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タイトル:特許公報(B2)_アルカンジオール組成物、その製造方法及び香粧品
出願番号:2007514746
年次:2012
IPC分類:C07C 29/10,C07C 31/20,C07C 29/80,A61K 8/34,A61Q 5/02


特許情報キャッシュ

古谷 昌樹 津島 康宏 浪波 公義 JP 5024952 特許公報(B2) 20120629 2007514746 20060425 アルカンジオール組成物、その製造方法及び香粧品 株式会社ADEKA 000000387 本多 一郎 100096714 古谷 昌樹 津島 康宏 浪波 公義 JP 2005133200 20050428 20120912 C07C 29/10 20060101AFI20120823BHJP C07C 31/20 20060101ALI20120823BHJP C07C 29/80 20060101ALI20120823BHJP A61K 8/34 20060101ALI20120823BHJP A61Q 5/02 20060101ALI20120823BHJP JPC07C29/10C07C31/20 ZC07C29/80A61K8/34A61Q5/02 C07C 29/10 A61K 8/30 C07C 29/80 C07C 31/20 特開昭61−065834(JP,A) 特開2003−096006(JP,A) 米国特許第06528665(US,B1) 特表2000−505103(JP,A) 特開昭61−130247(JP,A) 6 JP2006308652 20060425 WO2006118111 20061109 13 20090225 太田 千香子 本発明は、アルカンジオール組成物、その製造方法及び香粧品に関し、詳しくは、特定の副生成物をほとんど含まず、不快な臭いを生じないアルカンジオール組成物、その製造方法及び香粧品に関する。 有機化学反応が副生成物の形成を伴って進行するということは、有機化合物を製造する業者にとって避けられないことである。これらの副生成物は、最終生成物に対してわずかな量であることも多い。しかし、微量な副生成物であっても、最終生成物の色を悪化させる、最終生成物の臭いを悪化させる等、最終生成物に化学的な影響を与えることがある。このような影響を防ぐため、これら不都合な副生成物の形成を防ぐこと、又は、最終的に除去することは有機化合物を製造する業者にとって製造プロセスの一部となっている。 このような中、アルカンジオール化合物は、例えば、香粧品の防腐剤や保湿剤、パール化剤、合成繊維の原料、ウレタン化合物の原料、水性インク等の様々な分野で使用されているが、特に香粧品分野において、製品に配合したときの臭いが大きな問題になっている。例えば、香料を含まない製品に臭いのあるアルカンジオール化合物を添加すると無香料の製品ができない、また、香料を入れた製品であっても、臭いのあるアルカンジオール化合物の添加によって製品の臭いが変わってしまう等の問題が挙げられる。香粧品分野において、臭いの無いあるいは少ないアルカンジオール組成物の要望は大きかった。 現在、一般的なアルカンジオール組成物の製造方法として、例えば、オレフィンを過酸化水素等の酸化剤で酸化させ、エポキシ化合物をつくり、これを加水分解する方法等が知られている。こうして製造したアルカンジオール組成物には臭いがあるため、通常、一般的な精製方法である蒸留によって精製されている(例えば、特許文献1、2を参照)。特開昭57−62234号公報特開昭60−78928号公報 しかし、特許文献1又は2に記載されているように蒸留を行い処理されたアルカンジオール組成物であっても、臭いを除去することはできなかった。この原因は、臭いの成分が特定されておらず、どの成分を除去することにより臭いを抑えることができるのか分かっておらず、ただ単に蒸留を行っていたためである。そこで、本発明の目的は、臭いの少ないアルカンジオール組成物、その効果的な製造方法、及びアルカンジオール組成物を含む香粧品を提供することにある。 本発明者らは上記課題に対し、鋭意研究の結果、アルカンジオール組成物に含まれる臭いの原因成分を特定し、当該特定の化合物を一定含量以下にすることにより、臭いの少ないアルカンジオール組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 即ち、本発明のアルカンジオール組成物は、炭素数4以上のアルカンジオール化合物100質量部に対して、エステル化合物(A)の含量が0.005質量部以下であることを特徴とするものである。 また、本発明の他のアルカンジオール組成物は、炭素数4以上のアルカンジオール化合物100質量部に対して、ジオキサン型化合物(C)の含量が0.2質量部以下であることを特徴とするものである。 本発明においては、更に、アルカンジオール化合物100質量部に対して、エーテル基含有2価アルコール(B)の含量が0.3質量部以下であることが好ましい。 また、本発明に使用するアルカンジオール化合物としては、下記一般式(1)、(上記式中、Rは炭素数4〜15のアルキル基を表す)で表されるものを好適に使用することができる。更に、前記アルカンジオール化合物は、オレフィンの酸化反応によって製造されたエポキシ化合物の加水分解物であることが好ましい。 また、本発明のアルカンジオール組成物の製造方法は、アルカンジオール組成物を製造するにあたり、(a)オレフィンを酸化させ、エポキシ化合物を製造する工程と、(b)該エポキシ化合物を加水分解してアルカンジオール組成物を得る工程と、(c)該アルカンジオール組成物に水及び/又は有機溶媒を添加し、減圧下にて水及び/又は有機溶媒を取り除く工程と、を含むことを特徴とするものである。 さらに、本発明の香粧品は、上記本発明のアルカンジオール組成物を含有することを特徴とするものである。 本発明のアルカンジオール組成物は臭いが少なく、また、それを含む本発明の香粧品もアルカンジオール組成物の臭いによる問題がない。更に、本発明のアルカンジオール組成物の製造方法により、臭い成分が低濃度であるアルカンジオール組成物を効果的に製造することができる。 本発明に使用できるアルカンジオール化合物は、炭素数が4以上で、脂肪族飽和炭化水素のいずれか2つの水素原子が水酸基で置換されたものである。こうしたアルカンジオール化合物としては、例えば、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、イソプレングリコール(3−メチル−1,3−ブタンジオール)、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、2,3−オクタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,2−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−テトラデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール、1,2−オクタデカンジオール、1,12−オクタデカンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等が挙げられる。 こうしたアルカンジオール化合物の中でも、2つの水酸基が隣り合う炭素原子に結合しているビシナル化合物が好ましく、下記一般式(1)で表される化合物がより好ましい。 一般式(1)におけるRは、炭素数4〜15のアルキル基を表す。このアルキル基としては、例えば、ブチル基、イソブチル基、2級ブチル基、ターシャリブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、2級ペンチル基、ネオペンチル基、ターシャリペンチル基、ヘキシル基、2級ヘキシル基、ヘプチル基、2級ヘプチル基、オクチル基、2級オクチル基、ノニル基、2級ノニル基、デシル基、2級デシル基、ウンデシル基、2級ウンデシル基、ドデシル基、2級ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、2級トリデシル基、テトラデシル基、2級テトラデシル基、ヘキサデシル基、2級ヘキサデシル基、ステアリル基、2−エチルヘキシル基、2−ブチルオクチル基、2−ブチルデシル基、2−ヘキシルオクチル基等が挙げられる。 これらのアルキル基の中でも、炭素数4〜9のアルキル基が好ましく、炭素数4〜7のアルキル基がより好ましく、炭素数4〜6のアルキル基が更に好ましく、炭素数5が最も好ましい。 本発明のアルカンジオール組成物の製法は特に限定されないが、例えば、オレフィンを酸化してエポキシ化合物に変性した後、加水分解する方法等が挙げられる。オレフィンを酸化する方法としては、例えば、過酸化水素、パーオキシド化合物、無機の酸化剤等の酸化剤で酸化する方法等が挙げられる。また、加水分解する方法としては、例えば、高圧下で水と直接反応させる方法や、ギ酸や酢酸とエポキシ化合物を反応させた後、アルカリ性物質で加水分解する方法等が挙げられる。こうした製法によって得られたアルカンジオール組成物には、エステル化合物、不飽和アルコールあるいはアセタール化合物等の副生成物が必ず含まれているが、どの化合物が臭いの原因になっているかは特定できていなかった。こうした中、前述したように通常、一般的な精製方法である蒸留が行われているが、蒸留だけでは臭いは取れず、アルカンジオール組成物の臭いを取り除くことはできなかった。 本発明者等が検討した結果、臭いの原因となる化合物の中で、最も臭いに影響する化合物はエステル化合物およびジオキサン型化合物であることがわかった。従って、本発明の第一のアルカンジオール組成物においては、エステル化合物(A)の含量が、アルカンジオール化合物100質量部に対して0.005質量部以下でなければならない。エステル化合物(A)とは、エステル結合を有する化合物であり、例えば、原料のエポキシ化合物とギ酸や酢酸等の脂肪酸との反応物、アルカンジオール化合物と脂肪酸との反応物、原料のオレフィンが酸化によってカルボニル基を有する化合物となり、当該化合物と、エポキシ化合物やアルカンジオール化合物とが反応した反応物等が挙げられる。こうしたエステル化合物は、いずれも臭いの原因となるので、本発明のアルカンジオール組成物中に含まれるエステル化合物の含量は、アルカンジオール化合物100質量部に対して0.005質量部以下であり、好ましくは0.003質量部以下であり、より好ましくは0.001質量部以下である。0.005質量部を超えると、アルカンジオール組成物に不快な臭いが残る。 また、本発明の第二のアルカンジオール組成物においては、ジオキサン型化合物(C)の含量を、アルカンジオール化合物100質量部に対し、0.2質量部以下とすることが必要である。本発明においては、ジオキサン型化合物(C)の含量を抑えることによっても、臭いの抑制効果を得ることができる。ジオキサン型化合物(C)としては、例えば、以下に示す一般式(2),(3)(式中のRは前記と同じものを表す)で示されるものが挙げられ、これらはアルカンジオール同士の脱水縮合反応や、未反応のエポキシ化合物同士の縮合反応等により生成する。本発明の第二のアルカンジオール組成物中に含まれるジオキサン型化合物(C)の含量は、アルカンジオール化合物100質量部に対して0.2質量部以下であり、好ましくは0.15質量部以下であり、より好ましくは0.1質量部以下である。0.2質量部を超えると、アルカンジオール組成物に不快な臭いが残る。 本発明においては、上記のように、エステル化合物(A)またはジオキサン型化合物(C)のいずれかの含量を所定範囲内に抑えることで、臭いの少ないアルカンジオール組成物が得られるものであるが、更に、アルカンジオール組成物の臭いの原因となる副生成物として、エーテル基含有2価アルコールが挙げられる。エーテル基含有2価アルコール(B)としては、例えば、以下に示す一般式(4),(5)または(6)(式中のRは前記と同じものを表す)で示されるものが挙げられ、これらはアルカンジオール同士の脱水縮合反応等により生成する。本発明のアルカンジオール組成物中に含まれるエーテル基含有2価アルコール(B)の含量は、アルカンジオール化合物100質量部に対して0.3質量部以下が好ましく、0.2質量部以下がより好ましく、0.15質量部以下が更に好ましい。0.3質量部を超えると、アルカンジオール組成物に不快な臭いが残る場合がある。 こうした副生成物を分析する方法としては、例えば、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー、質量分析装置、NMR、IR等の機器分析装置を使用する方法や、けん化価、不飽和度、水酸基価等の滴定を利用する分析等が挙げられるが、微量の副生成物を分析するということから、機器分析により行うことが好ましく、ガスクロマトグラフィーや質量分析装置を使用することがより好ましく、ガスクロマトグラフィーが更に好ましい。本発明のアルカンジオール組成物の場合、ガスクロマトグラフィーのチャート上に現れるピーク面積の比が質量比と同じになるため、各成分の質量比を分析するのが容易である。 ガスクロマトグラフィー分析には、副生成物等が分離する条件であればいずれの方法を用いてもよく、例えば、ガスクロマトグラフィー装置としてGC−14B((株)島津製作所製)に、J&W社製のDB−1(100%ジメチルポリシロキサン、内径0.53mm、長さ15m、膜厚1.5μm)カラムを装着し、キャリアーガスとして窒素20ml/分、FID検出器温度320℃、空気圧50kPa、水素圧50kPa、気化室温度320℃、昇温速度は60℃で5分間保持した後に10℃/分で280℃まで昇温し、280℃になったら同温度で3分間保持する条件で、エタノールで1.5重量%に希釈した試料をマイクロシリンジで0.1μlを機器に注入する方法が挙げられる。 上記条件では、1,2−オクタンジオールは保持時間約10分のところに主ピークが現れ、副生成物がある場合は、その前後にピークが現れる。そして、これらのピーク面積の比がそのまま各成分の質量比となる。なお、主ピークの保持時間前の2分間には、エステル化合物のピークが現れ、主ピークの保持時間後の4〜7分の間にはジオキサン型化合物のピークが現れ、主ピークの保持時間後の8〜15分の間にはエーテル基含有2価アルコールのピークが現れる。 即ち、本発明の第一のアルカンジオール組成物においては、主ピークの保持時間前の2分間に出るエステル化合物のピークの面積が、主ピークの面積の0.005%以下でなければならず、好ましくは0.003%以下、より好ましくは0.001%以下である。0.005%より大きくなると、エステル化合物の含量が、アルカンジオール化合物100質量部に対して0.005質量部を超えてしまう。また、主ピーク保持時間後の2分間には、構造不明の臭い成分が出る場合があり、この間にピークが出た場合は、臭いが強くなるので好ましくない。 また、本発明の第二のアルカンジオール組成物においては、主ピークの保持時間後の4〜7分の間に出るジオキサン型化合物のピークの面積が、主ピークの面積の0.2%以下でなければならず、好ましくは0.15%以下、より好ましくは0.1%以下である。0.2%より大きくなると、ジオキサン型化合物の含量が、アルカンジオール化合物100質量部に対して0.2質量部を超えてしまう。 更に、主ピークの保持時間後の8〜15分の間に出るエーテル基含有2価アルコールのピークの面積は、主ピークの0.3%以下が好ましく、より好ましくは0.2%以下、更に好ましくは0.15%以下である。0.3%より大きくなると、エーテル基含有2価アルコールの含量が、アルカンジオール化合物100質量部に対して0.3質量部を超えてしまい、臭いが出る場合がある。 本発明のアルカンジオール組成物を得るためには、アルカンジオール化合物100質量部に対して、副生成物であるエステル化合物を0.005質量部以下にするか、かつ/または、副生成物であるジオキサン型化合物を0.2質量部以下にすることができるものであれば、公知の方法のいずれを用いてもよい。前述したように、一般的に行われている蒸留のみではエステル化合物および/またはジオキサン型化合物の含量を上記範囲以下とすることはできず、臭いは取れない。これは臭いの原因成分であるエステル化合物およびジオキサン型化合物の沸点が、アルカンジオール化合物の沸点と非常に近いことが原因であると考えられる。 本発明のアルカンジオール組成物を得るための精製方法としては、例えば、水を大量に入れて減圧脱水し、副生成物を水と共沸させて取り除く方法、有機溶媒を入れて減圧し、それらの有機溶媒と副生成物を共沸させる方法、水及び有機溶媒を入れて減圧し、それらと副生成物を共沸させる方法、水蒸気を吹き込みながら減圧し、副生成物を取り除く方法、イオン交換樹脂や活性炭等の吸着剤に副生成物を吸着させて、更に蒸留する方法、エタノール、アセトン、ヘキサン等の溶剤を添加し、再結晶によって精製する方法、及びこれらの方法の組み合わせや、これらの方法と既存の精製方法との組み合わせ等が挙げられる。 これらの方法の中でも、臭いの原因となるエステル化合物を効率的に除去できることから、水蒸気を吹き込みながら減圧し、副生成物を取り除く方法、本発明の製造方法である水及び/又は有機溶媒を添加し、減圧してそれらの溶剤と副生成物を共沸させる方法、有機溶媒を入れて更に水蒸気を吹き込みながら減圧する方法が好ましい。 なお、水蒸気を吹き込む場合は、アルカンジオール組成物100質量部に対して、トータルの水の量が30〜200質量部になるように吹き込むことが好ましく、50〜150質量部がより好ましく、50〜100質量部が更に好ましい。蒸留温度は、80〜120℃が好ましく、85〜110℃がより好ましく、90〜100℃が更に好ましい。また、減圧度は、10kPa以下が好ましく、5kPa以下がより好ましく、1.3kPa以下が更に好ましい。 有機溶媒はアルカンジオール組成物100質量部に対して30〜200質量部入れることが好ましく、50〜150質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。また、例えば、10質量部入れて脱有機溶媒した後、更に10質量部入れて脱有機溶媒するなど、複数回に分けて有機溶媒を添加してもよい。複数回に分けて有機溶媒を添加する場合は、添加した有機溶媒のトータル量が上記の好ましい範囲になるように添加することが好ましい。 水はアルカンジオール組成物100質量部に対して30〜200質量部入れることが好ましく、50〜150質量部がより好ましく、80〜120質量部が更に好ましい。また、例えば、10質量部入れて脱水した後、更に10質量部入れて脱水するなど、複数回に分けて水を添加してもよい。複数回に分けて水を添加する場合は、添加した水のトータル量が上記の好ましい範囲内になるように添加することが好ましい。また、減圧度は、10kPa以下が好ましく、5kPa以下がより好ましく、1.3kPa以下が更に好ましい。 また、有機溶媒と水、あるいは有機溶媒と水蒸気を組み合わせる場合は、有機溶媒100質量部に対して、水又は水蒸気が20〜150質量部になるように添加あるいは吹き込むことが好ましく、30〜100質量部がより好ましい。また、有機溶媒と水、あるいは有機溶媒と水蒸気のトータル量は、アルカンジオール組成物100質量部に対して50〜300質量部が好ましく、80〜250質量部がより好ましく、100〜200質量部が更に好ましい。更に、減圧度は、10kPa以下が好ましく、5kPa以下がより好ましく、1.3kPa以下が更に好ましい。 上記の精製方法に使用できる有機溶媒としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール化合物;へキサン、オクタン、ノナン、デカン等の非環式炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、クメン、ナフタレン等の芳香族系炭化水素が挙げられる。これらの中でも、副生成物の除去のし易さという点から、グリコール系の溶剤を使用するのが好ましく、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールがより好ましく、プロピレングリコールが最も好ましい。 本発明のアルカンジオール組成物には、必要に応じて、他の任意の成分を本発明の効果を損なわない範囲で添加することができる。他の任意の成分とは、例えば、水、非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤、酸化防止剤、光安定剤、シリコーン油、粘剤、油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、防腐剤、香料、保湿剤、生理活性成分、塩類、溶剤、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、酵素、シクロデキストリン等の環状オリゴ糖などの成分を適宜配合することができる。 更に、本発明のアルカンジオール組成物は、水酸基と反応する他の化合物と反応させることもできる。水酸基と反応する他の化合物としては、例えば、イソシアネート化合物、エポキシ化合物、脂肪酸等のカルボン酸含有化合物等が挙げられる。これらと反応させることにより、ウレタン樹脂やエポキシ樹脂、ポリエステル等に利用することができ、更に、本発明のアルカンジオール組成物は副生成物の含量が少ないので、副反応がほとんど起こらず、最終的な反応物も副生成物が少ないという利点がある。 本発明の香粧品は、上記本発明のアルカンジオール組成物を含む香粧品である。香粧品においてアルカンジオール組成物は、例えば、保湿剤や防腐剤として利用したり、シャンプーのパール化剤として利用することができる。香粧品としては、例えば、洗顔クリーム、洗顔フォーム、クレンジングクリーム、クレンジングミルク、クレンジングローション、マッサージクリーム、コールドクリーム、モイスチュアクリーム、日焼け止めクリーム、ボディシャンプー、ヘアシャンプー、ヘアリンス、ヘアトリートメント、養毛剤、ヘアクリーム、ヘアリキッド、セットローション、ヘアブリーチ、カラーリンス、パーマネントウェーブ液、ハンドクリーム、口紅、各種パック、ファンデーション、化粧水、化粧液、乳液、オーデコロン、浴用化粧品、台所用洗剤、洗濯用洗剤、浴用洗剤、爪用化粧品、歯磨き粉等が挙げられる。 以下、本発明を実施例により、具体的に説明する。ジオール化合物の製造製造例1(オクタンジオールの製造) 攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた2000mlのガラス製四つ口フラスコに、炭素数8のαオレフィン381g(3.4モル)と95%ギ酸218g(4.5モル)を仕込み、60℃で60%過酸化水素261g(4.6モル)を2時間かけて滴下し、滴下終了後60℃で8時間熟成した。その後静置して下層である水層を取り除いた後、25%水酸化ナトリウム水溶液192g(1.2モル)を加え、60℃で30分撹拌して鹸化した後、静置して、下層にきた水層を除去した。この鹸化及び水層除去の作業を2度行った後、温水洗浄及びヘキサンで溶剤洗浄をして、1,2−オクタンジオール380gを得た。製造例2(デカンジオールの製造) 製造例1と同様の方法で、炭素数10のαオレフィンから、1,2−デカンジオールを製造した。製造例3(ドデカンジオールの製造) 製造例1と同様の方法で、炭素数12のαオレフィンから、1,2−ドデカンジオールを製造した。精製処理処理1 攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた500mlのガラス製四つ口フラスコに、製造例1〜3で製造したジオール化合物100gとプロピレングリコール100gをそれぞれ入れ、90〜95℃に昇温し、1.33kPaの減圧下でプロピレングリコールを完全に除去して、精製ジオール化合物を得た。処理2 攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた500mlのガラス製四つ口フラスコに、製造例1〜3で製造したジオール化合物100g、プロピレングリコール100g、及び水50gをそれぞれ入れ、90〜95℃に昇温し、1.33kPaの減圧下でプロピレングリコールを完全に除去して、精製ジオール化合物を得た。処理3 攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた300mlのガラス製四つ口フラスコに、製造例1〜3で製造したジオール化合物100gをそれぞれ入れ、120〜180℃に昇温し、1.4〜1.8kPaの減圧下で1回蒸留して、主留分である精製ジオール化合物を得た。処理4 200mlのビーカーに、製造例1〜3で製造したジオール化合物50gと活性炭10gをそれぞれ入れ、50℃に昇温してスターラーで撹拌した。2時間撹拌した後、活性炭をろ過して精製ジオール化合物を得た。 上記の方法で製造、精製したジオール化合物につき、以下の条件でガスクロマトグラフィー分析を行い、各ピーク面積を計算し、不純物の量を測定した。結果は、メインピーク(ジオール化合物)の面積を100とし、それに対するその他のピーク面積の比率を示した。表1に1,2−オクタンジオール(製造例1)、表2に1,2−デカンジオール(製造例2)、表3に1,2−ドデカンジオール(製造例3)の結果を示す。分析装置:GC−14B((株)島津製作所製)カラム:DB−1(J&W社製、100%ジメチルポリシロキサン、内径0.53mm、長さ15m、膜厚1.5μm)キャリアーガス:窒素、20ml/分空気圧:50kPa水素圧:50kPa気化室温度:320℃昇温速度:60℃で5分間ホールド後、10℃/分で280℃まで昇温し、280℃で3分間ホールド。試料量:0.1μl(エタノールで1.5重量%に希釈したもの)試験例1 男女5人ずつ、計10人のパネラーにより、下記の評価項目に従い、処理1〜4及び未処理のアルカンジオール化合物を評価した。結果を表4に示す。○:臭いは感じられない。△:若干臭いは感じられるが不快ではない。×:不快な臭いが感じられる。 以上の結果より、ガスクロマトグラフィーにおいてジオール化合物の前2分間に出るピーク(エステル化合物)の大きさが大きいもの、および/または、ジオール化合物の後4〜7分間に出るピーク(ジオキサン型化合物)の大きさが大きいものは、いずれの場合も不快な臭いが感じられることがわかった。試験例2 製造例1に記載の1,2−オクタンジオールを処理2の方法で精製したものと、未処理のものを利用して、下記表5記載の配合に従いシャンプーを製造した。この2品のシャンプーを、男女5人ずつ、計10人のパネラーにより、シャンプー使用時の臭いを評価した。 シャンプーの臭いの判定をした結果、処理2の方法にて精製した1,2−オクタンジオール組成物を含むシャンプーの臭いの方が良いと感じた人が9人、どちらの臭いも同等と感じた人が1人、未処理の1,2−オクタンジオール組成物を含むシャンプーの臭いが良いと感じた人は0人であった。 炭素数4以上のアルカンジオール化合物を含むアルカンジオール組成物を製造するにあたり、(a)オレフィンを酸化させ、エポキシ化合物を製造する工程と、(b)該エポキシ化合物を加水分解してアルカンジオール組成物を得る工程と、(c)該アルカンジオール組成物にプロピレングリコール、または、プロピレングリコール及び水を添加し、減圧下にてプロピレングリコール、または、プロピレングリコール及び水を取り除く工程と、を含むことを特徴とするアルカンジオール組成物の製造方法。 前記アルカンジオール化合物が、下記一般式(1)、(上記式中、Rは炭素数4〜15のアルキル基を表す)で表される請求項1記載のアルカンジオール組成物の製造方法。 請求項1または2記載のアルカンジオール組成物の製造方法により製造されるアルカンジオール組成物であって、炭素数4以上のアルカンジオール化合物100質量部に対して、エステル化合物(A)の含量が0.005質量部以下であることを特徴とするアルカンジオール組成物。 請求項1または2記載のアルカンジオール組成物の製造方法により製造されるアルカンジオール組成物であって、炭素数4以上のアルカンジオール化合物100質量部に対して、ジオキサン型化合物(C)の含量が0.2質量部以下であることを特徴とするアルカンジオール組成物。 更に、アルカンジオール化合物100質量部に対して、エーテル基含有2価アルコール(B)の含量が0.3質量部以下である請求項3または4記載のアルカンジオール組成物。 請求項3〜5のいずれかに記載のアルカンジオール組成物を含有することを特徴とする香粧品。


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