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タイトル:公開特許公報(A)_タンパク質の蛍光標識方法および解析方法
出願番号:2007264026
年次:2009
IPC分類:G01N 21/64,G01N 33/53,G01N 33/542,G01N 21/78


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岡本 直明 JP 2009092530 公開特許公報(A) 20090430 2007264026 20071010 タンパク質の蛍光標識方法および解析方法 オリンパス株式会社 000000376 岡本 直明 G01N 21/64 20060101AFI20090403BHJP G01N 33/53 20060101ALI20090403BHJP G01N 33/542 20060101ALI20090403BHJP G01N 21/78 20060101ALI20090403BHJP JPG01N21/64 FG01N33/53 DG01N33/542 AG01N21/78 C 4 1 OL 6 2G043 2G054 2G043BA16 2G043CA03 2G043DA02 2G043EA01 2G043JA01 2G054AA06 2G054AB04 2G054BB10 2G054CA21 2G054CA22 2G054CA23 2G054CB01 2G054CE02 2G054EA03 本発明は、タンパク質を蛍光標識する方法と、タンパク質を蛍光解析する方法に関する。 タンパク質の蛍光標識技術は、タンパク質と生体分子間の相互作用解析等の研究において、重要な技術である。 タンパク質は様々な生体分子と相互作用することが知られている。それらの相互作用は遺伝子発現、抗原抗体反応、シグナル伝達など多様な生命活動において重要な役割を担っている。タンパク質と相互作用する生体分子には、タンパク質、糖、核酸などがある。タンパク質と生体分子間の相互作用は、タンパク質に蛍光標識を行い、その蛍光を解析することで観察される。 タンパク質を蛍光標識する従来技術として、発現させた後精製したタンパク質にタンパク質蛍光標識試薬を反応させ、タンパク質の持つ修飾基と蛍光色素をカップリング反応により共有結合させる方法がある(非特許文献1)。しかしこの方法では、蛍光色素の標識位置や数を制御することが出来ず、且つタンパク質の構造や活性に影響を与える恐れがある。本方法は化学反応であるために、同種類のタンパク質を用いても、同位置に蛍光標識を行う再現性に乏しいという問題点がある。 また、遺伝子からタンパク質を発現させる際に、蛍光標識したアミノ酸を取り込ませることによりタンパク質を蛍光標識し、そのタンパク質を用いて相互作用の解析を行う方法がある(非特許文献2)。しかしこの方法では、すでに発現しているタンパク質を標識することは出来ない。 さらに、タンパク質の遺伝子に、Green Fluorescent Protein(GFP)等の蛍光タンパク質の遺伝子を挿入し、タンパク質をGFP融合タンパク質として発現させることによる蛍光標識方法がある(特許文献1)。しかし、蛍光タンパク質は分子量が大きいため、タンパク質本来の機能に影響を与える恐れがある。 ところで、従来からのタンパク質相互作用の解析方法には、表面プラズモン共鳴法のように、タンパク質を固体支持体に固定し洗浄した後、タンパク質に付けられている標識物質を検出する方法や、分子量の差による移動度の違いにより解析を行うゲル電気泳動法がある。表面プラズモン共鳴法では、サンプルが固相化しにくいタンパク質の場合、解析するのが難しいという問題点がある。また、表面プラズモン共鳴法や電気泳動法では、反応後の洗浄操作が必要であるために、手間と時間を必要とする。 以上のことから、これら既存の手法とは異なる、より優れたタンパク質の蛍光標識方法とタンパク質の蛍光解析方法の開発が強く望まれている。特開2000−333681号公報R. P. Haugland, “Handbook of Fluorescent Probes and Research Chemicals, Sixth Edition”, Molecular Porbes、DOJINDO LABORATORIES第24版総合カタログ, 同仁化学研究所(2004)T. Hohsaka, et al., Nucleic Acids Res Suppl. 3, 271-2 (2003) 本方法は、既存の手法とは異なる、より優れたタンパク質の蛍光標識方法と、タンパク質の蛍光解析方法を提供することを目的とする。特に、本発明の一つの目的は、タンパク質本来の挙動に多大な影響を及ぼさず、蛍光標識の位置及び数が原理的に制御可能で、標識に伴いタンパク質の構造を劣化させず、かつ標識に伴い有意な蛍光変化が観測される新しいタンパク質蛍光標識方法を提供することである。 また、本発明のもう一つの目的は、蛍光標識タンパク質の解析手法であって、固相化を行わずに、従前に比して極めて迅速にタンパク質と生体分子の相互作用を解析する方法を提供することである。 上記目的を達成するため、 請求項1に記載の発明は、蛍光標識した核酸アプタマーを、試験タンパク質に反応させること、を特徴とするタンパク質の蛍光標識方法である。 請求項2に記載の発明は、請求項1の方法によりタンパク質を蛍光標識する工程と、該タンパク質と該タンパク質に特異的に結合する生体関連物質を混合し、蛍光標識複合体を形成する工程と、該蛍光標識複合体の蛍光強度の測定を行う工程を有すること、を特徴とするタンパク質解析方法である。 請求項3に記載の発明は、前記蛍光標識複合体の蛍光強度の測定を行う工程の後に、該核酸アプタマーを分離もしくは分解し、該試験タンパク質を回収する工程を有すること、を特徴とする請求項2に記載のタンパク質解析方法である。 請求項4に記載の発明は、前記蛍光強度を測定する方法が、蛍光相関分光法(FCS)、蛍光強度分布分析法(FIDA)、蛍光相互相関分光法(FCCS)および多項目蛍光強度分布分析法(FIMDA)のいずれかから選択される方法により行われること、を特徴とする請求項2又は3に記載のタンパク質解析方法である。 本発明によれば、既存の手法とは異なる、より優れたタンパク質の蛍光標識方法と、タンパク質の蛍光解析方法を提供することができる。本発明の方法は、タンパク質本来の挙動に多大な影響を及ぼさず、蛍光標識の位置及び数が原理的に制御可能で、標識に伴いタンパク質の構造を劣化させず、かつ標識に伴い有意な蛍光変化が観測される特徴を有する。従って、本発明は従来の方法とは異なる新しい優れたタンパク質蛍光標識技術である。 また、本発明によれば、溶液系においてタンパク質の固相化や洗浄操作なしに相互作用を検出できるので、きわめて迅速にタンパク質と生体分子の相互作用を解析する方法を提供することである。さらに、蛍光相関分光法(FCS)、蛍光強度分布分析法(FIDA)、蛍光相互相関分光法(FCCS)および多項目蛍光強度分布分析法(FIMDA)から選択される蛍光強度測定法により解析することで、溶液系における反応生成物の大きさの変化、明るさの変化、数の変化をnMオーダーという非常によい感度で検出することができる。 本実施の様態では、以下の手順でタンパク質の解析を行う。図1に手順の例を示す。 (1)蛍光標識核酸アプタマーの準備 試験タンパク質と特異的に結合する配列を持つ蛍光標識核酸アプタマーを準備する。アプタマーの核酸はDNAでもRNAでもよく、また、天然由来でも化学的に合成した核酸でもよい。 試験タンパク質と特異的に結合する核酸アプタマーは、試験タンパク質を吸着させたカラムを使用したアフィニティカラムを用い、アプタマーライブラリから精製してもよい。 蛍光標識は、あらかじめアプタマーに蛍光標識しておいてもよく、特異的に結合する核酸アプタマーを準備した後に蛍光標識してもよい。 (2)試験タンパク質の蛍光標識 (1)で得られた蛍光標識核酸アプタマーと、試験タンパク質を混合する。核酸アプタマーはタンパク質などに特異的に結合する性質を持つ。そのため、試験タンパク質と該核酸アプタマーの複合体を形成させることで、試験タンパク質に特異的に蛍光標識をすることが出来る。 (3)試験タンパク質と生体関連物質の反応 サンプルである生体関連物質と、(2)で得られた蛍光標識タンパク質を混合し、反応させる。反応は、生体内温度である37度や、使用するサンプルに適した温度で行なうことが好ましい。 (4)FCS解析 反応させた混合液を、FCS測定用のガラスボトムプレートに移し、FCS解析を行う。FCS測定での測定値に基づいて、反応の有無を検出する。 FCS測定では、微小領域内の蛍光分子の揺らぎを測定し、求められた値に基づいて並進拡散時間(Diffusion Time)を求める。並進拡散時間の大小は分子量の大小を示すので、反応の前後で並進拡散時間を比較することにより、分子量の増加または減少がわかる。分子量の増加は生体分子間の結合反応を、分子量の減少は生体分子の分解反応を、分子量の維持は生体分子に結合も分解も無かったことを示す。従って、蛍光標識タンパク質とサンプルとの反応の前後で、蛍光標識された物質の並進拡散時間の増加を検出することにより、蛍光標識タンパク質とサンプルとの結合反応を検出することができる。 上述した手順では、反応生成物の並進拡散時間を求めるために蛍光相関分光法(FCS)を用いたが、蛍光相関分光法(FCS)の代わりに、蛍光相互相関分光法(FCCS)、蛍光強度分布解析法(FIDA)、または多項目蛍光強度分布解析法(FIMDA)を用いてもよい。これらの解析法から、反応後のタンパク質結合分子の大きさ、数、明るさに関連するデータを求め、反応前後での分子の大きさの変化、数の変化、明るさの変化を得ることができる。例えば、FCS測定の結果、反応の前後でタンパク質の大きさに顕著な差はないが、1分子あたりの蛍光の明るさに変化がある場合には、蛍光強度分布解析法(FIDA)を行うことによって、反応の有無を知ることができる。 (5)試験タンパク質の回収 FCS解析を行った混合液に、DNA分解酵素やRNA分解酵素などを加えることで核酸アプタマーを分解し、試験タンパク質を精製後回収する。もしくは、核酸アプタマーと試験タンパク質の結合が切断されるような条件にすることで核酸アプタマーを分離し、試験タンパク質を精製後回収する。 試験タンパク質の精製は、該混合液をスピンカラムにかける等従来から使用される方法により行なうことが出来る。 上記の方法に関して特記されるべきことは、試験タンパク質の蛍光標識は核酸アプタマーを介してなされるため、蛍光標識による試験タンパク質の立体構造に影響を与えないということである。この点に関し、従来のタンパク質蛍光標識方法では、タンパク質の構造が劣化し、分子の挙動に影響を与える可能性がある。 また従来の方法では、蛍光標識の除去が容易でないため、一度解析に使用したタンパク質を他の実験に使用することは出来なかった。しかし上記の本発明の方法によれば、回収した試験タンパク質は、他の条件の実験に使用することが可能となる。実施形態におけるタンパク質解析手順の例を示す図。 蛍光標識した核酸アプタマーを、試験タンパク質に反応させること、を特徴とするタンパク質の蛍光標識方法。 請求項1の方法によりタンパク質を蛍光標識する工程と、 該タンパク質と該タンパク質に特異的に結合する生体関連物質を混合し、蛍光標識複合体を形成する工程と、 該蛍光標識複合体の蛍光強度の測定を行う工程を有すること、を特徴とするタンパク質解析方法。 前記蛍光標識複合体の蛍光強度の測定を行う工程の後に、 該核酸アプタマーを分離もしくは分解し、該試験タンパク質を回収する工程を有すること、を特徴とする請求項2に記載のタンパク質解析方法。 前記蛍光強度を測定する方法が、 蛍光相関分光法(FCS)、蛍光強度分布分析法(FIDA)、蛍光相互相関分光法(FCCS)および多項目蛍光強度分布分析法(FIMDA)のいずれかから選択される方法により行われること、を特徴とする請求項2又は3に記載のタンパク質解析方法。 【課題】より優れたタンパク質の蛍光標識方法と、タンパク質の蛍光解析方法。【解決手段】蛍光標識した核酸アプタマーと試験タンパク質を反応させ、試験タンパク質に蛍光標識を行なう。蛍光標識核酸アプタマーと試験タンパク質の複合体を、生体関連物質サンプルと反応させ、一分子蛍光分析により相互作用を解析する。その後、蛍光標識核酸アプタマーを分離もしくは分解し、試験タンパク質を回収する。【選択図】図1


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