タイトル: | 特許公報(B2)_ハロアルキルエーテル化合物の製造方法 |
出願番号: | 2007511248 |
年次: | 2011 |
IPC分類: | C07C 41/22,C07C 43/12,C07B 61/00 |
鍋島 亮浩 阿部 吉伸 徳田 弘晃 JP 4693840 特許公報(B2) 20110304 2007511248 20060329 ハロアルキルエーテル化合物の製造方法 大塚化学株式会社 000206901 田村 巌 100081536 鍋島 亮浩 阿部 吉伸 徳田 弘晃 JP 2005098066 20050330 20110601 C07C 41/22 20060101AFI20110512BHJP C07C 43/12 20060101ALI20110512BHJP C07B 61/00 20060101ALN20110512BHJP JPC07C41/22C07C43/12C07B61/00 300 C07C 41/22 C07C 43/12 CA/REGISTRY(STN) 国際公開第02/059070(WO,A1) CHONG,J.M. et al,Preparation of chloromethyl methyl ether revisited,Synthetic Communications,1998年,Vol.28, No.15,p.2801-2806 ZAIDI,J.H.,A convenient preparation of n-butyl chloromethyl ether and its use in ortho-directed metalation of phenols,Synthetic Communications,1996年,Vol.26, No.12,p.2407-2419 LINDERMAN,R.J. et al,A Simple and Cost Effective Synthesis of Chloromethyl Methyl Ether,Journal of Organic Chemistry,1994年,Vol.59, No.21,p.6499-500 5 JP2006307173 20060329 WO2006107065 20061012 7 20070823 本堂 裕司 本発明は、ハロアルキルエーテル化合物の製造方法に関する。 ハロアルキルエーテル化合物は、医薬品、染料、イオン交換樹脂や導電剤、帯電防止剤等の中間原料として広く利用されている、芳香族クロロメチル化合物の原料としても有用である。また、近年では、バッテリーやキャパシタ等の電気化学デバイスの電解質として期待されている、第四級アンモニウム塩の原料としても有用である。 従来、ハロアルキルエーテル化合物の製造方法としては、アルデヒド、アルコールおよびハロゲン化水素を反応させることが知られていた(非特許文献1参照)。しかし、この製造方法では、アルデヒドの縮合体や、過反応物等非常に多くの不純物が副生し、純度の高いハロアルキルエーテルを取り出すことは難しい。特にクロロメチルメチルエーテルに適用した場合、副反応物として、発がん性のあるビスクロロメチルエーテルが多く生成し、取り扱い上及び、廃棄上の問題があった。 上記の問題を解決する為に、例えば、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物とを加熱することにより式(1)で表されるハロアルキルエーテル化合物の製造方法が知られている(非特許文献2参照)。しかし、該文献では、副生成物の生成が少なくなっているものの、高温(55〜60℃)で長時間(18時間)、反応させているため、沸点の低い原料及び毒性の強いクロロメチルメチルエーテル(目的物)の揮発により環境への負荷が懸念されている。ORGANIC SYNTHESES Collective Volume 1 P.377−379J.Org.Chem.1994,59,6499−6500 本発明の目的は、低温で、反応時間が短く、収率がより向上した、環境への負荷が少ないハロアルキルエーテル化合物の製造方法を提供することにある。 本発明は以下の発明に係る。1.ルイス酸の存在下、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物を反応させることを特徴とする式(1)で表されるハロアルキルエーテル化合物の製造方法。(式中、R1は、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を示す。)(式中、R2は、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基あるいはフェニル基を示す。Xは、ハロゲン原子を示す。)(式中、R1およびXは、上記と同じ。) 本発明において、R1で示される炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基を挙げることができる。好ましくは、炭素数1〜3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が良い。より好ましくは、メチル基又はエチル基が良い。 式(2)で表される化合物としては、具体的には、例えば、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジ−n−プロポキシメタン、ジ−iso−プロポキシメタン、ジ−n−ブトキシメタン、ジ−sec−ブトキシメタン、ジ−tert−ブトキシメタンを挙げることができる。好ましくは、ジメトキシメタン、ジエトキシメタン、ジ−n−プロポキシメタン、ジ−iso−プロポキシメタンが良い。より好ましくは、ジメトキシメタン、ジエトキシメタンが良い。 R2で示される炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル、n−ヘキシル基、n−ペプチル基、n−オクチル基等を挙げることができる。好ましくは、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が良い。より好ましくは、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が良い。 Xで示されるハロゲン原子としては、Cl、Br、I等を挙げることができる。 式(3)で表される化合物としては、具体的には、例えば、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、n−ブチリルクロライド、n−ペンタノイルクロライド、n−ヘキサノイルクロライド、n−ヘプタノイルクロライド、n−オクタノイルクロライド、n−ノナノイルクロライド、ベンゾイルクロライド等、またこれらの臭化物を挙げることができる。好ましくは、アセチルクロライド、プロピオニルクロライド、n−ブチリルクロライド、n−ペンタノイルクロライド、n−ヘキサノイルクロライド、ベンゾイルクロライドが良い。 ルイス酸としては、従来公知のものを広く使用でき、例えばAlX3、FeX3、SbX5、TeX2、SnX4、TiX4、TeX4、BiX3、ZnX2、SiX4、BX3、P2O5、(XはCl、Br、Iを示す)で表される化合物を例示することができる。具体的には例えば、三塩化チタン、四塩化チタン、三塩化モリブデン、五塩化モリブデン、塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、塩化亜鉛、臭化亜鉛、三弗化硼素、三弗化硼素エーテル錯体、二塩化硼素、三臭化硼素、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、塩化ガリウム(II)、塩化スズ、臭化スズ、三塩化アンチモン、五塩化アンチモン、塩化ビスマス(III)、臭化ビスマス(II及びIV)、四塩化珪素、塩化テルル(II及びIV)、五酸化燐等を挙げることができる。 これらの中でも、反応の選択性や目的物の収率等を考慮すると、塩化鉄(III)、塩化アルミニウムが好ましい。 ルイス酸は、1種を単独で使用でき、または、2種以上を併用できる。 式(1)で表されるハロアルキルエーテル化合物としては、具体的には、例えば、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、クロロメチル−n−プロピルエーテル、クロロメチル−iso−プロピルエーテル、クロロメチル−n−ブチルエーテル、クロロメチル−sec−ブチルエーテル、クロロメチル−tert−ブチルエーテルを、またこれらの臭化物を挙げることができる。好ましくは、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル、クロロメチル−n−プロピルエーテル、クロロメチル−iso−プロピルエーテルが良い。より好ましくは、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテルが良い。 本発明の式(1)で表されるハロアルキルエーテル化合物の製造方法は、下記反応式を用いて説明する。 ルイス酸の存在下、式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物を反応させることにより、式(1)で表されるハロアルキルエーテル化合物が製造できる。 上記の反応は、無溶媒あるいは適当な溶媒中で行われる。 用いられる溶媒としては、ルイス酸、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物を溶解し得、反応に悪影響を及ぼさない溶媒である限り、広く使用できる。このような溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素、アセトン、エチルメチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類、トルエン等の芳香族炭化水素、アセトニトリル等のニトリル類を挙げることができる。 式(3)で表される化合物の使用量は、式(2)で表される化合物に対して、通常1.0〜1.5当量使用する。好ましくは、1.0〜1.2当量が良い。 ルイス酸の使用量は、式(2)で表される化合物に対して、好ましくは、0.0001〜1当量、より好ましくは、0.0001〜0.1当量、更に好ましくは0.001〜0.1当量が良い。 ルイス酸を大量に使用すると、スラリー濃度が高くなり、反応操作が制御困難となり、また精製も困難で目的物のロス量が増大してしまう。更に蒸留の際、沸点上昇が起こり、目的物の熱分解、収率の低下、純度の低下を引き起こす等、好ましくない。 該反応は、通常−10〜50℃、好ましくは、0〜30℃、より好ましくは、0〜10℃にて行われる。また、反応時間は、10分〜200時間、好ましくは、10分〜10時間、より好ましくは、0.5〜5時間が良い。 上記反応で得られる目的物は、通常の分離手段、例えば、蒸留、濃縮、有機溶媒抽出、遠心分離、洗浄、クロマトグラフィー、再結晶等の慣用の単離及び精製手段により、反応混合物から容易に単離、精製される。 以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが何らこれらに限定されるものではない。 容器を窒素置換後、無水塩化鉄(III)(試薬:キシダ化学製)0.02g、ジメトキシメタン(試薬:関東化学製)14.5gを添加した。3℃下、アセチルクロライド(試薬:関東化学製)15.0gを1時間で滴下した。2℃にて、1時間攪拌し、目的物であるクロロメチルメチルエーテルを得た(収率;100%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:2.02(s 3Hb),3.48(s 3Ha),3.63(s 3Hb),5.43(s 2Ha) 容器を窒素置換後、無水塩化鉄(III)(前記に同じ)0.2g、ジメトキシメタン(前記に同じ)14.5gを添加した。3℃下、アセチルクロライド(前記に同じ)15.0gを1.5時間で滴下し、目的物であるクロロメチルメチルエーテルを得た(収率;100%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:2.02(s 3Hb),3.48(s 3Ha),3.63(s 3Hb),5.43(s 2Ha) 容器を窒素置換後、無水塩化鉄(III)(前記に同じ)0.29g、ジメトキシメタン(前記に同じ)14.1gを添加した。3℃下、n−ヘキサノイルクロライド(試薬:東京化成製)25.0gを1時間で滴下し、目的物であるクロロメチルメチルエーテルを得た(収率;100%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:0.88(b 3Hb),1.30(b 4Hb),1.63(b 2Hb),2.32(b 2Hb),3.50(s 3Ha),3.67(s 3Hb),5.44(s 2Ha) 容器を窒素置換後、無水塩化鉄(III)(前記に同じ)0.30g、ジエトキシメタン(試薬:東京化成製)20.8gを添加した。3℃下、アセチルクロライド(前記に同じ)15.7gを1時間で滴下し、目的物であるクロロメチルエチルエーテルを得た(収率;100%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:1.27(m 3Ha&3Hb),2.08(s 3Hb),3.77(q 2Ha),4.15(q 2Hb),5.52(s 2Ha) 容器を窒素置換後、無水塩化鉄(III)(前記に同じ)0.29g、ジメトキシメタン(前記に同じ)13.5gを添加した。3℃下、ベンゾイルクロリド(試薬:東京化成製)25.0gを1時間で滴下し、目的物であるクロロメチルメチルエーテルを得た(収率;100%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:3.51(s 3Ha),3.95(s 3Hb),5.46(s 2Ha),7.45(m 2Hb),7.55(m 1Hb),8.05(m 2Hb) 容器を窒素置換後、無水塩化アルミニウム(III)(試薬:和光純薬製)0.08g、ジメトキシメタン(前記に同じ)44.2gを添加した。3℃下、アセチルクロライド(前記に同じ)45.6gを0.5時間で滴下した。3℃から徐々に室温(25℃)まで温度を上げ、8時間攪拌し、目的物であるクロロメチルメチルエーテルを得た(収率;94%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:2.00(s 3Hb),2.61(s 3Hd),3.30(s 6Hc),3.46(s 3Ha),3.61(s 3Hb),4.51(s 2Hc),5.41(s 2Ha)比較例1 容器を窒素置換後、ジメトキシメタン(前記に同じ)50.7gを添加した。3℃下、アセチルクロライド(前記に同じ)52.3gを1時間で滴下した。3℃から徐々に室温(25℃)まで温度を上げ、4時間攪拌した。さらにReflux(47℃)まで昇温し、22時間攪拌し、目的物であるクロロメチルメチルエーテルを得た(収率;14%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:2.01(s 3Hb),2.62(s 3Hd),3.31(s 6Hc),3.47(s 3Ha),3.62(s 3Hb),4.53(s 2Hc),5.42(s 2Ha)比較例2 容器を窒素置換後、ジメトキシメタン(前記に同じ)14.1gを添加した。3℃下、n−ヘキサノイルクロライド(試薬:東京化成製)25.0gを0.5時間で滴下した。3℃から徐々に室温(25℃)まで温度を上げ、4時間攪拌した。さらにReflux(66℃)まで昇温し、22時間攪拌し、目的物であるクロロメチルメチルエーテルを得た(収率;7%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:0.89(m 3Hb&3Hd),1.32(m 4Hb&4Hd),1.70(m2Hb&2Hd),2.29(t 2Hb),2.86(t 2Hd),3.34(s 3Hc),3.50(s 3Ha),3.64(s 3Hb),4.55(s 2Hc),5.45(s 2Ha)比較例3 容器を窒素置換後、ジメトキシメタン(前記に同じ)50.0gを添加した。3℃下、ベンゾイルクロライド(前記に同じ)92.3gを0.5時間で滴下した。3℃から徐々に室温(25℃)まで温度を上げ、4時間攪拌した。さらにReflux(58℃)まで昇温し、22時間攪拌し、目的物であるクロロメチルメチルエーテルを得た(収率;1%)。反応収率は、1H−NMRにて確認した。1H−NMR(CDCl3)δppm:3.36(s 6Hc),3.51(s 3Ha),3.92(s 3Hb),4.57(s 2Hc),5.46(s 2Ha),7.52(m 2Hb&2Hd),7.69(m 1Hb&1Hd),8.12(m 2Hb&2Hd) 本発明の製造方法は、反応時間が短く、収率がより向上し、更に反応を低温で行うことも可能な為、環境負荷の大きいハロアルキルエーテル化合物の揮発を大幅に抑制することができる。 AlX3、FeX3、SbX5、TeX2、SnX4、TiX4、TeX4、BiX3、ZnX2、SiX4、BX3、P2O5、(XはCl、Br、Iを示す)から選ばれるルイス酸の存在下、式(2)で表される化合物および式(3)で表される化合物を反応させることを特徴とする式(1)で表されるハロアルキルエーテル化合物の製造方法。(式中、R1は、炭素数1〜4の直鎖又は分岐のアルキル基を示す。)(式中、R2は、炭素数1〜8の直鎖又は分岐のアルキル基あるいはフェニル基を示す。Xは、ハロゲン原子を示す。)(式中、R1およびXは、上記と同じ。) ルイス酸がAlX3、FeX3、SbX5、SnX4、TiX4、ZnX2、SiX4(XはCl、Br、Iを示す)である請求項1記載の製造方法。 ルイス酸がAlCl3、又はFeCl3である請求項2記載の製造方法。 ルイス酸がFeCl3である請求項3記載の製造方法。 ルイス酸の使用量が、式(2)で表される化合物に対して、0.0001〜1当量である請求項1記載の製造方法。