溶媒中で、本発明を実施するのに特に好ましい溶媒としては、芳香族ハロゲン化合物である。 本発明の製造方法は、光学材料分野をはじめとする各種の工業分野にて、広く使用されるイソシアナートの製造において、その製造効率を向上させることが可能であり、技術的、工業的に高い価値を有する。 本発明の製造方法により得られたイソシアナート化合物は、経済性に優れるうえに、未反応原料アミン、未反応原料アミンから生ずる塩素誘導体の低減が容易である。そのため、イソシアナート化合物を用いることにより、品質に優れた樹脂や光学製品を、高い経済性で得ることができる。 本発明の製造方法により得られたイソシアナート化合物は、ポリウレタン樹脂(ポリチオウレタン樹脂を含む)、ポリ尿素樹脂、ポリイソシアヌレート樹脂等の各種樹脂の原料として有用である。中でも、ポリウレタン樹脂を製造する際には、塩素誘導体を排除する必要性が高いことから、本発明の製造方法により得られたイソシアナート化合物は、ポリウレタン樹脂の原料として特に有用である。すなわち、本発明により得られたイソシアナートは、経済性に優れるうえに、未反応原料アミン、未反応原料アミンから生ずる塩素誘導体の低減が容易であり、これを用いることで、品質に優れたポリウレタン樹脂等の樹脂、レンズ等の製品を、高い経済性で得ることができる。 イソシアナート化合物からポリウレタン樹脂を製造する方法、条件(イソシアナート化合物の種類、イソシアナート樹脂と反応させる化合物の種類、触媒の種類、その他の添加物の種類、それらの量比、反応温度、時間等)には特に制限はなく、本発明の目的を損なわない範囲で従来公知の方法、条件を適宜使用することができるが、例えば、特開2003−043201号公報に記載のものを好ましく使用することができる。 上記のようにして得られたポリウレタン樹脂からなる成形体は、優れた耐衝撃性、染色性、高度な透明性を有する場合が多いので、プラスチックレンズの材料として特に好適である。ポリウレタン系材料を用いたプラスチックレンズは、眼鏡レンズ、カメラレンズ等の光学素子として特に有用である。[実施例] 以下、本発明を、実施例を用いて、より具体的に説明する。但し、本発明の範囲は、いかなる意味においても実施例により制限されない。なお、以下の実施例、比較例中においては、以下の方法で測定を行った。(アミン転化率) 造塩反応終了後のスラリー中に残存するアミンを中和滴定して、残存アミンのモル数を得た。これと、仕込んだアミンのモル数とから、下記式により転化率を算出した。 式:アミン転化率=((仕込んだアミンのモル数−残存アミンのモル数)/仕込んだアミンのモル数)X100(塩素化物生成率) ホスゲンとの反応終了後の反応液をガスクロマトグラフィーにて分析して、塩素化物のモル数を得た。これを仕込んだ塩酸塩のモル数で割り、生成率を算出した。(イソシアナート純度) 最終的に得られたイソシアナートをガスクロマトグラフィーにて分析して、イソシアナート純度を得た。(塩酸塩転化率) ホスゲンとの反応後に濾過を行って得られた反応濾過液残渣を中和滴定し、残存塩酸塩のモル数を得た。これと、仕込んだ塩酸塩のモル数とから、下記式により転化率を算出した。 式:塩酸塩転化率=((仕込んだ塩酸塩のモル数−残存塩酸塩のモル数)/仕込んだ塩酸塩のモル数)X100(塩酸塩粘度測定方法) 造塩反応終了後のスラリーを容器に計り取り、測定温度120℃に昇温した。120℃に到達したら、BROOKFIELD製LVT型粘度計のNO.2ローターにて粘度を測定し、指示値に係数を掛けて粘度を算出した。(粒径測定方法) 造塩反応終了後のスラリーを少量抜き取り、アセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100にて測定した。測定された粒子径は、全粒子径の数平均値である。 [実施例1] 還流冷却管、攪拌翼、温度計、塩化水素ガス吹き込み管、ホスゲン吹き込み管、原料槽、原料装入ポンプを備えた、圧力調節器付きのオートクレーブ(反応機)を用いた。反応機において、攪拌翼の径(D1)/反応容器の内径(D2)の値は0.7であり、槽径(D)/槽長(L)値は0.59であり、反応容器の内容積は2Lであった。この反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン846gを仕込み、原料槽にm−キシリレンジアミン136.2g(1.0モル)、及びオルソジクロロベンゼン621gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、反応機内の温度を120℃に昇温後、内圧を大気圧よりも0.01MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で反応機内に装入を開始し、同時に、原料槽から溶媒で希釈したm−キシリレンジアミンを、原料装入ポンプにて379g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.80mol%であった。また、得られた塩酸塩スラリーの粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、201mPa・sであり充分な流動性を有していた。又、塩酸塩粒子の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100を用いて測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は25μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好であることが確認された。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩0.8g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、m−クロルメチルベンジルイソシアナート(以下CBiと略す)を0.1重量%含有する、純度98.10%のm−キシレンジイソシアナート188.58g(純度換算収率98.30mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.62%であった。結果を表1に示す。 [実施例2] 実施例1と同じ反応機を用いた。この反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン846gを仕込み、原料槽にm−キシリレンジアミン136.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン621gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、反応機内の温度を120℃に昇温後、内圧を大気圧よりも0.05MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で反応機内に装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したm−キシリレンジアミンを、原料装入ポンプにて379g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.75mol%であった。また、得られた塩酸塩スラリーの粘度はBROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、215mPa・sであり、充分な流動性を有していた。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は29μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好であることが確認された。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩0.6g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CBiを0.3重量%含有する、純度97.40%のm−キシレンジイソシアナート190.3g(純度換算収率98.50%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.70mol%であった。結果を表1に示す。 [実施例3] 実施例1と同じ反応機を用いた。この反応機内に反応溶媒オルソジクロロベンゼン846gを仕込み、原料槽にm−キシリレンジアミン136.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン621gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、反応機内の温度を120℃に昇温後、内圧を大気圧よりも0.1MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したm−キシリレンジアミンを、原料装入ポンプにて379g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.81mol%であった。また、塩酸塩スラリーの粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、221mPa・sであり、充分な流動性を有していた。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は31μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好であることが確認された。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩0.4g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CBiを0.2重量%含有する、純度98.42%のm−キシレンジイソシアナート188.9g(純度換算収率98.80mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.80mol%であった。結果を表1に示す。 [実施例4] 実施例1と同じ反応機を用いた。反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン958gを仕込み、原料槽にビス(アミノメチル)ノルボルネン154.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン702gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、反応機内の温度を120℃に昇温後、オートクレーブ内を大気圧よりも0.01MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で反応機内に装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したビス(アミノメチル)ノルボルネンを、原料装入ポンプにて428.1g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.88mol%であった。また、得られた塩酸塩スラリーの粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、241mPa.sであり、充分な流動性を有していた。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は29μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好であることが確認された。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩0.5g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、クロルメチル−イソシアナトメチルノルボルネン(以下CNiと略す)を0.2重量%含有する、純度98.5%のビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン206.9g(純度換算収率98.81mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.79mol%であった。結果を表1に示す。 [実施例5] 実施例1と同じ反応機を用いた。反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン958gを仕込み、原料槽にビス(アミノメチル)ノルボルネン154.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン702gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、反応機内の温度を120℃に昇温後、内圧を大気圧よりも0.03MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で装入を開始し、同時に原料槽より溶媒で希釈したビス(アミノメチル)ノルボルネンを、原料装入ポンプにて428.1g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.91mol%であった。塩酸塩の粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、196mPa・sであり、充分な流動性を有していた。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は33μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好であることが確認された。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩0.5g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CNiを0.1重量%含有する、純度98.3%のビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン206.3g(純度換算収率98.32mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.78mol%であった。結果を表1に示す。 [実施例6] 実施例1と同じ反応機を用いた。反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン566.8gを仕込み、原料槽にビス(アミノメチル)シクロヘキサン142.2g(1.0モル)及びオルソジクロロクロロベンゼン476.0gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、反応機内の温度を120℃に昇温後、内圧を大気圧よりも0.01MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したアミンを、原料装入ポンプにて309.1g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.88mol%であった。塩酸塩の粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、213mPa・sであり、充分な流動性を有していた。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は32μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好であることが確認された。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応した。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩0.4g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、クロルメチル−イソシアナトメチルシクロヘキサン(以下CHiと略す)を0.2重量%含有する、純度98.70%のビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン194.0g(純度換算収率98.60mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.81%であった。結果を表1に示す。 [実施例7] 実施例1と同じ反応機を用いた。反応機内に、反応溶媒オルソジクロロベンゼン614.6gを仕込み、原料槽にビス(アミノメチル)ノルボルネン154.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン516.2gを仕込んだ(全アミン濃度12.0重量%)。次に、反応機内の温度を120℃に昇温後、内圧を大気圧よりも0.01MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したビス(アミノメチル)ノルボルネンを、原料装入ポンプにて335.2g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.86mol%であった。塩酸塩の粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、1110mPa・sで、充分な流動性を有していた。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は35μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好であることが確認された。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージして、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩を0.7g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CNiを0.1重量%含有する、純度98.4%のビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン205.4g(純度換算収率98.00mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.69mol%であった。結果を表1に示す。 [実施例8] 攪拌機、還流冷却管、温度計、塩化水素ガス吹き込み管、原料槽、原料装入ポンプ、送液ポンプ、および圧力調節器を備えた造塩反応機(槽型反応機)を用いた。造塩反応機の攪拌翼の径(D1)/反応容器の内径(D2)の値は0.53であり、槽径(D)/槽長(L)値は0.73であり、反応容器の容量は4m3であった。造塩反応機内に反応溶媒であるオルソジクロロベンゼンを2000kg敷液した。次に、造塩反応機内の温度を120℃に昇温し、内圧を大気圧よりも0.1MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを172kg/hrの速度で造塩反応機内に装入を開始し、原料槽より、m−キシリレンジアミン193kg/hr(1.42キロモル/hr)及びオルソジクロロベンゼン2078kg/hrを連続的に装入した(全アミン濃度8.5wt%)。造塩反応機内に1時間滞留させた塩酸塩スラリーを、攪拌機を備えた中継槽に連続的に送液し、6時間熟成を行った。熟成後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.83mol%であった。塩酸塩スラリーの粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、900mPa・sであり、充分な流動性を有していた。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は33μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する際、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好だった。 次に、中継槽より移液した塩酸塩スラリーを反応器(ホスゲン化機)内において160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを1129kg/hr(11.4キロモル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら6時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩を3.6kg(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CBiを0.4重量%含有する、純度98.3%のm−キシレンジイソシアナート1603kg(純度換算収率98.50mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.80mol%であった。結果を表1に示す。 [実施例9] 実施例8と同じ造塩反応機(槽型反応機)を用いた。造塩反応機内に、反応溶媒であるオルソジクロロベンゼンを2000kg敷液した後、造塩反応機内の温度を120℃に昇温し、内圧を大気圧よりも0.05MPa高圧に調節した。塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを172kg/hrの速度で装入を開始し、原料槽より、m−キシリレンジアミン193kg/hr(1.42キロモル/hr)及び、オルソジクロロベンゼン2078kg/hrを連続的に装入した(全アミン濃度8.5wt%)。造塩反応機内に1時間滞留させた塩酸塩スラリーを、攪拌機を備えた中継槽に連続的に送液し、6時間熟成を行った。熟成後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は99.47mol%であった。塩酸塩の粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、1400mPa・sであり、充分な流動性を有していた。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は38μmであった。得られた塩酸塩スラリーは液状で流動性に優れ、塩酸塩を次工程に移液する際、塩酸塩が反応機内に残る事は無く、移液性は良好だった。 次に、中継槽より移液した塩酸塩スラリーを反応器(ホスゲン化機)内において160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを1129kg/hr(11.4キロモル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら6時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩5.2kg(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CBiを0.5重量%含有する、純度97.9%のm−キシレンジイソシアナート1607kg(純度換算収率98.30mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は99.70mol%であった。結果を表1に示す。 [比較例1] 還流冷却管、攪拌翼、温度計、塩化水素ガス吹き込み管、ホスゲン吹き込み管、原料槽、原料装入ポンプを備えたオートクレーブ(反応機)を用いた。反応機において、攪拌翼の径(D1)/反応容器の内径(D2)の値は0.7であり、槽径(D)/槽長(L)値は0.59であり、反応容器の内容積は2Lであった。反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン846gを仕込み、原料槽にm−キシリレンジアミン136.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン621gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、大気圧下において、反応機内の温度を120℃に昇温した。その後、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したアミンを、原料装入ポンプにて379g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は97.81mol%であった。塩酸塩の粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、3320mPa・sであり、ホイップ状の様子を呈していた。得られた塩酸塩スラリーは粘調体で流動性に乏しく、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に多量に残り、移液性は悪いことが確認された。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は100μmであった。次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩8.2g(乾燥重量)を濾過により取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CBiを1.1重量%含有する、純度96.20%のメタキシレンジイソシアナート183.3g(純度換算収率93.71mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は96.10mol%であった。結果を表1に示す。 [比較例2] 比較例1と同じ反応機を用いた。反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン958gを仕込み、原料槽にビス(アミノメチル)ノルボルネン154.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン702gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、大気圧下において、反応機内の温度を100℃に昇温した。その後、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したアミンを、原料装入ポンプにて428.1g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は98.10mol%であった。塩酸塩の粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、5180mPa・sであり、ホイップ状の様子を呈していた。得られた塩酸塩スラリーは粘調体で流動性に乏しく、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に多量に残り、移液性は悪いことが確認された。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定した塩酸塩粒子の数平均粒子径は150μmであった。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応した。反応終了後、系内に窒素をパージして、未反応ホスゲン及び、塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩7.9g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CNiを0.9重量%含有する、純度96.00%のビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン200.9g(純度換算収率93.51mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は96.52%であった。結果を表1に示す。 [比較例3] 比較例1と同じ反応機を用いた。反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン883gを仕込み、原料槽にビス(アミノメチル)シクロヘキサン142.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン647.8gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、大気圧下において、反応機内の温度を100℃に昇温した。その後、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したアミンを、原料装入ポンプにて395g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は97.85mol%であった。塩酸塩の粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、4100mPa・sであり、ホイップ上の様子を呈していた。得られた塩酸塩スラリーは粘調体で流動性に乏しく、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に多量に残り、移液性は悪いことが確認された。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は120μmであった。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージして未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩8.8g(乾燥重量)を濾過により取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CHiを1.0重量%含有する、純度97.20%のビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン188.0g(純度換算収率94.09mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は95.91%であった。結果を表1に示す。 [比較例4] 比較例1と同じ反応機を用いた。反応機内に、反応溶媒としてオルソジクロロベンゼン958gを仕込み、原料槽にビス(アミノメチル)ノルボルネン154.2g(1.0モル)及びオルソジクロロベンゼン702gを仕込んだ(全アミン濃度8.5重量%)。次に、反応機内の温度を100℃に昇温後、内圧を大気圧よりも0.001MPa高圧に調節した。そして、塩化水素ガス吹き込み管より塩化水素ガスを43.8g/hrの速度で装入を開始し、同時に、原料槽より溶媒で希釈したアミンを、原料装入ポンプにて428.1g/hrの速度で装入を開始し、2時間掛けて全量を装入した。更に塩化水素ガスを20g/hrで装入しながら、1時間熟成を行った。反応終了後、原料アミンの転化率を中和滴定法により求めたところ、転化率は98.90mol%であった。塩酸塩の粘度は、BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した結果、3180mPa・sで、ホイップ状の様子を呈していた。得られた塩酸塩スラリーは粘調体で流動性に乏しく、塩酸塩を次工程に移液する場合には、塩酸塩が反応機内に多量に残り、移液性は悪いことが確認された。又、塩酸塩の粒径をアセトニトリル溶媒中で(株)島津製作所製レーザー回析式粒度分布測定装置SALD−2100で測定したところ、塩酸塩粒子の数平均粒子径は80μmであった。 次に、反応機内において塩酸塩スラリーを160℃に昇温後、ホスゲン吹き込み管より,ホスゲンを100g/hr(1.0モル/hr)で吹き込み、温度を保ちながら8時間反応させた。反応終了後、系内に窒素をパージすることにより、未反応ホスゲン及び塩化水素ガスを除去した。そして、反応液を濾過して、未反応塩酸塩5.9g(乾燥重量)を取り除いた。得られた濾液を脱溶媒して、CNiを0.9重量%含有する、純度96.50%のビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン202.0g(純度換算収率94.51mol%)を得た。このときの塩酸塩の転化率は97.40%であった。結果を表1に示す。(表1) 2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと塩化水素とを反応させて、鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩を得る工程を有する鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法であって、 前記工程が大気圧より0.01MPa以上、0.1MPa以下の範囲で高い圧力下で行われる、鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 前記工程が、槽型反応機内の有機溶媒中で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと塩化水素とを反応させる工程である、請求項1に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 前記工程が、有機溶媒中で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと、該有機溶媒中に吹き込まれた塩化水素とを反応させる工程である、請求項1に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 BROOKFIELD製LVT型粘度計を用いて120℃で測定した、前記工程により得られる鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩を含むスラリーの粘度が2000mPa・s以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 前記工程における反応温度が、−20℃以上、180℃以下である、請求項1から3のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 前記工程において、少なくとも1種類の有機芳香族系溶媒を用いる、請求項1から3のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 前記2官能以上の鎖状脂肪族アミン又は環状脂肪族アミンが、1級のアミノ基を有する化合物である、請求項1から3のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 前記鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートが、2官能以上の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートであって、キシリレンジイソシアナート、ビス(イソシアナトメチル)ノルボルネン、ヘキサメチレンジイソシアナート、およびビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサンから選ばれる1つ以上の化合物である請求項1から3のいずれか1項に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 前記工程において、反応系内の全アミン濃度が5重量%以上40重量%以下である、請求項1に記載の鎖状脂肪族イソシアナートまたは環状脂肪族イソシアナートの製造方法。 大気圧より0.01MPa以上、0.1MPa以下の範囲で高い圧力下で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと塩化水素とを反応させる、鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。 槽型反応機内の有機溶媒中で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンを塩化水素と反応させる、請求項10に記載の鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。 有機溶媒中で、2官能以上の鎖状脂肪族アミンまたは環状脂肪族アミンと、該有機溶媒中に吹き込まれた塩化水素とを反応させる、請求項10に記載の鎖状脂肪族アミン塩酸塩または環状脂肪族アミン塩酸塩の製造方法。


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