生命科学関連特許情報

タイトル:公開特許公報(A)_膣内洗浄剤および膣感染症治療薬
出願番号:2007270040
年次:2009
IPC分類:A61K 33/44,A61P 31/00,A61K 47/02,A61P 31/04


特許情報キャッシュ

富永 国比古 JP 2009096755 公開特許公報(A) 20090507 2007270040 20071017 膣内洗浄剤および膣感染症治療薬 富永 国比古 502286524 佐藤 成大 506233508 幸田 全弘 100069903 富永 国比古 A61K 33/44 20060101AFI20090410BHJP A61P 31/00 20060101ALI20090410BHJP A61K 47/02 20060101ALI20090410BHJP A61P 31/04 20060101ALI20090410BHJP JPA61K33/44A61P31/00A61K47/02A61P31/04 3 OL 7 4C076 4C086 4C076AA12 4C076CC31 4C076DD21 4C086AA01 4C086AA02 4C086HA06 4C086MA17 4C086MA56 4C086NA14 4C086ZB32 この発明は細菌性膣症、さらにはクラミジア頚管炎、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などの膣感染症に罹患した膣内を洗滌するための洗浄剤、およびそれら膣感染症、特に細菌性膣症の治療薬に関するものであって、医療および医薬品技術に関するものである。 初潮を迎えた以降の健康な成人女性の膣内には、例えば、デーデルライン杆菌など多数の乳酸杆菌属の菌類が存在し、これらの乳酸杆菌の存在によって、膣内は正常な細菌均衡が維持され、かつ病原性微生物による生殖器感染が防止されている。 この乳酸杆菌類は、膣粘膜から分泌されるグリコーゲンをエネルギー源として利用することで繁殖し、かつ後方からの病原体と競合し、他の細菌による攻撃から膣腔を防御しているが、近年における多数の抗生物質の開発に伴い、抗生物質製剤が頻繁に使用されるにともない、膣内に存在する乳酸杆菌類も駆除させられてきている。 その結果、感染したバクテロイデス属(Bacteroides)、ペプトストレプトコッカス属(Peptostreptococcus)、ペプトコッカス属(Peptococcus)、モビルンクス・G.バギナリス(MobiluncusG. vaginalis)を初めとする多数の嫌気性細菌が、膣内で繁殖し、それらの細菌類の相互作用で、細菌性膣炎が発症し、また、膣トリコモナス(T.Vaginalis)又はカンジダ属(Candida;上記の全てのCandidaalbicans)の感染により膣炎が現れる。 これら疾患の治療は、主にスルホンアミド類、抗生物質および抗菌剤類が使用されるが、これらの抗生物質類の投与は、発疹、掻痒、局所の発赤、刺激、びらんなどの副作用が心配されるほか、膣に内在する乳酸杆菌類をも死に至らせるものであり、さらには病原性細菌(例えば、ブドウ球菌属;Staphylococcus)のなかには、抗生物質類に対する耐性を獲得するものがあるため、抗生物質投与によりこれらの疾患を治療することも難しくなってきている。 一方、特開平11−322621号公報(特許文献1)においては、膣感染症の治療に、死亡したものを補充するという考えからと推測されるが、例えば、ラクトバシルス・カセイ(カセイ菌;Lactobacilluscasei)、ラクトバシルス・ガスセリ(Lactobacillus gasseri)、ラクトバシルス・フェルミンツム(Lactobacillusfermintum)、ラクトバシルス・カセイ・シュードプランタルム亜種(Lactobacillus casei subs. puseudoplantarum)、およびラクトバシルス・クリスパツス(Lactobacilluscrispatus)などの乳酸杆菌類を使用することを提案している。 しかしながら、抗生物質の乱用、さらには免疫力の低下や性行動の活発化などによって、細菌性膣症、クラミジア頚管炎、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などに罹患する女性は増加しているが、多くの女性は、これらの罹病により婦人科医を受診することに躊躇いを感じ、症状を悪化させるケースも増えている。 発明者はこのような状況を改善するために、従来技術を踏まえ、罹患者が家庭内において、膣内の自浄作用を回復させ、膣内に細菌、真菌、原虫などが侵入することを防止し、進入したものを殺菌することのできる、取り扱いが容易で毒性が無く、より効果の優れた洗浄剤を開発し、罹患者が自己治療できる、すなわち、膣洗浄が自分でできるようにすべく検討を行い、先に一つの提案を行った。 その提案は、特開2004−67599号公報(特許文献2)に示されているとおりであって、腸内微生物の状態を改善する効果を有するとされ、市販されている乳酸菌の産生ないし分泌すると推定される物質(以下、乳酸菌醗酵液エキスという。)を、細菌性膣症、クラミジア頚管炎、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などに罹患した女性の膣内の洗浄剤として用いるというものであって、該乳酸菌醗酵液エキスは膣内洗浄剤として優れたものであり、更には、それらの膣感染症の治療薬としても有効なものである。特開平11−322621号公報特開2004−67599号公報(特許請求の範囲) 発明者はさらに、上記した課題、すなわち、罹患者が、家庭内において膣内の自浄作用を回復させ、膣内に細菌、真菌、原虫などが侵入することを防止し、進入したものを殺菌することのできる、取り扱いが容易で毒性が無く、効果の優れた洗浄剤を開発し、罹患者が自己治療でき、膣洗浄が自分でできるようにするという課題について、継続して検討を行なった。 その結果、発明者は、下痢症、消化管内の異常発酵による生成ガスの吸着、自家中毒・薬物中毒における吸着及び解毒に適応するものとして医薬品にも認定されている活性炭も、上記課題を解決し、細菌性膣症、クラミジア頚管炎、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などに罹患した女性の膣内の洗浄剤として優れたものであること、更には、それらの膣感染症の治療薬として有効であることを見出し、この発明を完成したのである。 すなわち、この発明の請求項1に記載の発明は、 活性炭を有効成分とすることを特徴とする膣内洗浄剤である。 また、この発明の請求項2に記載の発明は、 活性炭を有効成分とすることを特徴とする膣感染症治療薬である。 また、この発明の請求項3に記載の発明は、 請求項2に記載の膣感染症治療薬において、 前記膣感染症が、 細菌性膣症であることを特徴とするものである。 この発明の膣内洗浄剤を、毎日、あるいは隔日、さらには数日おきに使用することにより、膣内が清浄化され、細菌性膣症、更にはクラミジア頚管炎、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などの症状が緩和され、あるいは消滅する。 活性炭は、その吸着機能により、各種作用が奏されるものであるが、この発明においても、その吸着作用により細菌、真菌等を吸着し、膣内を清浄にするという上記効果が奏されるものと推量される。事実、吸着量の大きいものが効果において優れていることが認められるが、未だ、この発明の奏する効果の作用機序について明らかにはなっていない。 しかし、その効果は、市販品のクロマイ膣剤に劣るとは言え、乳酸菌製剤より優れ、臨床症状の改善、膣内酸性度の回復を治療のエンドポイントとした場合、この発明の膣内洗浄剤はクロマイ膣剤による治療に比べて、より常在乳酸桿菌に対して、保護・育成的な治療方法である。 この発明に係る膣内洗浄剤は、活性炭を有効成分とするものである。 活性炭としては、現在、薬用炭として認可され得る、第10改正日本薬局方に示される規定を満足するもの、しかもヤシ殻などの木質材料を原料とするもので、通常使用されている、直径1〜20nmの微細孔を有するものが挙げられる。 なお、活性炭としては、前記のものに限定されることなく、例えば、腎肝疾患の経口投与用治療薬として用いられる、イオン交換樹脂ないし類似重合体の炭化物(特開2006−256882号公報)や、熱硬化性樹脂の炭化物(特開2006−328085号公報)などの活性炭も、この発明に適用することが可能である。 この発明の膣内洗浄剤は、活性炭を有効成分とするものであって、粉末又は粒状であるから、そのままで、適用することが困難である。 そこで、水、蒸留水、滅菌精製水又はアルコールなどの液体に分散させて外陰部に塗布することによって、あるいはそれをガーゼなどに染み込ませ、それを患部に貼付しておくことによって、さらには、綿球やタンポンなどに分散液を浸み込ませてから、暫く膣内に挿入しておくこと、さらにはビデや注射器を用いることにより、膣壁を清浄化することができる。 この発明において用いる活性炭は、薬用炭として認可され、殆んど副作用が認められないもの、すなわち、多孔性吸着解毒体で、特定の範囲内の分子量をもつ物質のみを吸着する性質を有し、体内に必要な栄養素は吸収せず、有害な物質のみ吸着し排出するというものである。 したがって、適用量に厳しい制限の課せられるものでなく、自由に使用することが可能である。 また、この発明の膣内洗浄剤は毎日でも、隔日でも、数日おきに使用しても良く、それにより、膣内が清浄化され、特に細菌性膣症の症状が緩和され、あるいは消滅する。 クラミジア頚管炎、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などにおいても、その症状が緩和され、あるいは消滅することが期待される。 以下、この発明の膣内洗浄剤を、実施例に基づいて、さらに詳細に説明する。 実施例1 <洗浄剤の調製> 市販品の薬用炭(スーパーチャコール粉末:有限会社健歩製、累積細孔面積2.39ml/g、平均細孔半径0.017μm、全細孔比表面積276m2 /g)5ccを、蒸留水50ccに分散させて膣内洗浄剤とした。 <洗浄効果確認試験1> 膣分泌物の増加や悪臭を訴えて受診してきた、20歳から37歳までの女性5名の外来患者に、インフォームドコンセントを得た後、上記で得られた膣内洗浄剤を綿球に1.5g吸収させて、膣内に挿入、6時間後に抜去することにより膣内洗浄を行った。 膣内洗浄を実施するに際し、膣内の膣分泌物(vaginal discharge)を採取、クラミジア、トリコモナス、カンジダの検査を行ない、クラミジア、トリコモナス、カンジダが、いずれも陰性で、黄色アミン臭の膣分泌物のあるものを、臨床的に細菌性膣症と診断した。 各患者における洗浄効果は、以下のとおりであった。 1)患者22歳(OL) 数週間前から帯下量が増え、パートナーから、膣の悪臭を指摘されており、クラミジア、淋菌、トリコモナスは陰性で、細菌性膣症の診断基準を満たしていた。 なお、膣内酸性度は、pH:7.8であった。 一週間、連日外来にて活性炭洗浄療法を7日間行なった結果、自覚的帯下量は60%、悪臭は70%程度減少し、pH:6.4に減少した。 副作用は認められず、活性炭による下着の汚染も、洗濯で落ちるので全く問題はなかったとのことであった。 2)患者37歳(主婦) 数年前から、細菌性膣症に罹患し、大学病院、公的病院、開業医など5、6箇所の医療機関で治療を繰り返してきた。 治療は、いずれも抗生物質の内服および、膣内投与などによる治療や漢方薬の内服治療が中心であり、クラミジア、淋菌、トリコモナスは陰性であった。 活性炭洗浄療法を14日間行なった結果、自覚的帯下量は70%、悪臭は65%程度減少し、pHは6.4から5.0に減少した。 副作用は認められなかった。 3)患者26歳(風俗産業に従事) 数ヶ月前から、膣分泌物が増加したため来院。 クラミジア、淋菌、トリコモナスは陰性で、膣の悪臭は、膣内の分泌物にKOHを滴下したところ陽性で、診断は細菌性膣症。 途中、月経になったため一時治療を中断したが、通算10回、外来にて活性炭洗浄療法を施行した結果、自覚的帯下量は68%、悪臭は90%程度減少した。 副作用は認められなかった。 4)患者20歳(学生) 数週間前から、膣分泌物が異常に増えて、分泌物の刺激により軽い外陰炎を併発していた。 クラミジア、淋菌、トリコモナス、カンジダは陰性で、自覚的な膣の悪臭は強くなかったが、KOHテストは陽性で、細菌性膣症と診断。 7日間の活性炭洗浄療法を行なったところ、自覚的帯下量は58%、臭いは80%程度減少し、pHは6.8から6.4に減少した。 副作用は認められなかった。 5)患者28歳(OL) 二週間前に新しいパートナーが出来てから、膣分泌物が増え、膣の軽い悪臭を感じるようになった。 クラミジア、淋菌、トリコモナス検査は陰性で、細菌性膣症の診断下に、7日間の連続活性炭膣内洗浄療法を継続した。 自覚的帯下量、臭いは共に90%程度減少し、pHは6.4から5.0に改善された。 副作用は認められなかった。 <洗浄効果確認試験2> 外来患者の中から、 1.灰色帯下 2.膣内pH5以上 3.アミン臭の検出 4.Clue cellの検出(上皮細胞の20%以上)の症状の内、3項目が陽性であった者130名を対象として、インフォームドコンセントを得て、ランダムに4つのグループに分け、それぞれ以下のように、7日間治療を継続実施した。 1)33名:クロマイ膣錠(三共株式会社製)による治療 2)33名:乳酸菌生成エキスによる洗浄治療 3)30名:乳酸菌製剤(ビオスリー:東亜新薬株式会社製)による治療 4)34名:この発明の膣内洗浄剤による洗浄治療 悪臭や帯下の程度は、VAS(Visual Analog Scale)を用いて、外来で被験者に自ら評価させた。 また、初診時と治療終了時に、膣内pHを測定した。 その結果を、表1(自覚的な帯下量の変化)、表2(自覚的な臭いの変化)、表3(膣内pHの変化)に示した。 その結果、4種類のいずれにおいても、治療効果が認められるが、効果の程度には差が認められ、いずれの場合においても、乳酸菌製剤において効果が下回っていた。 膣内pHに関しては、治療前後でクロマイ膣剤は、統計的な有意差は認められなかったが、他の治療法では、有意差が認められた。 この発明の膣内洗浄剤および膣感染症治療薬は、細菌性膣症に特に有効なもので、クラミジア頚管炎、トリコモナス膣炎、カンジダ膣炎などの膣感染症にも効果が期待され、それらの疾病に罹患した膣内を洗滌するための洗浄剤、およびそれら膣感染症の治療薬として、従来のものに比肩する効果を有するものであるから、洗浄剤として治療薬として医療において広く利用される可能性のあるもので、延いては医薬品製造分野で広く利用される可能性のあるものである。 活性炭を有効成分とすることを特徴とする膣内洗浄剤。 活性炭を有効成分とすることを特徴とする膣感染症治療薬。 前記膣感染症が、 細菌性膣症であることを特徴とする請求項2に記載の膣感染症治療薬。 【課題】 罹患者が家庭内において、膣内の自浄作用を回復させ、膣内に細菌、真菌、原虫などが侵入することを防止し、進入したものを殺菌することができ、取り扱いが容易で毒性が無く、罹患者が自己治療できる、効果の優れた膣内洗浄剤を提供する。【解決手段】 活性炭を有効成分とする膣内洗浄剤であって、粉末又は粒状である活性炭を、水、蒸留水又はアルコールなどの液体に分散させて外陰部に塗布することによって、あるいはそれをガーゼなどに染み込ませ、それを患部に貼付しておくことによって、さらには、綿球やタンポンなどに分散液を浸み込ませてから、暫く膣内に挿入しておくことにより、膣壁を清浄化することができるものである。【選択図】 なし


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