タイトル: | 公開特許公報(A)_単官能性フルオレン骨格含有(メタ)アクリレートおよびその製造方法 |
出願番号: | 2007250542 |
年次: | 2009 |
IPC分類: | C07C 69/54,C07C 67/02,C08F 20/10 |
山田 昌宏 宮内 信輔 村瀬 裕明 長嶋 太一 川崎 真一 JP 2009079013 公開特許公報(A) 20090416 2007250542 20070927 単官能性フルオレン骨格含有(メタ)アクリレートおよびその製造方法 大阪瓦斯株式会社 000000284 鍬田 充生 100090686 山田 昌宏 宮内 信輔 村瀬 裕明 長嶋 太一 川崎 真一 C07C 69/54 20060101AFI20090323BHJP C07C 67/02 20060101ALI20090323BHJP C08F 20/10 20060101ALN20090323BHJP JPC07C69/54 ZC07C67/02C08F20/10 5 OL 16 4H006 4J100 4H006AA01 4H006AA03 4H006AB46 4J100AL08P 4J100BA08P 4J100BC48P 4J100JA07 4J100JA32 4J100JA33 4J100JA46 本発明は、フルオレン骨格を有する新規な単官能性(メタ)アクリレートおよびその製造方法に関する。 樹脂や樹脂原料において、熱的特性(耐熱性など)、光学的特性(高屈折率など)などの重要な特性を付与又は改善するため、樹脂の重合成分を選択したり、樹脂を改質可能な化合物を添加するなどの方法がとられている。例えば、フルオレン骨格(9,9−ビスフェニルフルオレン骨格など)を有する化合物は、屈折率、耐熱性などにおいて優れた機能を有することが知られている。このようなフルオレン骨格の優れた機能を樹脂に発現する方法としては、反応性基(ヒドロキシル基、アミノ基など)を有するフルオレン化合物、例えば、ビスフェノールフルオレン(BPF)、ビスクレゾールフルオレン(BCF)、ビスフェノキシエタノールフルオレン(BPEF)などを樹脂の構成成分として利用し、樹脂の骨格構造の一部にフルオレン骨格を導入する方法が一般的である。例えば、このようなフルオレン骨格を有する樹脂を用いた例として、特開2002−284864号公報(特許文献1)には、9,9−ビスフェニルフルオレン骨格を有するポリエステル樹脂で構成された成形材料が開示されている。また、特開2004−339499号公報(特許文献2)には、ビスフェノールフルオレン、ビスアミノフェニルフルオレン、ビスフェノキシエタノールフルオレンなどのフルオレン骨格を有する化合物を重合成分とする樹脂(ポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、エポキシ系樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール系樹脂、アニリン系樹脂など)と、添加剤とを含有する組成物が開示されている。 このように、BPF、BCF、BPEFなどの多官能性(特に二官能性)のフルオレン化合物は、樹脂のモノマーとして知られている。なお、このようなフルオレン化合物を重合成分とする樹脂(アクリル系樹脂など)は、多官能性であるため、通常、粘度が大きく、ハンドリング性に乏しい場合が多い。 このようなハンドリング性の問題は、一般的な熱又は光硬化性樹脂(アクリル系樹脂など)においても見られ、ハンドリング性の改善のためには、通常、これらの樹脂に加えて、対応する単官能性の化合物を希釈剤として混合して使用することが行われている。なお、このような単官能性の化合物を希釈剤として用いると、特性が低下する場合もある。 一方、9−フルオレノール、9−フルオレニルメタノールなどの一官能性のフルオレン化合物も知られている。例えば、9−フルオレニルメタノールに関し、特開平8−268941号公報(特許文献3)には、特定のジルコニウム系触媒の存在下、2級アルコール類とフルオレン−9−カルバアルデヒド類とを反応させて9−フルオレニルメタノール類を製造する方法が開示されている。また、特開平9−52855号公報(特許文献4)には、フルオレン−9−カルバアルデヒド類のアルコール溶液と水素化ホウ素ナトリウムのアルカリ性水溶液を混合し反応させる9−フルオレニルメタノール類の製造方法が開示されている。そしてこれらの文献には、前記製造方法により得られた9−フルオレニルメタノール類は、機能性色素、染料、医・農薬、高分子モノマーなどの原料として有用であることが記載されている。なお、この文献には、9−フルオレニルメタノールを希釈剤に利用することについては記載されていない。特開2002−284864号公報(特許請求の範囲)特開2004−339499号公報(特許請求の範囲、段落番号[0032])特開平8−268941号公報(特許請求の範囲、段落番号[0001])特開平9−52855号公報(特許請求の範囲、段落番号[0001]) 従って、本発明の目的は、希釈剤(重合性希釈剤)、モノマー原料などとして有用な新規な単官能性のフルオレン骨格含有(メタ)アクリレートおよびその製造方法を提供することにある。 本発明の他の目的は、高耐熱性や優れた光学的特性(低複屈折、高屈折率など)を付与できる樹脂改質剤又はその原料(特に、希釈剤)として有用な単官能性のフルオレン骨格含有(メタ)アクリレートおよびその製造方法を提供することにある。 本発明のさらに他の目的は、樹脂に対する分散性(および相溶性)に優れ、上記のような特性を簡便に樹脂に付与できる樹脂改質剤又はその原料(特に、希釈剤)として有用な単官能性のフルオレン骨格含有(メタ)アクリレートおよびその製造方法を提供することにある。 本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、フルオレン骨格を有する特定の単官能性(メタ)アクリレートが、希釈剤などとして有用であること、特に、この単官能性(メタ)アクリレートを、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂(多官能性(メタ)アクリル系化合物など)の希釈剤として使用すると、この熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂のハンドリング性を改善しつつ、硬化物に高耐熱性や低複屈折性などを付与できることを見出し、本発明を完成した。 すなわち、本発明の化合物(単官能性(メタ)アクリレート)は、下記式(1)で表される。(式中、R1はシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3はアルキレン基を示し、R4は直接結合、アルキリデン基又はアルキレン基を示し、R5は置換基を示す。kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0又は1である。) 前記式(1)において、例えば、R3がC2−4アルキレン基であり、R4が直接結合、メチレン基又はC2−4アルキレン基であり、R5がアルキル基又はアリール基であり、mが0〜4であってもよい。特に、前記式(1)において、mが0であり、R4が直接結合、メチレン基又はC2−4アルキレン基であり、R5がアルキル基又はアリール基であってもよい。 代表的には、前記式(1)において、R4が直接結合又はメチレン基であり、mおよびnが0であってもよい。 本発明には、下記式(2)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを反応させて前記単官能性(メタ)アクリレートを製造する方法も含まれる。(式中、R1、R3、R4、R5、k、m、nは前記と同じ。) 本発明の新規な単官能性(メタ)アクリレートは、希釈剤(又は希釈剤原料)、モノマー原料などとして有用である。そして、このような単官能性(メタ)アクリレートは、フルオレン骨格を有しており、特に、高耐熱性や優れた光学的特性(低複屈折、高屈折率など)を付与できる樹脂改質剤又はその原料(特に、希釈剤)として有用である。また、本発明の単官能性のフルオレン骨格含有(メタ)アクリレートは、樹脂に対する分散性に優れ、上記のような特性を簡便に樹脂に付与できる樹脂改質剤又はその原料(特に、希釈剤)として有用である。そして、このような本発明の単官能性(メタ)アクリレートは、希釈効率が高く、希釈剤として使用しても樹脂の特性を低下させることがないため、極めて有用である。 [式(1)で表される単官能性(メタ)アクリレート] 本発明の単官能性(メタ)アクリレート(又はモノ(メタ)アクリレート、単に、化合物、フルオレン化合物などということがある)は、下記式(1)で表される。(式中、R1は置換基を示し、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3はアルキレン基を示し、R4は直接結合又は二価の非芳香族性炭化水素基を示し、R5は置換基を示す。kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0又は1である。) 基R1で表される置換基としては、非反応性置換基、例えば、シアノ基、ハロゲン原子(塩素原子、臭素原子など)、炭化水素基[例えば、アルキル基、アリール基(フェニル基などのC6−10アリール基)など]などであってもよく、シアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基(特にアルキル基)である場合が多い。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t−ブチル基などのC1−6アルキル基(例えば、C1−4アルキル基、特にメチル基)などが例示できる。なお、kが複数(2以上)である場合、基R1は互いに異なっていてもよく、同一であってもよい。また、フルオレン(又はフルオレン骨格)を構成する2つのベンゼン環に置換する基R1は同一であってもよく、異なっていてもよい。また、フルオレンを構成するベンゼン環に対する基R1の結合位置(置換位置)は、特に限定されない。好ましい置換数kは、0〜1、特に0である。なお、フルオレンを構成する2つのベンゼン環において、置換数kは、互いに同一又は異なっていてもよい。 前記式(1)において、基R3で表されるアルキレン基としては、特に限定されないが、例えば、C2−10アルキレン基(例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、ブタン−1,2−ジイル基、ヘキシレン基などのC2−6アルキレン基)などが例示でき、特に、C2−4アルキレン基(特に、エチレン基、プロピレン基などのC2−3アルキレン基)が好ましい。なお、R3は、mが複数である場合、同一の又は異なるアルキレン基であってもよい。すなわち、mが2以上の場合、ポリアルコキシ(ポリオキシアルキレン)基[−(OR3)m−]は、同一のオキシアルキレン基で構成されていてもよく、複数のオキシアルキレン基(例えば、オキシエチレン基とオキシプロピレン基など)で構成されていてもよい。通常、R3は、同一のアルキレン基であってもよい。 オキシアルキレン基(OR3)の数(付加モル数)mは、例えば、0〜15(例えば、0〜10)程度の範囲から選択でき、例えば、0〜8(例えば、1〜8)、好ましくは0〜6(例えば、1〜6)、さらに好ましくは0〜4(例えば、1〜4)であってもよく、特に0であってもよい。 また、基R4において、二価の非芳香族性炭化水素基としては、例えば、アルキリデン基(例えば、メチレン基、エチリデン基、プロピリデン基、プロパン−2,2−ジイル基などのC1−10アルキリデン基、好ましくはC1−6アルキルリデン基、さらに好ましくはC1−4アルキリデン基)、アルキレン基(例えば、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基などのC2−10アルキレン基、好ましくはC2−6アルキレン基、さらに好ましくはC2−4アルキレン基)、シクロアルキレン基(例えば、シクロヘキシレン基などのC5−10シクロアルキレン基、好ましくはC5−8シクロアルキレン基)、シクロアルカンジメチレン基(例えば、1,4−シクロヘキサンジメチレン基など)などが挙げられる。代表的な二価の非芳香族炭化水素基としては、アルキリデン基、アルキレン基が挙げられる。好ましい基R4は、直接結合、アルキリデン基(例えば、C1−4アルキリデン基、特にメチレン基)、アルキレン基(例えば、エチレン基などのC2−4アルキレン基)である。 置換基R5としては、例えば、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基などのC1−20アルキル基、好ましくはC1−8アルキル基、さらに好ましくはC1−6アルキル基など)、シクロアルキル基(シクロペンチル基、シクロへキシル基などのC5−10シクロアルキル基、好ましくはC5−8シクロアルキル基、さらに好ましくはC5−6シクロアルキル基など)、アリール基[例えば、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)、ナフチル基などのC6−10アリール基、好ましくはC6−8アリール基、特にフェニル基など]、アラルキル基(ベンジル基、フェネチル基などのC6−10アリール−C1−4アルキル基など)などの炭化水素基;アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、t−ブトキシ基などのC1−20アルコキシ基、好ましくはC1−8アルコキシ基、さらに好ましくはC1−6アルコキシ基など)、シクロアルコキシ基(シクロへキシルオキシ基などのC5−10シクロアルキルオキシ基など)、アリールオキシ基(フェノキシ基などのC6−10アリールオキシ基)、アラルキルオキシ基(例えば、ベンジルオキシ基などのC6−10アリール−C1−4アルキルオキシ基)などのエーテル基;アシル基(アセチル基などのC1−6アシル基など);アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基などのC1−4アルコキシカルボニル基など);ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子など);ニトロ基;シアノ基;置換アミノ基(ジアルキルアミノ基など);ヒドロキシル基;カルボキシル基などが挙げられる。 好ましい置換基R5は、炭化水素基[例えば、アルキル基(例えば、C1−6アルキル基)、シクロアルキル基(例えば、C5−8シクロアルキル基)、アリール基(例えば、C6−10アリール基)、アラルキル基(例えば、C6−8アリール−C1−2アルキル基)など]、アルコキシ基(C1−4アルコキシ基など)などである。特に、置換基R5は、アルキル基[C1−4アルキル基(特にメチル基)など]であってもよい。 代表的な前記式(1)で表される化合物としては、例えば、式(1)において、R3がC2−4アルキレン基であり、R4が直接結合、アルキリデン基(例えば、メチレン基などのC1−4アルキリデン基、特にメチレン基)又はアルキレン基(例えば、エチレン基などのC2−4アルキレン基)であり、R5がアルキル基(例えば、C1−4アルキル基)又はアリール基(例えば、C6−10アリール基)であり、mが0〜4(好ましくは0〜2、特に0)である化合物などが含まれる。好ましい化合物には、前記式(1)において、R4が直接結合又はメチレン基であり、mおよびnが0である化合物が含まれる。 前記式(1)で表される具体的な化合物としては、9−(メタ)アクリロイルオキシフルオレン類[例えば、9−(メタ)アクリロイルオキシフルオレン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−9−アルキルフルオレン、9−(メタ)アクリロイルオキシ−9−アリールフルオレンなど]、9−(メタ)アクリロイルオキシメチルフルオレン類[例えば、9−(メタ)アクリロイルオキシメチルフルオレンなど]などが含まれる。 (製造方法) 本発明の単官能性(メタ)アクリレートは、特に限定されないが、例えば、下記式(2)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを反応させることにより製造できる。(式中、R1、R3、R4、R5、k、m、nは前記と同じ。) 上記式(2)で表される化合物は、前記式(1)で表される化合物に対応するアルコールを示し、R1、R3、R4、R5、k、m、nは前記と同じであり、好ましい態様なども前記と同様である。 代表的な前記式(2)で表される化合物には、9−フルオレノール類(例えば、9−フルオレノール、9−アルキル−9−フルオレノール、9−アリール−9−フルオレノールなど)、9−フルオレニルメタノール類(例えば、9−フルオレニルメタノールなど)などが挙げられる。 なお、前記式(2)で表される化合物は、市販品を用いてもよく、公知の方法により合成することもできる。例えば、(i)前記式(2)において、mが0およびR4が直接結合である化合物は、フルオレノン類(フルオレノンおよびkが1以上である化合物に対応する置換基を有するフルオレノン)と、基R5に対応する求核剤(例えば、グリニャール試薬、リチウム化物など)とを反応させることにより得ることができ、(ii)前記式(2)において、mが0、R4がメチレン基であり、nが0である化合物(すなわち、9−フルオレニルメタノール類)は、前記特許文献3又は5の方法を利用して製造してもよい。このような反応後、得られた生成物(前記式(2)で表される化合物)は、分離して前記式(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応に供してもよく、反応後、そのまま(メタ)アクリル酸又はその誘導体と反応させてもよい。また、前記式(2)で表される化合物のうち、mが1以上である化合物は、mが0である化合物と、基−R3O−に対応する化合物(例えば、エチレンオキシドなどのC2−4アルキレンオキシドなど)とを反応させることにより得ることもできる。 (メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸低級アルキルエステル(例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどのC1−4アルキル(メタ)アクリレートなど)、(メタ)アクリル酸ハライド(例えば、(メタ)アクリル酸クロライドなど)、(メタ)アクリル酸無水物などが挙げられる。 反応において、(メタ)アクリル酸又はその誘導体の割合は、下記式(2)で表される化合物1モルに対して、例えば、1〜10モル、好ましくは1.1〜5モル、さらに好ましくは1.2〜3モル程度であってもよい。 反応(前記式(2)で表される化合物と(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応)では、適宜、触媒(酸触媒、塩基触媒など)を使用してもよい。 酸触媒としては、エステル化酸触媒であれば特に限定されず、例えば、無機酸(硫酸、塩酸、リン酸など)、有機酸[スルホン酸(メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸などのアルカンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのアレーンスルホン酸など)など]などが例示でき、固体化酸[担体に酸(硫酸、リン酸、ヘテロポリ酸などの無機酸、有機酸)を担持させた固体化酸(固体リン酸など)]、陽イオン交換樹脂、金属酸化物(ZnOなど)、金属ハロゲン化物(CuCl2など)、金属塩系触媒[金属硫酸塩(NiSO4など)、金属リン酸塩(Zr,Tiなどの遷移金属のリン酸塩など)、金属硝酸塩(Zn(NO3)2・6H2Oなど)など]、天然鉱物(酸性白土、ベントナイト、カオリン、モンモリロナイトなど)などの固体酸触媒も含まれる。酸触媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。 塩基としては、例えば、金属炭酸塩(炭酸ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸塩、炭酸水素ナトリウムなどのアルカリ金属又はアルカリ土類金属炭酸水素塩など)、カルボン酸金属塩(酢酸ナトリウム、酢酸カルシウムなどの酢酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩など)、金属水酸化物(水酸化ナトリウムなどのアルカリ金属水酸化物、水酸化カルシウムなどのアルカリ土類金属水酸化物など)などの無機塩基;アミン類[例えば、第3級アミン類(トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン、N,N−ジメチルアニリンなどの芳香族第3級アミン、ピリジンなどの複素環式第3級アミン)など]などの有機塩基などが例示できる。塩基は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。 触媒(酸触媒、塩基)の使用量は、触媒の種類にもよるが、例えば、(メタ)アクリル酸又はその誘導体1モルに対して、例えば、0.01〜10モル、好ましくは0.05〜5モル、さらに好ましくは0.1〜3モル程度であってもよい。 また、反応は、必要に応じて、重合禁止剤(熱重合禁止剤)の存在下で行ってもよい。重合禁止剤としては、ヒドロキシフェノール類(ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテルなどのヒドロキノン類、t−ブチルカテコールなどのカテコール類など)、アミン類(ジフェニルアミンなど)、2,2−ジフェニル−1−ピクリルヒドラジル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペラジン−1−オキシルなどが例示できる。重合禁止剤は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。 反応は、無溶媒中で行ってもよく、溶媒中で行ってもよい。溶媒(有機溶媒)としては、炭化水素類(ヘキサン、ヘプタン、オクタンなどの脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類など)、ハロゲン化炭化水素類(塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素など)、エーテル系溶媒(ジエチルエーテルなどのジアルキルエーテル類、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル類、アニソールなど)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなどのジアルキルケトン類など)などが挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。なお、前記触媒が液体である場合、前記触媒を溶媒として使用してもよい。 反応温度や反応温度は、使用する(メタ)アクリル酸又はその誘導体の種類に応じて適宜選択できる。反応時間は、例えば、30分〜48時間、通常、1〜36時間、好ましくは2〜24時間程度である。 反応は、還流しながら行ってもよく、副生する水やアルコール類を除去しながら行ってもよい。また、反応は、攪拌しながら行ってもよく、空気中又は不活性雰囲気(窒素、希ガスなど)中で行ってもよく、常圧、加圧下又は減圧下で行ってもよい。特に、減圧下で反応させると、着色を低減したり、反応時間を短縮できる。 なお、生成した単官能性(メタ)アクリレート(前記式(1)で表される化合物)は、慣用の方法、例えば、濾過、濃縮、抽出、晶析、再結晶、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段や、これらを組み合わせた分離手段により分離精製してもよい。 本発明の化合物(単官能性(メタ)アクリレート)は、フルオレン骨格を有する単官能性の化合物であり、種々の用途に利用できる。特に、本発明の化合物は、樹脂用改質剤(希釈剤、共重合性単量体(又は樹脂の変性剤)など)として好適に用いることができる。特に、希釈剤(又は希釈剤の構成成分)として、前記化合物を用いることにより、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂のハンドリング性を向上させつつ、高耐熱性や優れた光学的特性(低複屈折、高屈折率など)を熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂(又はその硬化物)に付与できるため、極めて有用である。 そのため、本発明には、前記化合物で構成された希釈剤(重合性希釈剤)、さらには、この希釈剤と熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂とで構成された樹脂組成物も含まれる。 [熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂用の希釈剤およびその組成物] 熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂用の希釈剤は、前記式(1)で表される単官能性(メタ)アクリレートで構成すればよく、前記式(1)で表される単官能性(メタ)アクリレートと、この単官能性(メタ)アクリレートの範疇に属さない重合性不飽和基を有する単官能性モノマーとで構成してもよい。単官能性モノマーとしては、特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸アルキル[(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチルなどの(メタ)アクリル酸C1−20アルキル、好ましくは(メタ)アクリル酸C1−10アルキルなど]、メタアクリル酸シクロアルキル[(メタ)アクリル酸シクロヘキシルなどの(メタ)アクリル酸C5−8シクロアルキルなど]、(メタ)アクリル酸アリール[(メタ)アクリル酸フェニルなど]、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート[(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシC2−10アルキル(メタ)アクリレートなど]、(ポリ)オキシアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート(ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシC2−6アルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート)、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート[(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチルなどの(メタ)アクリル酸C1−4アルコキシアルキルなど]、N−置換(メタ)アクリルアミド(N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのN,N−ジC1−4アルキル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミドなどのN−ヒドロキシC1−4アルキル(メタ)アクリルアミドなど)、アミノアルキル(メタ)アクリレート(N,N−ジメチルアミノエチルアクリレートなど)、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル系モノマー、非(メタ)アクリル系モノマー(例えば、芳香族ビニル系単量体(スチレンなど)など)などを好適に使用できる。これらの化合物は単独で又は2種以上組み合わせてもよい。 熱又は光硬化性(メタ)アクリル樹脂用の希釈剤において、前記式(1)で表される単官能性(メタ)アクリレートと単官能性モノマーとを組み合わせる場合、前記単官能性(メタ)アクリレートの割合は、希釈剤全体(又は希釈剤を構成するモノマー全体)に対して、例えば、10〜99モル%、好ましくは20〜90モル%、さらに好ましくは30〜80モル%程度であってもよい。 熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物において、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂としては、例えば、二官能性(メタ)アクリレート{アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートなどのC2−10アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、(ポリ)オキシアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート[ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの(ポリ)オキシC2−6アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなど]、ビスフェノールA(又はそのC2−3アルキレンオキシド付加体)のジ(メタ)アクリレート、多価アルコール(又はそのC2−3アルキレンオキシド付加体)のジ(メタ)アクリレート[例えば、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレートなどのトリオールのジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートなどのテトラオールのジ(メタ)アクリレート]など}、三官能以上の多官能性(メタ)アクリレート{例えば、多価アルコール(又はそのC2−3アルキレンオキシド付加体)の三官能又は多官能性(メタ)アクリレート、例えば、グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエトキシトリ(メタ)アクリレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどのトリオールのトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどのテトラオールのトリ又はテトラ(メタ)アクリレート;ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなど}、ウレタン(メタ)アクリレート、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートなどが挙げられる。 特に、本発明の希釈剤は、前記単官能性(メタ)アクリレートで構成されており、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレート(又はフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリル系樹脂)に対する相溶性に優れているため、このようなフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートの希釈剤として好適である。 このようなフルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートとしては、例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類{例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシ−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−8アリール−(メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレンなど]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシフェニル)フルオレン類;9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス[6−(2−(メタ)アクリロイルオキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス[1−(6−(メタ)アクリロイルオキシナフチル)]フルオレン、9,9−ビス[1−(5−(メタ)アクリロイルオキシナフチル)]フルオレンなど]などの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシナフチル)フルオレン類}、9,9−ビス(ポリ(メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン類{例えば、9,9−ビス[3,4−ジ((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ((メタ)アクリロイルオキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス(ジ又はトリ(メタ)アクリロイルオキシアリール)フルオレン}、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル)フルオレンなどの9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アルキル−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[例えば、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−メチルフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3,5−ジメチルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC1−4アルキル(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス(アリール−(メタ)アクリロイルオキシアルコキシフェニル)フルオレン[9,9−ビス(4−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)−3−フェニルフェニル)フルオレンなどの9,9−ビス(モノ又はジC6−8アリール(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシフェニル)フルオレンなど]、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシアルコキシナフチル)フルオレン[例えば、9,9−ビス((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシナフチル)フルオレンなど]、9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシアルコキシ)フェニル]フルオレン[例えば、9,9−ビス[3,4−ジ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、9,9−ビス[3,4,5−トリ(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレンなどの9,9−ビス[ジ又はトリ((メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)フェニル]フルオレン]、9,9−ビス{[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシC2−4アルコキシ)C2−4アルコキシ]フェニル}フルオレン[例えば、9,9−ビス{4−[2−(2−(メタ)アクリロイルオキシエトキシ)エトキシ]フェニル}フルオレンなど]などが挙げられる。 これらの熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。 なお、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂は、市販品を使用してもよく、合成したものを使用してもよい。例えば、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレートは、対応するフルオレン骨格を有する化合物[例えば、9,9−ビス(モノ乃至トリヒドロキシフェニル)フルオレン類、9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類など]と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体(前記例示の化合物、例えば、酸ハライド、酸無水物など)とを反応させて得ることができる。反応は、前記と同様の条件で行ってもよい。なお、前記9,9−ビス(ヒドロキシナフチル)フルオレン類としては、特開2007−99741号公報などを参照できる。 熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物において、前記希釈剤の割合は、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して、例えば、1〜1000重量部、好ましくは5〜500重量部、さらに好ましくは10〜200重量部程度であってもよい。 なお、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物は、必要に応じて、溶媒(又は非反応性希釈剤)、重合開始剤などを含んでいてもよい。 溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカンなどの脂肪族炭化水素類;エチルメチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼンなどの芳香族炭化水素類;セロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;カルボン酸エステル(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル、乳酸ブチルなど)、炭酸エステル(炭酸プロピレンなど)などのエステル類;石油エーテル、石油ナフサ、ソルベントナフサなどの石油系溶剤などが例示できる。溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。 溶媒の使用量(添加量)は、例えば、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して、0〜500重量部の範囲から選択でき、例えば、10〜400重量部、好ましくは20〜300重量部、さらに好ましくは30〜200重量部程度であってもよい。 重合開始剤には、熱重合開始剤や光重合開始剤が含まれる。熱重合開始剤としては、ジアルキルパーオキサイド類(ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなど)、ジアシルパーオキサイド類[ジアルカノイルパーオキサイド(ラウロイルパーオキサイドなど)、ジアロイルパーオキサイド(ベンゾイルパーオキサイドなど)など]、過酸エステル類(過酢酸t−ブチルなど)、ケトンパーオキサイド類、パーオキシカーボネート類、パーオキシケタール類などの有機過酸化物;アゾニトリル化合物[2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)など]、アゾアミド化合物、アゾアミジン化合物などのアゾ化合物などが含まれる。熱重合開始剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。 光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン類(ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類など)、アセトフェノン類(アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オンなど)、アミノアセトフェノン類{2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノアミノプロパノン−1など}、アントラキノン類(アントラキノン、2−メチルアントラキノンなど)、チオキサントン類(2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントンなど)、ケタール類(アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタールなど)、ベンゾフェノン類(ベンゾフェノンなど)、キサントン類などが例示できる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。 また、光重合開始剤は、光増感剤と組み合わせてもよい。光増感剤としては、第3級アミン類{例えば、トリアルキルアミン、トリアルカノールアミン(トリエタノールアミンなど)、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸エチルなど]、N,N−ジメチルアミノ安息香酸アミル[p−(ジメチルアミノ)安息香酸アミルなど]などのジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(ミヒラーズケトン)などのビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンなどのジアルキルアミノベンゾフェノンなど}などの慣用の光増感剤などが挙げられる。光増感剤は、単独で又は2種以上組み合わせてもよい。 重合開始剤(および光増感剤の総量)の使用量は、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部(例えば、1〜30重量部)、好ましくは1〜20重量部(例えば、5〜25重量部)、さらに好ましくは1.5〜10重量部程度であってもよい。また、光増感剤の使用量は、重合開始剤(光重合開始剤)100重量部に対して、5〜200重量部、好ましくは10〜150重量部、さらに好ましくは20〜100重量部程度であってもよい。 また、熱又は光硬化性(メタ)アクリル系樹脂組成物は、慣用の添加剤、例えば、着色剤、安定剤(熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤など)、充填剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、レベリング剤、シランカップリング剤、重合禁止剤(又は熱重合禁止剤)などを含んでいてもよい。添加剤は、単独で又は2種以上組み合わせて使用してもよい。 本発明の化合物は、樹脂原料、希釈剤などの用途に好適に使用できる。そして、本発明の化合物をこのような用途に使用することにより、高耐熱性、高屈折率などの優れた特性を有するフルオレン骨格を簡便に樹脂(又はその硬化物)などに導入できる。また、本発明の化合物は、光学材料として好適に利用でき、このような光学材料の形状としては、例えば、フィルム又はシート状、板状、レンズ状、管状などが挙げられる。 代表的には、本発明の(メタ)アクリレート(又はその硬化物)は、インク材料、発光材料(例えば、有機EL用発光材料など)、有機半導体、黒鉛化前駆体、ガス分離膜(例えば、CO2ガス分離膜など)、コート剤(例えば、LED(発光ダイオード)用素子のコート剤などの光学用オーバーコート剤又はハードコート剤など)、レンズ[ピックアップレンズ(例えば、DVD(デジタル・バーサタイル・ディスク)用ピックアップレンズなど)、マイクロレンズ(例えば、液晶プロジェクター用マイクロレンズなど)、眼鏡レンズなど]、偏光膜(例えば、液晶ディスプレイ用偏光膜など)、反射防止フィルム(又は反射防止膜、例えば、表示デバイス用反射防止フィルムなど)、燃料電池用膜、光ファイバー、光導波路、ホログラムなどに好適に使用できる。 以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。 (実施例1) 9−フルオレニルメタノール(東京化成工業製)4.2g(22mmol)をテトラヒドロフラン(ナカライテスク製)100mLに溶解し、ピリジン(ナカライテスク製)2.6g(32mmol)およびアクリル酸クロリド(東京化成工業製)2.4g(26mmol)を仕込み、室温にて1時間攪拌させた。その後、66℃にて17時間加熱攪拌させた結果、HPLCで原料である9−フルオレニルメタノールの消失を確認した。その後、水20mlにて反応を終了させ、20mlのトルエンで3回抽出した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。ヘキサンおよび酢酸(重量比=8:2)でカラム精製を行った結果、黄色の固体が2.6g(収率48%)得られた。さらに得られた固体(結晶)の1H−NMR分析を行った結果、目的とする単官能性アクリレート(下記式)であることを確認した。 1H−NMR(400MHz,CD2Cl2,δ)ppm: 4.26(t,1H)、4.45(d,2H)、5.88(d,1H)、6.22(dd,1H)、6.46(d,1H)、7.31(dd,2H)、7.40(dd,2H)、7.60(d,2H)、7.76(d,2H) (実施例2) 9−フルオレニルメタノール(東京化成工業製)2.0g(10mmol)、メタクリル酸無水物(アルドリッチ製)2.0g(13mmol)、および反応溶媒としてのジエチルエーテル(ナカライテスク製)50mLを反応器に仕込み、アルカリ触媒として24%苛性ソーダ水3.3gを0℃にて滴下した。その後、室温にて17時間攪拌させた結果、HPLCで原料である9−フルオレニルメタノールの消失を確認した。その後、30mlの飽和食塩水を加え、20mlのジエチルエーテルで3回抽出したのち、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を留去した。ヘキサンおよび酢酸(体積比=8:2)でカラム精製を行った結果、黄色の液体が0.53g(収率20%)得られた。さらに得られた結晶の1H−NMR分析を行った結果、目的とする単官能性メタクリレート(下記式)であることを確認した。 1H−NMR(400MHz,CD2Cl2,δ)ppm: 2.00(s,3H)、4.28(t,1H)、4.44(d,2H)、5.63(s,1H)、6.19(s,1H)、7.31(dd,2H)、7.40(dd,2H)、7.61(d,2H)、7.77(d,2H) (実施例3) 9−フルオレノール(東京化成工業製)3.0g(17mmol)をテトラヒドロフラン(ナカライテスク製)50mLに溶解し、ピリジン(ナカライテスク製)3.9g(49mmol)およびアクリル酸クロリド(東京化成工業製)3.7g(41mmol)を仕込み、室温にて1時間攪拌させた後、66℃にて17時間加熱攪拌させた結果、HPLCで原料である9−フルオレノールの消失を確認した。その後、実施例2と同様の処理を行った結果、淡黄色の固体が2.6g(収率67%)得られた。さらに得られた結晶の1H−NMR分析を行った結果、目的とする単官能性アクリレート(下記式)であることを確認した。 1H−NMR(400MHz,CD2Cl2,δ)ppm: 5.89(d,1H)、6.22(dd,1H)、6.50(d,1H)、6.88(s,1H)、7.29(dd,2H)、7.41(dd,2H)、7.57(d,2H)、7.68(d,2H) (実施例4) 実施例1で得られた単官能性アクリレート33重量部と、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレート[9,9−ビス{4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオレン(BPEFA)、大阪ガスケミカル(株)製]67重量部とを混合し、攪拌したところ無色透明になった。 (比較例1) 単官能性アクリレートの1種であるトリデシルアクリレート(サートマー製、SR−395)33重量部と、フルオレン骨格を有する多官能性(メタ)アクリレート[9,9−ビス{4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル}フルオレン(BPEFA)、大阪ガスケミカル(株)製]67重量部とを混合し、攪拌したところ白濁が生じた。 下記式(1)で表される単官能性(メタ)アクリレート。(式中、R1はシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、R2は水素原子又はメチル基を示し、R3はアルキレン基を示し、R4は直接結合、アルキリデン基又はアルキレン基を示し、R5は置換基を示す。kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0又は1である。) 式(1)において、R3がC2−4アルキレン基であり、R4が直接結合、メチレン基又はC2−4アルキレン基であり、R5がアルキル基又はアリール基であり、mが0〜4である請求項1記載の単官能性(メタ)アクリレート。 式(1)において、mが0であり、R4が直接結合、メチレン基又はC2−4アルキレン基であり、R5がアルキル基又はアリール基である請求項1又は2記載の単官能性(メタ)アクリレート。 式(1)において、R4が直接結合又はメチレン基であり、mおよびnが0である請求項1〜3のいずれかに記載の単官能性(メタ)アクリレート。 下記式(2)で表される化合物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体とを反応させて請求項1〜4のいずれかに記載の単官能性(メタ)アクリレートを製造する方法。(式中、R1、R3、R4、R5、k、m、nは前記と同じ。) 【課題】熱又は光硬化性(メタ)アクリレート系樹脂の希釈剤などとして有用な単官能性(メタ)アクリレートを提供する。【解決手段】下記式で表される化合物と、(メタ)アクリル酸又はその誘導体((メタ)アクリル酸ハライド、(メタ)アクリル酸無水物など)とを反応させる。 (式中、R1はシアノ基、ハロゲン原子又はアルキル基を示し、R3はアルキレン基を示し、R4は直接結合、アルキリデン基又はアルキレン基を示し、R5は置換基を示す。kは0〜4の整数、mは0以上の整数、nは0又は1である。)【選択図】なし