生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_肝線維症の診断方法
出願番号:2007525265
年次:2010
IPC分類:G01N 33/68,G01N 33/86,G01N 33/49


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フエディッグ,ヘンドリック ヴィエンフース−テレン,ウルシュラ−ヘンリケ カレ,ポール JP 4516124 特許公報(B2) 20100521 2007525265 20050812 肝線維症の診断方法 エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー 591003013 F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT ユニヴェルシテ ダンジェ 507041722 平木 祐輔 100091096 石井 貞次 100096183 藤田 節 100118773 新井 栄一 100122389 フエディッグ,ヘンドリック ヴィエンフース−テレン,ウルシュラ−ヘンリケ カレ,ポール EP 04019134.8 20040812 EP 04025621.6 20041028 20100804 G01N 33/68 20060101AFI20100715BHJP G01N 33/86 20060101ALI20100715BHJP G01N 33/49 20060101ALI20100715BHJP JPG01N33/68G01N33/86G01N33/49 E G01N 33/48 - G01N 33/98 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed 特表2005−519271(JP,A) 特表2003−532899(JP,A) 特表2004−507740(JP,A) 特表平11−514101(JP,A) 3 EP2005008778 20050812 WO2006015874 20060216 2008509411 20080327 13 20070327 白形 由美子 本発明は、肝臓学及び肝線維症の分野に関する。特に、肝線維症の診断、とりわけ慢性C型肝炎ウイルス感染による肝線維症の診断に使用できる血清マーカーのパネルに関する。これらのマーカーは、肝線維症の治療処置のモニタリングに使用できる。 線維性肝疾患は、世界で8番目に多い死亡原因に位置づけられ、死亡者は毎年130万人にのぼる(Murray and Lopez, 1997, Lancet 349,1269-1276)。線維化の細胞メカニズムは複雑である。例えば、慢性C型肝炎ウイルス(HCV)感染、B型肝炎ウイルス(HBV)感染、アルコール性あるいは脂肪肝疾患、薬剤誘導性肝疾患、又は原発性の胆汁性肝硬変によって起こる肝障害に対する反応では、通常、静止性の肝星細胞が増殖性筋線維芽細胞へと活性化される。これらの細胞は細胞外マトリックスタンパク質を産生し、傷痕の悪化に関与するメタロプロテイナーゼと結合して不活化する、メタロプロテイナーゼの組織阻害剤を放出する。その結果、組織及びコラーゲンのようなタンパク質の産生が増加し、またこれらの化合物の分解が減少することで、肝機能を損わせる線維化及び傷痕が蓄積しうる(McHutchinson 2004, CME Newsletter Tx Reporter Gastroenterology, 2-4)。 肝線維症は細胞外マトリックスの蓄積をもたらす可逆的な過程であるのに対し、肝硬変は、結節を形成するために実質を完全に取り囲む、厚い基質層を特徴とする不可逆的な過程である。治療せずにいると、肝線維症は肝硬変となりえ、場合によっては肝臓癌につながりうる。これらの理由により、迅速かつ正確な肝線維症の診断を受けることが、効果的治療には重要である。 最近でもまだ、肝生検が線維症及び炎症評価における、いわゆる黄金基準と考えられている。肝生検は該疾患を等級化及び段階化し、診断を確認し、また疾患の改善又は悪化、予後の予測補助、及び治療の必要性を立証するために必要なベースラインを確立するのに、推奨されている(上記McHutchinson、総説としてGeboら. 2002 Hepatology 36, 161-172を参照)。 慢性C型肝炎患者における、肝線維症及び炎症の程度を半定量するために使用されてきた組織学的等級付けシステムは、非常に多く存在する。最も多く使用されてきた等級付けシステムの1つは、METAVIRシステムである(Bedossaら, 1994, Hepatology, 20, 15-20)。METAVIRは肝線維症をF0 〜 F4の5段階に分類する。F0は線維化なし、F1は軽い線維症(隔壁のない門脈線維症)に相当する。中程度から重度の線維症はF2〜F4に分類され(F2:わずかな隔壁あり、F3:硬変はないが、多数の隔壁あり)、ステージF4は硬変の最終段階に相当する。線維症は、F2以上が臨床学的に意義があるとみなされる。 しかしながら、線維症の診断と段階化に肝生検を適用する場合には、幾つか不便な点がある。ごく一部のサンプルでは、肝臓全体の実態を反映できないことがあるため、肝線維症に関してサンプリング誤差を生じることがある。そのため、肝生検は継続的な悪化の動的過程を観察できる正確なマーカーとはいえない。さらに、病理学者は、生検検体の10〜20%で見られる観察者により変動する組織サンプルの所見を認めないことがよくある(Cadranelら, 2000, Hepatology 32, 477-481)。 肝生検は患者にとって、侵襲性があり苦痛を伴う方法である。検体採取後は、出血やその他合併症のリスクも伴う。その上、予想される合併症により、患者の入院を要することに一部起因して、費用のかかる方法である。 肝線維症は、肝硬変及び非代償性肝疾患に至る慢性C型肝炎感染の主な合併症である。したがって、肝線維症の発症及び進行の診断を目的とする検査は、患者の効果的な治療管理のために必須である。進行性線維症の評価は、線維症の中間段階を判別できる非侵襲性の検査によって行われるのが最適であろう。様々な単一のマーカー及びマーカーパネルアルゴリズムが発表されてきたが、線維症を予測する信頼できる強力な(診断精度が80%を超える)単一のバイオマーカー又はバイオマーカースコアはまだない。非侵襲性の有力な肝線維症評価手段の開発を目指したさらなる研究が、2002年に行われたNational Institutes of Health Consensus Development Conferenceで強く奨励された。特に、肝生検に代わる検査の試験研究では、参照基準の妥当性について、読者を納得させるために、生検方法に関する十分な詳細(生検サンプルの平均サイズ、組織学的に十分に特徴付けるのに適したパネルかどうか)を示すべきである。肝生検は、最適化された性能基準に強く依存し、評価者による変動や、小さすぎるサンプルサイズ(10 mm未満)により、組織学的評価の誤分類につながりうる。 肝疾患における線維化過程を反映し、肝生検に代わることができる、生物化学的又は血清学的マーカーが広く探し求められてきた。ここ数年の間に、2〜3の非侵襲性又は低侵襲性の生物化学的及び血清学的マーカーが肝疾患の診断を補助するために研究されてきた。特に、マーカーの組み合わせが、線維症の段階又は程度により患者を分類するのに、使用されてきた。 US 6,6310,330は、α-2-マクログロブリン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、γ-グルタミルトランスペプチダーゼ、γ-グロブリン、総ビリルビン、アルブミン、α1-グロブリン、α2-グロブリン、ハプトグロビン、β-グロブリン、apoA1、IL-10、TGF-β1、apoA2、及びApoBからなる群から選択される、少なくとも4種の生化学的マーカーの組み合わせの使用を開示する。これらのマーカーのうちの4つから得られた値は、肝線維症が存在するか判断するために、数学的に組み合わされる。このマーカーパネルを用いることで、約80%の診断精度を得ることができる。 WO 2003/073822は、患者における肝線維症の存在又は重症度を診断する方法を記載している。該方法は、α-2-マクログロブリン、ヒアルロン酸、及びメタロプロテイナーゼ1の組織阻害剤(TIMP-1)という少なくとも3種のマーカーの組み合わせを使用する。この方法により、約80%の診断精度が得られる(Mc Hutchinson, 2004, 上記参照)。US 6,6310,330WO 2003/073822US 2003/0017618WO 99/67643US 5,432,099US 5,516,635US 5,126,276Murray and Lopez, 1997, Lancet 349,1269-1276McHutchinson, 2004, CME Newsletter Tx Reporter Gastroenterology, 2-4Geboら, 2002 Hepatology 36, 161-172Bedossaら, 1994, Hepatology, 20, 15-20Cadranelら, 2000, Hepatology 32, 477-481Murphyら, Biochem J. 1981, 195,167-170Ekins and Chu, Clin. Chem. 37, 1995, 1955-1967 肝線維症を確定する診断精度を高め、線維症の進行及び治療への反応性のモニタリングを可能とするために、当該技術分野でこれまで知られてきたものより信頼性の高い方法で、異なる段階の線維症を分類及び判別する、非侵襲性又は低侵襲性の方法の開発が求められている。しかも、そのような方法は、自動分析機で連続して検査するのに適するべきである。 本発明方法により、当該問題が解決される。患者における肝疾患の存在及び/又は重症度を検出する該方法は、以下のステップを含む。a) 該患者から単離されたサンプルを入手すること、b) 該サンプル中のTIMP-1(メタロプロテイナーゼI組織阻害剤)を測定すること、c) 該サンプル中のA2M (α-2-マクログロブリン)を測定すること、d) 該サンプル中のPLT (血小板数) を測定すること、e) 該サンプル中のPI (プロトロンビン指数)を測定すること、f) 該サンプル中で、尿素及びGGT(γ-グルタミルトランスペプチターゼ)からなる群から選択された1以上の付加的なパラメータを、任意で測定又は検出すること、g) 該サンプル中で1以上の付加的な生物化学的又は臨床学的パラメータを、任意で測定すること、h) TIMP-1、A2M、PLT、PI並びにステップf及びgで測定したパラメータの存在又は測定レベルに基づいて、肝疾患の存在及び/又は重症度を診断すること。 本発明は、F0/F1の肝線維症をF2/F3/F4段階の肝線維症から、信頼性をもって鑑別をすることを可能にする。また、肝疾患の医療処置のコントロールとしての治療モニタリングを本発明方法により実施することができる。 本発明方法は、肝線維症の十分に特徴付けられたMetavirステージと相互に強く関連している。当該技術分野における方法の現状と比較し、本発明方法が特別に有利なのは、病理所見及び統計モデルによる誤分類のエラーを最小化するために、条件付けパネルを使用する点である。 本発明方法は、数種の方法(肝生検、及び線維症の面積の測定のような別の方法)により確定される線維症の重症度と非常に密接に相関する非侵襲性の方法からなる。 本発明方法は、Metavirステージ及び組織学的所見から肝線維症がない(Metavirスコア:0)とされる患者標本の全範囲を網羅する、十分に特徴付けられた肝線維症を有する患者の統計学的に関連のある標本集団に基づいている。標本の最初の選択基準はMetavirスコアである。この参照基準は、15 mmより大きなサイズの標本を使った二重評価及び最適化された方法により確認されている。 本発明方法は、少なくとも85%、好ましくは少なくとも87%の診断精度(DA)の信頼性で線維症を予測することを可能にする。参照基準(reference standard)ですら、線維症ステージを時に誤分類するという観点では肝線維症の黄金基準とはいえず、さらに患者に痛みと健康リスクを負わせることがあるため、本発明方法は生検に代わる方法となる。 本方法は、線維症の進行及び発症に関する検査を可能とし、慢性C型肝炎患者の効果的な管理を実現する。慢性C型肝炎患者の病態モニタリングは、生検と比べ短時間の間隔で行いうる。本方法は、抗線維化療法の奏功に関するモニタリングを可能にする。 該方法はまた、慢性肝障害患者の線維症の進行及び発症に関する検査を可能とする。慢性肝障害は、最小限の症状を伴う比較的一般的な障害であるが、病理学的に進行性肝壊死及び肝臓の炎症と定義され、頻繁に線維症を伴う障害であり、重大な疾病及び死亡の長期リスクを伴っている。C型肝炎は、慢性肝障害の最も一般的な病態である。本方法は、慢性肝障害の更なる病態:アルコール性脂肪性肝炎(ASH)、アルコール性脂肪肝疾患(AFLD)、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)又は非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)に適用できる。本発明方法は、NASH及びNAFLDの重症度をモニターするために、使用できる。該方法は、A型、B型、C型或いはD型肝炎ウイルス、又はヒト免疫不全ウイルス(HIV)といったウイルス性肝炎、慢性抵抗性又は慢性活動性肝炎、自己免疫性肝炎といった自己免疫性肝疾患、及び薬剤性肝疾患;原発性胆汁性肝硬変、原発性硬化性胆管炎、胆道閉鎖症、薬剤誘発性肝疾患又は先天性肝疾患、の患者における肝線維症の診断に使用できる。本発明は、肝疾患を誘発するリスクを伴う薬剤による治療のモニタリングにも使用できる。該方法は、肝臓に限定されない様々な線維化疾患(肺線維症、腎線維症、前立腺線維症、乳房線維症、及びその他の疾患における線維症)に関連する線維症の存在又は重症度の診断、及び線維症のモニタリングに使用できる。 本発明の好ましいパラメータの組み合わせは、84%の診断精度が得られるTIMP-1, A2M, PLT, PIの組み合わせ(SNIFF 4cとも呼ばれ、SNIFFとは’score non-invasif de fibrose du foie’というフランス語の略語で、英語では肝線維症の非侵襲性スコア(non-invasive score of liver fibrosis)である)、84%の診断精度が得られるTIMP-1、A2M、PLT、PI、尿素の組み合わせ(SNIFF 5a)、及び87.4%の診断精度が得られるTIMP-1、A2M、PLT、PI、尿素、GGTの組み合わせ(SNIFF 6b)である。これらの好ましい組み合わせは、表3でも確認できる。 本発明に関して、個々の用語及び表現は次のとおり理解すべきである。 診断精度(DA)とは検査の正確性そのものである。これは真に陽性又は真に陰性である全検査の割合を意味する。診断精度が高くなればなるほど、検査結果の信頼性は高まる。DAは、真に陽性なものと真に陰性なものの和を、サンプル結果の総数で割ることにより算出し、分析した母集団における線維症の有病率の影響をうける。 カットオフ値は、健常状態と疾患状態を識別するための、単一のバイオマーカー又は数種のバイオマーカーの組み合わせの算術計算濃度である。本発明を理解する際、カットオフとは0.5のスコアを意味する。この値が0.5以上である場合、線維症がない又は軽度の線維症(MetavirステージがF0又はF1)と臨床的に意義のある線維症CSF(Metavir ステージ F2、F3、F4)とを区別するMetavirステージF2に達していることを意味する。 陽性予測値(PPV)は、真に陽性である陽性検査の割合である。 陰性予測値(NPV)は、真に陰性である陰性検査の割合を意味する。 スコアは、線維症に関する数種のバイオマーカーの算術的組み合わせを意味する。特に、本発明で使用されるスコアは0(最小の線維症)と1(CSF:臨床的に意義のある線維症)の間の範囲を有する。 AUROCは受信者動作特性曲線(ROC曲線)下の面積を意味する。これらの曲線では、感度が特異性の逆数に対してプロットされる。1.00のROC曲線下面積とは、理想的な100%の感度及び100%の特異性を意味する。曲線の始まりの傾斜が大きくなればなるほど、検査の感度及び特異性の相関がよくなる。 感度とは、疾患、リスクファクター、又はその他の健康状態を有する患者において、陽性の検査結果がでる確率である。 特異性とは、該疾患を有さない患者において、陰性の検査結果がでる確率である。 TIMP-1(メタロプロテイナーゼI組織阻害剤)は、間質性コラゲナーゼMMP-1又はストロメライシン又はゲラチナーゼBのようなメタロプロテイナーゼを阻害する、28.5kDaの分子量の184個のアミノ酸からなるシアロ糖タンパク質である(例えば、Murphyら Biochem J. 1981, 195,167-170参照)。本発明を理解する際に、TIMP-1という用語は、メタロプロテイナーゼのタンパク質分解活性を阻害する、ヒトTIMP-1と有意な構造相同性をもつタンパク質を含む。ヒトTIMP-1の存在は、TIMP-1のエピトープを特異的に検出する抗体を使用することで、検出できる。TIMP-1はまた、対応するmRNAのような関連する核酸を検出することでも測定されうる。 A2M(α-2-マクログロブリン)は血漿に多く含まれ、組織液から活性プロテアーゼを除去するプロテアーゼ結合タンパク質として働く、保存タンパク質である。A2Mはプロテアーゼの酵素活性を不活化しないが、プロテアーゼを取り囲み、標的プロテアーゼを物理的に取り込むことにより機能する。したがって、A2Mにより取り込まれたプロテアーゼは、基質タンパク質が分解されるのを立体的に防ぐことができる。本発明の意味において、A2Mは当業者に公知の検査形態により、特異抗体を用いた免疫アッセイで、検出されうる。A2Mは、対応するmRNAのような関連する核酸を検出することでも測定されうる。 PLT(血小板数)は血小板の数であり、商業的に入手可能な計数器を用いて血小板を数えることにより、決定する。 PI(プロトロンビン指数)は凝固系の干渉を検出するのに有用で、トロンボプラスチンを血漿サンプルに加え、秒単位で凝固時間(いわゆるクイックタイム)を測定することにより測定できる。この値は、使用したトロンボプラスチンの感度を考慮した補正因子を含む、国際標準比(INR)と相関がある。 本発明では、付加的に生物化学的又は臨床学的パラメータが測定されうる。追加する生物化学的パラメータは、例えば、フェリチン、ヒアルロン酸塩、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)、MMP-2(マトリックスメタロプロテイナーゼ-2)、ALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、PIIINP(III型プロコラーゲンのN-末端プロペプチド)、ビリルビン、ハプトグロビン、ApoA1のような肝臓の代謝や構造と直接的又は間接的に相関する、あらゆるパラメータでありうる。ヘプシジン又はアディポネクチンもまた測定されうる。 ヘプシジンはもともと循環性抗菌ペプチドとして同定された、肝臓タンパク質である。体内の、鉄貯留と腸吸収性細胞との間の情報伝達において、ヘプシジンは中心的な役割を果たす。アディポネクチンは脂肪細胞により分泌され、代謝機能に影響を与える比較的高い全身濃度で循環する。血清アディポネクチンレベルの減少は、例えば、非アルコール性脂肪肝疾患(NAFLD)又は非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)の重症度のような、疾患リスクの上昇を表す。 付加的な臨床パラメータは、患者の年齢、性別、体重、栄養習慣により決定されうる。 尿素、GGT(ガンマ-グルタミルトランスフェラーゼ)、フェリチン、ヒアルロン酸塩、AST(アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ)及びALT(アラニンアミノトランスフェラーゼ)、フェリチン、MMP-2、PIIINPビリルビン、ハプトグロビン、ApoA1、ヘプシジン、及びアディポネクチンは、商業的に入手可能な検査キットにより、当業者に公知の免疫学的方法又は光度検出法によって測定できる。また可能な場合には、被分析物又はパラメータに特異的な核酸(例えば対応するmRNA)の検出に使うハイブリダイゼーション技術も、パラメータの測定に使用されうる。 本発明は、複数のパラメータの測定を利用する。したがって、固相を使用する検査形態で実施しうる、本発明の生物化学的及び血清学的パラメータの検出は、好ましくはUS 2003/0017616又はWO 99/67643で開示された小型化アレイに基づいた検査系で実施される。これらの試験系は、単一の特異的な被分析物又はパラメータを検出するのにそれぞれ使用可能な、空間的に複数に区切られた検査領域を有する。したがって、複数の被分析物を一度の検査で検出できる。 固相において「区切られた検査領域」という用語は、該検査領域が固相の仕切られた領域を有し、好ましくは、不活性な領域によって他の検査領域から空間的に分離されているものを意味すると理解される。この区切られた検査領域は、好ましくは直径10 μm〜1 cmであり、特に好ましくは10 μm〜5 mmである。直径が10 μm〜2 mmである小型化された検査領域が最も好ましい。アレイ系ともいわれるいくつかの検査領域を有する固相が好ましい。そのようなアレイ系は、例えばEkins and Chu (Clin. Chem. 37, 1995, 1955-1967) 、US 5,432,099、US 5,516,635、及びUS 5,126,276で開示されている。前記のとおり、アレイ系の有利な点は複数の被分析物及び対照の測定を1つのサンプルで同時に実施できることである。非特異的な結合及び/又は妨害サンプルを検出するために、対照領域を使用すると、特に、小型化したアレイ検査系の結果の信頼性を非常に高めることができる。 本発明では、TIMP-1及びA2Mの検出、並びに場合によっては固相を使用する検出方法に適した、付加的な他の生物化学的パラメータの検出が、例えば該アレイに基づく検査系の使用により、同時にできる。 本発明において、固相は検出法で使用するための慣用の支持体であり、好ましいのは、例えば支持体がプラスチック、ガラス、金属又は金属酸化物表面を有する非多孔質支持体である。テストストリップのような多孔性の支持体もまた適する。この支持体には、空間的に分離した領域(検査領域)が配置される。固定された固相受容体が、これらの検査領域に使用される。固相受容体は、例えば直接的な吸着結合、共有結合、又は例えばストレプトアビジン(又はアビジン)/ビオチン、抗原/抗体又は糖/レクチンなどの高親和性結合対によるカップリングといった公知の方法によって、固定化される。サンプル中の被分析物の存在又は/及び量は、検出媒質の構成成分の固相受容体への特異的結合(例えば、測定しようとする被分析物又は被分析物類似体の結合)によって調べることができる。 固相アッセイに供するパラメータの検出は、マイクロタイタープレート、チューブ、又はビーズのような、標準的で小型化されていない系でも、もちろん実施されうる。 被分析物の検出及び、場合によっては阻害反応の存在の検出は、例えば蛍光マーカー基のような適したマーカー基を使用する公知の方法により、本発明方法で達成される。また、適した固相で、検出媒質成分と検査及び任意の対照領域との相互作用を、例えばプラズモン共鳴分光法により各領域の層の厚さを測定することで、検出することもできる。 1つのサンプルの複数の被分析物を同時に検出するアレイ系では、複数の異なる被分析物を同時に検出することが可能な共通のマーカー基を、異なる検査領域で用いることが好ましい。そのような共通のマーカー基の例は、試薬上の相補的な受容体と特異的に相互作用できる、例えば、検出すべき被分析物の、又は被分析物の類似物質に対する可溶性受容体(抗体/抗原又はストレプトアビジン/ビオチン等)のような受容体を有するマーカー基である。 サンプルという用語は、本発明で使用する少なくとも1つのマーカーを含む、又は含む疑いがある生物学的試料を意味する。サンプルは、例えば血液、血清、血漿、尿、唾液、滑液、又は肝臓組織が用いられうる。液状サンプルは、必要であれば、分析前に希釈されうる。 疾患の診断の手助けとなる結果を得るために、当業者に公知の数学アルゴリズムが使用される。入手したデータを組み合わせ、二項ロジスティック回帰分析のような統計的手法によって評価し、結果としてスコアを得る。 図1に、C型肝炎ウイルスに感染している120人の患者から得た生の測定データを示す。 図2に、Metavir Fグレードの関数として、好ましいスコアのうちの1つ(SNIFF 6b)の分布、及びFibrotestによる従来技術の組み合わせの分布を表す。この結果から、本発明方法はFibrotest法と比較して、MetavirステージF3及びF4の患者の誤分類が少ないことが分かる。特に、Fibrotest法では複数のサンプルを誤って分類しているのに対し、SNIFF 6bスコアの誤分類は、ステージF3のわずか1つのサンプルが陰性とされただけである(スコア値0.5以下)。 Fibrotestスコアは、詳しくはA2M、ヘパトグロビン、ApoA1、ビリルビン、GGT、患者の年齢及び性別の組み合わせである。これらの7つのFibrotestによるパラメータは、SNIFF 6bスコアでは87%を超えるDAを達成するのに対し、約80%のDAを達成するに留まる(表3も参照)。 図3は、US 6,631,330の方法(Fibrotest 7)と比較した、本発明方法(SNIFF 6b)による、臨床的に意義のある線維症群に対するROC曲線を表す。本発明のROC曲線は、Fibrotest 7の曲線よりも、より大きな傾斜で、より大きなAUROC値であった。AUROCはSNIFF 6bが0.920 ± 0.036であるのに対し、Fibrotest 7は0.857 ± 0.026であった。 本発明を、さらに下記の実施例により例示する。 商業的に入手可能な検査キットを使用し、全ての検査は下記に挙げた製造業者から得た説明書をもとに、実施した。図1は、C型肝炎ウイルスに感染している120人の患者から得たサンプルについての生の測定データを示す。データを入手するために、上記に挙げた検査キットを使用した。表2には、診断精度及びAUROC値が挙げられている。各単一マーカーは80%未満のDA(診断精度)であることがわかる。 表3は先行技術方法とDA/AUROCの比較を示している。本発明方法は、US 6,631,330及びWO 2003/073822の方法と比較して、二項ロジスティック回帰分析を行った結果、臨床的に意義のある線維症に関して、優れた診断精度を示した。 n var は検査した変数又はパラメータの数、nPtsは検査した患者数を示す。図1に、C型肝炎ウイルスに感染している120人の患者から得た生の測定データを示す。図1に、C型肝炎ウイルスに感染している120人の患者から得た生の測定データを示す。図2に、Metavir Fグレードの関数として、好ましいスコアのうちの1つ(SNIFF 6b)の分布、及びFibrotestによる従来技術の組み合わせの分布を表す。この結果から、本発明方法はFibrotest法と比較して、MetavirステージF3及びF4の患者の誤分類が少ないことが分かる。特に、Fibrotest法では複数のサンプルを誤って分類しているのに対し、SNIFF 6bスコアの誤分類は、ステージF3のわずか1つのサンプルが陰性とされただけである(スコア値0.5以下)。Fibrotestスコアは、詳しくはA2M、ヘパトグロビン、ApoA1、ビリルビン、GGT、患者の年齢及び性別の組み合わせである。これらの7つのFibrotestによるパラメータは、SNIFF 6bスコアでは87%を超えるDAを達成するのに対し、約80%のDAを達成するに留まる(表3も参照)。図3は、US 6,631,330の方法(Fibrotest 7)と比較した、本発明方法(SNIFF 6b)による、臨床的に意義のある線維症群に対するROC曲線を表す。本発明のROC曲線は、Fibrotest 7の曲線よりも、より大きな傾斜で、より大きなAUROC値であった。AUROCはSNIFF 6bが0.920 ± 0.036であるのに対し、Fibrotest 7は0.857 ± 0.026であった。 患者における肝疾患の存在及び/又は重症度を検出する方法であって、以下のステップ:a)患者からのサンプル中のTIMP-1(メタロプロテイナーゼI組織阻害剤)を測定することb) 該サンプル中のA2M (α-2-マクログロブリン)を測定することc) 該サンプル中のPLT (血小板数) を測定することd) 該サンプル中のPI (プロトロンビン指数)を測定することe) TIMP-1、A2M、PLT、PIの存在又は測定レベルに基づいて、肝疾患の存在及び/又は重症度を判定することを含む、前記方法。 肝線維症の治療処置のモニタリングに使用される、請求項1に記載の方法。 肝線維症の段階化に使用される、請求項1に記載の方法。


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