生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_新規な可溶性卵殻膜の製造方法
出願番号:2007311432
年次:2009
IPC分類:A61K 35/54,A61P 43/00,A61P 17/00,A61K 8/98,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

平松 肇 山田 有砂 堀池 俊介 坂本 和加子 JP 2009132661 公開特許公報(A) 20090618 2007311432 20071130 新規な可溶性卵殻膜の製造方法 キユーピー株式会社 000001421 平松 肇 山田 有砂 堀池 俊介 坂本 和加子 A61K 35/54 20060101AFI20090522BHJP A61P 43/00 20060101ALI20090522BHJP A61P 17/00 20060101ALI20090522BHJP A61K 8/98 20060101ALI20090522BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20090522BHJP JPA61K35/54A61P43/00 105A61P17/00A61K8/98A61Q19/00 4 OL 7 4C083 4C087 4C083AA071 4C083CC02 4C083EE12 4C087AA01 4C087AA02 4C087AA04 4C087BB61 4C087CA06 4C087MA63 4C087NA20 4C087ZA89 4C087ZB22本発明は、特に繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する、新規な可溶性卵殻膜の製造方法に関する。卵殻膜は、繊維芽細胞増殖効果を有することが知られており、荒れ肌を改善する効果を期待して、従来から化粧品原料として広く利用されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2など)。そこで、化粧品や食品の原料として配合しやすくするために、古くから可溶化方法についても種々検討されている。例えば出願人は、卵殻膜をアルカリ性含水有機溶媒中で分解後、得られた分解液を中和、濾過することを特徴とする異臭や着色の少ない可溶化卵殻膜の製法を見出し、特許を取得している(特許文献3)。また、卵殻膜を蛋白分解酵素で処理することを特徴とする水溶性卵殻膜の製造法も検討されている(特許文献4)。しかしながら、繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜を得るための製造方法については、これまで検討されていなかった。特公平6−47527号特公平6−47528号特公平6−21047号公報特公平7−110210号公報本発明の目的は、特に繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜を得る、新規な製造方法を提供するものである。本発明者は、可溶性卵殻膜の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、製造工程において、卵殻膜を加水分解処理した後に、得られた加水分解物と陰イオン交換樹脂とを接触せしめることにより、意外にも、繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。 すなわち、本発明は、(1)卵殻膜を加水分解処理した後、陰イオン交換樹脂と接触せしめる、可溶性卵殻膜の製造方法、(2)卵殻膜の加水分解処理を、アルカリ性含水有機溶媒中で行う、(1)の可溶性卵殻膜の製造方法、(3)陰イオン交換樹脂の使用量が、卵殻膜固形物1質量部に対して1〜10容量倍量である、(1)又は(2)の可溶性卵殻膜の製造方法、(4)陰イオン交換樹脂との接触時間が1〜50時間である、(1)乃至(3)の可溶性卵殻膜の製造方法、である。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法によれば、繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜を得ることができる。以下、本発明に係る可溶性卵殻膜の製造方法を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法は、卵殻膜に加水分解処理を施した後に、得られた加水分解物と陰イオン交換樹脂とを接触せしめることを特徴とする。それにより、繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜を得ることができる。本発明の卵殻膜は、鳥類、特に鶏の卵殻膜をいう。可溶性卵殻膜とは、水に溶解可能な卵殻膜成分をいう。卵殻膜の加水分解処理は、酸(塩酸、硫酸等)、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、蛋白分解酵素(微生物起源の酵素、植物起源の酵素、動物起源の酵素)等により行うことができ、特にアルカリによって行うことが好ましく、アルカリ性含水有機溶媒中で行われることがさらに好ましい。加水分解処理をアルカリ性含水有機溶媒中で行うことにより、特許文献3に記載されているように異臭や着色の少ない可溶性卵殻膜を得ることができるばかりでなく、繊維芽細胞の接着および増殖効果が高い可溶性卵殻膜が得られる。ここで、アルカリ性含水有機溶媒とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤を溶解した水溶液と、メタノール、エタノール、アセトン、n−プロパノール、イソプロパノール等の水溶性有機溶媒を混合したものをいう。上記水溶液と有機溶媒の混合割合は、全量に対する有機溶媒の量が10〜80%であることが好ましく、30〜60%であることがより好ましい。また、このアルカリ性含水有機溶媒中のアルカリの濃度は、0.2〜3.0mol/Lであることが好ましい。アルカリの濃度が低すぎると、卵殻膜を分解しにくく作業性が悪くなり、逆にアルカリの濃度が高すぎると繊維芽細胞の接着および増殖効果が高い可溶性卵殻膜が得にくくなる傾向があるためである。卵殻膜の加水分解をアルカリ性含水有機溶媒中で行う場合の分解処理条件は、用いるアルカリ剤や有機溶媒の種類によって異なるが、アルカリ剤として水酸化ナトリウムを、また有機溶媒としてエタノールを用いた場合には、10〜80℃、より好ましくは30〜60℃で3〜15時間処理するとよい。卵殻膜をアルカリ性有機溶媒中で加水分解する場合は、得られた加水分解液とイオン交換樹理とを接触せしめる前に、中和工程を含むことが好ましい。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法で使用する陰イオン交換樹脂としては、強塩基性陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA10A、ダウエックスマラソンA、デュオライトA113など)、弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウエックスマラソンA2、アンバーライトIRA67、デュオライトA368Sなど)が挙げられる。また、これらの陰イオン交換樹脂を単独で、あるいは2種以上を混合して使用することもできる。卵殻膜の加水分解物と陰イオン交換樹脂とを接触せしめることによって繊維芽細胞の接着および増殖効果が高まる理由は必ずしも明らかではないが、加水分解後の卵殻膜中に含まれる何らかの細胞増殖効果の抑制因子が、陰イオン交換樹脂により吸着、除去されているものと推察される。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法において、陰イオン交換樹脂の使用量は、卵殻膜の固形物一質量部に対して1容量倍量以上が好ましく、3容量倍量以上がより好ましい。陰イオン交換樹脂の量が卵殻膜の量に対して1容量倍量未満であると、繊維芽細胞の接着および増殖効果がほとんど促進されないため、好ましくない。また、陰イオン交換樹脂が卵殻膜の量に対して10容量倍量超の場合は、それ以上陰イオン交換樹脂の量を増やしても得られる可溶性卵殻膜の繊維芽細胞の接着および増殖効果が高まらないため、経済的でない。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法において、卵殻膜の加水分解物と陰イオン交換樹脂との接触は、所定量の陰イオン交換樹脂を充填したカラムに該加水分解物を流すか、あるいは該加水分解物中に所定量の陰イオン交換樹脂を加えて、攪拌下懸濁させることにより実施すればよい。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法において、卵殻膜の加水分解物と陰イオン交換樹脂との接触時間は、1時間以上が好ましく、10時間以上がより好ましい。該加水分解物と陰イオン交換樹脂との接触時間が1時間未満であると、繊維芽細胞の接着および増殖効果が充分促進されないため、好ましくない。また、該加水分解物と陰イオン交換樹脂との接触を50時間以上行っても、得られる可溶性卵殻膜の繊維芽細胞の接着および増殖効果はそれ以上高まらない。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法においては、陰イオン交換樹脂との接触により、得られる可溶性卵殻膜のpHが高くなりすぎ化粧品原料等として用いるには適当でない場合があるので、卵殻膜の加水分解物を陰イオン交換樹脂とを接触せしめた後に、pH調整工程を含んでも良い。その他、本発明の効果を損なわない範囲で、濾過工程、脱塩工程、乾燥工程等を含んでもよい。以下、本発明の可溶性卵殻膜の製造方法について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。〔実施例1〕乾燥卵殻膜520g(固形物96%)を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液10L中に分散し、40℃で5時間加水分解反応を行った。次いで2mol/Lの塩酸でpHを8に調整し、濾過により不溶物を除去した。得られた濾液に陰イオン交換樹脂デュオライトA368S(ローム・アンド・ハース社製)を4L投入し、40時間攪拌した。攪拌終了後、濾過にて陰イオン交換樹脂を除き、得られた濾液に2mol/Lの塩酸を添加してpHを8に調整した。その後孔径0.45μmのメンブレンフィルター濾過を行った。得られた濾液を電気透析処理して脱塩し、その後凍結乾燥することにより、粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔実施例2〕実施例1の製造方法において、陰イオン交換樹脂量を1Lとする以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔実施例3〕実施例1の製造方法において、卵殻膜加水分解液と陰イオン交換樹脂との接触時間を16時間とする以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔実施例4〕実施例1の製造方法において、卵殻膜加水分解液と陰イオン交換樹脂との接触時間を1時間とする以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔実施例5〕実施例1の製造方法において、アルカリ加水分解工程を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液・エタノール混合液(1:1)10L中で行う以外は実施例1と同様の方法により、実施例5の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔比較例1〕実施例1の製造方法において、陰イオン交換樹脂を使用しない以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。実施例および比較例の陰イオン交換樹脂の量および処理時間を表1にまとめた。〔試験例〕実施例および比較例にて得られた粉末状可溶性卵殻膜を使用して、繊維芽細胞の接着および増殖試験を行った。まず、ポリスチレン製24穴プレート(1.8cm2/ウェル)の各ウェルに、10μg/cm2となるように濃度調整した実施例および比較例の可溶性卵殻膜溶液を、孔径0.22μmのメンブレンフィルター濾過した後に添加し、クリーンベンチ内で無菌的に風乾させ、可溶性卵殻膜をウェル表面にコーティングした。次いで、ヒト真皮繊維芽細胞を10%FBS含有DMEM培地(GIBCO社製)で希釈後、細胞数を1×104となるように、可溶性卵殻膜をコーティングしたポリスチレン製24穴プレートの各ウェルに添加した。上記24穴プレートを5%CO2、37℃の雰囲気下で培養した。培養後5日目に、各ウェルをトリプシン(0.1%w/v)とEDTA(0.02%w/v)を含有する水溶液で処理して細胞をウェルから剥離後、血球計算盤にて細胞数をカウントした。各サンプルの培養はn=2で行い、細胞数のカウントは1ウェルにつき、2回実施した。また、対照として、可溶性卵殻膜をコーティングしないウェルについても同様に繊維芽細胞を添加し、培養を行った。さらに、陽性対照として、組織培養用24穴プレート(1.8cm2/ウェル)のウェルについても同様に繊維芽細胞を添加し、培養を行った。表2に、各種可溶性卵殻膜をコーティングしたウェルの培養細胞数の変化を示す。表2の対照の結果からわかるように、通常、繊維芽細胞は、ポリスチレン製プレートには接着することができないため、そのまま培養を行っても増殖はみられない。一方、実施例および比較例に示すように、可溶性卵殻膜をコーティングしたポリスチレン製プレートには細胞の接着および増殖が確認された。培養5日目には、陰イオン交換樹脂を使用せずに得られた可溶性卵殻膜を使用した比較例1に対し、卵殻膜の加水分解液を陰イオン交換樹脂と接触せしめて得られた可溶性卵殻膜をコーティングした実施例1〜5では、ウェル中の生細胞数が多かった。したがって、卵殻膜の加水分解液と陰イオン交換樹脂とを接触せしめて得られた可溶化卵殻膜は、陰イオン交換樹脂を使用せずに得られた可溶化卵殻膜に対し、繊維芽細胞の接着および増殖に対する促進効果が高いことが示唆された。さらに、実施例1と3、4の比較により、わずかではあるが、卵殻膜の加水分解液と陰イオン交換樹脂との接触時間が長いほど可溶性卵殻膜の繊維芽細胞増殖効果が高くなることが理解される。また、卵殻膜の加水分解工程において、アルカリ含水有機溶媒中で加水分解を行った実施例5は、アルカリ水溶液中(有機溶媒を含まない)で加水分解を行った実施例1〜4に対して培養後5日目の生細胞数が多いことから、繊維芽細胞の接着および増殖に特に効果が高いことがわかった。卵殻膜を加水分解処理した後、陰イオン交換樹脂と接触せしめる、可溶性卵殻膜の製造方法。卵殻膜の加水分解処理を、アルカリ性含水有機溶媒中で行う、請求項1記載の可溶性卵殻膜の製造方法。陰イオン交換樹脂の使用量が、卵殻膜固形物1質量部に対して1〜10容量倍量である、請求項1又は2記載の可溶性卵殻膜の製造方法。陰イオン交換樹脂との接触時間が1〜50時間である、請求項1乃至3のいずれかに記載の可溶性卵殻膜の製造方法。 【課題】繊維芽細胞の接着および増殖効果が特に高い可溶性卵殻膜を得るための製造方法を提供する。【解決手段】卵殻膜を加水分解処理し、得られた加水分解物と陰イオン交換樹脂とを接触せしめることを特徴とする、可溶性卵殻膜の製造方法。【選択図】 なし


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る

特許公報(B2)_新規な可溶性卵殻膜の製造方法

生命科学関連特許情報

タイトル:特許公報(B2)_新規な可溶性卵殻膜の製造方法
出願番号:2007311432
年次:2013
IPC分類:A61K 35/54,A61P 43/00,A61P 17/00,A61K 8/98,A61Q 19/00


特許情報キャッシュ

平松 肇 山田 有砂 堀池 俊介 坂本 和加子 JP 5179847 特許公報(B2) 20130118 2007311432 20071130 新規な可溶性卵殻膜の製造方法 キユーピー株式会社 000001421 平松 肇 山田 有砂 堀池 俊介 坂本 和加子 20130410 A61K 35/54 20060101AFI20130321BHJP A61P 43/00 20060101ALI20130321BHJP A61P 17/00 20060101ALI20130321BHJP A61K 8/98 20060101ALI20130321BHJP A61Q 19/00 20060101ALI20130321BHJP JPA61K35/54A61P43/00 105A61P17/00A61K8/98A61Q19/00 A61K 35/54 A61K 8/98 JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamII) BIOSIS(STN) CAplus(STN) EMBASE(STN) MEDLINE(STN) ARIAS,J.L. et al,Partial biochemical and immunochemical characterization of avian eggshell extracellular matrices,Arch Biochem Biophys,1992年,Vol.298, No.1,p.293-302 3 2009132661 20090618 7 20100420 遠藤 広介本発明は、特に繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する、新規な可溶性卵殻膜の製造方法に関する。卵殻膜は、繊維芽細胞増殖効果を有することが知られており、荒れ肌を改善する効果を期待して、従来から化粧品原料として広く利用されてきた(例えば、特許文献1、特許文献2など)。そこで、化粧品や食品の原料として配合しやすくするために、古くから可溶化方法についても種々検討されている。例えば出願人は、卵殻膜をアルカリ性含水有機溶媒中で分解後、得られた分解液を中和、濾過することを特徴とする異臭や着色の少ない可溶化卵殻膜の製法を見出し、特許を取得している(特許文献3)。また、卵殻膜を蛋白分解酵素で処理することを特徴とする水溶性卵殻膜の製造法も検討されている(特許文献4)。しかしながら、繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜を得るための製造方法については、これまで検討されていなかった。特公平6−47527号特公平6−47528号特公平6−21047号公報特公平7−110210号公報本発明の目的は、特に繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜を得る、新規な製造方法を提供するものである。本発明者は、可溶性卵殻膜の製造方法について鋭意研究を重ねた結果、製造工程において、卵殻膜を加水分解処理した後に、得られた加水分解物と陰イオン交換樹脂とを接触せしめることにより、意外にも、繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、(1)アルカリ性含水有機溶媒中で卵殻膜を加水分解処理した後、陰イオン交換樹脂と接触せしめる、可溶性卵殻膜の製造方法、(2)陰イオン交換樹脂の使用量が、卵殻膜固形物1質量部に対して1〜10容量倍量である、(1)の可溶性卵殻膜の製造方法、(3)陰イオン交換樹脂との接触時間が1〜50時間である、(1)又は(2)の可溶性卵殻膜の製造方法、である。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法によれば、繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜を得ることができる。以下、本発明に係る可溶性卵殻膜の製造方法を詳細に説明する。なお、本発明において「%」は「質量%」を意味する。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法は、卵殻膜に加水分解処理を施した後に、得られた加水分解物と陰イオン交換樹脂とを接触せしめることを特徴とする。それにより、繊維芽細胞の接着および増殖を効果的に促進する可溶性卵殻膜を得ることができる。本発明の卵殻膜は、鳥類、特に鶏の卵殻膜をいう。可溶性卵殻膜とは、水に溶解可能な卵殻膜成分をいう。卵殻膜の加水分解処理は、酸(塩酸、硫酸等)、アルカリ(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、蛋白分解酵素(微生物起源の酵素、植物起源の酵素、動物起源の酵素)等により行うことができ、特にアルカリによって行うことが好ましく、アルカリ性含水有機溶媒中で行われることがさらに好ましい。加水分解処理をアルカリ性含水有機溶媒中で行うことにより、特許文献3に記載されているように異臭や着色の少ない可溶性卵殻膜を得ることができるばかりでなく、繊維芽細胞の接着および増殖効果が高い可溶性卵殻膜が得られる。ここで、アルカリ性含水有機溶媒とは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ剤を溶解した水溶液と、メタノール、エタノール、アセトン、n−プロパノール、イソプロパノール等の水溶性有機溶媒を混合したものをいう。上記水溶液と有機溶媒の混合割合は、全量に対する有機溶媒の量が10〜80%であることが好ましく、30〜60%であることがより好ましい。また、このアルカリ性含水有機溶媒中のアルカリの濃度は、0.2〜3.0mol/Lであることが好ましい。アルカリの濃度が低すぎると、卵殻膜を分解しにくく作業性が悪くなり、逆にアルカリの濃度が高すぎると繊維芽細胞の接着および増殖効果が高い可溶性卵殻膜が得にくくなる傾向があるためである。卵殻膜の加水分解をアルカリ性含水有機溶媒中で行う場合の分解処理条件は、用いるアルカリ剤や有機溶媒の種類によって異なるが、アルカリ剤として水酸化ナトリウムを、また有機溶媒としてエタノールを用いた場合には、10〜80℃、より好ましくは30〜60℃で3〜15時間処理するとよい。卵殻膜をアルカリ性有機溶媒中で加水分解する場合は、得られた加水分解液とイオン交換樹理とを接触せしめる前に、中和工程を含むことが好ましい。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法で使用する陰イオン交換樹脂としては、強塩基性陰イオン交換樹脂(ダイヤイオンSA10A、ダウエックスマラソンA、デュオライトA113など)、弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウエックスマラソンA2、アンバーライトIRA67、デュオライトA368Sなど)が挙げられる。また、これらの陰イオン交換樹脂を単独で、あるいは2種以上を混合して使用することもできる。卵殻膜の加水分解物と陰イオン交換樹脂とを接触せしめることによって繊維芽細胞の接着および増殖効果が高まる理由は必ずしも明らかではないが、加水分解後の卵殻膜中に含まれる何らかの細胞増殖効果の抑制因子が、陰イオン交換樹脂により吸着、除去されているものと推察される。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法において、陰イオン交換樹脂の使用量は、卵殻膜の固形物一質量部に対して1容量倍量以上が好ましく、3容量倍量以上がより好ましい。陰イオン交換樹脂の量が卵殻膜の量に対して1容量倍量未満であると、繊維芽細胞の接着および増殖効果がほとんど促進されないため、好ましくない。また、陰イオン交換樹脂が卵殻膜の量に対して10容量倍量超の場合は、それ以上陰イオン交換樹脂の量を増やしても得られる可溶性卵殻膜の繊維芽細胞の接着および増殖効果が高まらないため、経済的でない。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法において、卵殻膜の加水分解物と陰イオン交換樹脂との接触は、所定量の陰イオン交換樹脂を充填したカラムに該加水分解物を流すか、あるいは該加水分解物中に所定量の陰イオン交換樹脂を加えて、攪拌下懸濁させることにより実施すればよい。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法において、卵殻膜の加水分解物と陰イオン交換樹脂との接触時間は、1時間以上が好ましく、10時間以上がより好ましい。該加水分解物と陰イオン交換樹脂との接触時間が1時間未満であると、繊維芽細胞の接着および増殖効果が充分促進されないため、好ましくない。また、該加水分解物と陰イオン交換樹脂との接触を50時間以上行っても、得られる可溶性卵殻膜の繊維芽細胞の接着および増殖効果はそれ以上高まらない。本発明の可溶性卵殻膜の製造方法においては、陰イオン交換樹脂との接触により、得られる可溶性卵殻膜のpHが高くなりすぎ化粧品原料等として用いるには適当でない場合があるので、卵殻膜の加水分解物を陰イオン交換樹脂とを接触せしめた後に、pH調整工程を含んでも良い。その他、本発明の効果を損なわない範囲で、濾過工程、脱塩工程、乾燥工程等を含んでもよい。以下、本発明の可溶性卵殻膜の製造方法について、実施例等に基づき具体的に説明する。なお、本発明は、これらに限定するものではない。〔実施例1〕乾燥卵殻膜520g(固形物96%)を1.0mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液10L中に分散し、40℃で5時間加水分解反応を行った。次いで2mol/Lの塩酸でpHを8に調整し、濾過により不溶物を除去した。得られた濾液に陰イオン交換樹脂デュオライトA368S(ローム・アンド・ハース社製)を4L投入し、40時間攪拌した。攪拌終了後、濾過にて陰イオン交換樹脂を除き、得られた濾液に2mol/Lの塩酸を添加してpHを8に調整した。その後孔径0.45μmのメンブレンフィルター濾過を行った。得られた濾液を電気透析処理して脱塩し、その後凍結乾燥することにより、粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔実施例2〕実施例1の製造方法において、陰イオン交換樹脂量を1Lとする以外は、実施例1と同様の方法により、実施例2の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔実施例3〕実施例1の製造方法において、卵殻膜加水分解液と陰イオン交換樹脂との接触時間を16時間とする以外は、実施例1と同様の方法により、実施例3の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔実施例4〕実施例1の製造方法において、卵殻膜加水分解液と陰イオン交換樹脂との接触時間を1時間とする以外は、実施例1と同様の方法により、実施例4の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔実施例5〕実施例1の製造方法において、アルカリ加水分解工程を2mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液・エタノール混合液(1:1)10L中で行う以外は実施例1と同様の方法により、実施例5の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。〔比較例1〕実施例1の製造方法において、陰イオン交換樹脂を使用しない以外は、実施例1と同様の方法により、比較例1の粉末状の可溶性卵殻膜を得た。実施例および比較例の陰イオン交換樹脂の量および処理時間を表1にまとめた。〔試験例〕実施例および比較例にて得られた粉末状可溶性卵殻膜を使用して、繊維芽細胞の接着および増殖試験を行った。まず、ポリスチレン製24穴プレート(1.8cm2/ウェル)の各ウェルに、10μg/cm2となるように濃度調整した実施例および比較例の可溶性卵殻膜溶液を、孔径0.22μmのメンブレンフィルター濾過した後に添加し、クリーンベンチ内で無菌的に風乾させ、可溶性卵殻膜をウェル表面にコーティングした。次いで、ヒト真皮繊維芽細胞を10%FBS含有DMEM培地(GIBCO社製)で希釈後、細胞数を1×104となるように、可溶性卵殻膜をコーティングしたポリスチレン製24穴プレートの各ウェルに添加した。上記24穴プレートを5%CO2、37℃の雰囲気下で培養した。培養後5日目に、各ウェルをトリプシン(0.1%w/v)とEDTA(0.02%w/v)を含有する水溶液で処理して細胞をウェルから剥離後、血球計算盤にて細胞数をカウントした。各サンプルの培養はn=2で行い、細胞数のカウントは1ウェルにつき、2回実施した。また、対照として、可溶性卵殻膜をコーティングしないウェルについても同様に繊維芽細胞を添加し、培養を行った。さらに、陽性対照として、組織培養用24穴プレート(1.8cm2/ウェル)のウェルについても同様に繊維芽細胞を添加し、培養を行った。表2に、各種可溶性卵殻膜をコーティングしたウェルの培養細胞数の変化を示す。表2の対照の結果からわかるように、通常、繊維芽細胞は、ポリスチレン製プレートには接着することができないため、そのまま培養を行っても増殖はみられない。一方、実施例および比較例に示すように、可溶性卵殻膜をコーティングしたポリスチレン製プレートには細胞の接着および増殖が確認された。培養5日目には、陰イオン交換樹脂を使用せずに得られた可溶性卵殻膜を使用した比較例1に対し、卵殻膜の加水分解液を陰イオン交換樹脂と接触せしめて得られた可溶性卵殻膜をコーティングした実施例1〜5では、ウェル中の生細胞数が多かった。したがって、卵殻膜の加水分解液と陰イオン交換樹脂とを接触せしめて得られた可溶化卵殻膜は、陰イオン交換樹脂を使用せずに得られた可溶化卵殻膜に対し、繊維芽細胞の接着および増殖に対する促進効果が高いことが示唆された。さらに、実施例1と3、4の比較により、わずかではあるが、卵殻膜の加水分解液と陰イオン交換樹脂との接触時間が長いほど可溶性卵殻膜の繊維芽細胞増殖効果が高くなることが理解される。また、卵殻膜の加水分解工程において、アルカリ含水有機溶媒中で加水分解を行った実施例5は、アルカリ水溶液中(有機溶媒を含まない)で加水分解を行った実施例1〜4に対して培養後5日目の生細胞数が多いことから、繊維芽細胞の接着および増殖に特に効果が高いことがわかった。アルカリ性含水有機溶媒中で卵殻膜を加水分解処理した後、陰イオン交換樹脂と接触せしめる、可溶性卵殻膜の製造方法。陰イオン交換樹脂の使用量が、卵殻膜固形物1質量部に対して1〜10容量倍量である、請求項1記載の可溶性卵殻膜の製造方法。陰イオン交換樹脂との接触時間が1〜50時間である、請求項1又は2記載の可溶性卵殻膜の製造方法。


ページのトップへ戻る

生命科学データベース横断検索へ戻る