タイトル: | 公開特許公報(A)_トリフェニレン化合物及びこれを用いた有機発光素子 |
出願番号: | 2007285079 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 13/66,C09K 11/06 |
岩▲崎▼ 洋平 坪山 明 鈴木 幸一 上野 和則 JP 2009114068 公開特許公報(A) 20090528 2007285079 20071101 トリフェニレン化合物及びこれを用いた有機発光素子 キヤノン株式会社 000001007 渡辺 敬介 100096828 山口 芳広 100110870 岩▲崎▼ 洋平 坪山 明 鈴木 幸一 上野 和則 C07C 13/66 20060101AFI20090501BHJP C09K 11/06 20060101ALI20090501BHJP JPC07C13/66C09K11/06 610 4 OL 34 4H006 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB92 本発明は、トリフェニレン化合物及びこれを用いた有機発光素子に関する。 有機電界発光素子の研究開発は、近年、広範囲にかつ精力的に行われている。特に、最近では、例えば非特許文献1で開示されているように、発光効率の面からりん光性有機電界発光素子に関する研究が盛んである。 ここでりん光性有機電界発光素子の発光効率を最大限に引き出すためには、りん光発光材料の最低励起三重項エネルギー(T1)がホスト材料及び隣接する層の有機化合物のT1よりも充分に高くする必要がある(非特許文献1、特許文献1参照)。 ところで有機発光素子の構成材料として、一般に、電荷輸送性の高いπ共役電子を持つ有機化合物が使用される。ここでπ共役電子を持つ分子としてベンゼン等の芳香族炭化水素やピリジン等の複素環化合物、フルオレン誘導体、カルバゾール誘導体等が知られている。 しかし、分子が大きくなりπ共役電子が広がるとT1が低下する。このため緑色りん光発光材料に対応可能な有機化合物は、CBP、TAPC、PVKと非常に限られることが非特許文献1にて示されている。また、青色りん光発光材料に対応可能な有機化合物はほとんどない。 一方、電荷輸送性の高いπ共役電子を持つ有機化合物として、トリフェニレン骨格を有する化合物が提案されている。ここで、トリフェニレンを主骨格に持つ有機化合物を構成材料とする有機発光素子については、特許文献1乃至5等にて開示されている。 しかし、特許文献2乃至4にて開示されている有機化合物は、主骨格のトリフェニレン部位と側鎖のπ共役電子系とが、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子により連結されている。このため、当該へテロ原子でトリフェニレン主骨格のπ共役と側鎖のπ共役とが切断されるので、電荷輸送性の向上が期待できない。 また、特許文献5にて開示されている有機化合物は、主骨格がベンゾトリフェニレンのためT1が低く、緑色発光及び青色発光に適用するのが困難である。一方で、特許文献1にて開示されている有機化合物は、トリフェニレン主骨格にπ共有電子を持つベンゼン環が直接結合した化合物であり、緑色りん光発光材料に対応したホールブロック材料として使用されている。特開2005−259472号公報特開平11−251063号公報特開平11−8072号公報特開2000−91080号公報特開平11−283748号公報J.Am.Chem.Soc.,123,4304(2001) 本発明の目的は、発光効率が良好な有機発光材料、特に、青色発光材料、青色・緑色発光材料又は赤色発光材料と共に使用が可能なトリフェニレン化合物を提供することにある。 本発明のトリフェニレン化合物は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。(式(1)において、A1乃至A6は、それぞれ水素原子又は下記一般式(2)乃至(4)の中から選択される置換基である。ただし、A1及びA2のいずれか、A3及びA4のいずれか、並びにA5及びA6のいずれかは、下記一般式(2)乃至(4)の中から選択される置換基である。(式(2)において、X1は、下記一般式(5)又は(6)で示される部分構造である。 式(3)において、X2は、下記一般式(7)乃至(12)のいずれかで示される部分構造である。 式(2)乃至(4)において、Y1乃至Y4は、それぞれ下記一般式(13)乃至(20)のいずれかで示される部分構造である。(式(13)乃至(20)において、R1乃至R12は、それぞれ置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のシクロアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基、置換あるいは無置換のシクロアルケニル基、置換あるいは無置換のアリール基又は水素原子を表す。a乃至dは、それぞれ1以上9以下の整数を表す。a乃至dが2以上の場合、繰り返し単位であるフルオレンユニット又はカルバゾールユニットは同じであっても異なってもよい。) 式(2)乃至(4)において、Z1乃至Z4は、それぞれ置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のシクロアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基、置換あるいは無置換のシクロアルケニル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換のフルオレニル基、置換あるいは無置換のカルバゾリル基、置換あるいは無置換のアミノ基、水素原子又はハロゲン原子を表す。)) 本発明によれば、発光効率が良好な有機発光材料、特に、青色発光材料、青色・緑色発光材料又は赤色発光材料と共に使用が可能なトリフェニレン化合物を提供することができる。 まず、本発明のトリフェニレン化合物について説明する。本発明のトリフェニレン化合物は、下記一般式(1)で示されることを特徴とする。 式(1)において、A1乃至A6は、それぞれ水素原子又は下記一般式(2)乃至(4)の中から選択される置換基である。ただし、A1及びA2のいずれか、A3及びA4のいずれか、並びにA5及びA6のいずれかは、下記一般式(2)乃至(4)の中から選択される置換基である。好ましくは、A1乃至A6は同一の置換基である。尚、この場合、同一の置換基とは下記一般式(2)乃至(4)の中から選択される置換基である。 式(2)において、X1は、下記一般式(5)又は(6)で示される部分構造である。 式(3)において、X2は、下記一般式(7)乃至(12)のいずれかで示される部分構造である。 式(2)乃至(4)において、Y1乃至Y4は、それぞれ一個又は二個以上のフルオレン骨格又はカルバゾール骨格からなる部分構造である。この部分構造の詳細については後述する。 式(2)乃至(4)において、Z1乃至Z4は、それぞれ置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のシクロアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基、置換あるいは無置換のシクロアルケニル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換のアリールオキシ基、置換あるいは無置換のフルオレニル基、置換あるいは無置換のカルバゾリル基、置換あるいは無置換のアミノ基、アセチル基、ハロゲン原子又は水素原子を表す。 Z1乃至Z4で表されるアルキル基として、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、tert−ブチル基、3−メチル−ブチル基、ペンチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。 Z1乃至Z4で表されるシクロアルキル基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。 Z1乃至Z4で表されるアルケニル基として、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、iso−プロペニル基、2−ブテニル基等が挙げられる。 Z1乃至Z4で表されるシクロアルケニル基として、シクロペンテニル基、シクロへキセニル基、シクロヘキセジエニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。 Z1乃至Z4で表されるアルコキシ基として、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、2−エチル−オクチルオキシ基、ベンジルオキシ基等が挙げられる。 Z1乃至Z4で表されるアリール基として、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ピリジル基等が挙げられる。 Z1乃至Z4で表されるアリールオキシ基として、フェノキシ基、4−ブチルフェノキシ基等が挙げられる。 Z1乃至Z4で表される置換基を有するアミノ基として、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基、ジ(tert−ブチルフェニル)アミノ基等が挙げられる。 Z1乃至Z4で表されるハロゲン原子として、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素が挙げられる。 上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、フルオレニル基及びカルバゾリル基がさらに有していてもよい置換基として、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、iso−プロペニル基、2−ブテニル基等のアルケニル基、シクロペンテニル基、シクロへキセニル基、シクロヘキセジエニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等のアリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基等の置換アミノ基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であるハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。 次に、式(2)乃至(4)にある、Y1乃至Y4で表される部分構造について詳細に説明する。Y1乃至Y4で表される部分構造とは、下記一般式(13)乃至(20)で示される一個又は二個以上のフルオレン骨格又はカルバゾール骨格からなる部分構造である。 式(13)乃至(20)において、R1乃至R12は、それぞれ置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のシクロアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基、置換あるいは無置換のシクロアルケニル基、置換あるいは無置換のアリール基又は水素原子を表す。 R1乃至R12で表されるアルキル基として、メチル基、トリフルオロメチル基、エチル基、tert−ブチル基、3−メチルブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等が挙げられる。 R1乃至R12で表されるシクロアルキル基として、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、メチルシクロヘキシル基等が挙げられる。 R1乃至R12で表されるアルケニル基として、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、iso−プロペニル基、2−ブテニル基等が挙げられる。 R1乃至R12で表されるシクロアルケニル基として、シクロペンテニル基、シクロへキセニル基、シクロヘキセジエニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。 R1乃至R12で表されるアリール基として、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、トリフェニルアミノ基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基等が挙げられる。 上記アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基がさらに有していてもよい置換基として、メチル基、トリフルオロメチル基、tert−ブチル基、2−メチル−ブチル基、2−エチル−ヘキシル基、オクチル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基、アダマンタニル基、メチルシクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、iso−プロペニル基、2−ブテニル基等のアルケニル基、シクロペンテニル基、シクロへキセニル基、シクロヘキセジエニル基、シクロオクテニル基等のシクロアルケニル基、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、tert−ブチルフェニル基、4−オクチルフェニル基、3,5−ジメチルフェニル基、ジフェニルアミノフェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基等のアリール基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基、ジフェニルアミノ基、ジトリルアミノ基、ジアニソリルアミノ基等の置換アミノ基、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素であるハロゲン原子、シアノ基等が挙げられる。しかし、本発明はこれらに限定されるものではない。 式(13)乃至(20)において、a乃至dは、それぞれ1以上9以下の整数を表す。a乃至dが2以上の場合、繰り返し単位であるフルオレンユニット又はカルバゾールユニットは同じであっても異なってもよい。また、a乃至dを適宜調節し、フルオレンユニット又はカルバゾールユニットのユニット数を調節することにより、化合物自体の発光波長を調整することが可能である。 また、化合物自体が昇華性を有すれば真空蒸着で成膜することが可能であるため、a乃至dは、素子製造プロセスを真空蒸着プロセスにするか塗布プロセスにするかによって制約されるものではない。 本発明のトリフェニレン化合物は以下のような優れた特長を持つ。1.本発明のトリフェニレン化合物において、主骨格であるトリフェニレンは、発達したπ共役電子系と、高いT1レベル(3eV)とをいずれも具備している稀有な化合物である。このため、本発明のトリフェニレン化合物は、青色、緑色又は赤色りん光性発光材料と共に使用することができる。2.本発明のトリフェニレン化合物において、蛍光状態である最低一重項励起エネルギーが、りん光状態である最低三重項励起エネルギー(T1)より大きい。このため本発明のトリフェニレン化合物は、青色、緑色又は赤色蛍光発光材料と共に使用することができる。3.本発明のトリフェニレン化合物において、主骨格であるトリフェニレンは蛍光を発する。このため本発明のトリフェニレン化合物を蛍光材料として使用することができる。4.本発明のトリフェニレン化合物は、トリフェニレン骨格のπ共役電子と置換基A1乃至A6が有するπ共役電子系とが直接結合している。このため、本発明のトリフェニレン化合物は、化学的に非常に安定であり、またπ共役電子系が拡大されるので、電荷移動度の向上が期待できる。5.置換基A1乃至A6は、かさ高く、隣接する又は近接する置換基同士で立体障害を生じる。このため、トリフェニレン骨格のπ共役電子系と置換基A1乃至A6のπ共役電子系とは直行する又は直交に近い形をとる。従って、両π共役電子系の連続性を保ちながら、高いT1を維持することができる。6.置換基A1乃至A6に、これまでに電荷輸送性能の高い骨格として知られているフルオレン骨格、カルバゾール骨格等を導入することができる。7.置換基A1乃至A6は、必ずしも同一である必要性はなく、二種類以上の異なる置換基を導入してもよい。これによって、1つの分子に複数の機能を持たせることが可能である。8.トリフェニレン骨格に置換基A1乃至A6を導入することにより、分子量を大きくすることができる。また置換基A1乃至A6を導入することにより、分子自体の平面性がなくなるので、アモルファス性が高くなる。従って、有機発光素子を作製する場合に安定した薄膜を形成できる。 以上より、本発明のトリフェニレン化合物を有機発光素子の構成材料として使用すると、トリフェニレン化合物の特長に由来する高効率で安定な発光を得ることができる。 特に、りん光発光材料をゲストとして、本発明のトリフェニレン化合物をホストとする発光層を形成した場合、トリフェニレン化合物が有する高いT1レベルを利用した高い電界発光効率を有する有機発光素子を得ることが可能である。 また、りん光発光材料を含む層に隣接する層の構成材料として本発明のトリフェニレン化合物を使用した場合、本発明のトリフェニレン化合物が有する高いT1レベルを利用した、高い電界発光効率を有する有機発光素子を得ることが可能である。 上記一般式[1]で示される有機化合物の代表例を以下に挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。 次に、本発明の有機発光素子について説明する。本発明の有機電界発光素子は、陽極と陰極と、該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物からなる層と、から構成される。 以下、図面を参照しながら、本発明の有機発光素子について詳細に説明する。 図1は、本発明の有機発光素子における実施形態の例を表す断面図であり、(a)は第一の実施形態を示す断面図であり、(b)は第二の実施形態を示す断面図であり、(c)は第三の実施形態を示す断面図である。 図1(a)の有機発光素子1は、上から金属電極11、発光層12、正孔注入層13、透明電極14の順で積層されている積層体が透明基板15上に設けられている。図1(a)の有機発光素子1において、金属電極11を陰極に透明電極14を陽極になるように電界を印加すると、金属電極11から電子が発光層12に注入され、透明電極14からは正孔が注入される。注入された正孔と電子が、発光層12内で再結合することにより発光材料の励起子が生じ、この励起子が基底状態に戻る際に有機発光素子1は発光する。 図1(b)の有機電界発光素子2は、図1(a)の有機電界発光素子1において、発光層12と正孔注入層13との間にインターレイヤー16が設けられている。インターレイヤー16を設けることにより、より効果的に電子をブロックすると共に、透明電極14や正孔注入層13から移動するイオンをブロックする効果があるので、素子の発光効率及び耐久性が向上される。 図1(c)の有機電界発光素子3は、上から金属電極11、多機能発光層17、透明電極14の順で積層されている積層体が透明基板15上に設けられている。本発明の有機発光素子は、図1(c)に示すように、有機化合物層が一層だけ形成された構成であっても構わない。この場合、当該有機化合物層が発光機能等の複数の機能を持つ層(多機能発光層)である必要がある。このため、多機能化された本発明のトリフェニレン化合物を使用することが好ましい。 ここで本発明の有機発光素子は、有機化合物からなる層に、本発明のトリフェニレン化合物が少なくとも一種類含まれることを特徴とする。ここで、有機化合物からなる層とは、具体的には、図1(a)乃至(c)で示される発光層12、正孔注入層13、インターレイヤー16及び多機能発光層17のいずれかである。 本発明のトリフェニレン化合物は、好ましくは、発光層12又は多機能発光層17に含まれる。ここで、発光層12及び多機能発光層17は、本発明のトリフェニレン化合物のみで構成されていてもよいが、ホストとゲストとから構成されていてもよい。発光層12又は多機能発光層17がホストとゲストとで構成される場合、本発明のトリフェニレン化合物は、蛍光又はりん光発光材料(ゲスト)に対するホストである。また発光層12及び多機能発光層17は、ホスト及びゲストの他に、第三の材料である電荷輸送材料を組み合わせて構成されていてもよい。 発光層12又は多機能発光層17のゲストとなる蛍光発光材料として、具体的には、ベンゾオキサゾール及びその誘導体、ベンゾイミダゾール及びその誘導体、ベンゾチアゾール及びその誘導体、スチリルベンゼン及びその誘導体、ポリフェニル及びその誘導体、ジフェニルブタジエン及びその誘導体、テトラフェニルブタジエン及びその誘導体、ナフタルイミド及びその誘導体、クマリン及びその誘導体、縮合芳香族化合物、ペリノン及びその誘導体、オキサジアゾール及びその誘導体、オキサジン及びその誘導体、アルダジン及びその誘導体、ピラリジン及びその誘導体、シクロペンタジエン及びその誘導体、ビススチリルアントラセン及びその誘導体、キナクリドン及びその誘導体、ピロロピリジン及びその誘導体、チアジアゾロピリジン及びその誘導体、シクロペンタジエン及びその誘導体、スチリルアミン及びその誘導体、ジケトピロロピロール及びその誘導体、芳香族ジメチリディン化合物、8−キノリノール及びその誘導体のいずれかを配位子とする金属錯体、ピロメテン及びその誘導体のいずれかを配位子とする金属錯体、希土類錯体、遷移金属錯体に代表される各種金属錯体、ポリチオフェン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン等のポリマー化合物、有機シラン及びその誘導体等が挙げられる。 発光層12又は多機能発光層17のゲストとなるりん光発光材料として、好ましくは、遷移金属錯体である。遷移金属錯体の中心金属は特に限定されないが、好ましくは、イリジウム、白金、レニウム又はルテニウムであり、より好ましくは、イリジウム又は白金であり、特に好ましくは、イリジウムである。具体的には、下記文献に記載のオルトメタル化錯体を使用することができる。 1.山本明夫著「有機金属 基礎と応用」、150頁及び232頁、裳華房社(1982年) 2.エイチ・ヤルシン(H.Yersin)著「フォトケミストリー・アンド・フォトフィジックス・オブ・コーディネーション・コンパウンド(Photochemistry and Photophysics of Coordination Compound)」、71〜77頁及び135〜146頁、Springer−Verlag社(1987年) 3.(独)日本学術振興会「情報科学用有機材料 第142委員会」C部会(有機エレクトロシクス),第9回研究会資料,25〜32項(2005年) 上記以外にも、特許文献にて開示されているもの、例えば、米国特許6303231号明細書、米国特許6097147号明細書、WO00/57676号パンフレット、WO00/70655号パンフレット、WO01/08230号パンフレット、WO01/39234号パンフレット、WO01/41512号パンフレット、WO02/02714号パンフレット、WO02/15645号パンフレット、特開2001−247859号公報、特願2000−33561号、特願2001−189539号、特願2001−248165号、特願2001−33684号、特願2001−239281号、特願2001−219909号、欧州特許1211257号明細書、特開2002−226495号公報、特開2002−234894、特開2001−247859号公報、特開2001−298470号公報、特開2002−173674号公報、特開2002−203678号公報、特開2002−203679号公報等にて開示されているリン光性の発光材料が好適に使用できる。 また非特許文献にて開示されているもの、例えば、ネイチャー(Nature)、395巻、151頁(1998年)、アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)、75巻、4頁(1999年)、ポリマー・プレプリンツ(Polymer Preprints)、41巻、770頁(2000年)、ジャーナル・オブ・アメリカン・ケミカル・ソシエティ(Journal of American Chemical Society)、123巻、4304頁(2001年)、アプライド・フィジックス・レターズ(Applied Physics Letters)、79巻、2082頁(1999年)等に記載のリン光性の発光材料も好適に使用できる。 上記第三の材料となる電荷輸送材料として、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラロゾン誘導体、オキサゾール誘導体、フルオレノン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリシリレン、ポリチオフェン等のホール輸送性化合物、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、チアゾ−ル誘導体、チアジアゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、ペリレン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フルオレノン誘導体、アントロン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機金属錯体等の電子輸送性化合物が挙げられる。 次に、本発明の有機発光素子を構成する他の構成部材について説明する。 透明基板15となる材料は特に限定はされないが、例えば、ガラス等の無機材料、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル等の高分子材料が挙げられる。また、基板にカラーフィルター膜、誘電体反射膜等を用いて発色光をコントロールすることも可能である。 透明電極14は透明基板15上に設けられるものであり、その膜厚は50nm以上500nm以下である。透明電極14となる材料は特に限定されないが、好ましくは、仕事関数が4eV以上の材料である。具体的には、導電性金属酸化物であり、その中でも生産性、高導電性、透明性等の点から、好ましくは、ITOである。 金属電極11は、透明電極14と共に、有機化合物層を挟持するために設けられている。金属電極11となる材料は特に限定されないが、好ましくは、仕事関数が4eV以下の材料である。ここで、アルミニウム/炭酸セシウム等の積層構造も採用することができる。 インターレイヤー16となる材料としては、ワイドギャップであり、キャリア輸送能があり、電気的、化学的又は熱的等の安定性に優れるものであれば特に限定されないが、例えばポリビニルカルバゾール(PVK)等が挙げられる。 本発明の有機発光素子は、構成材料によって、真空蒸着プロセス及び塗布プロセスのいずれかを採用する素子製造プロセスによって製造される。ここで塗布プロセスによって有機発光素子を製造する場合、具体的なプロセスとして、スピンコート法、インクジェット法、印刷法(オフセット、グラビア、凸、凹、スクリーン印刷等)、スプレー法、電子写真法を応用した液体現像法等が採用できる。ただし、本発明はこれに限られるものではない。 以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 (実施例1)例示化合物No.106の合成 100ccの三口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。 化合物A001:351mg(0.5mmol) 化合物A002:2160mg(5mmol) Na2CO3:4.8g) toluene:20ml EtOH:10ml water:30ml 次に、反応溶液に窒素気流を20分間流し脱気した。次に、この反応溶液中にPd(PPh3)4を173mg(0.15mmol)投入した後、冷却管を三口フラスコに装着した。次に、オイルバス温度を90℃に設定し、反応溶液をオイルバスで加熱しながら7時間攪拌した。次に、反応溶液を冷却した後、クロロホルム及び水を加え、有機溶媒層を抽出しMg2SO4により乾燥した。次に、この有機溶媒層をろ過し、溶媒を減圧留去することにより、茶色の液体を得た。この液体について、ヘプタン/トルエン混合溶媒(体積比:5/5)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより1回目の精製を行った。ただし、この精製により得られた物質は純度が不十分であるため、さらにヘプタン/クロロホルム混合溶媒(体積比:6/4)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2回目の精製を行った。2回目の精製により得られた透明溶液を減圧乾燥することにより、例示化合物No.106を白色物質として150mg(合成収率=14.5%)得た。 得られた例示化合物No.106について、Bruker AVANCE−500を用いて、NMR(500MHz)による同定を行った。そのときに得られたNMRチャートを図2に示す。また、Elementar Co.製の元素分析装置Vario EL CHNOSを用いて元素分析を行った。その結果、下記に示されるように、測定値が計算値とほぼ一致することがわかった。 測定値 C:91.1,H:8.9 計算値 C:91.2,H:8.8 (実施例2)例示化合物No.107の合成 100ccの三口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。 化合物A001:351mg(0.5mmol) 化合物A003:2160mg(5mmol) Na2CO3:4.8g toluene:20ml EtOH:10ml water:30ml 次に、反応溶液に窒素気流を20分間流し脱気した。次に、この反応溶液中にPd(PPh3)4を173mg(0.15mmol)投入した後、冷却管を三口フラスコに装着した。次に、オイルバス温度を90℃に設定し、反応溶液をオイルバスで加熱しながら5時間攪拌した。次に、反応溶液を冷却した後、クロロホルムと水とを加え、有機溶媒層を抽出しMg2SO4により乾燥した。次に、この有機溶媒層をろ過し、溶媒を減圧留去することにより茶色の液体を得た。この液体について、ヘプタン/トルエン混合溶媒(体積比:5/5)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより1回目の精製を行った。ただし、この精製によって得られた物質は純度が不十分であるため、さらにヘプタン/クロロホルム混合溶媒(体積比:6/4)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2回目の精製を行った。2回目の精製により得られた透明溶液を減圧乾燥することにより、例示化合物No.107を白色物質として110mg(合成収率=11%)得た。 得られた例示化合物No.107について、Bruker AVANCE−500を用いてNMR(500MHz)による同定を行った。そのときに得られたNMRチャートを図3に示す。また、Elementar Co.製の元素分析装置Vario EL CHNOSを用いて元素分析を行った。その結果、下記に示されるように、測定値が計算値とほぼ一致することがわかった。 測定値 C:91.0,H:8.9 計算値 C:91.2,H:8.8 (実施例3)例示化合物No.115の合成 100ccの三口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。 化合物A001:176mg(0.25mmol) 化合物A004:1972mg(2.5mmol) Na2CO3:4.8g toluene:20ml EtOH:10ml water:30ml 次に、反応溶液に窒素気流を15分間流し脱気した。次に、この反応溶液中にPd(PPh3)4を87mg(0.08mmol)投入した後、冷却管を三口フラスコに装着した。次に、オイルバス温度を90℃に設定し、反応溶液をオイルバスで加熱しながら5時間攪拌した。次に、反応溶液を冷却後、クロロホルムとNaCl飽和水溶液とを加え、有機溶媒層を抽出しMg2SO4により乾燥した。次に、この有機溶媒層をろ過し、溶媒を減圧留去することにより茶色の液体を得た。この液体について、ヘプタン/クロロホルム混合溶媒(体積比:5/5)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより1回目の精製を行った。ただし、1回目の精製により得られた物質は純度が不十分であるため、さらにヘプタン/クロロホルム混合溶媒(体積比:6/4)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより2回目の精製を行った。次に、2回目の精製により得られた透明溶液を減圧乾燥することにより、例示化合物No.115を白色物質として124mg(合成収率=12%)得た。 得られた例示化合物No.115について、Bruker AVANCE−500を用いて、NMR(500MHz)による同定を行った。そのときに得られたNMRチャートを図4に示す。また、Elementar Co.製の元素分析装置Vario EL CHNOSを用いて元素分析を行った。その結果、下記に示されるように、測定値が計算値とほぼ一致することがわかった。 測定値 C:92.6,H:7.3 計算値 C:92.8,H:7.2 (実施例4)例示化合物No.112の合成(1)100ccの三口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。 化合物A005:798mg(2mmol) 化合物A006:618mg(2.2mmol) Pd2(dba)3:92mg(0.1mmol) 1,4−ジオキサン:20ml 次に、反応溶液に窒素ガスを20分流した。次に、t−BuONa(288mg,3.0mmol)及び(t−Bu)3P(162mg,0.8mmol)を加え、冷却管を装着した。次に、オイルバスの温度を65℃に設定し、反応溶液をオイルバスで加熱しながら8時間攪拌した。次に、反応溶液を冷却した後、析出した黄色の沈殿物をろ過により得た。次に、この沈殿物をアセトン、メタノールで順次洗浄することにより、化合物A007を黄色結晶として600mg(収率54%)を得た。(2)反応容器に、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。 化合物A007:553mg(1mmol) 化合物A008:640mg(5mmol) トリエチルアミン:0.3ml Ni(dppp)Cl2触媒:108mg(0.2mmol) トルエン:20ml 次に、反応溶液を120℃に加熱し7.5時間攪拌した。次に、反応溶液を室温まで冷却した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:クロロホルム/ヘプタン=1/1)で精製することにより、化合物A009を300mg(収率50%)得た。(3)100ccの三口フラスコに、以下に示す試薬、溶媒を仕込んだ。 化合物A001:35mg(0.05mmol) 化合物A009:300mg(0.5mmol) Cs2CO3:1.6g(5mmol) toluene:20ml) 次に、反応溶液に窒素気流を15分間流し脱気した。次に、この反応溶液中に、Pd(PPh3)4を69mg(0.06mmol)投入した後、冷却管を三口フラスコに装着した。次に、オイルバス温度を120℃に設定し、反応溶液をオイルバスで加熱しながら5時間攪拌した。次に、反応溶液を冷却後、クロロホルムとNaCl飽和水溶液とを加え、有機溶媒層を抽出しMg2SO4により乾燥した。次に、この有機溶媒層をろ過し、溶媒を減圧留去することにより茶色の液体を得た。この液体について、ヘプタン/クロロホルム混合溶媒(体積比:6/4)を展開溶媒とするシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行った。この精製により得られた薄黄色溶液を減圧乾燥することにより、例示化合物No.112を白色物質として65mg(合成収率=21%)得た。 得られた例示化合物No.112について、Elementar Co.製の元素分析装置Vario EL CHNOSを用いて元素分析を行った。その結果、下記に示すように、測定値が計算値とほぼ一致することが確認された。 測定値 C:89.7,H:7.6,N:2.8 計算値 C:89.5,H:7.7,N:2.8 以上より例示化合物No.112を同定することができた。(蛍光・りん光スペクトルの測定) 例示化合物No.106、例示化合物No.107及び例示化合物No.115について、2−メチルテトラヒドロフラン溶液中の蛍光スペクトル及びりん光スペクトルの測定を行った。蛍光・りん光スペクトルを測定する際には、日立(株)蛍光分光光度計F4500を用いた。ここで、蛍光スペクトルは温度条件を298Kとして、りん光スペクトルは温度条件を77Kとしてそれぞれ測定した。測定によって得られた蛍光・りん光スペクトルを図5に示す。ここで、図5(a)は例示化合物No.106の蛍光・りん光スペクトルを、図5(b)は例示化合物No.107の蛍光・りん光スペクトルを、図5(c)は例示化合物No.115の蛍光・りん光スペクトルを、それぞれ示すものである。尚、各化合物における、最も短波長の発光ピーク波長を以下の表にまとめた。 この表から、室温においては、各化合物ともに397nm乃至419nmの青色の蛍光発光が示された。また、この蛍光の発光効率は良好であった。 ところで蛍光・りん光スペクトル測定の結果、室温においては、りん光発光ピークは観測されないことがわかった。一方、77Kの低温においては、短波長側に蛍光が長波長側にりん光が観測されることがわかった。ここでりん光は、発光寿命が蛍光に比べ長いので、励起光をOFFにした後にチョッパーにより蛍光発光とりん光発光とを分離することで、りん光のみを観測することができる。蛍光発光とりん光発光とを分離することで観測されるりん光発光の最も短波長のピークは、表1より484nm乃至555nmであることがわかった。尚、これらのピーク波長はそれぞれの化合物のT1を表している。 これらの発光スペクトルの特徴から、以下のことがわかる。 (1)本実施例の化合物は、有機発光素子の青色蛍光発光材料(ドーパント)として使用することができる。 (2)本実施例の化合物は、青、緑又は赤色のりん光発光素子の発光層のホストとして用いることができる。 特に、(2)の場合、りん光発光性のゲストから効率よく発光を得るためには、ホストのT1がゲストのT1より高いことが必須である。つまり、りん光発光性のゲストのりん光発光のピーク波長をλPとし、ホストの短波長側のりん光発光のピーク波長をλHとした場合、「λP>λH」とすることが重要である。この条件を満たせば、ホストによってりん光発光性のゲストが有するりん光発光エネルギーが消光することはない。また表1より、例示化合物No.106、例示化合物No.107及び例示化合物No.115のりん光性発光のピークは484nm乃至555nmなので、これらの化合物は、青色、緑色又は赤色のりん光発光素子のホストとして使用することができる。 また、本実施例の化合物を発光層に隣接する層に使用する場合でも、高効率な有機発光素子を得るためには、発光層に隣接する層の構成材料のT1が発光層のゲストのT1より高いことが必須である。ここで表1より例示化合物No.106、例示化合物No.107及び例示化合物No.115のりん光性発光のピークは484乃至555nmである。このためこれらの化合物は、青色、緑色又は赤色のりん光発光素子の発光素子に隣接する有機層に用いることができる。 (実施例5) 素子の構成が、図2(b)に示す構成である有機発光素子を作製した。尚、本発明のトリフェニレン化合物は、低分子量のものは蒸着法で安定な膜を作ることができるため、蒸着法を利用して素子を作製することが十分可能である。しかし、本発明のトリフェニレン化合物の優れた特性と優位性を明らかにするために、以下の方法によって素子を作製した。 まずガラス基板(透明基板15)上に、酸化錫インジウム(ITO)を電極面積が3.14mm2になるようにパターニングして、透明電極14を形成した。このとき透明電極14の膜厚を100nmとした。 次に、このITO電極付き基板上に、全ての有機化合物層をスピンコート法で形成した。具体的な方法を以下に示す。 まず窒素雰囲気にしてから、ITO電極付き基板上に、PEDOT/PSS AI 4083(Baytron社製)を滴下し、回転数4000rpmで2分間スピンコートすることで薄膜を成膜した。続いて、200℃で10分間乾燥させることでホール注入輸送層13を形成した。このときホール注入輸送層13の膜厚は400Åであった。 次に、窒素雰囲気下にて、PEDOT/PSS上に、ポリビニルカルバゾール(PVK、AldRich社製)を溶解したクロロベンゼン溶液を滴下し、回転数1000rpmで1分間スピンコートすることで薄膜を成膜した。続いて、140℃で30分間乾燥させることでインターレイヤー16を形成した。このときインターレイヤー16の膜厚は200Åであった。 次に、ホストである例示化合物No.106と、ゲストである下記に示されるIr錯体(発光ピーク:525nm)とをp−キシレンに溶解して1重量%のp−キシレン溶液を調製した。このときゲストの分量をホストに対して2重量%になるようにした。 続いて、窒素雰囲気下にて、このp−キシレン溶液をインターレイヤー16上に滴下し、回転数1000rpmで1分間スピンコートすることで薄膜を成膜した。続いて、140℃で10分間乾燥させることで発光層12を形成した。このとき発光層12の膜厚は600Åであった。 次に、金属電極11となる層を10-4Pa減圧下における真空蒸着法により形成した。具体的には、まずCs2(CO3)を蒸着して第一の金属電極を形成した。このとき第一の金属電極の膜厚を24Åとした。次に、Alを蒸着して第二の金属電極を形成した。このとき第二の金属電極の膜厚を800Åとした。 次に、窒素雰囲気下で保護用ガラス板をかぶせ、アクリル樹脂系接着材で封止した。以上のようにして有機発光素子を得た。 得られた素子についてその特性を評価した。具体的には、有機EL発光特性評価装置(株式会社クレイドル製)を用いて、駆動電圧、駆動電流、輝度、有機EL発光スペクトルを測定した。該装置は暗箱、輝度計、マルチチャンネル分光器、素子駆動電源及び解析装置で構成され、素子への駆動電流、駆動電圧をプログラムにより制御して、輝度、発光スペクトルを測定する。これにより、素子の電流−輝度特性、電圧−輝度特性、電圧−電流特性、電圧−電流効率、色度等が得られる。 図6は、本実施例(実施例5)における有機発光素子の評価に関する図であり、(a)は駆動電圧と輝度との関係を示すものであり、(b)は、駆動電圧と電流効率との関係を示すものである。 図6(a)より、本実施例の有機発光素子において、駆動電圧が7Vのとき輝度は1000cd/m2であり、駆動電圧が10Vのとき輝度は5000cd/m2であった。 図6(b)より、本実施例の有機発光素子において、駆動電圧が6Vのとき電流効率の最大値は17cd/Aであった。 また本実施例の有機発光素子において、電界発光(EL)スペクトルのピークは530nmであり、CIE色度座標は(x,y)=(0.32,0.64)であった。 さらに本実施例の有機発光素子は、20時間通電しても安定した発光が得られた。 (実施例6) 実施例5において、発光層12のホストを例示化合物No.106に代えて例示化合物No.107を使用した以外は、実施例5と同様の方法により素子を作製した。また得られた素子について、実施例5と同様に評価した。 図7は、本実施例(実施例6)における有機発光素子の評価に関する図であり、(a)は駆動電圧と輝度との関係を示すものであり、(b)は、駆動電圧と電流効率との関係を示すものである。 図7(a)より、本実施例の有機発光素子において、駆動電圧が8Vのとき輝度は1200cd/m2であり、駆動電圧が10Vのとき輝度は5100cd/m2であった。 図7(b)より、本実施例の有機発光素子において、駆動電圧が8Vのとき電流効率の最大値は6.5cd/Aであった。 また本実施例の有機発光素子において、電界発光(EL)スペクトルのピークは520nmであり、CIE色度座標は(x,y)=(0.32,0.60)だった。 さらに本実施例の有機発光素子は、20時間通電しても安定した発光が得られた。(実施例7) 実施例5において、発光層12のホストを例示化合物No.106に代えて例示化合物No.115を、発光層のゲストを実施例5で使用したIr錯体に代えて、下記に示されるIr錯体(発光ピーク:620nm)をそれぞれ使用した。またゲストがホストに対して1重量%になるようにした。 これらを除いては、実施例5と同様の方法により素子を作製した。また得られた素子について、実施例5と同様に評価した。 本実施例の有機発光素子において、駆動電圧が6.5Vのとき輝度は1000cd/m2であり、駆動電圧が7Vのとき輝度は2000cd/m2であった。また駆動電圧が6.5Vのとき電流効率の最大値は7cd/Aであった。尚、CIE色度座標は(x,y)=(0.67,0.32)だった。 さらに本実施例の有機発光素子は、20時間通電しても安定した発光が得られた。 以上より、本発明のトリフェニレン化合物は、青色、緑色又は赤色りん光発光材料に対応可能な発光層用ホストであることがわかった。本発明の有機発光素子における実施形態の例を表す断面図であり、(a)は第一の実施形態を示す断面図であり、(b)は第二の実施形態を示す断面図であり、(c)は第三の実施形態を示す断面図である。例示化合物No.106のNMRチャートを示す図である。例示化合物No.107のNMRチャートを示す図である。例示化合物No.115のNMRチャートを示す図である。(a)は例示化合物No.106の蛍光・りん光スペクトルを、(b)は例示化合物No.107の蛍光・りん光スペクトルを、(c)は例示化合物No.115の蛍光・りん光スペクトルを、それぞれ示す図である。実施例5における有機発光素子の評価に関する図であり、(a)は駆動電圧と輝度との関係を示す図であり、(b)は、駆動電圧と電流効率との関係を示す図である。実施例6における有機発光素子の評価に関する図であり、(a)は駆動電圧と輝度との関係を示す図であり、(b)は、駆動電圧と電流効率との関係を示す図である。符号の説明 1,2,3 有機発光素子 11 金属電極 12 発光層 13 ホール輸送層 14 透明電極 15 透明基板 16 インターレイヤー 17 多機能発光層 下記一般式(1)で示されることを特徴とする、トリフェニレン化合物。(式(1)において、A1乃至A6は、それぞれ水素原子又は下記一般式(2)乃至(4)の中から選択される置換基である。ただし、A1及びA2のいずれか、A3及びA4のいずれか、並びにA5及びA6のいずれかは、下記一般式(2)乃至(4)の中から選択される置換基である。(式(2)において、X1は、下記一般式(5)又は(6)で示される部分構造である。式(3)において、X2は、下記一般式(7)乃至(12)のいずれかで示される部分構造である。式(2)乃至(4)において、Y1乃至Y4は、それぞれ下記一般式(13)乃至(20)のいずれかで示される部分構造である。(式(13)乃至(20)において、R1乃至R12は、それぞれ置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のシクロアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基、置換あるいは無置換のシクロアルケニル基、置換あるいは無置換のアリール基又は水素原子を表す。a乃至dは、それぞれ1以上9以下の整数を表す。a乃至dが2以上の場合、繰り返し単位であるフルオレンユニット又はカルバゾールユニットは同じであっても異なってもよい。)式(2)乃至(4)において、Z1乃至Z4は、それぞれ置換あるいは無置換のアルキル基、置換あるいは無置換のシクロアルキル基、置換あるいは無置換のアルケニル基、置換あるいは無置換のシクロアルケニル基、置換あるいは無置換のアルコキシ基、置換あるいは無置換のアリール基、置換あるいは無置換のフルオレニル基、置換あるいは無置換のカルバゾリル基、置換あるいは無置換のアミノ基、水素原子又はハロゲン原子を表す。)) 前記A1乃至A6が同一の置換基であることを特徴とする、請求項1に記載のトリフェニレン化合物。 陽極と陰極と、 該陽極と該陰極との間に挟持される有機化合物からなる層と、から構成され、 該有機化合物からなる層に、請求項1又は2に記載のトリフェニレン化合物が少なくとも一種類含まれることを特徴とする、有機発光素子。 前記トリフェニレン化合物が発光層に含まれることを特徴とする、請求項3に記載の有機発光素子。 【課題】発光効率が良好な有機発光材料、特に、青色発光材料、青色・緑色発光材料又は赤色発光材料と共に使用が可能なトリフェニレン化合物を提供する。【解決手段】フルオレンユニットやカルバゾールユニットが結合するトリフェニレン化合物を有機発光素子の構成材料として使用すると、トリフェニレン化合物の特長に由来する高効率で安定な発光を得ることができる。特に、りん光発光材料をゲストとして、トリフェニレン化合物をホストとする発光層を形成した場合、トリフェニレン化合物が有する高いT1レベルを利用した高い電界発光効率を有する有機発光素子を得ることが可能である。また、りん光発光材料を含む層に隣接する層の構成材料としてトリフェニレン化合物を使用した場合、トリフェニレン化合物が有する高いT1レベルを利用した、高い電界発光効率を有する有機発光素子を得ることが可能である。【選択図】なし