タイトル: | 公開特許公報(A)_酵母エキス含有組成物 |
出願番号: | 2007280771 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | A61K 36/06,A61P 3/02,A23L 1/28 |
野里 直子 齋藤 真理子 武田 恭一 井口 佳則 JP 2009107962 公開特許公報(A) 20090521 2007280771 20071029 酵母エキス含有組成物 アサヒビール株式会社 000000055 アサヒフードアンドヘルスケア株式会社 397009004 棚井 澄雄 100106909 志賀 正武 100064908 大槻 真紀子 100147267 野里 直子 齋藤 真理子 武田 恭一 井口 佳則 A61K 36/06 20060101AFI20090424BHJP A61P 3/02 20060101ALI20090424BHJP A23L 1/28 20060101ALN20090424BHJP JPA61K35/72A61P3/02A23L1/28 A 6 OL 8 4B018 4C087 4B018MD20 4B018MD23 4B018MD81 4B018ME02 4C087AA01 4C087AA02 4C087AA04 4C087BC11 4C087CA11 4C087CA16 4C087CA45 4C087MA02 4C087NA05 4C087ZC21 4C087ZC54 本発明は、酵母エキスを含有した組成物に関する。さらに詳しくは、運動能力の持続や疲労の予防・回復、さらには慢性疲労症候群に効果を有する酵母エキス含有組成物に関する。 従来から、肉体疲労の予防又は回復効果を目的として、種々の疲労回復飲食品もしくは医薬品が提供されてきた。近年、健康志向の高まりから、栄養補助食品として様々な食品やサプリメントが提供されているが、天然噂好の高まりから人工的な混合物よりも天然に近い素材が好まれるようになった。そのため、天然素材由来の食品やサプリメントが注目され、種々の酵母や酵母エキスの利用が検討されている。 ビール酵母やパン酵母を始めとするサッカロミセス酵母は、天然のビタミンB群、アミノ酸、ミネラル等をバランス良く含有しており、ビールやパンの製造に使われる以外にも有効活用されている。例えば、乾燥酵母は我が国において長年にわたって医薬品、食品原料、調味料などとして使われており、栄養価と安全性の高い素材として認知されている。例えば、特許文献1には、ビタミン類やグルタチオンを含有する酵母が開示されている。 また、酵母エキスは、従来から旨味調味料として広く利用されており、特許文献2には、飲食品の濃厚感を付与した酵母エキスとしてペプチド含有の比率を高めた酵母エキスが開示されている。しかし、疲労の予防・回復効果に関する研究は少なく、乾燥酵母と比較して人間の健康増進を目的とした用途には殆ど使われていなかったため、今後の開発が期待されている。 このような酵母エキスとして、例えば、特許文献3には、肉体の疲労予防・疲労に関するビタミンB1を含有する酵母エキスが開示されている。また、非特許文献1には、グルタチオン高含有の酵母エキスが開示されている。特開2003‐180338号公報特開2005‐245438号公報特開2005‐239550号公報月刊フードケミカル,’91/10,70‐74(1991) しかしながら、従来の酵母エキスでは、運動能力の持続や疲労の予防・回復効果、慢性疲労症候群に対する効果が十分ではなかった。 本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、栄養補助食品として利用可能な天然素材由来の組成物であって、運動能力の持続や疲労の予防・回復に対して効果を有する酵母エキス含有組成物を提供することを目的とする。 本発明者らは、種々検討の結果、特別な酵母エキスを組み合わせることにより、運動能力の持続や疲労の予防・回復に対して効果を有する組成物を得ることができることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明は下記に示す[1]〜[6]の態様である。[1](I)ビタミンB1含有量0.1〜12%の酵母エキスと、(II)ペプチド含有量40〜80%の酵母エキスと、(III)グルタチオン含有量5〜50%の酵母エキスを含有し、前記(I)〜(III)の比率(I):(II):(III)が6〜3:3〜1:2〜1の範囲であることを特徴とする酵母エキス含有組成物。[2]前記(I)のビタミンB1含有量が、0.1〜0.16%である前記[1]に記載の酵母エキス含有組成物。[3]前記(II)のぺプチド含有量が、60〜80%である前記[1]または[2]に記載の酵母エキス含有組成物。[4]前記(III)のグルタチオン含有量が、15〜20%である前記[1]〜[3]の何れか1項に記載の酵母エキス含有組成物。[5]前記(I)〜(III)の比率(I):(II):(III)が、4:2:1である前記[1]〜[4]の何れか1項に記載の酵母エキス含有組成物。[6] 前記(I)が200〜1000mg、前記(II)が100〜500mg、及び前記(III)が50〜250mg配合されていることを特徴とする前記[1]〜[5]の何れか1項に記載の酵母エキス含有組成物。 本発明の酵母エキス含有組成物は、栄養補助食品として利用可能な天然素材由来の組成物であって、運動能力の持続や疲労の予防・回復に対して効果を有する。 以下に、本発明の実施形態例について詳細に説明する。 本発明の酵母エキス含有組成物は、(I)ビタミンB1含有量0.1〜12%の酵母エキス(以下、(I)成分と略す)、(II)ペプチド含有量40〜80%の酵母エキス(以下、(II)成分と略す)、および(III)グルタチオン含有量5〜50%の酵母エキス(以下、(III)成分と略す)を含有するものである。 本発明における酵母エキスの原料となる酵母は、可食性のものであれば特に制限はなく、ビール酵母,パン酵母,アルコール酵母,清酒用酵母など一般に食品工業で用いられているものを使用することが出来る。 このような酵母としては、例えばサッカロマイセス( Saccharomyces)属、ピキア( Pichia)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属、デバリオマイセス(Debariomyces)属、キャンディダ(Candida)属、クリベロマイセス(Kluyveromyces)属、チゴサッカロマイセス(Zygosaccharomyces)属等に属する酵母が挙げられる。このような酵母の例としては、サッカロマイセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae IFO1954,IFO03019,IAM4274)、ピキア・ステイピティス(Pichia stipitis IFO1720)、ハンゼヌラ・アノマラ(Hansenula anomala IFO1150)、デバリオマイセス・ハンセニイ(Debariomyces hansenii IFO0855,IFO1752)、キャンディダ・ユーティリス(Candida utilis IFO0619,ATCC15239)、クリベロマイセス・ラクチス(Kluyveromyces ATCC56498)、クリベロマイセス・マルキシアヌス( Kluyveromyces marxianus ATCC36534)、チゴサッカロマイセス・ルーキシー(Zygosaccharomyces rouxii ATCC28253,ATCC13356)等に属する酵母が挙げられ、好ましくはサッカロマイセス・セレビシエ及びキャンディダ・ユーティリスである。これらの酵母の中から1種若しくは2種以上の酵母を用いることができる。 酵母エキスは、一般的には、酵母の自己消化、消化酵素処理、アルカリ、酸あるいは熱水処理、もしくは物理的損傷等により細胞壁の物質透過性を高めた後、水又は有機溶媒単独、あるいはこれらの混合物により、細胞内に含まれる可溶性成分を抽出することにより得られる。 酵母エキスは、溶媒に溶解した状態で使用することもできるが、真空乾燥、凍結乾燥等により粉末化してもよい。粉末化に際して、適当な賦形剤を加えても差し支えない。 本発明の酵母エキス含有組成物を構成する(I)成分は、ビタミンB1含有量が0.1〜12%、好ましくは0.1〜0.16%である酵母エキスであれば、特に限定されるものではない。例えば、特許文献1に記載の方法に準じて製造することができ、ビタミンB1を0.25〜3重量%含む培地で培養して得られる酵母に、酵母細胞壁溶解酵素などの生化学的処理もしくはフレンチプレスや加圧処理などの物理的処理を行なって得られる可溶性成分を、凍結乾燥もしくは噴霧乾燥することにより得られる。また、商品名「ミーストP5チアミン」(アサヒフードアンドヘスルケア社製)等の市販の酵母エキスを用いることができる。 本発明の酵母エキス含有組成物を構成する(II)成分は、ペプチド含有量が40〜80%、好ましくは60〜80%である酵母エキスであれば、特に限定されるものではない。例えば、特許文献2に記載の方法に準じて製造することができる。また、商品名「SPRINGER HYP A」(Bio Springer SA社製)等の市販の酵母エキスを用いることもできる。 なお、ペプチド含量は、酵母エキス中の加水分解アミノ酸の合計から遊離アミノ酸の合計を引いた値であり、ペプチドとは、キャンベル生化学第2版(廣川書店平成13年9月15日発行)のP75よりアミノ酸100残基未満をペプチドと定義できる。また、アミノ酸の平均分子量約120から、分子量12000未満がペプチドとも定義することが出来る。 本発明の酵母エキス含有組成物を構成する(III)成分は、グルタチオン含有量5〜50%、好ましくは15〜20%である酵母エキスであれば、特に限定されるものではない。例えば、特許文献3に記載の方法に準じて製造することができる。また、商品名「ハイチオンエキスYH‐15」(株式会社興人製)等の市販の酵母エキスを用いることもできる。また、グルタチオンはシステインペプチドとも呼ばれる。 各(I)〜(III)成分の成人(体重60kgとして)の1日当たりの好ましい摂取量は、疲労度によって異なるが、(I)成分は200〜1000mg、より好ましくは500〜700mg、(II)成分は100〜500mg、より好ましくは200〜400mg、(III)成分は50〜250mg、より好ましくは100〜200mgである。 また、各(I)〜(III)成分の比率(I):(II):(III)は6〜3:3〜1:2〜1の範囲で構成され、好ましくは、(I):(II):(III)が、4:2:1である。 また、摂取回数としては、1日1回又は複数回に分けて摂取することができる。 本発明の酵母エキス含有組成物は、上記(I)、(II)、(III)成分を、目的とする形態に合わせて、混合、攪拌、加熱、造粒、乾燥等することにより調製することができる。本発明の酵母エキス含有組成物の形態は、特に限定されるものではなく、固形状(粉剤、微粒剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤など)、半固形状(ゼリー状、水飴状など)、もしくは液状のいずれでもよい。本発明の酵母エキス含有組成物を医薬品または飲食品として製造する場合、上記(I)、(II)、(III)成分に賦形剤、安定剤その他の成分を添加し、一般的に用いられる製造方法で製造することができる。 以上説明したように、本発明の酵母エキス含有組成物は、運動能力の持続や疲労の予防・回復に対して効果を有し、さらには慢性疲労症候群に対しても効果が期待される。 次に、実施例を示して本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。「実施例1」 表1に示す各成分を均一に混合し、常法に従ってカプセル剤(2号ハードカプセル)を製造した。 (I)成分として、「ミーストP5チアミン」(アサヒフードアンドヘスルケア株式会社製)を用いた。(II)成分として、「SPRINGER HYP A」(Bio Springer SA社製)を用いた。(III)成分として、「ハイチオンエキスYH‐15」(株式会社興人製)を用いた。 このようにして、カプセル1粒に267mg充填し、カプセル約374粒を得た。「実施例2」 表2に示す各成分を均一に混合し、常法に従ってカプセル剤(1号ハードカプセル)を製造した。 (I)成分として、「ミーストP5チアミン」(アサヒフードアンドヘスルケア株式会社製)を用いた。(II)成分として、「SPRINGER HYP A」(Bio Springer SA社製)を用いた。(III)成分として、「ハイチオンエキスYH‐15」(株式会社興人製)を用いた。 このようにして、カプセル1粒に350mg充填し、カプセル約285粒を得た。「試験例1」動物試験での評価 雄性マウスBALB/c(10週齢 日本SLC)に粉末飼料CRF‐1(オリエンタル酵母工業株式会社製)を与え、予備飼育1週間後に体重と30分間の自発運動量をSupermex(室町機械株式会社製)で測定し、自発運動量が均等になるように1群8匹(対照のみ6匹)で6群に群分けした。群分け後、各群には、表3に示す組成の酵母エキスを、CRF‐1にそれぞれ混合して、自由摂取させた。 投与開始3週間後に、遊泳試験による抗疲労効果を評価した。遊泳試験は2Lビーカーに25℃の水1.5Lを入れ、15分間水中に入れたマウスが遊泳動作を行った時間を、Supermex(室町機械株式会社製)を用いて測定した。結果を図1に示す。 図1の結果から、本発明の酵母エキス含有組成物を摂取させた(5)群は、有意に遊泳時間延長効果が見られた。特に、対照の(1)群に対して約1.8倍(p<0.05 t検定)の遊泳時間延長効果が見られ、肉体疲労予防や疲労回復改善において効果的であることが示唆された。 本発明の酵母エキス含有組成物は、医薬品、サプリメント等の栄養補助食品、および一般的な飲食品に広く利用可能である。特に、運動能力の持続や疲労の予防・回復に対して効果を有し、さらには慢性疲労症候群に対しても効果が期待されるため、重労働後の疲労緩和、運動時のパフォーマンス向上などを目的に様々な用途に応用が可能である。図1は、試験例1のマウスの遊泳試験において、酵母エキス含有組成物と抗疲労効果の関係を示す。 (I)ビタミンB1含有量0.1〜12%の酵母エキスと、 (II)ペプチド含有量40〜80%の酵母エキスと、 (III)グルタチオン含有量5〜50%の酵母エキスを含有し、前記(I)〜(III)の比率(I):(II):(III)が、6〜3:3〜1:2〜1の範囲であることを特徴とする酵母エキス含有組成物。 前記(I)のビタミンB1含有量が、0.1〜0.16%である請求項1記載の酵母エキス含有組成物。 前記(II)のぺプチド含有量が、60〜80%である請求項1または2に記載の酵母エキス含有組成物。 前記(III)のグルタチオン含有量が、15〜20%である請求項1〜3の何れか1項に記載の酵母エキス含有組成物。 前記(I)〜(III)の比率(I):(II):(III)が、4:2:1である請求項1〜4の何れか1項に記載の酵母エキス含有組成物。 前記(I)が200〜1000mg、前記(II)が100〜500mg、及び前記(III)が50〜250mg配合されていることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の酵母エキス含有組成物。 【課題】栄養補助食品として利用可能な天然素材由来の組成物であって、運動能力の持続や疲労の予防・回復に効果を有する酵母エキス含有組成物の提供。【解決手段】(I)ビタミンB1含有量0.1〜12%の酵母エキスと、(II)ペプチド含有量40〜80%の酵母エキスと、(III)グルタチオン含有量5〜50%の酵母エキスを含有し、前記(I)〜(III)の比率(I):(II):(III)が、6〜3:3〜1:2〜1の範囲であることを特徴とする酵母エキス含有組成物、前記(I)のビタミンB1含有量が、0.1〜0.16%である酵母エキス含有組成物、前記(II)のぺプチド含有量が、60〜80%である酵母エキス含有組成物、前記(III)のグルタチオン含有量が、15〜20%である酵母エキス含有組成物、前記比率(I):(II):(III)が4:2:1である酵母エキス含有組成物。【選択図】なし