生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_糖尿病モデル動物
出願番号:2007504847
年次:2012
IPC分類:A01K 67/027,C12N 15/09,G01N 33/15,G01N 33/50


特許情報キャッシュ

米川 博通 松岡 邦枝 設楽 浩志 河野 憲二 JP 4931153 特許公報(B2) 20120224 2007504847 20060227 糖尿病モデル動物 財団法人 東京都医学総合研究所 591063394 国立大学法人 奈良先端科学技術大学院大学 504143441 小林 浩 100092783 片山 英二 100095360 大森 規雄 100120134 岩田 耕一 100153693 鈴木 康仁 100104282 米川 博通 松岡 邦枝 設楽 浩志 河野 憲二 JP 2005051692 20050225 20120516 A01K 67/027 20060101AFI20120419BHJP C12N 15/09 20060101ALI20120419BHJP G01N 33/15 20060101ALI20120419BHJP G01N 33/50 20060101ALI20120419BHJP JPA01K67/027C12N15/00 AG01N33/15 ZG01N33/50 Z A01K 67/027 C12N 15/00-15/90 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) PubMed 蛋白質 核酸 酵素, (1998), 43, [1], p.11-24 Nat. Biotechnol., (2001), 19, [8], p.746-750 J. Biol. Chem., (2004), 279,[39], p.41095-41103 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (1994), 91, [26], p.12999-13003 Proc. Natl. Acad. Sci. USA, (2003), 100, [12], p.7253-7258 22 JP2006304185 20060227 WO2006090918 20060831 35 20090130 柴原 直司 本発明は、ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するプロモーターを含む組換体DNAが導入された、トランスジェニック非ヒト動物、並びに糖尿病モデル動物に関する。 本発明者らは、以前TRECK法という方法を開発した(国際公開98/33899号パンフレット、Saito M,et.al.,(2001)Nat.Biotechnology 19:746−750)。すなわち、この方法は、ヘパリン結合性EGFがジフテリア菌の産生する毒素(ジフテリア毒素)に対する受容体の本体であるという点に着目し、細胞外から加えたジフテリア毒素に対して、マウスの細胞がヒトの細胞に比べ約1,000倍以上の耐性を有することを利用し、マウスの特定の細胞群のみを特異的に破壊するものである。TRECK法の概略は以下の通りである。まず、マウスの細胞・組織特異的プロモーターをヒトに特異的なジフテリア毒素受容体(DTR)に結合させた組換え体DNAを作製し、それをマウス個体に導入することによりトランスジェニック(Tg)マウスを作製する。このTgマウスは導入されたプロモーターによりDTRを細胞の表面上に特異的に発現する。そのため、このTgマウスにジフテリア毒素(DT)を投与すると任意の時期に狙った細胞だけを除去したり、一過的な障害を与えたりすることができる。これまでも、この方法を用いることにより、肝炎などのヒト疾患モデルが創出されており、この方法の応用によってさらに様々なモデルが創出可能である。 ところで、糖尿病は生活習慣病のひとつであり、わが国でも推定罹患者数が1600万人ともいわれている。糖尿病は、インシュリン作用の不足、つまりインシュリンの供給不足と、インシュリン標的臓器での感受性の低下が原因となり、血液中のブドウ糖が増えすぎて(高血糖)尿の中に糖が溢れてきた状態(糖尿)をいう。実際は血液中のブドウ糖の量(血糖値)を測定することにより診断される。さらに、糖尿病は、神経障害、網膜症、腎症などの合併症を引き起こすことも知られており、また、他の生活習慣病である、肥満、高脂血症及び高血圧などと重複した代謝症候群(metabolic syndrome)は、心筋梗塞、脳梗塞などの心血管疾患の主要な原因になるといわれている。したがって、糖尿病の原因解明とそれに立脚した根本的な予防法や治療法の確立がきわめて重要であり、糖尿病のモデル動物の作製が望まれてきた。特に、I型糖尿病の根本的治療には、再生医学を利用した膵臓β細胞の幹細胞、あるいは前駆細胞の移植が有望視されてきていた。再生医学を利用したI型糖尿病のための適当な動物モデルとしては、以下の条件を満たす必要がある。 1)動物の遺伝的背景の違い、あるいは種差、性差にかかわらず、1回の薬剤の投与によって確実に糖尿病を惹起できること。 2)糖尿病を起こした後の短い時間に投与した薬剤が体内から速やかに排泄され、糖尿病以外の何らの影響も及ぼさないこと。 3)ヒトをはじめ、ほとんどの哺乳類細胞を移植することが可能なこと。 しかし、上記の条件を満たす適当な動物モデルは確立されていなかった。 本発明は、ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するプロモーターを含む組換体DNAが導入された、トランスジェニック非ヒト動物を提供する。 本発明者は、上記課題を解決するために鋭意研究を行った。そして、TRECK法を用いてインシュリンプロモーターを含む組換えDNAを導入したトランスジェニック動物を作製したところ、この動物が糖尿病を発症することを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は以下のとおりである。(1)ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換体DNAが導入された、トランスジェニック非ヒト動物。 本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、ジフテリア毒素が投与されることにより糖尿病を発症することを特徴とする。また、ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子は霊長類由来のヘパリン結合性EGF遺伝子であり、ヒトヘパリン結合性EGF遺伝子であることが好ましい。マウス、ラット、モルモット、ハムスター、イヌ、ネコ、ヤギ、ヒツジ、ブタ、ウシ及びウマからなる群から選択されるいずれか一種であり、マウスであることが好ましい。また、本発明に用いられる動物は、重度複合免疫不全動物であることが好ましい。(2)ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換体DNAを非ヒト動物に導入することを特徴とする、トランスジェニック非ヒト動物の作製方法。(3)上記(1)のトランスジェニック非ヒト動物又は上記(2)の方法により作製されたトランスジェニック非ヒト動物に、ジフテリア毒素を投与することを特徴とする糖尿病発症動物の作製方法。(4)上記(1)のトランスジェニック非ヒト動物又は上記(2)の方法により作製されたトランスジェニック非ヒト動物にジフテリア毒素を投与して当該トランスジェニック非ヒト動物に糖尿病を発症させる方法。(5)上記(3)記載の方法により作製された糖尿病発症動物。(6)上記(3)の糖尿病発症動物に、候補物質を投与することを特徴とする、糖尿病治療薬のスクリーニング方法。 本発明のスクリーニング方法において、例えば、候補物質を接触させた糖尿病モデル動物の血糖値を測定し、当該測定された血糖値が候補物質を接触させない対照の糖尿病モデル動物の血糖値よりも低下したときは、前記候補物質を糖尿病治療薬として選択することができる。 また、本発明のスクリーニング方法において、候補物質を接触させた糖尿病モデル動物のインシュリン濃度(例えば血中インシュリン濃度)を測定し、当該測定された濃度が候補物質を接触させない対照の糖尿病モデル動物のインシュリン濃度よりも増加したときは、前記候補物質を糖尿病治療薬として選択することも可能である。(7)上記(5)記載の動物に他の動物由来の幹細胞を移植することを特徴とする、当該他の動物由来の膵臓細胞を有するトランスジェニック非ヒト動物を作出する方法。 移植に使用される幹細胞としては、例えば造血幹細胞が挙げられる。造血幹細胞は、骨髄由来細胞又は臍帯血由来細胞であることが好ましい。(8)上記(7)記載の方法により作製された、他の動物由来の膵臓細胞を有するトランスジェニック非ヒト動物。 この非ヒト動物の膵臓細胞は、移植された他の動物の造血幹細胞由来の細胞を含む。造血幹細胞としては、骨髄細胞又は臍帯血細胞であることが好ましい。 図1は、TRECK法を用いて糖尿病を発症させる方法の模式図である。 図2は、本発明のトランスジエニックマウスの作製用組換体DNAの一部を示す。 図3は、PCR法による導入遺伝子の検出を示す写真である。 図4Aは、本発明のトランスジェニックマウスにジフテリア毒素の投与した後の血糖値を測定した結果を示すグラフである。 図4Bは、ジフテリア毒素投与による血糖値の上昇を示すグラフである。 図5Aは、ジフテリア毒素の投与により血糖値が上昇した本発明のトランスジェニックマウスにインシュリンを投与した後の血糖値を測定したグラフである。 図5Bは、SCID−Ins−TRECK−Tgにおける血中インシュリン濃度を示すグラフである。 図5Cは、SCID−Ins−TRECK−Tgマウスの高血糖症が、インシュリン依存性であることを示すグラフである。 図6は、本発明のトランスジェニックマウスの膵臓を組織学的に解析した写真である。 図7は、膵臓組織の抗hHB−EGF抗体による免疫組織染色の写真である。 図8は、SCID−Ins−TRECK−Tgマウス膵臓組織の免疫組織染色の写真である。 図9は、C57BL/6マウス骨髄細胞の移植によって高血糖症が改善することを示す図である。 図10は、ヒト臍帯血由来細胞を移植した後の血糖値の推移を示す図である。 以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明をこの実施の形態にのみ限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな形態で実施をすることができる。 なお、本明細書において引用した文献、及び公開公報、特許公報その他の特許文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、本願優先権主張の基礎となる日本国出願2005−51692号に記載の明細書、請求の範囲及び/又は図面の内容を包含する。 本発明は、ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換体DNAが導入された、トランスジェニック非ヒト動物、及び糖尿病を発症する糖尿病モデル動物に関する。1.組換え体DNA 本発明は、ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換え体DNAが導入されたことにより糖尿病を発症するトランスジェニック動物が獲得されたことを特徴とする。以下に、本発明の組換え体DNAについて説明する。 (1)ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子 本発明のジフテリア毒素受容体の本体とは、霊長類由来のヘパリン結合性EGF(HB−EGF;heparin binding−epidermal growth factor)である。ヘパリン結合性EGF遺伝子には膜結合型と蛋白質分解酵素により遊離型となったものが存在するが、本研究では膜結合型のものを利用する。本発明に用いることのできるヘパリン結合性EGF遺伝子の塩基配列は公知であり、その配列はGenBank等の公共データベースを通じて容易に入手することができる。その例示として、ヒトヘパリン結合性EGF遺伝子の塩基配列を配列番号1(NM_001945)に示す。但し、当業者であれば上記塩基配列の部分断片、例えばコード領域(配列番号1に示す塩基配列の262〜888番の領域)を選択して使用することが可能である。 また、本発明のヘパリン結合性EGF遺伝子は、配列番号1に示される塩基配列又はその部分配列のほか、配列番号1で示される塩基配列又はその部分配列に相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつヘパリン結合性EGF活性を有する領域をコードするDNAを含む。 ヘパリン結合性EGF活性とは、上記のように膜結合型のジフテリア毒素受容体として機能する活性を意味しする。 このようなヘパリン結合性EGF遺伝子は、配列番号1で表される塩基配列からなるDNA又はその断片をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、サザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション法により、ヒトのcDNAライブラリー及びゲノムライブラリーから得ることができる。これらの方法については、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))」を参照することができる。 上記ハイブリダイゼーションにおいてストリンジェントな条件としては、たとえば、1×SSC〜2×SSC、0.1%〜0.5%SDS及び42℃〜68℃の条件が挙げられ、より詳細には、60〜68℃で30分以上プレハイブリダイゼーションを行った後、プローブによるハイブリダイゼーションを行い、2×SSC、0.1%SDS中、室温で5〜15分の洗浄を4〜6回行う条件が挙げられる。また、配列番号1に示す塩基配列又はその部分配列(例えばコード領域の配列)と50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上又は99%以上の相同性を有し、かつジフテリア毒素受容体としてのヘパリン結合性EGF活性を有するタンパク質をコードする遺伝子の塩基配列も用いることができる。 (2)インシュリンプロモーター 本発明で用いるインシュリンプロモーターとは、膵臓ランゲルハンス島β細胞における特異的な発現を制御するために必要なDNAエレメントであり、その遺伝子の塩基配列は公知であり、その配列はGenBank等の公共データベースを通じて容易に入手することができる。例えば本発明に用いることのできるインシュリンプロモーターの例示として、J.Exp.Med.(1998)188(8):1445−1451に記載されているヒトインシュリンプロモーターの塩基配列(1.9kb)を配列番号2に示す。 また、本発明のインシュリンプロモーターは、配列番号2に示される塩基配列のほか配列番号2で示される塩基配列に相補的な配列に対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつインシュリンプロモーター活性を有する領域をコードするDNAを含む。インシュリンプロモーター活性とは、膵臓において、そのプロモーターの下流に連結された遺伝子の発現を促進しうる活性をいう。 このようなインシュリンプロモーターは、配列番号2で表される塩基配列からなるDNA又はその断片をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション、プラークハイブリダイゼーション、サザンブロット等の公知のハイブリダイゼーション法により、ヒトのcDNAライブラリー及びゲノムライブラリーから得ることができる。これらの方法については、「Molecular Cloning,A Laboratory Manual 2nd ed.(Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989))」を参照することができる。 上記ハイブリダイゼーションにおいてストリンジェントな条件としては、たとえば、1×SSC〜2×SSC、0.1%〜0.5%SDS及び42℃〜68℃の条件が挙げられ、より詳細には、60〜68℃で30分以上プレハイブリダイゼーションを行った後、プローブによるハイブリダイゼーションを行い、2×SSC、0.1%SDS中、室温で5〜15分の洗浄を4〜6回行う条件が挙げられる。また、配列番号2に示される塩基配列と50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、95%以上、98%以上又は99%以上の相同性を有し、かつ上記インシュリンプロモーター活性を有するヌクレオチドの塩基配列も用いることができる。 (3)遺伝子発現の調節 本発明の組換え体DNAは、細胞・組織特異的プロモーターであるインシュリンプロモーターを霊長類に特異的なジフテリア毒素受容体であるヘパリン結合性EGF遺伝子に結合させたものである。このインシュリンプロモーターによりヘパリン結合性EGF遺伝子が細胞の表面上に特異的に発現する。そのような組換え体DNAが導入された個体にジフテリア毒素(DT)を投与すると任意の時期にインシュリンプロモーターを発現する細胞を特異的に破壊することが可能になる。以下に、インシュリンプロモーターをヘパリン結合性EGF遺伝子に結合させた発現カセットを含むクローニングベクターの作製方法を示す。 本発明のジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子であるヘパリン結合性EGF遺伝子及びインシュリンプロモーターは通常の化学合成法または生化学的合成法を用いて製造することができる。例えば、遺伝子工学的手法として一般的に用いられているDNA合成装置を用いた核酸合成法を使用することができる。また、鋳型となる塩基配列を単離又は合成した後に、PCR法又はクローニングベクターを用いた遺伝子増幅法を用いることができる。必要に応じて、TAクローニング等の公知の方法を用いて配列を確認してもよい。上記方法は、Moleculer cloning 2nd ed.Cold Spring Harbor Laboratory Press(1989)等に従い、当業者ならば容易に行うことができる。なお、得られたPCR産物は、GENECLEAN(フナコシ)、QIAGEN(QIAGEN社)等を用いて精製することができる。必要に応じて、シークエンサー等を用いて期待された遺伝子の塩基配列を確認することができる。 その後、上記のようにして得られた各々の遺伝子を所定の順序となるように連結させる。まず、上記各々の遺伝子をを公知の制限酵素等で切断する。このように切出したヘパリン結合性EGF遺伝子のDNA断片を公知のベクターに公知の方法に従って挿入する。そして、プロモーターのDNAを、制限酵素等を用いて切断し、これを先ほど挿入した遺伝子の上流に、上記プロモーターが作動可能な部位に挿入する。DNAの結合には、DNAリガーゼを用いることができる。ベクターとしてはpCR4、pCR2.1、pBluescript、pBR322、pBR325、pUC12、pUC13等の大腸菌由来のプラスミド、pUB110、pTP5、pC194等の枯草菌由来のプラスミド、pSH19、pSH15等の酵母由来プラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、バキュロウイルス等の動物ウイルスなどが挙げられ、これらのベクターの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどを用いることができる。本発明においては、pBluescriptやpAT153などが好ましい。 (4)TRECK法 TRECK(toxin receptor−mediated cell knockout)法は、ジフテリア毒素受容体遺伝子を標的細胞群に特異的に発現させたトランスジェニック動物を作製し、ジフテリア毒素を投与することにより任意の時期かつ定量的に障害を与えることができるという、個体内での細胞系列の役割を明らかにするための新しい独創的な手法である。以下にTRECK法の原理を説明する。 ヒトやサルのような霊長類とマウスやラットなどのげっ歯類動物とでは、HB−EGFを構成するアミノ酸配列が微妙に異なっており、ジフテリア毒素が受容体依存的なエンドサイトーシスにより細胞内に取り込まれる際のジフテリア毒素に対する結合親和性も異なる。例えば、マウスの細胞は、ジフテリア毒素に耐性を示すが、それは、マウスのHB−EGFはジフテリア毒素との親和性がヒトなどの受容体に比べ著しく低いために、ジフテリア毒素受容体としての機能が非常に微弱となり、ジフテリア毒素が上記受容体に結合できず、細胞内に入れないためである。しかし、マウス細胞にジフテリア毒素受容体であるヒト由来のHB−EGF(hHB−EGF)を発現させると、マウス細胞も導入されたヒト由来のHB−EGFにより、ジフテリア毒素がヒトと全く同様に細胞内に取り込まれるため、マウスの細胞もジフテリア毒素感受性にさせることができる。この性質を利用して、標的となる細胞群にhHB−EGFを発現させたマウスを作製し、その細胞に障害を与えたい時期にジフテリア毒素を投与すると標的とする細胞だけを除去したり、一過性的な障害を与えたりすることができる。 具体的には、ジフテリア毒素は、分子量58,000のタンパク質でフラグメントAとフラグメントBからなるが、いったん細胞内に取り込まれると、フラグメントAが標的分子であるペプチド鎖伸長因子2(EF−2)をADPリボシル化し不活化するため、結果としてタンパク質合成が阻害され細胞が死ぬ。マウスの細胞がジフテリア毒素に耐性を示すのは、マウスのHB−EGFがジフテリア毒素受容体としての機能をもたず、ジフテリア毒素が細胞内に入れないためである。そこで、マウス細胞にジフテリア毒素受容体であるヒト由来のHB−EGF(hHB−EGF)を発現させると、マウスもジフテリア毒素感受性になる。TRECK法は、この性質を利用したもので、標的となる細胞群にhHB−EGFを発現させたマウスを作製し、その細胞に障害を与えたい時期にジフテリア毒素を投与すると、標的とする細胞だけを除去したり、一過性的な障害を与えたりすることができる。 TRECK法の具体的な実験手順は以下のとおりである、すなわち、標的にする細胞群のみに特異的に発現する遺伝子のプロモーター領域を有するプラスミドを作製する。プラスミドには、必要に応じてエンハンサー領域を含めてもよい。このとき、作製したプラスミドをCsCl平衡密度勾配遠心法等で調製し、導入遺伝子部分を制限酵素で切り出し、アガロースゲル電気泳動によって分離し、精製する。この導入遺伝子をトランスジェニック動物の作製に供する。 作製したトランスジェニック動物に対するジフテリア毒素の投与方法は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内のいずれも可能である。投与量は、用いる動物によって異なるが、例えば、マウスの場合は、ジフテリア毒素を50μg/kg投与しても異常は認められないため、通常は、50μg/kgの1/1000〜1/10にあたる50ng/kg〜5μg/kg程度である。また、投与時期は、導入遺伝子を破壊させたい時期にあわせて投与することができる。 本発明のTRECK法を用いて標的組織又は細胞を破壊する場合の模式図を図1に示す。図1において、糖尿病を発症させるには、組織/細胞特異的プロモーター/エンハンサとしてインシュリンプロモーターを使用すればよい。 (5)糖尿病 糖尿病とは、インシュリン作用の不足、つまりインシュリンの供給不足と、インシュリン標的臓器での感受性の低下が原因となり、血液中のブドウ糖が増えすぎて(高血糖)尿の中に糖が溢れてきた状態(糖尿)をいう。糖尿病は、(i)小児期に、膵臓β細胞がなんらかの原因で破壊された結果、インシュリンを分泌できなくなり、高血糖として比較的急激に発症するI型糖尿病、(ii)インシュリンの分泌量が低下しているか、インシュリンの血糖を下げる作用が弱くなって発症するもので、遺伝素因の他に、食生活、運動不足、ストレス等の要因が大きく関わっているインシュリン非依存型であるII型糖尿病、(iii)妊娠をきっかけに発症する妊娠糖尿病などに分類されている。本発明のトランスジェニック非ヒト動物が発症するのはI型糖尿病である。 2.トランスジェニック非ヒト動物 本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、ジフテリア毒素を投与することにより、糖尿病を発症することを特徴とする。以下に本発明のトランスジェニック非ヒト動物の製法及びその表現形質について説明する。 (1)トランスジェニック非ヒト動物の作製方法 本発明のトランスジェニック非ヒト動物は、遺伝子組換え技術を用いて上記組換体DNAを非ヒト動物のゲノムに導入することによって得ることができる。本発明に用いられる動物の種類は、特に限定されるものではない。たとえば、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、イヌ、ネコ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウシ及びウマなどの実験動物又は家畜が挙げられる。 本発明では取り扱いが容易で繁殖しやすい点でマウスが好ましい。以下、マウスを例に説明する。 トランスジェニック非ヒト動物の作製は、例えばマウスを用いた標準的な方法、すなわち初期受精卵を用いたマイクロインジェクション法、又はES細胞による導入法で行うことができる。マイクロインジェクション法では、トランスジェニック動物作製のためのマイクロインジェクションに用いる導入遺伝子、例えば本発明における図2に示すごとく作製された発現カセットを含むクローニングベクターを作製し、次いで制限酵素切断等により、該発現ベクターから発現カセットを切り出し、精製したDNA断片を受精したマウス卵細胞の前核中に例えば、標準的手法(Hogan,B.ら,(1994)Manipulating the Mouse Embryo 2nd edn.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York)に従って注入する。 トランスジェニックマウスの同定のために、耳穿孔片(ear−punched pieces)もしくは尾組織からゲノムDNAを調製する。すなわち、穿孔片もしくは尾組織片をPCR緩衝液/非イオン性界面活性剤及びプロテイナーゼK(50mM KCl、10mM Tris−HCl、(pH8)、1.5mM MgCl2、0.1% ゼラチン、0.45% NP−40、0.45% Tween−20、及び100μg/mlプロテイナーゼK)中に入れ、55℃で一晩インキュベートする。インキュベート後、プロテインキナーゼKを失活させるために、95℃で15分間インキュベートし、得られた溶液をDNA試料とする。導入遺伝子の確認のために、例えば本発明における導入した遺伝子組換え体の一部を増幅するためのプライマー(例えば下記塩基配列のもの)を使用し、導入した遺伝子組換え体を鋳型としてPCR反応によって増幅する。 5’−CAACTACATCCTGGTCATCATC−3’(配列番号4)及び 5’−CAGACAGATGACAGCACCACAG−3’(配列番号5) PCRの反応組成はTaKaRa Ex−Taqポリメラーゼ(タカラバイオ社)および付随の反応液を使用し、PCR反応は96℃で2分の後、96℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分のセットを35サイクル、続き72℃で7分行うことにより目的とするDNA断片を増幅することが可能である。 ES細胞による導入法では、得られた組換体DNAをES細胞に導入する。ES細胞は胚盤胞期の受精卵の内部細胞塊に由来し、in vitroで未分化状態を保ったまま培養維持できる細胞である。ES細胞としては、既に樹立された細胞株及び新しく樹立した細胞株のいずれをも使用することができる。例えばTT2細胞株、AB−1細胞株、J1細胞株、R1細胞株等を使用することができる。これらのどのES細胞株を用いるかは、実験の目的又は方法により適宜選択することができる。ES細胞への遺伝子導入は、リン酸カルシウム共沈殿法、エレクトロポレーション法、リポフェクション法、レトロウイルス感染法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法などの方法を採用することができるが、簡便に多数の細胞を処理できる点でエレクトロポレーション法が好ましい。 組換体DNAをES細胞中に導入した場合、ES細胞のゲノム中の、組換体DNAと相同な部分の特定遺伝子と、組換体DNAとの間で相同的組換えが起こることによって、組換体DNAの遺伝子がES細胞に導入される。 導入遺伝子が組み込まれたES細胞は、単一細胞をフィーダー細胞上で培養して得られるコロニーから分離抽出した染色体DNAをサザンハイブリダイゼーション又はPCR法によりスクリーニングすることによって検定することができる。あるいは、薬剤耐性遺伝子又はレポーター遺伝子を含むベクターを用いることによってセレクションを行ってもよい。薬剤耐性遺伝子としては、例えばネオマイシンホスホトランスフェラーゼII(nptII)遺伝子、ハイグロマイシンホスホトランスフェラーゼ(hpt)遺伝子などが挙げられ、レポーター遺伝子としては、例えばβ−ガラクトシダーゼ(lacZ)遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(cat)遺伝子などが挙げられる。 導入遺伝子の組込みが確認されたES細胞を同種のマウス由来の胚内に戻すことにより、宿主胚の細胞塊に組み込まれてキメラ胚が形成される。これを仮親に移植して発生及び生育させることにより、キメラトランスジェニックマウスが得られる。そして、仮親から生まれた子(マウスの場合は約17日で子が生まれる)のうちキメラマウスを選ぶ。キメラの寄与率が高い動物は、生殖系列の可能性が高いが、キメラマウスを正常な動物と交配することにより、生殖系列のキメラマウスであることの確認が可能である。その後、正常な雌と交配し、F1を得て変異動物系統を樹立する。 上記のようにして得られるキメラトランスジェニックマウスは、相同染色体の一方にのみ導入遺伝子を有するヘテロ接合体として得られる。相同染色体の両方に組換体DNAを有するホモ接合体を得るためには、F1動物のうち相同染色体の一方にのみ導入DNAを有するヘテロ接合体の兄妹同士を交雑すればよい。組換体DNAの導入は、PCRにより確認することができる。 このトランスジェニックマウスを自然交配あるいは体外受精により継代することにより、本発明のトランスジェニックマウスが作製される。本発明のトランスジェニック動物(例えばトランスジェニックマウス)は、上記の通り継代(自然交配又は対外受精)により遺伝子型を子孫に引き継ぐことができる。従って、本発明のトランスジェニック動物には、その子孫も含まれる。(2)重度複合免疫不全(SCID;Severe Combined ImmunoDeficiency)動物 重度複合免疫不全(以下、SCIDという場合もある)動物とは、遺伝子組換えによる再構成の段階で断片化したDNAの結合を行うDNA依存性蛋白質リン酸化酵素のサブユニットP350の変異により得られ、常染色体劣性の遺伝様式をとる、自然発症の突然変異体動物をいう。この動物は、最初に、Dr.Melvin Bosmaらによって1980年にC.B−17系統マウスで発見された。このマウスはT細胞及びB細胞がないことから、重度の免疫不全を呈し、その異種細胞、組織の移植に対する拒絶が少ないため、ヒトの正常造血細胞ですら移植可能である。従って、SCID動物は、各種疾患モデル動物として有用であるほか、免疫不全であることを利用した感染防御に関する研究、移植ヒト細胞、腫瘍を用いた研究にも応用可能である。このような動物としては、例えば、マウス、ラット、イヌなどが挙げられる。SCID動物では現在のところマウスのみが市販され、それらSCIDマウスは動物業者の日本クレアから購入することができる。 このようにSCID動物は、免疫不全であるため、ヒト臓器などを移植することができる。 従来、(i)SCIDマウスを用いて、ストレプトゾシン(streptozocin)投与により、糖尿病を発症することができるというGerlingらの報告(Diabetes,43:433−440,1994)、及び、(ii)SCIDマウスにヒト、あるいは他の動物の膵臓、骨髄その他を移植し、膵臓β細胞の幹細胞、または前駆細胞を検索・同定するといった報告(例えば、Proc Natl Acad Sci USA.2003 100:7253−7258.2003)等が知られている。 そこで本発明者は、SCIDマウスに糖尿病を発症させ、そこにヒトをはじめとする様々な動物種からの膵臓β細胞の幹細胞、または前駆細胞を移植することを試みた。そして、TRECK法を上記移植方法に適用すれば、より再現性の高い、技術的にも容易な系が確立できると考えた。 従って、上記SCID動物を用いて図2に示すような組換え体DNAを動物のゲノムに導入することにより糖尿病を発症させることができれば、この動物にヒトをはじめとする様々な動物種からの膵臟β細胞の幹細胞、または前駆細胞を移植することができるため、糖尿病発症モデル動物等として好ましい。 (3)糖尿病モデル動物 本発明のトランスジェニック非ヒト動物にジフテリア毒素を投与することにより、当該動物は、糖尿病を発症する。具体的には、本発明のトランスジェニック非ヒト動物に投与するジフテリア毒素は、ジフテリア菌(C.diphtheriae PW8)の培養上清ろ液から、限外ろ過により濃縮したものを、硫安沈殿させ、さらにDEAE−セファロースカラムクロマトグラフィーにより精製したのち、適当に希釈したものを使用する。ジフテリア毒素はSigma Aldrich(#D0564)からも入手しうる。 通常、マウスはジフテリア毒素を50μg/kg投与しても全く異常は認められないので、この量までジフテリアを使用することができるが、通常はその1/1000〜1/10量である50ng/kg〜5μg/kg程度投与するのがよい。ジフテリア毒素の投与方法は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内のどれでも可能である。 糖尿病の発症は、マウス尾静脈を注射針で穿刺して得られる血液を、血糖測定機器デキスターZII(バイエル社)を用いて血糖値(血液中のグルコース濃度)を測定することで容易に判定できる。血糖値測定用機器は、その他ヒト糖尿病患者用に広く市販されているものを用いても差し支えない。尿中の糖は、プレテスト(和光純薬社)やウリエース(テルモ社)などを用いて検出可能である。 本発明のトランスジェニック非ヒト動物に糖尿病を発症させるには、たとえば、本発明のトランスジェニックマウス対して、ジフテリア毒素50ng/kg〜50μg/kgを腹腔内に投与すればよい。具体的には、本発明のトランスジェニックマウス対して、ジフテリア毒素50ng/kg〜50μg/kgを腹腔内に投与後2日以内に血糖値が200mg/dl以上に上昇し、尿中に糖およびケトン体が検出されるなど、糖尿病に特有な所見を呈する。糖尿病を発症した当該マウスは、多飲・多尿・体重減少など、ヒトの糖尿病患者の多くに見られる現象も認められる。従って、糖尿病を発症したマウスは糖尿病モデルマウスとして利用することができる。 3.糖尿病治療薬のスクリーニング方法 本発明は、ジフテリア毒素を投与されたことにより糖尿病を発症したトランスジェニック動物に、糖尿病治療のための薬物の候補物質(被験物質)を接触(例えば投与)することにより、糖尿病治療薬をスクリーニングすることができる。例えば、ジフテリア毒素を投与されたことにより糖尿病を発症した本発明のトランスジェニック非ヒト動物またはその一部に薬物候補物質を接触させ、前記候補物質を接触させた非ヒト動物又はその一部において標的とする疾患と相関関係を有する物質の指標値(例えば血糖値、あるいは血中又は他組織のインシュリン濃度)を測定し、対照と比較し、この比較結果に基づいて、糖尿病の症状を軽減または消滅させるか否かを確認することで、候補物質をスクリーニングすることができる。具体的には、候補物質を接触させた非ヒト動物の血糖値を測定し、当該測定された血糖値が候補物質を接触しない対照動物における血糖値よりも低下したときは、前記候補物質を、糖尿病治療薬として選択することができる。 また、候補物質を接触させた非ヒト動物のインシュリン濃度を測定し、当該測定された濃度が候補物質を接触しない対照動物におけるインシュリン濃度よりも増加したときは、前記候補物質を糖尿病治療薬として選択することができる。インシュリンを測定するための組織は特に限定されるものではないが、血中インシュリンが好ましい。 「トランスジェニック非ヒト動物又はその一部」とは、動物の生体の全身、及び限定された組織又は器官の両者を含む。限定された組織又は器官の場合は、動物から摘出されたものも含む。本発明では、膵臓が好ましい。 候補物質としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、細胞培養上清、植物抽出液、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、サル、ヒトなど)の組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。これら候補物質は塩を形成していてもよく、候補物質の塩としては、生理学的に許容される酸(例えば、有機酸又は無機酸など)や塩基(例えば、金属酸など)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸など)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸など)との塩などが用いられる。 試験動物を候補物質で接触させる方法としては、例えば、経口投与、静脈注射、塗布、皮下投与、皮内投与、腹腔投与などが用いられ、試験動物の症状、候補物質の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、候補物質の投与量は、投与方法、候補物質の性質などにあわせて適宜選択することができる。 例えば、ある候補物質を投与した場合に、糖尿病の症状が緩和もしくは消失したことが確認できる結果が得られれば、用いた候補物質を、糖尿病治療薬として選択することが可能である。4.細胞移植 本発明は、上記糖尿病モデル動物に、他の動物由来の細胞を移植することを特徴とする、他の動物由来の膵臓細胞を有する動物を作出する方法を提供する。「他の動物」とは、糖尿病モデル動物の作製に使用された動物とは異種の動物、及び同種で異系の動物のいずれをも意味する。「異種の動物」は、例えばヒトのほか、マウス、サル、ヒト、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、ウマなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。「同種で異系の動物」は、同じ動物種ではあるが異なる系統の動物を意味し、例えば、モデル動物の作製に使用したマウスがC3Hであれば、移植に使用されるマウスとしてC57BL/6などが挙げられる。 移植に使用される細胞は、膵臓細胞(α細胞、β細胞を含む)、幹細胞などの未分化細胞であるが、造血幹細胞(特に骨髄細胞、臍帯血細胞)が好ましい。幹細胞を移植することにより、レシピエントの破壊された膵臓細胞又は組織においてドナー由来の細胞が再生され、生着して、レシピエントは正常な膵臓機能を有するようになる。本発明は、このようにして作製されたトランスジェニック非ヒト動物も提供する。 ここで、未分化細胞としては、マウス(Nature292:154−156,1981)、ラット(Dev.Biol.163(1):288−292,1994)、サル(Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.92(17):7844−7848,1995)、ウサギ(Mol.Reprod.Dev.45(4):439−443,1996)についてはES細胞等が確立している。また、ブタについてはEG(embryonicgerm)細胞が確立している(Biol.Reprod57(5):1089−1095,1997)がこれらに限定されない。なお、未分化状態を維持しているか否かは、例えば、哺乳動物(例えばマウス又はウシ)で確立されている、公知の各種マーカーにより確認することができる。 造血幹細胞は、骨髄由来細胞や、臍帯血由来細胞のほか、末梢血造血幹細胞などが含まれる。本発明で用いる造血幹細胞は、骨髄、臍帯血又は末梢血から採取し、純化することが可能であり、細胞表面に存在する様々な表面抗原を用いる方法が知られている。代表的な方法としてOsawaらの方法(Osawa M,Nakamura K,Nishi N,Takahasi N,Tokuomoto Y,Inoue H,Nakauchi H,Invivo self−renewal of c−Kit+Sca−1+Lin(low/−)hemopoietic stem cells.J Immunol.156:3207−3214,1996)が知られている。この方法では骨髄、臍帯血又は末梢血から有核細胞を分離し、これに表面抗原に対する抗体を作用させ、細胞分離器で分離する。ここで得られた細胞はそのまま培養可能である。なお、本発明で用いる造血幹細胞は未分化のものでもよい。 移植する細胞数は限定されるものではないが、レシピエント動物がマウスの場合、ドナー細胞の個数は、例えば104〜109個、好ましくは106〜108個である。 また、上記細胞を動物に移植する方法はよく知られており、当業者は公知の方法に従って行うことができる。例えば、骨髄細胞を培養して静脈内へ投与する方法を採用することができる。 移植後は、移植細胞又は本発明のトランスジェニック動物を観察して、移植した幹細胞が目的の細胞へ分化したかどうか、幹細胞が移植した組織等へ定着したどうか、幹細胞が癌化していないかどうか、移植によりクローン動物の健康状態が損なわれていないかどうか、発症させた糖尿病に対し移植細胞が治療効果を発揮したかどうか、移植細胞が体内のどの部分へ移動したか、等の項目を評価する。例えば、本発明のトランスジェニック動物の肉眼による観察、移植細胞やその周辺組織の顕微鏡による観察、マーカー(例えば、糖尿病病態マーカー遺伝子、特定細胞への分化の指標となる遺伝子の発現の検出などを行うことにより評価する。また、上記方法により作出された動物の移植組織がレシピエント由来でなく、ドナー由来の組織であることは、血液中にドナー動物種のインシュリンを検出することで確認できる。例えば、マススペクトル解析を行い、ドナー動物種のインシュリンの分子量と一致する分子の存在を確認すればよい。ドナー動物種のインシュリンの分子量はNational Center for Biotechnology Information(NCBI)やSwissPlot等の公共のデータベースを通じて遺伝子の塩基配列やアミノ酸配列を入手することにより容易に得られる。あるいはレシピエントからDNAを抽出し、ドナー動物種特異的なプライマーを用いてPCRを行うことによっても確認できる。また、ドナー動物種由来のタンパク質を特異的に認識する抗体(例えば、抗サイトケラチン18抗体、抗MafA抗体、抗Pdx1抗体など)を用いて、組織切片の免疫染色を行うことによっても確認できる。マウスおよびラット由来の細胞を移植した場合には、上記動物にDTを投与することにより容易に確認できる。具体的には、上記動物にDTを投与すると血糖値が低下するか、又は血糖値の上昇が認められないことが確認できればよい。 本発明において、DTを投与して膵臓β細胞を傷害した本発明の上記マウス(SCID−Ins−TRECK−Tgマウス)に、異種動物由来の細胞として、例えば、ヒト膵臓β細胞を移植すると、マウスの生体内にヒト膵臓β細胞が生着する。このようにして、ヒト由来の膵臓β細胞を有するモデル動物(例えば、SCID−Hu(ヒト)マウスモデルなど)を作出することが可能となる。 上記のように膵臓細胞又は幹細胞を移植したモデル動物を用いて、ドナー由来の細胞が膵臓細胞の機能を有するに至る分化過程を解析することができ、これにより、膵臓細胞や幹細胞の探索・同定に利用することもできる。 以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。発現カセットを含むクローニングベクターの構築 糖尿病モデルSCIDマウスの作製のために構築した遺伝子組み換え体は、ヒトインシュリンプロモーター−ウサギβ−グロビンイントロン−ヒトHB−EGFcDNA−ウサギβ−グロビンポリ(A+)シグナルの順に配列される。プラスミドpRcHBEGF(EMBO J.(1994)13:2322−2330)を材料にsite directed mutagenesisにより、合成されるHB−EGFタンパク質の148番目のロイシンをセリンに、149番目のプロリンをスレオニンに置換する変異を入れ、ヒトHB−EGF(L148S/P149T)cDNA(配列番号3)を得た。これをプラスミドpIns−1(J.Exp.Med.(1998)188:1445−1451)のヒトインシュリンプロモーター(1.9kb)の下流に挿入し、プラスミドpIns−TR2を構築した(図2)。トランスジェニックマウスの作製 トランスジェニック動物作製のために用いるDNA断片を、実施例1に記載したプラスミドpIns−TR2のSphI及びXhoIによる二重切断によって取得し、クローニングベクターからアガロースゲル電気泳動によって分離し、次いでこれをQIAEXII(QIAGEN、CA)によって精製した。精製したDNA断片を受精したマウス(C.B−17/Icr−scid/scid)卵細胞の前核中に標準的手法(Hogan,B.ら,(1994)Manipulating the Mouse Embryo 2nd edn.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,New York)に従って注入した。トランスジェニックマウスの同定のために、耳穿孔片(ear−punched pieces)からゲノムDNAを調製した。すなわち、穿孔片をPCR緩衝液/非イオン性界面活性剤及びプロテイナーゼK(50mM KCl、10mM Tris−HCl、(pH8)、1.5mM MgCl2、0.1% ゼラチン、0.45% NP−40、0.45% Tween−20、及び100μg/mlプロテイナーゼK)中に入れ、55℃で一晩インキュベートした。インキュベート後、プロテインキナーゼKを失活させるために、95℃で15分間インキュベートし、得られた溶液をDNA試料とした。導入遺伝子の確認のためには以下の塩基配列を有するプライマーを使用し、導入遺伝子組み換え体を鋳型としてPCR反応によって増幅した。 フォワード:5’−CAACTACATCCTGGTCATCATC−3’(配列番号4) リバース:5’−CAGACAGATGACAGCACCACAG−3’(配列番号5) PCRの反応組成はTaKaRa EX−Taqポリメラーゼ(タカラバイオ社)および付随の反応液を使用し、PCR反応は96℃で2分の後、96℃で30秒、55℃で30秒、72℃で1分のセットを35サイクル、続き72℃で7分行うことにより目的とするDNA断片(0.7kb)を増幅した。PCR反応後、アガロースゲル電気泳動を行い、導入遺伝子の有無を判定した。 判定結果を図3に示す(レーン1:DNAサイズマーカー(λDNA HindIII消化物+φX174HaeIII消化物混合液)、レーン2:C.B−17/Icr−scid/scidゲノムDNA、レーン3:導入遺伝子とC.B−17/Icr−scid/scidゲノムDNA、レーン4〜6:サンプルDNA)。4番および5番のマウスゲノムに当該遺伝子が導入されたことを示す。ジフテリア毒素の投与(1)血糖値(血中グルコース濃度)の測定 作製したトランスジェニックマウス(SCID−Ins−TRECK−Tgマウス)に各種濃度のジフテリア毒素(PBSに溶解)を腹腔内投与した、血糖値の変化を、デキスターZII(バイエル社)を用いて測定した。結果を図4Aに示す。トランスジェニックマウスでは、50ng/kg〜20μg/kgのジフテリア毒素の投与によって、いずれの場合にも投与後2日後には血糖値が200mg/dl以上に上昇し、4日目以降は400mg/dl以上の高値が50日以上持続した。同腹の非トランスジェニックマウスでは毒素投与による血糖値の変化は認められなかった。 また、上記と同様にして、さらにジフテリア毒素の接種量を少ない範囲に設定して(5ng/kg〜50μg/kg)腹腔内投与した。 その結果、1回のDT投与によって、2ヶ月以上高血糖状態が持続した。これにより、高血糖を引き起こすために必要な最低DT量は50ng/kgであることが示された(図4B)。(2)インシュリン投与による血糖値の降下 ジフテリア毒素投与によるトランスジェニックマウスの血糖値の上昇がインシュリンに依存的なものか否かを調べるため、1μg/kgのジフテリア毒素投与により血糖値の上昇したマウスに超速攻型インシュリン(ノボラピッド注;ノボ ノルディスク ファーマ社)の投与を行った。糖尿病を発症したトランスジェニックマウス(血糖値500mg/dl以上)は、100mUのインシュリンの投与によって速やかに正常値まで降下した(図5A)。 さらに、SCID−Ins−TRECK−Tgマウスと非Tgマウスの血中インスリン濃度を比較した。DT非投与時には差は認められなかった。しかし、DTを投与すると、投与後5日目で、非Tgマウスでは変化しないが、SCID−Ins−TRECK−Tgマウスでは顕著に減少した。これらのマウスにブドウ糖を2g/kg経口投与して10分後の血中インスリン濃度を測定すると、非Tgマウスでは速やかに上昇するが、SCID−Ins−TRECK−Tgマウスでは、インスリンの分泌ができず、血中インスリン濃度に変化は見られなかった(図5B)。 次に、SCID−Ins−TRECK−TgマウスにDTを1μg/kg投与して7日目の高血糖誘導マウスに、超即効性インスリン(ノボラピッド注)を腹腔内投与した。血糖値が500mg/dlの個体では、100mUの投与で血糖値の正常化が認められた。高血糖症がより重篤な個体(血糖値>600mg/dl)では、100mUインスリン投与では血糖値が認められなかったが、1Uの投与で正常血糖値まで低下した。従って、SCID−Ins−TRECK−Tgマウスの高血糖症はインスリン依存性であることが示された(図5C)。(3)トランスジェニックマウス膵臓の組織学的解析 ジフテリア毒素投与前およびジフテリア毒素5μg/kg投与後7日目のマウスを頸椎脱臼により安楽死させ、膵臓を摘出、10%中性緩衝ホルマリン液にて一晩固定後、定法に従いパラフィンで包埋し、ミクロトームを用いて5μm厚の切片を作製した。1次抗体としてGuinea Pig Anti−Swine Insulin(DAKO社)およびRabbit Anti−Human Glucagon(DAKO社)を、2次抗体としてAlexa Fluor488 goat anti−guinea pig IgG(H+L)およびAlexa Fluor 594 goat anti−rabbit IgG(H+L)を用いて二重染色し、レーザースキャン共焦点顕微鏡で観察した。毒素投与前のトランスジェニックマウスの脾臓ランゲルハンス島においては正常マウスと同様に約70%が抗インシュリン抗体で染色されるβ細胞であったが、毒素投与後はインシュリン陽性細胞が著明に減少し、抗グルカゴン抗体で染色されるα細胞の数が増加していた(図6パネルA)。 ジフテリア毒素投与前およびジフテリア毒素40μg/kg投与後7日目のマウスを頸椎脱臼により安楽死させ、膵臓を摘出、10%中性緩衝ホルマリン液にて一晩固定後、定法に従いパラフィンで包埋し、ミクロトームを用いて5μm厚の切片を作製した。その後、HE染色を行い、顕微鏡で観察した。その結果、DT非投与のTgマウスのランゲルハンス島は正常であったが、DTを投与したTgマウスでは、ランゲルハンス島内の細胞が損傷されていた(図6パネルB)。 次に、糖尿病モデルマウス(SCID−Ins−TRECK−Tgマウス)と同腹SCIDマウスの膵臓切片を抗hHB−EGF抗体を用いて免疫染色した。その結果、SCID−Ins−TRECK−Tgマウスのランゲルハンス島にのみ、hHB−EGF抗体で染色される細胞が認められた(図7)。 さらに、Tgマウスと非Tg−SCIDマウス膵臓切片を抗hHB−EGF抗体、抗インシュリン抗体、抗グルカゴン抗体でそれぞれ免疫染色を行った。その結果、インシュリン抗体で染色されるβ細胞がhHB−EGF抗体で染色された。非Tg−SCIDマウスのβ細胞には、hHB−EGFの発現は認められなかった(図8)。糖尿病モデルマウスへの造血細胞の移植(1)骨髄細胞の移植 DT投与後7日目の高血糖誘導マウスに、C57BL/6マウスのT細胞を除去した骨髄細胞(2x107個)を尾静脈より移入した。図9において、Tgマウス−2(■)は移植後9週(54日)後には血糖値が顕著に低下し、移植後12週(82日)でほぼ正常値となった。従って、C57BL/6マウス骨髄細胞の移植によって、高血糖症が改善することが示された。 組織化学的にも、膵臓ランゲルハンス島にβ細胞が再生していた(図9、写真のパネル)。この個体に、DTを再投与しても血糖値の上昇が認められなかったことから、再生した膵臓β細胞はレシピエント由来の細胞ではなく、ドナーであるC57BL/6由来の細胞であることが示された。(2)ヒト臍帯血由来未分化細胞の移植 DT投与により高血糖症を誘導したSCID−Ins−TRECK−Tgマウスに、DT投与後7日目にヒト臍帯血由来CD34陽性細胞又はCD34陰性細胞を尾静脈より移入し、経時的に血糖値を測定した。CD34陰性細胞移入個体は、移入後100日後でも血糖値300mg/dl以上であったが、CD34陽性細胞移入個体は、移入後40日から血糖値が低下し、移入後70〜80日目には200mg/dl以下となった(図10)。 従って、ヒト臍帯血由来細胞の移植によって、ヒト由来細胞がマウスに生着して膵臓細胞に分化することにより膵臓細胞機能が回復し、高血糖症が改善することが示された。 本発明の糖尿病モデル動物は、再生医学を利用したI型糖尿病のための動物モデルとしての3つの条件、すなわち、(i)確実に糖尿病を惹起できること、(ii糖尿病以外の何らの影響も及ぼさないこと、及び(iii)他の哺乳類細胞を移植することが可能なことを十分にクリアしたものであり、その有用性は高く、糖尿病の病態解明及び糖尿病治療薬の開発に利用できるという極めて優れた効果を有する。 さらに、本発明の糖尿病モデル動物にDTを投与して膵臓β細胞を傷害した後にヒト膵臓β細胞を移植すると、マウスの生体内にヒト膵臓β細胞が生着するため、本発明のモデル動物はSCID−Hu(ヒト)モデルとして極めて有用である。 配列番号3:変異体 配列番号4:プライマー 配列番号5:プライマー[配列表] ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換体DNAを重度複合免疫不全マウス又はラットに導入することを特徴とする、トランスジェニック重度複合免疫不全マウス又はラットの作製方法。 ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子が霊長類由来のヘパリン結合性EGF遺伝子である、請求項1記載の方法。 ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子がヒトヘパリン結合性EGF遺伝子である、請求項1又は2記載の方法。 ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換体DNAを重度複合免疫不全マウス又はラットに導入し、当該マウス又はラットにジフテリア毒素を50ng/kg〜50μg/kgの投与量で投与することを特徴とする、糖尿病モデルマウス又はラットの作製方法。 ジフテリア毒素の投与量が50ng/kgである、請求項4記載の方法。 ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換体DNAを重度複合免疫不全マウス又はラットに導入し、当該マウス又はラットにジフテリア毒素を50ng/kg〜50μg/kgの投与量で投与して当該マウス又はラットに糖尿病を発症させる方法。 ジフテリア毒素の投与量が50ng/kgである、請求項6記載の方法。 請求項4記載の方法により作製された糖尿病モデルマウス又はラット。 ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換体DNAが導入され、かつ、ジフテリア毒素が50ng/kg〜50μg/kgの投与量で投与されることにより糖尿病を発症した糖尿病モデル重度複合免疫不全マウス又はラット。 ジフテリア毒素の投与量が50ng/kgである、請求項9記載の糖尿病モデル重度複合免疫不全マウス又はラット。 請求項8〜10のいずれか1項に記載の糖尿病モデル重度複合免疫不全マウス又はラットに候補物質を投与することを特徴とする、糖尿病治療薬のスクリーニング方法。 候補物質を接触させた糖尿病モデル重度複合免疫不全マウス又はラットの血糖値を測定し、当該測定された血糖値が候補物質を接触させない対照の糖尿病モデル重度複合免疫不全マウス又はラットの血糖値よりも低下したときは、前記候補物質を糖尿病治療薬として選択する、請求項11記載の方法。 候補物質を接触させた糖尿病モデル重度複合免疫不全マウス又はラットのインシュリン濃度を測定し、当該測定された濃度が候補物質を接触させない対照の糖尿病モデル重度複合免疫不全マウス又はラットのインシュリン濃度よりも増加したときは、前記候補物質を糖尿病治療薬として選択する、請求項11記載の方法。 請求項8〜10のいずれか1項に記載のマウス又はラットに他の動物由来の幹細胞を移植することを特徴とする、当該他の動物由来の膵臓細胞を有するトランスジェニックマウス又はラットを作出する方法。 (i)ジフテリア毒素受容体をコードする遺伝子及び前記遺伝子の発現を調節するインシュリンプロモーターを含む組換体DNAを重度複合免疫不全マウス又はラットに導入し、(ii)当該マウス又はラットにジフテリア毒素を50ng/kg〜50μg/kgの投与量で投与して糖尿病を発症させ、及び(iii)当該マウス又はラットに他の動物由来の幹細胞を移植することを特徴とする、当該他の動物由来の膵臓細胞を有するトランスジェニックマウス又はラットを作出する方法。 ジフテリア毒素の投与量が50ng/kgである、請求項15記載の方法。 幹細胞が造血幹細胞である、請求項14〜16のいずれか1項に記載の方法。 造血幹細胞が骨髄由来細胞又は臍帯血由来細胞である、請求項17記載の方法。 請求項14〜18のいずれか1項に記載の方法により作製された、他の動物由来の膵臓細胞を有するトランスジェニックマウス又はラット。 請求項9又は10記載の糖尿病モデル重度複合免疫不全マウス又はラットに、他の動物由来の幹細胞が移植された、他の動物由来の膵臓細胞を有するトランスジェニック重度複合免疫不全マウス又はラット。 膵臓細胞が、移植された他の動物の造血幹細胞由来のものである、請求項19又は20記載のマウス又はラット。 造血幹細胞が骨髄細胞又は臍帯血細胞である、請求項21記載のマウス又はラット。


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